● 本日は曇。夜だけれど、空には星ひとつ見えない。 とはいっても、まあよくある日常のお天気。雨でも降らない限りは支障は無い。 なんせ、朝方に山道を走るのは趣味であり日課。 ゴシャッ 突然、何か足元に落ちてきたと思えば……氷の塊? 雹にしては、ちょいとでかすぎやしませんか。これはなんというか、世界記録……。 と考えていた所でその雹が動き出す。 どこにそんな力があるかは分からないが、突然跳ね上がって顔面を直撃した。 激痛に悶えつつも、更に激痛は増す。 止めと言わんばかりに、頭上から雷の矢がその命を蹂躙した。 上空では季節外れの積乱雲がその行く末をじっと見ている。 ● 「こんにちは、皆さん! 雲のエリューションが再び発生してしまうようです」 『未来日記』牧野 杏里(nBNE000211)が頭を抱えてそう言った。 先日は水の槍が降ったが、今回は雷の矢。それに加えてまだいるらしい。 「雲のエリューションから、雹のエリューションが生み出される様です。フェーズは1ですが、雲自体を倒さないと永遠と生み出されるようでして……」 だが直接的には雲へダメージは与えられない。雲のエリューションは雷を落とせば落とすほど消滅に近づくため、それを耐え続ける。 加えて、その中で雹も生み出し続ける。 つまり、矢を避けつつ、雹も倒せということ。 「場所は山です。夜は人が全くいないのが幸いでした。雲が人を認知して、その生命活動を止めるために矢と雹を降らすみたいです。なので山にリベリスタが入った時点で戦闘開始となります」 雷も雹も、なぜエリューションをなるかは定かでは無いが、なってしまったものは仕方無い。リベリスタが止めるだけだ。 「お気を付けていってらっしゃいませ」 杏里は深々と頭を下げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月15日(火)23:06 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●季節外れの積乱雲 頭上に広がるは積乱雲にも似たE・エレメント。 本来積乱雲というものは夏に多いが、今回ばかりは別。 夜という暗さもあって、山道は更に闇が栄える。ただでさえ暗いというのに、月明かりも星明かりさえも見えない。見上げれば木々の葉が不気味に揺れているのがギリギリ視覚で捕らえられるくらいだ。 「ピカピカ~!」 その中で、来栖 奏音(BNE002598)が自身の身体を発行させ、周辺を照らす灯火となった。彼女の身体が光り輝くその姿は神々しくも見える。 それでもまだ問題はあり、足場も柔らかい土や、草木に足を取られて歩きにくい。 安全靴もあるが、やっぱりこれが一番かもしれない。 「早く帰って寝なくちゃ……いくよ!」 明日も明日で学校がある。できるものなら早く終わらせて、明日に備えて眠りたい そんな『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)がAFからタイプ・キュベレを取り出し、仲間へと翼を送った。 それによって、足場には問題無く戦闘ができそうだ。飛ぶという感覚はフライエンジェ以外の種族は慣れないが、足場が気になって戦えないよりかは良いことだ。 そうしながらもリベリスタが山道を進んでいるが、そこは既に戦場。 翼が送られた、その時。頭上から容赦無く、生物を殺す矢が降り注ぐ。 「いやぁ、これはまた面倒な敵ですね」 『ぜんまい仕掛けの盾』ヘクス・ピヨン(BNE002689)へ向かった2本の矢だったが、その鋼鉄の盾に阻まれて彼女には通らない。 こちらの攻撃は届かないが、耐えるだけというのであればヘクスには持ってこいの仕事だ。いくらでも攻撃して来るといい。いくら攻撃されても倒れない自信がヘクスにはあった。 空を見上げれば、やや黒い雲が頭上を覆っている。それは大きく、消すのには時間が掛かりそうだ。けれどほおっておけば、一般人等の命が危ない。 「変わったエリューションもいるもんだな」 手に馴染んだ火縄銃をその肩で担ぎつつ、同じく空を見上げた『錆びた銃』雑賀 龍治(BNE002797)。 落ちてきた矢を狙う準備は万端で、矢は全て落とす意気込み。今落ちてきても十分に落とさせる自信がある。 「全くだ。雲は静かな方が合っている」 龍治の言葉に頷いた『生き人形』アシュレイ・セルマ・オールストレーム(BNE002429)。 矢を降らせ、雹を落とす雲なんて騒がしくて仕方がない。それに、危ない嵐は此処で止めるがリベリスタ故。 「これもまた、神の御手より零れし、力でしょうか」 『無何有』ジョン・ドー(BNE002836)が空を見上げ、摩訶不思議な世の中に思いを馳せる。 神秘的害のありふれたこの世界で、またひとつ神秘を見つけた。ならば、止めるのみ。 「矢と……雹。危ない……よね、でも頑張って、倒さないと」 『スターチスの鉤爪』蘭・羽音(BNE001477)がぽつりぽつりと喋り出す。 「……来る」 羽音の目に見えたのは雹。 見上げた空から、不自然にも大きい氷の塊が落ちてきているのが分かった。 「さて、どちらが先に力尽きるか、根競べと行こうか」 最後に『戦闘狂』宵咲 美散(BNE002324)が周囲に強結界を貼り終え、戦闘へと突入する。 ●それどう跳ねてるんですか 雹は1つ。だがそれだけでは無く、矢も降り注いだ。 それを視認した龍治が火縄銃を構え、集中する。目標は、雷の矢の1本。 雲が消滅するまではまだまだ長いが、まずはその1本1本を正確に落としていくのが彼の仕事。 「ふん、遅いな」 雷の矢は、ヘクスと羽音を標的に落ちて来ている。 火縄銃から放たれた魔弾が、ヘクスへの矢を空中で消滅させた。 「矢じゃなく、もっと素敵なものが降ってくると大歓迎なんですがね……」 続いて『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)が1$シュートを放った。 世の中上手くいかないものだと呟きつつも、その射撃は精密かつ正確。身を縮めた羽音の頭上で、その矢が綺麗に爆ぜた。矢は消えたものの、残るは雹。それは龍治の頭上目掛けて落ちてくる。 「あぶね!」 咄嗟に美散が龍治を押しのけて、雹の直撃を避けた。 地面に落ちた雹は、人の頭よりも大きいくらいの大きさで、地面に着いても生きているかのように蠢く。ただの塊が動いてる姿はなんとも言えず奇妙で……。 「……かき氷」 ふと、雹を見た羽音がそう言葉を漏らした。 彼女の目には雹と言うよりかは、氷の塊として見えているのだろう。けれど今の時期かき氷は、お腹壊しそうなのでお気をつけて。 「えーい」 ガリガリガリと削るのはラディカル・エンジンという名のチェーンソー。最近フィクサードから獲得したそれは、本来ならば人を斬るために長けていた。しかし、氷を削るのも何かと容易い。 オーララッシュという名のかき氷作りで、雹は小さな結晶を周辺に撒き散らしつつも、まっぷたつとなった。 そんな感じで、これからどんどん降ってくる様だ。 降り注いだ雹の数は5。 リベリスタにぶつかる寸前に、美散が仲間へと呼び掛けて避難したおかげで、雹の落下によってダメージを受ける者はいない。 頭上から落ちる雷の方に注意しながらも、羽音がダンシングリッパーを放つ。3つは斬り倒せたものの、2つは仲間の方にいるため斬ることができない。 「あう……それお願い」 悔しそうにそう言うと、すぐに美散が動き出す。 「ちょこまかちょこまかと鬱陶しい限りだ」 美散がランスでオーララッシュを放ち、雹の貫通させて叩き割る。 散った同胞にも目をくれず、残りのふたつがヘクスとレイチェルへと跳ねて突進しはじめた。 雹といえども生きているかの様な動き。何処にそんな跳躍する力の原点があるのかは分からないが、神秘だから跳ねるんだよ、と予め断っておこう。 それはさておき、跳ねて跳ねて、リベリスタへと。 「ヘクスの盾に傷をつけられますか?」 「わわーっ!? こっちきたー!?」 ヘクスはその固い盾でその身を守った。フェーズ1ではその盾を突破するのは難しそうだ。 しかし、レイチェルはその攻撃が腹部に直撃。胃の中身が逆流してきそうな気もしたが、それも堪える。 「大丈夫です、今すぐに……」 『シスター』カルナ・ラレンティーナ(BNE000562)が祈り手を作り、天使の息を送った。 その回復料は甚大で、レイチェルの傷を完全に治すほどである。ヒーラーとしてトップクラスの回復量はとても頼もしい。 攻撃の終えた雹は、奏音が召喚した炎に包まれたが、1体はかすった程度で難を逃れる。 その最後の1体に気糸が差し込まれた。 「まだ、空の雲は大きいですね……」 ジョンの放ったピンポイント。 彼が見上げた空は、まだまだ大きい雲が星の光りを遮っている。 「一応これで、半分手前くらいといった所でしょうか」 直感を働かせて仲間に告げるジョン。気を張り詰めて、次の攻撃へと備える。 ●まだ頭上は色濃く 美散が作ってきたのは、いわば避雷針。 ランスの先端にワイヤーをつければ、誰よりも身長が高くなる。 もしエリューションの攻撃であろうと、雷の性質さえ持っていればこの避雷針に当たるはずだ。 けれどそれは、自らの身体を張っての行動。もちろんそれは重々承知している。 「さぁ、撃って来い! 真っ向から受け止めてやる!!」 と叫んでみれば、雲から雷が2本ほど光った。 避雷針に引っかかったのかは、分からないが、神秘だから微妙なライン。 星龍がすぐに1本を撃ち落としたものの、2本目は美散の身体を直撃し、その身体が麻痺を起こす。 けれど、それでいい。自らが囮となれば動ける者が増えるはず。美散へ、カルナが天使の息を贈った。 その間にも雹が7体落ちてくる。 羽音がダンシンリッパーを放ったその後、アシュレイが動く。 「悪いが私は晴れた空が一番好きなんだ」 命という命を殺し続ける天気だなんて、そんな悲しい空はいらない。だから、此処で止めてみせる、そんなアシュレイの強い意思。 グリモアを広げ、放つピンポイントは確実に雹を捕えた。 そのアシュレイの前にいたヘクスが盾を器用に持ちながらも雹へと走り出す。 雹であれ、雷であれ、身を削って攻撃してくるエリューション。それはどれくらいなものか。 剥き出したヴァンパイアならではの犬歯を雹へと突き立て、流れるように噛みきる。その瞬間、弾けて消える雹のエリューション。 「……他愛もないですね」 ヘクスは口元の雹の水をぬぐい取った。 それに続いて、奏音がフレアバーストを放てばきっちりと雹を処理しきる。雹は消毒だー! 最後に、負傷している者へレイチェルが天使の歌を紡いだ。 誰よりも早い訳では無い。雲から落ちる矢を落とせる自身も無い。 けれど、彼女には重要な役割がある。 「あたしが、絶対皆を守るから!!」 天使の歌が仲間を包み、傷を塞いでいく。 傷ついたのなら、それを癒そう。それで難が去るまで耐えるだけ。 それだけで顔も知らない誰かを助ける事ができるのであれば、それ以上に素晴らしい事は無い。 そんなレイチェルもリベリスタの1人。彼女が支え続ける限り、仲間は倒れたりはしない。 ● 雲は段々と薄くなりつつある。 それは直感をもっても、エネミースキャンを用いても、目に見えて分かってきた。 リベリスタの回復量は、敵から与えられるダメージに対して、ギリギリだけれど追いついている。 「あと少しですね。終局は近いですよ、皆さん」 10秒前に降ってきた雹で、最後の1体をジョンが気糸で打ち抜く。 その瞬間に再び雹が落ちてくる。今度は4体だ。 「最後まで付き合えそうだな」 その前に落ちてきた雷の矢を龍治と星龍が撃ち落とす。完璧で正確な射撃をした、その横から羽音が走り出す。 「……あたしも、頑張らなくちゃ」 仲間が頑張っているからこど、頑張れる。 落ちてきた雹へオーララッシュを放つ。ガリガリと削ってまっぷたつへと。 その逆方向で美散が同じくオーララッシュを発動させる。ランスで貫き、射殺す。 あと2体。 そこでカルナの神気閃光が煌めく。不殺なれど、その威力は高い。 「燃えちゃいなさーい」 奏音のフレアバーストが神気閃光で弱った雹を包み込んで、お掃除は完了。 奏音が空を見た。 頭上の雲は大分小さくなっており、エリューションとしての力も微弱。きっと次で最後だろう。 降り注いだ雹は10。ついでに雷が落ちてくる。 その瞬間に雲は消えて無くなった。あとはその残りカスをどうにかすれば終わるはずだ。 雹は避けたものの、迫り来る雷に対応できるものがいない。 龍治へと振った矢の間にアシュレイが入り、その身体で受け止めた。 「このくらい、慣れている……」 雷に撃たれて麻痺するその身体。すかさずレイチェルの回復がアシュレイを守った。 もう一方は星龍の下へと降り注ぎ、それを美散が防ぐ。 そして残るは10の雹のみ。 「一気に、いくよー」 羽音がダンシングリッパーで4つを削りきった。 逃したひとつがヘクスへと攻撃したが、その盾で防ぐ。 「これで、終止符を打ちましょう」 ジョンがヘビーボウを構えた。 そこから放たれたピンポイント・スペシャリティ。それが3つの直線上の雹を射抜く。 奇妙な現象だけれど、それでもう終わるはず。 「残りは、奏音が焼却ですー」 ジョンの攻撃が終わった瞬間に、奏音がアルカナを光らせると異界の炎を召喚。 それが残った雹達を焼き付くし、形さえ残さず消えていった。 ●夜明けは既に目の前で 「ふぁあ、眠い……」 時刻は夜中。レイチェルが欠伸をしながらAFへと武器を仕舞った。 頭上の雲は完全に消滅し、見えるのは綺麗な星空。 「やはり空はこうでは無くてはね」 アシュレイが望んだ落ち着いた空。 それはリベリスタ達の働きのおかげで勝取ったものだろう。 「酷い天気だってね……」 羽音がアシュレイへとそう言いつつも、まっぷたつになり氷として溶けて消える雹を見ている。 持ち帰って皆に見せたいが、その前に溶けてしまうだろう。 ヘクスが木々を見れば、矢やら雹やらにぶつかって折れているものばかり。 その残骸が地面にも広がり、それを拾う。 「それでは、帰りましょうか」 ジョンがそう言いながら、今まで地を離れていた足を地に着ける。 まだ残っている雹の残骸を踏み、音をたてている。 その残骸が溶けて消える頃には、綺麗な朝日が見えるだろう。 その山での犠牲者はいない。 暗雲は払われ、夜空の月明かりがリベリスタ達を照らす。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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