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<シンヤ逆撃>復讐は真名を得たりて

●決戦(表)
 ジャック・ザ・リッパーによる衝撃的な事件、後宮シンヤを主導とした大規模虐殺事件の頻発……これらの事態は、リベリスタのみならずフィクサード達に対しても少なからず影を落とす結果となった。
 対応に負われる最中、アークに対し情報提供を申し出たのは千堂 遼一を擁するフィクサード組織『恐山会』。
 シンヤの兵隊を一人でも多く減らすために、そして――仲間のために。
 戦いは再び幕を上げる。

「先ず、千堂 遼一との話し合いに参加された方々はお疲れ様でした。無事に協定が締結され、アークは彼を経由してシンヤの元上司、『剣林』からそのアジトの目星を付けられました。フォーチュナ総動員下でカレイド・システムの集中運用を行った結果、幾つか実働下にあるアジトを突き止められました」
『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000201)の背後には、展開された地図と幾つかの光点が示されてあった。それらが全てアジトらしき地点だとすれば、複数のチームが動く事態となっていることは確かだ。続けて、彼の操作により一点がクローズアップされ、その俯瞰CGが投影された。多人数で戦うには決して広くはないし、奇襲にも強い構造であることだけは理解できる。

「君達が向かう先は、この地点です。任務はその戦力の漸減、つまりはこの地点の完全無力化にあります。――その生死を問いません。全員を、確実に、無力化して下さい」
 その声に熱はない。押し殺した感情の奥底は、瞳が何より語っていた。

●復讐劇(裏)
「……こんな形で、また組織じみた奴らと組むことになるとはな。予想外だった」
 先般の混乱に乗じて虐殺を目論んだフィクサードの一人、充井 重久は深々とため息を吐き、天井を見上げた。
 あの時、九重と黒塚は自らをなげうって自分を逃すことを優先した。
 馬鹿馬鹿しいまでに馬鹿正直な彼らの行動に、そしてリベリスタの一人の首も取れなかった自分に、心底吐き気を覚える日々だ。
 だが、それでもこうして生きている。こうして、多少の雌伏を経てもう一度暴れる機会を得られたことを幸運に思う。
 本当に復讐したい相手は別にいる。だが今は、目の前の復讐を終えなければ。充てがわれた兵隊なら、それもできるだろう。
「何にしろ恩は恩だ。命の一つくらい賭けてやってもいいぜ……なぁ?」
 彼にはもう迷いはない。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月28日(金)00:09
●コメント
 重久さんリベンジマッチ。何か気付いたらフォーチュナが物騒なことボヤいてますが、そういうことで。

●エネミー
○『ハーフデザイア』充井 重久-ビーストハーフ×ソードミラージュ。『<Blood Blood>復讐するは我らにありて』参照。
 影潜み、スピードスター、ハイバランサーを所有。スキルはRank2までで幾つかを活性化。
EX リベンジャー・ステップ(物近範・魅了、呪い、[連])

◯フィクサード×5:平均Lv6。ホーリーメイガス2、クロスイージス、マグメイガス、デュランダル各1。
各々、ジョブ固有スキルRank1と暗視を共通で取得。
活性化具合は個々人に依る。

●戦場
 シンヤ派アジトのひとつ。
 雑然と廃材が置かれている場所で、スペースはある程度ありますが、分散して戦うほど広くはありません。戦力分断できても2組程度でしょう。時間帯は当然の如く夜。

 ご参加、お待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ソードミラージュ
閑古鳥 比翼子(BNE000587)
★MVP
プロアデプト
イスカリオテ・ディ・カリオストロ(BNE001224)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
覇界闘士
浅倉 貴志(BNE002656)
ホーリーメイガス
雛月 雪菜(BNE002865)
インヤンマスター
涼羽・ライコウ(BNE002867)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
■サポート参加者 2人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
クロスイージス
レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)

●復讐心に賢愚の別は無く
「シンヤさんも大概だぜ……あの男、易々と人の下に就くタイプじゃねえんだろ? 飼いならす前に俺達が殺られちまうんじゃねえか……?」
「言うなよ、あの目が既にマトモじゃねえ。ありゃぁ、何も見えてねえ……本当に見たいもの以外は、な」
「何が馬鹿馬鹿しいって、俺達ャアイツ以下ってことだ。評価じゃなくて、事実がな」
「――チッ」
 フィクサードたちにとって、充井という男は爆薬にも等しかったと言える。純化されたそれではなく、ニトロや黒色火薬にも似た、扱いを誤ってはいけない類の危険物。触れてはならない点だけは弁えねばならぬ、そんな存在。だが、対する充井は、彼らには何ら関心が無い。強いて言うなら、布陣としての価値だけならば彼らのことを高く買っている心算だ。尤も、攻めに転じるに当たっての壁、自らを護る盾、或いは道具としてしか見ていないのだろうが……後宮シンヤという男にとっての自分もそうならば、なんという滑稽。
 影に潜むのも、潜み続けるのも随分と慣れた。後は、好きに暴れる機会を待つだけだ。

「……充井っていうのがどんな人か分からないけど、見える限りでは最前線の二人……見た感じ、デュランダルとクロスイージスかな、とは思う」
「その後ろに三人でしょうか、あれが魔術師とみていいですね……とすれば、恐らく既に充井は潜んでいると考えるべきですか。しかし、充井らしい感情は――判別できませんね。熱源も、重なってる部分が多くて正確に、とはいきません」
 フィクサード拠点を前に、内部をつぶさに観察するのは『女子大生』レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)と浅倉 貴志(BNE002656)の二人、その探査能力に拠るものだ。こと、レナーテの透視では完全に見通せない死角などを貴志の熱感知、そして感情探査が補足する形になる。貴志は以前、フィクサード「充井 重久」との交戦に臨んだ一人で有るがためにその感情を捉えるには適任であると思われたが……影に潜んだその意思を見抜くには、探査の網は余りに不完全だったと言える。

「そればかりは仕方ありませんね……ですが、それほど慎重なのは却って有難い。いえ、喜ばしいと言うべきでしょうか」
 だが、その状況を不利と取らず、好機と取る人間も居る。『原罪の蛇』イスカリオテ・ディ・カリオストロ(BNE001224)にとって、警戒されているということは認められているということに同義であり、それは自らの存在を『認めさせた』と言うに等しい状況。彼の意図からすれば、喜びこそすれ惜しみはすまい。
(リベンジしたいのはこっちだって話ですよ)
 充井と浅からぬ因縁を持つのは、『Trompe-l'?il』歪 ぐるぐ(BNE000001)とて同じこと。無論、二人に限らず、であるが……彼らに共通するのは、今、ここでフィクサードを止めるという強い意志。

『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)の意思はシンプル且つ強固だった。敵は、復讐者。過去に意識を割き未来を見失った相手に屈するのは、その名に刻んだ矜持を穢すことになろう。だからこそ、強くあらねばと想うのは当たり前の感慨だ。

「さて、続きを致しましょう」
「――参りましょう!」
 後方より、悠然としたイスカリオテの声と、『第14代目』涼羽・ライコウ(BNE002867)の凛とした合図が飛ぶ。弾かれた様に飛び出すリベリスタ達と、奇襲に僅かな動揺を見せつつも態勢を整えるフィクサード達。そして――
「来やがったかよ、愚図共が」
「クロスイージスの影です、新田さん!」
「任された……!」
 復讐の蛇は再びに牙を剥き、守護神の名を借りるアーク最強の盾は、その影を捉えた。暗中に、火花と閃光と爆炎が吹き荒ぶ。

●Revenger(')s
 クロスイージスの影から抜け出すように、重久が宙を舞う。変則的に飛び回る彼の一撃は、その場に居合わせた革醒者の誰よりも速く、『優しき白』雛月 雪菜(BNE002865)を一閃した。だが、奇襲と速攻を旨とした彼とて、奇襲に『遭う』立場となればその確実性は多少なり、揺らぐ。その一閃が確実に入っていれば、或いは――一部の、経験の浅いリベリスタ達を慄然とさせるほどの冴えだったのは確か。

「っ、……お久しぶり、でしょうか? もう、今度は逃がしませんよ」
「ふん、泣き言は言わねえってか。評価してやるよ、嬢ちゃん」
 だが、彼女とて一度その冴えを目の当たりにした者に違いはない。裂かれた肩口など意識から切り離すように向けた気丈な視線は、重久を愉しませるには十分過ぎる視線であったといえよう。
「自業自得って言葉も分かんないんなら」
 クロスイージスの傍らへ立つ重久の隙を突き、黄色の影がその身を閃光に変えて奔る。重久の放ったそれと同じながら、手ではなく足を用いた不規則剣舞――『デイブレイカー』閑古鳥 比翼子(ID:BNE000587)のソードエアリアルは、確実に神聖術士の片割れへと叩きこまれ、その精神を大きく揺さぶりにいく。
「消えたほうがいいのさ、お前みたいな奴はな!」
「同感です……ここで確実に倒しておきたい」
 デュランダルに進行を阻まれながら、しかし貴志の振り上げた脚は正確に衝撃波を生み出し、比翼子の狙った相手へと追撃を与えに行く。血を振りまきつつ理性を喪ったその攻撃は、傍らの術師へと向けられ、多少なりダメージを与えるに至った。
「ここで、決めますとも!」
 貴志をブロックした剣士とは異なる相手へ向けて、ぐるぐの気糸が一直線に突き進む。喉元を鋭く衝いたそれが相手の怒りに火を付けぬわけがない。それこそが彼女の狙いであり、陣容を崩すための騙しの一手。
 自ら為すべきことを定義し、実力で成し遂げる。リベリスタに正しく必要とされる役割の取捨選択を、彼女は確実にモノにしていた。

「慌てんな、少し痛ェくれぇの切った張った、俺らにとっちゃ怖かねえぞ!」
 中央に位置していたクロスイージスが、大きく声を張り上げる。振り下ろした剣気と共に発した復調の光は、既に手傷を受けた二人の異常を正確に癒し、戦線維持を容易に揺り戻す。しかし、それに要した分――リベリスタ側の鬼札を通す愚を犯してしまっているのだ。

「アークの新田快だ。お前の相手は俺が請け負う」
「チッ、気に入らねえタイプだぜ、お前ェみたいな真っ直ぐな奴ァよ……」
 悠然と構えた重久へ、快の一撃が打ち込まれる。そのまま接近戦へと持ち込みに行った彼に、重久は顔を歪め、不満気に切り結ぶ。
「不服か?」
「言わせんなよ、興が削がれるだろうが……」
 だが、快も、そして重久も退かないし、進まない。興奮の気配をそのままに、重久は蛇の因子に覆われた半面を歪め、笑った。
「――止めたいなら命(タマ)ァ張りな、下らねえ覚悟なら捻り潰してやるからよォ!」
「望む、所だ……!」

「怒りをここに、立つことを許さぬ雷を其処に」
「癒しを彼に」
 火花を散らす戦場の中、術師二人の声が朗々と響き渡る。或いは、雷としてリベリスタを焦がし、或いは癒しとして手傷を負った神聖術師へと不利殺ぎ、戦場をコントロールせんと勢いを増す。
「私も、出来ることをしなきゃよね……!」
 レナーテは、魔術の雷を受け止めつつも前進の勢いを緩めない。クロスイージスへと打ち下ろされた一撃は、基礎にして要となるそれだ。練り上げた彼女の技が、同じ職ながら経験の些か浅い相手を慄然とさせぬわけもない。
「皆さんを、倒れさせはしません……!今度こそ……!」
「私も、決着を付けなければいけませんから――」
 仲間を癒し、一人も倒れさせない。その意思を強固に持った雪菜の歌が戦場を覆う。意思を固めたその声が、自身を、そして仲間を癒し、満たしていく。
 同列に控えたライコウの指先は、呪符の鴉を生み出し、先の神聖術師を穿つ。感情を揺るがせるには至らぬが、それでも手傷を負わせるには十分な一撃だ。

「命を懸けて戦うという心意気……反吐がでますわね」
『嗜虐の殺戮天使』ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)の言葉は、冷ややかなものだった。戦場の中心たる重久の在り方を、彼女は真っ向から否定してのける。それは彼の生き急ぐ姿が彼の為に身を晒した者達への冒涜としか思えないからだ。であれば、彼に死を超えた屈辱を。苦痛を――そう考えるが故に、自らの立場を違えない。雪菜の癒しを補う形で、その癒しを行使する。

「そこ、構えが甘いわよ」
「な、……!」
 レナーテの攻め手を捌くクロスイージスを、横合いから『ソリッドガール』アンナ・クロストン(ID:BNE001816)の放った十字光が打ち据える。陣容の要である彼にとって、その一撃が齎す怒りは、一瞬でも致命的な隙となるのは間違いない。


(……前衛は積極的に前へ出てブロックを敢行、攻撃も眼前の相手へ集中ですか……全体を見通すには少々拙いですが、それも面白い) 
 イスカリオテの意識は、前衛の動きに集中し、敵がどうあるかをつぶさに観察していた。状況の推移を見通した上で、彼の戦闘は始めて有効な流れを引き寄せることを、彼自身が強く認識しているがためだ。力があるならば、使い所を誤れば大きな反動を伴って戦場に響く。確実な力の運用は、それだけ味方の戦闘を優位にする。だからこそ、確実な一手は状況の把握とタイミングが問題となるのだ。

「耐えるじゃねえか手前ェ……! まだ倒れんじゃねえぞ!」
「当然だ、護りたいものがある!」
 重久の渾身の勢いを込めたアル・シャンパーニュを、しかし快はその全力を以て受け止め、致命打を免れる。
「このまま一気にいくよ!」
 快と重久の攻防は、速度を信条とする比翼子の動きにも少なからず影響を与える。より速く、意識を研ぎ澄ませた動きが前衛の隙を衝き、術師へと少なくないダメージを与え、戦場をかき乱す。
「ここで耐えなければ……後悔するのは私だから……!」
「無理はなさらないで下さいまし。私も居るのですから」
 貴志の前進を止めるデュランダルが放つ斬撃や、後方に控える魔術師の一撃を受けても、雪菜の歌は途絶えない。前回とは違うのだ。陣容も、覚悟も、何もかも。守れない自分と訣別するために、自らを奮い立たせて、最後の一秒まで誰も倒れない選択肢を選びとる。護り抜く。ティアリアが、そしてアンナが控えるならば、やってやれないことはない。

「――素晴らしい。この状況を、この混乱こそを私は待っていた」
 激化する戦場、閃く爆光。悠然とその中を前進するのは、裡に魔を飼う原罪の蛇。
 掲げた手は砂を産み、場は乾き、砂は飢えた獣の如く駆け出す。
「さあ、神秘探求を続けましょう」
 終わりの始まりを告げる声が、響いた。

●翼ある蛇
「何だ、この技――聞いてねえぞ!」
「……不味、」
 イスカリオテの生み出した砂嵐が、フィクサード達を巻き込んで業火に叩き込む。その一撃だけで、持たせていた一線を断ち切られ倒れる者も少なからず現れ始める。言葉通り、戦局をひっくり返す圧倒的な一撃。連発は難しくあれど、それだけで多くを得る一撃。
「この機を逃すわけには、いかない!」
 神聖術師を一人欠いた、フィクサードの陣容。回復が追いつくとは思えない窮状を、見逃せるタイミングではない。ライコウの鴉が再び羽撃き、残る神聖術師の意識を確実に刈り取った。
「僕も、これで――決めてみせる!」
 自らを遮る剣士へ向け、貴志の拳が、脚が次々と命中し、その身を追い詰める。一連の攻め手が振り抜かれれば、それで戦いは終わるとばかりに言わしめる確実な連撃。

「先の舞もユニークではありましたが、あれは余りに不安定。未完成の代物だ。さて、この猶予の間にあれは完成しましたか?」
「言うじゃねえか蛇公が……また倒れに来たってか!」
「倒しきれなかった御身でよく吠える……そんなに言うのなら、見せて頂けませんか? あなたの技を」
 あからさまな挑発を繰り返し、イスカリオテは重久へと歩を進めていく。対する重久は、全身の気配を目の前の相手に叩き付け、切り伏せようと躍起になっている。状況下をして、接近を許される状況ではない。

「下がって……巻き込まれたら一溜まりもないぞ、あれは!」
 イスカリオテの前進を察した快は、既に一拍早く後退に転じている。重久の攻撃を受け止め、イスカリオテに全幅の信頼を置く彼だからこそ理解できる状況――その分析力をして、自分の背後に控えるレナーテを庇うことを選択させたのだ。
 巻き込まれることは無いだろうが、しかし一合で終わる戦いではない。

「今度こそ……倒れやがれ!」
 刃を掲げる重久を繋ぐ様に、気の糸が迸る。既に怒りをも操作されたことを意図せず、彼はその技へと踏み込んだ。

 踏み込み一歩、螺旋を描く斬撃二歩、切り上げ、振り下ろす――だが、その速度とリズムは以前の非ではなく流麗と化した。速度が上がらないままに、しかしその流麗さは『斬られる』ことを快楽へと導くように、華美ですらある輝線を描いて抜けていく。
 裂き、剥ぎ、衝き、奪う。意思を魅たし意思を奪い狂わせ激化する復讐を呼ぶ奔流。影に紛れることを前提とせず、確実に倒すために叩きつける殺意。

「宜しい……十分だ。貴方は良い殺人鬼に育った」 
「手、前ェ!?」
 だが、その圧倒的殺意をしてイスカリオテはそれを凌ぎ切った。技の間隙にあった僅かなタイミングを見切り、弾き、重久のモーションに致命的な隙を生み出す。他のフィクサードを蹂躙した今となっては、リベリスタ達にはその隙こそが全てだった。

 間合いへと踏み込んだ貴志の一撃が、重久を地へと叩き伏せる。浮き上がったタイミングを逃さず、比翼子の速度に任せた一撃が襲う。
 十字をかたどった閃光が、式符が、そして気糸が一直線に軌道を描いて消えていく。意思の共有をもって放たれた流星の如き怒涛の一斉攻撃は、重久に残された体力と意地を刈り取るうには余りに十分すぎた。

「同じくフェイトを得た者同士、どうしてこうなっちまったんだろうな……」
 戦闘を終え、次々と連行されていくフィクサードを眺め、快は忸怩たる想いを感じ、呟いた。
 フェイトは、得る者の精神性の貴賎を問わない。奪う際も、それはただ『運が悪かった』の一言で済まされる程に果敢無いものだ。
 であるならば――踏み外した道を消し、新たに道を敷き直すのがリベリスタに許されるなら。
 足を止める暇を与えず、新たな戦いを選びとる必要性が彼らには残されている。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
 今回のリプレイを書くに当たり、判定は非常に困難でした。何せフィクサード6人です。
 重久を抜いても平均Lv6です。陣容的に手堅く固めた心算でした。
 それでも、皆さんの策も、布陣も、リベンジの機会を引き寄せる運すらも私の想定を超え、
 ほぼ完勝に近い形で戦線が成立してしまいました。これは完全にお手上げです。
 ここまでやられてしまっては大成功以外の選択肢はないと言っていいでしょう。
 
 驚くべきは、充井をはじめフィクサードを極力全員活かすという皆さんの意見です。
 無慈悲に倒しに行く人が居ると思ったら、ゼロとか……。

 MVPは、イスカリオテ・ディ・カリオストロさんへ。
 理由は、他の皆さんの活躍を含めリプレイに全て盛り込みました。
 次に向けて活かして頂ければ幸いに思います。