●馴染みがなければ馴染ませればいいじゃない アーク本部の前で、白いシーツが屈み込んでいた。 見ない振りをするべきか、一瞬だけ迷ってしまったリベリスタ達の袖をそれは掴む。 Trick or Treat.と。 「むしろトリートアンドトリートで。ああ、お前もういい年だろうとか言うのはなしですよ。お祭りなんて全力で乗っかった方が楽しいじゃないですか。どうせなら踊りましょうよ。ぼくは好きですよ、お祭り。なので遠慮なく堪能します。あ、そうですそうです、ハロウィンです」 マジックで顔を書いた白いシーツ――『スピーカー内臓』断頭台・ギロチン(nBNE000215)は、布を揺らしながらそうのたまった。 シーツの合間から除いたチラシを持った腕が、いつも通りのシャツな辺りが本気でもう少々努力点であった。 チラシに書いてあったのは、ハロウィンの飾り付けの案内。 「つまりですね、『お化けが出てきて、いつもの街を怖い怖いお化けの世界にしちゃうぞ!』というコンセプトで行われるイベントです。具体的に言うと常闇の世界の住人の侵略です。怖いですね。助けてリベリスタ。で、やる事はつまり飾り付けです。三高平公園と周囲の商店街が飾り付けの対象だそうで」 フェルトで作られた温かみのあるジャック・オ・ランタンのぬいぐるみ。 コミカルな顔をしたお化けが描かれた風船。 橙と黒で作られた紙のチェーンの下、薄い綿を広げた巣には画用紙を切り抜いた蜘蛛が住む。 その程度の飾り付けは各店舗でも少しだけやっていたが、折角だからイベントにして商店街の客足ごと盛り上げてしまおう、という魂胆らしい。 日本では馴染みが薄かろうがなんだろうが、行事として定着させてしまえばこっちのもの。 商売人は逞しい。 「ある程度の小物は準備されているそうなので、それを使って飾り付けても良いですし、自前で道具を持ってきて本気を出して下さっても構わないそうです。飾り付けを見ていく人の中には審査員も混じっていて、『ベストオブハロウィン』に選ばれると何か賞品も貰えるそうですよ」 何でしょうねえ、楽しみですねえ、とシーツを震わせる男が本気か否かは定かではない。 「小学生以下の方はトリックオアトリーターでもありますからね。商店街に行った場合は例の台詞を言えばお菓子を貰えるはずですよ。いいなあぼくも欲しいです。お菓子というより気持ちが欲しい、ギロチンです。それはいいです。大人ですか。だめですよ。だめですよ?」 参加証として首から掛けるのは、紐の先に薄いプラスチックの南瓜を付けたペンダント。 夜光塗料が塗られたそれは、暗くなってくると参加者の胸元でぼんやり光るのだと言う。 「さっきの通り『お化けがこの世界を自分の世界にしてしまう』という設定なので、仮装で行くのが喜ばれると思いますよ。ぼくもこれで行こうかと思います。皆さんの仮装が楽しみですね」 本番までにもっと凝れよ。 数名のリベリスタが抱いたであろう突込みをギロチンが認識する事は、多分ない。 「さてさて、それでは日常を闇に染めてやろうという『お化け』の皆さんはこちらにサインをお願い致します。ああ、大丈夫ですよ、別にこの機に乗じて変な契約させようとかは考えてませんから」 無駄に一抹の不安を煽りながらギロチンは参加申込書を机に置く。 上に乗せたペーパーウェイト代わりのミニ南瓜は、楽しげに笑っていた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:黒歌鳥 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月11日(金)22:39 |
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■メイン参加者 0人■ |
■サポート参加者 36人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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