●暑さ寒さも彼岸まで? 秋風が吹く町の中、ちょっとありえない光景が広がっていた。 それは言語にして現すなら、赤いビキニパンツにヘソ出しタンクトップ姿のマッチョ・ダンサーが、筋肉を誇示するポーズを取りながら歩いているという光景だった。その数五人。 ダンサーは外から見えるアウターマッスルだけではなくインナーマッスル、すなわち骨を支える筋肉もよく鍛えられており、その姿勢も人を魅了するものであった。 残念なことに一般常識の概念からすれば、彼らを指す言葉は一つである。 変態。 誰もがそう思い、警察を呼ぶことを考えた。 しかし警察を呼ぶ前に、ダンサーが何か八角形の石のようなものを手にして、それを天に掲げるポーズをとる。 すると―― 「あれ? なんか暑くね?」 「汗だくになってきた。……服脱ぎたい」 「こんな暑いところにいられるかっ! 俺は帰る!」 最後は変なフラグぽいが、今回にいたっては正解である。 あたりの気温があがったのだ。秋物の服を着ては行動ができないほどの暑さ。 「私を見よ! 美しい筋肉! 水着! シンプルゆえに至高の存在、すなわち神!」 「水着サイコー!」 「秋なんて来ません! 常夏マッチョパラダイス降臨!」 変態たちは高笑いをしながら、筋肉を誇示するのであった。 ●水着 「皆、まだ水着持ってる?」 集まったリベリスタたちに『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は問いかける。話の脈絡が全く読めないリベリスタたちは首をひねった。 「任務はフィクサード五人の討伐」 そんな反応も予想済みなのか、イヴは『万華鏡』によって見えた未来の説明を始める。リベリスタもここに呼ばれた以上、世間話ではないことは皆承知している。真剣な顔でイヴの言葉に耳を傾けた。 この流れ、なんとなくデジャヴュ。 「フィクサードは町の中心街に入り、『炎砂陣』と呼ばれるアーティファクトを使用して特殊な結界を張る。半径20メートル内にいる持ち主以外の全ての存在の体温を上げるという凶悪なアーティファクト」 モニターに映し出される町の地図とフィクサードの写真。ワセリン塗ってテカテカ光るボディに筋肉質な男。皆は思った。変態だ。 「このアーティファクトはある条件を満たしたものには効果を現さない」 デジャヴュ再来。なんか俺、フォーチュナになったんじゃね? そう思えるほど次の展開が予想できた。 「水着を着ていること」 やっぱりー。 「どういう理由かはかわからないけど、水着を着ていると『炎砂陣』の効果からは外される」 つまり街中で水着で勝負なのだ。人払いとかもおそらく水着で。うわー。 とはいえ街中でフィクサードが暴れているのだ。アーティファクトの効果により、体温が上昇し続ければそれだけで体調を崩し、下手をすれば死に至る可能性もある。放置するわけには行かない。 いかないのだが……正直乗り気になれないのも事実。 「フィクサードのの戦闘力は高くない。実力的にはこの数で問題なく倒せる」 「この場合、戦闘とか実力とは別のところでキツイよなぁ……」 「がんばって」 イヴの口調に背中を押されるように、リベリスタたちは動き出す。取り合えず福利厚生のとき使った水着何処にしまったかなぁ? それを思い出しながら。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月10日(月)22:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●水着! 水着! 水着! 「暑い! (胸板が)厚い! 熱い! 暑苦しい!!」 『自称:アイドル教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)の一言は、この惨状を的確に表現していた。自分の名札が張られたスクール水着。ロリロリな体型。その筋の人には生唾モノのソラさんは、出勤簿を手に仁王立ちしていた。グッドだ。 フィクサードのアーティファクトによる体温の上昇。フィクサードの筋肉の胸の厚さ。あと暑苦しいほどにこやかなフィクサードの笑顔。それが五人。その存在だけでも人は逃げる。 「ここは危険です。さあ、あちらへ!」 肉体的、精神的にいろんな意味で危険な場所で『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は倒れているサラリーマンを避難させる。 フィクサードに対抗して赤いフンドシを腰にしているだけの彼だが、幻視を使って一般人には袈裟を着ているように見せていた。その風貌による安心感もあり、礼を一つ交わしてサラリーマンはフツに身を預ける。 「この薄ら肌寒い時期によもや水着を着る羽目になるとは」 『畝の後ろを歩くもの』セルマ・グリーン(BNE002556)は肩をすくめて自分の姿を見る。秋の空には確かに寒い白の2WAYホルターネックビキニ。小さな胸が目立ちはするが、セクシーというよりも健康的なイメージのあるセルマにとってそれはマイナスイメージにはならない。 季節外れの水着だがこれも仕事。できるならこれを着て福利厚生に行きたかったなぁ。できるなら誰かさんにみせたかったなぁ。南の島で二人きり。お互い水着姿でロマンチックな夜。普段とは違う雰囲気に肌と心の距離は少しずつ……。 「それ以上の描写は畑の肥やしにしますよ?」 は、申し訳ありませんでした。 「私は、いつも……アーク製の水着を装備してるので、問題ないですね。いうなれば、水着がユニフォーム」 いつものゴシックな服装ではなく、白いスクール水着を着た『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)がクラーボックスを運びながら言う。ボックスから氷を取り出しながら、倒れている高校生カップルに近づき冷やしていく。 「それってあいつらと同類ってこと?」 「そういうんじゃ、ないんですよ……すごく、動きやすいんです、コレ……。 いつもはちゃんと、上から服着てますし……」 『中身はアレな』羽柴 壱也(BNE002639)の指摘に首を振って否定する。視界の先で筋肉を誇示しながらポーズをとる連中と同一扱いされるのは、御免こうむる。っていうかゴスロリの下が水着か。オラ、みなぎってきたぞ。 「こんにちわ、いけめん! 服なんて脱いでる場合じゃないでしょー? 今から涼しいところに連れて行くから、彼女も一緒に! ほら!」 壱也は胸のボタンに手をかけている高校生男子をゆすり、正気に戻す。リンシードが介抱している彼女と一緒にふらふらと立ち上がり、『炎砂陣』の効果範囲外に誘導されていく。 「取り合えずマッチョメーン! をなぐる!」 誘導されている一般人を見送ってから『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)はフィクサードを指差しながら言う。豊満な肉体を包む水色のセパレート水着。白い肌を晒しながら眼鏡の位置を調整する。以前の依頼に比べれば、水着で街中ぐらいは全然平気。肝の据わった17歳女子であった。 「この時期に外で水着……新記録かも?」 同じくセパレート、ただしこっちは白色のフリフリつきという可愛い系の水着。華奢だけど健康的な無乳の体にはよく似合うかわいいかわいいな水着である。そんな『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)は小梢のように開き直れるほどの経験はなく、そして他の水着女子を見て羨望のまなざしを向けたりと始終水着に注目していた。 自分の水着はお気に入りで大好き。女の子らしいスタイルの子は憧れ。マッチョなフィクサードはやや引き気味。そんな女子思考の男の娘でした。 「夏の暑さにやられたまま、秋まで引きずっちゃったのかしら……暑い方が好きなのは良いとして、周りにまで迷惑なのは考えものね」 強結界を張りながら『月光花』イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)はため息をつく。水着で街中を闊歩するとはなんと破廉恥な。しかし水着じゃないと戦えない以上、傍から見ると私達も同類だということだ。その事実に再度ため息をつく。 そんなイルゼさんは黒ビキニにパレオ着用。大きな胸を隠す黒いビキニは動くたびにけしからん動きをするであろうし、パレオに隠されたヒップは隠されているが故に周りの人間の想像を掻き立て、魅了するだろう。おのれ全年齢対象でなければっ。惜しむべきは彼女は身体を動かす戦闘スタイルではなく、後衛でサポートをするタイプであるということか。 フィクサードはワセリン塗ってテカテカ光る肉体を誇示しながら、『炎砂陣』の効果範囲内で活動している覚醒者を発見した。両者の間にしばし緊張した睨み合いが続き、 「おお、水着同志よ。我等の仲間になりに来たか!」 「「「「違う」」」」 リベリスタたちは全員一斉にツッコミを入れた。 ●ポロリ! ポロ……はぁ。 一番手を切ったのは真独楽。五人固まっているうちに接近し、幻想纏いから取り出した爪を構える。軽やかに踊るようにステップを踏めば、水着のフリルも同様に揺れる。真独楽が舞うたびに、血飛沫も舞った。 真独楽にフィクサードが一人相対し、他の四人が後ろのリベリスタのほうに駆ける。 リベリスタもある程度の前後衛の陣形を整えていたのだが、ここで誤算に気付いた。 フツ、壱也、リンシードの三人が逃げ遅れた人を誘導している間は、当然彼らは戦場から離れることになる。その間、リベリスタ五人とフィクサード五人が戦うことになる。 小梢と真独楽とセルマが前に立つが、三人で五人を抑えきることはできない。抑えきれない二人は後衛に肉迫する。 「これ以上の狼藉は許しません、そこの変態ども!」 注意を引くべくセルマが回復の印を自分に穿ちながらフィクサードに言うが、聞く耳持たずに二人のフィクサードがソラとイルゼのいる後衛のほうに接近してきた。 「皆いい体してるわねー。小梢とかイルゼとか思わず……ってニヤニヤしている場合じゃないっ!」 テカテカムキムキが迫ってくるのを察し、ソラは体内に宿る魔力を放出し、稲妻を生み出す。駆け巡る稲妻がフィクサードを襲い、そして食らいつく。電撃の残滓がフィクサードを痛めつけるが、その程度では止まらない。黒光るボディでソラを掴むと、 「なまあったかいって言うか気持ちわるいー!」 必要以上に肌を密着して組み付かれ、そのまま地面に叩きつけられる。へい、お嬢さん。いい筋肉だったろ。そんな笑顔を浮かべられた。 「ソラさん!?」 倒れたソラの傷を癒そうとイルゼが動く。構えた札が地面に叩きつけられたソラの痛みを和らげて行く。朦朧とする意識までは回復できないが、それでも投げによる衝撃はかなり癒せた筈だ。 「って私もですか!?」 そしてイルゼも後ろから抱え上げられる。ぬるっとした肌と腕に抱え上げられ、生理的嫌悪感が先にたつ。その感覚に身震いしている隙に天地が逆転して、地面に叩きつけられた。 「うわ、もしかしてマズくない?」 小梢は後衛の惨状を見て慌てるも、しかしこの場を離れるわけには行かなかった。仮にここを離れて後ろに行けば、おそらく自分と相対しているフィクサードもついてくる。後衛への火力が集中するだけだ。 今避難させている三人が帰ってくるまで、状況を悪化させないこと。それが最重要と判断して小梢はオーラを鎧に纏わせて防御力を増す。より硬く。より堅く。相手の攻撃に耐えうるように。 「この素晴らしい筋肉の舞を見よ!」 フィクサード、一斉にポージングした後に攻撃開始。 「筋肉からうまれし油で燃えた業炎撃!」 腰の入ったフック。思わずポロリ。 「鍛えられた筋肉から放たれる足技の斬風脚!」 真横に降りぬかれる足。思わずポロリ。 「全身の筋肉で抱え込むように相手をホールドし、筋肉で魅了しながら投げる大雪崩落!」 密着する肌と肌。汗と油でぬとつく感覚。 真独楽が炎の拳を食らい、ソラがカマイタチで切り刻まれ、小梢が地面に投げ出される。 「きゃあ! 早くしまってよぉ、ばかっ!」 炎の拳よりも、間近でフィクサードの見たくないものを見た衝撃の方が大きい真独楽。 「ふふふふふ。肉体よりも心の傷が大きくなりそうですね、このたたかい」 相手の動きを拘束する呪印封縛の札を用意しつつイルゼが暗い微笑を浮かべる。 「私に攻撃が飛んでくるのは何故!?」 「いや、全体攻撃ウザいし」 「ぬるぬるがー! 汗の臭いがー!」 「は? 小指?」 「セルマさん容赦ねぇー!」 そんなカオスな状況を避難させながら遠目で見ている壱也。 「うわ……。シャッターチャンス逃したかも!」 「……え? マッチョ好きなんですか?」 リンシードは驚きの声を上げる。同好の士を見るような目で。 「そんな属性はないけど、珍しいじゃない! めったに見れないじゃない! つまりは資料! わたしの目の肥しなのよ!」 「……まぁ、確かに珍しいが」 半眼で惨状を見ながらフツが同意する。同意というよりはとりあえず話に応じた程度だが。 「ちなみに焦燥院さんの筋肉はどうなんです?」 「もちろん素晴らしい! だけどそれはそれ。これはこれ! さぁ、避難をさっさと終わらせて戦線に復帰するわよー!」 「確かに。そうしたほうがいいのは間違いないな」 フツが肩に担いだサラリーマンをおろし、戦場に足を向ける。『炎砂陣』の効果は半径二十メートル。ここまで離れればもう大丈夫だろう。 避難させていたリベリスタたちは急ぎ戦線に戻る。ここからが本番だ。 ●筋肉おだまり(笑顔) 「筋肉は……すばらしい、ですよね……」 リンシードはソラとイルゼと相対しているフィクサードに迫る。バスタードソードを構え、速度に任せて矢次に刃を繰り出した。切り刻まれる筋肉。 「うふふ……筋肉筋肉ー……♪」 心底楽しそうである。 「いい筋肉してますね。マッチョポーズお願いしますっ」 そして壱也も合流。これでソラとイルゼはマッチョな囲いから脱出することができた。しかし壱也にとって重要なことはもう一つある。筋肉の資料集めだ。デジカメ構えてフィクサードに迫る。 「む? キミは見所あるな。こうか!」 「キャー! 資料資料! さすが鍛えられている筋肉は違います! 綺麗です! そこら辺の筋肉よりも質がいいです! 萌えじゃなく燃えます! それはそれとしてメガクラッシュ」 「みぎゃー」 容赦ねー。 「乱暴狼藉もそこまでだ、フィクサード!」 フツは戦線に復帰するや否や、幻視を解除してフィクサードの注目を引くべく声を上げる。別に幻視は覚醒者なら通用しないのだがそこは気分で。 真っ赤なフンドシ。鍛えられた肉体と黒い肌。魅せる為に鍛えられたフィクサードの筋肉とは違い、実戦で積み上げてきた実用的な筋肉。どちらを美と取るかは人それぞれだろう。両者のポージングは『価値観の相違』という形のドローになると思われた。だがしかし。 「これこそが、内側から輝く肉体だ!」 フツの肉体が光る。最初は淡く、少しずつ強く。まさに後光の如く輝き、フィクサードの目にその姿を焼き付ける。 「おのれぇ……! 斯様な肉体があろうとは!」 「口惜しいが、魅せられてしまったことは認めよう!」 なにやら筋肉的に負けを認めざるを得ない展開だったらしい。筋肉的? 「そう……あなたたちの筋肉は……邪悪な筋肉……。 正義の筋肉は……あそこに、おわす方こそ真の筋肉です……」 リンシードも輝く筋肉を指差し、威光に戦くフィクサードを威圧する。返す言葉がないフィクサードたち。 「動揺するな! あれは確かに素晴らしいものだ。だが我等の筋肉も負けてはおらぬ!」 「ほー。ではよろしいか?」 セルマが節くれ立った枯れ木のようなものを手に語りかける。これでも立派な破界器。特別に選ばれた祭器なのだ。 「筋肉が素晴しいのは実用的・機能的であるからこそ」 「うむ、然り」 「機能性を無視したデザインに意味がないのと同じように、見せる為だけの筋肉に価値はありません! 違うというのなら耐えてみろ!」 大上段から振り下ろされる「化身の樹」と呼ばれる祭器。それをまともに受けて、もんどりうつフィクサード。耐えた……耐え……てるけどショック状態です。 「おのれこの筋肉の素晴らしさを――」 「チェインライトニング」 「見るがいいこの――」 「チェインライトニング」 「あの、話を聞いてもらえませんかそこのスク水さん」 「聞く耳持たないチェインライトニング」 フィクサードの脅威から逃れたソラは相手の言うことなど聞く耳持たずに稲妻を放っていた。筋肉とかわかんないこといってるけど、それって異界の言葉だよね。大体STコメントに説得不可能とか書いてるし、話すことなんてありません。 「鍛えられた筋肉から放たれる足技の斬風……ぬぉ、体が動かん!」 「ポロリとかさせません。動きは封じさせてもらいます」 イルゼがポロリしそうな動作をしたフィクサードの動きを符術で封じ、呪縛する。 「筋肉は嫌いじゃないけど」 小梢の全身の筋肉が引き絞られる。両足を踏みしめて腰から肩を通じて武器まで力の通り道を作るイメージ。そのまま力を込めてフィクサードをぶん殴る。 「無駄にアピールするのは嫌いだな」 「いい加減倒れろー! あと変なもの見せるなー!」 真独楽は戦っているフィクサードが偶に見せる股間部分の事故を見ないようにしながら刃を振るう。肉体的にも色々追い詰められているけど、精神的にもかなりキてる。 「邪悪な筋肉は……成敗、です……」 「ポロリきたー!」 「不合格」 「セルマさん。フィクサードが泣いてます!」 「もうあなたたち動かないでください。呪印封縛」 「全身輝く筋肉に平伏すがいい!」 「うわーん。お嫁に行けなーい!」 「真独楽さん。始めからお嫁にいけなくない?」 「うふふー。ようやくみんなの水着をデジカメで撮影できるー。あ、チェインライトニング」 どったんばったん。 ●戦いの後はいつも空しさだけが残る。 そして数分後。 戦闘不能になったフィクサードを簀巻きにしているリベリスタがいた。さすがに殺すには忍びない……というかやってることがしょーもなさ過ぎて殺す気にもならなかったのである。 炎砂陣も回収し……その効果は持続中である。布団でぐるぐる巻きにされたフィクサードは水着以外のものを着ている扱いでその効果を受け、真っ赤に茹っていた。 「いい感じで効いてるね。くひひ」 小梢は真っ赤な顔のフィクサードを突付きながら、笑みを浮かべる。 「いやぁー面白いマッチョだったね~! 熱くなければなぁ……」 壱也にとってはいい資料になったようである。周りは迷惑だっただけど。 「やー。今日はビールが美味しいわ。生き返るぅー!」 スク水ロリロリなソラ先生。これでも飲酒可能な年齢です。缶ビール片手にこきゅこきゅと喉を潤していた。 適度にフィクサードにおしおきをしたあとで炎砂陣の効果を切った。それを待っていたかのように皆持っていた服を羽織っていく。水着状態でいるのは限界だったようだ。 「あー。疲れた」 「そうですね。疲れました。主に精神的に」 逆に疲れたようにセルマとイルゼが息をつく。もうこんなフィクサードはこりごりだ。表情でそう語っていた。 アークがリベリスタたちを迎えに来て、簀巻きにしたフィクサードを連れてその場から撤収する。 あまりの現実離れした出来事に、皆は夢を見たのかと今日の出来事を忘れるだろう。 「ええ、苦しんでいる僕たちを助けてくれた人がいたんです」 だが助けてもらった人たちは忘れない。暑さで朦朧とする意識の中、リベリスタが助けてくれたことを。そして―― 「その人たち、水着で殴り合ってました。別の変態かも」 ……やっぱり、忘れてくれたほうがいいかも。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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