下記よりログインしてください。
ログインID(メールアドレス)

パスワード
















リンクについて
二次創作/画像・文章の
二次使用について
BNE利用規約
課金利用規約
お問い合わせ

ツイッターでも情報公開中です。
follow Chocolop_PBW at http://twitter.com






秘密結社nirasaki

●韮崎市要塞化計画
 山梨県北部に位置する韮崎市は、人口3万人程度の小都市である。
 その街で、今恐るべき計画が実行に移されようとしていた。
 悪の秘密結社nirasakiは、韮崎市に拠点を置く組織である。
 その目的は世界征服!
 彼らはこの平和な街を足がかりにして、やがては世界を支配しようとしているのだ。
 韮崎市南西部にある山地に、奇怪な機械が設置されていた。
 周囲には数人のフィクサードが集まっている。
「コウモリ男様、市内に向かった3人から、配置についたとの連絡がありました」
 黒ずくめの男が、怪人コウモリ男(ビーストハーフ)に告げた。
「予定通りだな。では、ドクトル・ニーラの研究成果を見せてもらうとしよう」
 赤く光る大きなボタンを押すと、大地が揺れた。
 数分とたたないうちに、雲に届くほどの巨大な韮が無数に生えはじめる。
 韮が市域の周囲全体を囲むまでに、さして時間はかからなかった。
「これで、韮崎市は我らの要塞となる」
 隙間なく立ち並ぶ韮を見上げて、コウモリ男は叫んだ。

●ブリーフィング
「奴らが動き始めた!」
 アークのブリーフィングルームで『マスター・オブ・韮崎』シャーク・韮崎(nBNE000015)は開口一番そう言い放った。
 机を叩く大きな音がする。
 怪訝そうな顔をするリベリスタたちを見て、彼は静かに首を振った。
「すまん、お主らが奴らのことを知っているはずもないか……ともかく、フィクサードが事件を起こすことがわかったんじゃ」
 すでに彼は情報を『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)から受け取っていたたようだ。
 書類を斜め読みして説明し始める。
「……私の台詞が取られた」
 イヴがぼそっと呟いた。
 なんでも韮崎市には秘密結社nirasakiなる悪の組織が存在しているらしい。
 そして、彼らが韮崎市を韮で包まれた要塞にしようと目論んでいるそうだ。
「ちなみに、韮崎市という名前だが別に韮が名産だという事実はない」
 どうでもいい豆知識を伝えてきたシャークに、リベリスタたちは話を進めるよう要求する。
 なんでも秘密結社の知恵袋であるドクトル・ニーラが作り出した機械によって、韮崎市を無数の巨大な韮で囲んでしまおうという作戦が計画されているというのだ。
 現場は市の南西部にある山地。隣接する南アルプス市との境目あたりらしい。
 怪人コウモリ男と呼ばれるコウモリのビーストハーフをリーダーとして、秘密結社に所属する4人のフィクサードがいる。
 コウモリ男はソードミラージュだ。刃のついた手甲を装備しており、高速で敵を切り裂いてくる。また、超音波を放って攻撃する能力もあるらしい。
 配下のフィクサードたちは皆ジーニアスだ。3人ともクリミナルスタアで、2人はナイフしか持っていないが、最後の1人はアームキャノンを装備している。
「敵がビーストハーフじゃから不意打ちは無理じゃろう。わしらが近づけばおそらく装置のスイッチを入れられてしまうじゃろうな」
 スイッチが入ってから、実際に韮が生え始めるまで数分ある。
 それまでに戦いを終わらせることができれば、機械を止めることができるだろう。
「事態は一刻を争う。皆、儂についてくるがいい!」
 説明を終えると、シャークはブリーフィングルームを飛び出す。
 呆れ混じりに、リベリスタたちは彼を追った。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:青葉桂都  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年09月28日(水)22:01
●マスターコメント
 こんにちは、青葉桂都(あおば・けいと)です。
 シャーク・韮崎と共に悪の秘密結社と戦っていただきます。
 難易度EASYなので気軽にご参加ください。

●怪人コウモリ男
 ボス格です。けっこう強いです。
 ビーストハーフのソードミラージュです。『ハイスピード』『多重残幻剣』と『超音波』を使用してきます。
『超音波』は遠距離単体への神秘攻撃で、混乱の追加効果があります。

●フィクサードの戦闘員たち
 3人登場します。全員クリミナルスタアで、リベリスタの皆さんと同格かちょっと劣るくらいの戦闘能力です。
 ナイフ装備が2人と、アームキャノン装備が1人です。

ナイフ装備:『無頼の拳』『ナイアガラバックスタブ』を使用します。
アームキャノン装備:『ヘッドショットキル』を使用します。

●勝利条件
 フィクサードを全滅させるか、謎の機械を破壊することです。
 機械は内部にアーティファクトが入っていて、韮の発生はその効果によるものです。
 機械の外装は非常に頑丈です。

●シャーク・韮崎
 指示があれば、プレイングに書いておいてください。
 なければ自己判断で戦闘に参加します。
 スキルは今のところ、インヤンマスターの初級スキルを一通り取得していると考えてください。

 それでは、ご参加いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
インヤンマスター
四条・理央(BNE000319)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
スターサジタリー
坂東・仁太(BNE002354)
ソードミラージュ
ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)
スターサジタリー
アシュリー・アディ(BNE002834)
クロスイージス
神谷 要(BNE002861)
クロスイージス
巌流 聡(BNE002982)

●韮崎の山中にて
 山梨県韮崎市。
 県内の北西部に位置するこの地方都市には、南アルプス国立公園に属する山地が含まれている。
「奴らが潜んでいるのはこのあたりのはずじゃ」
 リベリスタたちの先頭を行くのは『マスター・オブ・韮崎』シャーク・韮崎(nBNE000015)だった。
「韮崎市、山地と丘陵に挟まれた河川に沿う様に市街地を発展させた地方都市ですか。自然と歴史の観光名所が多く、特に武田信玄を輩出した甲斐武田家発祥の地として有名……と」
 山道には不似合いなエプロンドレスに身を包み、『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)が説明する。
 銀髪の少女はまるで十代そこそこに見えるが、実際の年齢はその程度ではない。
「ほう、よく調べておるな」
「所詮は知識として得ただけの事。その辺りの御解説はシャーク様に御期待します」
「よかろう。敵の居所はまだ先のようじゃからな。そもそも韮崎とは……」
 とうとうとシャークは語るが、誰もその説明を聞いてはいなかった。
「えーと、悪の秘密結社とか急展開過ぎるんだけど」
 2本のみつ編みを垂らした四条・理央(BNE000319)の表情に戸惑いが宿る。
「えっと……そもそもニラで囲んだところで要塞になるとは思えないのですが……」
 クールな『不屈』神谷要(BNE002861)さえ困惑していた。
「あれや、疑問に思ったら負けっちゅうやつじゃな」
『へたれ』坂東・仁太(BNE002354)うんうんと頷く。
「悪の秘密結社とか~、男の子なら燃え上がりそうなシチュエーションですね~。私は女の子ですので普通にお仕事するだけです~」
 間延びした声でユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)が言った。天然系の女性だが、こういう面ではやはり女性らしく現実的らしい。
「悪の秘密結社に世界征服は付き物なのかしら…?」
 煙草に火をつけて、『愛煙家』アシュリー・アディ(BNE002834)が呟いた。
 やがて彼らは装置があるはずの場所に近づいていった。遠間にフィクサードたちの姿が見えてくる。もう少し近づけば気づかれてしまうだろう。
 透視で周囲を見渡した『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風は、巻き込まれそうな範囲に一般人の姿がないことを確かめる。
「避難させるべき人はいなさそうですね」
 引き締まった身体を拳法着に包んだ青年は、拳を軽く握る。
「戦隊モノでいえば、私はイエローだろうか……カレーは特に好きではないが。まあ良い、韮崎市の平和を守るため戦うのみ……」
 幻視を解除して、ハシビロコウのビーストハーフである姿を見せた『沈黙の壁』巌流聡(BNE002982)がぼそぼそとしゃべる。
 戦闘時の憂いがなくなったリベリスタたちは、フィクサードの前に姿を現す。
「コウモリ怪人そこまでだ! 世界制覇の野望は食い止める! 変! 身!!」
 疾風はスマートフォン型のアクセス・ファンタズムから現れた強化外骨格を装備し、モーニングスターを構える。
「秘密結社nirasaki! おみゃーさんらの野望もここまでぜよ! 韮崎市を韮で覆い人々を恐怖の底に叩き込む事なんぞ。わっしらアークのリベリスタが許さへんで!」
 仁太が一行の前に出て見得を切る。
「この坂東仁太が、必ずその邪悪な野望を食い止めてみせるっ! 変っ身っ!!」
 キツネのビーストハーフに戻った彼の腕には、アクセス・ファンタズムから取り出したアームキャノンが装着されていた。
「貴様らがいくら悪事をたくらもうと、この美しい韮崎の平和は儂らが守ってくれるわ!」
 シャークも仁太の隣で構えを取る。
「頼りにしちょるぜよ!」
「おう、任せておくがいい!」
 ノリノリな男たちの後ろでは、女性陣がそれぞれに武器を構えていた。
「おのれシャーク・韮崎! いつもいつも、我らの計画をかぎつけてきおって!」
 忌々しげにコウモリ男が叫ぶと、フィクサードたちが襲いかかってきた。

●山中の戦い
 理央は、シャークとともに中衛に位置していた。
「OK、それじゃ、いつも通り頑張っていこう」
 秘密結社がどうとかいうのはちょっとついていけない部分もあるが、結局のところやるべきことはいつも通りのフィクサード退治だ。
 コウモリ男が、怪しげな機械装置のスイッチを入れると、装置をかばうように少し前に出る。
 ソードミラージュのユーフォリアは、リベリスタたちの中で真っ先に飛び出した。
 加速しながらナイフ使いの戦闘員に接敵する。高速の移動に、すいかのように大きな胸が揺れる。
 アシュリーがライフル、仁太がアームキャノンの狙いをつける。
「スイッチが入ってからの数分間が勝負だな」
 回り込むように駆け出した疾風が隙のない構えを取る。
 そんな疾風の頭部をアームキャノンの砲弾が襲った。それは青年の頭部を確実に捕らえたが、しかしその意気を砕くには明らかに力不足だ。
 モニカの自動砲が火を吹き、弾丸を降り注がせる。
「シャークさんは、まずあの装置に封印を仕掛けてください」
 前に出たコウモリ男に向かって移動しながら、要が告げた。
 ユーフォリアに抑えられていないナイフ持ちの戦闘員が突っ込んできて、理央に切りかかってきた。首筋を狙ってきた刃を、盾で受け止める。
「正義の力で……パンプアップ……! この筋肉の壁を……破れるかね……?」
 その間に割り込んだ聡は隆々たる筋肉を誇示するようなポーズを取る。筋肉が盛り上がり、鉄壁の盾と化していた。
 理央は隣にいたシャークに目で合図をする。
「韮崎さん、合わせてやりましょう」
「うむ、見せてやるとしよう」
 2人のインヤンマスターがそろって呪印を結ぶ。
「なっ……なに、装置を縛っただと!? そんなことをすればどうなるかわかっているのか!」
 守るべき装置が呪縛されたことに気づいてコウモリ男は戸惑いの声を上げた。
「さあ、どうなるんだろう。教えてくれないかい?」
「知るか! それがどうやって動いているのかもわからんのに!」
 まったく知らないものを平然と使える神経が理央には理解できなかったが、事実のようだ。
(止まらないまでも、作動が遅れてくれればいいんだけどね)
 内心でため息をつきながら、理央は思った。
 仁太は手にしたアームキャノンをしっかりと構える。
「エネルギー充填は十分ぜよ! はっしゃぁー!」
 キャノンの弾丸が激しく敵に降り注ぐ。無論、前衛で戦う仲間に当てるような真似をする……。
「おっと、調子に乗って味方まで撃つところだったぜよ」
 ……真似をする、仁太ではなかった。
「シャークさん、みんな、協力お願いや!」
「よかろう!」
「まあ、火力の集中は戦闘の基本です」
「狙えるときは狙わせてもらうわ」
 シャークと女性陣の返答に温度差があったようにも思えたが、ポジティブな仁太は気にしなかった。
 周囲に剣を浮かせたシャークが氷の雨を降らせた。
 冷たい類滴の中、モニカと仁太の弾丸もまた雨のように降っている。その中を光線のように切り裂くのはアシュリーのライフル弾だ。疾風が放つ真空の刃も敵の動きを乱している。
「みんなで一緒に撃てっと必殺技みたいでええのう」
 頷きながら、仁太はひたすらアームキャノンを連射した。
 聡は対峙しているナイフの戦闘員を、盾で激しく殴りつける。
「やはり……お約束は守らねばならんだろう……。スポンサーの機嫌を損ねては、今後の活動もままならなくなりかねんからな……」
 ボスは後回し。それが世界の選択だ。
 守ることを得手とする聡の攻撃はなかなか当たらなかったが、聡の役目はそれだけではない。
「く……やられました……」
 コウモリ男との接近戦を繰り広げていた要が、超音波をまともに受けてしまったことに聡は気づく。背の低い少女は、長身の怪人の前で戸惑っていた。
 ナイフが一閃する。傷は大したことがないが、聡の筋肉に覆われた首から血が流れた。
「任せたまえ、この迸るエナジーで癒してみせる……!」
 両腕に力こぶを作り、腰をひねった力強いポーズを取ると、彼の身体から光があふれる。
 流れる血は首の筋肉にさえぎられ、また敵を見失いかけた要の動きも元に戻っていた。
 疾風は戦場を大きく回りこみ、アームキャノンを持った戦闘員に肉薄する。
 敵は集中攻撃の起点となっているように見える仁太を狙い撃っていた。
 もっとも、傷はすぐに理央が癒している。少女の微笑みは福音を呼んで、悪党どもと戦うリベリスタたちの傷を見る間に癒していたのだ。ユーフォリアだけは少しずつダメージが蓄積していたが。
「あなたの相手は私ですよ」
 疾風の拳に炎がまとう。
「なにっ!」
 アームキャノンで受け止めようとしたが、疾風から見ればまるで止まっているかのような動きだ。
 火炎の打撃は腹部にヒットし、一撃でアームキャノンの戦闘員を昏倒させていた。

●山中の決着
 ユーフォリアはナイフ使いとの戦いを繰り広げていた。
「あらあら~、なかなか当たらないですね~」
「くそっ、なんでこんなのんびりしたしゃべりの女に……!」
 言葉は間延びしていたが、ユーフォリアの動きは早い。
 攻撃はろくに当たらなかった。
 むしろ、怖いのはコウモリ男のほうだ。分身した怪人は、抜け目なく要とともにユーフォリアの弱点も狙ってくる。その動きは彼女以上だった。
 とはいえ主に狙われているのは要のほうなので、あまり危機感はない。
 振り注ぐ弾雨と氷雨を縫って、ユーフォリアは両手のチャクラムで確実に敵を切り刻んでいく。
 空中からの攻撃に、敵は翻弄され、ろくに反応できていなかった。
「そろそろ~、終わりですよ~」
 急降下から円盤に切り裂かれて、敵は声もなく大地に伏した。
 聡と対峙しているナイフ使いの戦闘員に、リベリスタたちの矛先が向く。
 モニカのすることは、狙うべき対象が変わっても同じだ。
 ひたすら撃つのみ。
「馬鹿の一つ覚えですが、これが私の戦場での役割ですからね」
 アークが誇るアイドルメイドの火力は、今回のメンバーの中でも群を抜いている。
 もちろん消費は激しいが、右腕と右目が機械化されたメタルフレームであるモニカには、徐々に回復してくれる無限機関がある。
 強敵が相手ならば話は別だが、目の前にいる程度の敵が相手ならエネルギー切れはなさそうだった。
「そもそも、自動砲相手にナイフで立ち向かうのが無理な話です」
 眠たげに半眼となったモニカの瞳が無表情に傷だらけの戦闘員を見つめる。
 フィクサードのナイフなら自動砲にも引けを取らないが、それは実力がともなっていればの話。
 仁太と射線を重ね、弾丸を集中させると、蜂の巣となった戦闘員は動かなくなった。
 アシュリーは蜂の巣になった敵には目もくれず、怪人コウモリ男にライフルの銃口を向ける。
 リベリスタたちはお約束どおり怪人は最後に倒そうとしていたが、あの速度を考えるとむしろ先に倒そうとしたほうが苦労していただろう。
 コウモリ男を抑えている要は、けっしてスピードに長けているわけではない。
 それでも、クロスイージスの少女は目もくらむような速度の怪人の攻撃をよく受け流している。
「今のうちに、少し動きを遅くしておかないといけないわね」
 ライフルの弾丸に魔力を付与する。
 意識を集中してよく狙い、引き金を引いた。
 吸い込まれるように怪人を貫いた銃弾はコウモリ男から血を吹き出させる。ソードミラージュの加速が途切れる。
 動きが鈍った敵に向かって、聡が前進して盾を叩きつける。疾風も敵の後方から接近していた。
「頭の上がお留守になってますよ~」
 ユーフォリアは空中から怪人に飛びかかり、切り裂いていた。
 要はひたすら敵の攻撃に耐えていた。
「役立たずどもめが! よかろう、この私が1人でもお前たちを葬ってくれよう!」
 突き立ててくる刃を要は盾で受け止める。
 止め切れなかった威力が要のコートを貫き、戦いの中で身体の前面に流れていた銀髪を血が染める。
 流れ出た血がみるみるうちに止まっていくことに要は気づいた。
「……シャークさん、ですね。ありがとうございます」
「なに、礼を言うのはこちらのほうじゃ。よく抑えていてくれた」
 貼り付けられた癒しの符が、これまでに受けていた傷を一気に癒した。
 理央が結界を張り、仲間たちをコウモリ男の刃から守る。
 もはや怪人1人では勝ち目はなかったが、要は最後まで仲間の盾となるつもりだった。
 ユーフォリアのチャクラムがコウモリの皮膜を切り刻み、アシュリーの弾丸が貫く。疾風の拳が、敵を焼き焦がす。
「もはやワシに力は残っちょらん……じゃけん、最後の一発は撃たせてもらう!」
 仁太の精密射撃をコウモリ男はかわそうとしたが、アームキャノンの弾丸はこめかみをかすめる。
 傷ついていた敵を倒すには、それで十分だった。

●戦いの終わり
「怪人は倒しても巨大化するかもしれん! やっつけても気は抜けんぜよ!」
 倒れた敵に向けて、仁太は油断なく銃をかまえる。が、別にそんな気配はなかった。
「……え、巨大化せぇへんの? 怪人コウモリ男、恐ろしいやつじゃった……」
 守るべき者がいなければ、機械を壊すことはもう難しくはなかった。
 呪縛の効果があったのかなかったのか。少なくとも怪人が倒れるまで発動はしていない。
 疾風の放ったカマイタチがコードを断ち切る。
 聡は妨害しようとする者がいないか見張っていたが、もう動くものはいないようだ。
 ひたすら耐え続けたうっぷんを晴らすかのように要が全力で何度も殴りつけると、やがて機械は音を立てて壊れた。
「さて、これで韮崎市の平和は守られましたね」
 外骨格を解除した疾風が、流れる汗もさわやかに告げた。
「折角なので韮崎の特産品を土産に持ち帰りましょう。桃やぶどうが美味しいらしいですが」
「ほう! よかろう、なればこの儂がお主らに観光案内をしてやろう。韮崎の名産の数々に恐れおののくがいい」
 モニカの一言に、シャークがニヤリと笑った。
 アシュリーは1人、煙草をふかす。
「この後第二、第三の刺客が韮崎市征服に……! 来ないよねぇ……?」
 秘密結社nirasakiとやらがどれほどの組織なのか……この4人だけで全員ならばめでたいが、万華システムで得た情報では少なくとも他にドクトルなにがしとやらがいるはずだ。
「倒した連中は縛ってアークに引き取ってもらいましょう。他にも構成員がいるみたいなので、対処しなくてはいけませんし」
 要が倒したフィクサードのうち、まだ息がある者を縛り上げていく。
「アーティファクトも~回収しなきゃいけませんね~」
 ユーフォリアは内部を探っているようだった。
「回収したアーティファクトを使えば~、三高原でニラが取り放題になりますね~」
「こんな怪しげな代物から出てきた韮を食べるつもりなの……?」
 とはいえ理央も興味はあるらしく、残骸を一緒に調べている。
 今のところ、もう脅威はなにもない。
「こうして……平和は守られた……」
 そろそろ沈み始めた太陽を清々しい笑顔で見上げて、聡は呟いた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 皆さんお疲れ様でした。
 しかし、皆さんの戦いは終わっていません。第2第3の……というネタはすでにアシュリーさんに言われてしまいましたので省きましょう。

 第2第3の戦いがもし発生したらよろしくお願いします。
 まじめな大悪事は全体シナリオだけでもう十分に出ているので、たぶんそのときはまたEASYになるかと思います。