●いくらなんでも予想外 影から影へ。頂点に立つ者としては凡そ度し難い敗走の日々をひたすらに生き、彼は既に疲弊していた。 予想はあった。配下の消息が尽く途絶える魔境を選んでしまったという憶測と、『奴』の介入が及ぼす影響への打算。不利不益は明らかだったが、しかしもとの世界とて、存続は容易ではない。 種は尽く狩り尽くされ、崩壊し、落日を待つ日々を過ごすのみ。求めた新天地が不幸であったのか、求めることそのものが不幸であったのか。答えは未だ出ない。 このままでは何時か狩られる――朽ちた摩天楼を仰ぎ、影の中から這い出した王の聴覚器官、いや思念か。唐突な介入を図る何者かの声が響き渡った。 (よォ、余所者。そのナリで表に出てくるなんて随分度胸あるんじゃねぇの?) (何者か、貴様――先般の輩と同類か) 王の目の前に立ち塞がったのは、素肌にシャツ一枚のみを羽織った、所謂パンクスタイルの男であった。無論、王にボトム・チャンネルの道理など皆目分からぬ。人間とソレ以外、増してリベリスタとフィクサードの差など無いに等しい。 (どの輩か識らねえけど。俺ァさ、あんたを助けてぇのよ。分かる? ちょっとだけ、手伝ってやるって言ってんの) (……本気か、貴様。我の国生みに参画すると、そう申すか) (ハハッ、面白ェならアンタ! 気に入ったよ、手伝ってやるよ! こそこそ隠れて付いてきな……!) 疲弊しながらも一切の妥協をしない王と、行動原理が不明な男の邂逅。 これが後の混乱に繋がるとは、誰も――否、それを観測したアークだけは、背筋からつま先まで凍える気分であったという。 ●どうしろっつーのさ 「残念ながら、カレイド・システムで予測した限り最大最悪の事態が起きようとしている」 集められたリベリスタを前に、開口一番『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は沈痛な表情を向け、その言葉を紡ぎ出した。リベリスタ達は、突然過ぎてどの事件と関連性があるのか……あ、モニタに何か映ってる。理解。 逃げ出そうとしたリベリスタも居たが、しかし逃げられるわけがなかった。 なんせ天下のアーク、ブリーフィングルームである。逃げるなんてとんでもない。 「前回の依頼で逃走した『七色絶対者』。アレの居場所がカレイド・システムで割り出せたのだけれど……最悪なことに、あるフィクサードと手を組んでいた。今回は絶対者の打倒もだけど、このフィクサードの目論見も打倒してほしい」 「『目論見を』打倒……? 撃破はしなくてもいいのか?」 「出来るならそうしたいけど、あちらもなかなか度し難い相手。機器察知能力が異常に高いから、不利とわかればすぐ逃げるし、逃げ足も早い。実力はともかく、今回は優先されない。問題は絶対者の方」 そう言うと、イヴはモニタを切り替える。どうやら三高平ではなく、近隣市街地の廃ビルのようだが……CGモデルに映る、屋上のパラボラアンテナが物々しい。 「フィクサードの通称は『テラーナイト・コックローチ』。元薬品会社の研究員で、『あれ』の生態にも、その愛着にも一日の長がある人物。その他不快害虫を神秘現実織りまぜて扱うことから、界隈では最底辺同然の評価をされているけど、その罪歴は只者ではないと思う。彼の目的は、絶対者を味方につけた上での、この市街地の混乱。愉快犯に近い」 名前にコックローチとかどんだけだよ。 もうパラボラアンテナの意味に半ば以上気づいたリベリスタは、「もしかして」、とすごい顔。 「もしかする。彼は、絶対者にマイクを取り付けた。衛士のみが使うと考えられた奇声を、ごく小規模ながら使えるのが絶対者の能力らしいけど……それを電波ジャックで拡散、市街地単位を「あれ」の坩堝に変えるのが目的。何としても止めてきて」 確かに最大最悪だった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月10日(月)22:04 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●D.J.COOK ROACHのショウ・オブ・ナイトメア 『あーあー、テステス。この帯域を聞く全ての愚民共にコンバンハ、ハッピーバースディ。誰の誕生日かって? 言うまでもないさ、だから言わない。君たちはただガタガタブルブルしながら明日の食事のメニューを考えてくれればいい。それは全て産声を上げたそれらが全取りだ。楽しいだろう? 君たちに与えられた手段は多い。スリッパを取り出せ、罠を張れ。そんなものがクソつまらない間に合わせでしかないことに絶望すればいい。嗚呼楽しい、皆一緒に狂おうゼ? その方がきっと楽しい――』 「……愉快犯らしいから動機なんて考えても無駄かな」 夕闇を裂いて響き渡るフィクサードの演説に、『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)は呆れたように呟いた。食堂で働いている彼女にとってしてみれば、今回のフィクサードもアザーバイドも、最悪最大の敵であることは間違いない。 「せめてやり方を選べといいたいね、私は」 フードの奥から響く声で応じるのは、『背任者』駒井・淳(BNE002912)。微妙に高揚した雰囲気を感じるが、果たして彼の胸中には何が去来するのだろうか。余り考えるべきではないかもしれないが。 「まぁ、嫌いなついでに、そんな相手は罪悪感なく叩けるので良しとしましょう、か」 何となく、言葉の歯切れが悪いのは神谷 小夜(BNE001462)。本来なら相対したくない相手との戦闘という状況にあって、かなり必死に自分を押し留めているように思えるが、普通に考えて少女だったらそうだろう。 「あんなのが大発生したらお店が営業できなくなりますし……」 『フィーリングベル』鈴宮・慧架(BNE000666)にとっては、凪沙同様か其れ以上に重要な問題だ。何せ彼女は店員ではなく店長。店を預かる身として、大量発生だけはなんとしても止めなければならない。 「イヴ……この借りは何れ、必ず返すわ」 物凄く妖しい笑い声を響かせながら、『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)が何台目かの車のタイヤをパンクさせる。現場である廃ビル周辺には、数台と言わずかなりの量の車が存在した。しかし、それらは全てが全て、動くか否か微妙なもの。それでも、フィクサード『テラーナイト・コックローチ』にとってしてみれば貴重な移動手段――厄介な事この上ない。 「色んな意味でその身の不遇に同情を禁じえませんが……崩界の要因と成り得るのであれば、討たねばなりません」 その存在に不快感を訴える面々が多い中、源 カイ(BNE000446)の意見は冷静だった。その境遇にすら同情を感じるその意思、プライスレスである。 「……まぁそれ以前に、Gですから……」 まるっと訂正しておこう。彼も飲食店経営だよ。なんだこの因果。なんだこれ。 ともあれ。 かれらの視界には現状、移動手段は見当たらない。『砦』を目指す準備は整った。戦力は僅か八人、目的は二つ、何れも重い前提条件。しかしそれらと相対して尚、彼らの戦意は揺るがない。目の前に立ちはだかる人類の危機を救うべく、彼らは戦場へと躍り出る。 ●裏パートA~B:意地と嫌悪と攻略戦 ガサガサガサガサ、ドゴッ。 既に相当数壊された外壁と内装。圧倒的な足場の荒れ具合、加えて目の前に現れた七色絶対者の姿に、殆どのリベリスタはその動きを止めてしまった。 「こんな生物で…溢れた……世界(チャンネル)が……有るの?」 エリス・トワイニング(BNE002382)の言葉も尤もだった。そして、今まで彼らを打倒してきたリベリスタ全ての感想でもある。だが、幸いにして彼女はここで足を止めて戦う立場ではない。絶対者の鬨の声に怯えはすれど、暫くは離れられるというのは幸運だ。 「やはり、見ると聞くとでは全然違いますね。なんというか……生理的嫌悪感が……」 『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)の言葉は尤もだ。生理的嫌悪。姿が金色してようが虹色してようがそれは同じ事。そして、相手は既にこちらに気付いている。このチャンネルで聞こえるレベルではない奇声を上げ、襲いかかろうと構えている。普通に考えれば卒倒モノだ。 「では、ここは僕達が足止めに回ります。氷璃さん達は早く上へ向かって下さい」 ダガーを逆手に構え、カイが上階へ向かうメンバーに向けて先行を促す。絶対者に設置されたマイクを完全破壊するには、現存メンバーでは確実性が足りないのは確かだ。であるなら、上階に設置されたパラボラアンテナを破壊することを優先し、この場はできるだけ戦闘を長引かせることを考えるべきだろう。 足止めに回るのはカイ、慧架、小夜、真琴の四人。戦力バランスとしては上々の配置であるといえようか。 「――覇界闘士って大変よね」 低空飛行で移動しながら、氷璃の視線は絶対者から切ろうとしない。その挙動に反応して攻めようとした絶対者だったが、彼女は辛くもそれをかわし、足止めの面々が攻撃を放ち、或いは集中に入るのが見て取れた。縦横無尽に動きまわる絶対者を相手にする難題を任せたという気負いはある。 「その色――絶対者みたいね。取るに足らないわ、まだ」 故に、その瞳が捉えた情報は共有すべきものであり。状況下にあっては有力なそれであったことは確かだった。 「すぐにアンテナを壊して戻ってくるから、待っててね」 「お任せします。できるだけ早いお帰りを」 凪沙と慧架の言葉が交差し、互いの戦場を見据え、駆ける。 屋上へと駆け上がったメンバーを待ち受けていたのは、パンクな装いをしたイヤホンマイク持ちの男と、中央に置かれたパラボラアンテナ、だが――それを視認するまえに、氷璃のフレアバーストが空を焼く。 「汚物は消毒するものと相場が決まっているわ」 「一発目からド派手だねェ……俺は嫌いじゃないよそういうタイプ。まあ、派手すぎるとバレ易いわけだけど」 「相棒の死骸をお前の口につめてやろうか? あーん?」 「趣味が……悪いと思う……」 呆れた様子で氷璃の一発目を受け止めたフィクサード――テラーナイトに対し、淳の一言は過激だった。加えて、エリスのダメ押し。趣味が趣味でなければ、ハートブレイク甚だしい台詞群である。だが、彼にとっては褒め言葉。じゃらりと腕輪を鳴らしながら、笑ったまま、しかしその目は暗澹とした光を湛え、宣言する。 「派手なのはいい、俺も好きだ。はしご外しも想定内だが素敵だった。足場を固めるのは定石だ。ここに真っ直ぐ来るのも妥当だ、俺はトリックスターなんだから――だがなリベリスタ、派手で定石ってことは狙われやすいって、思ったことは無いか?」 パチン、とフィンガースナップが鳴り響き、屋上一帯を光で照らす。物理的ではなく、神秘の光。その行動の正体に気付いた時、既に全員が全員、その巫山戯たフィクサードの一撃が尋常ではない威力を秘めていることに気付き、慄然とする。 事前準備を備え、反射的に呪印を切った淳ですら、目に焼き付いた光で相手を正視出来ず、狙いを外す有様だ。 それでも、凪沙は敵を過たずパラボラアンテナへと一撃を叩きつける。辛うじて熱源を拾い上げたコードへと放たれたそれも、十分な打撃の通りを保証しない。 リベリスタ達の混乱をよそに、エンジン音が高らかに響き渡る。屋上の端に停められていたのは、四輪のバイク。ATV、四輪バギーなどとも呼ばれるそれは、主の支持を受けて屋上から落下――すると見せて、壁を一気に駆け抜けた。といっても、面接着も無ければカタピラでもない普通の車輪だ。転がり落ちるように滑り、窓枠をジャンプ台にして空中へ。無事着地できたのは、ひとえにサスペンションの優秀さからだろう。 「ンなっ……」 「イイぜそういう反応、すげぇ楽しい――だが覚えときな、『一度きり』なら俺だってちょっとくらい超越できるんだぜ……?」 真正面から戦闘を続けるつもりは全くなく。ただ一瞬のトリックの為に全力で意識を一点に集め。そしてあっさりと開放して立ち去る。トリックスターを自称する愉快犯の、奇跡のような嫌がらせの顕現だった。 「……本当に気に食わないわね、あの男」 「障害が……無いので……楽、だけど……」 腹いせのように、フレアバーストを連発する氷璃の傍ら、エリスも数度に亘り天使の歌を紡いでいく。防御を一切無視した嫌がらせの決定打は、全員へ等しく痛手を与えたと言える。冗談のようで、抜け目のない男だ――が。 「コードが溶けても止まったようには見えない……なら、ここを壊せばいいかな」 ひゅ、と息を吸う音と共に引き絞った拳が、吐く息と共に開かれ、アンテナの根元へと打ち込まれる。一瞬動きが止まった直後、それは内側から爆砕し、回転しながら落下していく。屋上のコンクリートに叩きつけられた放射部は、原型を留めないまでに粉砕され、その稼働を止めたのだった。 ●裏パートB-2~C:攻勢一点・最終局面 時間は、テラーナイトの脱走直後に遡り、足止め班。 「絶対者状態じゃないなら、これは通る筈ですが……!」 カイの気糸が乱舞し、幾重にも連なって絶対者を絡めとる。しかし、動きを止めてもその身に有効打が入ったとはとても思えない。何せ、外骨格に負傷が殆ど無いのだ。本来の防御力がどう、というレベルではない。 「神秘攻撃耐性……なら、これは効く筈!」 真琴の刃が、絶対者へと叩き付けられる。大上段からの一撃は、然し束縛されながらも身動ぎした絶対者には完全に命中したとは言いがたい。 負傷部分が明確に見えている以上、反射や軽減されるよりは遥かに有効な手段ではあるが、それでも苦戦は免れない。 範囲を巻き込んで螺旋する大振りな顎の毒は、幾度か足止め班を薙いだ。小夜の回復、真琴のブレイクフィアーの効果こそ順当に作用したが、何しろダメージ効率が高すぎる。ほぼ全色の特定が出来たことは賞賛に値するが、このままでは冗談抜きでジリ貧だ。僅かであれ、猶予を作ったカイの一撃は大きかった。 (まだです……まだ、アンテナの破壊が確認できていません。耐えなければ……!) 一方、慧架は絶対者の攻撃を凌ぎ、或いは集中を重ねることでタイミングを図っていた。しかし、強力な一撃を叩き込むということは、反して奇声を振りまく危険性も内包する。全力の一撃であればこそ、おいそれと放つことが許されないのもまた、事実。 「――、壊、……成、」 気糸を引き千切り、絶対者が構える。今までのダメージに加えてこの一撃が飛んでこれば、リベリスタ達とて只では済まない。 (――さっきと同じ、神秘防御――) そして、慧架は耐えぬいた分、Q.F.P.の性能に知悉していた。気付くのも、早い。動きの前兆すらもスローモーションに感じる現状で、外す気が全くしない。 踏み込む。絶対者が身を捩る。慧架が足を振り上げる。 顎が迫る直前、慧架のつま先が絶対者を軽く打ち上げ、 「はッ!」 一閃。打ち上げた直後、拳が絶対者を地面へと叩き付けた。既に、他のメンバーにも破壊達成は伝わっている。合流まであと十秒、耐え凌げば相当に楽になる。加えて、今時分に慧架の全力の一撃が入ったのだ。追い風を得て、そうそう倒れられる状況ではない。 「お待たせ……何とか……終わった」 そして、状況を打開するように吹き込む癒しの歌や、遠くから突き進む真空刃が次々と戦場へと降り立つ。守護結界を張り終えた淳だったが、些かその様子がおかしい。こころなしか、興奮しているように思えた。 「大人しくしろ。いま味を見てやる」 ……はい? 「亡国の王なんて称号、貴方には相応しくないわ」 氷璃の魔曲が、絶対者へと突き刺さり、その身を荒らす。体液を振りまき、動きを封じられ、少しずつ弱りつつはあるが、やはり相手は頑丈だ。膨れ上がる気配の正体は、恐らくはその能力の発露の予兆。 「――皆、隠れて下さい!」 直観などの類ではなく、単純に警戒を強めていたが為の危機感。それが、カイを叫ばせるに至る。閃光が溢れる。轟音が劈く。フロアの一部を蹂躙するそれは、文明的に喩えるならスタングレネードの類だろうか。咄嗟に反応できた前衛は、カイぐらいのものだろうか。それでも、完全に凌いだとはとても言えない。 「今の状態は――物理防御状態ですか。一気に終わらせましょう!」 絶対者の暴威から立ち直った真琴が、ブレイクフィアーを以て呪いを浄化する。呼応するように、凪沙の掌底が絶対者に叩きこまれ、爆ぜる。氷璃の魔曲が響き、カイの気糸が閃き、慧架の渾身の一撃が絶対者を地に叩き伏せる。 動きを縛られ、体力の多くを喪った絶対者へ襲いかかったのは、淳。フードの奥から、牙が閃く。首を大きく仰け反らせ、勢いを溜めて一気に――、一気に? 「ガアァァッッ!」 ……吸いました。 うん、これがトドメだったとかそんな事は無いけれど、やっぱりこいつら吸血だけは駄目だったらしい。 斯くして。 ほんの小さな苦鳴を上げて、絶対者はその命を異界の地で喪うこととなったのである。 ●エンディング:どうしてそうなった 「いゃぁぁぁ、Gが、Gがー!」 戦闘終了後、もぞもぞと現れたほんの少数の下位種(ぶっちゃけG)の存在に、小夜は声を凅らさんばかりに叫び、逃げ惑っていた。気持ちはわからないでもない。倒すべき敵ならいざ知らず、日常の怨敵とかできれば勘弁願いたい。そりゃ逃げる。 「触るのは絶対に嫌よ?だから、回収して頂戴」 アークの研究班が律儀に回収作業に当たる中、氷璃の言葉は冷やか且つ適切だった。少しでも残骸が残ろうものなら、フレアバーストで焼き払う準備万端だ。 というか、女性陣のヒきっぷりが半端ではない。そんなに嫌だったのか、回収作業。 「……ところで、その。大丈夫だったんですか?」 全身から満足気なオーラを振りまく淳に、恐る恐るカイが問いかける。何が大丈夫かは言うまでもあるまい。淳も気付いてる様子である。 「カスタードクリームに醤油をかけたような味だった」 満足気だった。何だかとっても満足気だった。 ……すげぇなあ。 『つまんね……ァ、昨今の……足りねえ。もう少し好き放題やれば……そうすればきっと――』 支配が解けた筈の電波帯から、途切れ途切れに声が響く。生理的嫌悪を催すその苛立たしい声色は、当面途絶えそうにない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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