●血濡れの遊戯 「ふふっ……ねぇ、今日は何して遊ぼうか」 「何が良いかなぁ。こうやって……切るのはね、あれはこの間やっちゃったもんねぇ」 年頃の少女の、ころころと鈴が鳴るような声音。 問われた相手の声が返らないのを見て、少女の表情に愉悦が滲む。 ひどく愉しげに鉄槌を振り上げると、柄に巻かれた鎖がじゃらりと鳴ったその後に、重く鈍い衝撃音が響いた。 小さく悲鳴が上がった気がするけれど、彼女達にとっては些細なこと。 幾度か槌が振り下ろされ、その度に少女の顔つきが、段々と凄絶な笑みへ変貌していった。 「は、はは……あはは、ははっ」 潰れた何かが、少女の足元に転がっている。 返り血を盛大に浴びてなお、彼女の表情は、歪んだ笑みが消えなかった。 「……あまり、派手にやり過ぎるなよ。もう、何だかわからないじゃないか」 手持無沙汰に太刀を弄っていた、長身の少女が声を掛ける。 その光景を眺めていた別の少女が嬉しそうに、ふふふと喉を鳴らして、 「次は私に代わってね」 ぞっとする台詞を、まるで当たり前のように紡ぐ。 そう、これが当たり前。彼女達にとっての日常。 他者から見れば、何ておぞましく、度し難い。 けれど彼女達にとってはいつもの事で、荒んだ心を慰める悲しい手段の一つでもあった。 ●壊れた少女 「フィクサードが、現れたよ」 部屋へ集ったリベリスタ達は一斉に声の主へ視線を集中させる。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は資料を示して言葉を続けた。 「ジャック・ザ・リッパー。この間の派手な宣伝、皆も見たよね。討伐を依頼したいのは、奴の呼び掛けに賛同……してしまったフィクサード。数は4人」 いずれも若い少女。 その少女達は4人とも、もともと普通の、何の変哲も無い日常を送っていた――これからもそうであったはずの女の子なのだ、と。 けれど、どこかで道を踏み外した。 大人に、社会に、世界に裏切られ、棄てられ、ぼろぼろになって、姿の見えない敵への復讐に、その短く淡い少女の日々を費やすことで、それぞれの自尊心を守ろうとした。 やがて血を浴びる度に、心が歪んでいき、ますますジャックの言葉にのめり込んでいった。 こんな、自分達を見捨てた世界なんて、壊してしまおうと。 心はもう、とうに壊れて仕舞っているのだろう。 「既に何人か、手にかけているね……」 残虐さと悪意に染まってしまった彼女達をこのままにしておくなど、到底出来ないから。 皆に託したい。 もう一度、「お願い」と声が聞こえた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:紅遥紗羽 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月04日(火)23:12 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 陽も落ちかけた夕刻の空が、緋色の光で辺りを照らしている。 日頃から、遊び回る子供の目も引かないような寂れた場所なのか。黄昏の光を浴びる人影の中に、幼い子供達の姿は無かった。 佇む人影は思い思いに言葉を交わしてくすくす笑い合ったり、手に持った得物を弄ってみたり。 それは未熟さと凄惨さを抱いた、ある意味では幼いとも言える、歪な心を持つ少女達の姿だった。 「色々事情があったとは思うんだけど。あの放送が無ければ、他の未来もあったかも知れないと思うとね……」 ……何様だ、あのパンク野郎。 『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)の心が波立ち、扇動者たるジャックへの腹立たしさが口をついて出る。 『捻くれ巫女』土森 美峰(BNE002404)は公園の周囲へ結界を張りながら、 「何があったかはわかんねぇけど、一線だけは踏み越えちゃいけねぇ」 救ってやるなんて、大それた事は言わないけれど。 日常に不似合いな武器を除いた姿だけなら街にいる少女達と何ら変わらない、そんなフィクサード達の姿を目に一人ごちる。 少女達へ歩を進める『飛常識』歪崎 行方(BNE001422)の足取りは迷い無い。 「行動にはすべからく責任がついて回るのデス。アナタ達はその責任を取る時、果たして耐えられるのデスカネ……?」 投げかけられた彼女の問いに気付き、少女達は怪訝な表情を返す。 「……誰?」 まるで親しい友人へ話しかけるかのように、行方は笑顔を崩さない。 ――もっとも、その後方から近付いてくるリベリスタ達からは、公園内を満たす闘気、或い は哀切や侮蔑を込めた視線が入り混じっているのだけれど。 「さあ少女達、殺人鬼の世界にようこそデス。デスガ、この世界は淘汰に満ちた世界。…他人の影響を受けた、遊び感覚で踏み込むんじゃないデス」 刻むデスヨ? 大きな太刀を弄っていた少女が、座っていた柵の上から降り立つ。太刀を構えながら、その視線は即座に眼前の見知らぬ少年少女達の持つ武器、そしてそれぞれの姿へと走る。 「……成程な。こいつらが好き勝手に散らかしていくから、私はなるべく足がつかないよう気に掛けたつもりだったが……早かったな。何処の所属だ?」 『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)が、この子がナイトだろうと踏みながら、真剣な瞳で太刀の少女を見据える。 人を殺した事では無く、それを楽しんで行う程に心が腐り落ちて仕舞っている事が許せなくて。 問いには答えず、ただ告げる。 「私達は、貴方達を止めに来ました。これ以上の殺戮は――決して、させはしない」 ● 目配せし合い状況を察した少女達からも、じわり殺気が伝わるのを、眼鏡を押し上げながら『消失者』阿野 弐升(BNE001158)は感じ取った。 茶髪の少女が構える大槌から、じゃらり鎖の音がする。これがチェインか。 そのまま後ろで本を抱いて眉根を寄せる黒髪の少女へ視線が移る。隣には流線を描く金髪を揺らしガントレットを構える少女。恐らく順にバラッド、クイーン。 「また禄でもないものに感化されましたねぇ……でもまあ、叩き伏せても良心が傷まないのは気が楽です」 「! 碌でも、ない……ですって?あんた達が何者かは知らないけど、あたし達を馬鹿にしてるってのは分かるわ!」 叫ぶチェイン、続いてナイトが先鋒を切って走り出す。 行方は笑顔のまま、チェインに視線を合わせて距離を詰める。 「そうデスネ…アナタ、アナタがいいデス。一番ボクに近いデス。そう、劣化した、模倣無個性の殺人鬼。アナタデスヨ!アハハハハ!」 振り下ろされる槌を『肉斬リ』包丁で受け止める。かわしきれない衝撃が体に響くが、笑みの形に歪めた口元は変わらず、爆砕の気を満たしていく。 裏切られて棄てられて、それはとても辛かったのだろう。 「でも、だからって……」 『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)はきゅっと唇を噛み、少女達へのやるせなさが渦巻く心を抱えてナイトに迫る。 「貴方の相手は私が。御相手頂けますか騎士様?」 「へえ、あんたも刃使いか?不足は無いな」 振り下ろされた、うさぎの『11人の鬼』。傷と共に、強い毒と回復を妨げる力がナイトの体に染み渡る。 苦しげに、しかし面を上げた剣士の瞳には好敵手との戦いを楽しむような光が宿っていた。 クイーンが能力を集中させて次手に備え、アンナが、バラッドが、マナの集中を高める。 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086) の守護結界が守りを強かにする力を添え、美峰も彼女に続く。 戦気を爆ぜさせるナイトの太刀を抑えるうさぎ、彼女達の横をすり抜けて、クイーンに接敵するのはリセリア。 剣を抜き斬り付けるように、しなやかな身のこなしを更に鮮やかなものにする。 「剣持ち振るう以上、ここは戦場。――お遊びをする世界では無い事を知りなさい!」 「うるさい、うるさい!何なの、あなた達は……説教ならもう聞き飽きたわ!」 忌々しげに喚くクイーンの言葉が、周囲を満たす闘気に流される。 「まさに、乾坤一擲ですね」 仲間がクイーン達を抑えるのを確認し、即座に弐升が動く。狙いはバラッド。 電撃を纏う捨て身の攻撃は、自らにも反動を強いる両刃の剣。痛みに耐えながら、それでも早期決着の為、賭ける価値はあると。 緋色の光を受ける銀色の髪を靡かせ、『薔薇の吸血姫』マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)は、自分と彼女らの境遇を重ねて見ているようだった。 (だってボクだって、家族を失った時は世界を呪ったもの……) だけど、だけど。頭を振る。放つ気糸がバラッドを締め付ける。 殺しそのものを望むのは、違う。ましてやそれを楽しむなんて理解出来ない。 壊れてしまった少女達に掛けられる言葉がもう無いのなら。 「それならせめて、ボクの手で終わらせてあげる……!」 ユーヌの式符・鴉がバラッドの頬をかすめていく。傷は浅いが、激昂させるには事足りたようだ。 バラッドの表情が苦痛に歪み、ユーヌを睨みつける。 ハ、と嘲りながら長い黒髪を靡かせ、自分の頬――バラッドへ付けた傷と同じ場所をとんとんと指で叩き示しながら、ユーヌは更に彼女を挑発する。 「少しはまともな顔になったな、主演をはれそうだぞ? 元からホラー専用の面だが」 「……悪趣味だわ」 バラッドの神気が光を放つ。 ショックの衝撃に歯噛みする幾人かを横目に、鎖の音とともにチェインが得物を振り下ろす。 その槌の一撃に耐えながら行方が放つメガクラッシュ。吹き飛ばされた槌の少女は、柵に強かに打ちつけられ、苦悶の声を上げた。 「刻み殺す者が刻み殺されないわけがないデショウ?殺人者の世界とはそういうものなのデス、ボクも含めて」 「知った風な、口を……!バラッド、何やってんのっ」 怒りの束縛を振り切ったバラッドが、焦りを帯びたチェインの声に応じ、戦場全体を満たす癒しの歌を奏でる。 自らが放つギガクラッシュの反動に耐えながら、弐升は『ヴォーパルエッジ』で執拗にバラッドを狙っていた。 互いに傷付き傷付け合い、間を縫う回復の応酬。 だがその均衡も、フィクサード側の回復役の要であるバラッドを倒せば崩れる脆いもの。 少女達の心、或いは浅はかな心のように。 ユーヌの罵倒と弐升の無感情な目に苛立ちを見せる黒髪の少女――バラッドの体に、マーガレットの死の爆弾が傷を増やす。 回復が追いつかない。バラッドが怒りと毒を振り切る間にも仲間の傷は深まるばかりだ。 追い打ちをかける様に降り注ぐユーヌの氷雨。 更に弐升のアデプトアクションが狙い撃つ。 「さて……手こずらせてくれましたが、これで止めといきましょう」 小さな悲鳴が上がる。私は皆と一緒に居られればそれで良かったのに…… 集中砲火を受けた憐れな少女に、逃げ場は無かった。 ● いつの間にか外灯の明かりが、戦場と化した公園を照らし始める。 やや心許ない明るさだが、戦うのにさしたる支障は無く。 夕陽が沈みかけてから夜の闇が周囲を支配するまでの時間の短さは、対峙するリベリスタ、少女達にとっては尚更に短く感じられた。 「バラッド……!? うそ……」 一瞬、放心したようにチェインの顔が蒼褪める。 あたし達が負けるなんて、あり得ない。何処から出たのか空虚な自信が、砂礫と化していく感覚。 負ける?自分達が……気を取られた槌の少女を、「何処見てるのデス?」行方の攻撃は容赦ない。 「ありえない、ありえないわ。あたし達が」 死ぬ、なんて。 「い、いやっ……!」言うが早いか、チェインは身を翻していた。 「! だ、だめっ」 咄嗟に体が動き、マーガレットがチェインの前に回り込む。ほぼ同時に、自棄になって振り回されたチェインの槌がヴァンパイアの少女の体を強かに打つ。 「マーガレットさん!」 アンナが声を荒げ、即座に天使の齎す風でマーガレットの体を包みこみ、 「尻尾を巻いて逃走か?犬並みの知能と思ったが、行動も負け犬並だな?」 ユーヌの鴉が招く怒りが、チェインの身を包む。 思わず足をもつれさせ転んだ彼女の体に、 「遊びは、まだ終わってませんよ?」 電撃を放つ弐升の一撃が撃ち込まれる。 聞くに堪えない悲鳴と血を吐いて、少女の体が地に伏した。 「何なの?何なのよ……」 焦燥したクイーンが頭を振りながら、リセリアへ向けてアデプトアクションを放つ。 残影剣で応じながら言葉巧みにクイーンを引きつけるリセリア。 心酔するジャックへの侮辱に食いついてくればしめたもの。 「度が過ぎたごっこ遊びですね。……触発されたのがこんなのでは、あの男の程度も知れるというもの」 「! 何、ですって……?あのねぇ。ジャックは私達でも出来ることがあるんだって、教えてくれたの――私の気持ちなんて、あなた達は知りもしないくせに」 「……身上への同情など今更無意味ですし、するつもりもありません」 ただ、止める。その為に此処にいる。 傷に耐えながら各々の役割を果たす仲間の姿に、アンナは歯痒さを感じる。 回復を担う自分が矢面に立つことはできない。 (誰かの盾になる訳にはいかないの……) 一瞬伏せられた瞳は、すぐに熱を灯して戦場を見据える。ずっと立ち続けて皆を癒すこと、それが私の仕事だから。 奏でられた天使の歌声が、仲間に降り注ぎ、マーガレットの頬を撫でていく。 「アンナ、ありがと。まだだ、まだ終われないよ……!」 何とか立ち上がった彼女のギャロッププレイがナイトを締めつけ、その動きを鈍らせる。 「こんなのが、楽しいんですか?こんなのが貴女達の慰め?」 うさぎの声にナイトは答えず、重く太刀を振り下ろす。ただその表情からは既に余裕が消えていた。 血飛沫が頬に舞う。それでもうさぎは耐えた。 「……っ、構って貰える事より、話して貰える事より、叱って貰える事より、褒めて貰える事より……こんなのの方が良いんですか?本当に……?」 「うさぎ……」 斬っては斬り返し、戦場の何処かで絶え間なく血が流れる。 傷癒術でうさぎを援護する美峰の足が、ばしゃりと血溜まりに沈む。 血の香にあてられたか体がふらつきかけるのを、目の前で太刀を受け続ける夜翔け鳩の少女の姿が目に焼き付いて、踏み止まらせる。 (此処で私が倒れちゃ、だめだろ……) 絶対絶対、負けない。 「鎖のお嬢さんにはさよならデス。次はアナタの番デスヨ?」 行方のメガクラッシュがナイトの体に血の傷跡を刻み、剣戟の応酬を迎え撃つうさぎの目に灯る熱は揺るぎない。 「……とっとと逃げるが勝ちだと思っていたが」 「逃がしませんよ?」 「はは、逃げないさ。あんた、実直過ぎるぜ。……もう止めだ」 意外な言葉に目を瞬かせるリベリスタ達。 吐血の赤に塗れたナイトの口元が笑みの形に吊り上げられ、ユーヌに押しつけられる怒りの為に回復もままならなかったクイーンへと、目配せをする。 ナイトが相棒の名を呼んだようだが、聞き取れなかった。ただ口の動きが示していた。お前は、逃げろ。 何を言っているのか分からない。そんな表情を見せるクイーンを、ユーヌの鴉、弐升のギガクラッシュが無慈悲に打ち据える。 剣士の指を彩る指輪が、パキリと砕ける音がした。 一瞬の逡巡を振り払い、祈るように振り抜かれたうさぎの刃がナイトの体を切り裂いていた。 その表情は何かを諦めたような、受け容れたかのような…… ――あんたとならまた闘り合うのも悪くない。 頭上から降る声に、うさぎは何も答えられず、俯く。 悲鳴も上げず世界を呪うでもなく、剣士の少女はただ静かに倒れ伏した。 「ナイト?ナイト!?いやっ……」 気付かぬうちに流れ出した涙をぬぐうのも忘れて、息を荒げながらクイーンが周囲を見渡せば、8人の、16の瞳が彼女を射竦めていた。 私は、1人。みんな、やられちゃった。ナイトも―― 途端に哀しみと、それを上回る怒りが体から湧き上がる。 「よくもっ、私の仲間を……畜生っ!」 クイーンの指に嵌められたリングが、光彩を放つ。 「これは、恐らく強化の……」リセリアが身構え、注意深くクイーンの様子を窺う。 ――けれど。冷静になれば気付いたこと。 仲間が一人も残っていない今、それが何になるのだろう。 アーティファクトでの底上げを鑑みても、8対1では流石に分が悪かった。 治癒は1人に対し申し分ない回復を与えるが、それに対し返されるのは、8人分の刃、そして合間に狙ってくる怒りの付与。 憐れさがいや増すばかりで、マーガレットは困った様な表情でハイアンドロウを放つ。 得るよりも流れ出て行く力の方が大きい。怒りの効果もあったのだろう、クイーンは回復の手を止め、ユーヌへ気糸の罠を打ち込む。 まだ僅かながら回復の余力を残していたアンナが即座に癒しの歌を奏でる。 「ふん……無い知恵とは言うが、絞り滓素すら無い頭だ。冷えても何も変わらないか」 ユーヌが操る、凍てつける程に冷たい雨が降り、憐れみなど微塵も無くクイーンの体を打つ。 「他人に影響された没個性、淘汰されて当然なのデス。自らを持たない狂気等。アハ」 一閃。行方のメガクラッシュがまともに入り、ごぽりと口から血を溢れさせて。 それでもクイーンは立ち上がり、戦い続けた。 最後まで、最後まで、酷く滑稽だった。 「死にたく、ないよ……」 倒れ込んだ公園の土と涙で顔が泥塗れになるのも構わず、虚ろな目でクイーン……だった少女が呟く。 「殺し合いなんて、まっぴら御免よ……ジャックと一緒にしないでちょうだい」 それこそあいつが喜ぶだけじゃない。 頬に添えられたアンナの手に安堵したのか、単に力尽きたのか。 少女はゆっくりと目を閉じた。 本人達にとっては幸か、不幸か。4人とも、消耗は激しかったがまだ生きている。 アンナの進言で、彼女らはアークへ連れ帰ることになった。 リセリアが一人の体を抱き起こしながら、呟く。 「……この先を生きて迎えたとして。それが、彼女らにとって……色を得るものなのかは、わからないけれど」 それでも――終止符は、穿たれた。 「それからこいつらがどうするか、だな……」 万一、また愚行を繰り返すようなことがあれば、その時こそ再び断罪の刃は落とされるだろう。 うさぎへ手を貸す美峰が眺める前で、砕けたアーティファクトの欠片が砂に紛れながら微細な光をちらつかせ、風に舞い上げられていった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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