●空の要塞 それは例えるなら飛行機だった。 巨大な、爆撃機か何かのような身体は金属に似た何かで覆われている。 所々に取り付けられた大きな機銃は、まるで警戒でもするかのように、見回すように動いていた。 その周囲を護衛するように飛行する2体の方は戦闘機のようだった。 昔の大型爆撃機を思わせる存在と、現代の戦闘機を思わせる存在。 爆撃機に似たそのエリューションゴーレムは配下達を従え、獲物を探し……ゆっくりと空を進んでいく。 ●格闘戦(ドッグファイト) プロペラ式の原動機はレシプロとか言っただろうか? どこか前時代の爆撃機的な外見の大型機と、現代の戦闘攻撃機を思わせる小柄な機体の組合せは映画の一場面のような雰囲気を漂わせていた。 もっとも、その画像をブリーフィングルームのディスプレイに表示させるために端末を操作したのが『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)である以上、これがただの映画の紹介ではない事は間違いない。 「大型の方がフェイズ2、小型の方はフェイズ1……といっても、2になりかけみたいだから戦闘能力は高めと考えた方がいいと思う」 大型は1体、小型は2体。どちらも見た目通りのエリューションゴーレム。 イヴはそう言って、全機が飛行能力を持っていると説明した。 「まだ被害は出ていないけれど時間の問題。その前に、全機撃墜して欲しい」 イヴはそう言って、敵の詳しい説明に入る前にひとつ……戦場について説明した。 現在ゴーレムがいる場所は市街地からは離れていて目撃される心配はない。 「ただ、相手は空を飛んでいる。高さは地上から100mくらい。何らかの飛行手段がない限り遠距離攻撃も届かない」 一応アーク所属で翼の加護を使える人に同行してもらうけど、自分で持っていた方が確実。 イヴはそう前置きしてから、E・ゴーレム達の詳しい説明を開始した。 大型の爆撃機のようなゴーレムが、この集団のボスのような存在らしい。 機体の各所に機銃のようなものが付いていて、それで周囲を掃射する。 それ以外にも、配下のダメージを回復させたり消耗したエネルギーを補充したりする能力もあるらしい。 「配下の方は戦闘機みたいな外見をしてる。数は2体」 ある程度連携を取る他、爆撃機を攻撃しようとするものへの攻撃をある程度優先するそうだ。 武装は爆撃機と同じように機銃による射撃攻撃。もっとも、こちらは対象は単体のようだ。 それ以外にもミサイルのような武器も持っていて、攻撃に使用するらしい。 「命中精度も威力も高い。しかも射程距離が30m」 幸いというべきか、2発撃つだけでエネルギー切れになるらしい。 ただし、爆撃機に接近して胴体部にドッキングする事でエネルギーを補充してもらえば再度使用可能になるのだから充分に注意すべきだろう。 「あと、爆撃機が機銃掃射をしてる間は巻き込まれないように接近しないみたい」 離れて戦闘を行うという事なのだろうが、それでも射程の長い攻撃を持っているし連携や爆撃機を目標としたものへの迎撃を優先する事を考えると、動きにはかなり癖がありそうだが予測もある程度は可能かもしれない。 「慣れない空での戦闘になるし、充分に気を付けて」 イヴはそう言って説明をしめ括ると、リベリスタ達を送りだした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月06日(日)22:44 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●空へ 肌寒さを感じさせる秋の風が、一行の頬をなでていく。 間近にあった草木が遠く、小さくなっていき……眼下に野山が、遠目に街がひろがっていく。 本来ならば心地好い風景であるが、それをのんびりと観賞する余裕はリベリスタたちには存在しなかった。 その平和な風景の中に、そらに、確かに浮かんでいる巨大な存在。 「以前に飛行しながらの戦闘は経験しましたが、今度は本格的な空中戦……」 翼の加護を受け仲間たちと共に上空を目指しながら、源 カイ(BNE000446)は目標である巨大なゴーレムへと視線を向けた。 緊張しているし、不安がないといえば嘘になる……が。 (若干不得手ではあっても成すべき事は変わりません) 「被害が出る前に撃墜しましょう」 そう口にすれば、いくつもの肯定と頷きが彼へとかえる。 「空を飛ぶのも飛行機を殴るのも初めてじゃな……忘れていなければじゃが」 『紫煙白影』四辻 迷子(BNE003063)も同じように鋼鉄の鳥を眺めながら呟いた。 「争いごとの道具などさっさと墜とすとするか」 (それにしても、翼の加護支援を受けての空中戦、定期的に出てきますね~) ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)はそんな事を考えながら、純白の翼を羽ばたかせた。 「これはきっちり空中戦をマスターしないといけないでしょ~か~」 のんびりとした口調ながらもしっかりとゴーレムたちの動きを確認し、彼女は風をつかみ空を昇っていく。 (飛行能力を得て久しいが、最初から最後まで空対空戦闘となるのは初めてだ) しかも機械vs生身。 『紅翼』越野・闇心(BNE002723)は、身の内から何かがこみあげてくるような気持ちを味わっていた。 もちろん今回の任務は充分に分かっている。 エリューションを排除し空の安全を護るのが最優先事項……ではある、が。 (こっそり心躍らせていても罰は当たらない、よな?) そう自分に問いかけながら紅の翼を力強く羽ばたかせ、空を駆ける。 同じような、どこか湧きたつような気持ちを『13000GPの男(借金)』女木島 アキツヅ(BNE003054)も抱いていた。 (和服美人の『富嶽』さん、金髪ボインの『B29』さん、さてさてどっちのお嬢さん?) 「刺激的なデートで嬉しいぜ」 (そういえば、ちょっとスレンダーな『B17』なんてお嬢さんもいたっけな?) かつて戦争の時代に存在した爆撃機に似た姿に激しい戦いを予感しながらも、その表情にも心の内にも強張るものを現わすことなく。 「桜は散り散りに玉砕(ち)れども勲功(いさお)は永久(とこしえ)に」 アテにさせて貰うぜ、ヒーロー。 彼は囮となって鋼鉄の鳥に向かうことになる零六と風斗に向かって言葉を贈る。 「飛行要塞か、全くエリューションっつーのは千差万別だな」 悠然と空を飛ぶ爆撃機のようなE・ゴーレムを見上げながら『人間魚雷』神守 零六(BNE002500)は、誰にいうでもなく呟いた。 「ま、人目を気にせずに存分に戦えるってのは俺にとっても好都合って奴だ」 背の機甲部からエネルギーを噴出しながら天を目指す彼と共に、『赤光の暴風』楠神 風斗(BNE001434)も上空を目指す。 「戦闘機との空中戦闘、初戦でこれは……少し緊張しますね」 心のうちを素直に吐露してから『白雪狐』天月・白蓮(BNE002280)は気持ちを引きしめた。 (せめて皆様の足を引っ張らぬようにせねば) 口には出さずに自身にいいきかせてから、皆に呼びかける。 「それでは、参りましょうか……」 遠目には小さく見えた鋼鉄の鳥は、もう充分に大きく見える距離に迫っていた。 ●豪撃と、慎重と 再度翼の加護を使用したホーリーメイガスの少女が、お気をつけてと8人に言葉をおくり距離を取る。 8人がそのまま距離を詰めれば、空飛ぶ鉄塊の姿をしたエリューションゴーレムたちも戦闘態勢に入った。 2機の戦闘機を模したゴーレムたちは流れるような動きで旋回し戦闘距離へと飛び込んでくる。 爆撃機のような大型のゴーレムも、ゆっくりと機首をリベリスタたちの側へと向けた。 その大型ゴーレムに向かって、零六はさらに距離を詰める。 「てめぇの相手はこの俺だ。掛かってきやがれ、時代遅れが!」 主に近づく敵を排除するように、戦闘機達が青年に向かって機銃を発射する。 零六はそれを物ともせず、爆撃機の射程内へと侵入すると防御の体勢をととのえた。 (私に出来ることを精一杯やらせていただきましょう) 「さあ護りの力を、受け取ってください」 印を結んだ白蓮が、仲間たちの周囲に防御結界を展開する。 爆撃機が突進し、機銃で範囲を薙ぎ払った。 零六は防御を固め、その弾丸の雨を耐え凌ぐ。 一方でリベリスタたちも戦闘態勢をととのえ終えていた。 カイは遮光を利用して作りだした影をかたわらに控えさせ、ユーフォリアは自身のギアを上げることで全身の反応速度を向上させる。 迷子は流れるように構えを取り、風斗と闇心は全身に破壊の闘気をみなぎらせた。 仲間たちの様子を確認しつつ、敵の動きに警戒しつつ、アキツヅは時間に最大の注意を払っていた。 残り時間そのものにはまだ余裕があるが、今は両班の制限時間が同じであることに注意しなければならない。 先の班が加護を受けもどり、後の班が加護を受けるのに間に合うようにと考えれば……時間はほとんどない。 「……ギリギリって訳にはいかないねぇ」 余裕を考えると次で交替にでるべきだ。余裕と言っても10、20秒程度でしかないが、それだけあれば墜落の危険はぐっと減る。 そのことを仲間たちに連絡すると、風斗とアキツヅは一旦戦場を離脱した。 2機の戦闘機は爆撃機が移動することで射程内に入ってしまうことを警戒しているのか、距離を取ると零六に向かってミサイルを発射する。 零六はひたすら防御を固め、耐え続ける。 その戦闘機の1体に向かって、カイは黒いオーラを具現化させ振りかぶった。 消耗したエネルギーを無限機関によって補充しつつ、オーラの塊をたたきつける。 直撃すれば機関の一部が破損する強烈な一撃を、戦闘機は高速で機体を傾けることでやり過ごした。 迷子の放った斬風脚も、機敏な旋回で回避する。 それを見たユーフォリアと闇心は、敵の動きを窺うように羽ばたきながら、攻撃の機会を探っていく。 白蓮は零六に癒しの符を使いダメージを軽減させることに成功したものの、距離を詰めたために爆 撃機の機銃掃射に巻きこまれ零六とともに傷を負った。 完全な防御態勢を整えた青年に比べ、彼女の受けた負傷は軽いものではない。 白蓮は距離を取り自身の傷を符で癒していく。 戦闘機はさらにミサイルを発射し、零六へとダメージを蓄積させるが、回復の効果も手伝って零六はその攻撃を耐え切った。 弾切れした戦闘機達は、自分たちへと攻撃を行い続けるカイへと標的を変更する。 牽制はこれ以上必要ないと感じた闇心は、ひたすら攻撃のために敵の動きに集中した。 ユーフォリアも攻撃の機会を窺い続け、迷子も攻撃を控え敵の動きを観察する。 その間、繰り返される爆撃機の機銃掃射を零六は耐えつづけた。 そして……機会が訪れ、膠着状態に見えた戦況がいっきに動いた。 ●格闘戦(ドッグファイト) やや上空から機会を窺っていたユーフォリアは、高低差を利用するようにして一気にしかけた。 幻惑するような動きから放たれた鋭い斬撃が、戦闘機の一部を切り裂く。 それを脅威と確認したのか、2体の戦闘機は機銃の標的をユーフォリアへと変更した。 傷ついたユーフォリアに白蓮が近づき、傷癒の符で傷を癒やす。 それに続くように迷子が狙いすました斬風脚を放ち、闇心も大鎌を振るって生み出した真空波を戦闘機に直撃させた。 再付与を終えて到着した風斗も真空波を放つが、こちらは機敏な動きによって回避される。 アキツヅは様子を見つつ防御のオーラを纏いつつ、もう一方の班である3人に時間を連絡した。 白蓮は守護結界を張り直したあと戦場から距離を取り、迷子とカイも離脱する。 メンバーの交替はあったものの、戦法そのものは変わらなかった。 ダメージそのものは決して大きくはないが精度の高い機銃で負傷を蓄積させてくる戦闘機に対し、 リベリスタたちは敵の動きに注視し狙いすました一撃を命中させるという戦法で対抗する。 アキツヅは戦闘よりも的確な時間の判断を優先し、仲間たちに連絡する。 やがて負傷の蓄積した戦闘機は爆撃機に回復してもらうために移動し、爆撃機の胴体部下にドッキングした。 それが、リベリスタたちの待ち望んだ瞬間だった。 援護するようにもう1機が爆撃機の近くにいる零六を牽制するように機銃を発射したが、零六は怯 まず全身のエネルギーを盾状のデスペラードに集中させ、距離を詰めた。 闇心の放った真空波に続くように要塞の名を冠された物質がゴーレムを打ち、更に風斗のデュランダルが炸裂する。 赤い輝きの走る白銀の刀身が、金属のようなエリューションの身体を破壊していく。 直撃はしなかったものの、それらの攻撃は戦闘機を限界まで追い詰めた。 戦闘機は爆撃機の動きを利用するようにして最低限の回避行動を行ってはいるが、その動きは飛行していた時はくらべものにならない。 リベリスタたちが勝手の違う戦場で苦戦するように、戦闘機にとっては何かに固定されているという状態が大幅に動きを制限しているのだろう。 その戦闘機に向かって、ユーフォリアが高速で距離を詰めた。 「あなた達には余り時間を掛けられないですよ~」 のんびりとした口調からは想像もできない圧倒的な速度での多方面からの同時強襲攻撃によって、戦闘機は完全に破壊され行動を停止する。 それを確認した爆撃機が戦闘機への回復行動を中止し、向きを変えながら機体の銃座を稼働させた。 鋼鉄の鳥の5m周囲に弾丸の嵐が吹き荒れる。 嵐はリベリスタ達だけでなく、接近していた戦闘機にも襲いかかった。 直撃は避けたものの被弾した戦闘機はあわてて範囲から離脱し、それを追うように零六以外のリベリスタたちも爆撃機から距離を取る。 アキツヅは皆の負傷を確認すると、仲間たちを癒す福音を空へと響かせた。 負傷や疲労は蓄積し始めてはいるものの、戦いはリベリスタたちの予想した通りに進んでいく。 迷子の炎を纏った一撃が大ダメージを受けドッキングしたもう1体の戦闘機を打ち砕いたのは、それから暫し後の事だった。 距離を詰めた者たちが、ふたたび機銃の洗礼を受け負傷する。 だが、敵は残り1機。爆撃機のみだ。 戦いは最終局面に入ろうとしていた。 ●天を制するもの 「最後まで手は抜きませんよ~」 間の伸びた口調とは裏腹に高速で、チャクラムを手にしたユーフォリアが動く。 迷子も炎を纏わせた一撃をエンジン部分を狙って叩きこんだ。 予想通りというべきか、外見は似ていてもエリューションだけあって行動などへの影響は見られない。 狙いを定めることで結果的に攻撃の威力が下がる可能性を考慮すれば、少なくとも今回は通常通り攻撃した方が良さそうである。 爆撃機に足を置いたユーフォリアに続くようにカイも爆撃機に接近すると、面接着の能力を利用してその巨体にしっかりと足をつけた。 移動による揺れや傾斜を何とかハイバランサーで軽減しながら、オーラで作成した爆弾を爆撃機の胴体部に植え付ける。 激しい爆発が機体を揺らし、反動がカイを負傷させる。 それをこらえ、カイは無限機関を稼働させ作りだしたエネルギーを利用して次の爆弾を生成していく。 「今まで散々好き勝手やってくれやがって、反撃開始だ!」 零六も防御の態勢を解くと破壊の闘気を身体中にみなぎらせた。 到着した風斗もエネルギーを凝縮させたデュランダルを一閃させ、闇心もオーラを纏わせたデスサイズで連続攻撃を仕掛ける。 それに対抗するように、爆撃機は飛行しながらふたたび弾丸の嵐を纏うように機銃掃射を行った。 傷ついた前衛を癒したあとで守護結界の張り替えをおこなっていた白蓮の身体を、無数の弾丸がつらぬく。 限界をこえた身体が動きを止めようとした時だった。 「まだ倒れるわけには……」 切れかけた何かを彼女は懸命につなぎ止め、運命を手繰り寄せる。 アキツヅが全員を範囲に収められるように前進し、福音を響かせながら交代を告げる。 カイは自分はそのまま残ると告げ迷子と白蓮を見送ると、機銃掃射に耐えながら次の爆弾を炸裂させた。 ユーフォリアも傷を追いながら、爆撃機を足場に幻影を生みだす攻撃を加え続ける。 風斗と零六も、闇心も、弾丸の嵐を恐れることなく猛禽の如くに襲いかかり、それぞれの武器を振るい爆撃機の身体を打ち崩していく。 巨大な身体の各所を切り裂かれ、抉られ、歪ませ、爆発を起こしながら、それでもエリューションゴーレムは動きを止めることなく各所の機銃で5m内の空間を地獄へと変貌させる。 「ハハハハハハ!! ここからが本番だろ! 来いよ、飛行要塞! 主人公の意地って奴を拝ませてやるよ!」 銃弾で身体を貫かれながらも、それを意に介さず……むしろ高揚させるための材料にするかのように零六は吼え、武器に籠めた闘気を炸裂させる。 (……あと2回、か) 幾度目かになる福音を響かせたアキツヅは限界が近づいてくるのを認識していた。 だが、そのまえに終わりは訪れた。 ユーフォリアの斬撃とカイが発生させた爆発にゆらいだ爆撃機の胴体に、零六と風斗と闇心の総攻撃が叩きこまれる。 そのあとに訪れるはずの鋼鉄の嵐は……なかった。 断末魔の悲鳴のような音を立てて、爆撃機の胴体が、翼が、歪み、爆発し、切断される。 エリューションゴーレムはそのまま砕けるように、崩れるように……やがて、溶けでもするかのように……崩れ去り、風に舞うようにして消えていく。 投げ出される形になったカイを、ジェットを噴かした零六がキャッチする。 「思い通りのドッグファイトが出来ませんでしたね……真白室長に空中戦用ユニットの申請をしてみましょうかね」 回収してくれた零六に感謝の言葉をのべてから、カイは崩れ消えていくエリューションを見つつ口にした。 「情熱的なデートの記念に機銃とかな」 査収できない、か……崩れていくエリューションを眺めながらアキツヅも呟く。 遠目にその姿を、戦いの終わりを確認した白蓮は、援護を行ってくれたホーリーメイガスの少女と共に仲間たちの許へと近づいた。 「お疲れ様でした、私はお力になれましたでしょうか?」 穏やかに微笑んでから丁寧に一礼すると、戦いの終わった空を一望する。 先程までの戦いがまるで本当にあった事なのかと疑いたくなるほどに……その一帯は、平穏に包まれていた。 ところどころに雲がうかび、彼方には山々や市街地が見える。 穏やかな秋の、一風景。 彼方から響く音に視界を動かせば青空を……エリューションではない、人々を乗せた旅客機がエンジン音を響かせて飛んでいく。 「これからの時代の飛行機など、人を乗せて運ぶものだけで十分じゃ」 誰に言うでもなく呟いた迷子の傍らを、彼女の言葉に応えるように。 寒さを増した秋風が、音をたてて……駆け抜けていった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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