● ショコラ・ココアの指先がボールの中に入ったチョコレートをゴムベラで優しく撫でていた。 とろりとろりと香り立つ甘い甘いスイートなガナッシュ。 その仕草を海色の瞳が逃さぬ様に負っている。 「ふふ、そんなに見つめられると照れてしまうわ」 嫋やかな声色は彼女の名前の通り、甘く心に広がっていくようだ。 「ごめんなさい。貴女がとても綺麗で……あと、チョコが美味しそうだったんです」 「あら、嬉しい事を言ってくれるのね。でも、後半の方が本音かしら?」 くすくすと微笑んだショコラ・ココアの顔はハートの形をしたチョコレートだった。 「チョコはね気持ちを込めてゆっくりと優しく混ぜると良いのよ」 「ゆっくり……」 いつの間にか目の前に現れたボールとゴムベラ。それを手に取り優しく混ぜる。 「プレゼントしたい人の事を想って、ゆっくり、ゆっくり。……そうよ。その調子。良いじゃない」 次は型に流し込んでトントンと空気を抜くのだ。 その後は冷蔵庫でゆっくり冷えるのを待つ。 「そういえば、ショコラ・ココアさんってお兄さんか弟さんが居ませんか?」 「あら、居るわよ。皆、美味しそうだったって顔してるわね?」 「あ、えっと……」 海の幸に秋の実り、聖夜の七面鳥。照れた様に微笑む少女のお腹がくるると鳴った。 いい感じになったチョコを冷蔵庫から取り出す。 可愛らしいペールホワイトのレースが施された箱にチョコを詰め込み、心を込めてリボンを掛ける。 喜んでくれるだろうかと不安にもなるけれど。 きっと、大丈夫。 「想いの詰まったプレゼントは、お互いが幸せになる魔法の呪文なのよ。さあ、いってらしゃい」 ショコラ・ココアに背中を押されて駆け出した少女。 ――渡したい人の元へ。胸には一生懸命作ったチョコを抱えて、ショコラ色の地を蹴った。 ● 「一緒にデザートビュッフェに行きませんか?」 海色の瞳で微笑む『碧色の便り』海音寺 なぎさ (nBNE000244)はリベリスタに一枚のチラシを差し出した。見れば郊外のカフェテリアを貸しきって行われるバレンタインフェアの案内である。 まだ雪の残っている小道を歩いて、中に入れば温かな暖炉が設置された広いログハウス。 ナチュラルアンティークなテーブルと椅子は居心地の良さを感じる。 窓の一部分はステンドグラスになっており、陽光を優しい色彩へと変えるのだ。 ゆったりとした音楽が流れる店内で目を引くのは、宝石の如く輝くデザート達。 クリーム色のプリンに生クリームと苺のケーキ、ピンクとグリーンのマカロンにオレンジ色のゼリー、プルーンの添えられたヨーグルト。それに、チョコレートファウンテン。 乙女の花園といった感じのラインナップだが。 「甘いものだけじゃないんですよ」 シェフ手作りのパスタや軽食が振るわまれるというのだ。これなら、甘いものが苦手な人でも存分に楽しめるだろう。 二人だけの時間を過ごしたいならば併設された小さなゲストルームや、庭園が見えるウッドデッキに置かれたソファで寛ぐのも良いかもしれない。日中であれば温かな日差しがあるので二人でブランケットにでも包まれば温かいに違いない。 「よかったら、来て下さいね」 イングリッシュフローライトの髪を揺らして笑顔で去っていくフォーチュナ。 暖かな陽光が差すカフェテリアでバレンタインのチョコを渡すのも良いのではないだろうか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:もみじ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2015年02月26日(木)22:18 |
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■メイン参加者 24人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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