●若気の至 教会の中で、白い無地のシンプルなワンピースに身を包んだ少女が十字架を見上げていた。 立ち上がっても地につくほど長い金髪を赤いリボンで飾る。 背には白き翼があり、その姿こそまさに天使。 「糞みたいな神様。今日も良き一日でありますように」 指で十字を刻み、祈り手に祝福のキスをする。 その後、傍らの人形を大事そうに見つめる。 「シンヤ様。マリアを拾ってくれた恩は必ずお返しするの」 そして、人形を大事そうに抱える。 頬を桃色に染めて、片手で人形を撫でた。 「ねぇ、テディ。お預けされて、もう何日も遊んでない?」 まだ子供である少女――マリアは、頬から涙を流した。 ふと、手元の携帯に一件のメールが入った。 それをそそくさと見るマリア。 その表情は哀愁の漂っていた泣き顔から、満面の笑みへと変わった。 「あはっ! ァアルメレミルウウウウウウウウウウウウ!!!!」 突如、少女が叫んだ。 その瞬間、手元の熊の人形が生きているようにマリアの首に噛み付く。 そして、少女を囲むように、五体不満足や奇形のマネキンが四体現れた。 「遊んでいいって!」 マネキンの方へ振り向いた少女は首から絶えず血を流す。 アルメレミルと呼ばれる奇形のマネキンは、マリアの声に反応するように体を揺らす。 「さぁ、アルメレミル。シンヤ様のために。ジャック様のような美しい血祭りを」 ――私に見せて? 顔を斜めに傾け、光無きマリアの瞳が見開き、歓喜に涎を垂らす。 翼を広げ、宙を舞うその体は熊の人形を大事そうに抱えた。 素足を楽しそうにばたばたと動かし、体を丸める。 「ふふ、ふふふふ、ふああははははははははははははははははははは!!!!」 そして、いっきに体を仰け反らせ、抑えきれない衝動で笑い飛ばす。 その間にも増えていく奇形の人形。 その中心で踊る。見た目は天使な、最悪の堕天使。 「数はこれくらいでいいかな」 その数、八体。 マリアは教会の窓から飛び立ち、歪な人形達を連れて遊びに出かけた。 ――人が集まる大通り。 その中心に、少女が一人舞い降りた。 道行く人々は足を止めて、翼のある少女を物珍しく目にした。 「皆様! 頭上注意でしてよ!!」 可愛らしい声で叫び、頭上を指さす。 その瞬間、人々の真上から八体人形が降り注いだ。 「さぁ、アルメレミル! 切り裂き、血を流し、楽しませて頂戴!」 食われる者。刺される者。首をもがれる者。 一瞬にして地獄絵図を作り上げた。 「あはははぁぁあああああああ楽しい!! 見て、テディ! この無力なニンゲン共!」 溢れる快楽を地団駄を踏みながら、体で表現する。 血の海と化した大通り。 足元の血を小さな手ですくいあげ、頭上へ投げ散らし、小さな血の雨を作って遊ぶ。 それから、くるくると回りつつ足でステップを踏む。 「さぁさ、遊びは十分でしょう。三時のオヤツの時間までに帰らないと!」 その言葉に応えるように、アルメレミルは動きを止め――消える。 それと同時に、マリアの首に噛み付いていた人形が地面へ落ちた。 それを拾い上げて、再び大事そうに抱える。 血に染まった翼を高く広げ、まだ青い空へと消えた。 ●テディベア 十代前後の少女が起こす事件は狂いに狂っていた。 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は唾を力いっぱい飲み込み、息を吸い込む。 「多くの人々が遊ばれる前に、フィクサードを止めてください」 遊び。つまり、殺されるという事だ。 少女が遊びに飽きるまで、その惨劇は続く。 「幼いフィクサードの名は『クレイジーマリア』です。アークではないリベリスタ集団が、彼女を討伐した記録があったのですが……件の後宮・シンヤに拾われ、一命を取り留めていたそうです」 そして、シンヤには敬意と執着と依存の念を持ったマリア。 ――全てはシンヤのために。 一度消えかけた命の火を再度灯した彼のために、ただひたすらに遊ぶ。 「アルメレミルを生み出すアーティファクトは『断罪のテディ』です。万華鏡で見たとおり、形状は定番の熊の人形です。それを破壊して下さい」 「あの、噛み付いてたやつか?」 そう。シンヤから貰ったものなのだろう。大事に大事に少女が抱えていたソレ。 ただし、発動には条件があり、それは自らの身体を人形に捧げること。 そうすることにより、人形の支配を得るのだ。 「自分の身体を削って遊んでいるのか」 「はい……そうなりますね。断罪のテディを破壊すれば、人形は消えます。クレイジーマリアは戦闘にも長けていますのでお気を付けて。兎に角アーティファクトの破壊を最優先でお願いします」 ただし、注意して欲しいのはその断罪のテディの能力だ。 「数秒で数体のアルメレミルを生み出し続ける能力が観測されています。なので、倒さないと数が多くなります」 数の暴挙。恐ろしいアーティファクトである。 「アルメレミルは断罪のテディとその所有者を守るのが最優先としています。場所は教会で、今から行けば彼女が窓から飛び立つ前に着くことができます、急いでくださいね」 リベリスタはブリーフィングルームを後にした |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月03日(月)22:48 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●クレイジー 錆びれた教会と云えども、その姿は未だに神秘的なものであった。 神聖たる聖域なその場所は、すでに堕天使の住処。 綻んだ扉の穴から目を通せば、中にいる堕天使。クレイジーマリアをその目で見つけた。 「今はまだ、四体の様ですね」 『星の銀輪』風宮 悠月(BNE001450)はアーティファクトから生み出されたアルメレミルの数を仲間に教えた。 リベリスタは極力物音をたてないように、教会の扉の前に待機。 『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)が、仲間へ丁寧に護りの結界を張り、その横で『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)がリベリスタへ翼を与える。 その中でも一際教会内の様子を注意深く伺うのが、『錆びた銃』雑賀 龍治(BNE002797)だ。 己の耳を研ぎ澄ませ、マリアの一言を逃さない。 「数はこれくらいでいいかな」 幼い少女の高い声。そう、それが突入のトリガー。 「聞こえた! 行くぞ!」 龍治が仲間へ呼びかけると同時に、『きまぐれキャット』譲葉 桜(BNE002312)が両手で扉を勢いよく開けた。 桜を先頭に、八人のリベリスタが教会内へと走る。 状況確認――八体の歪な人形と、空へと舞い上がり、窓へ向かうクレイジーマリア。 テディに噛み付かれた首から血が流れ続け、教会の地面を濡らす。 「待つのだ!!」 叫んだ雷音が、背中の白き羽を広げてマリアへ飛びつき腕を掴んだ。けして、逃してはいけない。それは雷音の強き意思。 腕を掴まれ振り向いたマリアが、光のささない絶望色の瞳で雷音を見た。 「痛い」 それだけを言って、その手を振り払った。 すかさずアルメレミル達がマリアを庇うように、雷音との間に入った。 「お出掛け前に、私達が遊んで上げるわ」 『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)が、黒き傘をマリアへ向ける。 「遊んでくれるのね!」 両手て両頬を抑えて、可愛く笑うマリア。 だが、けしてその瞳は笑っていない。狂気に満ちて、狂喜に浸る。 マリアの遊ぶという意味は、文字通りの遊びでは無い。 正真正銘のフェイトを削り、命を燃やす。それを楽しんで、それが遊び。ただの殺し合い。 元々戦闘人形なフィクサードであったマリアだが、今はシンヤのため。 彼がジャック・ザ・リッパーに心酔するのであれば、自らもそれに酔う。 今は殺しを重ねる。少しでもその高みに近づけるように。 遊び相手はいつも壊れて無くなるけれど、リベリスタは長持ちするし、牙を向く。 「歌ってね、綺麗で阿呆臭い絶叫を」 ●クレイジークレイジー 「神の天罰をくだします!」 『フィーリングベル』鈴宮・慧架(BNE000666)が斬風脚をと、教会の椅子に立った。 「天罰ね、冗談は嫌いよ。それに貴方達……遅いのよ!」 が、慧架よりもマリアと二体のアルメレミルの方が早かった。 一体はマリアの前へと庇う位置に身を置いたが、もう一体が『Trompe-l'?il』歪 ぐるぐ(BNE000001)に爪をたてる。 ぐるぐの身を掻き斬り、出血が伴う。 そして、マリアが治癒の歌をうたった。 テディの効果でその身を削っているマリアだが、歌による回復力も甚大。 それから更に一体のアルメレミルがマリアの背後から飛び出し、桜を掻き斬った。 そのすれ違いで慧架の綺麗な御御足から放たれた真空波が、ぐるぐを切り裂いたアルメレミルの胴体を斬る。 受けた傷に苦痛を感じて、脇腹から生えているアルメレミルの腕が虚空を掻き毟る。 「さって、それじゃ大掃除させて貰うですよっ!」 桜が指に挟んだスローイングダガーを巧みに放ち、アルメレミル達へと当てる。 「來來、氷雨! お熱な天使を冷めさせよう」 呪力を天へ投げた雷音の呼び声に呼応するように、天井から魔力の雨が敵に降り注ぎ、人形達を凍らせる。 雨に咄嗟で頭を抑えたマリアだったが、一体のアルメレミルが彼女の傘となり覆い被さる。 休む暇も無く、悠月が電撃の槍を召喚。身体に浮かぶ魔術師の瞳が彼女に力を与えて光り輝く。 雷槍は四体のアルメレミルを巻き込む。 そこから追撃の、氷璃のフレアバーストが飛ぶ。 マリアを中心に展開された業火だったが、再びアルメレミルが範囲外へとマリアを逃がした。 その最中に二体のアルメレミルがぐるぐと悠月を切り裂く。 空中で燃える業火が鎮火仕掛けるその前に、あひるは両手を前に、陣を展開。 (あひるが、血に染まった羽を真っ白にしてあげるから……) マジックアローをテディへ飛ばすが、業火に身を燃やすアルメレミルが彼女の盾となった。 「ありがとうアルメ……!?」 マリアは盾となったアルメレミルを優しく撫でた。が、その瞬間アルメレミルが地へ落ちて消えた。 人形を撫でていた手が、虚空に行き場を失う。 「退屈しないだろう?」 龍治の的確なスターライトシュートだ。 「たかが、一体!」 冷静を装うマリアだが、怒りが見える。 「ぐるぐさんのこと、忘れてないです?」 凍り、燃えて、感電するアルメレミルを避け、気糸が噛み付くテディを確実に捕えた。 人形であるテディの一部で、綿がザクロのように爆ぜながら露出する。 「ぁあ、」 舞い散る綿を見て。 「ああああ、」 それがどれだけ大切なものか。 「ああああああああ!!」 彼女の怒りの逆鱗に触れた。 「こいつら皆殺せええ!!」 震える声を出し、限界まで見開かれた目がリベリスタ達を見る。 二体のアルメレミルが悠月と慧架を切り裂いた。 ●クレイジークレイジークレイジー しばらくマリアは天使の歌をうたい続け、消耗した身体を完全に近い状態まで持ち直す。 もしリベリスタが四体の時点で突入していたら、もっと早くマリアは戦闘に参加できていただろう。 その間にもアルメレミルは彼女を庇っては、消えていく。 残り三体となった所だが、ここで恐るべきアーティファクトの力が発動する。 体を流れる血を対価として再び四体のアルメレミルを召喚。同時に自らへも戒めとして傷を負った。 これで七体。だがリベリスタは消耗してきている。 「長くなると、難しいですね」 悠月が椅子の影に隠れながら、言葉をもらした。見上げて祭壇を見たが、マリアがそこにはいなかった。 ふと横を見れば、祭壇の上を飛んでいたマリアがバージンロードへ移動していた。 教会はバージンロードに垂直に机と椅子が並ぶ。 「かくれんぼは、下手?」 祭壇からは隠れて見えても、横にこられたら丸見えだ。マリアは移動しない訳では無い。 目線を向けた先は、片側の椅子に身を隠していたぐるぐ達。 「回復されると、面倒なの……かはっ」 そう言うと、マリアは吐血をし、苦しそうに胸を抑えた。 流れた血は鎖となりて、リベリスタを襲う波となる。 ――葬操曲・黒。 「いけない」 咄嗟に氷璃があひるを庇い、その背でマリアの視界から外す壁となる。 数少ない回復役を、葬操曲に巻き込むわけにはいかない。氷璃の勇気ある行動。 ぐるぐと悠月と氷璃は鎖に飲み込まれ、猛毒の海で溺れた。絡まる鎖に行動を制限され、更にその身を切り裂く。 マリアはそれを楽しそうに見つめた。 氷璃の身体からフェイトの喪失が光源の光が溢れた。 それを目の前で見たあひるは氷璃の身体を強く抱きしめる。 「あひるは……あひるは」 優しさは強さ。あひるの身体から光が放たれ、 「みんなのこと、護るんだから!!」 それが、毒気を払う手助けをする。 マリアがその光から目を背けている間に、二体のアルメレミルが慧架と龍治を襲った。 慧架は教会の椅子を飛び渡ってその攻撃を避け、龍治も数センチのところで爪を避ける。 龍治が体勢を立て直しながら、そのままマリアへ光弾を放つ。 寸前で、アルメレミルが間にはいり、爆ぜて消えた。 「一体じゃ駄目。貴方達、盾になりなさい」 マリアが新しく生まれたアルメレミル二体に命令をし、それに忠実に壁となる。 その横でアルメレミルが二体消えた。 桜の放ったハニーコムガトリングが、雷音の陰陽・氷雨が、アルメレミルを捕らえた。 残りは、今生まれたばかりの四体。 二体は守りに、二体は攻撃に。あと少しで壁が消える。 ●クレイジークレイジークレイジークレイジー 葬送曲から立ち直った悠月と氷璃が攻撃に加わったため、複数攻撃できる者が増えた。 その威力は甚大で、マリアがその傷を塞ぐが、間に合わない。 「あ、あぁああああアルメレミル!!?」 ついにマリアを護るアルメレミルが全て消えた。 彼女と長期戦をするのは、リベリスタには良い事は無い。時間が長引けば長引くほど、あひるや雷音の回復も追いつかなくなる。 今こそ苦悶のテディを破壊するチャンス。 ついに一人となったマリアはリベリスタから後ずさりした。 「まだあと少し」 そう、もう少しで四体増える。壁ができればまた反撃できる。 「もう、やめなさい」 慧架が集中を解除し、マリアの目の前に瞬時に走る。その勢いに乗り、マリアの体を地面に叩き付けた。 血混じりの胃液がマリアの小さな口から漏れ出す。 無様にも地面に転がるマリア。その首を噛み続けるテディへ、桜が1$シュートを放った。 だが、マリアがそれを庇う。 テディ。それだけは、なんとしてでも守らなければいけない。それが彼女の意思。 それから魔曲、1$シュート、ピンポイント。 庇い続けた、長い十秒。 ついに、マリアの体が光る。その意味はフェイトの喪失。 再び、アルメレミルが四体増えた。 だが、完全な状態のアルメレミルが増えるのに対して、リベリスタの消耗が追いついてきていない。 「よくも! いい加減死ね!!」 傷ついたマリアの体は宙を舞った。そして、唸りながら頭を抑える。 今までと、何かがオカシイ。 「みんな! 隠れるのだ!」 堕天落としがくる。 雷音が、直感を利かせて仲間に呼びかけた。 各々が頭上の少女から見えない机の下や椅子の下へと隠れた。 だが――三体のアルメレミルが先に動く。 あひると雷音、そして悠月に絡みつき、離れない。つまり、隠れられない。 「うう」 唸るマリアを中心に、小さな魔方陣が何十個単位で展開された。 見逃さない。 ぐるぐと氷璃が僅かな隙間からその技を見取る。 だが複雑すぎる。むしろマリア自身が陣の一部と化している。 「カみサまに近づキすギタ天使は、ツばさをモガれ、地に堕チたのよ」 マリアの眼前から、閃光が放たれる。黒く黒く、ドス黒い閃光が。 射抜かれた三人は、四肢が硬くなり石となって動けず。ただただ、頭上から高い笑い声が聞くばかり。 「まだ終わってないわ」 傷ついた体に鞭をいれ、氷璃が四色の陣を組み上げる。美しく、精密に、そして強力な陣を。 向かった先はテディへと。マリアを助けたいその一心で。 だが、アルメレミルの妨害が入る。マリアの心は絶対零度のように凍り付いている。 溶かせるのは、もう、シンヤだけ? 続いて慧架が再び机の上へ凛と立つ。漆黒の黒髪を靡かせて、高くバク宙しながらかまいたちを放つ。 同時にぐるぐが気糸を放った。 アルメレミルをかすり、マリアの横をかまいたちが飛んでいく。 その後ろから気糸がアルメレミルの胴を突いた。 アルメレミルが地に落ち、消えていく。残り、三体。 龍治が再びテディに1$シュートを放ち、かすって片方の耳を飛ばした。 それを見たマリアが再び絶叫する。 「これで、これで終わりよ!!」 桜が1$シュートを、ダガーをテディへ向けて投げる。 「やめて!!」 マリアが叫ぶ。これさえ当たれば、テディは壊れるだろう。 ―――――だが、当たらない。 「え? ふ、ふふぁあアハハハハハ!!」 拍子抜けしたマリアが高い声を上げて笑った。顔は歪んで、口から涎を垂らすほど笑った。 ●くれいじー? 「神様は、私に味方したのかしら」 マリアが紡いだのは電撃。 見える限りのリベリスタへ放ち、直撃させる。 その一本に当たってしまった氷璃はその場に倒れ、起き上がらなかった。 あひるの小さな身体からも光が零れた。 近くで雷音が石化した手足を動かそうともがいた。だが、動かず。 少し離れた場所にいるあひるも悠月も同じだ。すぐそばで仲間が倒れているのに、何もできない。 「壊れちゃった? 壊れちゃった?」 クレイジーマリアの狂喜は増すばかり。 「おいたが過ぎますよ」 慧架が再びかまいたちを放ち、アルメレミルに直撃する。 アルメレミルに守られたマリアは、笑うばかり。 「ぐるぐさんの一撃は痛いですよ」 ぐるぐがピンポイントを放つ。 もちろんそれはアルメレミルによって防がれたが、アルメレミルが爆ぜて消える。 「息あがってるよ、お兄ちゃん!」 「ふん、まだだ」 マリアに挑発されたが、龍治は冷静に。 アルメレミルに妨害されるが、希望を捨てずにテディへと銃口を向ける。 放たれた光弾は確かに直線状にテディを捕らえたが、アルメレミルが壁となり。 桜が頭上の獣耳を揺らしながら机の上を駆け出す。 スローイングダガーを複数指に挟み、ハニーコムガトリング。 アルメレミル一体がそれを避け、もう一体がマリアを庇った。 「飽きちゃった」 紡いだのは再び黒き鎖。 自らにもダメージを負う葬操曲。血に塗れたマリアの一撃がリベリスタを襲う。 「動ける者は隠れるのだ!!」 雷音が吼える。自身は隠れられないというのに、懸命な判断。 「あひる絶対マリアちゃん、助けるって……決め……」 「く、ここまで、ですか」 黒き鎖に絡まれて、猛毒の海に溺れて、力尽きたあひると悠月が倒れた。 雷音も黒き鎖から蝕む毒で、あとどれだけ持つか分からない。 残った仲間はマリアへ攻撃を仕掛けるが、アルメレミルがそれを防いで破壊し――残り一体。 マリアは天使の息を奏でて、その強大な神攻から自らとアルメレミルの体力を大回復させる。 諦めないリベリスタは攻撃を仕掛け続けた。 その最中で身体に毒がまわった雷音が倒れた。 苦しい戦いの中で最後に動いた桜の攻撃でラスト一体が倒された、その時。 「ちょ! まだ増えるの!?」 桜が思わず声をあげた。 再び四体のアルメレミルが生み出されたのだ。 「これは、ちょっと……」 慧架が不味いと悟り、斬風脚をマリアへ放とうとするが、アルメレミルの速度が一歩早かった。 その身体に絡みつき、慧架の動きを完全に止める。 それに続いて三体のアルメレミルがぐるぐ、桜、龍治の動きを止めた。 「さあどうしようか」 紡いだのは堕天落とし。 白いワンピースを揺らして、血に染まった羽を広げて、呪縛によって動けないリベリスタ達へ堕天使の閃光を撃ち込んだ。 動ける者が、いない。一方的な攻撃が始まる。 「――また、遊びましょう?」 そう言って、窓から飛びだって行った。 二度とその教会には戻らず、残ったのは傷ついたリベリスタ達だけ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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