● ようやく暑さ和らぎ過ごしやすくなりつつある昨今、皆さま如何お過ごしでしょうか? それでも女の人の衣服は相変わらず薄いですね。 見納めって言うには早すぎですよね。 たゆん。 たゆんたゆん。 黒のレースをあしらったキャミソールが申し訳程度に包む胸元は、ふっくら揺れてとっても柔らかそうです。 「あーあ……育っちまってよォ…………」 人通りのない公園に差し掛かったところで、辛気臭いひねびた男の声がしました。 「?」 お姉さん、足を止めます。 止めちゃいました、それが運のつきです。 「その脂肪の塊で、どんだけの男泣かせてきたんだァ、あああん?!」 「ヒッ」 ザザッ! 鉈を担いで草むらから飛び出してきたのは、真っ赤なランドセルを背負った太鼓腹の中年男でした。 「俺の娘も胸が膨れた途端、俺に見向きもしなくなってよォ」 それは思春期ですよ。正常な成長過程を辿ってるんですよ、娘さんは。決してあなたの太鼓腹が……なんでもないです。 「くそぅ! 乳ばっか膨らまして男くわえこんでよぉ……成長なんかしなきゃいいんだああぁぁ!!」 ヒュン! たったのひと薙ぎ。 お姉さんの豊満な乳房は、綺麗な切断面を露わにして地面に落ちました。 まるで真っ白なミルクプリンのようです。てっぺんには色あせたチェリーがちょん。 下には真っ赤なラズベリーソースがたっぷり美味しそう。 でもね。 お姉さん、死んじゃった。 ● 「変態が、現れた」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は短く言いきった。 「巨乳嫌いの変態が、巨乳を襲ってるわ」 戸惑いも無い。 怯えも無い。 「あー。たしかにイヴさんは狙われませんよね」 『かたすとろふ言動』小鳥遊 あると(nBNE000002)は、心から納得した顔でしみじみ。 真赭のくりっとした瞳にパステルピンクストライプのブラを映した彼は今一度大きく頷き、 「よかったですね」 にこ♪ 笑顔が人を苛立たせることって……あるよね? ぴこ☆ 「いたっ><」 なんか質量の法則無視してウサギポシェットから超デカイピコハンがでた?! 擬音は可愛かったけど、あるとがすげー痛そう?! 「現れる大体の場所は絞ったから、この辺りで奴をおびき出して」 萌葱髪を大げさにさすりぶちぶち言ってるあるとを無視し、イヴは皆に地図を示した。 時間帯は夜。 駅から徒歩10分ほど、あと少しで住宅街に差し掛かりそうなちょっと寂しい小道。コンビニとコンビニの狭間だもんだから、街灯だけで辺りはちょっと暗かったりする。 しゃなりとした指が指す先には『ワクワク公園』とある。戦うには足るが複数人が距離をあけて布陣するには、狭い。 「どーやっておびきだすんですか?」 あるとの問いに少女は簡潔に返した。 「巨乳になって」 と。 「えーとー……きょにゅーは神様からのプレゼントですよ? あ、でも。イヴさんの未来がひんにゅーだと決ったわけではな……?!」 ぴこぴこ☆(どかばき) ――まぁ収拾がつかないので『あると血祭り』ははしょって説明すると、だ。 「リンゴやメロンでも詰めて歩けば大丈夫。それに全員が囮になる必要もないわ」 もちろん1人である必要もない。数名の巨乳の人達がきゃっきゃとおしゃべりして歩いても、狩人な奴は現れる。 囮役は最初に狙われ、続けて攻撃対象にもなりやすい。そこは留意すること。 「こいつよ」 イヴがキーボードに指を滑らせる。 臭そうな靴下とランニングシャツ着用! 真っ赤なランドセル! ふとましい太鼓腹! 「わー、残念なおじさんですね」 脂ぎった髪が申し訳程度に残ってるのがまた哀愁をそそる。 「そうね。でも変態だけど実力は侮れないわ」 奴は立派なエリューションなのである。 「攻撃の一つ目は、自分を軸に鉈をぶん回すの」 ダメージはバカにならないので連続して喰らうと倒れかねない。 しかも近接距離全てを巻き込む為、複数がターゲットになる。 更には、当たると付与されていたプラス効果は消されるし、流血状態に陥る危険性まであるときた。 「あとはランドセルから謎の触手が出るわ。視認出来る広範囲に伸びて、それなりに痛いかも。捕まったら混乱に陥るかも」 混乱して心を護るんですね、わかります。 「奴は、胸が大きい存在を狙う傾向がある。でももっと優先ターゲットが、あるよ」 ――貧乳幼女をいじめる奴。 イヴは口元にひとさし指をあて、こう続ける。 攻撃を放棄して貧乳幼女をいじめるふりをすれば、奴を怒らせて攻撃を対象を誘導することが可能。 巨乳役が苛めれば効果倍増! もちろん迫真の演技じゃないと見抜かれるのでご注意を。 上手く利用すれば、複数範囲を巻き込む鉈攻撃のターゲットを1人に変更させたり出来るだろう。 「ちなみに、いじめられっ子は男の娘もOK。あなたにはそっちの方が向くかもね」 嗜虐心をそそる少年を二色の瞳で一瞥し、イヴは更にヒドイ言霊を付け足す。 「年齢も認識出来なくなってるから、別に中年や老人でもいいんだけどね」 つまりは、38歳(性別不詳)貧乳幼女とかもありってことだ。 上手に幼女を演じればいいってことだ。 うん。 うん、うんうん……。 「それって誰でもいいってことじゃないですか」 「とにかく」 全スルー。 画面を消してイヴは皆へと向き直った。 「力押しの無策は押し切られかねない……奴の特性を思う存分利用した方がいいと思うよ」 あーくとしてはこのへんたいをほうちするわけにはいかないのですよ、ええ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:一縷野望 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月13日(火)22:25 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●乙女のな・や・み☆ 塾帰りだろうか? 夜も遅い時間、銀のツインテールの愛らしい少女と、元気いっぱいを絵に描いたようなぱっちりおめめの少年が駅からの道を歩いてくる。 小柄とはいえ付き添いの大人のおねーさんもいるので、夜道も安心。 大人のおねーさん。 主に胸が。 ばいん、ばいん。 ゆっさ、ゆっさ。 ……なんだその左右のスイカは。 この人の場合は『体は名を現わす』で、その名も『銀猫危機一髪』桐咲 翠華(BNE002743)さん20歳。記憶喪失後、自分の胸を見てつけたらしい……納得。 ふう。 そんなスイカを横目にため息の少女『薔薇の吸血姫』マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)は、ぱふっと胸元の布地を動かして風を送る。 蒸し暑いよね。 でもそしたら推定F55(実際はC55+パット2枚×2)の膨らみがね、これ見よがしにね。 「ごくん」 ほら、隣の少年『ライトバイザー』瀬川 和希(BNE002243)が、喉元ならしちゃうじゃないか。 「胸ばかり増えてもブラのサイズがないし」 素知らぬ振りでマーガレット。 「もう少しは、身長が伸びてもって思う事はあるけどねぇ」 ぎゅーっと胸の下で腕組みして翠華。あ、腕はおっぱいで埋もれてます。 「ごくん、ごっくん」 和希の目がこの上なく見開かれた! タンクトップが薄々に伸びきって懸命にスイカおっぱいを隠してるぞ! ちっ、仕事しなくていいのに……いや、なんでもないデス。 ところでこちら草むらですが――。 「うぎぎ……!」 おっぱいの競演を見て歯ぎしりするのは『ちびっこバウンティハンター』宮代・久嶺(BNE002940)である。 あっちはふっくら。 こっちはコンパクト。 「マーガレットさんと久嶺さんって同じ年でしたっけ? まだ10歳ですし、これからですよー」 麦わら帽子に指をかけ小首を傾げる『かたすとろふ言動』小鳥遊 あると(nBNE000002)が、息するようにいらんこと言った! 「な!」 ぎりぎりぎりぎり。 ああ、そんなに歯ぎしりしたら歯が折れちゃうー。 ……あると君ごめんなさい。 とか思いつつ『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)の心を駆け抜けるのは超級の嗜虐心(ふりがな:かわいがりたい)だ。 反対では、堅牢な扉を象った盾を手にほくそ笑むぐるぐる眼鏡さんが潜んでいる。『ぜんまい仕掛けの盾』ヘクス・ピヨン(BNE002689)は、変態への期待に割と平坦な胸が高鳴りっぱなしだ。 (「……全くダメージを与えられずに絶望にゆがむ顔が本当に楽しみです」) ごめん。 変態の『攻撃力の高さ』に対する期待、だった。 (「敵も味方も変態ばかり」) きゅ。 眼鏡を押し上げて『毒絶彼女』源兵島 こじり(BNE000630)は銀朱の瞳を眇めた。 右を見れば変態、左、前、後ろを見ても変態変態変態。 ふ。 ゆるやかな絶望に身を任せこじりは口元で囁く。 「鏡を見ても変態。困った世の中だわ」 自分を知るって、とっても大事だと思います。 さて、公園巨乳組にカメラ戻します――。 「翠華みたいに大きくなると困らない?」 将来はこーかなーと、爆乳チラ見。 「まぁ……注目が集まるって意味では、悪くないけどね?」 ホットパンツからはみ出る尻尾を疎ましげに、翠華は返す。なにしろお陰ではけない、からね! 生のおっぱいトークに胸がドキドキ☆ だが和希は周囲にもしっかり注意を払っているぞ。草むらで腹ばいで身を隠す『蒼輝翠月』石 瑛(BNE002528)の翡翠にアイコンタクト。 (「娘に相手にされなくなったから、腹いせに他の子を殺そうなんて……」) 瑛の心でのぼやきはここで、止る。 『男とイチャコラしおってえ、この腐れ巨乳があ!』 豊かに波打つ太鼓腹☆ 頭で揺れる控えめな髪が奥ゆかしいね。 背で踊るは真紅のランドセル、ラッキーアイテムはドス黒い触手♪ ――結界はばっちり張ったか? OK、それじゃVS変態、開幕だー! ●みんなー、変態が出たぞー! 「娘が見向きもしないとか、当たり前よね。貴方鏡、見たことある?」 変態がすぐ側に着たタイミングで立ち上がり、こじりは目一杯の侮蔑を篭めて変態を見すえた。 頭。 腹。 背中のランドセル。 下肢。 アーク制服のブレザーも相まって、さながら問題点を指摘する女教授か。 「私だったら自殺モノだわ」 こんな父親がいたら。 ――彼氏に見られると恥ずかしいから、お父さんこの日は出かけててよッ! 『乳が、全て乳が悪いんじゃああ』 ぶぅううん! 錆びた鉈が狙ったのはこじりと大人巨乳の翠華、マーガレットが外れこじりは一瞬だけ薄い笑みを浮かべた。 「……ッぶね!」 和希は素早く翠華の前に回り込む。そして両で構えた白緑のジャマダハルで勢いを殺し、耐えた。 「巨乳は人類の宝だって……分からないのか!!」 キッ! 英雄の名を冠した得物を握り締め毅然と。台詞が残念で仲間を庇った格好良さがぶちこわしだ! 「……さすがに引くなぁ」 マーガレットは半目でぼそり。 あ、変態さんのビジュアルに対してであって、和希の台詞に対してではないですよ? 和希は味方のフォローへ向かえる場所を素早く計算し身を引いた。 と、同時に。 ドンッ。 ドサッ。 「はわっ」 右後方で響く何かが落ちる音と頼りなげな声。 変態はぎょろりと首を後ろにねじった。180度ぐるんとか軽くホラーですね。 「あーら、ちんちくりんすぎて視界に入らなかったわ♪」 げしげし。 桜色ベストにキャミソな見た目女の子を、金髪ナイスバディなおねーさんが蹴り出したぞ! 「ううぅ……すりむいちゃいました」 肩掛け懐中電灯で照らされた巨体からは目を逸らし、ちょびっと赤くなった膝に息をふーふー。 ぞくぞくぅ! 恨みがましい上目に舞姫の胸が粟立った。 「きったない帽子ねぇ」 「わっ返してくださいー」 貧乏くさいと麦わら帽子を投げ捨てられて、あわあわとそれを追うのを通せんぼ。 『お、おっおお! お前は悪い巨乳だなぁ!』 ターゲットロックオンされた舞姫は「おじさん! 邪魔」と鋭く睨みあるとに襲いかかる(演技です) 『こっ、これだから乳が膨らんだ女は……』 そうだ! 「そんな無駄な贅肉、なんの役に立つのよ、重いだけじゃない!」 おっさんに賛同する声があがったぞ?! 黄色い帽子に赤いランドセル、下がるマスコットには『みやしろひさね』のネーム入り! 小学生だ。 小学生様だよ! 久嶺さんは最初『ロリコンとか気持ち悪い』と息巻いてました、が、おっぱいトークで色々とアレでコレだったっぽい。 『Oh! ビューティーチャイルドォ』 ぶばっ! さあ駆け込んでおいでよと腕を広げればふくよかな腹が、たゆん☆ 「…………」 一瞬息を呑み立ち止まった少女はぐっと拳を握り締める。 「その醜い腹、ぶっ飛ばしてやるわ、覚悟しなさい!」 そんなもん全力で拒否だ! 振り切るようにヘクスの元へダッシュだダッシュ! 翠華は『神風招来』を逆手に構え宣言する。 「生憎だけど……あなたに触れさせるようなものなんてないのよ?」 『! お、お前は後だぁあ!』 巨体が駆け出す前に瑛が素早く印を結ぶ。仲間へ加護を呼寄せながら、先程攻撃を喰らった2人を確認。和希は凌ぎきりこじりは余裕と手をあげた。無事ならばと次は視線を舞姫へ。 「ふふふ」 その舞姫は指をワキワキあるとを追い詰めていた。 「うわ……僕、肉食女子はちょっと……」 ぺたんと尻餅ついて首をふるふる。 うるんだ瞳と紅潮した頬のあるとですが――どうしよう、これでアレに助け求めるんですか、僕。 「おとーさーん……」 よし、小声だが義理は果たした! 「娘の胸が大きいとか、そんなの気にしてる父親かなりキモいですね」 仲間の傷のチェックをしつつ思わず言いたくなった、ので、口にする瑛。 「そんなだから娘さんに嫌われて、奥さんには愛想つかされるんですよ」 『く……粗大ゴミだとぉ?! 誰のお陰で専業主婦やってられると思ってるんだぁ!』 くる。 やっぱり180度回転させて振り返るその瞳には涙が満ちていた。 『キモイ近よんなとか、おとーさんの服と一緒に洗濯しないでとか言うなああ!』 あ、なんか心の傷に触れちゃったらしい。 「胸の大きさなんてどうでもいい話」 す。 白魚の指が撫でれば水風船を潰すが如く、二の腕が爆ぜた。醒めた瞳で自分の指についた裂傷を見据え、淡々とマーガレットは続ける。 「成長して胸が大きくなるのも当たり前の話」 『違うぞぉ! 胸が膨らまない女だっているぞおお!』 「不吉なことを言わないで頂けますか?」 視線の先のヘクスが苦々しげに口元を歪めた。位置は舞姫の対角線の端、囮役2号として極力距離を取り、配置。 はあ。 この場にいる全てに向けて、深い深い絶望のため息が吐き出される。 かぽんかぽん鳴るランドセルの蓋に嫌悪を向けて、こじりは静かに闘気をみなぎらせる。 ――何と悲しきこの世の常。自分ですら敵に成り下がる絶望世界。 ほんとにね。 ●ピヨちゃんって可愛いと思うの 「ふん、隠す胸も無い貧相なガキには……」 むんずと上着を掴み、 「服なんていらないじゃない?」 「や、やめてくださいー」 ぱああああ♪ もうこれ以上ねーよってぐらい爽快な笑顔で、舞姫があるとの上着をひっぺはがした――瞬間、鉈が彼女の胸を狙って振り下ろされる。 「はあああ……鎖骨! 白い肌!」 どすっと。 根元まで喰らったけどその瞳はもう充実感できらっきら☆ あるとは同級生、だから舞姫的には合法ショタ! 何一つ問題なんてありませんよ! うわー、大惨事。 一応全力防御をしていたはずなのに、至福の表情で流血沙汰な舞姫。それを前によよと泣き崩れるあると。 そんな光景を目に次の苛められ役、久嶺は息を呑んだ。 でも負けてられないのですよ。だって瑛が傷を塞ぎながら次はそっちだって合図してるし! 「この攻撃を……あなたに、見切れるかしら?」 タンッ。 翠華の銃弾に数少なかった髪の毛を摩擦熱で焼ききられ、怒り頂点なりー! 『巨乳ー死ねッ』 翠華が狙われるのは作戦上マズイ。 そんなわけで、城壁の如く盾を構えるヘクスに久嶺は満を持して禁断のワードを口にした。 「ピヨちゃんも思うよね? 巨乳なんて脂肪の塊だって」 「ピヨ、ちゃん?」 ぴくり。 ぐるぐる眼鏡の向こうどんな目つきか知らないが、今、場の温度が多分3度程下がったよ?! 「誰がピヨちゃんですか?」 どん! どどん! 左右の盾で久嶺を囲み逃げ道を塞ぐ。 「ふぇぇ……」 「だ・れ・が、ピヨちゃん、ですか?」 区切って確認。 あれヘクスさん、マジギレ? なわけないですよねー。お芝居ですもんねー。ねー。 ……ねー? 「ピヨちゃんがいぢめるぅ……」 久嶺は黄色い帽子の頭を抱えて蹲る。ちらと変態を見れば鉈もつ手をおろし、こちらを気の毒気に伺っている。盾で塞いでもちゃんと視線は通るようにしといたからな! 次のターゲットが決った時点で、和希は変態を絡め取る糸を放ちヘクスの元へと移動する。 糸は男の行動を阻害しなかったものの手傷は負わせたようだ。 「そうですか」 盾と盾の間から顔を覗かせて、ヘクスはにぃっと笑った。 「胸に噛みついて穴を開け空気を入れ込んで巨乳にしてあげましょうか?」 「ピヨちゃん、怖いわ」 あ。 素が出た。 でもピヨちゃん呼ばわりだ。 ――ぶつん。 「膨らましすぎてパンクさせてやりましょうか?」 がぶぅ! ほ、ホントに噛んだよこの人?! 「ちょ、痛い、痛い、手加減してって言ったでしょ!?」 『やめろおおおお!』 マジ泣きの久嶺を見て、変態親父のランドセルがぱこんっと開いた。 どぐちゃらげ! 溢れ出す黒の触手は真っ直ぐにヘクスに向う! 畳みかけるこじりと立て直した舞姫攻撃を背に受けても、彼は屈しない。 「胸にしか興味のない野郎に……文句を言われる筋合いはないわよ!」 翠華の銃弾もなんのその。 「子供相手に触手……つくづく最低な変態」 マーガレットの罵声はむしろご褒美です! 「ハッ、引っかかったわね」 本当に痛かったお礼はそちらに……って逆恨みですよね。 久嶺はライフルで触手の根元を断ち切るように狙い撃つ。 が。 『幼女を泣かせるなぁぁ!』 触手は夥しい漆黒を描き続け、ヘクスは悠然とした笑みで迎え撃たんと『鉄鍍の盾』を構え直す。今回は完全防御が間に合わなかったが、こんなもの素の力ではじいてくれる。 しゅるり、ぎゅーー。 「巨乳好きとして! オレはあんたの好きにはさせない!」 触手に巻き取られたのは和希だった。 う、うん。 作戦上はブレイクフィアーを使えるヘクスが混乱したら元も子もないってことなんだよね。でも、ヘクスはちょっと残念そうだ。 そして。 「でも触手は評価できる~」 うえっへっへっへ~。 同志よとか言い出しかねない顔つきの和希は、混乱状態とはいえとっても残念だった。 ●そろそろおかえり下さい 「期待にお応えいただきヘクスは満足ですよ」 分厚い扉で阻みながら、ヘクスは唇の端を持ち上げる。鉈の一撃は確かに重く、喰らい続ければ彼女も無傷とはいかなかった。 『のう、嬢ちゃん……乳も無いことだし改心せんかね』 「!」 あ、次はヘクス殴りに行きたいようです。 てことで、囮役スイッチです。 「ああん、らめぇ! あると君ってば、小悪魔!!」 だからもっと脱げ。 「わわ、ま、舞姫さん。これ以上は危険ですよー! それに僕、これ以上脱ぐと」 ……男だってバレちゃいますし。 作戦だよ作戦! 囮役をスイッチしてるだけだよ! 「おじさん! 大切なトコだから、邪魔しないでっ!!」 ……だけ、だよ? 「ちょっとダメージが蓄積してきたかな」 瑛の声に前衛で執拗にランドセルを狙っていたこじりが、すっと息を吸った。息を吸っても胸が膨らまな……ごめんなさい。 「結局さ、脂肪分0が流行りでも、胸の脂肪分が無ければ売れ残るだけなのよ? お分かりかしら、フラットさん達」 ふたつ名に恥じぬ毒舌だー! 「う……」 苛められ役の久嶺は大好きな姉を思い描き耐え抜いた上で「えーん」って泣き真似だ。 「うんうん、て」 巨乳スキーな和希はふと、こじりの胸をみた。 ――特徴:ひんにう。 「私? 私は良いのよ。リア充だから」 『男か、男がおるんかぁぁ!』 怪しのランドセルからの触手に締め上げられながら、こじりはダーリンへの愛を淀みなく語る語る。 「うん、やっぱり触手は評価出来る、でもな……」 和希はとんっと地面を蹴るとがら空きの腹に歯を立てる。 『ひぎゃっ』 「相容れないお前には、手加減なんか出来ないぜ!」 和希が離れたと同時に、変態こと『戸田大成』は物言わぬ死体と成り果てた。 ヘクスに問い詰められる久嶺を尻目に翠華はボロボロのランドセルを持ち上げた。触手が残っていないかしっかりと確認。 「特に何もなしね」 ランドセルはただのランドセル。 『とだあやの』とのネームタグを抱くクマのマスコットがさがる――ただのランドセル、だった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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