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<恐山・黄泉ヶ辻>エキシビションマッチ・The Final

●『黒猛狐』&『The Ghoul』
 処暑。
 二十四節句においては、「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と称される暦である。
 ブリーフィングがあると呼び出されたリベリスタたちであったが、待ち合わせ場所はアークの武闘館であった。
 秋の風が涼しく通り過ぎる中、不可思議に思いつつも、時間通りに来てみれば、大陸人と怪しまれる出で立ちの狐目女が、腕を組んでボケっとしていた。
 女は、糸目で定かではないが、リベリスタたちの姿を確認したのか、ニヤっと頬を釣り上げて愉快そうに手を振ってきた。
「よう、しばらく大きな事件も起こってないんで、腕ナマってんじゃないかねぇ? リベリスター」
 キツネ目の女の右斜め向こう側に、此度ここに呼び出した者が体育座りで、黒タピオカジュースを飲んでいる。『変則教理』朱鷺子・コールドマン(nBNE000275)である。スッと思わせぶり流し目をしながら立つと。
「貴方達には、これから戦ってもらいます」
 と言った。
 タピオカジュースを飲みながら話した朱鷺子は口からは、黒タピオカが一つ落ちる。しまったという顔をする。
「どういう事だ?」
 頭痛が生じた様に、額に手をやりながらリベリスタの一人が疑問を発する。
「闘技場の延長ですよ。私はマッチングをやっただけです。2on2」
 朱鷺子は飄然とのたまう。
「2対2? あと一人は? それからこの人は?」
「――あと一人遅いですね」
 朱鷺子は腕時計を見る。
「まあいいです、はい! マリぷー、自己紹介! 知ってる人もいるかもしれませんが、はい!」
 キツネ目が口を開く。
「わたしゃ恐山の暴力担当、主任代行、マリアベル・リー。恐山の数少ない荒事担当の取り締まりの代行の代理って微妙なポジションなんだがねぇ」
 あまり知名度はないが、朱鷺子曰くして、アークの精鋭と比べても見劣りはしない実力者であるという。
「何故、恐山が?」
「これにはあんまり深くない事情がありましてね。聞くも語るも涙無しには。まあ恐山なんて過去何回も来ているわけで、まあこまけぇことは良いじゃないですか。へけけ」
 何がへけけなのか。
 大穴の最後の事件の後、国内のフィクサード組織――恐山の動向はどうもつかめない。
 時々、バランス男がやってきては、政治的な交渉をして去っていく。リベリスタの出動が無いことからして、神秘事件というよりは政治的な話だと怪しまれる。
 あるいはアークに隠れながら水面下で『逆凪』と悶着を起こしているのだろう。恐らく。いつも通りに。
 狐目――マリアベルは首をすくめていう。
「お前さん達とは何度やっても飽き足りねぇ。今回、やりてぇって言い出したのが私な訳だ。わかるか? お前らにゃあ腹が立つこともあったが、拳を交えて何となくわかった。気が利いてたりなんだかんだで、やっぱ面白れぇんだ。お前らのファンなんだろうねぃ。ひゃっひゃっひゃ」
 やや下品な笑い声を上げると。
「ファン――そうかもしれませんね」
 と、リベリスタの後方から、マリアベルの言葉を肯定する声がした。
 黒い二つの眼孔がリベリスタ達に、存在しない視線を向ける。得物はかのペリーシュ、ペリーシュナイトの戦槌である。
「こんにちは、斑雲つづらです。愛憎といったら変ですね。命を削った力なのに、リベリスタに勝てなかった――それはそれで悔しいので、この機会に手をあげました。Wの力を使うのはこれっきりにします」
 気が付くと、朱鷺子はトトカルチョの暖簾を立て掛けた。
「さあはったはった!」
 また、いつの間にか用意したのか会議机である。朱鷺子は天板をハリセンでパシーンッと元気よく叩く。
 なんとも秋風には響く音だった。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:Celloskii  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ EXタイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2015年09月18日(金)22:53
 Celloskiiです。
 <Baroque Night Eclipse>歪夜ヒュムヌス 陰・陽ペアと対戦です。
 重傷率低めなのでこの難易度に設定しています。
 よろしくお願いします。

●状況
場所:アークの武闘館
許可とか:アークとパイプを太くしたい恐山と、裏社会の情報が欠かせないアークと、最近は政治的な利害一致の案件が多く、多分大丈夫です。

●戦闘・勝利条件など
 ・2on2。ペアで戦います。
 ・3勝以上でクエスト成功
 ・参加者が偶数だった場合、マリアベルかつづらのどちらか選んでください。

●エネミーデータ
『黒猛狐』マリアベル・リー
 ビーストハーフ×覇界闘士

【解説】
 国内のフィクサード組織、謀略の『恐山』に所属。
 『倫敦の蜘蛛の巣』を後ろ盾に活動していた上海の暗殺者組織『英国租界』の元幹部でした。
 所属組織も、『倫敦の蜘蛛の巣』も壊滅した結果、犯罪者ネットワークの一部ごと恐山に接収されています。
 実力は恐山の中でも指折りです。しかし、恐山に入って日が浅く、割と脳筋気質なので、暴力担当の取りまとめ代行主任・代理という微妙なポジションにおさまっています。

 破界器:火竜鋲 (アンコモン相当)

【登場シナリオ】
   <Baroque Night Eclipse>歪夜ヒュムヌス・陰
   <凪の終わり・恐山>クリスマスだし、しばきあおう
   など
 A:
 ・縮地法
 ・虚ロ仇花
 ・豪炎竜顎
 ・無式包絡(EX)

 P:
 ・不射之射(ソードミラージュ)
  あらゆる攻撃に対して、ソードミラージュのランク1の技で反撃します
 ・他、マスタークラスなどの能力強化系


『The Ghoul』斑雲 つづら
 ジーニアス×インヤンマスター

【解説】
 元・黄泉ヶ辻。ペリーシュ一派。
 黄泉ヶ辻の改造革醒者『Wシリーズ』の99番目でした。(どくどくST参照)
 Wシリーズの事件の後、生き残りのナンバーはアークに収容されました(治療中)が、一部は黄泉ヶ辻の穏健派と称される人物の所に派兵されていた為、アークに収容されませんでした。
 幾度もリベリスタと衝突し、最後は大穴の事件の直後に出頭しています。

 破界器:聖ジュヌビエーブの戦槌(アンコモン相当)

【登場シナリオ】
  <Baroque Night Eclipse>歪夜ヒュムヌス・陽(ID:6516)
  <究極望まば・黄泉ヶ辻>【呪歌の書】誰が駒鳥を殺したの
   など
 A:
 ・インヤンマスターRANK3までのスキル
 ・フェイタリティアーク(EX)      不吉/不運/凶運 神秘攻撃技
  後天的に得た力の治療中のため、弱体化しています。

 P:
 ・The Ghoul--(EX)  ※全盛期よりは弱体化しています
  常に『不吉』『不運』『凶運』状態です。回復しませんが効果を発揮しません。
  体内の重要器官を移動させて[弱点]を受け付けません。
  空気を足場に三次元的に戦います。飛行効果に加え、ブロック側も飛行を持たなければブロックできません。
 ・他、能力強化系

 -:
  ステルラフェイタル
  非戦闘時、活性化スキルを幻想纏いのように組み替えます。
  相手に合わせたスキルを積極的に組み替えてきます。


●他
 ・朱鷺子コールドマンがトトカルチョ(どっちが勝つかを予想する賭博)やってます。
 ・恐山フィクサードの観戦者に『旧きゲルニカ』干興院キングパイルがいます。恐山の社員も引き連れてます。
 ・『俳座』巡三四郎が、ぬけぬけと観戦に来ています。恐山とのコネを使って入っている模様ですが、元・黄泉ヶ辻です。


参加NPC
マリアベル・リー (nBNE000636)
 
参加NPC
斑雲 つづら (nBNE000634)


■メイン参加者 10人■
ハイジーニアスソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ナイトバロン覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
フライダークマグメイガス
シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)
ハイジーニアスクリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
ノワールオルールクリミナルスタア
遠野 結唯(BNE003604)
ハーフムーンホーリーメイガス
綿谷 光介(BNE003658)
アウトサイドインヤンマスター
伊呂波 壱和(BNE003773)
メタルイヴデュランダル
メリッサ・グランツェ(BNE004834)
ハイフュリエレイザータクト
ソニア・ライルズ(BNE005079)
ハイジーニアス覇界闘士
青島 由香里(BNE005094)

●序幕
「(彼とこうして組むのは初めてですね)」
 と、『蜜蜂卿』メリッサ・グランツェ(BNE004834)はペアの相手を見やった。
 直近では秋刀魚漁。旅館で狸退治。『パジルカ』との戦いで、力を合わせていたが、戦場はチーム戦である。
 メリッサ自身は前に出ることが多く、これ程近い場所もなかった。
 『贖いの仔羊』綿谷 光介(BNE003658)はメリッサの視線に気が付き、少し自信あるような表情をつくってメリッサに応答する。
「いきましょう、メリッサさん」
 メリッサは視線を正面へと戻す。
「メリッサ・グランツェよ」
「初対面か。来てくれてありがとサンよぅ」
 とマリアベルが朗らかに言う。
 リベリスタ二人は、フィクサード二人はそれぞれ得物を構える。
「光介。背中は任せましたよ」
 光介は力強くうなずく。

●メリッサ&光介
『はいはーい! はじめー!!』
 朱鷺子がゴングをカンっと叩いた。叩いた瞬間、会場は沸き立つ。
 ギャラリーはすこぶる多い。恐山からも応援が来ているか。恐山以外にも何か怪しいものが見えた気がする。
 メリッサが瞬息の間踏み込んだ。マリアベルを突く。
 真っ直ぐに突き出した剣先は相手をとらえず、相手は上体を下げ、地面に手をつき、雑技団のように蹴りを放ってくる。
「(これは……ソードエアリアル)」
 メリッサは連続の蹴りを純白のアームガードで防ぐ。
 同時に、障壁を発して敵の脚へ衝撃を跳ね返す。
 返しきれなかった衝撃で体勢を崩しかける。そこへ炎を纏った掌底がバリアを突き破ってメリッサの腹部に触れる。
「――!!」
 ズドンという擬音が最も適当か。
 衝撃が加わった後、たちまちメリッサの全身を炎が包む。これも障壁を発生させて炎の一部を返す。
「やるなぁ、対策済みってわけかナァ」
 相対する拳士は腕を引いた。
「どのような構えを取ろうと、それを打ち崩し、粉砕します」
 そこへ、やわらかな光がきて、メリッサを包む。
「術式、迷える羊の博愛!」
 光介が、顕現させたものは、状態異常治療の簡略した魔術的印章だ。
「『係長』んときに居た小僧か」
「もう遺恨はないそうですが――でも、貴方達と戦いたい理由が、実は少しあります」
「ほう。なんだい?」
「それは、贖罪を続けると、生涯戦い続けると、決めているからこそ個人的に欲することで――」
「あたしにゃよくわからん!」
 マリアベルにぶった切られる。
 光介がこれまで歩んできた道のりの、一部は相対する者達と無関係ではない。交えた道がいくつかあった。それは相対する者にとっても同じである。
「私はなんとなく分かりますね――朱雀」
 空気を蹴って、三次元的にメリッサの背後をとったのはつづらだ。
 続いて放られた式は朱雀。光介とメリッサを巻き込む軌道で滑空する。
「……火責め」
 アームガードで防がんとして、再び炎に身を焼かれる。
 光介も炎が起こる。
 斑雲つづらは、少し首を傾げる。
「はい。メリッサさん。私はもうアークに出頭している身です。メタルイヴでデュランダル――が、私がよく知る魔術士と組んで来ているのですから、戦法はなんとなく」
 メリッサは面識がないため、対策を取られないという期待が少しだけあった。
「(それだけではない様な気がする)」
 と考えたところで、向こう側に座っている朱鷺子が――ニヤついていた。
 なるほど。胡散臭い。
 つづらが遅刻してきた理由が推察できるか。
「少数戦でこれ程やり辛い相手もいないですが、だからこそ真っ向から打ち破る」
 炎に焼かれながら拳士へと向かっていく。
「よぅし来い。私はお前さんを知らん、色々背負って来たんだろうねぃ。だけど私等にも色々あんのさ。重さ比べと行こウかい」
「全てお任せしました、回復は全て引き受けます! 信じていますから!」
 光介の術式――聖人の息吹を印章に変えて放つ。
 これならば、炎の解除と回復を兼ねる。
 そして再び、火の鳥が降ってくる。
 フリダシに戻る。


●遠く近い距離を隔てるもの。贖罪の旅で得たもの
 対策の刺しあい、という戦いである。
 光介の回復は、マリアベルの攻撃、反撃、つづらの朱雀をまとめてチャラにしている。
 しかし、メリッサには、突破力を引換えにした代償が存在する。
 素早さの関係から、炎ものしかかってくる。
 ならば、やることは一つだ。
「私の極めた剣技を、存分にお見せしましょう」
 代償を払って得た突破力で、押し切ること。
 炎に焼かれながらも、確固たるオーラをのせた細剣を振るう。
「ちぃ!」
 そしてもう一撃。
 細剣はオーラの軌跡をつくり、手を休めずに鋼色の線を描く。
「斑雲! 式符・烏だ! キツくなってきた!」
 光介は敵方のやりとりをきき、つづらが厄介だと感じている。
「(ここで分散されたら――)」
 通常、フィクサードは幻想纏いなど持っていない。
 力の効率的な組み換えなどはできず、対策など立てよう筈がないのだが、これをやってくる相手だ。そしてインヤンマスターという広い範囲をもっている。
「怒り――効きますかね?」
 と、つづらはメリッサに烏をメリッサにけしかけてくる。
「一回試して良いっていっただろぅ! そんで、あれ、もう使うからよぅ!」
 マリアベルが自らの右手を不気味に脱力させ、姿を消すかのような縮地でもって距離をつめ、メリッサの肩を軽く触る。
 掌打でもない。
「……この技!?」
「おかえしさぁ、こっちは拳だがなァ、存分に味わってくれよ。『無式炮烙』」
 たちまちメリッサは、肩が捩じ切られるような激痛を覚えた。骨が混ぜられるような強烈な衝撃である。マグマのような熱が中から生じる。またしても炎生じる。
「メリッサさん! ――術式、迷える羊の博愛!」
 光介は、常に回復手の苦悩と共にあった。
 どういう状況でどの回復を用いるか――目測を見誤った瞬間に前衛が瓦解してしまう緊張と戦い続けてきた。
 破邪の光では体力そのものを回復しない。それではメリッサが次で倒れてしまう。聖人の息吹では、式符の怒りを鎮められるかは半々。
「(つづらさん厄介なのは確かですが、でも)」
 選択は、機械仕掛けの神の威光を宿した印だった。
 魔術戦の王道、探り合い、刺しあい騙し合い、かくあるべきだ。
 メリッサのダメージは癒える。肩に何もない事を確認し、相手を見る。
「――そちら。少し、連携が甘いのかもね」
 メリッサには、光介が何とかしてくれるという確信があった。
 此度の相手が、いかに万華鏡の優位や、幻想纏いの優位を薄めてきたとしても、何度も背中を預けてきた関係は、容易に乗り越えられない差だ。
「私と光介さんの勝ちです」
 構え、突く。
 メリッサはこれだけを極めてきた。
 レーザービームのような銀色の線、更にそれをもう1セット続くその威力は、マリアベルの膝を屈させるには、十分だった。
「――また、負けですか」
 メリッサの突破力を止める術はつづらには無い。


●幕間1
 リベリスタ側の1勝目。休憩時間に至る。
 恐山側のメイガスとプロアデプトが頑張っている。
 ただしこのメイガスは、フライエンジェで、しかし肉肉しいマッスルで、半裸で、バケツを被っている。
 「きついが、やるしかない」等、よくわからない事を言いながら、マリアベルを怪しく回復している。無視する。
「いきなし負けか。アア全くよう! だけど、己の未熟を自覚できた。ありがとサンかなァ」
「折角です。あとで珈琲でも――光介の珈琲は美味しいですよ」
「そんな、メリッサさん。でも作るからには頑張ります」
 光介は謙遜を交え、しかし照れ臭くヘへへと笑った。
「アーあと、あーっと光介っていったっけなぁ。さっきのやつもうちょっと噛み砕いてくれねェカイ?」
 光介の話は戦闘中「よくわからん」で終わってしまったので。
「要はボクなりの手向けです。彼ら――先に逝ってしまった人達。敵。係長に、ピアニシャンに。他にもいますけれど」
「カストアにまで?」
 つづらが少し驚いたように言う。
「アタシャ、もともと暗殺者なんで人死ににゃア慣――
 マリアベルが言いかけた所で、バケツ頭のメイガスが重々しい口調で言ってのけた。
「誇れ。それが手向けだ」

「あー、ひょってして噂の干興院さん?」
 『ゲーマー』ソニア・ライルズ(BNE005079)がひらひらと来る。
 また、青島 由香里(BNE005094)は先ほどから、メリッサと光介の話を壁に背を預けながら聞いていた。
「和解とまではいかなくてもなんか敵対やめる感じになるのって王道ですよね!」
 ソニアと由香里vsフィクサード。次の対戦カードである。


●ソニア&由香里
 ソニアは高下駄で、地面を小突くようにして整える。
「少し前に少年・青年3人とVTSでキャッキャウフフしたことがあったけど、それよりはちょっと……というよりは割と、色々ありそうねぇ」
 由香里が前衛、ソニアが後衛という形である。
 試合開始のゴングと同時――
「行くわよ!」
 由香里が、拳を握って駆ける。炎を握りこむようにして突き出す拳、対して マリアベルが迎え撃つ。
「豪炎竜顎か! 気が利いてるじゃないかよぅ!!」
 由香里が繰り出す拳撃を縫うような蹴りが、下から上へ跳ね上がる。
 咄嗟の防御が間にあわず、顎に食らう。仰け反った姿勢のまま奥歯を強く噛み、前のめりに顔をつき出す。
「押し込め! 振り切れ! 突き抜けろ!」
 由香里はすぐに動く。次は、斬撃の如き蹴りだ。衝撃は刃の様に飛翔して、マリアベルを斬り、突き抜けた向こう側へと行く。
「ひゃっひゃっひゃ! そうこなくちゃな!」
 まさに互いに望むところといった有様だ。
 敵が放つ束縛を伴う蹴りを、由香里は鉄甲で防ぐ、防いだ途端に、敵も飛翔する武技を放つ。
「すごいね、あれ、何連コンボしてるの?」
 ソニアがゲーマーの目でもってつぶやく。
 由香里のダブルアクション、マリアベルの不射之射のラッシュである。飛翔する武技の衝撃がソニアを斬る。
 痛みの走った肩口と、戦況を交互に見て、そっと笑みを浮かべる。
 向こう側のつづらも、由香里の衝撃波をハンマーで押し潰していた。
「遺恨っていうと大げさにせよ、蟠りや暇をこういうので解消しようってのは、アークとしちゃ歓迎……でいいのよね?」
「アったりまえだ! 人死になんざ慣れてるからねぃ! いつまでもウジウジすんのは嫌いってな!」
 とマリアベルも言う。
「もちろん、挑戦者は私たちなので」
 つづらが言う。言いながら、跳躍して、空気を蹴り、ソニアへと接近してくる。
「フェイタリティアーク!」
「デスティニーアークの亜種かな?」
 禍々しい邪気を帯びた戦槌が振り下ろされる。
 ソニアはひらりと身を翻し、直撃を避けて――光る球体をぽいっと投げた。
「足引っ張ったり装備ショボかったりするだけで、匿名掲示板で晒されたりするゲームセンターの対戦ゲームよりは――」
 ま、面白いかな。
 つづらが戦鎚を地面から引き抜いたところで、先ほどの光球がが爆ぜる。まばゆい光を発生させる。
「――フラッシュバン、ですか」
 つづらの動きが鈍る。
「(先に――反撃してくる方が厄介ね)」
 少しだけ目をはなした隙に、あちらの殴り合いは、さらに熾烈さを増している。
「庇うは!?」
 増している中で、由香里はソニアに対して大きく声を上げた。
「まだ大丈夫」
 簡単に返事をする。
 つづらにフラッシュバンを当てた。次はアサシンズインサイトかフラッシュバンか――と、勝ち筋を構築していく。
 神秘の閃光弾を見たか、マリアベルが
「そりゃ対策してねー方が、あれか、斑雲。うちにもシードなんて便利なもんがあれば良かったんだが――ならこっちもサァ!」
 由香里に対する反撃――決して止まらないかのような澱みのない連続攻撃で上下左右から打たれる。
「……動かない!」
 たちまち、由香里は手に痺れを覚える。
「もうちっと殴り合いしても良かったんだねぃ、不射之射ソニックエッジさ。卑怯とはいうなよぅ?」
 マリアベルの視線がソニアに向く。視線が交差する。
「ふむ」
 修正が必要だ――勝ち筋の。
 ソニアは短い思索を終えて、手を相手に向ける。香港映画の格闘家のように掌を上に向けてカモンと言わんばかりの挑発をする。
 つづらが、「来ないでください!」と声を搾り出す。しかし、マリアベルが由香里のブロックを抜けて、ソニアへ迫った。
「炮烙!」
 敵の秘拳がソニアの胸部に刺さる。込み上げる血反吐。
 だが、これを飲み込み、少し笑った。
「後衛狙い――っていうのは良い線いってたけどね。ちょっと短絡じゃない?」
 ソニアはマリアベルからひらりと離れ、神秘の閃光弾をぽいっと投げる。
 ごっそり持っていかれた反面、相手の脳筋が故か、行き当たりばったりの結果論に近いか。
 マリアベルを縛り――つづらも射程内だ。


●拳と拳で語らん。リアル対戦ゲームが如く――ちょっぴり出し抜いて
 フィクサード二人が険悪だ。
「もういいです! 私がやりますから!」
「そんな言い方ねぇだろぅ小娘。さっきだって式符一回試していいって段取りだったのを」
「わざわざ麻痺使う相手に当たりに行くとか、ドMなんですか」

 といった具合に、麻痺の最中、二人が仲たがいを発生させている。
「(ボーナスステージ!)」
 これ幸いと、ソニアは大天使の吐息により回復に努める。
 その間に由香里が麻痺を振り切り、「脳筋」「似非軍師」などの単語が飛び交う中へ突っ込んで、ダブルアクション――マリアベルとつづらをぶっ叩く。
「仲違いなんて見に来た訳じゃない。全力で来てくれないと張り合いないよ」
 全力出さないとか失礼だし! とやる気を出してきた由香里には少し面白くない。
 マリアベルとつづらが麻痺を振りきる。
「仲間割れはよくないと思うな?」
 と、回復を連打していたソニアは、ゆるく言ってのける。
「確かニねぇ、失礼ってやつか。雑念もいいところだ」
「済みません――」
 仕切り直しのように見えて、由香里はしっかり双方にダメージを入れている。ここら辺は確信犯であった。
「私も実は、2対2ってあんまり経験ないのよねー。あたし、試合形式だとサシで殴り合うの大好き派だから!」
「あたしらもそれで行くかねぇ」
 相対する二人がお互い見て頷く。
 たちまち、つづらが神秘の閃光弾の範囲から上へと離脱する。
 マリアベルは前転して視界に影を作り、避ける。
「外した」
 神秘の閃光弾。
 マリアベルとつづら二人を巻き込みつつ、由香里を含まない絶妙な着弾点であったが、不発に終わる。
「化かしあいなら私がやりますよ、呪印封縛」
 つづらがソニアに呪縛を放つ。
「追いつける?」
 次手をどうべきか、つづらは判断がつきかねているとみられた。
 つづらの消耗は少ないが、回復をもらっていないマリアベルと、ソニアから回復を受けていた由香里の間で消耗には隔たりがある。
「あんまし作戦的なのは分からないがねぇ、戦って、殴って最後まで立ってた方が勝ちってのが好きさな」
 由香里は少し口角を上げる。
 次の瞬間、熾烈な応酬が
 突けば突き返す。燃やさるるば燃やし返す。飛翔する武技の連打、反撃の二連撃。突く、蹴る、肘、膝、のラッシュが巻き起こる。
「こちらはこちらで――朱雀」
 火の鳥がソニアの全身を炎で包む。
「――1対1ならそれもいいけど、こっちは別に付き合う必要はないし」
 と、ソニアは意地悪そうな微笑みを浮かべて、神秘の閃光弾を放つ――マリアベルへ。「な、に!?」
 マリアベルの動きが硬直する。
 硬直した瞬間を見逃さずに、由香里が深く息を吸い、腰を落とし、肘を引く。
「拳と拳で語り合う! アークにわだかまりや言いたいことがあるなら後で纏めて全部聞く!」
 豪炎竜顎。そして、もう一撃、豪炎竜顎!
 炎の拳を炎で制す。マリアベルが膝をつく。ダメージレースを制した者は、由香里だった。
 つづらのフェイタリティアークによる不吉不運凶運を用いて足掻くが、ソニアの戦法――麻痺させ、回復時間をつくる分の差を埋めることは、とうとうできなかった。


●幕間2
「2連敗、クッソオオオオオ!!」
 マリアベルの周囲を、妖精のようにくるくるまわるバケツ頭のメイガスが、中腰で汗を滴らせながら回復を用いている。
 あれは回復なのだろうか?
「それなりに色んなやつと戦っているしね」
 なおソニアはマリアベルに言葉をかけながらも、本当の目的は、このフェアリーである。
「――ところで干興院さん」
 と、ソニアが筋肉の妖精に話しかける。
 肉肉しい妖精はピタりと踊りを止めて、腕を組んで向き直る。
「――遅かったじゃないか」
「どっかの腐女子から伝言よ。新しい変態兵器ないの、男性向けなら知人のショタっ子を犠牲に実験手伝うわよ、って」
 バケツ頭――バケツには興という字が描かれている。興が腕を組み、重々しく言う。
「ガチガチの本気モードだな」
 何が? というソニア以外のこの場にいる者たちの疑問が浮かび、奇妙な空白が場を支配した。
「どうなってもしーらない」
 一方、ソニア自身は、おおむね確信犯であった。
 由香里の方は、つづらの方へといく。
「一番好きなのは本当に1対1だけど、そんなこと出来るの滅多にないし、割と理不尽なフィクサードも多いからね!」
 由香里の目線では、つづらは少し戦闘経験が不足している様に見えた。
 本来こういう考察はソニアの領分だが、アークのリベリスタは怪物のような敵と戦っていた分だけ、それなりに長けているものである。
「――ところでペリーシュナイトの武器かー、面白そう!」
「そんなに面白いものでもありませんよ。反動ばかりで、特別に強くはありません。ペリーシュナイトが使っていたから強かったのです」
 触っていい? というと、つづらは静かにうなずく。
 手に持ってみると、途端に不吉不運凶運が自らに付与される。思わず手放す。
 性能としては、購買の魔力剣やあのシリーズと同等か。これを好んで何らかの信念があると目される。
 破界器が強いだけのボンクラが多かったフィクサード連中のなかでは、ちょっと居なかったタイプだ。
「なるほどね! ま、あたしは有名でも賢いわけでもないけど、野次馬できる程度には強いと思うよ-!」
 少しだけ間をあけた後に、この言葉の意を理解したつづらは。
「お手合わせ有難うございました。よろしければまたお願いします」
 と言って頭を下げた。

 『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)と、『神堕とし』遠野 結唯(BNE003604)が、つかつかとやってくる。
「(マリアベルか。久しいな。確か……どこぞのいかれた宗教団体を潰した時以来か)」
 黙して語らず。
 結唯を見たマリアベルの眉が、ピクりと動いた。
「おや、おマえさんか――いや、何もいうまイ。戦ってくれるってならな」
 また、義衛郎は、マリアベルとつづらを交互に見て。
「リーさんとは初めまして。斑雲さんとは河豚漁で、少しだけ一緒だったな。須賀 義衛郎です」
「そうですね――フグ。こちらの姿でしたか」
 と、ステルラフェイタルを用いて、超幻視を活性化する。
 黒髪黒瞳。光が宿らない目をした――元々の姿のものだ。


●結唯&義衛郎
 三試合目が始まる。
「お二方、お手柔らかにどうぞ」
「さすがに3連敗まではかっちょわりぃ。勝ちにいかせてもらうサァ」
 義衛郎は、純粋に今の自分の力だけを頼みに戦うと、どれほど通用するのか興味があった。今回の話に手を上げた理由である。
「――折角だし何か賭けてみますか?」
「面白れェ兄ちゃんだな」
 マリアベルが仕掛ける。
 仕掛けたのはマリアベルかに見えたが、後の先をとるように、義衛郎はハイスピードを伴って、氷片を伴った霧を放った。
 マリアベルを氷像に閉ざす――閉ざしたかに見えたが。
「こっちさよぅ!」
 と、義衛郎の脇腹に蹴りが入る。
 マリアベルは、フウウウと深く息を吸う。
「豪炎竜顎」
 義衛郎は炎を切り裂いて軽減する。
「(反撃で幻影剣を使うか……以前には見なかった技だ。腕を上げているな)」
 結唯がFaust Rohrの銘をもつフィンガーバレットを構え、銃声が一つに聞こえるほどの速射と跳弾でもって、四方からマリアベルを撃つ。
 撃った瞬間に、結唯は肩口に痛みを覚える。眼前にマリアベルの幻影が浮かんだ様に見えた。
「(ソードエアリアルか……)」
「――異常が効いていませんか」
 と、つづらが呟くと、自らに白虎の加護を降ろした。
 束縛を齎す氷像で縛るという戦法は、先のソニア&由香里と同一である。違うとすれば、回復が無い分だけ、加速的に削り合いになることだ。
「で? 何を賭けるんだぃ?」
「オレが勝ったら、二人には食事に付き合ってもらおうか。しかもばっちり着飾って。そうしよう。今決めた」
 マリアベルは、クックックと笑い。
「いいさぁ、こっちが賭けるものはちょ~~っと考えるとし――」
 義衛郎の剣により、氷像が為る。
 凍らせる前にやはり反撃を受けていたか。次なるは幻影剣を用いて追撃する。
 追撃に、また反撃のもらう。
 見れば、たった今凍らせたはずの腕が崩れている。握られているのは、破界器『火竜鋲』だ。
 たとえ拘束されていても反撃だけはできる。ということなのだろう。
 つづらは、この賭けに何を積むかを言葉に出しかねている。
「(呑気なものだ)」
 と、結唯は胸裏で呟く。
 ――だがそれも悪くない、と続ける。
 でなければこの場、ここの余興になど、初めから手を上げないのだから。
 つづらの式符朱雀が飛んでくる。
 義衛郎を巻き込み、結唯に飛来するが、真っ向から弾丸を放って撃墜する。
 リロード。薬莢が、りん――と音を鳴らす。
「(何か仕掛けて来そうものだが――)」
 思慮深くエナジースティールを選択する。
 そしてソードエアリアルをもらう。この削りは不味いと思い――しかし氷像を入れているため、本命は来ない。
 予定通りに、義衛郎が幻影を伴ってマリアベルを斬る。
 マリアベルは氷像のまま、腕以外は微動だにしない――気が付けば脚も解けている。ここから反撃を撃っているのだろう。
 結唯のB-SSS。つづらからの火の鳥――幾度か繰り返された後に。
 解凍即時に、義衛郎はグラスフォッグへ切り替える。
 『普通に戦った場合』は、マリアベルの不射之射による反撃と、本命の覇界闘士の技で、加速的により削られていくものである。
 これを義衛郎がグラスフォッグの氷像で拘束し、軽減する形となってた。
 双方の削り合いが進み、いよいよ佳境に迫る。
「ここでしょうか」
 マリアベルが氷像の状況で、フィクサード側が仕掛けて来る。
「フェイタリティアーク!」
 つづらが、義衛郎へと肉薄する。
 先ほどのソニア&由香里に際してのマリアベルの動きに憤慨していたにも関わらず、拘束が下る範囲へと飛び込んだ。
 横凪ぎの戦槌から、鬼魅の悪い空気がはじけ飛び、衝撃で義衛郎は大きく削られる。が、地面を脚で擦りながらも踏ん張って、左脚を一歩前にだし、グラスフォッグを下す。
 マリアベルと共につづらも氷像と化す。
 化したかに見えたが。
「炮烙!」
 氷像の氷を燃やし尽くして、マリアベルの軽い掌底が義衛郎に入る。
「兄ちゃんが得意そうな――もう一撃!」
 更にもう一撃が義衛郎に入った。


●冷たく無機質に闘争し、熱く情熱的に征く
 リベリスタ側が崩れる。
 崩れるかに見えた。が――前に倒れかけた義衛郎は右足を前に出して、踏みとどまる。
 運命を氷炎にくべたのだ。
「そこまでするのかぃ?」
 マリアベルの驚愕した顔に、対して義衛郎は柔和な笑みを崩さない。
「食事がかかっているので――今、本気を出さないでどうしますか」
「大した奴だよぅ。全く」
「(殺し合いだな)」
 結唯はリロードをしながら、心の中でつぶやき、B-SSSを撃つ。
 そろそろ反撃による削りも大分重くなってきたと感じる。決着させなければならない。 義衛郎のグラスフォッグの超低温が放たれ、再び氷像。と同時に氷像は砕け散り、マリアベルは倒れこむ――かに見えたが。
「炮烙!!」
 敵も運命の炎を燃やす。
「これで負けると三連敗ってカッコ悪すぎるじゃネェかよ!!」
 マリアベルは、抱きかかえこむような形の炮烙。超低温が炎を纏い、上昇気流の様に昇っていき、義衛郎の最後の体力を奪っていった。
「(1対1か)」
 結唯が視線をやるのは、氷像になっているつづらである。
 だが、まともな攻撃として入っているものは、先のグラスフォッグと、B-SSSが一発ずつ。反撃を受け続けた蓄積により、余力にはやや隔たりがあった。
 氷像になっている間にどこまで削れるかが肝であったが――程なくつづらの氷像は融解した。


●幕間3
「ようやく1勝か。まだまだこれからさ」
 運命の炎を燃やし、疲れ果てた様にマリアベルは座り込む。
「いい運動になった」
 結唯は口数少なく、マリアベルに告げる。
「反撃連発しまくった筈なんだがねぃ、何でわたしがヘトヘトで、お前さん余裕ありそうに見えるンだぁ?」
 かの同盟の戦車の座は、自らのコートのポケットに手を入れながら、踵を返す。
「さてな――またやるなら、喜んで参戦しよう」
 さらに踏み込めば――これ以上は『いつもの』殺し合いになってしまいかねなかった。
 この場は賭ける基準より下だと判断している。冷静に冷徹に。ただし、一度でも賭けると決したならば、神すら堕とすのだ。結唯というリベリスタは。
 つづらは義衛郎の傍へといく。
「賭け? と言ってましたよね」
「うん、無茶な事でない限り、応相談」
「お、おいしいお茶と、ケーキがたべたいです」
 義衛郎は、食事の要求が叶ったようで「是非!」と言った。黒髪黒瞳の死んだ目に、光が戻る様なそんな幻視がちらついた。
「あたしゃー老酒がいい。50年ものな」
「もちろん! 行きましょう。着飾ってきてくださると最高です」

 『足らずの』晦 烏(BNE002858)は、世間話に興じている。相手は、和服にお釜帽の男である。
「最近どうよ」
「鏡ヶ池公園の近辺でぶらついて呑気にやっていますよ」
「これお土産の秋刀魚ね」
 と、走って向こう側から、台車をずるずる引きずって戻ってくる。
 上には、クーラーボックスが積み重なっている。中身はぷりぷりとした秋刀魚である。 また視線を朱鷺子に移す。
「終わったら酒でもやりに行こうか、胴元の朱鷺子君の奢りでな」
「そうだね。快の居酒屋にでも行こう」
 横から、『救世境界線』設楽 悠里(BNE001610)が頷く。
「アーっと、次はお前さんかぁ、設楽 悠里」
「晦 烏……さん」
 つづらは狼狽の顔を隠しきれていない。超幻視のままというのもあるが。
 烏が言う。
「マリアベル君と設楽君でタイマンでどうかね? 設楽君がタイマンで負けたら、うちらのチームは降参てことにする感じで」
「何ィ?」


●悠里&烏
 要求は通る。
 仮にマリアベルがやられても降参しなくてもいい、一方的に悠里&烏ペアが不利になる条件であった。
「僕は何度も強敵と戦ってきたけど、いつも壁と思っていた。いつだってその先にある未来の為に戦ってたんだ」
 対するマリアベルは、手に炎を握りこむ。
「奇遇だな。私もさぁ。良い事も面倒な事も、大体お前さんが絡んでいるからサぁ」
 悠里はフっと笑って構えを作る。
「君を対等の競い合う相手だと思ってる。ちょっと違うかも知れないけど、負けたくない、ライバルみたいな感じかな? そんなこと思ったのは初めてだからちょっと照れくさいし、うまく出来るかわからないけど」
 双方、拳の裏を重ね合わせる。
 静寂が場を支配した。
「――今の僕の全力で、今だけを見て行くよ!」
 マリアベルもフッと笑う。
「こっからは、凝ったおしゃべりは無粋ってやつさぁ」
 ――カンッとゴングがなる。
「篝火の覇界闘士、設楽悠里! いざ勝負!」
「上海の黒猛虎を頂く覇界闘士、マリアベル・リー! イザ勝負!」
 試合開始となる。
 拳がぶつかり合う。
 マリアベルから反撃の蹴りが飛ぶ、悠里は横に避ける、避けてダブルアクションからの魔氷拳。魔氷拳への反撃にソードエアリアルを伴った蹴りが飛来する。
 烏は煙草を吸おうとして――屋内なので胸ポケットに入れなおす。
「甘蝿老師の絶技、不射之射か。生存中にお会いしたかったが」
 アークが傭兵として世界中のリベリスタ組織を援護する際、上海で出会った長安を本拠とするリベリスタが甘蠅という。大穴の事件において、鬼籍に入っている。
 かく、弟子に裏切られる因縁を持っているか、老師の弟子はフィクサードである。
 そのフィクサードは、悠里ともう一人の覇界闘士撃破し、更にその弟子が、マリアベル・リーとあいなる。
 つづらに目を移す。
 一人の科学者から始まった小さな事件は、積み重なり、あるいは枝分かれし、今ここに至っているといえた。
「さぁ、斑雲君。魅せて貰おうじゃねぇのさ、弱さを嘆き、諦観と絶望の果てを乗り越えた、その強さを、その意志を」
「言われずとも。あなたともう一人、必ず乗り越えてたい人です。――それから、博士が良く口に出していました。自分を認めてくれる人がいるんだと」
 烏はククと笑う。やっぱり煙草は必要だ。
「『come on young girl』 此方も気合入れて行こうかね」
「ロートルめ! その道を開けろ!」
 格闘技が乱舞する横で、射撃戦が起こる。
 特段、タイマンとは決めていなかったが、完全にフィクサード側は乗ってきている。
「お前たちのせいダってな! 虎が去り、ロン一家にデカい顔されて、上海はめちゃくちゃになっタんだからねぇ!」
 ここで「済まなかった」というのは少し違う――と悠里は言葉を止める。
 それこそ、彼女と彼女の師を侮辱するような言葉だ。マリアベルの頬が釣り上る。
「――という想いが無いかといえばウソになるが。マア、今更そんなこと言うのはガラじゃあねぇのさネぃ。全部ここに置いていくってナ!」
 悠里はフっと笑い。
「マリアベル、楽しいかい?」
「ああ!」
「僕は少しかな」
 傷つける事はあまり望むところではない。だが、高揚を否定はしない。
 烏は、小刻みに跳躍しながら、刺さってくる千兇を避ける。新型の得物に弾丸を詰める。あまり狙いを定めずにB-SSを用いる。
 着弾、即座につづらが近接してくる。
「フェイタリティアーク」
「これは不味い」
 鬼魅の悪い空気がそこではじけ飛ぶ。
「おじさんにも意地ってのがあるのよ。そう簡単に道は譲れんね」
 つづらは、前に戦った相手を参考にして、秘術を組み替えてきた。その到達点といえば、やはり最大火力の高威力の不吉を用いた技だ。
 0距離。
 取り回しやすい新型の本領発揮である。
「ずどん」


●終着点で見るもの
 悠里がマリアベルに魔氷拳を刺す。
「舐めてる訳じゃないけどさ、いきなり全力で行くのもなんか勿体無い気がしてね」
 氷結により、行動を妨害しながら、攻め続ける。
「こんのぉ!」
 反撃のソニックエッジによる、麻痺で縛られるが、膝をつくような真似はしない。
「くそ、この技、本気でつまらんな」
 双方硬直。ふたたび、動から静へと至る。
「太山之霤穿石ってな」
 不吉不運凶運を纏めて振り切り、銃口をつづらの胸中央に密着させる。
「ちりも積もれば山となる、ですか?」
「おじさん、【呪歌の書】で班雲君がピアニシャンへの返しを万華鏡で見ていたんだ、と」
 ドン、と発砲する。
「――力だけが強さではないと悟り、何を学び何を得たのか! おじさんに魅せてもらおうかい」
「みんな、いつも何かと戦っている! 自分だけが不幸だというならば、――マリアベルさん風にいうなら、格好悪い!」
 いいね、と烏は胸裏に呟き、直後に飛来する千兇を浴びる。
 悠里側はやがて、拘束による静が終わり、動へと遷ろう。
 最初に動いた者はマリアベルだ。
「炮烙!」
 悠里は歯を食いしばり、飛来する右――右手側に意識を集中させる。
 動く。ふわりとした掌打を氷鎖の拳を下から上へ跳ねる上げる。爆熱に零下で迎え撃つ格好だ。
「破られるのかよぅ! ひゃっひゃっひゃ、最高だな! こうじゃなきゃ張り合いがねェ」
 悠里の左手。
 こちらも氷鎖の拳。一瞬が空白のように感じる中で。
「僕は、ちょっとだけ、かな!」
 真っ直ぐに突き出す。
「痛いのも傷めつけるのも好きじゃない」
 マリアベルは、つまらない、と言いつつも放ったものはソニックエッジだった。それだけ追い詰められているということだろう。動から静に至る。
「(これは、負けるか)」
 烏である。不吉不運凶運が予想以上に重い。
 対策しようと思えばできた。だが、ありのまま、これも悪くないんじゃないかという想いがあった。
「晦さん。私は、あなたを乗り越えます。そして――あの人の分まで戦う」
 振り下ろされる鉄槌。
「それもいいさな」
 静から動へと至る悠里、マリアベル。
「完成したら――護式魔氷勁――と、名づけようと思っている」
 腰を深く落とし、誰よりも魔氷拳を放ってきた拳を信じて、固める。
「中々気が利いてるじゃないかよぅ。師匠の浸透と、あとなんだ?」
「乗り越えてきた人の分、全てを、乗せたいんだ。勿論、マリアベルも」
 大きく息を吐き腰を落とす。
「ならもう一撃、持っていけ! 炮烙!」
「負けないよ! マリアベル!」
 瞬息の攻防が交差する。
 その決着は――。


●幕間4
「3敗」
 マリアベルは、ここまで徹底的にやられるとは思っていなかったようだ。
「やっぱり、エリューション退治にも積極的にかかわった方がいいのカネェ? 絶対戦闘経験はそっちがつクよねぃ」
 と首を傾げて悠里と烏に問う。
 結果としては、悠里vsマリアベルは悠里の勝ち。烏vsつづらは烏の敗北という形だった。
 そこで「対等に」というつづらの意図により、マリアベル側は降参。
 終わりとなったのであった。
「そいヤ、全然関係ないんだが、師匠な、老師(じじい)が死んだことを知った次の日、脱獄したらしいぞ」
「え!?」
「なぬ!?」
 悠里と烏は、マリアベルの言葉に驚いた。
 クックックと笑うマリアベル。悠里は腕を組んで首をひねるが――。
「心配にすんナ。どうせ調子に乗ったロン一家始末する事しか考えてねェだろうしな。そのうち、老師ンとこ顔出すかもしれんが」
 悠里は首を正して、口をひらく。
「――いつか1対1で乗り越えたい」
「あたしもさぁ。今回でまだまだだって分かってしまったしね。師匠なら不射之射で回復阻止が使えたりさ。それから『打神鞭』持ってんのに、全然つかおうとしねぇ」
 まだまだ底が見えない『黒猛虎』。
 いつかは乗り越えなければならないと強く思った。
「それと上海といえば、今は三尋木だ。上海から出たくてもでられないのさ。恐山(うち)が英国租界(うち)のネットワーク使って固めちまったからねぃ」
 上海に渡った三尋木も災難だ、と悠里と烏の胸裏は一致した。
「ま、師匠もじじいを乗り越えたかったのさ。勝ち逃げされちまったが」
 マリアベルは視線を落としながら言った。
「勝ち逃げ――」
 と、つづらが言った。
 悠里と烏は顔を向かい合わせ、またつづらへと向ける。
「私にも一人、そんな人がいます――いつか乗り越えようと思っていた相手が、もう絶対においつけない所に行ってしまって」
 だれの事を言っているかを、すぐに察して、悠里は首を横に振る。
「そんなことはないと思うよ。――竜一はもう剣を握れない。けれど、つづらちゃんはまだ戦える」
「これからさな。おじさんに勝ったんだから、胸をはるといい」
 つづらは泣きそうな顔をしていた。
 ふとマリアベルは別の方向を向く。
「あと一戦か」
「そうですね。流石に1勝3敗では」
 視線の先で、『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)がマリアベル達の回復を待っている。
 『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)が、子犬の様にそわそわしている。
「待たせたネ。ちょうど回復が終わった」
 シュスタイナは特に気にもせず。
「たまにはこういう、自らの力を高める為の催しがあってもいいわよね。いつも殺伐とした戦いばかりじゃ気が滅入るもの」
 マリアベルは「同感さ」と朗らかに笑う。
 同調するように、壱和も「よろしくお願いします」と元気な声で挨拶をした。


●壱和&シュスタイナ
 最終戦である。
「泣いても笑ってもこれが最後ーーー! イエイイエイ!」
 と、朱鷺子がタンバリンで盛り上げる。財布はほくほくである。
 シュスタイナは壱和にそっという。
「壱和さんとは何回こうやって一緒に戦ってきたかしら?」
「いっぱいありましたね。シュスカさんに背中を預けられるのは、すごく安心します」
 壱和はにっこりと笑顔を作ると――ゴングが鳴った!
 隊列は、シュスタイナがやや前、壱和が少し後ろ後衛同士だ。
「頑張りましょうね。一緒なら、誰が相手でも大丈夫です」
 二人の視線は交差する。次に敵を見やる。
「いくよぅ、先手必勝!」
 シュスタイナに向かってマリアベルが真っ直ぐ来る。
 拳が右左、蹴りがきて左右。飛翔する武技が突き抜けて壱和に襲いかかる。
 シュスタイナは口角に垂れた血をぬぐい。
「エアリアルフェザード」
 連携して壱和が呪印を放つ。
「大呪封縛鞭!」
 シュスタイナからは羽の一群が飛ぶ。壱和からは、インヤンマスターの秘術――封縛鞭が犬の形をとって――跳びだす。
 シュスタイナの翼の群れに混濁し――ーマリアベルの喉の喰らいつく。
「ちぃ!」
 マリアベル、つづら、共に行動不可だ。しかし、同時にシュスタイナと壱和に対して、反撃のソードエアリアルの幻影が蹴りつけて来る。
「このまま押すわ!」
 再びエアリアルフェザードを放つ。反撃も貰っていく。
 マリアベルの拘束が解けた瞬間に、縮地法を使わんとして、つづらが声を張る。
「あっちもインヤンマスターです」
「このナントカベン、お前さんもつかんンのかい?」
「前は使えましたが――今はだめです」
「なんてこった、完封はかっこ悪いモんなー!」
 シュスタイナへとマリアベルの拳が飛来する。軽い少女の身体が、浮くほどの乱打が叩き込まれる。
 壱和が呪を練る。マリアベルを拘束する。
「ああ、いいなぁ。こんちくしょウ」
 シュスタイナは静かに疑問を述べる。
「私は前衛方じゃないし直接殴ったりする訳じゃない。けれど、拳を交えるってこういう事を言うのかしらね?」
「その通りさ」
 マリアベルが愉快そうに笑い、つづらは静かに次ぐ。
「仕方ありません――コンビの話、考えておきますよ」
 と、つづらがマリアベルの前に出て、守りを固めた。
「(お相手も――どんどん手ごわくなっているのかしら)」
 貧乏クジを引いたに違いない。
 連携もとれて、因縁も全て解消して、相手が一番強い状態とやり合うことになったのかもしれない。
 壱和の大きな耳と尻尾が揺れる。
「もういちど」
 犬を解き放つ。相手は一番強い状態だけれど、それでこそやりがいがある。
 守るために戦うのなら、こちらも同じと壱和は強く念ずる。超直観で相手見失わない様、そしてシュスタイナを守れるよう。
 犬二頭をつづらが受ける。
「行ってください、マリアベルさん」
 マリアベルは、つづらを乗り越えてシュスタイナの眼前に立つ。腰を落として大きく息を吐き、唸る鉄拳。
 シュスタイナに拳法が刺さる。
「倒れろぃ!」
「倒れないわ!」
 即席のコンビに負ける訳にはいかない意地がある。
「天使の歌」
 柔らかな光が、天啓のように降り注ぐも――まだ勝敗の行方は見えない。


●信頼で始まり、されども信頼で終わらない
 シュスタイナと壱和のチームにとって、つづらがマリアベルを庇うという戦法は、良い点と悪い点が浮上した。
 大呪縛封鞭が一人にしか当たらない事。つづらを拘束している間なら向こうも庇うことはできまいが、それでもマリアベルが一手確実に動ける形だった。
 良い点としては、反撃の回数も減るということである。
 削り合いは少し緩やかになり、シュスタイナと壱和が二人とも回復を用いることから、戦いは静かなる削り合いといった状態となっていった。
 戦況が動くのはそれから2分後。壱和が体力が一瞬だけ、相手の火力の射程内に入ってしまったタイミングだった。
「式符・千兇」
「千兇」
 壱和が放った式符に対して、つづらは庇う体勢を解き、全く同じ符で烏の群れで迎え撃つ。
 鴉の群れが符の紙片となって舞い落ちた時、向こう側からつづらが突っ込んできた。
「仕留める! フェイタリティアーク!」
 鬼魅の悪い空気が爆ぜる。壱和はつづらとの撃ちあいで、凶運が染みこんでいた。そこへ最大火力のフェイタリティアークが叩き込まれた格好である。
 壱和が前のめりに倒れる。
「壱和さん!?」
 シュスタイナが悲鳴のような声を上げる。上げながら、攻撃の手を緩めずにエアリアルフェザーを放つ。
 つづらもまた、壱和から防御の崩壊を付与され、またエアリアルフェザーの状態異常による削りと、大呪封縛鞭による拘束時間中の攻撃が効いていた。
 1対1になるかに見えたところで、壱和は運命を削って立ち上がる。
 つづらも運命を燃やして踏みとどまる。
 模擬戦だろうと関係無い、全力を尽くすことのほかにはなにもない。
「大呪封縛鞭!」
 壱和が運命の力を振り絞った呪術。交差するマリアベルの反撃で、いよいよ戦闘不能となる。
 容易に外れぬ束縛。
 決着は、シュスタイナがエアリアルフェザーで削るだけで、かく静かに終わったのだった。


●幕間5
「負けたよ。回復阻止と拘束系が課題だねぃ」
「お手合わせ有難うございました」
 と先方の方から健闘を称えて、手が差し出された。
 シュスタイナと壱和は対戦相手と握手をかわし、すぐに相棒に治癒を用いる。
「(壱和さんの身体に傷とか残したら、カルラさんが黙ってないでしょうね)」
 と胸裏で呟き、また、壱和も「シュスカさんに傷は残せません」と手当のしあいっことなっていた。
「これからもこうやって、何かある度に戦っていくのでしょうね、私達」
 シュスタイナの言葉に、壱和は、少しだけ何を口に出すか出しかねるようなしぐさをして、シュスタイナにハグをした。
 勝っても負けても、ぎゅっとする、と壱和は心に決めていた。
 二人ともひょんなことから寄り添う相手ができてしまったが、それでもシュスタイナにとって壱和は特別な相手。壱和もシュスタイナは特別。
「今日はお疲れさま」
「お疲れ様でしたと、ありがとうと、いろいろな大好きを」
 えへへ、と笑ってえへへとはにかみ、お互いはふたたびぎゅっと抱き合った。


●続いていく物語
 ふと、メリッサの提案で、光介の店へと行く。
「自信作です!」
 と、光介はとっておきのブルーマウンテンを用い、手で挽いたミルも用いて、香り高い湯気を立てた珈琲を淹れた。
 軽食のサンドウィッチもある。
「そういや、全く関係ない話だガね」
 マリアベルが一冊の報告書をテーブルに置いた。表紙は焼け焦げたLTOテープの写真が印刷されている。
「リチャード・シャーロック・ドリスノクって奴が持ってた『犯罪ナポレオン』バックアップのLTOさ。一回燃えたんだが、恐山のほうでサルベージできた。伝えてなかったかな?」
 悠里が目を大きく見開き。
「千堂からは全くきいていない」
「おじさんとしては、彼のミドルネームがシャーロックだったことに驚いたわけだが」
 そして、『教授』に『探偵』。偶然ではないよな、と考える。
「セレアが何か言ってなかった?」
 ソニアが由香里の方を向く。
「? 言ってたっけ? よく覚えてない」
 ソニアは「ま、いいか」で終わらせる。
 それより、もっと何か、あることないこと、キングパイルに吹き込む事が大事だ、と頭を切り替えた。
 壱和が身をのりだす。
「な、何か事件ですか?」
「せっかく大穴の事件が終わったのに……」
 シュスタイナがちょっと残念そうな表情で、コーヒーを飲む。
 メリッサは少し眉をひそめながら、聞きに徹して、目の前に出された珈琲に口をつける。
「おいしいわ」
 同じく、また揉め事かと思いながらも言葉には出さない、なぜなら光介のコーヒーが飲んでいるのだから。
 ふと義衛郎はここで思う。軽食とつづらを交互に見て。
「先の賭けの分が含まれています? この場は」
「別ということにしましょう?」
 と、つづらが否定する。義衛郎は思わずグっと拳を握る。
「上を通せ」
 と横から、冷ややかな声がした。
 結唯――珈琲に一杯だけ付き合う格好で――去り際に短く言ったのだった。
 マリアベルは細目の片目だけ瞑って、卓の面々の方に向かい。
「このLTOな、教授のバックアップってだけじゃなくて、実は――」



 終幕

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 Celloskiiです。
 4勝1敗です。お疲れさまでした。
 わたくしめ、Normalらしからぬ強さの敵や、部位狙いやエネミースキャンで何か起こるような仕掛け有りのシナリオをよく出してきましたが、この根元にあったものは「一筋縄ではいかない攻略」でした。

 今作はその極みだったとおもいます。
 『攻撃の度にソードミラージュのスキルで反撃する覇界闘士』
 『相手に合わせてスキル組み替えてくるインヤンマスター』
 万華鏡の恩賜を薄くし、わたくしめの方は戦況をひっくり返すようなスキルを排除(元々、面白味や使う必要性が無ければ、そこまで用いませんでしたが)、有利不利を薄くした上で、いざ勝負といったシチュエーションでした。

 お疲れ様でした。
 ご参加有難うございました。
 ご縁がありましたら、また何処かで。