●秘密の速報 政府によって『無かった事』にされた怪事件がある―― それは身の毛もよだつ恐ろしい事件……不可解な事件…… ラバーカップを生産している工場から、出荷待ちのラバーカップがごっそり姿を消したのだ。 その犯行の手口はとても人の者とは思えない。 そう、『ラバーカップが自ら外へ出た』としか言いようがない奇怪な事件なのであった。 消えたラバーカップは未だ見つかっていない。 これは一体誰の仕業なのか? 何が目的なのであろうか? 真相は、神秘の闇の中―― ●速報の秘密 「皆々様ご存知かと思いますが、これが『ラバーカップ』――又は通水カップ、俗に言う『かっぽん』とか『スッポン』、英語での正式名称はPlunger。 『ラバーカップ』ってのは『ラバー製のカップ』から生まれた和製英語なんですって。ヘェ~ですな」 事務椅子をくるんと回してリベリスタ達の方へと向いた『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)の手にはお馴染の清掃道具。便器の詰まりをかっぽんと直してくれる頼もし~いアレだ。 「サテ。今日はラバーカップの魅力を伝えようの会でもないんでちゃちゃっと本題に入りますぞ。耳かっぽじってお聴き下さい。 あ、ついでに言うとこれはさっき買ったばっかりの奇麗なラバーカップなんで、そんな嫌そうな顔をしないで下さい。断じてアークの便所から失敬してきたものじゃないんで。そんなことしたら私、エフィカ様あたりに窘められちゃうんで」 軽口と一緒にラバーカップを無骨な機械ハンドで回しつつ、メルクリィがモニターを操作する。 映し出されたのは小規模な工場だ。まさかここが今回の戦場なのだろうか?それとラバーカップとの接点は? 「まぁ、ゆっくりしっかりまったりもっちり聴いて下さいな、皆々様。 ……神秘による事件が表沙汰にならないってのはまァ、皆々様にとっては周知の事実ですけどね。その内の一つにこんな事件があるんですよ。 『とある工場から出荷待ちだったラバーカップが大量に失踪した』――如何です? とっても不思議で奇ッ怪で神秘的でしょう。 皆々様なら大方予想がついちゃうでしょうが、E・ゴーレム化しちゃったんですよね。大量のラバーカップが。それで工場から逃げ出したって訳です」 言いながらメルクリィがモニターを操作すると、画面に深く木々が生い茂った森の画像が表示される。今までロクに人の手が入っていないらしく、所狭しと自由に草木が生い茂っている。その所為で森全体は暗く、視界も悪い。移動の為には藪を掻き分けねばならないだろう。 「今回の戦場はコチラ――素晴らしいまでに鬱蒼とした森、森、森ですな。カナ文字で言えばジャングル。 御覧の通りここは木々が鬱ッッッ蒼としているので視界悪いわ暗いわ歩きにくいわでしっちゃかめっちゃかですぞ。迷子になったりお仲間とはぐれたりしない様お気を付け下さいね。後で地図を渡しときますんで。 それに暗いから光源の類も要りますな。時間帯も夜ですし真っ暗ですぞ。あ、一般人は来ないと思うんでそこはご安心を。 それじゃお待ちかね、今回の討伐対象について説明をさせて頂きますぞ」 見えますかね?メルクリィが画面をズームしてゆくと――見えた。草葉の陰、ラバーカップ……に、やたら神々しい羽が生えている姿が。それも一体だけじゃない、何十体も。 「E・ゴーレムフェーズ1『フライプランジャーズ』……御覧の通り、ラバーカップに羽が生えたE・ゴーレムです。 一体一体はそんな大した事ァないんですが……何と言っても数が多く、その数は30。囲まれると厄介でしょうなァ。それにかっぽん達は『気配遮断』の非戦スキルを持ち、草藪や木の葉の中に隠れております。 つまり、物陰で息を殺して隙を窺い、皆々様を集団で闇討ちするっていう戦法をとってくるでしょうな。如何にフェーズ1と言えども油断なさらず。 攻撃方法は対象に張り付き、かっぽんする事で衝撃波を叩き込むモノです。集団で一斉にやられるとちょっとキツイかも、ですぞ。お気を付け下さい。 ……一瞬の気の緩み、油断、驕り――敵は眼球と視神経で捉えられるモノだけじゃあ、ないんですぞ。フフフ、なーんて。河童に水練ですな、失礼。 ――以上で説明はお終いです。オッケーですか?」 己が問いにリベリスタ達が頷いたのを機械の目玉で確認すると、機械のフォーチュナは満足気にニタッと笑ってみせた。 「では、くれぐれもお気を付けて。私はいつも皆々様を応援しとりますぞ! ファイト一発フェイト激烈エイエイオーです。フフ。」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月24日(土)23:31 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ジャングル大冒険 暗い暗い森の奥―― 深く生い茂る草葉はすっかり星明かりを遮って、そこは暗闇に閉ざされていた。 虫の声が彼方此方からりんりんころころと聞こえてくる。 そんな森を照らす光の筋が何本か。 藪を掻き分け掻き分け行進する隊列が一つ。 「聞きまして奥様? 今日の敵はプランジャーがE・ゴーレム化した代物なんですって。 ワオ、出荷前未使用とかそういう事情抜きしても超触りたくも触られたくもない!」 防具の上からコートをスッポリ身に纏うという徹底ぶりの『紅瞳の小夜啼鳥』ジル・サニースカイ(BNE002960)は演技臭く肩を竦めてみせた。遠距離戦技能を身に着けておいてホントよかったわー、なんて超直観で辺りを警戒しつつも懐中電灯の光を揺らめかせる。 そのやや前でそうだなァと答えるのは『人間魚雷』神守 零六(BNE002500)。手にしたDesperado “ Form Harvester ”によって邪魔な草や枝を刈り取り大きな溜息を吐いた。 「プランジャーか……前もそうだったが、何でこんな物がわざわざ革醒しやがるんだ 革醒現象にこんな事言っても仕方ないかもしれんが……もっと、もっとこう、格好良いのにしろよ!」 零六にとってラバーカップと戦うのは二度目。二度目て。果たして自分以外にこんなカッポンと戦った事のある奴が――あぁ居たな、と顔を向ける方向には『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)が手にした地図をヘッドランプで照らしていた。 「またかっぽんかぁ……次は水中型とか出てこないよね?」 隊列の三列目にいる智夫もまた零六と同じくかっぽんと戦うのは二度目である。軍手を付けた手で藪をどかし、敵が隠れていそうな所――木や藪が多い所を効率よく回れるよう仲間に指示を出し、零六は取り出した地図に通った場所の印を付ける。 「E・ゴーレム『フライプランジャーズ』ですか。 それ単体で考えますとシュールですが……シチュエーションとその能力を考えますと、一概にシュールだけとは言えませんな」 超直感で周囲の変化に気を向けながら服に固定した懐中電灯で辺りを照らす『無何有』ジョン・ドー(BNE002836)が呟く。 待ち伏せする側には有利な状況――隊列の前後を鋭敏な神経を持つビーストハーフ達が警戒に当たっているとは言え、一瞬も気が抜ける状況ではない。 「変なエリューションだね。それにしても……どこに翼が生えてるんだろ?」 今回の作戦の要とも言えるビーストハーフの一人、最後尾の山川 夏海(BNE002852)は懐中電灯で森を照らしながら目を凝らして辺りを窺っている。 翼があるのは柄?先っぽ?なんて脳内で考えるも、「まあいいや」と思考を止めた。直に嫌でも見れる訳だし。 敵の数は30、張り切って潰さないといけない。 「ラバーカップはつまりをなくすんが存在意義やけど、こいつらは何が目的なんやろな? 攻撃受けたら身体のつまりがなくなったりするんやろか。 つまるところ便秘解消? 女性受けがよさそうやな」 夏海の横、『へたれ』坂東・仁太(BNE002354)はそんな事を呟きつつ狐耳を辺りへ動かし暗視によって周囲を警戒する。 「そういや便器つまることって稀過ぎてラバーカップ使うたことあらへんな。もしもの時に1本位は欲しいような気がせんでもない」 購買部に売ってへんやろか、なんて思ってみたり。 「かっぽんがなんだ。そのすべてをへし折ってくれる!」 一方の最前列。暗視の視界で夜闇を睨み付ける『レッドキャップ』マリー・ゴールド(BNE002518)は斧が拳を掌に打ち据えた。 彼女の横には戊 シンゲン(BNE002848)が白い垂れ耳を聞き耳に、辺りを鋭く警戒している。 「何か来たら教えるのだ」 シンゲンへマリーが向いた瞬間。彼女の歩みがピタリと止まった。甲冑アームで武装した腕を持ち上げ指差すのは――彼女が今現在も向いている方向。 「アレがきたのだ」 「……!」 シンゲンの言葉に緊張が走る。 「あれがラバーなんとかか。初めて見る。あれで詰まりをどう直すというのか?」 等とマイペースに言う彼女の視線、その先には。 こっそり草藪に身を隠してこちらの様子を窺っている神々しい羽の生えたラバーカップ――フライプランジャーズが。 「クッソ、無意味に神々しいわね。羽だけ」 舌打ちをしたジルがシャドウサーヴァントを召還した。 「十時の方向。十体……いるかいないか、ぐらいだね」 辺りを見渡した智夫が仲間達へ数と位置をそっと知らせる。 「数だけが取り柄の烏合の衆なんざ、この俺が全部叩き折ってやるよ! ヒャハハハハッ!」 ズイと前に出た零六が高笑いと共に絡繰歯車剣を唸らせた。 それを合図にかっぽん達が翼をはためかせて飛び掛かって来る――戦闘開始だ。 ●かっぽん大乱闘 リミットオフ。 タガの外れた肉体は戦いの為に命を燃やす。 マリーの塞がりかけた傷口からブシリと血が噴き出す――が、構うものか。 「手負いの獣は……ナントカだ!」 猛然と飛び掛かる。 むんずと掴み取るのはかっぽん二本、それを―― 徐に胸に当てて引っ張ってみた! バスとトをアップ的なアレだ! 「ぐふッ……!」 途端に体を襲うのは衝撃波。……それだけ。 「……チッ! クソが! 何がかっぽんだ!!」 露骨な舌打ち。悪鬼羅刹も裸足で逃げ出すかの様な表情。二つのカップ同士を引っ付けて、地面に叩き付けて、相棒の使い古し大剣を振り上げる。 残影剣――その豪撃は恨み辛みをぶつけるかの如く、謎の殲滅力を引き連れて。 「ウワアアアあーたーしーにー触ーれーるーなぁ~!」 極限の時って何か笑っちゃうよね!という訳で謎の笑みを浮かべた二列目のジルは、影の従者に身を護らせつつスローイングダガーの凄まじい早投げを繰り出していた。 後方では同じく夏海がフィンガーバレットを、仁太がアームキャノンで狙いを定める。飛び回って狙いが定めにくい――しかし逃すものか。 「撃ち抜いてあげる!」 「確実に仕留めるぜよ!」 凄まじい早撃ち、硬貨すら射抜く精密射撃。 その鋭い軌跡から逃れる事が出来ようか。 確実に一体ずつを撃墜してゆく。 前衛ではマリー、零六のダブル特攻野郎が各々の武器を振るっている。 金の髪を獅子の如く靡かせて鮮やかな残像繚乱。 激しく爆ぜる電光をその身に纏って轟戟一閃。 翼の生えたラバーカップ達をへし折り叩ッ斬り討ち取ってゆく。 「一本たりとも逃すものか!」 「ヒャハハッ! オラァかかって来やがれ!」 相手がかっぽんだろうが何だろうが情け無用容赦無し。 特攻野郎は止まらない! 寧ろ止めてみせろ! しかし止められずとも彼らをやり過ごすかっぽんが幾本。 物陰に隠れて攻撃をやり過ごしたフライプランジャーズは回り込む様に後衛陣へ。 智夫とジョンが目配せをし合った――刹那に一帯を包み込むのは二人が同時に放った神気閃光、集中によって研ぎ澄まされた聖なる光は厳然たる意志の下にラバーカップを焼き払う。 ショックを与えるその攻撃を放ち、ジョンはふと思う。 (逆に敵の攻撃があたればわたくしたちに対してショック効果を与えられそうですな……肉体的にも心理的にも) しかし聖なる一撃は対象の反応こそ鈍くさせる事が出来るが、命を奪う事は出来ない。 「あーもう、まるでもぐら叩きね」 低空位置にてふらつくフライプランジャーズにトドメを刺したのはジルのダンシングリッパー。軽やかな舞踏による斬撃はラバーカップをあっと言う間にバラバラの藻屑に変えてしまった。 そして周囲を包むのは再び静寂、虫の声。 「おっ、やっつけたんけ?」 アームキャノンをゆっくり下ろしつつ仁太が辺りを見渡す。シンゲンも注意深く周囲を窺い、そのようだともっふり尻尾を揺らめかせた。 「何体潰した?」 「ん、十体」 夏海の問いに智夫が答える。ジョンが浅く息を吐いた。 「三分の一、ですか」 「まだ奴等はいる、行こう」 マリーの声を合図にリベリスタは再び藪を掻き分け歩き出した。 ●かっぽん大決戦 「うーん……」 地図を目に智夫が眉根を寄せた。 あれ以来しばらく歩きまわっているのにフライプランジャーズとは遭遇していないのだ。 そうと決まれば致し方ない。奥の手を出す時が来たようだ。 「何故か前に持ち帰ってしまったこのジャスティスプランジャー。まさか、こんな使い道があるなんてな……」 一歩出た零六の手にはどんな詰まりも一発解消できるスーパーグレートかっぽん、ジャスティスプランジャー。 (うわ、あのプリン頭の先輩やる気だ……ホントに効果があったらどーしましょ) (それもまた、一興) (手間が省けそうだけど……神守さん集中攻撃されるかも) (囲まれる可能性もあるよね) (肉を切らせて骨を立つ覚悟やな) ジル、ジョン、智夫、夏海、仁太が其々思う中――零六がラバーカップの中のラバーカップを高く天に掲げた。 息を吸い込み、言い放つ。 「刮目して聞きやがれ! プランジャーども! てめぇらの仲間は主人公神守零六が預かったァ! 救いたければ、この俺を殺してみせろ!」 主人公とか言っといて次頁で主人公にやられてそうな三下台詞なのはさておき。 …………。 シィン、と辺りは静まり返っている。 …………。 一分経過。蟋蟀がころころ鳴いている。 …………。 二分経過。冷えた風が空しく吹き抜けた。 …………。 三分経過。誰かがくしゃみをした。 …………。 「……場所が悪かったんだろう。べ、別の場所で試そ――」 「出たのだ」 そろりとジャスティスプランジャーを下ろしかけた零六を遮りシンゲンが言い放つ。目を見開き彼方を見遣る仲間達に零六も顔を上げてみれば…… ラバーカップ達が。 「ざっ ……雑魚共が! 俺の策に掛かってノコノコと……ノコノコと………」 良く見れば、あちらこちら。 ある者は空中を堂々と、ある者は藪の中から。 おそらく十体以上は軽くいる――どれも異様な殺気を放って。 「って多い! 多すぎるだろ! きめぇ!」 「ひいふうみい……うへぇ、ナンボおるんやぁ」 「二十体ですね。まさか全部来るとは」 狼狽える零六と仁太の一方、ジョンは落ち着いた様子で溜息を吐く。ジルに至っては顔面蒼白であった。 そうは言っても倒さねばならない。 先ず動き出したのはシンゲン。ジャスティスキャノンを放つや大きく前に出てかっぽん嵐へ突撃する。更にジャスティスキャノンを放つその体にはかっぽんがかっぽんかっぽんかっぽん…… 「わ、我にかまわずやれー!」 最早ウニ状態。その体がみるみる傷付いてゆく。 「おっしゃ任せぇ! ひゃっぱつひゃくちゅうじゃけぇ!」 「動かないで下さい!」 仁太がアームキャノンを、ジョンが掌を向ける。 ハニーコムガトリングと神気閃光。ラバーカップがシンゲンから離れた所で智夫が彼女の傷を癒す。 「ウザったい! 一気に薙ぎ払える手段がないのが悔しいわね! あぁもう――寄るな!」 バウンティショットを放つジルはそう吐き捨て、上空から襲いかかって来たフライプランジャーズへダンシングリッパーを放った。 「……潰す! ぶっ潰す!」 前に出た夏海は武装した拳を荒々しく唸らせ、ラバーカップを殴り伏せてゆく。マリーも零六も武器を振るうが――それにしても数が多い、それに自在に宙を飛び回るので鬱陶しい。 じわりじわり、リベリスタ達の傷が増えてゆく。 「頑張って皆!」 智夫の最優先事項は『仲間が倒されぬ事』。 清らかな詠唱が夜に響いた。癒しの福音が輝き満ちた。それは仲間達の傷を癒し、士気を高く保たせる。 退くものか。 揺らめく残像を残してマリーは大剣を振るい、夏海が猛然と拳を唸らせ、零六の電撃が薙ぎ払う。 シンゲンは十字の光でラバーカップのペースを乱し、仁太とジルが正確な射撃で撃墜し、智夫とジョンが聖なる光で焼き払う。 フライプランジャーズの数は確実に減ってきていた。 これは敵わないと思ったのか、何本かが森の彼方へ逃げ出そうとする――が、それを見過ごさないのはラバーカップの翼に刺さるスローイングダガー。 「逃がさないよ!」 更に凍結したそれらを巻き込む様に仁太がハニーコムガトリングを放ち、そこへ飛び掛かるのは獲物を振り翳した前衛陣。 息の合った強撃。 拳が、甲冑腕が、大剣が、歯車剣が、殴り叩き潰し切り裂き刻み砕き破壊する。 神々しい羽根が散る。 そして―― 今度こそ、静寂。 ●詰まらない日なんて無いのだから 「――よし! ジャスト三十体ぜよ!」 「お疲れ皆!」 ちょっとバラバラで確認し辛かったが仁太と智夫が協力してカウントしたところ、リベリスタ達は見事に三十体のフライプランジャーズを殲滅出来た。 虫の声が鳴り響くこの森が騒がしくなる事は、もう無い。 「このそらとぶ棒は乗り物にできんだろうか……」 最中、シンゲンが沈黙した羽かっぽんに跨ったまま徐に呟いた。 「いや、出来たとしても止めといた方が良いと思う……」 「何がかっぽんだ、かっぽんなんて……」 ジルの突っ込みとマリーの低い声にむぅと呟いたシンゲンが残念そうにかっぽんから降りる。そのまま問う。 「ところでこやつらはこんな場所でどこのつまりを直すのだ?」 そう言えば、何故だろうか。 ――なんて思うも、真相を知る者は誰もいない。 (考えるだけ徒労、ですね) ジョンは口元に薄く笑みを浮かべた。 「まさか今回も拾えるって事は……無い、よね?」 辺りの片づけをしつつ苦笑交じりに夏海が呟く。その言葉にクスリと笑った智夫が零六へ振り返った。 「持って帰らないの?」 「持って帰るかッッ!」 なんて、笑って、 めでたしめでたし。無事閉幕。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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