● なんで一般人ってこうも、脆いの。 守ってあげても、ちょっと攻撃受けただけで弾き飛ぶ。 イライラするイライラするイライラする。 上手くいかない、楽しくない、あああああああああもーーーやだ。 そうだ、こんなことやめよう。 自由に生きるんだ、自由に。 そう、私には『コレ』がある。コレを使いこなせる力がある。 平凡で在り来たりな存在じゃない。 フェイトに愛されている。アーティファクトにも愛されている。 力がある、素晴らしい。 この力は自分のために使うべきよ。 ああ、この素晴らしさをリベリスタに教えてあげたい。 リベリスタ? よくそんなことしていられるね。 ああ、否定してる訳じゃないのよ。 フィクサードやろうが、リベリスタやろうが個々の勝手よ。尊重するわ。 でも私には理解に苦しむのよ。 持った力は自分のものじゃない。 ああ、でもこの考え方じゃ、リベリスタやるのもフィクサードやるのも勝手よね。 あー自分ほんっと馬鹿ね。やだヤダやだヤダ。 なんせ吐き気がするほど命ってのはあるもんね。 そして、考えることはそれぞれ違うもんね。 そうそう、そうよ。 でもね、私達は愛された。 それも世界に。 素晴らしい、素晴らしいわ。素晴らしいことじゃない? 同じ世界に愛された者同士じゃない、仲良くしましょう? え? だめ? なによ、私はただ…… ああ、駄目ね、リベリスタって面倒ね。 リベリスタも全部壊れちゃいなさい。 貴方達にその力は勿体無いわ。 失格なリベリスタは全部断罪してあげる。 ――リベリスタとフィクサードがその夜、戦った。 誰もいない静かな学校の校庭。 口から吐く息は荒く、疲労で倒れてしまいそうだ。 敵の女は強敵だった。 彼女の手に持つ刀は、おそらくアーティファクトだろう。効果はよくわからないが、交戦すればするほど彼女の力が強力になっていった気がする。 だが倒した。 前方には、今しがた変な事を問うてきたその女。 これでこのフィクサードに殺される被害者はいなくなるはず。 骸へ背を向け、その場を去ろうとした、その時。 ――だから、世界に愛されたって言ってるじゃない。 聞こえたのは女の声。そう、女のフェイトは尽きていなかった。 背後を取ったフィクサードは、振り向き際のリベリスタの首を胴体から切断した。 それが最初の一回目。 まず一人、また一人。明日も一人。 幾度と無くリベリスタと遭遇しては、一つ問おう。 ――選ばれた者同士、仲良くしましょう? その返答が納得いかなければ、殺してしまう。 それができる。大丈夫、私は愛されてる。 親米フィクサードは、今しがた狩ってきた首をその手に、次の相手を探している。 増える髑髏は悲しく。笑う彼女の手の中で沈黙するばかり。 ● 今日もリベリスタを見つけた。 夜の道をひたすら歩き、彼等を問い詰めて、追い詰める。 「鬼ごっこもそろそろ終わりですね」 追いかけているのは、小さな小さな少女のリベリスタ。 けれども、もう逃げ場は無く、行き止まり。 壁に背をつけながら、身体を震わせ、泣きそうな可愛らしい顔をこちらに向ける。 これはこれは小さき勇者よ……大丈夫、すぐに殺しはしない。 そっと近づき、少女の髪を鷲掴んだ。そしてその小さな耳に、こう囁く。 「選ばれた者同士、仲良くしましょう?」 ――少女の首は宙へと舞った。 ● 「リベリスタを殺す専門のフィクサードがおりまして」 『未来日記』牧野 杏里(nBNE000211)が話を切り出す。 その顔面は蒼白。また現実離れした血を見てしまったから仕方無いのかもしれない。 「本日から、5日後。とある裏路地でフィクサードがリベリスタを襲います」 そのフィクサードの名前は御金 朔(みかね さく)。 元々はリベリスタだったが、楽しくなかったのか、嫌だったのか……あっさりフィクサードへと転身したとか。原因は多々あるだろうが、一番はその残虐な性格だろう。 「リベリスタ時代にも、人質であった一般人諸共フィクサードを斬ったとか。たまたま神秘を目撃してしまった一般人を細切れになるまで斬ったとか……」 向き不向き、というレベルでは無く、天性的なものからリベリスタでは居られなかったのだろう。 フィクサードの方がその身にしっくりきた。 もうひとつ理由があるとすれば、アーティファクトの影響。 「迷夢の爪……という刀型のアーティファクトです。依存性が強く、持ち主に力を与えるアーティファクトと聞いています。戦闘が快感になるというか……そんな感じの」 危険なアーティファクトに侵された。今回はそれの破壊が目的。 「場所は路地裏です。行き止まりで壁が『コ』の字型になっています」 戦闘するには問題ない。むしろ追い詰めるのには最適な場所だ。 しかし。 「助けられないかもしれない、女の子が……」 予知した夢では、敵は少女を追ってその場所に来るのだ。 追い詰められた少女は少しの間は生かされるが、すぐに殺されていた。 「でも、飽くまでアーティファクトの破壊が優先です、でもでもでも、皆さんなら……!」 信じてる、きっと貴方達ならできる。そう信じて。 貴方達にもひとつ、問われるだろう。 ――選ばれたもの同士、仲良くしましょう? と。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月18日(金)22:29 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●捕まれば終わり 「鬼ごっこしたいの? いいよ、逃げなさいアハハハ!!」 後ろから響く女の声は、有り得ないほど楽しそうなものだった。 逃げる少女はまるで獅子に睨まれた兎の様で、残り少ない体力を頼りに、逃げ込んだのは知らない場所。 運悪くたどり着いたのは行き止まりだった。まさに自らの命も終わり、と悟らせる様に。 壁に背を着けながらも、何処か逃げ道は無いかと首を振るが……それも無く。 迫り来る女の影は、一秒一秒で段々と大きくなってくる。 「鬼ごっこもそろそろ終わり、ね」 女が手に持った赤い刀を空中で一閃した姿を見れば、少女は涙で視界が歪んだ。 けれど――誰か、誰か助けて! と祈った願いは、アークには届いている。 「させません」 剣と刀とがぶつかり合う音が響く。 女が振り落とした刃は少女へと向かったが、『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)がその刀を受け止めたのだ。 「リベリスタです、救出に参りました……」 背後で脅える美祢へリンシードは話しかける。その前方、朔の力が強い。しかし、脚を梃子にしてでもその力に負けず、劣らず。 後ろから『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)が女へと刃を走らせたが、その瞬間に朔が刀で剣を弾き、数歩後ろへと下がる。その反動でリンシードの身体も後ろへとよろけた。 女へはまだ、攻撃が続く。 彼女の後方から気糸が展開、それが彼女を絡めとる。『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)のトラップネストだ。 不機嫌に後ろを見た女がその目にレイチェルを捕える。レイチェルはレイチェルで口から舌を見せ、あたかも女を挑発。 「こんばんは、お姉さん。私達にお付き合いいただけるかしら?」 響いたのは、少女らしい高い声。けれど、その割りには落ち着いていて、大人びいている。 少女と女の間に割って入った『告死の蝶』斬風 糾華(BNE000390)が、無防備にもその身体だけで盾となった。 「あら、リベリスタが増えたわね。いいわぁ、でも邪魔よ。順番ってものがあるでしょう?」 女――御金 朔が、トラップネストの罠の中でもがく。 「いやね、気持ち悪いわ」 気取ってんじゃないわよ。そう付け足しながら、足元から栄える影をその身に纏う。 助かったのだろうかと、頭の中で何度も自問自答を繰り返す少女、三室 美祢。身体は壁の一部になったように硬直しながらも、震えていた。 そんな美祢へ『夢幻の住人』日下禰・真名(BNE000050)が言った。 「災難ねぇ、酷く災難ねぇ」 逃げたいのなら早く逃げろ、手伝うのなら手伝えと。 何度も頭を縦に振りつつも、身体がまだ動いてくれない美祢を余所目に、真名は朔を見た。 自らと似ていて、どうしようもなく狂い、堕ちている。けれど真名は同族嫌悪。似たものであっても容赦なんて無い。 両の手にはめたクローで、朔を襲う。 「小さいわねぇ、実に小さいわ」 気糸で動けない朔へとメガクラッシュを当てると、クローの勢いに押されて朔が後ろへと吹っ飛ぶ。 すぐに体勢を立て直した朔。本来ならば、苦痛で眉のひとつでも動いて良い所なのだが……。 「く、くふ、くふふふふふふああああははははは!!」 空を見上げ、大声で笑い出す。それはアーティファクトの影響か、元々からの本質か。 「いいねぇ! いいわねぇえ!! それそれぇぇえ! ゾクゾクするのぉおっ」 片手で頬を触り、なんとも言えない快楽に浸った顔。凄く美味しいものを食べたかのような、嬉しさに満ちたその顔。 「えらい、アレな人だね」 駆ける『断罪の神翼』東雲 聖(BNE000826)がオートマチックを両手に構える。 銃口を朔へと向け、1$シュートを放ちそれを当てる。せめて朔が逃げる逃走路さえ確保できれば、まずはそれでいい。 そこへ『テクノパティシエ』如月・達哉(BNE001662)の攻撃が続く。 「貴方の行動、お里が知れますね」 救出は仲間に任せたと言いつつも、その行動は間接的には救出の一端となるだろう。 幾重ものピンポイントを織りなし、ピンポイント・スペシャリティを放つ。それが朔の腕という腕へと当たる。 その腕さえ落としてしまえば、武器も手放すだろう。少しずつでも削っていかなければならない。 「育ちなんてどーでもいいのよ、大切なのは今と先でしょう?」 朔がピンポイント・スペシャリティで貫かれた腕を舐めながらも、その顔は壊れた笑顔が見えている。 「取り付かれましたか。哀れですな」 『超重型魔法少女』黒金 豪蔵(BNE003106)がマナサイクルをその身に宿しつつ漏らす。 豪蔵は朔へ、哀れみを感じていた。けれど今は目の前の敵を倒すのが先決。 ようやく走り出したのは美祢。 小さな身体に、小さな歩幅で必死に地面を蹴りながら壁とは反対の方向へと走る。 途中で気糸によって動けない朔とすれ違ったが、彼女を見ることは無い。それでもまだ朔の射程距離圏内。 逃げ出すには、もう10秒欲しい所やもしれない。 万華鏡にて下された、生存運命の10秒は過ぎた。問題は次から。時は待ってはくれない。 ●夢に魅入られて ハイスピードを発動後、走り出した美祢を追うかの様に、リンシードが戦線離脱する美祢と朔の間に入る。 「此処から先へは、通しませんのでそのつもりで……」 そのリンシードの言葉を聞いた朔が、獲物を逃がしたのに少々腹をたてたのか舌打ちした。 「やーねぇ、私はただ同じ選ばれし者として、仲間としてお話したいだけなのよぉー?」 けれども気に入らなければ殺す。あえてそこまでは言わない朔。 すかさず舞姫がソニックエッジを放ち、それを朔へと当てた。 続いた糾華が高速で朔に接近。 「貴女も、私も、ただの殺人者でしか無いわ。気づきなさい」 手にした荊棘姫が朔へと死の刻印を刻む。 「ふふ、芸術の様な殺人さえ可能。素晴らしいと思わない?」 その言葉に糾華は耳を貸さない。瞳に捕えるのは、ただの哀れなフィクサード。 朔が手に持つ迷夢の爪が唸る。今しがた糾華が放ったメルティーキスを、それ以上の威力で糾華へと返すために。 「ふふ、仲間同士、痛み分けでもしましょうか?」 迷夢の爪が糾華へと刻印をつける。 だがそれだけでは終わらない。面倒だからという名目でダンシングリッパーを放つ。 「ねえ、貴方達。選ばれた者同士仲良くしましょう?」 切り裂き、舞う鮮血。リンシードや真名を始めとし、前衛を巻き込んでは血色に迷夢の爪を染めていった。 リベリスタが絶えず攻撃をする中で、少し遅れて動き出した『宵闇の燐刃』クリス・ハーシェル(BNE001882)。 集中し、そこから発揮されるはライアークラウン。 「お前の罪、今ここで代償を払うといい」 不吉の象徴のような、死神の絵飾ったカードが朔へと当たる。かすりそうでもあったが、ギリギリのラインでそれが命中。 今まで受けた攻撃分だけ上昇していた朔の耐久力が、風船を割るかの如くに消えていった。 「いくらアーティファクトに魅入られていようが、行なった罪はお前の罪だ」 「罪? 罰? そんなのヒトが我が身可愛さに勝手に作った様なものじゃない?」 たかが、防御を振り出しに戻したからなんだ、と笑う朔。その瞳は汚れきっている。 そこへ『深青』マルグリット・コルベール(BNE001151)が屋根から飛び降りて介入。 「もー、我慢できない!!!」 叫んだマルグリットがデスサイズを振り上げる。 美祢も依頼も正直どうでもいい。今、此処にいるのは目の前の朔を殺し上げるためだけ。 本当は人を血祭りにあげたい。 絶叫を奏でたい。 そんな彼女の内なる欲求は日々抑えてきたものの、目の前のフィクサードはどうだろうか。 ただ、己の欲望に忠実にやりたいことをやっているではないか。マルグリットにとってはなんて妬ましく、羨ましい行為か。それが許せない。許せなくて、仕事という名の名目で欲求を解消しに来た。 振りかぶったデスサイズは、月明かりに不気味に煌めく。 吊り上がる口端が物語るように、振り切ったデスサイズから鎌鼬が放たれ朔へと向かい、当たる。 朔の胴が1本の直線で裂け目ができ、そこから血が溢れた。 「あ、ふぁ?」 朔が胴へと手を回せば、手にはねっとりと血が滴る。 「いいね……それ、いいいいいいねええええ!!!!!」 己の血を舐めとりつつ、再び耐久力には迷夢の爪の影響が出る。 朔にとって痛みは快感へと。 痛みの分からない彼女は、更に凶器に走る。 一方、豪蔵がブレイクフィアーを放とうとガードロッドを取り出した。 ……と思いきや、その雄々しい筋肉質な身体でポージングし始めた。なんという空気ブレイカー。 「皆々様、今その出血を止めますぞ! ふんぬっ!」 服だけ見れば魔法少女だが、その筋肉のせいで切れんばかりにぱつんぱつん。視覚的には本当になんとも言い難いその姿で、かつ……いやこれ以上は想像にお任せする。 さておき、ブレイクフィアーは味方へと行き渡る。出血が止まるのも時間の問題という所か。 ●塵は積もってこぼれ落ち ブレイクというのも、クリーンヒットさせないと発動しない。ナイトクリークとして戦ってきた朔には擦る攻撃が多く、その防御は募るばかり。 「あはっ」 笑うのは朔。その足元でついにリンシードが崩れた。その朔の口には今しがた吸血した血が滴るばかり。 更に動き出してはダンシングリッパーで前衛をなぎ払っていく。 「ふふ、鮮血に染まる貴方達、素敵じゃなぁい?」 「あーもー! 悪趣味!」 聖が後衛から再びオートマチックを構える。 「そういや、さっきの質問の答えだけど、世界と相思相愛なもんで無理!」 集中を織り交ぜた1$シュートを放ち、朔の腕へと当てる。 残念ねとでも言わんばかりに、朔の眉間にしわが寄る。きっと彼女の質問の答えは、リベリスタ誰もが彼女の欲しい答えを持ってはいない。それは分かりきっていた。 けれどそれが彼女にとっては遺憾。 「どぉいつもこいつも……!!!」 狂気の塊。彼女は止まらない。 出血は豪蔵が止めるとしても、回復が追いつかない。 ブレイクを持つクリスが回復に回れば、朔の防御は重ねられていく。攻撃を受ける彼女の悦楽は絶頂近く、迷夢の爪の凶悪さが物語っている。 「貴方達全員駄目ねぇ、息あががってきてるじゃない」 もっと身体を傷つけてみなさいと、両手を広げる朔。 「あらぁ? いいのぉ?」 レイチェルの神気閃光後に動いた真名が吸血を朔へと。噛みちぎられた傷跡に喘ぐ朔は悦楽に浸って、目が虚ろだ。 迷夢の爪刀身が月明かりに赤く映える。 作り出したライアークラウンを豪蔵へと被せ、マナサイクルの加護を弾く。 そして振り返って再びメルティーキスを糾華へと放てば、糾華の身体から光りが零れてフェイトが消えた。 状況は、苦戦。 それでも諦めないリベリスタは攻撃をその朔の腕へと集中させる。 マルグリットが鎌鼬を放ち、聖の1$シュートが、達哉のピンポイント・スペシャリティがその腕を捕えるが、一歩足りず。 「粋がってんじゃないわよ! リベリスタァア!!」 怒り混じりに放つダンシングリッパーが真名のフェイトを吸い取っていった。 そうして、また1人。また1人と、倒れていく。 ●彼女の涙 「飽きてきちゃったわ」 リベリスタ達の体力は限界近い。フェイトさえ飛ばした者も数は少なくは無い。 本来、美祢を殺すためにそこにいた彼女。既に美祢がいない時点で彼女がここに留まる理由もない。 「そんなに弱いのなら、世界を滅ぼす前に……いえ、なんでもないわね」 リベリスタ達へ背中を向けた朔は、先を塞いでいる壁とは逆の方向へと歩き始めた。 「何故、リベリスタになったか? という質問だったな……」 達哉が最後の力を振り絞って立ち上がる。ショルダーキーボードを両手で持ち、なおも攻撃を仕掛けようと。 「娘を持つ、リベリスタだからさ」 娘の安全に生活できる状況を提供するのが、父親の勤め。 此処でその一端を逃がしてしまうのは、その娘への危険である可能性が消えないということ。 だから、逃がす訳にはいかない。放つのは、ピンポイント。 気糸が伸びて、伸びて、朔の片腕へと当たる。その瞬間、朔の腕から迷夢の爪が弾けて飛んだ。目を丸くして、その刀が地面に落ちるのを朔は見ていた。まさかここまで負担をかけていたとは思わなかったのだろう。 だが、達哉の体力も限界に近く、精神力も切れ切れ。更には、動ける者もおらず。 「なるほどね、リベリスタ。面白いわねぇ、ほんっとに」 そう言いながらも、前方へと飛んだ迷夢の爪を拾い上げた朔。 「今日の鬼ごっこは、これでオシマイとしましょう」 そして歩きだし、刃を向けた先は達哉へと――その攻撃は、ギャロッププレイ。 残ったのは傷ついたリベリスタ達だけ。響いたのは、地面を蹴りながら必死に走る音。 何度も迷った。戻って自分に何ができるか分からない。けれども、助けられて恩を返さずに逃げる自分が嫌だった。 そう、美祢が戻ってきたのだ。 冷たい地面に倒れるリベリスタ達を見て、涙が溢れて止まらなかった。 「ありがとう、ありがとう」 紡いだのは天使の歌を、たった1回。 彼女にはそれしか精神力が残っていなかったけれど、必死に、一生懸命奏でてみせた。 路地裏には、冷たい風が過ぎ去っていくだけ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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