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神冥煉獄極大剣四聖合一獣王合身覇王斬・零式! 相手は死ぬ

●煉獄騎士譚 ~序曲~
 ある街のとある路地裏。陽が落ちて夜の帳が徐々に街を覆っていく。
 そんな黄昏時のこの場所で、ある戦いが起ころうとしていた。
「おい、お前」
 対峙するのは少年と、ガラの悪い中年男。
 髪を真っ白――もといアッシュに染め上げた少年は木刀を手にしたまま告げる。
「なんだぁ? ガキのお遊びに付き合ってる暇なんかないんだよ」
 男に喧嘩を売っている様子は、彼の目からしてみれば滑稽とも無謀とも言えなくもない。
「この街の秩序を穢し、踏みにじる邪なる者よ。
 総てを打払い、浄華する我が剣の前に灰塵と帰すがいい」
 カッコつけようとしているのは判るが、言ってる事は明らかにおかしい。
 むしろ、仄かな痛く微笑ましささえ感じる。
「プッ、ッハハハハ!! おいおい勘弁してくれよ。
 木刀でやれるもんならやってみろっての」
 ツボに入ったのか、男が大笑する。
 そんな中、徐ろに木刀を逆に構える少年。
「言ったな闇の使徒。懺悔する時間を与えてやる!」
 と、言うやいなや少年は黙々と何かをつぶやき続ける。
「……神冥、煉獄、極大剣」
「はぁ? なんだよその技。あれか、中二病か?」
 謎の言葉(ワード)を唱えつつ、そのまま上から下へとジグザグと下ろした後、順手に握り直す。
 男の「こいつ大丈夫か?」的な問いを無視し、少年は尚も言葉を続ける。
「四聖合一」
 木刀をくるりと回し対象を見据える。
「おいおい本気かよ、ごっこ遊びに付き合ってられないな」
 呆れたのか飽きたのか、はたまた危なく見えたのか。
 男はその場から立ち去ろうとするも、まだ言葉は続く。
「クロスビースト・オブ」
 刹那、その力は急激に膨れ上がり木刀の刀身を淡い光が纏っていく。
 こんな事はまず普通では起こりえない、漫画やアニメじゃなく、ここは紛れもない現実だ。
「キングエンペルド・ゼロ――」
「ふ、ふざけんな。 こんなガキのお遊びに付き合ってられるか!」
 男が事の異常さに気づいたのは、その光が力を増し、木刀が一変して光の大剣に変わった時であった。
 こんな物で殴られたら何が起こるかすらも分からない、常識を逸脱した奇行に男は怖れを抱き、少年に背を向け逃げ出す。
 が、彼の命運は今ここで絶たれる事となる。
「ブレェェェェェイク!!!」
 2回、3回と頭上で回された光の大剣は改めて握られた後、男の頭上目がけて振り下ろされ――
 路地裏には、目も眩むほどの閃光が走った

「――闇は光を以て砕かれる。
 我は光と闇を秘し煉獄の騎士。
 哀れなる闇よ、熾天使の下に帰順するがいい」

 そこには男の姿はない。
 ただ、そこにあったのは凄まじい光熱によってぐにゃりと歪んだゴミバケツ。
 そして、肩から焼き切られたかのような男の腕のみが転がっていた。

●重症ですね
「イヴはあぁはならないよな? ならないでくれよ」
「さぁ」
 何故か体を掻きむしっている、とあるリベリスタの願いを他所に、少女の回答はあまりにそっけなかった。
 そんな漫談はさておき、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はこれから起こりうる事象について改めて説明しなおす。
 まだ起こりえない以上、不幸な事象を除くことだって出来る。
 『万華鏡』(カレイド・システム)はその為に作られた人造破界器(アーティファクト)なのだから。
「アーティファクトの名前は『スリーピース&アンチクロス』。
 これを身に付けたまま『自分が一番強いと思う姿』を想像すると、その通りになるの」
 そう言い、書いた絵を見せるイヴ。
 クレヨンで書かれているものの、円形のシルバーアクセサリーにピースマーク。
 そして同色のチェーンで連結するように赤銅で出来た逆十字のアクセサリーが一つ付いているのが見て取れる。
 十字架が仄かに紅い辺り、かっこ良さというより痛々しさすら少々感じる。

「使い方次第ではどんなことでも使える。
 今回は特に悪い例、このままだと確実に死人が出る」
 死人が出るのもさながら、今回止めるのには大きな理由があった。それは――
「今は弱った所を強く言えば、罪悪感が呼び覚まされてアークで何とかできるかもしれない」
 だが、使い続けると価値観が固まってしまい、そうなればもはや手がつけられない。
 人殺しをすれば、人の子ならば罪悪感も出よう。だが、このアーティファクトはそれすら許さない。
 身に付けたものは自然と『自身が最強だと思い描く人物像』に置き換えられていき、彼は正真正銘の『光と闇を秘し煉獄の騎士』となってしまう。
 それは、彼が正義の下に殺戮を続ける、愉快な殺人犯に成り果てる事を意味する。
「彼の処遇とアーティファクトの取り扱いはリベリスタに一任するわ。出来るだけ彼の目を醒ます――」
 おっと。
「じゃなくて、助けて欲しい」
 改めて言い直すイヴ、さすがにアレは彼女の目からも引いたようだ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カッツェ  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月30日(土)22:11
――書いてて疲れてきた。
カッツェです、今回のお悩み相談ならぬ困った人はこの方。

●場所
横に狭く縦に広いスペース、人目につかない路地裏。
時刻は夕方、陽が落ちる前に彼はこの場所に現れます。

●少年(光と闇を秘し煉獄の騎士)
程良く中二病と邪気眼を併発している少年。
おまけにアーティファクト『スリーピース&アンチクロス』の力を得たことで浮かれて犯行に及んでいます。
剣の腕はよくも悪くも普通、カラーコンタクトで目も金色。
弱点は打たれ弱く、不利になると戦意を失いやすいところ。

●神冥煉獄極大剣四聖合一獣王合身覇王斬・零式
(しんめいれんごくきょくだいけんしせいごういつクロスビースト・オブ・キングエンペルド・ゼロブレイク)
前衛範囲に防御無視の極大ダメージ。
プラス必殺付き、タイトル通り当たれば死ぬと言って間違いないシロモノ。


ただし、この技の欠点として――

1:技名を全て言い切らなければならず、複雑な構えを要します。
2:ここまででなんと50秒、勿論途中で邪魔が入ったり言い損ねると最初から。
3:さらに、刀身にエネルギーを集結させるのに10秒ほど無防備に。

――という制約があります。
つまり、そういうことです。
普通に木刀を振り回しもしますが、使う時にはかなり戦意が落ちています。
当然、威力も微々たるものです。

あ、上記の技はプレイング上では必殺剣と書いても構いません。
全部入れたいという酔狂な方がいても一向にかまわんっ!
ネタが飛び交うかはたまたシリアスなものになるか。
参加、お待ちしてます!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
赤羽 光(BNE000430)
デュランダル
鯨塚 モヨタ(BNE000872)
プロアデプト
吉岡 邪気(BNE001168)
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
覇界闘士
龍音寺・陽子(BNE001870)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
クロスイージス
神音・武雷(BNE002221)
■サポート参加者 2人■
ナイトクリーク
金原・文(BNE000833)
ホーリーメイガス
月杜・とら(BNE002285)

●選ばれし者は宵闇と共に
「ったく、やってらんねぇぜ!」
 路地裏に響く大騒音に混じり、ポリバケツを蹴り飛ばした音が響き渡る。
 夕暮れ時を越え、夜に入ろうとする路地裏を占拠していたのはパンクファッションに身を包んだ柄の悪そうな少年。
 傍らに置いてあるラジカセが、周辺に重く、狂うような咆哮を撒き散らす。
「クク、ククク……」
 その傍ら、胸を開いた制服姿に左手の包帯が特徴的な少年が笑う。
「本当にここに奴が現れるんだろうな? 現れなかったら……」
「奴はもうじき現れる。真の魔に逢うのはどちらかな――」
 騒音の主、『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)の問いに、『特異点の少年』吉岡 邪気(BNE001168)はその邪気眼――もといスタイルを崩さない。
 尤もここに『奴』が現れるのは想定済みであり、その為の『策』も万全を期している。
 後は待つのみであった、その時だった。
「……」
 路地裏の反対側、建物の影から現れた1人の少年の姿。
 その姿は邪気より下か。手には木刀、制服の下にはチラチラと見えるアクセサリー。
 破界器(アーティファクト)『スリーピース・アンド・アンチクロス』が見え隠れする。
「久しいな……光と闇を秘し煉獄の騎士よ……」
 邪気が語るように口を開く。これこそが、今回のターゲット『光と闇を秘し煉獄の騎士』。
 どこか虚ろな騎士の目からは、破界器の影響が感じ取れもする。
「闇の静寂を乱すのは、貴様達か」
「出たな中二病野郎。あぁそうさ、こうすれば出てくるって話だからな」
 ラジカセのスイッチを切った後、アクセス・ファンタズムから剣を引き出して構える2人。
「『魂魄武者(スピリット・アーミー)』か、それとも『無属性(フィーア・ヌル・フィーア)』か……」
「クク……その口ぶり、解らないようだな」
 伺うように口ぶる彼に、邪気が告げ、動く。
「今の俺は箱船の剱(アーク・リベリスタ)、吉岡邪気」
 そう言い、力を解放するかのように包帯を解き放った邪気の腕には、彼の身の丈ほどはある斬馬刀が、しかと握られていた。
「箱船の剱……成程、幾重の輪廻を超えて尚、『機関』は我を求めるか」
「貴様の、今の能力(チカラ)を試すにはこの脆弱な躰(ウツワ)で十分だ……
 さぁ、見せてみろ――」

 貴様の能力(チカラ)
 神冥煉獄極大剣四聖合一獣王合身覇王斬・零式
 (クロスビースト・オブ・キングエンペルド・ゼロブレイク)を!

「……『機関』の輩よ。我に対する侮辱。命を以て償うがいい」
「ちょ、ちょっとまて、話じゃそこまでやるつもりじゃ」
 その言葉に、アウラールに焦りの色が見え出す。
 受ければ当然その身が持たない一撃、それに対する彼の反応は至極当然であった。
「待ってやる……さぁ、俺に示して見せろ!」
 邪気が悠然と構え、煉獄の騎士が1つ1つ、言葉(ワード)を紡ぐ中でアウラールは動揺するばかり。
 手が竦む、足が震える、奴の力かどうかはともかく、威圧感すら何故か漂ってくる。
 これが、死ぬはずであったガラの悪い中年男性が怯えだした原因か――!?
「や、やっぱ駄目だ。俺は逃げる――」
 心が折れ、アウラールが逃げ出しかけた……その時だった。

「黒冥翔天撃! 食らった者はもんどりうってすっ転ぶ!!」
「!?」
 刹那、『星守』神音・武雷(BNE002221)の重いタックルの直撃を受け、思わず体制を崩す煉獄の騎士。
「邪魔を……その扮装。牛魔王、『機関』に染まったか!」
 翡翠色のヘビーガードに漆黒のマント、武雷と煉獄の騎士との身長差も相まって、まるで見下ろすかのような威圧感すら漂う。
「いかにも、今の我は『絶冥絶天緑龍牛鬼王(せかいにあらそいをもたらすもの)』
『光と闇を秘し煉獄の騎士』よ。天界と魔界より、我らが貴様の暴走を止めに来た!」

 辺りを見回す煉獄の騎士。
 武雷の言葉が呼び水となり、辺りに邪気眼度が一層増していく!

●因果去来の時
「今日も風が騒がしい。良くないものを運んできたようだ……」
 黒仮面に黒マントを身につけた『原初の混沌』結城 竜一(BNE000210)がギターをひと鳴らしし、颯爽と屋根から路地裏へと降りていく。
「――~~っ!」
 ロープを使って降りたものの、衝撃が身体を走る。
 が、泣いては見せ場が台無しだ。
「アウラールよ、その様子ではまだ『荒ぶる黄帝を護る騎士(エンペラー・ナイト)』には程遠いな」
「な、竜一てめぇそれは!」
 竜一がそう言い見せた荒ぶる黄帝(アウラールのぴよこ)は胸元でぐっすりおねむの様子。
「ふふふ……」
 それを愛おしそうにもふもふしている竜一はどこか幸せそうだ。

「うぅぅ……ダメなのです雷帝っ。こんな、所で目覚めては――ッ!!」
 続けて現れたのは『蒼穹の雷帝(トルトニス)』イーリス・イシュター(BNE002051)。
 抑えた左手に縫いつけたアクセス・ファンタズムからジリジリとダウンロードしていく――もといされていく。
 縮こまり、震えながらも、彼女の様子は武装と共に、その様相をガラリと変えていく!
「――意思の強い娘だ」
「貴様……クッ、思い出せん」
 煉獄の騎士が呼応されたかのように片手で頭を押さえる。
「我を――この蒼穹の雷帝を忘れるとは、貴様も堕ちた物だ」
「……! 黙れ蒼穹の雷帝、我と共に契りを立てたお前が何故!?」
 思い出したかのように語り出す煉獄の騎士。
 決して今考えながらではない、忘れているだけに過ぎない――のだろう。
「ふむ、まだ不完全だというのか……だが、これも因果宿業の一つ」
 雷帝がハルバードを振り上げ、威風を纏ったまま突きつける。
「かつてと今では異なる事もある、故に――」
 原初の混沌が2本の刀を引き出し、構える。
「組織が動く前に、俺達がお前に手向けてやろう。季節外れの徒花をな。
 さぁ来い煉獄の騎士、お前はいささか焦りすぎた」
 それを呼び水に、さらに待機していた3人が現場へと駆けていく。
「先遣隊が、数を揃えて我を滅ぼそうというか……
 ならば、我が技巧の前に帰順するが良い!」
 木刀を掲げたまま、煉獄の騎士が吼え、再び構える。

 運命の時針が今、重なりあった――

●剣嵐舞闘
「裁きの刻は来たれり、ダークネスジャジッ、っ!?」
 重なる剣に響く音、詰まる声。
 舌噛んだ。
 木刀とは言え立派な凶器。『それ』は『鉄腕ガキ大将』鯨塚 モヨタ(BNE000872)の攻撃をいなし、体勢を立て直す。
 腕はまだ見えぬが、身体能力は明らかに常人の域を凌駕している。
「見せてくれる。我が奥義を、今度こそ!!」
「力に溺れ堕落したか……この漆黒の執きょ、デウスエキス……じゃない」
 かみかみ。
「……すーはー 機械神(デウス・エクス・マキナ)の力を宿す『漆黒の執行者』の力、見せてやろう」
 今度は決まった。
 まだまだ小学生なモヨタだが、格好も周りに合わせるように、包帯腕に紋章黒マントと中二力は他に引けを取らない。
「もう一度見舞ってくれよう、ダークネス・ジャッジメント!」
「ぐあっ!?」
 ならばまだ遠慮は要らない。殺さないように考えつつもしっかりと、中二全快で一撃を入れる。
「まだだ、今度は……」
「天獅子(ヒンメルン・レーヴェ)ッ!」
「ぐっ!」
 イーリスの一撃が、煉獄の騎士の鳩尾を二度捉える。
 通常攻撃も当たり所が悪ければ、こうも怯んでしまうものか。
「弱点を突いたつもりのようだが、この程度の妨害で止められん。今度こそ――」
「我が内面に秘し“暗黒犬”(ダーケスト・ドッグ)。漆黒の天蚕糸を以てかの者を縛れ!」
 湧いた影は黒く、そして伸び行く気糸はそれ以上に黒く、『臆病ワンコ』金原・文(BNE000833)は騎士の腕を絡めとる。
「これは、"残影使徒(シャドウ・イスカリオテ)"の力か!」
「どこを見ている、そしてこの二刀を忘れたか!」
 そして、その動揺を竜一が見逃すわけもなく、一気に間を詰めて――
「払えば東西上げれば天地! すなわち、俺自身が世界天地の中心!!」
 マントを翻し、加えしさらなる一撃に足を取られて再びすっ転ぶ煉獄の騎士。
「ふ、名は覚えずとも、その剣裁き。"飛天剣聖(ブレイブ・ソーディッシュ)"が、関わっていようとは」
 少年はふらふらと、再び立ち上がっては上段に構える。相も変わらず必殺剣の構えだ。

「もしや……」
 数々の妨害を受けながらも、煉獄の騎士はこの攻撃に固執し続ける。
 その姿にリベリスタ達に一つの推測がよぎる。
「やはりその能力しか無いか。貴様は所詮、贋作(フェイク)……」
 そして、邪気がいち早くその推測を公言する。
 そう、これまで攻撃は受け身なものばかりで、攻勢に転じるのは必殺剣の構えを取る時のみ。
 煉獄の騎士。その力を以てして、一撃の下に葬り、闇を天に返す存在。
 それは圧倒的な力を求めるあまり、『自らが攻撃されること』を想定していない、物語でありがちな最強の騎士と言えるものであった。
 やや語弊を生む口調ながらも、その推論はかねがね正しかった。
 その技量は、リベリスタの方が数段上だ。

「ならば……ここで決めてしまおう」
「――なっ!?」
 上から響く声に、思わず向き直る煉獄の騎士。
 その真上、まさに垂直落下するかのような速度で奇襲にかかったのは、カタールを握った『マジメちゃん』赤羽 光(BNE000430)の姿。
 気配を消し、面接着によって高所にて様子を伺っていた光にとっては、まさに今が好機。
「だが、隙だらけだ」
 剣を水平に掲げ、2本のカタールを受け止める騎士。
 見え透いた奇襲、見え透いた受け止め方。
 だが、光にとってこれこそが真の狙い。
「これで、必殺剣は使えまい」
 右のカタールを即座に引きぬき、食い込んだ箇所目がけて突き立てる。
 その追撃についに耐えかね、木刀は彼の目の前で文字通り、木っ端微塵に砕けてしまう。
「わ……俺の、聖剣、『レヴァーテイン』が……」
 動揺する煉獄の騎士、いや、所持者である少年と言おうか。
 そんな彼の目に、僅かながら正気が見えたのを光は見逃さなかった。

●晴れる煉獄
「僕達の任務は君の抹殺ですから」
「然り、己が間違った正義と共に死ぬがいい!」
 しかし、彼らに容赦の表情はない。木刀を砕いた後も尚、光と武雷は獲物を騎士に向ける。
「く、フフフ、ハハハ! 我は無敵だ! 全ての闇を打ち滅ぼし、そして帰順させる!
 そうだ、俺こそ『光と闇を秘し煉獄の騎士』なんだ!」
「……哀れな姿、見ていられん。苦しまぬよう一撃で終わらせてやろう」
 苦し紛れに叫ぶその姿に哀れみを感じたか、イーリスはそのハルバードに力を込める。
 もはや戦意がない今、これこそが彼の命運を断つ一撃に思われた。

 その時だった。
「お待ちください!」
 声音が一つ、路地裏に響く。
「何だ、死にたくなければ、失せろ」
 イーリス、もとい雷帝は怪訝な言葉を吐く
「いいえ、力に溺れる者に死の制裁が下される。それが世の掟なのは分かっています。
 しかし、まだ彼には光明があります。今は私に、それを託して頂けないでしょうか?」
 その言葉にモヨタもまた、イーリスを止める。
「今は剣を納めよ雷帝。
 龍の巫女がそこまで言うなら仕方ない、奴に罪の重さを教えてやれ」
 しばらく拮抗する威圧も、お前がそこまで言うのであればという言葉と共に収まりを見せるイーリス。
 尤も、撃つつもりのなかった技であったが、その威圧感は彼の戦意を砕くのに十二分に貢献していた。
 其々が剣を収めていく姿を見つつ、龍の巫女は――
『戦うアイドル』龍音寺・陽子(BNE001870)は、戦意を失いつつあった彼に、粛々と問いかける。
「今の貴方は力に溺れ、全てに反逆する存在と化している……私はその元凶たる『鎖』を外しに来たのです」
 鎖を外す。そう告げた後、陽子は『スリーピース・アンド・アンチクロス』に手をかける。
 これがある限り、いつか貴方は歯止めなく命を奪うだけの存在に落ちてしまう。
 そうなれば殺す他なくなる。その言葉に、抑えていた少年の手が力を弱める。
「これを取ったら、俺は、我は……」
「貴方の『力』は再び封印され、その『力』は誰にも信じてもらえなくなるでしょう。
 だから、この事は貴方の胸にお秘めください」
 語られる言葉に、ただただ呆然とする少年。
 鎖を握る手に抵抗感が失われ、首から外されていく。
「ですが――」
 その言葉と共に、破界器――騎士を騎士たらしめる存在が少年から外され、陽子の手に渡る。
「騎士の心を受け継ぎし貴方なら、喩え力が無くとも、人々の為になる真の『騎士』になれるでしょう。
 私は遠くから貴方を見守っています……」
 穏やかな笑顔のまま、最後に一言少年に告げる。
 彼の意識が白む中、騎士譚は光の中で終演を迎えていくのであった。

●革聖者は夜に消ゆ
「……ん、なんか変な夢を見ていたような。なぁっ!?」
「お、気づいたか」
 目を覚ました少年の真正面にはぴよこ、もといぴよこを返してもらったアウラールの姿。
「何だひよこか、ってお前どっかで見たような……」
「とりあえず、片付けようぜこれ」
「あ、あぁ」
 一面に広がるゴミ。その殆どはアウラールが蹴散らしたものだが、敢えて伏せておく。
 それを片付けながら、少年は粛々と話し始める。
「アレはフリマで見っけたんだよね。でも付けてると次第になんか眠くなって、スッゲー強くなった気がしてさ。
 そうだ、アレにも設定を付けててな――」
 度々脱線しつつも、見えてくるものもある。
 物もまた、様々な形で革醒を果たす。それによって生じる被害を抑えるのも、リベリスタの仕事だと言う事を改めて認識するばかり。
「では、これはこのまま頂いてもいいと?」
「いいよ、また眠くなると色々面倒くせーし。それにお前『組織』っぽいしな」
「え、えぇ……何の事でしょうね」
 片付けも終わり、ちゃんとした形で譲渡してもらった破界器。
 彼の思う『組織』とアークは恐らく別物だが、何故だか少しひやっとさせられる。

「さらばだ、騎士よ。お前がもしも真なる正義と運命を手に入れたならば、また相まみえる事もあるかもしれぬ。
 ……だが、くれぐれも今日の私の事は話すのではないぞ」
「だが、忘れるな。お前を殺すのは――この我だ」
「……やっぱ居るんだなー」
 彼と再び相まみえるかは、正しく世界の摂理次第。
 イーリスと武雷を筆頭に、リベリスタ達が去る様を、少年はただ見送るだけであった。


「いやー、みんなすごかったねー。すっごい中二してたよ!」
「そ、そうか? それならこれからも執行者でいこうかな」
「止めておけ、闇に手を出すと……おっと、これ以上は言えないな」
「でも楽しかったですっ!」
『箱庭のクローバー』月杜・とら(BNE002285)が茶化しながら、皆と帰路を共にする。
 しっかり結界を張り、高みから中二な会話を存分に聞いていた彼女だけが、事の一部始終を楽しんでいた唯一の観客……だったのかも知れない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
・おさらい
みんな:バカ
カッツェ:一番バカ

皆さんの中二病具合に思わず1つ1つ称号を付けそうなぐらいの衝動に駆られる程、猛り狂ったプレイング共でした。
もう、みんなこの中二病!!

なので徹底的に叩き込みました、ぶつけました。
少し泣く泣く削ったけど、これがカッツェの返答です。
このリプレイを読んで、楽しんだりしばし悶え苦しんだりしていただければ幸いです。
以上、カッツェでした。

あ、言うまでもなく、ここまで全部褒め言葉ですよ。