● ――此処は、空が青く澄んでいる。私がいたとこは空が赤かった。 一人の少女が空を見上げていた。 髪は黒く、目も黒く、服装も漆黒のワンピース。 ただし肌は生気を感じないまでに白い。ついでに足は裸足だ。 彼女を見る人の目は、不審な子が突っ立っているという感じだろうか。 しかし幸か不幸か、田舎なので人の目はさほどに無い。 彼女が立つところは線路の上。 都会に比べ、列車の本数は圧倒的に少ないが、電車が来ない訳ではない。 数十分とそこに立っていれば、電車が通過するなんて分かりきっている。 しかし、彼女は分からなかった。何故ならアザーバイドだからだ。 今まさに、この世界に堕ちてきてしまった異世界の住人。 帰り方なんてわからない。何故此処にいるのかもわからない。 そして――電車が見えてきた。あと数秒もしないうちに彼女は轢かれてしまうだろう。 「おい、ちょっ! あぶねえな!」 柵を超えて少年が一人、少女の手を引いて電車に轢かれない程度の距離までエスコートする。 突然手を引かれた彼女は驚きつつも、流されるように引かれる方向へ着いていった。 後方で電車が線路を通る轟音が響いた。 「おい、少年。今何か凄いのが通ったが、あれにぶつからないように助けたのか?」 「そうだよ、ていうか何言ってんだよ! 線路の上に立つなんて、死にたいのかよ!」 何故そんなに怒るのか少女にはよくわからなかった。 しかし、助けてれくたことだけは分かった。 ――私の世界は、自身以外が全て敵だったな。でも、この世界は暖かい。 少年を見つめる彼女の白い顔が、少し桃色に染まった。 ● それから数日が経ったある日。 少年は非現実を目にする。 剣や、杖。 まともな生活をしていれば一般人は目にすることはない物。 だが今、少年の目の前にある物はまさにそれである。 「お前の存在は許されていない!」 「だから俺達はおまえを滅する!」 少女に向かって言葉を吐く者達。何処かのリベリスタの組織だろう。 彼等は少女に襲いかかる。 「なんだよ! なんなんだよ!!」 咆哮する少年が、少女の盾となり護ろうとする。 「どかないなら、お前諸共、斬る!!」 リベリスタの一人が、刀を少年と少女に向かって振り下ろした。 ――業火が、舞う。 「優弥は、私が、護るよ」 少女の右手からは炎が出ている。それはリベリスタを簡単に飲み込んだ。 今まさに目の前で人が灰になったのを目の当たりにした優弥は、頭を抱えて言葉無き絶叫を叫んだ。 少女は優弥の身体を後ろから抱く。 「私の居た世界では、いつも戦いばかり。此処も、そうなのね」 リベリスタはアザーバイドから逃げる。 「なら、せめて、好きな人の傍に居させて欲しい」 だが、逃げられない。業火はすぐにリベリスタを包む。 一方的な虐殺は、始まったばかり。 そんな少女に運命は微笑まない。 ● 「アザーバイドを狩るリベリスタを、止めて欲しい」 いつもの様にブリーフィングルームに集まったリベリスタ達に『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言った。 ただ、いつもアザーバイドを討伐したり、送り返したりしているリベリスタ達の顔には疑問の表情が浮かんでいた。 「えっとね。このアザーバイドはフェイトを得ているの。今は安全」 なるほど。そういうこともある。けれど―― 「今は?」 「そう、今は。説明するね? とあるリベリスタの集団が、その存在を許していないの。彼女を討伐するつもり。でも、それは失敗に終わる」 アザーバイドの少女は戦闘に長けていた。 元々居た世界が戦いまみれの世界だったらしい。 「その上位世界の名前は『煉獄』って名前をつけた。文字通り炎を操る亜人の居る世界みたい。出せる火力によって差別があり、それがきっかけで戦争が起きてたりとかあるみたい」 その世界から来たのが彼女だ。 彼女に襲いかかる集団は全滅。意味のない戦闘で無駄な血が流れるだけだ。 おまけに彼女はこの戦闘を発端に、優弥に近づく全てを燃やす存在となって、そのうちフェイトを無くす。とても厄介だ。 「彼女の炎は強力な方だけど、もしもの時は討伐して。みんなで戦えば、倒せる」 行く末はリベリスタに託された。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月23日(金)23:13 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●線路の上で 「……なんで煉はここに立ってたんだ?」 「わからない。気づいたら此処にいたのだ」 田舎の線路の上で真喜屋 優弥と、『煉』と呼ばれたアザーバイドが探索をする。 敷き詰められた石を蹴りながら、煉は思考した。 だが、やっぱり何故此処にいるのかは分からない。夢から目が覚めるような感覚で、こちらの世界に落ちてきてしまった彼女。 このボトムチャンネルが自分の居た世界では無いことは分かっている。 しかし余計な事は優弥に喋らなかった。喋ってしまったら、今の関係が壊れるような気がしていた。 ましてや異世界の住人だなんて、信じてもらえるだなんて思わなかった。 好きな優弥がそばにいて、毎日他愛の無い話をして、同じものを見たり聞いたりするだけで良かった。 戦わなくて良い。彼女にとってそれ以上の幸せは無いのだろう。 眠れる炎は、未だ揺り篭の中で眠っている。 それもいつまで保てるのだろうか。終わりというものは案外早くやってくるものだ。 「見つけたぞ! アザーバイド!!」 突然現れたのは、四人のリベリスタ。アザーバイドと言いながら、煉に指をさす。 瞬時に煉は悟った。この世界で自分はアザーバイドと呼ばれている存在である事を。 優弥はリベリスタ達を見るとギョッとした。 手に見えるのは刀や杖。まるでファンタジック。 仮装かと思いきや、そんなおふざけの効く雰囲気にも見えない。 「なんだよ! なんなんだよ!」 護るために煉の前に立つ優弥。 「そこの黒い女は、この世界で存在すべきでは無い!」 リベリスタの一人が刀を抜刀。煉めがけて斬りかかる――その時。 「ちょっと待てよネパル共。アークのリベリスタが介入するぜ」 『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461)の声が響くと共に、アークのリベリスタが優弥とネパルの間に入った。 その手前で『復讐者』雪白 凍夜(BNE000889)が、ネパルの刀を受け止め、弾く。 「なんだお前等! そいつらを庇う気か!?」 最後尾に居たホーリーメイガスが声を張り上げた。 「邪魔するに決まっています! ボーイミーツガール的な恋バナ大好きですから!」 『畝の後ろを歩くもの』セルマ・グリーン(BNE002556)の口から本音がポロっと出て、控え気味に口元を抑える。 和んだところで、本題に入ろう。 ●護るべきもの 武器を持った大人が煉に襲いかかる状況だけでも混乱しそうになった。 更に八人増えて、中には狼の頭をした人や天使の羽のようなものを背中にくっつけた人が居る。 「マジで、なんなんだよこれ」 非現実を目の前に、優弥は頭を抑えた。 その後ろで煉が不安そうに見つめる。 戦闘が怖いという不安では無い。自分も非現実のひとつであるため、どう理解されるかが不安なのだ。 「ヘイ優弥! 煉を守りたけりゃ話を聞いてチョーダイな!」 雰囲気をズバっと割って介入したのは『断罪の神翼』東雲 聖(BNE000826)だ。 その声に反応した優弥は身体を驚いた様に揺らす。 「始めまして、黒野煉様。私はアーデルハイト・フォン・シュピーゲル」 『銀の月』アーデルハイト・フォン・シュピーゲル(BNE000497)は丁寧に煉に名乗った。 「誰だ、お前達」 率直に問う、優弥。 「大丈夫だョ。敵じゃあ、無いんだョ」 『盆栽マスター』葛葉・颯(BNE000843)がその質問に答えた。 しかし、優弥はリベリスタ達に警戒を怠らなかった。煉を背中に隠して、リベリスタから目を離さない。 お姫様を護る騎士真柄の光景。彼にはやってもらわなければいけない事がある。 「優弥君、いきなりこの状況じゃ理解できないかもしれないけど、聞いてくれる?」 藍・ル・リース(BNE002833)が優しい口調で話を切り出した。 優弥からの返答は無いが、この距離なら嫌でも言葉を拾うだろう。 彼の後ろにいる煉は、反対側に居るネパルとアークのリベリスタを見つめていた。 「退け! アーク、お前等ごと斬るぞ!」 刀の切っ先を、先頭に居る『ニューエイジニンジャ』黒部 幸成(BNE002032)へと向け、怒鳴るネパル。 「良く見るで御座る! あの少女は既にフェイトを得ている……この世界に愛され、この世界で生きていくことを許されたので御座るよ!」 それに対抗して、彼女が安全であることを声を張り上げて幸成は諭そうとする。 「奴のフェイトもいつまで存続できる? 安全という保障は無い!」 マグメイガスが、自身の魔力を高め始めたのを目にしたアーク。 どうやらネパルは、邪魔な者を斬り倒してでも煉を葬るようだ。 インヤンマスターが手の札から漆黒の鴉を呼び出し、それを煉を護る優弥へと放つ。 鴉が向かってくるのが見えた優弥は咄嗟に目を閉じてしまった。 「アイター!? でも痛いの我慢、逃げちゃ駄目だ私!」 が、少しして目を開けた。白い羽の天使――聖が護っていくれていた。 優弥の思考が止まる。何故、護ってくれたか。敵では無いのか。 「戦いは避けられなかったで御座るか」 前方で幸成が気糸を放ち、マグメイガスを縛る。 煉を説得するための時間稼ぎの戦闘。 けして、ネパルを殺すための戦闘では無い。 デュランダルが刀を持ち直し駆け出すが、吾郎が防ぐ。吾郎の背後ではセルマがオートキュアーを紡いだ。 それと同時に、光る矢がセルマの横を過ぎ去ったのが見えた。 ホーリーメイガスの手から放たれた、ひとつの矢。向かう先は、再び優弥だ。 「――煉様、優弥様、少しお下がりください」 アーデルハイトが背中で庇った。煉と優弥に笑顔を見せ、ネパルの方へ振り向き凛と立つ。 「フェイトを失えば異形と化すのは、私共も貴方達も同じです」 ネパル勢が、少し後退した。 背後でネパルの攻撃から煉と優弥を庇いながらの説得が始まる。 だが、話を始めたのは優弥の方からだった。二回も護れられて、敵で無いことは分かった。 「お、おい、お前等大丈夫かよ……?」 アークのリベリスタへ遠慮がちに気使う。 「今は私達に任せて、煉の心を守って欲しいの! 私達じゃ体は守れても心は無理デス!」 聖がネパルの攻撃を警戒しながらも、優弥に返答する。 「煉が……関係してんのか。あいつらは何者なんだ?」 背中の煉を見る。 煉は背中に張り付いて、顔を強ばらせて思いつめていた。優弥とは目線を合わせない。 『アザーバイド』と呟きながら、優弥の背中を両手で掴んで離さなかった。 藍が説明を始める。 「彼らはネパル。この世界に危険を及ぼすモノとして、煉さんを殺そうとしているの」 率直な現在の状況の説明。それを聞いて、勿論優弥は驚いた。 殺しだなんて、一般世界を生きる彼にはテレビの中での出来事であったものだ。 「煉は、危険なのか?」 「煉さんは世界にとって危険なモノなんかじゃないわ。だから私たちは彼女を守りたい」 優弥は再び頭を抱えて悩む。 彼の目線から見れば、煉は危険だなんて一切感じ無い普通の女の子だからだ。 颯は優弥の背中に張り付く煉に言葉を向ける。 「お嬢ちゃん、少年は颯さん達がちゃんと守るんだョ。だから君は戦わないでほしいんダヨ」 煉からの返事は無く、そっぽを向いてしまった。煉は未だリベリスタを警戒しているようだ。 「この世界は貴女を受け入れました。貴女が生きると仰るのなら、私共が貴女方を守りましょう。ご不信とあらば、其の炎で私を灰にしていただいても構いません」 続いてアーデルハイトが呼びかける。 炎という言葉に反応し、勢いよく指をアーデルハイトに向けた。 万華鏡で見た攻撃は、手からの炎を噴射する攻撃であった。今の彼女は、いわゆる攻撃体勢。 「撃っちゃダメ! その炎、そのうちにあなた自身を焼く事になるわ!」 藍が叫びながら煉に静止を促した。炎のトリガーである指先が的を絞れず、忙しく動く。 「少年もとりあえず止めてほしいんダヨ。いきなりで戸惑ってるだろうけど」 「煉さんがネパルへ反撃したら、私達、守るのが難しくなるの」 颯と藍が優弥に呼びかけた。 ●眠れぬ炎 「お前らが手を出すことでフェイトが無くなる。だから引いてくれねぇか?」 吾郎がネパルに再三にわたって撤退を促す。 煉と優弥に向けて攻撃すればは全て庇われるため、攻撃対象は煉と優弥からアークに変わっている。 「その前に、奴を倒せば問題無いだろう?」 ネパルの戦闘意識は変わらない。 「少しは痛い目見ないと解らねぇか!」 吼える吾郎が剣を振るい、幻惑を魅せながらデュランダルを突く。 デュランダルは体勢を整え、今度は攻撃を吾郎に向ける。 「お前等もリベリスタなら分かるだろ! アザーバイドの力は未知だ。世界の驚異、だろう?」 デュランダルの刀をその身に受ける吾郎。その横から、インヤンマスターの追撃が来た。 「フェイトを得ているって言ってるだろうが、まだ解らねえか!」 体力の半分は持っていかれたが、吾郎はまだその足で力強く地面に立つ。 幸成が気糸でホーリーメイガスを縛ろうとしたが、それは寸前で回避されてしまった。 「仕様の無い方々ですね」 アーデルハイトのマジックミサイルがデュランダルを捕え、セルマのパワースタッフが、魔落の鉄槌を叩き込む。 攻撃を受け、よろけるデュランダルだが、その傷をホーリーメイガスが完全とまではいかないが治す。 その横で未だ幸成の気糸に捕まっているマグメイガスは動けない。 (本当に全員殺す方向で来るで御座るか。万一の時には自分が奴等を) 幸成が最悪の事態を想定したその時だった。 「おい、あの四人が敵か?」 今まで黙っていた煉が言葉を発する。リベリスタ全員が煉の方向を見た。 優弥の背中から手だけを伸ばし、指の先をデュランダルへと向けた煉の姿。 「私のせいで優弥が狙われ、無関係の女性達が傷ついた」 指先から、小さな赤い火が空中で燃え始める。 その火を見た優弥が目を丸くした。そこで初めて全てを理解したのだ。煉が隠し続けていた力の存在と、現在の状況を。 「すまない優弥。全部私が、護るよ」 吹き出す炎がアークのリベリスタを蛇のように避けながら、デュランダルへ向かう。 ネパルのデュランダルなど、すぐにでも燃え尽くせるほどの威力を持つ、煉獄の炎。 これが当たれば、煉は止められない。万華鏡で見た、悲劇が再現されてしまう。 最悪、文字通りのアザーバイド討伐に―― 「やめろ、やめてくれ!!!」 ――優弥の声が響き、それに反応するように炎が消える。 「煉は、戦わなくていいんだ。俺が護るから」 「戦わなくて、良いのか?」 優弥は煉の身体を抱え、ネパルの攻撃が当たらないであろう距離に移動した。 そしてまた、優弥が盾となる位置に。 「後で説明してもらうからな! だから、後は頼んだぞ!」 後方で優弥の声を聞いたアークのリベリスタ達は、小さく笑った。 「あとは、ネパルだけで御座るな」 「ええ、そうね」 幸成が武器を持ち直し、藍が相槌を打った。 ●リベリスタの使命 「今の見たか? 首輪があるだけまだマシだが、あの炎尋常じゃねぇよ」 デュランダルが殺意の篭った目でリベリスタを見たが、颯がすかさず返答する。 「何言ってるんだョ。貴方は今、優弥君に守られたのだョ」 「はっ! あの少年がいなくなったら、どうする。アザーバイドは安全か?」 ネパルの方向は変わらない。 リベリスタ以外のエリューションは全て排除する。それが彼等の全てである。 「もう一度言うぜ、俺らは無用な戦いを止めに来た。お前らの目的は今回ははずれで意味がない。それでも止まらないのであれば――」 ――お前等が死んでくれ。 吾郎が地を駆け、再びバスターソードをデュランダルへ振るう。 攻撃は頬をかすめただけだったが、その威圧に恐れを抱く。 デュランダルの後ろでマグメイガスが四色の陣を展開、藍に放ち直撃した。 すれ違いで、アーデルハイトのチェインライトニングがネパルを襲う。 「これだから頭の固い連中は。馬に蹴られて死にますよ?」 セルマが武蔵の背後から身軽に現れ、再びデュランダルに魔落の鉄槌をぶつける。 「くそっ! くそがああああ!」 デュランダルが咆哮し、その口からは荒く息を吐き出す。 ふらつく身体を動かしながらも聖を攻撃するが、読み切られ当たらない。 「お、おい、大丈夫か!」 インヤンマスターが傷を治すための符をはるが、消耗した体力は完全にはならず。 「損耗した戦力で本懐を遂げるのが如何に難しいかはわかる筈です。退いてはいただけませんか?」 セルマがホーリーメイガスに呼びかけた。 デュランダルだけは目が血走り、まだやる気を帯びている。 元々アザーバイド一体のための編成だった四人が、八人を相手にするのは難しい。かつ、一人が倒れかけている。 「……今回は引くしか無いな」 ホーリーメイガスが決断した。 「まだだ、まだやれる! こいつらを殺す!」 吠えるデュランダルだが、その時遠くから聞き慣れた音が聞こえる。 電車が来た。 「おい、危ねぇから線路から降りろ!」 凍夜が仲間へ呼びかけ、リベリスタは線路から離れる。 ふとネパルの方向を見た藍が、反対の方向へ離れていく彼等を見た。 だが、デュランダルの彼だけは、体力ギリギリまで削られた身体を引きずっているため遅い。 藍は横から風が通り過ぎるのを感じた。 風を連れた幸成がデュランダルの元へ走り、彼を掴む。 「な、何する気だよ!」 「急ぎにつき、荒仕事で御座るが、御免!」 そう言いつつ、線路の反対側へ投げ飛ばし、インヤンマスターが受け止めた。 急いで自分自身も線路から離れ、背後から電車の通り過ぎる轟音が聞こえた。 ●これからの事はまたじっくりと 電車が通り過ぎた後、反対方向にはネパルの姿は無かった。 どうやら、無事撤退できたようだ。 脅威が去った事がわかった煉は優弥の背中から離れた。それを見た優弥がリベリスタに問う。 「で、お前等はなんなんだよ」 「ざっくり言えば私達も煉と似たようなもんだよーって見ればわかるかな?」 白い羽をいっぱいに広げながら無邪気に聖は答えた。 優弥はそれに対して首を縦に何回も振った。 「さて、お嬢ちゃんはアークに連れていった方がいいかもだョ。監視と保護のために」 「アークってなんだ?」 黒くて丸い目をきょとんとさせて、煉は颯の裾を引っ張った。 「簡単に言えば、正義の味方かな?」 藍が笑顔で答える。 「皆さん、神秘は秘匿するべきものですよ。今回ばかりは仕方ないですが」 アーデルハイトがAFでアークに連絡しながら、言葉を挟む。 「優弥と離れたく無いのだ」 少ししょんぼりしたように煉は優弥を見た。 「まあ、線路脇でこんな話もなんだし、とりあえず此処から離れねぇ?」 凍夜の言葉に賛同した全員はその場を後にした。 「――ところで、煉って線路の上になんでいたんだ?」 「気づいたら、そこに出たのだ」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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