●ジャスティスチェンジャー! スイッチオン! 「そこまでだ、不良ども!」 突然の声に、路地裏にいた4人の少年達が一斉に頭上を振り向く。 そこには5階建てのビルの屋上からこちらを見下ろす、真赤な全身タイツの男が居た。 驚く少年達を他所に、真赤な男はググッと足を曲げると、一瞬躊躇する。 が。 「とぅ!」 次の瞬間、勢い良く空中に飛び出した。 そのまま真っ直ぐ地面に落ちてきた全身タイツは、ビタン! という盛大な音と共に手足をついた4つんばいの姿勢で着地をした。 そして体を痛めた様子もなくスッと立ち上がると、呆気に取られている少年達にビシっと指を突きつける。 「痛い目にあいたくなければ、その少年を放すんだ!」 一人の少年を囲む、3人の少年。学生服を着ているから高校生だろうか? 囲んでいる方、3人のリーダーらしい少年が目の前に降り立った仮面と真赤な全身タイツの人物をじっくりと観察した後に答えた。 「コスプレなんかしやがって。ヒーロー気取りかよ? テメェこそ邪魔するんだったら痛い目を見ることになるぞ、あぁ?」 精一杯の啖呵と威嚇の表情なのだろうが、ヒーロー風の人物はまったく意に介した風もなく……むしろ生き生きと応じる。 「しょうがないなぁ。本当はいやなんだけどなぁ……これはヒーローとして成敗しないといけないなぁ」 声にはあまりしょうがないという感じもない。 ただ生き生きと両手を広げて襲い掛かった。 ●破界器(アーティファクト) 「つけた人間をヒーローに変えるブレスレット?」 リベリスタ達が、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の発した言葉を反芻する。 「そう。ブレスレットをつけた人を、ヒーローに変えてしまうの」 ひとつずつ区切るように言うイヴの語り方に、リベリスタ達の表情がすっと真剣になる。 「『アーティファクト』らしく、何かやっかいな問題があるってことか」 まるでテレビに出てくるヒーローのような謎の人物が街に現れ、犯罪者を懲らしめているところを目撃されはじめたのが半月ほど前。 しかし、捕まった人たちは犯罪を犯した理由を、訳もなく何故か急にやりたくなった、と説明する。 実際、捜査をしても、たまたまそこにいただけで到底犯罪とは無縁の生活を送ってきた人物ばかりだった。 「そう。ヒーローに変身させるだけじゃない。その人をヒーローにするために、周囲の人の心を捻じ曲げてヒーローが戦うための敵を作り出してしまう『アーティファクト』なの」 正義の心の燃え上がりを糧とするが故に、所持者に正義を行わせるために悪を産む、歪んだ正義の『アーティファクト』。 無実の人を犯罪に走らせてしまう……その魔力が家族や大切な人にまでいずれ影響が及ぶことも想像に難くない。 だが、『アーティファクト』の所持者・赤木太一郎は、そんなことなど全く知らずに、自分の行いが正義だと信じて疑わずに行動を続けている。 「持っている人は普通の大学生だけど、ヒーローらしい強さになっているから倒して手に入れるのは難しいと思う。 だから、なんとか持ち主さんに『アーティファクト』を手放すように説得をして欲しいの」 『アーティファクト』からみんなの精神への影響は、そうと知っていれば心の変化に気付いて対処できると思うから、と付け足す。 「話をすることも、何か作戦がないと難しいとは思う。 けど、これ以上罪のない人に犯罪を行わせる前に、 なんとか説得をしてジャスティスチェンジャーを手放させてあげてね」 そういうイヴの目はとても真剣で、悲しみに満ちていた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:仁科ゆう | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月10日(火)23:33 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「ありがとうございました」 「ありがとう」 礼をいって、憔悴した男性の元を離れる2人の女性。 裏通りへの角を曲がったところで、その2人に声をかける人物がいた。 「おつかれさん。そっちはどうだった?」 軽い口調でそう訪ねる『流れ星のコヨーテ』星影・丈(ID:nBNE001305)に、メモ帳が差し出された。 「まぁ憧れる気持ちは分からなくは無いけど正義って難しいわよね」 差し出したのは『風のように』雁行 風香(ID:nBNE000451) 聞き込みの結果に自然と顔が苦くなる。 「正義の味方と言っても、ずいぶんと迷惑な正義の味方だね」 『気ままなる夢魔』神野 柚須(ID:nBNE000157)が答える。 「正義の味方ねぇ。自分にとっては正義でもそれが絶対の正義であるかどうかなんてわからないものね」 「盲目のヒーローには、自分で気づいて欲しいな」 風香の言葉に丈が頷く。 お互いの調査の結果を交換し終えた3人は歩き出す。 「さて、これ以上被害増やさないようにがんばりましょうかねっ」 「まあ、自称ヒールとして色々からかってあげようかな♪」 風香も、柚須も、そして丈も気負いのない軽い表情で。 ● 赤木は困っていた。 数日前から、ブレスレットの仮の姿だという女性に付きまとわれている。 自分自身にしか聞こないし、見えない。しかも、やれ『お腹が空いた』『肩が凝った』と我侭放題。 しかも悪びれもせず、『嫌ならチェンジャーを手放す事ね』などと言ってくるので、彼はこれは試練なのだと自分に言い聞かせることで気持ちを落ち着かせていた。 そんな彼の様子を『威風凛然』千早 那美(ID:nBNE002169)は見ていた。 チェンジャーの仮の姿であると告げ、霧隠れとテレパスを駆使して赤木以外に接触をしないようにして。 ここ3日で”出動”は2回。その度に『本当に正しいのかしら』と声を掛けた。 試練だと思い込む彼に葛藤は起きる。だが、それすらも正義の味方である自分への陶酔の一端であるかのように、明確に悩んではいない。 それでも、心に一石を投じたと那美は確信をする。 4日目。 街中をいつもどおりに俯き加減に歩いていた赤木が、急に顔を上げて振り向いた。 どうやら彼言うところの悪の気配を感じ取ったようだ。人気のない場所へ早足で移動をすると、腕を振り上げ叫んだ。 「ジャスティスチェンジャー! スイッチオン!」 ● 赤木を見失わないように、那美は全力で走る。数分後、ようやく一つのビルの上で赤木が止まる。 ビルの裏手に回ると、そこには3人の学生に向かってナイフを構えるスーツ姿の男性。線の細いインドア派という印象。 学生達は助けてと懇願するが、スーツの男はゆっくり近づいていく。男が足を止め、これ見よがしにナイフを舐めた瞬間、頭上から声が響く! 「まてぃ!」 キョロキョロと周囲を見回すーツ男の目の前に、「とぅ!」と頭上からヒーローが飛び降りてくる。 「痛い目にあいたくなければ、その少年達を放すんだな!」 呆気に取られる4人を前に赤木がビシッと指を突きつけ叫ぶ。いつもどおりのお約束パターン。だったのだが、今回は少し違ってその場に女性が現れる。 「うれしい! 本当にヒーローに会えるなんて!」 その女性の名前を那美は知っている。今回の依頼を受けた仲間、『ロストフォーチュナ』空音・ボカロアッシュ・ツンデレンコ(ID:nBNE002067) 「なら見せてやる、ヒーローの活躍を!」 観客の声に気を良くしたのか、赤木がダッシュで勢いをつけたドロップキックでスーツ男を吹き飛ばす。 内心、すごく申し訳ない気分になりつつ、ツンデレンコは勝ち名乗りを上げる赤木に向け、『魔王の囁き』と名づけたテレパスを送る。 (我はこの腕輪に宿る魔王。この力を貴様に与えし者。貴様が働いてくれたお陰で力が戻り、話せる様になった。さぁ我の喜ぶ悪の力を振るい続けるがいい!) 那美からは何をしたのかはわからないが、赤木の動きが止まった。ツンデレンコは追い討ち、とばかりにさらにテレパスを飛ばす。 (ふはは、お前が正義と信じた力は我が与えた悪の力。実に愉快、愉快。善良なる人間を我が力で悪に染め、それを貴様が悪として退治しているのだからな。さぁ、もっと手前勝手な正義で悪の力を広めるがいい!) が、2度目のテレパスを送った瞬間に赤木がツンデレンコの方を振り向き声を荒げる。 「お前……これ、お前か!」 ジャスティスチェンジャーが彼に、目の前の女性が自身に悪意を向けていると知らせ、そしてそれと同時に頭の中に変な声が響いた。 ならば答えは一つしかない! 「俺の心を惑わす気だな!」 どうする? と予想外の事態に視線を交わす那美とツンデレンコ。 「あれはブレスレットに封じられた魔王の意識、私と対になる存在よ!」 那美の叫びを聞き、はっと気付いたツンデレンコはアクセス・ファンタズムを発動させ、瞬時に姿を変えてみせる。 「だったらなんだというのだ! 貴様は貴様の我が儘放題に、与えた我が力を振るえばいいのだ。それが貴様の正義なのだ。自分以外は皆悪と驕って何が悪い!」 さらにジャスティスチェンジャーの悪の側面として語り続けるツンデレンコに向け、那美はテレパスで撤退するように促した。 ● ツンデレンコがその場を離れたのを赤木が追おうとするが、那美がその姿では目立ちすぎると制止をする。 しぶしぶといった感じで足を止め変身を解き、また俯き加減に帰途についた赤木に1人の男性が声をかけた。 「失礼。俺はフリーの記者で星影って者だけど、謎のヒーローについての聞き込み取材をしててね」 胡散臭げに見る赤木に、丈はかまわず続ける。 「さっきもそこでヒーローが現れたらしいじゃないか。でもちょっと気になる噂を耳に挟んでねぇ」 「噂?」 「そうなんだよ。これまでにそのヒーローに退治された悪人っていうのがね……どうにも犯罪を起すような人ではないって事が多くてね」 「……」 「しかも、なぜ自分がそんなことをやってしまったのか全くわからないっていうんだ」 丈は丁寧に話しを続ける。柚須と風香のメモも交え、ひとつひとつ不可解な点を挙げていく。 当人や家族の心境についてどう思うか? もし、あなたの家族や友人がある日理由もなく唐突に犯罪を犯したら? 上手く答えを出せず、聞くに任せていた赤木は頭を一度激しく降り、駆け出す。 「俺にはわかんないよ!」 その背中に、丈は言葉を投げかける。 「3丁目の廃工場を不良グループが根城にしていて困ってるんだよねぇ。ヒーローさん来てくんないかなぁ」 それを聞いても顔を上げることはなかったが、赤木がポツリと呟くのを那美は聞いた。 「不良グループか……周りの迷惑だし……退治にいくか」 とても正義の味方とは思えない暗い表情で。 ● 「あ、そろそろ到着するみたいだよ♪」 待ち受ける廃工場に赤木が近づいて来ていると連絡を受け、柚須が仲間達へと告げる。 『悪人』風原 玲(ID:nBNE002211)と『灯火』月熊 吟鶯(ID:nBNE002180)を残し、全員が発見されないように距離を取り隠れる。 数分後、廃工場にヤツが姿を現す。 「見つけたぞ、悪人ども」 「よくきたな、ヒーロー気取りの小僧が……」 「ようこそ。君が来るのを待っていたよ」 仮面をつけた玲。 吟鶯は、ゆっくりと両手を広げ丁寧に対応する。 赤木が今までにないほどハッキリと悪の対応を見せる2人の人物に、無言で殴り掛かった。 だが、寸でのところで避わす玲。 「無抵抗の人間にいきなり攻撃を仕掛ける、それがお前の正義とやらか?」 言葉を牽制に、2人は距離をとる。 「くそ……っ!」 悪態をつく赤木の耳に、場違いに明るい声が響く。 「さぁ、見付けたで悪者さんら!」 声の主は『武術系白虎的厨師』関 喜琳(ID:nBNE000619) 突然の闖入者だが吟鶯は構わずに赤木にだけ向き直り、告げる。 「さて、ヒーローごっこは楽しんでくれたかな?」 「ヒーローごっこ?」 「そのアイテムは、所有者をヒーローにするために、無実の関係無い周囲の人間を悪に仕立て上げ事件を起こさせる。そして、所有者はその作られた悪を倒すことでヒーローになる。そうゆうアイテムなのさ」 赤木の心に疑惑の芽が顔を出す、しかし被せるように声が飛ぶ。 「そーんな御託はどぉでもえぇ! 悪者は倒す、それが正義!」 顔だけ赤木に向けてニッコリと笑って見せる喜琳。 「なっ? ヒーローさん!」 どう答えていいか迷う赤木に吟鶯が畳み掛ける。 「どうして、と思わなかったか? 君がそのアイテムを拾った日から、絶えず起こる事件、現れる悪、犯罪者。もう、解るだろう?」 「そ、そんなこと……!」 「その人にどんな背景があろぉと! 生活の為に仕方なくやとしても! ”世の中が良くなるようにと悪い人をやっつけるにしても!”」 赤木に皆まで言わせず、矛盾を織り交ぜた言を飛ばす喜琳。 「犯罪は犯罪やっ! なっ? ヒーローさんっ!」 笑いかける彼女に、声を荒げる赤木。 「お前達が俺を騙すために……言葉で俺をどうにかしようって……悪め!」 気配が変わる。言葉ではなく、暴力で排除しようとする、正義とは違った気配。 「若いな。昔を思い出すよ。ま、若者を叱咤するのも老人の役目か」 「間違った正義ほどタチの悪いものはないっすからねぇ……ま、頑張るとしますか」 喜琳を力任せに退けて、叫び声を上げ真赤なヒーローが飛び上がった。 ● 叫んで飛び掛る赤木。動きは素人だが、スーツの力で凄まじいスピードで接近する。 吟鶯と玲は、回避に集中しなんとか避わす。 「正義の名のもとに何もかも失った奴もいる。もし後で間違いであることがわかったら『間違いでした』で済むか?」 どこかの記者に言われたことを、悪人が問うてくる。最悪だ。悪を倒して気持ちよくなるはずだったのに…… 遠巻きに眺めていた柚須が、丈と風香と視線を交える。 「結局戦闘になっちゃったみたいだね。援護してあげないとねっ」 そういうと、廃工場の中へと走りこんでいく。 「飛んでけ、マジックミサイル!」 「ま、威嚇にはなるかねぇ」 攻撃が効かなくとも手を、足を止めるため、2人は弾丸と魔法弾を連続して撃ち込んでいく。 命中はしている。だが一向にダメージを与えられた様子はない。 「正義の味方にそんなのっ」 「あら? あなた正義の味方のつもりなの? 私も正義の味方よ」 声の方向に顔を向けると、目の前には二刀を携えた女性の姿。 自身の踏み込みに匹敵する速さで間合いを詰められ、驚く彼に向けて女性は両手を振るう。 ダメージはなかったが、刀で斬りつけられるという今まで味わったことのない恐怖に、赤木の足が一瞬止まる。 「お? どーしたヒーローさん? まさかバテてもぉたん?」 喜琳が声をかけると、ハッと気付いたように周りを見渡す赤木。周囲を完全に囲まれている。 「正義について問おう!」 玲が足を止め周囲の隙を探る赤木に声をかける。 「犯罪者を捕まえる事が正義ならば、飢えのあまりパンを盗んだ奴はどうだ? 国民を苦しめる悪徳政治家を殺した革命家は?」 「うるさい!」 「犯罪者を捕まえるためなら何をしてもいいのか? 例え他人が不幸になろうと……罪もない人が不幸になろうと、犯罪者を捕まえられればそれでいいのか? ……それはお前のただの自己満足、エゴだ。」 五月蠅い。疑問に思い始めた自身の思考が五月蠅い。 「行き過ぎた正義と言う名の暴力を振りかざせば、それって悪と変わらないよね?」 重ねて告げる柚須の言葉に、拳を振り回し黙らせようと体だけは動く。 彼女の前に立ち、風香がその拳を受け流しながら、声を返す。 「あなたが正義だと思ってやってたことって、結局そのスーツが巻き起こしてただけなのよね」 この街はこんなにも悪に満ちていただろうか? 毎日のように絶えず犯罪が起こる街だったろうか? 目の前の女性は、痛みをこらえる表情で、自分に強く語りかけてくれている。 「今回あなたが倒してきたと思ってた悪はただの一般人、それを相手に一人よがりに正義ぶってるだけなのよ、貴方は」 (耳を貸すな。貴様は与えた我が力を振るえばいいのだ。それが貴様の正義なのだ。自分以外は皆悪と驕って何が悪い!) 迷った心には、ジャスティスチェンジャーが知らせてくる悪意に気付けもしない。 「自分の意思ではなく犯罪を犯してしまった人達のこと……。事実であるが故に消せない罪と、苦悩を背負ってしまった。それをさせたことがどれだけ罪深いものかってこと」 ジャーナリストとなのっていた男も語りかけてくる。 「人の心の痛みがわからなければヒーローじゃない」 ● 運動不足の体が、酸素を肺に送り込もうと必死に上下している。 「本当の正義って言うのは、力に頼っちゃダメな物だよ? 力に頼りきって溺れた、それがさっきまでのキミだったわけなんだから」 柚須が語りかける。風香も喜琳も。 「正義なんてものは一方だけで決められるわけじゃないのよ、スーツに頼らずにこれからは正義を行いなさいね、それは否定しないわ」 「そうやで。そんなん脱ぎ捨ててウチと修行せぇへん? ……正義の為に!」 変身が解ける。 戦意と力を失った彼に玲は真っ直ぐ瞳を向けた。 「間違う事はどんな人間にだろうとある……自分の信じる道を進め、答えはそこにあるはずだ……」 目を伏せ、項垂れる彼に優しく、声がかけられる。 「さ、これ以上悲劇が起きる前に、そのブレスレットを私達に渡してくれない?」 惜しむように悩み……しかし、思い切ってブレスレットを外す赤木。 (止めろ、腕輪を、我を捨てるな。やめろー) 頭の中にツンデレンコが声を送るが、もう気にしていない。 「あんた達は……何者なんだ?」 ブレスレットを受け取った柚須と風香がどう答えたものか悩むが、丈がすかさず割って入る。 「俺か? ……俺は流す涙を星にかえて、願いを叶えるさすらいのコヨーテさ……」 「何いってんだよ……わけわかんねぇ」 苦笑して、次第に笑顔になる赤木に、囲んでいたリベリスタ達からも笑いが洩れる。 (今回の事を心に刻んでなお、今後もヒーローの心を持ち続けるなら、いずれ再び出会う事もあると思うわ) そんな笑顔の彼に、那美が心の声を送る。 (その時、あなたが本物のヒーローになっていれば……この仮の姿も"大人"になっているわね。楽しみにしているわ) ウソでもうれしいよ、と心の中で返すと、赤木は歩き出した。 「さて、良い結果も得られましたし……そろそろ撤収しますか」 その背中を見送ると、吟鶯の言葉にリベリスタ達は廃工場を後にした。 街での謎のヒーローの噂はそれ以来、パタッと止まった。 代りに、親切で正義感に溢れた警察官が赴任してきて有名になるのは、数年の後の話である。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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