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<Blood Blood>首斬り双子

●最高の日に、最低を
 テレビはかなり見る方。だってまだ子供だもの。
 けれど、その日の朝だけはいつも以上にテレビから目が離せなかった。
 血に染まるスタジオ、大胆この上無い、裏世界の住人による惨事。
 脈打つ鼓動が高ぶり、身体が熱くなった。
「「かーっこいいー!!」」
 つい、叫んでしまう。
「フィクサードの時代の幕開けだ!」
「フィクサードの時代の幕開けね!」
 十代そこらの少年と少女。
 その目は何か尊敬すべき存在を見つけたような……。
 瓜二つのその顔、歪んだ笑みが浮かぶ。

 ――少し古びた神社が綺麗に装飾され、秋祭りを行なっていた。
 時間は夜、赤い提灯に照らされる会場。
 神社の敷地は溢れんばかりの人と露店。
 その中に混ざれば、心も躍り雰囲気に酔う。
 飛び交う声はどれも満悦の様子。
 けれどもすぐに、それも終わる。
「――人間の数も最高潮でしょう。そろそろお時間です」
 少し離れた、神社の横。
 建物の屋上にそのきっかけ達が、人混みを見つめる。
「お兄ちゃん、どっちが多く殺すか勝負だよ!」
「まあ、おまえが僕に勝ったとこ見たことないんだけどね」
 少女は不機嫌に頬を膨らます。
「いってらっしゃいまし」
 メイド服の女性が頭を下げた。
 それを合図に、二人が屋上を後にする。
 向かうは、人混みのど真ん中。

 所変わって、とある男性。
 祭りには彼女と来ていた。
 彼女と一緒なら何処でもいいけど、お祭りは定番のデート場だ。
「うわ!? 水!?」
 液体の様なものが身体についたと思った。驚いてそれを見たら赤かった。
 まるで、血のような。
 だが今は秋祭りの最中。血なんて飛ぶことなど普通は無い。
 ふと、液体が飛んできた彼女の方向を見ると、頭の無い彼女が崩れながら倒れたのを見た。
 意味が分からないし理解のできない事態。
 見開く己の目と、辺りの人間の叫ぶ声。
 人々が一斉に頭の無い女性から遠ざかり、逃げる。
 しかし、頭の無い人間は増えていった。
 浴衣と狐のお面を着飾った幼い子供が、人の首をはねているのを見た。
 それを見て?
 自分の頭が地面に落ちて?
 もう何もわからなくなった。
 だた、数を数える少女の声を最後に聞いた気がする。
 ――にじゅう、よん! って。
 そして真っ暗。

 神社の境内は首と胴体と血の絨毯ができていた。
 その中心に生きているのは、手を血で染めた幼い男女のみ。
「あーもー! また数でお兄ちゃんに負けるなんてー!」
「最初はこんなもんか。次は、何処行く?」
 どれほど殺せば、テレビの中の人のような存在になれる?
 その生贄は、まだ、まだ足りない。
 幼い男女は次の人集りの場所へと、歩き始める。

●通達
「幼いフィクサードを止めて欲しいの」
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はブリーフィングルームに集まったリベリスタにそう告げた。
「『首斬り双子』は活動規模がほとんど無いフィクサードなのだけど、例の番組を偶然観て、影響を受けてしまったみたいなの」
「ああ、ジャック・ザ・リッパーのか……」
 リベリスタの一人が今回の事件の中心にいる人物の名をあげる。
 そう、これも全国で連鎖的に起きている、ジャック・ザ・リッパーをきっかけとしたフィクサードの事件のそのひとつ。
 このフィクサードを野放しにすると、とある秋祭りの会場に血と肉塊が飛び交う痛ましい惨劇が起こるそうだ。
 ついでに、その血祭りを振り出しにフィクサード達の行動は過激になっていくらしい。
「今回の相手の数は三人。双子の男女とその従者の女性。双子……『首斬り双子』の方はそんなに強くないんだけれど、従者の女性は注意して」
 そう言いながらイヴは手元のフィクサードの資料を配り始める。
「双子はソードミラージュで、従者はクロスイージス。従者は双子を護っているという情報があるから、今回もきっと同じ行動を取ると思う」
 従者は双子に、敬意と敬愛の念があると見ていいだろう。
 どういう経緯でそのような関係になったのかは、まあ置いといて。
「場所は、神社横のマンションの屋上。普通に階段から登って行ける所だけど、おそらくフィクサードが結界を張ってるから一般人はそこには来ないかも。一般人の所に行く前に対処して欲しい」
 淡々と話すイヴ。そして最後に。
「あらゆる所で事件が起きているから大変だよね。でも、お願い。多くの人の命には変えられない」
 今日もリベリスタは、名も知らぬ人のために歩き出す。





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:夕影  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月03日(月)22:11
 夕影です
 どきどきしながら、全体依頼に参加します
 以下詳細

●失敗条件:一般人、一人以上の死亡

●敵情報:首斬り双子(くびきりそうじ)
・十代の男女の双子
・ヴァンパイアのソードミラージュ
 兄妹共にRANK1のスキルとダンシングリッパーを習得しており、その内5つを使います
 二刀流
 暗視
 ハイテレパス
・武器は短剣が二本ずつです

●首斬り双子の従者
・二十代のメイド服の女性
・ジーニアスのクロスイージスで、武器は
 RANK1~2までのスキルを習得。その内4つを使います
・双子を護っています
 暗視
 千里眼
・武器はヘビースピアです

●場所
・祭り会場横のマンション(五階建て)の屋上です
・光源必須
・結界はフィクサードが行なっていますので、その限りは一般人は来ません
・四方に柵がありますが、落ちることもあるので注意して下さい
・広さは十分あります
・侵入は五階に続く扉ひとつです

 皆様の参加と熱いプレイングをお待ちしております!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ソードミラージュ
天音・ルナ・クォーツ(BNE002212)
デュランダル
宵咲 美散(BNE002324)
プロアデプト
八雲 蒼夜(BNE002384)
デュランダル
有木 ダンテ(BNE002480)
ナイトクリーク
クローチェ・インヴェルノ(BNE002570)
マグメイガス
小鳥遊・茉莉(BNE002647)
クリミナルスタア
小坂 紫安(BNE002818)
スターサジタリー
アシュリー・アディ(BNE002834)

●楽しいのはその後で
 マンションのエレベーターを降りて五階の最上階。
 最上階と云えども、その上というものはまだあって、お分かりの通りに屋上。
 そこへ通じる階段を上って、扉の前に来た。
(昔の私と似ている……だから、止めてみせる)
 『罪人狩り』クローチェ・インヴェルノ(BNE002570)が自分の武器を手に持つ。
「テレビでバカやるのも良いけど、それを真似るのもバカですよねー」
 小さな声で、苦笑いで言葉を紡いだ。だが、実際のその心は。
(……はぁ……でも子供を手に掛けるのは気が引けるなぁ)
 『ノイジーイーグル』有木 ダンテ(BNE002480)が頭をかきながら屋上への扉の横に位置を取った。
 この扉さえ開けてしまえば、すぐに戦闘が始まる。今回の目的のフィクサードが必ずそこに居る。
「強結界を張る。きっと気づかれるだろう。いくぞ」
 それが突入の合図。『戦闘狂』宵咲 美散(BNE002324)が手を上へと上げて、強結界を展開する。
 これでとりあえずは、一般人は来ないだろう。
 『愛煙家』アシュリー・アディ(BNE002834)が扉のノブを掴んだ――
 
 ――目に見えて近いお祭り会場の活気は最高潮。
 今ここで飛び込んで殺戮を開始すればどれだけ楽しいだろうか。
 ただ殺すのには芸は無い。首を切り、鮮血に染められれば最高。
「そろそろお時間です」
 身長の高い美麗なメイドが双子へそう言った。
 双子がアップを始めたが――
 ここまでイヴが見た未来の経過途中。だが、そう上手く未来は再現されたりはしない様だ。
「坊っちゃん、お嬢様、お下がりください。何か来ます」
「気づいてるよ」
「気づいてるわ」
 突然屋上に張られた自分以外の誰かの強結界。
 そんなことできるのは、エリューション以外の何者でも無い。
 兄と妹をその背で隠しながら、屋上のひとつしか無い出入口をメイドは見た。
「Hold up! 手をあげろ。やましいことがないならできるでしょう? 」
 アシュリーがライフルを持ち屋上へ勢いよく転がり込む。それに続いて八人のリベリスタが屋上の中へと入った。
「わわ、どなたなの?」
 双子の妹がメイドの裾を引っ張りながら、リベリスタに問う。
「アーク所属、リベリスタ!」
 『嘘従き者』小坂 紫安(BNE002818)が持ち前の笑顔を作って答える。
「リベリスタ、めんどくさ」
 兄がそっぽを向いて、しかめっ面をした。
「大人しくしてくださいなのですぅ……って上手くはいきませんよね」
 小鳥遊・茉莉(BNE002647)がAFから弓を取り出しながら言った。
「君達の遊び相手は、俺達がしてやろう……」
 『#21:The World』八雲 蒼夜(BNE002384)がメイドを睨んだ。
 その目線の先で、メイドが髪をかき分けてリベリスタ全員を視界に留める。
「その扉、お通し願いましょうか」
 フィクサード側も、武器を手に持つ。

●血みどろってこんにちは
 『騎士道一直線』天音・ルナ・クォーツが始めに飛び出した。
 片手にレイピアを、もう一方に短剣を持ち、双子の妹に幻影を纏ってレイピアを突く。
 メイドがその間に入り、その攻撃を身体で止めた。その刹那、言葉を交わす。
「どうしても止まってくれぬか?」
「こちらも、どうしても通して頂けないのでしょうか?」
 メイドは冷静に天音を突き返し、その後ろから兄が天音へと攻撃を仕掛ける。
 屋上の柵を足場とし、それを強く蹴る。
 高く飛んだ身体を空中で逆さに回し、天音の頭上からソードエアリアルを当てた。
 クローチェがその手に愚者の聖釘を挟んで、テンポ良くステップを踏む。
 フィクサードの三人の間を通り抜けては切り刻む。
 庇ったメイドからは出血がおこり、妹はその攻撃を綺麗に避けた。
 紫安がリーディングで妹の思考を読もうとした、だが――彼等の意識をよむ前に、ノイズが邪魔をする。
 天音のジャミングが効いている。そのスキルは全てのテレパス系スキルとリーディングを妨害する。
 茉莉が丁寧に練り上げた魔力を使って、魔曲・四重奏を紡ぐ。
 多重の魔方陣から出た四色の魔光。
 茉莉が指を指す、その先の妹へと直撃し、数々のペナルティを妹の身体に残す。
 そしてダンテが飛び出す。
「手加減はしないよー。お兄さん優しくないの」
 細い身体に見合わない大太刀をその手で持ち、電撃を従える。
 地面に擦れて火花を散らせる大太刀を振り上げ、その勢いのまま兄へ。
 メイドが防ぎに入るのは想定の範囲内。重い一撃がメイドの胴へ入った。

 まだメイドの表情は冷静なまま。
 彼女の『護る』は一段と長けている。自らの身を捧げようと守護対象は護る。
 再び天音が幻影を纏ってレイピアを振る。
 だが、その心には疑問があった。
 何故、このメイドはここまでして双子を護るのだろうか。
 メイドという仕事上、確かに主人やその配属者を護るべきだろうが、その身を切り裂かれ、電撃に晒されてまで護るのは異様なまでの執着があるはずだ。
 レイピアで突くその一瞬。メイドの目線が双子を見ていた。
 その表情は慈愛に満ちた……というよりかは、何か守護するべき対象の域を超えて――愛?
 蒼夜が自身の力を高め終わり、ピンポイントで双子の兄を直線上に捕える。
 撃たれた気糸は勿論メイドに当たったが、かすった程度だ。
 クローチェが再びダンシングリッパーを発動させた。
 それは例外無くメイドと妹を巻き込んだ。メイドのエプロンドレスを裂き、妹の仮面を破壊する。
 兄が動いた。両手の剣を持って、お返しのダンシングリッパー。
 冷たい空間を切り裂き、素早く、そして確実にリベリスタ達を巻き込んでいく。
 リベリスタの間を縫っている最中、天音と目が合う。
「貴殿等を止めに来た」
「止められるなら、止めてみせてよ」
 一瞬だけ言葉を交えた。
 彼等もフィクサードとして、止まれない。リベリスタはリベリスタとして、彼等を止める。
「従者と三人、仲良く静かに暮らしていれば良いものを」
 美散がその兄の離れた隙を見逃さなかった。爆砕戦気で上げたその力で、メガクラッシュ。
 鉄槌を軽々持ち上げて、風切り音と共に力任せに妹を打ち飛ばした。
 鉄槌をまともに受けた妹は、屋上の柵まで吹き飛ばされて当たる。
「お嬢様!」
 メイドが妹に叫んだが、大丈夫と微笑む。
 妹とメイド達は引き離された。それはリベリスタ達の作戦に沿っている。
 確かにメイドの身体ひとつでは、二人は守ることはできない。
 それに離れてしまっては意思伝達が不便だ。ジャミングでハイテレパスが使えない。
 だが、妹もそれですぐに倒れるほど弱くはない。
「やるじゃない、リベリスタ」
 そう言って、走り出す。両手の剣を持ち、ダンシングリッパー。
 踊る浴衣少女の剣は血の軌跡を描いてリベリスタの首を切り裂く。
「倒れちゃダメだよ! まだまだこれから!」
 その分削れた体力を紫安が治癒の歌で埋めていく。
 アシュリーがライフルを身構える――狙いは妹! 放たれた1$シュートの狙いは、彼女の足。
 かすっただけだが、確実に妹の足に当たる。
 逃げたりなんかしない、そんな目で妹がアシュリーを睨んだ。
 ライフルの銃口は、まだ彼女を捕らえている。
 最後にダンテが大太刀を振るい、再びメイドにメガクラッシュを叩き落とした――

●引き離されたからもう
 メイドが槍を構えた。護りに入っていた彼女だが怒りで蒼夜に矛先が向く。
「お、おい!」
 兄が蒼夜へ向かったメイドの背に声をかけるが聞こえず。
「地に這いつくばっていなさい!」
 槍を振りかぶって、打ち落とした魔落の鉄槌。
 その攻撃はクリーンヒット。蒼夜の身体が重い槍に叩きつけられ体力をごっそり持っていった。
 だがまだ蒼夜は立ち上がり、手の甲で顔に着いた汚れを払う。その目はまだ、強く煌めく。
 早くも混乱から立ち直った天音が妹へレイピアを振るった。
 連撃を伴い、恐るべき速度でふたつの傷を妹の身体に描く。
 妹の膝が地面に着いた。
「あ、あぁぁ」
 荒い息をしながら妹の顔が真っ白になっていくのが目に見えていた。地面に手を着き、震える。
「おおおおおまえらああ!! 殺すのおおお!」
 再び短剣を握り締めて、ダンシングリッパー。舞台は屋上、血が舞いしダンスの演舞。
 だが、その舞いもきっと最後――ダンテの大太刀が、妹を逃さない。
「ごめんねー、君達だけの技じゃないよっ!」
 お返しのダンシングリッパー。
 翼を揺らし、羽を纏わせて、踊るダンテの一発。メイドを斬ったその後に、向かう矛先は妹の身体。
 肉を切り裂き、骨が見えた。出血が起って止まらず、崩れるように地面に突っ伏した。
 それで、もう、起き上がらなかった。
「お嬢様!?」
「お、おい!?」
 兄とメイドが妹に呼びかけたが、反応が返ってくることは無い。
 残り、二人――。
 兄が怒り任せにダンテへ、ソニックエッジを仕掛けるが、ギリギリのところでそれは避けられる。
 その間に紫安が敵のダンシングリッパーで傷ついた仲間の傷を埋めていく。
 完全とまではいかないが、それでも十分。
 茉莉が集中からの魔曲を再び紡ぐ。
「動かないでください!」
 陣を成し、詠唱をし、魔力へ呼び掛けできた四色の魔光が兄へと襲う。
 力の出し惜しみ皆無の力が兄に直撃する。
 それに続いて、アシュリーがスターライトシュートを放った。
 メイドは間一髪で逃れるが、動けない兄はそれをまともにくらう。
 美散が鉄槌を再び持ち上げ、今度は最高の威力を持った一撃を振るう。
 振りかぶって、降ろし、衝撃で己の身にも反動を受けたが、そんなのには動じない。
「坊っちゃ――ッッ!!!?」
 メイドが怒りに我を忘れていたのが過失か。叫んだが、そんなの既に遅すぎる。
 動けない兄の身体、恐るべき威力の鉄槌が食い込んだ。それが、決定打だった。
 屋上の床にヒビが入り、その上に兄が力無く倒れた。
 電撃が蝕むその身体をゆっくりだが、妹の元へ……。
「ごめん、お兄ちゃんも負けちまった……」
 血に染まっている妹の手を握って、動かなくなった。

●護る
 双子の亡骸を足元に、メイドは静かに立つ。
 流れる涙は無い、けれど、喪失感で胸に穴がぽっかり空いたような、そんな感覚を味わっていた。
「お前が『護って』いれば、こんな事にはならなかった」
 蒼夜はメイドへ強くそう言う。
「守ることは、物理的に脅威から避けることじゃない。道を違えばそれを正し、外道に走らせないように護ることもあるだろう?」
 確かに、それも護るということ。けれど……それも護るのひとつであるということ。
「ええ、でもフィクサードである、あの方達の選んだ道を私は否定したくなかった、だから――」
 メイドは傷ついた身体で槍を持つ。
「――お二人の目指した道は、私が受け継ぎます」
 目に焼き付けて、これがフィクサードである彼女の道。
「お嬢様と坊っちゃんに拾われたこの命、もう惜しくなど無い!」
 走る、その先はリベリスタの背後の扉では無く、屋上の柵の向こう。
「逃げるです?!」
 茉莉が魔曲で止めようとするが、間に合わず。
「逃がさん!」
 咄嗟に美散がメイドを追いかけた。
 柵を飛び越え、宙に身体が舞うメイドの腕を掴んだ。
「は、離しなさい!」
 だが美散は離さず、メイドの身体を受身を取らせないよう体勢作り、一緒にアスファルトの地面へ落ちていく――
「おっとー、仲間は死なせないから!!」
 ダンテが美散の後を追い、一対の翼を大きく広げ、夜の空を飛ぶ。
 美散の身体を掴んで、空中キャッチ――その瞬間に美散の手をメイドが力任せに取り、その身体だけが落ちて、堕ちて。
 ――ゴシャッ
 祭囃子に祭りは意気揚々。
 だが、リベリスタ達だけにはしっかり聞こえた、その音。
 アスファルトにアラベスクが広がる。
 ダンテの翼により屋上へ帰った美散。柵の下へと顔を覗かせる。
 ――――だが、メイドの姿は無い。
 あったのは、ただ薄く薄く広がった赤い液体のみ。
 急いで祭り会場に向かったリベリスタ。だが惨劇が起きている雰囲気も無い。
 一人だけ逃がしたが、未来の悲劇は回避されたようだ。
 近くでブリーフィングルームで見たようなカップルが楽しそうに横を通り過ぎた。

「お祭り、まだ楽しめるかな」
 秋らしい風を吸い込み、吐くクローチェ。その冷たい風は心を潤した。すぐそこの祭り会場を見下ろす。
 真っ暗のマンションの屋上でダンテが双子の亡骸を見つめていた。
「もし次に会えたら……普通にキャッチボールがしたいね」
 兄と妹の身体を隣に、ダンテは立つ。
 双子の小さな手は、繋いで離れず。その意思は従者へと。
「ジャックをどうにかしないとこんなことが続くのかしら……」
 少し離れた場所で柵に腰をかけたアシュリーがタバコに火を着けた。
 ダンテは目を閉じる。
 遠くに聞こえる祭囃子は、何故か悲しく聞こえる秋祭りの宴。
 強結界の張られたその空間だけは、裏世界の住人事情。
 蒼夜が夜空を見上げる。
 今日も空はとても綺麗だった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼、お疲れ様でした!
結果は上記の様になりましたが、如何でしたでしょうか?
全体依頼が引き起こした、ひとつの事件
フィクサードの命をもって解決しました
それでは次の依頼もがんばってくださいね!またのご参加、心よりお待ちしておりますよ