●Ms. おにごっこ 鬼ってなんだろう。ある人は、頭に二本の角の生えた、巻き毛で体が赤く、黄色のパンツをはいて金棒をもっている姿を思い浮かべるかもしれない。あるいは、強大な力や恐ろしさを内包した象徴としてそれを想像するかもしれない。よくわからない、なんて答えもあってしかるべきだろう。 誰もがよく知るあの遊びを『おにごっこ』と呼ぶからには、追いかける鬼はそれを体現しているものであるのだろうけど、子供がそうやって遊ぶ姿を見ると、とてもそうには思えない。彼女もまたそうだった。しかし彼女は別の意味で『鬼』であった。 隠れ鬼、高鬼、氷鬼。彼女は名前に『鬼』のつくごっこ遊びが大好きだった。中でも最もシンプルな『おにごっこ』で、彼女が負けたことは一度もなかった。どんな人間と、どんな場所で、いくら遊ぼうとも、彼女を負かすものは誰もいなかったのだ。鬼であろうと、なかろうと。彼女はいつしか、ただの戯れでしかないはずのこの遊びについて、こう思うようになったのだ。 本気で負けてみたい、と。 それが叶うことはなかった。自分を鬼と勘違いした一台の車が、彼女を捕まえる代わりにひき殺してしまったのだ。ただ、彼女の強すぎた想いは、彼女の形をしてこの世界に取り残されてしまった。おにごっこの『鬼』として そして少女は野原に一人たたずんでいる。誰に危害を加えるでもなく、誰を従えているわけでもなく、ずっとそこにいる。そして誰かが近付いてくると、こう言うのだ。 「ねぇ、おにごっこしましょう?」 気味悪がって逃げるものを追わず、その言葉に同調するものだけを誘い、彼女は遊ぶのだ。 自分を負かすものを望み、その時まで存分に楽しめるように、笑顔を絶やさず。 彼女に、どうしてそんなに鬼ごっこが好きなのか、と訪ねた者がいた。彼女はその言葉に応えず、ただ一言、意味深に言ったのだ。 私が消えるのは、きっと鬼ごっこに負けたときよ、と。 ●その鬼は時に可愛らしく 「はい、自分の足に自慢のあるリベリスタはこっちにいらっしゃい」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の号令に、何事かとリベリスタたちが集まる。 「少女の形をしたE・フォースを捕まえる仕事よ。戦う必要はないわ。捕まえるだけで消えることが分かってる。ただし彼女の決めた『おにごっこ』のルールに従って、ね」 その少女は『おにごっこ』での自分の敗北を欲している。彼女を負かせれば、それで彼女は満足して消滅する。それで任務は完了となる。 「本当に消滅するのか?」 「するはずだけど……彼女が消えなかったり、消えた後にE・フォースとしての実体が現れたりしても倒せばいいだけでしょう? フェーズ1のエリューションである彼女を倒すのは、あなたたちなら雑作もないはず」 できるだけ穏便に済ませましょう、とイヴは告げる。戦わずに済むなら、それに越したことはない。今は危害を加えることが無くても、やがてフェーズが進めば、彼女は本物の『鬼』になってしまうかもしれない。それは必ず避けなければならないのだから。 「いないとは思うけれど」とイヴは前置きしてから、嫌みったらしく続ける。「幼女と遊びたいとかいう不届き物は、進んで参加すればいいんじゃないかしら」 その時、思わず苦笑したものがいたとかいなかったとか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:天夜 薄 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月06日(日)22:00 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●Like an Angel それは嵐の中で静かに佇む天使のようであった。彼女、大平千波は、野原の中心に立ち尽くし、木々の葉の擦れる音、空気が嘆く音を聴く。その音がふと小さくなる。彼女は思わず、辺りを見回す。見えたのは、ゾロゾロとこちらに向かってくる八人の男女。彼女は思わず駆け寄り、問う。 「ねぇ、鬼ごっこしましょう?」 「おぅ、そのつもりで来たんだ」 『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)が威勢良く言う。 「わらわたちと鬼ごっこで勝負なのじゃ!」 『陰陽狂』宵咲 瑠琵(BNE000129)の物言いに、千波はニッコリと笑って返した。楽しんでいるようにも、単なる愛想のようにも見えた。こうして勝負を仕掛けてくる人間は、少なくないのだろうか。 「早速始めましょう! 鬼はどうするの?」 「私たちと貴方で交互にやりましょう」と『深層に眠るアストラルの猫』ウーニャ・タランテラ(BNE000010)が提案する。千波はそれに応じ、初めにリベリスタ、次に千波と交互に鬼を務めることになった。 「私、大平千波っていうの。よろしくね」 千波は礼儀正しく、深々とお辞儀をする。リベリスタたちも自己紹介しつつ、それにつられてお辞儀していった。 「じゃあ、鬼やりたい人はいるっすか?」 一連の挨拶が終わり、制限時間などを取り決めてから、『小さな侵食者』リル・リトル・リトル(BNE001146)は、自身も高々と手を上げつつ提案する。それに乗じて、続々と手が上がる。彼に加えて、『高校生イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)、『月刃』架凪 殊子(BNE002468)、それに『這いずる混豚』オー ク(BNE002740)が立候補する。 「ジャンケンだな」 夏栖斗が呟くと、残りの3人もそれに同意する。そして各々が腕を前に突き出し、掛け声が響く。 「じゃーんけーん、ポイ!」「お、勝ったな」 一人、グーを出した夏栖斗が、嬉しそうに微笑んだ。そして高らかに叫ぶ。 「ほらほら、数えるから散れ! グズグズしてっと捕まえちゃうぜ!」 ●Like a Deamon 近くにあった木で顔を隠しながら夏栖斗は数字を数え、そして終える。振り向くと誰もいない。当たり前だ。わざわざ鬼の前に姿を晒す奴もいない。 「さーて、探しに行きますか!」 夏栖斗は勢い良く駈け出していく。それをウーニャと『イエローシグナル』依代 椿(BNE000728)が、彼のいた木の後ろからひょっこりと顔を出して見ていた。 「……まさか本当に気づかないなんてなぁ」 「意外と盲点だもん、ここ。でもずっとここにいてもつまらないわ」 「それもそうね、体育館にでも行きましょうか」 そうして二人は、談笑しながらその場を離れた。 同じ頃、リルは千波に話しかけつつ、森林地帯をかき分けていた。 「鬼ごっこが強くなる秘訣?」 「そうっス」リルは髪にくっついた葉っぱを払いつつ言う。「そんなに鬼ごっこ強いっスから、何かあるんじゃないっスか?」 千波は少し考えてから、答える。 「ちょっと難しいかも」 「いいっす。何っスか?」 「例えばね……」 千波はすっと後ろに下がる。リルはどうしたのだろう、といぶかり、ふと音がしたので、上を見る。すると上から、夏栖斗が落ちてきた。リルは慌てて彼を避けた。 「こういうこと♪」 千波は言うと、元気よく駆けていった。 「直感か、油断しないことか……どっちにしろ人間の域ではないっスね」 「ダァーッ! 気づかれちまった!」 「頑張って、リルは捕まっちゃったので追えないッス」 「ちくしょう」 夏栖斗は急いで立ち上がり、千波を追う。すでに彼女は米粒のようになっていたが、どうやら体育館の方に向かっているようだった。 「室内に逃げようったって、そうはいかねーぜ!」 夏栖斗は駆け出し、草木を掻き分け、森林地帯を出る。やがて体育館にたどり着き、踏み込む。ガッと体育館のドアを開けると、幕が閉まっているのが見えた。 そこか、と夏栖斗はゆっくりと幕のところにたどり着き、思いっきり引っ張る。そこに女の子の姿があった。 「捕まえた!」と夏栖斗は手を伸ばし、タッチしようとする。その時、誰かが彼女をかばった。ウーニャだった。どうやら後ろにいるのは椿らしい。 「あれ、お前ら、どうしてここに?」 「こっちのセリフ、夏栖斗ちゃんはどうして?」 「ん、千波はこっちに来たはずなんだが」 「来てない……あ、いたわ」 ウーニャが指さした方向を、夏栖斗は見る。ちょうど千波が体育館を出ていき、見えなくなったところだった。 「あれ、どこにいたんだ!?」 「多分あそこの倉庫やな」椿が指した倉庫は、ドアが開いていた。 くっ、と苦い顔をしながら、体育館から出ると、直後にフツから連絡が入る。どうやら彼女はグラウンドに逃げたらしい。夏栖斗は急いでグラウンドに向かう。すると千波を見つけるよりも先に、グラウンドの真ん中で佇む殊子と、ゆっくりと歩くオークの姿が目に入る。殊子はこれ見よがしに手を振り、夏栖斗を呼んでいた。その後ろには千波の姿が見える。ここで一騎打ち、といったところか。 「いいぜ、燃えてきた」 夏栖斗は思いっきり駆け出す。それを見て千波も逃げようと駆ける。広いグラウンドで、彼は一心不乱に千波を追う。少しづつ距離が縮まっていく。たが遊具などの障害物を使ってその距離は一気に離れる。殊子やオークはサポートする気が全くないようだ。もう自分の力でやるしかない。そう思って、彼は障害物を逆に利用し、飛び越えたり潜ったりあえて止まってみたりと、奇襲する。そうしてどんどん距離が近くなる。ラストスパート。そう思って、夏栖斗は足に力を込める。 不意に、千波が足を止める。夏栖斗は驚くがゆっくりと足を止め、捕まえた、と言いかける。その時千波がどこかを指さした。夏栖斗はゆっくりそちらを見る。時計はすでに、制限時間を超えていることを示していた。 ●As a Deamon 鬼が千波に変わる。いーち、にーい、と順に数え、やがて終わる。もーいーかい、という言葉に、返事らしい返事はない。よし、と意気込んで千波は振り向く。そこには、仁王立ちでこちらを向く一人の男の姿があった。 「おーいで!」 次の瞬間、彼の体は呪印封縛により幾重にも縛られ、どこからか現れた殊子により、目にも止まらない速さでボコボコにされた。椿と殊子が、倒れた彼を見下しながら言う。 「戦闘不能は避けた。これに懲りたら、変な気は起こさぬことじゃ」 「全くや。もっと痛い目あっても知らんよ?」 そうして二人は消えた。千波は思わずおろおろとし、辺りを見回す。心配そうに夏栖斗を見、頬をペシペシと叩き、抓ってみる。その時顔が、笑顔になった。 なんだか大丈夫そうなので、千波はその場を後にし、野原に向かった。野原にはオークとリルの姿があった。 「あっしを捕まえに来るたぁ、千波ちゃん度胸あるね!」 「あんたとは限らないっスよ」 二人は口々に言う。千波は駆け出し、オークとリルは二手に分かれる。千波はまずオークを狙った。 「ほらあっしじゃないか」 「はいはい、よかったっスね」 オークは千波を遊具の方に誘導する。千波に捕まらぬ程度にギリギリで逃げつつ、ジャングルジムのところまで来ると、オークは超軟体でタコのように柔らかくなってジャングルジムの穴を通り、その中心に体を持ってくる。その肥満体型では、再び超軟体で抜けださなければ動くことはできないが、それをする暇くらいはあるだろう、そう思って、オークが振り向くと、千波はすでに寸前まで迫っていた。 慌てて体を軟体化し、ジャングルジムを抜け出す。千波もかなりの速度で抜け出し、駆け出したのはほぼ同時であった。しかしその巨体では、子供の足にかなうはずもない。万事休す。 しかしオークの前に、『偶然にも』リルがいた。オークは、リルを盾にして、千波を回避しようとする。 「ちょ、えぇ!?」 「こいつでなンとか、見逃してくれや!」 一目散に走ってくる千波はそんなことを気にせず、二人を捕まえようとする。リルは、ギリギリでオークから逃げ出し、そこにいるのはオークのみとなった。オークは、なすすべなく彼女に捕まった。 「マズイっスね……」 足にはそこそこ自信があるし、逃げるための策もあるリルだが、今のちなみからは逃げられる気がしなかった。背を向けたらすぐに追いつかれる気さえしたが、彼は彼女を見つつ、逃げ出した。後ろから悪魔の走る音がした。彼は寒気を感じつつ、森林地帯へ逃げ込む。そこにはウーニャ、椿、それにフツがいた。彼らは千波の姿を見つけ、身構える。リルはギャロッププレイで、急いで木の上に登った。 「千波、俺と遊ぼうぜ」 フツはきっぱりと言い、挑発する。千波はそれにムッとしたのか、追う対象をリルからフツに変更した。 「おっと、オレの代わりにこの猫が逃げるにゃあ」とフツは肩に乗せた猫を野に放つ。千波は一瞬で了承したのか、その猫を追う。しかし、エリューション化の影響か、千波は猫よりも圧倒的に速く、次の瞬間には猫を抱きかかえられる位置に来ていた。千波は優しくタッチすると、次の標的を探した。すると、木の上でリルとウーニャが一緒にいるのが見えた。千波はそちらに駆け出す。 「え、見つかったの!?」 「しょうがないっスね」 二人は木々を飛び移りつつ、地に下りるチャンスを伺う。そしてふと、千波が視界から消える。 「今っス」「えぇ」 二人は同じ所に飛ぶ。ドサッと着地し、辺りを見回して警戒する。見当たらない。が、その時二人の背中に、ポンと手が置かれた。二人が恐る恐る振り返ると、千波がいた。 「同じ所に降りちゃ、駄目じゃん」 千波は満面の笑みで言ったが、ウーニャの笑顔は引きつっていた。 千波は椿がいた場所を見る。彼女はすでに逃げていた。でも、ここからなら野原に行けば追いつける。そう思って千波は走りだし、森を抜けて野原に出た。椿がちょうど、グラウンドに入っていくのが見えたので、千波もそこに向かう。 グラウンドには椿の他に、瑠琵と殊子もいた。 「遅かったのう」と瑠琵は千波に声をかける。 「他の人を捕まえてたから」 「なんと。何人捕まえたのじゃ?」 「えっと、五人かな」 「残りは私たちだけということだな」 殊子は組んだ腕を崩しながら言う。臨戦態勢というところだろうか。 「まだ三人いる。千波の速さを見せてもらおう!」 その声と同時にちなみは駆け出す。まず向かったのは椿の方だ。しかし隠れることのできないグラウンドでは、彼女は全力でダッシュするしかない。頼みのウーニャも、すでに捕まっている。 「絶体絶命やな!」「そうだね」 振り返ると、千波はすぐ後ろにいた。しかも、振り向いたせいで少し速度が落ち、ますます距離は近くなる。奇襲、と思って不意に曲ってみたが、千波の手が伸びてきて、あえなく捕まった。 千波は振り返る。すると彼女の前に、瑠琵がやってきた。 「次はわらわが相手をしてやろう」 瑠琵は余裕の表情で体を背けると、そのまま逃げ出した。しかしそれほど速いわけではなく、千波はドンドンと距離を詰めた。あと少し、という所で瑠琵は振り向き、千波と相対する。瑠琵は、自身の直感、そして反射神経に任せて、千波の横をすり抜ける。千波は急ブレーキをかけ、振り返り、再び追い始める。再びあと少しという所で、またしても同じ行動を取り、瑠琵は千波を抜き去った。千波は思わず唇をかみ、悔しそうな表情で追いかける。三度、瑠琵は千波の横を抜き去ろうとする。 「二度あることは三度ある」「三度目の正直」 「証明したくば抜いてみせるが良い!」 「もちろん!」 千波は、瑠琵の目を見、相手に合わせて動く。直感、観察が、瑠琵がどの方向にいくかを予測する。右か、左か。どっちだ。瑠琵と呼吸を合わせて、千波は動く。 こっち、だ。 千波はすれ違いざま、瑠琵の体に触れる。それが、捕まえたということだ。 「ふっ……見事じゃ」 瑠琵はその場に座り込む。明らかに、息は上がっていた。 千波は、最後に残った一人、殊子の方を向く。殊子は、時計を指差して言う。 「あと、三分」殊子少し冷たく言う。「それまでに私を捕まえらなければ、念願の『敗北』よ」 殊子はふっと笑う。 「いやなら、捕まえてみなさい!」 「いやだから、絶対捕まえる!」 同時に駆け出す。スピード狂とおにごっこの『鬼』。プライドをかけた追いかけっこ。 少しも差を詰められぬまま、グラウンドを駆け抜け、野原を通過し、森にたどり着く。木々をすり抜けていくも、さすがにここではスピードは落ちる。殊子は面接着を器用に用いて、木を駆け上がる。木々を飛び移り、横目で千波の様子を見る。こちらに向けて走ってはいるが、どうも殊子には自分の降りる場所を測っているようにも見えた。なら、予想外のところに下りよう。 殊子はとっさに振り向いて、千波の後ろに下りる。千波は驚いたがすぐさま方向を変え追いかけ続ける。さっきまで走り抜けた道を逆に戻り、グラウンドに戻る。 殊子がブレーキをかけ、こちらに振り向く。残り十秒。これが最後の勝負。千波はスピードを上げる。八、七、届かないのか、四、三、あと少しなのに一、零。 息を上げながら、千波は膝に手をつく。その声に、明らかに嗚咽のようなものが交じる。温かいものが頬を伝う。あぁ、そうか。 「悔しいのかぇ?」 瑠琵の問いかけに、息を整えてから、うなずく。 「なら、もう一回、やろうぜ?」 フツの提案に、千波は大きく一回うなずいた。 ●Life as Angel 「ダァーッ! 負けた負けた!」 「やっぱり強いな、千波は」 フツが褒めると、千波は照れて頬をかく。三回戦は殊子が鬼だったが、千波は捕まらずに終わった。もちろん、千波以外は全員捕まえた上で、だ。 「うん、ありがとう。これでもう、未練はないよ」 千波は、満面の、嘘偽りのない笑みで言った。リベリスタたちの顔からも、思わず笑顔が溢れる。オークだけは、野原に寝そべり、一人遠くを見つめていた。 「鬼ごっこ、楽しかったぜ。こんなに本気で鬼ごっこするのなんて、久しぶりだった」 「うん、楽しかった」 「ありがとな。楽しかった、絶対今日のことわすれないから」 「うん、忘れない」 その顔に、微かに涙が見えた。それは彼女の光によって、かき消された。淡い光が彼女を包み、次に見えたとき彼女の姿はなく、代わりに青白い火の玉が見えた。次の瞬間、それを椿の魔弾が打ち抜き、やがて跡形もなく消えた。 「あーあ、少し話したかったんだがな」 「せっかくあの子の未練が消えたのに、私たちが未練タラタラじゃ、立つ瀬がないでしょ」 椿は清々しい表情で言った。 「あの子と遊んだ思い出は、永遠っスよ」 リルは遥か遠くの空を見つめて、語りかけた。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|