●王者の凱旋 「遂に、この時が来たか」 その声は厳かだった。ほんの一部しか写っていないにもかかわらず、その全体像は容易に想像できる。規模、形状、存在感。それは人類が今まで遭遇してきた「それ」のサイズとしては、酷く一般的にすら思える。だが、それだけだ。 だが、サイズなど「それ」が在るという事実の前には小さい問題だ。それは存在だけで厄災。かつての死の使いとして標榜されなかったのか不思議ですらある。 「残された戦力は僅か。このまま待つに徹すれば、何れこの国も逼塞する」 何かすげぇかっこいいこといってるけど、そのフォルムで言われても今更感満載でもうこっちとしてはどうすればいいの、とは思う。結論決まってるんだろうし。 「では」 「うむ、準備せよ。総力戦だ」 傍らに僅かにすげぇの見えた。……マジかよホイホイ買って来い。 ●持久戦です 「恐らく、『七色』と銘打たれた種別のアザーバイドとの敵対は、これで概ね終わると思っていい。何しろ、今回の相手はあちら側の残存総戦力。って言ってる。……念のため言っておくと、前回の機兵の研究と今回の観測の翻訳で、そろそろ研究班の間でも休ませろという声が上がりつつある」 そりゃそうだろう。『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の淡々とした説明に、リベリスタは総ツッコミである。もちろん、内心でだが。 「敵勢力のトップ『七色絶対者』は、機兵程度の速度と、彼ら以上の状態異常耐性、状態異常攻撃を備えている。攻撃が全て遠距離からであること、戦闘指揮を使いこなすことから、どうやら一撃離脱を主にしていると思われる……接近は不可能じゃないけど、あちらも対策は在るようだから、余り無理はさせられない。 また、同時に出現する『七色衛士』は接近戦特化で、『絶対者』へのダイレクトな接近を基本的にシャットアウトする役目を持っている。兎に角タフで、一撃の威力ではなく連続攻撃を重視しているものと思われる。 始末が悪いことに、その死の際に上げる鳴き声が下位種――こちらの『そういう虫』――を大量に呼びこむことが予測されている。尤も、戦場到達まで二十秒ほどかかること、ルートが固定されていることで別働隊に動いてもらうことになるけど、そちらはそちらで大変なことになるから、支援にはこないと考えてほしい」 要は、防衛線を突破してガンガン攻めて行かないとジリ貧と言いたいわけですね、わかります。 「因みに」 各々、今までのデータから分析を始めたのを見計らったかのように、イヴが言葉を続ける。 「このアザーバイド撃破後、確実にその亡骸を消滅させることを推奨する。フィクサードに悪用された場合、ただでは終わらないから」 何そのフラグ。また何か作っちゃうわけか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月24日(土)23:28 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●最終決戦・前 月が明るい。戦場を照らすには十分に過ぎ、現れるであろう敵対勢力の姿からすれば眩しいくらいだと言わざるをえない。だが、それでも薄闇は薄闇。蟠る影は揺らぎ、今にも異界の住人が溢れそうな薄恐ろしさを感じさせる。 ……尤も、実際に影からにゅるん☆ とか言って出現する可能性が高いのが今回の大ボス、『七色絶対者』なのだが。 「彼らとの長きに渡る戦いもこれで終わりかと思うと一抹の寂しさを感じますな」 既に交戦回数が四度を数え、七色のアザーバイドとの戦闘では皆勤賞を誇る『静かなる鉄腕』鬼ヶ島 正道(BNE000681)にとってしてみれば、今までの戦いを思い返すいい機会になり得たのだろうか。それにしたって、害虫駆除に寂しさって。寂しさって。 「……冗談です、冗談」 だそうである。 「またぞわぞわ系だな」 大きく得物を振りかざし、『レッドキャップ』マリー・ゴールド(BNE002518)は周囲の地形を確認する。 参加メンバー中の瞬間火力ではトップクラスを誇り、正道同様このテのアザーバイドに対して忌避感の少ない彼女の頼もしさは、他のメンバーにとって心強い事この上ない。 そう、特に。 「……くらい平気ですよ、えぇ、平気です、私ヴァンパイアですし、リベリスタですし、もっと怖い敵とも戦いますし? 平気ですとも……平気ですよ? 平気平気のヘッちゃらぷーです」 「安心して日々を過ごすため、奴等はここで殲滅する!」 黙っていれば、というか常時であれば、その長身と雰囲気だけで既にクールキャラとして勝ち組足り得た『熱血クールビューティー』佐々木・悠子(BNE002677)の尋常なまでの早口弁解だとか、気合は入ってるんだけど外見が目元でスカーフ覆っちゃった系の『影使い』クリス・ハーシェル(BNE001882)だとか。今更ですが、スカーフは隙があってヘタしたら見えちゃいますよね。影認識しずらくて影使いもなにも、なんですが神秘だから大丈夫だね、仕方ないね。 「イヤァァァァァ!? 今なんか今なんかー!?!?」 「やたら恐怖するものが多いが何故だろうな」 概ねそういうものだと思って下さい。生理的不快感ってそういうものです。 「闇より這い寄り人々に絶望と恐怖を巻き散らかす混沌なる災厄の具現……とまで言われたアレと戦うことになるなんてなぁ」 射撃位置を求め、移動中だった『へたれ』坂東・仁太(BNE002354)の心境は複雑だった。あらゆる意味でトンデモナイ歴史を持つ人類の怨敵と、リベリスタとしての本業に則って戦うことになるとは予想だにしなかったろう。最初は誰もがそんな感じです。 「毛がブワっとなるぜよ……」 そして、そんな敵の行動シーンを想像して背筋を寒気が駆け抜けるのもまた道理。想像しちゃ駄目だよ、実物はそんなレベルじゃない。 「……滅べ虫けら、汚らしい。存在すら許すまじ、滅殺確定ね」 「こりゃまた、えげつないのが現れたな……と、こっちは連絡ついたぜ。このまま通話状態で続ける。二人はどうだ?」 静かに嫌悪感と闘志を綯い交ぜにして、『億千万の棘茨荊』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)は神経を張り詰めさせていく。『蒼き炎』葛木 猛(BNE002455)は、そんな彼女とクリスへ向け、状況の再確認を促した。何せ、彼らは作戦の別働隊との連携の為、通信状態を確保する重要な役どころだ。僅かなミスが全体の流れに大きく左右する以上、確実な通信状況が求められるのだ。 「問題ない。あちらでは既に『曹長』とのコンタクトが取れたようだ」 「こっちも大丈夫ね。通話状態の維持は問題無いと思うわ」 猛の問いへの返答は、両者とも淀みない。こと、クリスの返答に対しての周囲の反応は、快哉を叫ぶというよりは、「あいつか」と言う感じの悪い意味での記憶の励起を促したようであるが……まあそれはそれで。 「この戦い、敗けるわけにはいかないな……」 そう、静かな闘志を燃やすのは『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)その人である。彼にとっての敗けられない理由。周囲の為でもあり、恋人のためでもあるその理由は、別働隊の行動の成否すらもダイレクトに関わってくる重要案件だ。即ち――「あれ」の封殺。喫茶店を営む彼女を思えば、ここで安泰を約束しなければならないのは当然の道理だったのだ。その決意や固し。一大決戦に於いて、心強い要素なのである。 「しかし……とてもとても嫌な装備だが、アークが不倶戴天の敵への対抗装備として開発したのだ。この形状にも意味があるに違いないし、特殊機能があるはず」 そういえばクリスさん、装備がセブンスレイ・プロテクトでしたね。かさかさで七色な着ぐるみでしたね。 アークの解析班数名が(主に正気欠乏で)ブッ倒れた果てに出来た対抗装備(笑)の所有者でしたもんね。 大丈夫大丈夫、いいことあるよ。ブラックライトじゃなくても七色に光ったりとかするよ。月光でも映えるね、綺麗だね。 「綺麗ですねー……ははは……」 そんな光景を半ば狂気の篭った視線で射抜いているのは、誰あろう『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)。毎度のことながら正気を失う機会が多い彼女はある種不遇な立場に立たされているわけだが、それもこれも、彼女の気迫あっての依頼達成も……まあ、あるんじゃないかな。ちょっとアークの職員にはわからないな。 「どっちにしろ、何時もとやる事は変わりはねぇ」 「人類の誇りと尊厳をかけて……戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫、いざ推して参る!!」 というわけで。 彼らの布陣とか至極どうでも良さ気に、絶対者及び衛士、堂々たるバグホールからの出現でありました。 ●突撃、進軍、破壊、決戦 「Oh……これはひどいアザーバイトだね。此方の眷族も一緒に滅んでくれればいいんだけど」 全貌を表したアザーバイド都合六体を前にして、『R.I.P』バーン・ウィンクル(BNE003001)の感想は率直だった。ひどい。その表現の適切さたるや何者にも代えがたい。彼が詠唱を続ける間も、銀色全開で光り輝く衛士と、その中心に鎮座まします異常な色合い――絶対者。フレアバーストの範囲内に収められそうなのは、分散状況からして多くて二体。それでも、何とかなる。 ……但し、それが命中するならば、だが。 「忌まわしき力……、もう一度だけ解き放つ!」 だが、衛士による状態異常の危惧も、舞姫の決意の前にはトンデモ状況の一貫に過ぎなかった。 僅かに破れた袖、やや薄く汚れを感じる衣類、それに対し、悶える衛士四体。 よもや三度目があろうとは誰が思ったろうか。彼女、色情狂のフェロモン付きの服を装備して来なすったようです。 「切り取ったのは袖ですから! チラリズムとか無いですからっ!」 だそうです。 だが、流石に衛士は鍛え方が違う。五体の衛士の中で、あっさりと状況に流されたのは二体。残り三体は、散開して絶対者を狙う面々へと襲いかかっていく。 「やはり、簡単に通してはくれませんか……!」 一体目を受け持ったのは、正道。速攻を期して一気に前進した彼であったが、襲いかかる衛士の気迫は今まで戦ってきた七色の類とは一味も二味も違う。銀色の外骨格を強く光らせ、正道を包み込む。ショック状態にこそ陥らなかったものの、その一発が秘める破壊力は、彼に驚嘆を抱かせるに十分だったと言えよう。 「想像よりは速いけど、これならわたしの方が……まだ、速い!」 襲いかかる衛士二体は、タンク型とは言え、リベリスタの平均かやや上程度の速度は有していた。二体同時の攻撃を捌ききるのは、自らのギアを上げた舞姫にとっては造作ない。威力があろうと、状態異常にかかろうと、避けきれるならば意味が無い。 心強さで言えば、彼女ほど心強い者もなかなか居なかったことだろう。だが、それでも相手の攻撃速度、連続攻撃は一種の暴力。十にひとつ、二十にひとつのカス当たりでも、積み重なれば容易ならざるダメージになりうる。 「舞姫っ……今、散らしてやるよ!」 猛のフレアバーストが、衛士二体をまとめて範囲へ叩き込む。辛うじて舞姫を範囲外に指定できたものの、両者の戦闘速度を考えればそう多用できるとも思えない。ならば、どうする。 「ロックオン……フルファイア!」 「厄介な相手でも負けるものか! はぁぁぁッ!」 仁義を切った烏頭森の速射が、衛士の感覚器を狙い打つ。クリーンヒット足り得ないそれであっても、一瞬の隙を作るには十分。続いて放たれた疾風の斬風脚が鮮やかにヒットし、衛士に相応のダメージを与えた感触を伝えてきた。 「私の邪魔をするのは貴様か……!」 絶対者の登場と同時に肉体の限界を振り切り、一手早くギガクラッシュを打ち込まんとしたマリーの前に、もう一体の衛士が立ちはだかる。自らへ顎を突き立てるそれに、狙い通りとばかりに打ち込んでいくマリー。肉体を蝕む毒の鼓動は、しかし彼女の猛攻を止めるには至らない。その両者間へ割って入るのは、半狂乱のクールビューティー、悠子。 「私は戦闘マシィーンに徹します、熱血ならずアイアンクールビューティーです、だから黒光りなんて怖いはずがありません……」 落ち着け悠子、そいつは銀色だ。 パニックに陥っているように見えながら、するりと衛士の死角へ潜り込んだ悠子の斬撃が飛ぶ。手応えこそ浅いが、確かに当たった、確かに有効足り得た。これは、彼女にとって福音か。 「これで、落ちるがいいぜよ……!」 戦場を駆けまわり、絶対者の隙を狙っていた仁太の必中を期した一撃が放たれる。絶対者の飛行風景は、その存在自体がリベリスタ達の精神力を削っていた。確実に。それを止めるのが彼の役割だった。タイミングは完璧だった。――しかし、残る一体が居る。 「んなッ……!?」 阻まれたのだ。絶対者を庇う態勢に入っていた一体が、仁太の必中の一撃を受け止める。衛星のように飛び、静かに着地したそれは、確かに仁太へとその意識を向けていた。確実に、狙ってくる。 「待たせたけど、これでどうでしょうかねっ!」 その間を貫いたのは、詠唱を終えたバーンのフレアバースト。ヒットこそ逃しはしたが、仁太が次の位置を見定める猶予くらいは作り出せたかも知れない。或いは、その前に舞姫に襲いかかるか。 「倒れるなよ、皆……ここで倒れたらどうなるかは、言うまでもないんだろう!?」 空を駆け、回復の波長を振りまくクリス。応じるように顔を上げたメンバーが向けた電灯のせいで七色に光ったり、律儀ながらものすっげぇどうでもいい性能を持ってらっしゃるプロテクトだが、現状、彼女の期待する自体は起こっていない。残念である。 「何とかかわせるけど、この、数は……! っていうかうわぁぁぁ回復した!?」 舞姫に襲いかかる衛士に、光が瞬く。くすんだ筈の外骨格がやや明るさを取り戻し、勢いを減じずに突っ込んでくる。 「サシでの戦いは厳しいですが……ここで止めて置かなければなりませんものな……!」 絶対者を的にかけようと狙うも、結果的に一対一を強いられた形になった正道であるが、しかし彼は冷静だった。戦場で培った敵の弱点や戦闘経験は、確かにその頭脳へ蓄積されている。最善のタイミングを狙うことができる。圧倒的タフネスを前にしても、退くという思考が無い。 「もう一発撃ち込むぜ、舞姫以外近付くんじゃねえぞ!」 「ひっくり……返れえぇェ!!」 猛のフレアバーストが、再び閃く。至難のタイミングをも切り抜けた彼のそれは、確実に衛士の体力を削いでいく。 マリーが、体力を消耗しながら次々とギガクラッシュを叩き込む。あご下から打ち上げた一撃が衛士を転がし、一合分の猶予を彼女へと与えた。そのタイミングだけで――彼女は、状態異常を吹き飛ばしてのけた。 「今度こそ当てるぜよ!」 「あいつの注意は僕が惹きつけるから、早く!」 ヒーリングフライ後の着地態勢に入った絶対者の羽を、今度こそ仁太の銃弾が貫いていく。だが、彼はその瞬間感じたのは、凋落への快哉ではなく、得体のしれない恐怖のみ。威力の可否ではなく、「それ」自体が第一の脅威だった、という思考。 バーンのフレアバーストが放たれた直後、仁太は軽く膝を衝いた。一瞬にして影の中を潜航する絶対者を睨みつけ、今の一撃の意味を理解する。 「今のが『反射』の色みたいじゃけぇ! 覚えておいて欲しいぜよ!」 絶対者、未だ御し難し。 激化する戦線に於いて、状況は変化の一途を辿る。 ●物量地獄、最終判断 「こっちは一匹倒したぜ。二匹目まであんまり時間空けられねえかもしれねえ……っと、あぶねっ、兎も角そっちも頑張れよ、戦友!」 「くそっ、回復が追いつかん……!」 戦況は、中盤を迎えていた。 マリーと悠子が全力を傾けて相対していた衛士が、先ず最初にその命を途切れさせた。が、その時点で既に、顧みない戦いを続けたマリーもまた満身創痍だ。いつ倒れてもおかしくはない。しかし、それでも突撃を敢行する。 猛は、その断末魔を電話越しに伝え、別働隊へと備えを要請する。本来ならペース配分を考えたいところだが、クリスの回復性能や舞姫の疲弊を考えるに、弱り始めた衛士は速やかに倒しておきたい。 悠子のカタールが紅みを増して、正道と相対す衛士へと振り下ろされる。背面からの一撃は予想外のものだったか、その一撃は正確な手応えを彼女の腕に伝えていった。 「出し惜しみしてる暇ァねぇ、一気に叩くぞ!」 「一部経路、討ち漏らしがあったみたい! でも少数だから、大勢には影響しないはず!」 「ここで、全部倒す……!」 烏頭森の焦りを含んだ声が響くが、今はそれどころではない。一瞬でも早く、強く。舞姫の速度に任せた一撃が一体を裂き、鳥頭森の速射と疾風の斬風脚が重なって次の一体を蹴散らす。撃破、三体――! 「私の方でこいつは食い止めます、皆さんは早く絶対者を!」 「こっちも、ワシとバーンちゃんで食い止めちゃるけぇ、一気に片付けるんじゃぁ!」 悠子と仁太が、それぞれ大声で仲間を励起する。相当の長丁場であっても、経験を積んだ二人の勢いは些かも衰えていない。 「貴様等の遺伝子に恐怖を刻んでやる……!」 マリーの勢いは衰えない。しかし、それは飽くまで言葉や形而上の勢いであって、既にフェイトの恩恵なしには動けないまでに消耗しているのは明らかだった。明らかに、許容量を超えた特攻であったことは言うまでもない。だが、他のメンバーとて条件は近い。フェイトを使わずとも、一度は膝を衝いた者だって居る。 「残り全部、叩きつけてやりますよ……!」 マリーに呼応し、舞姫が咆える。速度に身を任せた連撃が次々と突き刺さる……だが、手応えが硬い。 体力の枯渇や、そんな単純な問題ではなく――。 「今のが物理無効パターン……!? 猛さん!」 「任せとけ、潰してやるよ!」 悲鳴にも似た鳥頭森の声に、座標をロックした猛のフレアバーストが飛ぶ。絶対者を僅かに炙る位置とはいえ、確実なダメージリソース足りえるのは彼の技術であることは間違いない。 「猛さん、今チャージを――いや、離れて下さい! 範囲攻撃が」 正道の叫びが止まぬうちに、絶対者の大振りの挙動が繰り出される。捕食行動を空振らせ、顎で周囲を掠める回転攻撃。接近していたメンバーは辛くも直撃は免れたが、それでもこの威力は脅威だ。 「別働隊、何とか殲滅ペースは問題ないらしいぜよ! このまま衛士を蹴散らして……」 仁太が、全体へ向けて銃撃を乱射する。傍目から見ても、残り二体は確実に倒すことができるだろう、というのが見解だ。だが、では絶対者は? 「……衛士を優先して撃破しろ、絶対者は足止めを……!」 それは、誰の声だったか。 残り二体の衛士を、総攻撃で片付けることは恐らくたやすい。しかし、その勢いのまま絶対者を御しきれるか? 装甲を貫くほどの一撃は与えられるか? 応じられる者は居ないまま――極光の主は、影に隠れ。 程無くして、別働隊が討ち漏らした下位種、及び衛士の残骸を処理し終えたところで、リベリスタ達は疲弊をそのままに帰路へ就く。 程無くして、絶対者の追撃の準備が整うことになるが、それはまた先の話である。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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