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【三高平de運動会】合戦!騎馬戦!大決戦!~秋の陣~

●ヤァヤァ我こそは
 秋色、黄土色に荒れた野原。
 吹き抜けるは一陣の乾き風。
 立つは勇猛な騎馬が四。
 秋色、赤い木の葉を踏み締めて。駆け抜けるは四刃、風の如く。
 彷徨うはただ敵を渇望して。

 ――いざ、推して参る!!

●よろしいならば騎馬戦だ
「騎馬戦の秋ですぞ、皆々様!」
 そう言って特注の事務椅子をくるんと回し颯爽と振り返ったのは『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE00209)。
 フォーチュナとは思えない凶悪なニヤニヤ面で(騎馬戦の秋……?)と眉根を寄せるリベリスタ一同を咽の奥でくつくつ笑いながら見渡すや、
「今回は騎馬を組んで戦って頂く事になるでしょーな。……と言うのは、今回の敵が――」
 無骨な機械の手を伸ばしモニターを操作する。
 かくして映し出されたのは――武者の騎馬が二つ。馬に乗った武者ではなく、運動会でお馴染みの競技『騎馬戦』のあの騎馬を組んだ状態の武者だった。
 何だこりゃ。思わずフォーチュナへ目を遣ると、メルクリィは「まぁ焦らずに」と言わんばかりのマイペースな物言いで説明を始めた。
「E・フォースフェーズ2『騎馬戦武者』。四体のE・フォースが一組になった摩訶不思議奇々怪々なエリューションですな。御覧の通り数は二騎です。
 詳しいデータはそこに纏めときましたんで、じーっくりガーッチリ読んで頂ければ嬉しく思いますぞ。
 サテこの『騎馬戦武者』ですが、神秘の障壁を作り出しておりまして。
 な~んと! 皆々様が攻める時、騎馬を組んだ状態で攻撃しないと如何なる攻撃技も殆ど効果がない上に状態異常も無効なのですよ!
 つまりこちらも騎馬を組まないとマトモに戦えませんぞ」
 抜け道をあの手この手で探すより、真っ向から騎馬った方が宜しいかと。事務椅子をゆらゆらさせながらメルクリィが言った言葉にリベリスタは唖然呆然とする他に無かった。誰もが顔を見合わせ、目をぱちくりさせている。
 そしてフォーチュナと言えば――彼らのリアクションが楽しいようだ。いつもよりニヤニヤが二割り増しな気がする。
 全く、このお気楽野郎め。
「フフ、まぁそうピリピリしなさんな皆々様。お肌荒れますぞ。
 ……サテ、騎馬を組んだら普通に攻撃や状態異常技も効きますんでご安心を。
 普通に考えたら四人一組で二チームできるかと思います。誰がどのチーム、どのポジションなのかしっかり話し合って決めといて下さいね。
 騎馬戦状態でフレアバーストするも良し、ギガクラするも良し、業炎撃するも良し。天使の歌るなり呪印封縛するなりトラップネストするなり戦略は無限大ですぞー。その辺は皆々様にお任せ致します。
 ただし! 騎馬役の方は当たり前ですが手は使えませんぞ。手を離したら四人諸共グシャー、ですからな。まぁマジックアローやシャドウサーウ゛ァントみたいな手を使わないモノや頭突き唾かけ含み針、バランス崩れる危険性がありますが蹴りなんかは大丈夫かと思いますが」
 まっ、皆々様に任せます。非戦闘員であるフォーチュナは自分より現地で戦うリベリスタ達の方が戦略的な事に優れている事を知っている。知っているし、その無限大な未知数を果てしなく評価――同時に期待しているのだ。
 その間にもメルクリィはモニターを操り、画面上にだだっ広い空き地を映し出す。
「今回の戦場はこの空き地ですぞ。……ま、ちんまい雑草ぐらいしか無いですな。
 時間帯は夕方。やや薄暗いですが戦闘に問題はないでしょーな。一般人は来ないかと。
 ――以上で説明はお終いです。宜しいですか?」
 メルクリィはリベリスタを見渡した。彼らが頷いたのを確認すると――ニッコリ、笑う。
「それじゃ皆々様、お気を付けて!
 ファイト一発フェイト激烈ですぞー。」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ガンマ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月26日(水)22:38
●目的
 E・フォースフェーズ2『騎馬戦武者』×2の討伐

●登場
E・フォースフェーズ2『騎馬戦武者』
 甲冑武者が四人一組で騎馬を組んだE・フォース達。息ピッタリ
 神秘の障壁を纏っており、騎馬を組んだ状態で攻撃しないと如何なる攻撃技も補助技も効果がない
 主な戦法:
 騎手・剛腕を武器に戦う近距離ファイター
 騎馬:先頭・石頭を武器に戦う近距離ファイター。強烈な頭突きには希にショックが伴う場合がある
 騎馬:右翼・魔術で戦う遠距離ファイター。魔術の矢を飛ばして攻撃する
 騎馬:左翼・魔術で戦う遠距離ファイター。魔術の矢を飛ばして攻撃する

●場所
 荒れた空き地。乾いた固い砂地で枯れた草がちらほらとある。かなり広い
 時間帯は夕方。やや薄暗いが戦闘に問題はない
 一般人は来ないだろう

●その他
 騎馬戦武者は既に空き地にいます
 プレイングにはどのチームのどのポジションなのか必ず記入して下さい。
 相談期間は7日です

●STより
 食欲の秋、読書の秋、合戦の秋。こんにちはガンマです
 騎馬組み推奨です。
 皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
インヤンマスター
四条・理央(BNE000319)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
デュランダル
ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)
ホーリーメイガス
雛月 雪菜(BNE002865)
デュランダル
飛鳥 零児(BNE003014)
クリミナルスタア
熊鼠 弁慶(BNE003098)

●選手入場
 夕紅、嗚呼今日も今日とて日が沈む。
 乾いた荒野、砂利を踏み締め立つは八人。
 吹き抜ける風、仁王立ちで待ち受けるのもまた八人。

「運動会に騎馬戦は付き物だし、つかみ合いの戦いは楽し
いけど。
 ……武者って! 武者ってなんだよ!? お前らの時代に騎馬戦ないだろ! 馬どこやったんだよ!」
 そっちが武者ならこっちは学生らしい服装で、と体操服に白鉢巻の『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)は待ち受ける異形に対し突っ込まざるを得なかった。
「そもそも……武者が何故……騎馬戦を……するのか。普通に……馬に乗れば……良いのに」
 そのモヤモヤはエリス・トワイニング(BNE002382)にとっても同じらしい。
「騎馬戦で……E・フォースと……戦う。貴重だけれど……やっぱり、変な体験」
「……まあE・フォースだし、常識が通用しないのはいつものことだよね!」
 そういう事にしておこう。取り敢えず今は目の前の勝負だ――明奈は気合い十分に拳を己の掌に打ち付け、エリスはマナコントロールによって周囲に存在するマナを自らの体に取り込み己が魔力を高めてゆく。
 その最中、エリスは思う――精一杯頑張るつもりなのだが、騎馬の身長差についてバランス悪そうだ、と。

 エリスはかなり低い。
 明奈はやや高い。
 そしてもう一人、騎馬の一員である『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は普通。

 守護結界の印を結んでいたフツとエリスの目が合った。「頑張ろうな!」と笑いかける彼にエリスは小さく頷いた。
「そういえば、丁度運動会の季節でしたか。その影響で誕生したエリューションなのでしょうか?」
 戦いが関わらなければこの邂逅も楽しめたのだろう。着々と騎馬戦の準備をしてゆく最中『優しき白』雛月 雪菜(BNE002865)は思う。答えは誰にも分からない――翼の加護を皆に授ける。
「スポーツの秋とよく言うが、エリューションと騎馬戦をするとは、正に予想の斜めを上を行く依頼だぜ!」
 肩を回して『酔いどれ獣戦車』ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)敢然と表情を笑ませた。
 騎馬戦をしないと倒せないとはちょっと厄介で面倒だが、自分はアークのリベリスタ。そして生粋の喧嘩屋。
 受けた仕事はきっちりこなすし、売られた喧嘩はきっちり買おう。

「燃え上がれ、俺の闘気!」

  いつもの定番、爆砕戦気。破壊的な闘気が全身に満ちる。
(って、どちらかというとこういう状況だと足回りや防御力が上がるほうが便利なんだよな。
 まあ、無いものねだりしても出来ないものは出来ないし……)
 出来る範囲でやっていくしかないな。仲間達と協力して騎馬を組む。

 出来上がるのは二騎の騎馬。AとB、予めしっかりと決めておいたチーム。

「人で組む騎馬武者とはちょっと意表突かれたかも」
 Bチーム騎馬の先頭役、四条・理央(BNE000319)は薄く苦笑めいたものを浮かべた。
(ともあれ、エリューションである以上は対処しないとね)
 今回の戦闘は手が使えない。ので、インヤンマスターである彼女にとってやや不便が生じる。
 しかしその不便を『不便』のままにしておく理央ではない。
 ちょっと恥ずかしいけれど……大きく開けた胸元。その豊かな谷間に挟んだ術符。これで符を咥えて使用できる。

 『脱ぐとすごい』はダテじゃない。

「忍に生まれはや10年、武将の真似事をするとは思いもよらず」
 騎手役の『屋根裏忍者』熊鼠 弁慶(BNE003098)は襟巻を夕風に靡かせ、呟く。そして徐に襟巻から『彼氏』を取り出した。
「さて、菊千代殿は下がっていて下され」
 愛おしむ様に恋人、否、恋ヤモリを一撫ですると弁慶は襟巻の中に菊千代を避難させた。
「武士として未練があったのか、騎馬戦への憧れか……」
 詳しいことはわからないが出来るだけ希望に沿ってやりたい。弁慶と同じく騎手役である『半人前』飛鳥 零児(BNE003014)は騎馬役の仲間に指示して数歩分だけ前進するやバスタードソードを掲げ――その身に闘気を爆砕させる。

「やあやあ、吾こそはアークのリベリスタ、飛鳥零児なり!」

 赤く輝かせる右目は鋭く騎馬戦武者を見据えて。
 応える様に武者達も双眸に闘志を滾らせて前に出た。

「いざ――尋常に勝負!」

 弁慶の凄まじい手裏剣の早投げを切欠に、合戦の火蓋が切って落とされた。

●合戦!
 Aチームは零児、明奈、エリス、フツ。
 Bチームは弁慶、理央、雪菜、ディートリッヒ。
 作戦は、一対一。
 足下をちゃんと踏み締められる様にと安全靴を装備したり、翼の加護やハイバランサー・シンクロの発動をしている騎馬役の者達の足並みには些細な乱れすら無い。「突っ込むぞ!」「突撃でゴザル!」という騎手達の指示通りに動く。
(安全靴……これで、間違えて……相手の足を思いっきり踏んでも……大丈夫?)
 そもそも踏めるかどうか。なんて思いつつエリスは息ピッタリに吶喊してくる武者達を見据えた。
 その両翼の者が何やら呪文を唱える。構築される魔術の矢。
「来るぞっ!」
 フツはすぐさま仲間達に注意を呼び掛けるや、両方の肩口に束ねて括り付けておいた術符を一枚咥えて取り出した。
 同じ陰陽師である理央とはまた異なる『手を使わない』工夫だ。
 自らの唾液を用いて符術に命令を送る。現れた鴉は真っ直ぐに飛び――それと同時、エリスの詠唱によって展開された魔法陣からも魔力の矢が空を貫いた。

 それぞれの攻撃が中空でぶつかり合い、炸裂する。

「お主らの相手は拙者らにゴザル!」
 弁慶は自分を狙って放たれた魔術の矢を素早く躱すや、お返しにバウンティショット手裏剣を自分達の担当である武者達へ投げ付ける。アクションをとってもハイバランサーによって彼女の体がぐらつく事は無い。
 陰陽・刀儀によって自己強化を済ませた理央は谷間から鴉の術符を取り出した。雪菜も厳然たる聖なる光で相手を怯ませ援護する。

「どりゃぁあーーー!!」
 接触の瞬間。Aチーム先頭の明奈がヘビーレガースで武装した脚を大きく振り上げた。
 魔落の鉄槌。神聖な力を秘めた一撃。
「オォォオオオ!!」
 先頭の武者は石頭による強烈な頭突きでそれを迎え撃った。
 ゴキンッ、と堅い物同士がぶつかり合う鈍い音がする。
 上等だ。睨み合い、蹴りと頭突きの大合戦が始まった――それはBチームでも、同じ。

「モ○メド・○リの苦しみを思い知れーーッ!!」

 ディートリッヒのローキックが唸る!唸る!
 こいつぁ唯のローキックじゃねぇ!メガクラッシュならぬメガローキックだーッ!
(武者さん達がそれを知っているのでしょうか……)
 なんて雪菜は思ったが、まぁとても楽しそうなので黙っておこう。その矢先だった。
「武者達は多分それ知らないと思うよ」
 ズバッと理央が言う。言っちゃった!と雪菜は思い、ディートリッヒはハッとした。
 そこで弁慶から「回復してでゴザル~!」とSOSが飛んで来たのでBチームの騎馬達は気を取り直して行動を再開する。

「俺も頑張らねぇとな……!」
 Bチームの様子を横目に、零児は敵騎手の拳を受けて血の滲んだ口角を持ち上げた。
 騎馬戦で騎手の心構えは下を信頼する事。それでこそ一体となって動けるというものだ。
 幸い騎馬には守りに回復、援護に長けた者が揃ってる――ならば。
「俺は攻撃に専念するまでさ――完全にな!!」
 振り上げる剣。纏う雷。その身を焼く火花に一層右目を光らせて。
 敵騎手がさせるまいと拳を振るう。が、零児はバランスを崩さぬ為にも無理に回避はせずそれを受けると、攻撃後で隙だらけな騎手へ渾身のギガクラッシュを叩き付けた。
「……!」
 武者の体が揺らぐ。騎馬達が咄嗟に飛び退いて間合いを取る。
 その間にエリスは天使の歌を響かせ、明奈は自らのショックをブレイクフィアーで回復し、フツは傷癒術の符を咥えて取り出した。
「逃がすか! 行くぞ皆、一気に追い詰めるッ」
 零児の指示に皆が応と答える。武者の騎手も激戦を楽しむかの様にニヤリと笑うと言い放った――突撃、と。

「こちとら女子高生だ! 運動会の種目で負けてたまるかっ!」

 夕日にヘビーレガースを輝かせ、瞳に闘気を燃やして。
 明奈は全身の膂力を滾らせて思い切り前蹴りを繰り出した。狙いは――先頭騎馬の股間。
「!!」
 はぅアッ、と形容すべき苦悶の表情。
 E・フォースとは言え男だよな。ニヤ~と笑う明奈。そのままその足を容赦なく踏みつける。繰り出される頭突きを受け止めて、その頭に噛み付いた。
 何でもアリだ。凄まじいまでの勝利への執念だ。

「ワタシに反則なんて存在しない!」

 明奈さんマジ男前。
 その直後、エリスのアホ毛がピコンと揺れた。
「左に 飛んで……!」
 超直観が告げた事をそのまま声にする。指示を受けた明奈は攻撃(という名の金的キック)を急遽キャンセルして左へ飛び、フツも仲間達とシンクロして対応する。翼の加護のお陰で足取りは軽く、バランスが崩れる事も無い。
 そして誰にも当たらず空を裂いて行ったのは、敵騎馬が放った二本の矢。騎馬の足を狙って放たれたそれに直撃していたら、体勢が崩れていたかもしれない。
 ならばもう一度と、敵騎の両翼が矢を作り出した。
 その同時。フツの口から紡がれる呪文。
 縷々と流れる言霊は仲間達を分け隔てなく護る結界となり、放たれた矢を堅く弾く。
 
「印(イン)は言(ゲン)に通ずるからな。指で印を組むのも呪言を唱えるのも同じ事だ」

 それは手による印ではなく、言葉による印。
 気を引き締め直し、Aチームの騎馬は敵騎を見澄ました。

 一方のBチームも激戦の真っ只中である。
 弁慶が投げ付けた手裏剣を躱した武者が握り固めた剛腕を振り上げた。
「ムム! そうはいかんでゴザル」
 忍者に無駄な動きは不要、と紙一重で攻撃を見切って回避する。が、強力な一撃を既に何発か貰っている所為か全身が痛い。
 うぐ、と呻いた。その瞬間に体当たりされ、騎馬ごと大きく後退する。息を合わせ崩す事は許さなかった事が幸いか。
『……左翼のディートリッヒ殿を庇って欲しいでゴザル』
 騎馬を見渡した弁慶は素早くハイテレパスによって仲間達に指示をした。矢の集中攻撃を受け、傷の具合が一番酷いディートリッヒを後方へ庇う体勢となる。
 その最中、理央と雪菜は既に詠唱を開始していた。
 清らかなる存在に呼びかける詠唱。かくして仲間達を包んだのは奇跡の福音、癒しの願い。

「そう簡単に、崩れさせはしませんよ。皆さん、頑張って……!」

 雪菜が皆を励ます。誰一人倒れさせないよ、と戦闘不能者を出さない事が最優先である理央も薄笑みを浮かべた。
「本来なら盾を掲げてって所なんだけどね?」
 だが、今は正に『一心同体』で行動する時。何をするのでもタイミングを合わせねば上手くいかない。
 息を合わせ声を掛け合い、弁慶の指示の下に吶喊する。

「エリューションとのスポーツで負けたとあっちゃ、男の名折れだ!」

 すっかり全快したディートリッヒは全身のエネルギーを脚のみに集中させた。ローキック一閃、敵騎馬のバランスが大きく崩れる。
 差し向けられる敵騎の矢。しかしそれは雪菜の神気閃光が焼き払い、更に追い討ちと言わんばかりに敵騎を強く焼き圧した。
「グ……!」
 意識を揺さぶるショックに武者の狙いは定まらない。敵騎の頭突きを容易く躱した理央は谷間から術符を一枚咥え出すや、術力の鴉を召還した。
 それは騎馬の足を的確に射抜く。
 更に崩れる敵騎のバランス――そして、騎手の首を貫いたのは弁慶のバウンティショットだった。

 断末魔、頽れる騎馬。

「敵将、討ち取ったりー!」

 凛々堂々と手を掲げ、勝利の声を響かせた。
 その声はAチームの面々にも届く。
 負けてられないな、と――放たれた拳を右手を楯に受け止めて零児は思う。
 エリスとフツによって回復、支援は万全。明奈も「ワタシの辞書に反則も反省も無いッ!」と相変わらずあの手この手(正確にはあの脚この脚だが)で猛攻を繰り広げている。
 徐々に圧している。が、油断してはいけない。エリスの天使の息によって傷を治しつつ零児は剣を握り直した。
「騎手が倒れるわけにはいかないからな」
 全身のエネルギーを武器のみに集中させてゆく。光り輝くのは刃、赤い右目。
 最中、頭突きを喰らって頭が仰け反った明奈がそのまま反動を付けて頭突きをやり返した。直後にエリスのマジックアロー、フツの式符・鴉が先頭騎馬へ集中砲火を浴びせる。
 大きくぐらつく敵騎。
 お陰で零児はたっぷり集中する事が出来た。

「――落ちろ!!」

 一閃。メガクラッシュ。
 切り裂かれた武者は断末魔と共に――崩れ落ちる。
「騎馬戦で落馬は当然敗北だよな?」
 ニヤリと笑った。それから、勝利の証として剣を天に掲げる。

●選手退場
 夜がどんどん近付いてくる。暗くなってゆく。
「皆お疲れ様、ありがとう」
 騎馬から降りた零児は真っ先に仲間達へ感謝の言葉を述べた。
 フツは笑ってそれに応え、明奈も微笑んで……ふと、仲間達を見渡して呟く。
「……学園で運動会やりたいなあ」
 いずれそういうイベントがあると信じてる。イベントや日常を楽しみたい、彼女だって列記とした女子高生なのだ。
「お疲れ様でゴザルー」
「うん、お疲れ様」
 Bチームも互いを労い合う。たまにはこういうのもいいもんだ、とディートリッヒは伸びをした。

 一方、エリスの手にはいつの間にか武者の兜が。
(メルクリィさんへ……お土産にしよう……)
 きっと似合う事だろう。小脇にしっかり抱えた。

 任務が終わったのであれば、後は早急に撤退するのみ。
 だが――雪菜は半ば消えかかっているE・フォース達の傍にしゃがみ込んだ。
(これが、本当の運動会などでしたら、お互いの健闘を称えてハチマキの交換などをするのでしょうが……)
 なんて思った矢先。武者が一人、雪菜へ向いた――満足そうな表情を浮かべて。
 その手に鉢巻を持ち、彼女へ差し出しながら。
 雪菜はニッコリ微笑んで頷いた。自らのリボンを解いて武者に差し出し、自分は鉢巻を受け取る。
「楽しかったよ」
「えぇ、私も。」
 リボンを手に、武者は静かに目を閉じた。
 見届けた彼女は静かに立ち上がる。

 やがて夜となり、風が吹き抜けるそこには完全な静寂が訪れる。



『了』

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
メルクリィ:
「皆々様、熱~い合戦お疲れ様です! 恰好良かったですぞ~。
 ……えっ お、お土産? 私にですか!? わぁありがとうございます!」
 (早速装備)
 (ドヤァ……)
「あ、えっと! お疲れ様でした、ゆっくり休んで体の疲れを取って下さいね! ワはーイ」

 だそうです。お疲れ様でした!
 如何だったでしょうか。

 とても楽しく執筆出来ました……!
 手が使えない、という不便に対する皆様の工夫には感心致しました。
 熱いプレイングをありがとうございます!
 そしてまさかのメルクリィへお土産まで……相当嬉しいそうです。

 アイテムは雪菜さんへ。この熱き戦いを忘れないで頂けると幸いです。

 これからの依頼も頑張って下さいね。
 お疲れ様でした、ご参加ありがとうございました!

===================
レアドロップ:『汗と氣合と友情の鉢巻』
カテゴリ:アクセサリー
取得者:雛月 雪菜(BNE002865)