●真相への道標 かつて起こった首のない騎士の事件。 新興住宅地のアパート付近に現れた騎士とチャリオットを、リベリスタたちが撃退したあの事件のことを記憶に留めている者もいることだろう。 フリーのジャーナリスト兼リベリスタ、白瀬 真理(しらせ・まり)も、その1人。フリーと言えど、情報には精通していたから。 ジーンズにタンクトップが基本スタイル、『虎穴に入らずんば虎子を得ず』、『ペンは剣よりも強し』を信条として活動するナイスバディな彼女は、かの事件の真相が気になって、1人追い続けていた。 ――そして。 「どうやら、この店に何かヒミツがあるようね。私の千里眼にも何も映らない……」 真理がたどり着いたのは、小さな雑居ビルの一角にある占いの館『Wheel of Fortune』。腕の時計は22:00を廻っていた。 (よしっ……行くしかないっ!!) 覚悟を決め、扉をくぐる真理。 ・ ・ ・ 「? おかしいな。絶対この店が怪しいのに……。普通に終わっちゃった」 拍子抜けした様子で店を出た真理は、ひとまず事件を洗い直そうと帰路に着く。時間は23:00ちょうど。電車次第だが日付が変わる前には家に着けそう。 (狙われた3人とも、事件の数日以内にココに立ち寄ったのは間違いないのに……) まさか、このすぐ後で自身が『首のない騎士』に襲われるなどとは、露ほども想像しないままに。 ●首のない騎士 再び 「……もう、しばらく前のことになるけれど。チャリオットに乗った首のない騎士が現れた事件、覚えてる? あの件の続きみたい」 アーク本部に設けられた1室で、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は集められた者たちに向かって淡々と告げた。 「『アーク』に所属していない、フリーのリベリスタもそれなりに居るのは知っての通り。今回はアークじゃなく、そんなフリーで活動しているうちの1人が情報を掴んだみたい。けど、そのせいで今度は彼女が襲われる。再び、首のない騎士に――」 襲われるのは彼女の自宅マンション付近。時間が時間とは言え、他に人が誰もいないのはさすがにおかしい頃合。 「結界みたい。それはこちらとしても都合が良いけれど。敵は3体。いずれも前回同様、フェーズ2、戦士級のE・アンデッド。甲冑のせいで防御は固く、攻撃方法はその大剣のみ。効果はデュランダルの皆が使う『疾風居合い斬り』に近いけど、今回は呪いじゃなくて流血と麻痺をもたらすみたい。それにもう1つ前と違うのはチャリオットがない、ってこと」 「アイヤー! じゃ、その量産型デュラハンを退治、って事アルか?」 そう尋ねたのは、『迂闊な特攻拳士』李 美楼(nBNE000011)。 「その通り、でも量産型だけど劣化版じゃないから。任務は3体の騎士を確実に消すこと、そして狙われたリベリスタの彼女を保護することの双方。どちらが欠けてもダメ」 イヴは頷きながら、言葉を継ぐ。 「事件の真相に迫るには彼女の情報が不可欠だから。状況次第だけど、あなた達で何か聞いておいてくれても構わない。それに、他に調べたいことがあるなら、任せるから」 「ワタシは、強いテキと戦えれば十分アルよ」 そう? なら別に何も聞かなくても、護ってさえくれればアークの誰かが聞いてくれるとは思うけど……。イヴは、そこまでは興味がないかのように話を終えた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:斉藤七海 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月05日(月)23:44 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●白瀬真理 「しっかし、無茶する姉ちゃんがいるもんだな」 『狡猾リコリス』霧島 俊介(BNE000082)は感心とも呆れとも取れるような口調で告げた。 「まぁまぁ……人は誰も役割ってものがある筈ですし、ね」 なんて答えを返しつつ周囲に強い感情がないかを探る、七布施・三千(BNE000346)。 コレ、とアタリをつけて入った占いの館。にも関わらず、収穫らしい収穫もなく出てきたのだから、何らかの強い感情を抱いていても不思議はない。 それは……動揺? 困惑? それとも次に向けた更なる使命感? そんな想いを巡らせつつ、駅から真理のマンションへ。その間に感じられたのは、強い「不信感」と「憤り」の入り混じった複雑な感情。 「見つけました。たぶん……」 そう告げて仲間と共に走り出した三千の前に、カジュアルなジーンズとタンクトップ姿の女性が歩いているのが見えた。 (間違いない……) 聞いた風貌とも一致することを確かめながら、彼女の許に近付く面々。 そして『赤光の暴風』楠神 風斗(BNE001434)が最初に切り出した。 「白瀬真理さん、だな? オレ達はアークのリベリスタだ」 身分証を示す風斗。リベリスタならばそれで十分に伝わるだろう、と。 「このまま往けば、もうすぐデュラハンが3体ほど出現します。その意味は……分かりますよね?」 三千が告げる。 「やっぱり……Wheel of Fortune?」 「100%確実とは言いませんけれど……」 「だから、キミに死なれちゃ困るんだよね。それで、アタシたちが護りにきたって訳……」 『特異点』アイシア・レヴィナス(BNE002307)が頷き、『ガンスリンガー』望月 嵐子(BNE002377)が言葉を継いだ。 「とにかく、あまり時間はありません。タイミングは指示しますので、そこの大きな人から離れないでください」 と、三千が『百獣百魔の王』降魔 刃紅郎(BNE002093)を指し、真理に従うようにと促す。 「あんたも真実を知りたいんだろう? 俺たちも同じ。なら協力してくれないか? 身の安全は絶対に保障する」 「それは……取引? 私の情報と、あなた方の戦力の?」 少しだけ楽しそうな表情を浮かべ、真理が尋ねる。 「それが望みならば、な。かの鎧との戦、懐かしい……という程には昔の事ではないしな」 「えっ!! それじゃ4か月前の事件。あれを未遂にしたのは、あなた達なの!? アークの手によると知ってはいたけど……」 「戦いに決着はつけど、その謎に決着はつかず、と言ったところだな」 驚きと共に羨望を込めた目で見上げた真理に、刃紅郎は、感心するような事は何もないと、真面目な顔で応えた。 「そうね。あの事件からしばらくたったけど、彼がどこから来るのかは謎のままだったしね。しっかり解決していかなくちゃ。だから白瀬さん、ボク達に守らせて!」 間宵火・香雅李(BNE002096)は、奥に炎が燃え上がる胸の窓に触れながら続けた。 「わかったわ。でも、取引の条件にもう1つだけ加えていい? 今後は解決まで私からも情報を提供する。だから……代わりに4か月前の件について、じっくり話を聞かせて欲しいの」 「構いませんわ。デュラハンさんと言えば死の告知者として有名ですけれど、伝説通りとはちょっと違うようですし、何か裏があると思いますもの。それなら協力者は多いに越したことはありませんし。何はともあれ、予定外の告知者さんにはお帰り願いますわー」 アイシアが即答。過日の件に関しては当事者ではないものの、先の2人をチラ見し、問題ないだろうとの判断だった。 「嵐子、こう見えても推理ADVはよくやるんだよね。さくっとACTパート終わらせて、ADVパートに移行しないと」 「一度倒した相手に不覚を取ることもあるまいが……鎧は三領、侮るなかれだな」 愛銃Tempestを弄びつつ、交渉成立に安堵する嵐子、そして、かの騎士の留め金を確かめてから敵の動きをイメージする刃紅郎。 戦いの時はもう、すぐそこまで迫っていた。 ●首のない騎士、再び 合わせて9人の大所帯となった一行は、変わらずマンションに向けて歩いてゆく。時間はもう、23:45。深夜というのもあるが、大きなマンションの割に他人の姿はまったくない。 (来る……か……) 構えていれば、挟撃もどうということはない。『機鋼剣士』神嗚・九狼(BNE002667)が気配を察して幻想纏いに手を掛けたその瞬間、前方に2つの『影』が揺らめいた。 「美楼は俺と共に来い」 その手にいつしか剣を取り、走り出す九狼。『迂闊な特攻拳士』李 美楼(nBNE000011)もまた、アイヤー! といつものように一声あげて追いかける。 その頃には前方の影が、かの首のない騎士の姿を為していた。 「マジで顔ねーんだな……」 「噂に聞こえし、李美楼か。その手並み、拝見といこう」 俊介と刃紅郎の間から、真理がじりっと後ずさる。記事を書くのと、現実に目の当たりにするのでは恐怖は段違い。勿論、リベリスタとてそれは同じ。 「待って! 今孤立するのは危険です」 三千が声を掛けた。すると同時に、後方でも闇の中に『影』が揺らめき、瞬く間に騎士を模った。 「ほら。伝承通りでしたら、ただ逃げるだけでは逃げ切れませんわ。わたしたちが護りますので、離れないで欲しいのですわ~」 アイシアが、自身の背よりも大きなデスサイズを構え、新たな騎士の方へ向き直ると、風斗が赤いラインの入った白銀の剣を手に、一息に打って出る。 「敵すべての出現を確認! 予定通り戦闘を開始する!!」 その一方で、後ずさろうとしていた腕をつかみ、止めたのは俊介。 「あんたは俺らが守ってやんよ、お姫様」 掴んだその手から溢れ出した光が、真理の全身を包み鎧と化した。 そんな中、先制の一撃は嵐子が放った極めて精緻な銃弾。 「防御が硬いと言っても、所詮甲冑によるものだよね?」と。 しかし、騎士の動きに澱みは生じない。 前後3体がほぼ同時に大剣を振るう。激しい剣圧が衝撃となって飛ぶと、初動に注視しながら走っていた九狼だけは紙一重で躱す。が、美楼の方はまともに喰らい、服が大きく裂け、夥しい血がこぼれ落ちた。そして更には麻痺までも。 (こればかりは避ける他に無いか……) 九狼は、如何ばかりか気に掛けども手を休める訳にはいかないと、敵の前へ。 その逆位置に居た1体の放った衝撃波は、アイシアでも風斗でもなく2人の間を抜け一直線に真理へ。 だが、狙われた彼女を庇うように刃紅郎が立ち塞がり、身を以て衝撃波を防ぐ。 「きゃっ!」 「貴様には聞かねばならぬことが有るのでな……死にたくなければ我の後ろに隠れていろ。大人しくしていれば、お前の追う物の手掛かりをくれてやる」 守るべきものの為ならば、流れ落ちる血など物の数ではなかった。 「後ろにいる女の子を狙うなんて、割と姑息な騎士だよね?」 香雅李は敢えて挑発するように告げながら、4つの術式を瞬時に組み上げ、多数の光を一度に放つ。 次いで敵の眼前に届いた風斗は、挑発気味に激しい闘気を立ち上らせた。 「狙うんなら、このオレを狙え!」 「でも、その前にお帰り願うかもですわー」 同じく敵の元にたどり着いたアイシアが、台詞を継ぎながら大鎌を振るう。それは首の代わりに胴体を薙ぐ一閃――刃の後を光の軌跡が追いかける。 「どーやら、こっちはOKそうだな。となると、あっちのお姫様も心配だ! ってーことで、プレゼント!!」 戦況を鑑みた俊介が、美楼に手を差し伸べる。すると、真理に授けたものと同じ類の光がその身体を包み込む。それと共に美楼の身体を縛る何かが、音もなく消え去っていった。 「助かったアル!」 礼代わりに片手を挙げて再び走る美楼を視界に収めつつ、一足先に接敵を果たした九狼はスピードを最大限に活かし、首なし騎士の大剣を躱しながら、その体側に剣を叩きつけた。 「切創は防げても、打撃の衝撃は防げまい」 同じく、美楼の無事を確かめた三千が、刃紅郎の傷を確かめる。 「王様は……まだ大丈夫だよね」 「うむ。この程度ならばな」 その返答から大丈夫と判断し、自らも攻撃に移ることにした三千はさっそく前方に手を翳し、内なる魔力を凝縮した矢を放った。 次いで香雅李と嵐子。 「そろそろ一体くらいはケリをつけないとね……」 「そだね。その意見にはアタシも賛成!」 言いながら紡ぐ『魔曲・四重奏』。四色の光が弧を描きながら甲冑に吸い込まれるや、騎士の身体を毒に侵し、ツキを奪い、それでいて身じろぎ1つすらも赦さない。 そして動きを封じられた騎士が抱えたままの首を、精密な射撃で狙い撃つ嵐子。不死なる騎士からは血は流れずとも、その無骨な身体を揺るがせるには十分だった。 (やっぱり……血は出ないんだね?) 「だが十分に効いている。一気に畳み掛けてやるさ!」 風斗の剣戟。その刀身を彩る赤が、燃え盛る炎のように燦然と輝きを放つ。甲冑に初太刀を弾かれようと構わず、二撃、三撃と立て続けに狙い、ついに鋼鉄の甲冑をも貫く。 「いいですわ。後はこれで……お終いですわ~」 両手で天高く掲げたデスサイズ。アイシアはその巨大な刃を一気に振り下ろし、甲冑ごと真っ二つに切り裂いていた。 ●騎士は退かぬ その間に、全身のギアをさらに一段上げるように、剣を叩き込む九狼。 「打ち込みが装甲の強度を上回っていれば、正面からでも砕くことは出来る!」 重さに勝る大剣を速さと手数で押し下げ、その勢いのまま騎士を退がらせる。しかし敵は大きく退がると共に大剣を一気に斬り上げた。 疾風の如き衝撃が空を切り裂く。そしてそれは、躱すには少し近過ぎた。 「くっ……」 片膝をつく九狼。 そしてもう1体までもが、トドメとばかりに九狼を狙い大剣を振り上げる。 「危ないアル!」 その間に飛び込んだ美楼。 「硬い相手だから、あるなら土砕掌を!」 「わかったアルよ」 香雅李の声に応じ、掌底を叩き込む美楼。その掌から甲冑の内部に振動を伴う衝撃が迸る。 「ふっ……美事なり」 刃紅郎の称賛が響くも、騎士はそれだけで倒せる相手ではなかった。 敵は美楼の頭上で大剣を持ち替えると、そのまま彼女の背に突き降ろす。真っ赤な血が派手に飛沫をあげた。 「美楼!」 傍で九狼の呼ぶ声が聞こえる。だが、彼とて身体は自由になっていない筈……。 「ワタシ、失敗じったアル、か……」 「斃れてんじゃねぇよ!」 「そうです。まだ力を。意識をしっかり保ってください!」 檄を飛ばした俊介が福音を紡いで傷を癒し、三千は神の光を以て全身の麻痺を解く。 仲間の声に応えるように、美楼が再び立ち上がる。 が、覚束ないその足取りを見ていられず、刃紅郎が前に出る。 「俊介、後は貴様に任せる……たかだか二領だ、守り切れぬとは言わせん」 「……当然。彼女は何があっても俺が守る。お姫様を守る騎士のごとく……ッ!」 「……いざ、往くぞ!」 それに従うように、最初の1体を片付けたアイシアと風斗も踵を返した。 そして再び、香雅李の四重奏。さらに嵐子も直観で弱っている方を見抜き、九狼が引き受けていた側に銃撃を集中させる。 「美楼さんは下がって! 今は、アイツを倒すより白瀬さんを守るのが大切だから」 再び香雅李の指示を受け、美楼が下がる。代わって、九狼が立ち上がりざまに剣を突き上げた。その刃先は大剣を持つ側の脇、甲冑の継ぎ目を正確に貫いた。 その一撃に、大剣を取り落としそうになる騎士。だが、もう1体が背を狙う。 ガシッ! 金属の激しくぶつかり合う音。音の重さは互いの力ゆえ……か。 「よくここまで抑えてくれたな……」 騎士の大剣を受け止めたのは刃紅郎の獅子王『煌』。その刃の輝きが紫水晶に映り、その名の通り煌めく。 鬩ぎあう力と力。そこに、後方から癒しの微風が吹き抜けた。 「王様……念のためです」 代わって真理の警護に回った三千だった。 正面からの力比べはほぼ拮抗。だが、そのバランスを崩したのは背後から刃を突き立てた風斗だった。 「邪魔して悪いが、な……」 さらに、返事を待つことなく撃ちこむ嵐子の銃撃。無数の蜂が襲い掛かるようなTempestの一斉射撃。その様はまさに名の通りの暴風だった。 「アタシも。我慢は苦手なんだよね!?」 「構わん。元々、女1人を三領掛かりで襲おうとしていた輩だ……」 応えながら、持てる力の全てを『煌』に注ぎ、一息に弾き飛ばす刃紅郎。名も無き甲冑の騎士は、そのまま崩れ落ちていった。 「残るは1体……」 「あなただけ、ですわ」 立ち上がり、再び対峙した九狼と、並んでデスサイズを構えるアイシア。もう、騎士に勝ち目などないことは誰の目にも明らかだった。 ――その時。 再び、騎士が現れた時と同じように闇が揺らめく。よく見ればその形は車輪のような丸い形で。 しかし、今度は何かが現れるという訳ではない。まるで騎士に退却を促すゲートのように、ただ其処に揺らめいていた。 「逃がさないよ!」 三千が洋酒のビンを投げつける。甲冑にあたって割れ、強烈な臭気を放つ。 「どこへ逃げようと、決して逃がしはせんぞ……」 ニヤッと口角を吊り上げる刃紅郎。 ところが、騎士はその身を翻すと、逃げるどころか揺らめく闇を大剣で一閃! 騎士は退かぬとばかりに、再びリベリスタたちに対峙する。その身は既に死に体だったけれど……。 その覚悟や良し! 騎士の放つ真空の斬撃を喰らうも、癒し手が2人いる今、既に敵たり得はしない。 重なるリベリスタたちの攻撃に、大剣を地に突き立て辛うじて立つ騎士。 その最期を飾るは、俊介の魔力を込めた一矢。それが胸の下辺りを貫くと共に、騎士は仰向けに斃れ伏したのだった……。 ●真相への道標 「さてと……」 騎士が斃れたのを確かめると、即座に笑顔を作り、真理に向き直る俊介。 「なぁ姉ちゃん、Wheel of Fortuneには何かあるん? 姉ちゃんほどの探究心のある記者サンなら真相の手前まで来てるんじゃない?」 だが、真理は肩を竦めて首を振る。 「残念だけど、正直何も……って感じ。せっかく訪ねた占いも何てこともないうちに終わっちゃったし……」 「そうそう。占いと言えば、これまでの被害者は皆同じ駅を利用してた、って話だけど……それが、Wheel of Fortune?」 香雅李が尋ねる。すると真理は、そういうことになるわね……と返した。 「ところで、おおよそ1時間近く店内にいたようだが、体感時間と一致するか?」 続けて風斗が尋ねた。その中で何があったのか? あるいは最近何かの勧誘みたいなものを受けたのか? 「時間は正直分からないわ。薄暗い中で、とてもゆったりした会話だったし。内容は、私の家系のこととか、生まれた場所とかを聞かれたくらいで、占い結果も近いうちに転機が訪れるかも、ってことくらい!? 3人のことも尋ねたけど、客の1人1人なんて覚えてないって……」 「いずれにせよ、状況を考えるとその占い屋さんが怪しいのはほぼ確実だと思いますわ。ですが、いったい何がキーになっているのでしょう?」 アイシアが首を傾げる。 「白瀬が襲われたってことは、他の被害者との共通点があるはず!」 「どうでしょう? 単に真相に近付いたからかも知れませんわ」 「そうかなぁ? 個人的には血液型とか怪しいんだよね。筮竹占いにわざわざ血液型占い組み込んでるしさ……」 アイシアと2人で話し込む嵐子。 「ええ、わたしもそれを考えていたところですわ。今まで狙われた人たち、血液型が同じとかは無いでしょうか?」 そこまで話していたところで、真理が口を挟んだ。 「残念だけど、血液型には特に関連ないみたい。3人ともバラバラだったし……」 「そうなんだ。それじゃ、占い師がどんな奴だったかを知りたいな」 がっかりした様子もなく、嵐子が次を尋ねた。すっかりADVパートに入ったらしい。 「日本語は流暢だったけど、たぶん日本人じゃないと思う。透けるような白い肌の女性だったわ。ヴェールを付けていたし、それ以上は何とも言えないけど」 「その占い師さんの何かと、デュラハンである理由が関係していると思うのですわー」 「占い師と騎士……か。さて……」 騎士の留め金を弄ぶ刃紅郎。そして、真理にこれを見て何か分かるか、と。 「どうかな? でも、少し調べてみようかしら。私も1つ借りてくことにするわ」 と、先に崩れ落ちた騎士の残骸から留め金を拾い上げる真理。 「さて……この騒動、果たして今後どう転ぶかな……」 これは小さな国の小さな事件か、それとも何か大きな事件の幕開けなのだろうか。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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