●透け透けカメラ ――8月も半ば。この時期はと言えば、学生たちの多くが『夏休み』であるのは勿論の事、社会人であっても1週間程度の休みが貰えている人が多いと言う。 そんな中だから、海外に出かける人たちも居れば、帰省ラッシュと呼ばれる渋滞の中を、実家やレジャーに出かける人たちも居る。もちろん、その真逆で暑さを凌ぐためか、家に籠って1日中エアコンの中で暮らしている人も。 だが、これはそのどれにも当てはまらない、年頃の女の子たちの話。 暑さも何のその、休みなんて何処へやら……と、日々努力を重ねた娘たちの物語である。 ~AKC49結成メンバー公開オーディション~ プロデューサーの阿木本(あきもと)氏、そして7月期オーディション通過者も!? 一次の書類選考を通った約40組の面々が、二次選考で自身をアピール!! ★ X月XX日(日)10:00~ 会場 XXXXXホールB 「やった、マジだよ。本当に透け透けだぜ。通販だし、どうせパチもんかと思ってたけど、あるもんだなぁ……掘り出し物って」 「なぁ、兄ちゃん。それ、なんて店? 俺もお金貯めて買おっかなー?」 「えっと……幸福配達社ってトコだ。聞いたことねぇけどな。まぁ何にしても、さっそくコレで未来のAKCたちの神秘をGETだぜ!!」 「なぁ、兄ちゃん。そのカメラ、おいらにも貸してくれねー? おいら、先月のオーディションで合格したXXちゃん推しなんだ。もしゲストがXXちゃんだったら、俺の一生の宝物にするんだ」 「何だ、お前XX推しかよ。俺XX推しだから、しょうがねェなぁ、大事に使えよ!」 「さんきゅー♪ やったね。これでXXちゃんのヒミツは俺だけの宝物。全身くまなく、綺麗に撮ってあげるからね。内緒のほくろの位置までわかるくらいに、さ♪」 「そうだな。俺たちの得たこの力と、この『透け透けカメラ』さえあれば……これまで縁のなかった女体の神秘を、ナマで拝み放題だぜ」 写真はナマじゃないけれど。 40代と30代、年齢=彼女いない歴の2人は、手に入れたアーティファクトの使い道に妄想を膨らませていた。 ●8月のAKC49 「明石発信の『AKC49』、またこの8月にも公開オーディションがあるみたいですよ」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が、集まったリベリスタたちに告げた。 「そうらしいね。私たちリベリスタからも合格者が出たみたいだし……こういうのを何て言うの? 濡れ手で粟?」 どうせなら自分も……と考えたリベリスタは他にもいるに違いない。 が、それはさておき、とりあえずは本業の話に戻そう。 「と言うわけでチャンス再びという訳ではありませんが――AKC49の公開オーディション、その警備のアルバイトの中にエリューション化した兄弟が紛れ込んでいるようです。したがって彼らの処分およびアーティファクト『透け透けカメラ』の速やかな回収を要請します」 「透け透けカメラ?」 「はい。透視能力のように、衣類を透過した姿が映る脅威のカメラです。Webの広告では『男の夢』などと謳われているようです」 私には理解し難いですが……と語る和泉。 「という訳で彼ら2人は、当然いかがわしい写真が目的のようですし、これからオーディションを受ける一般の方々はもちろんの事、前回合格者の方にとっては尚更、そんなものが存在しては迷惑でしょう」 そして更に、作戦遂行の一助として応募要項の範囲にある12歳~28歳までの女性については、アークの方で一次選考通過として書類を紛れさせることも可能と告げる。 「補足事項ですが、紛れた2名は『敦』と『優』。フリーターの兄弟。兄の敦はナイトクリークに似た力を行使し、弟の優はアマレスと柔道の経験者でタックルと寝技に秀でています」 とは言え、単純に戦う分には与しやすい部類だろう。問題はその手にあるアーティファクト。これは女性にとって辱めとの戦い、と言えるのだから。 「最悪の場合、倒せないまでもアーティファクトさえ回収できれば、混乱は避けられる筈。よろしくお願いします」 和泉は、オペレーターらしい作り笑いを浮かべるのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:斉藤七海 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月31日(水)22:09 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●誘う人 誘われるモノ 「エントリーには年齢制限があってですね……お2人は何歳ですか?」 『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)と『突撃だぜ子ちゃん』ラヴィアン・リファール(BNE002787)の2人を前に、天原和泉は困った表情を見せた。 「えっと……ルメ、10歳……」 「書類は12歳にして提出だぜ。2歳差ぐらい、バレないバレない。これも仕事のためだから上手くやってくれよな」 申し訳なさそうに俯いてみせるルーメリアと、悪びれることなく無垢な笑顔で偽装を唆すラヴィアン。 「お願いします、年齢欄を12歳でサバよんでください……!」 次いでルーメリアもキッパリと言う。しかも何故かちょっとした自信を覗かせながら。 「たぶん、大丈夫……だってルメ、大人っぽいし……」 もしかして……高校の制服を着ているから? 「……あとで、どうなっても知りませんよ」 そんな訳で、一次審査の通過者として登録した8人は、揚々と会場に向かっていた。 「アイドル……いいですね。いいですよ。わくわくしてきますね!」 その最たる者が、『少女J』番町・J・ゑる夢(BNE001923)。 「とにかく、それもドラマチックに乗り切りますよ!」と張り切って。 でも、その前に邪魔な兄弟にはさっさと消えてもらわないといけませんね、と。 そんな物騒な台詞にも関わらず、大きく頷いたのは『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)。 「だいたい女子の裸を撮影するカメラなど、なんともけしからんのだ。そういうバカは滅殺するしかない」 「まったくだ。盗撮はいかん! 撮るなら許可を得てからだ!」 えっ、頼めば許可を!? 「無論、許可なんてしないけどな!」 兄弟の代わりに尋ねた天の声までも両断する『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)。 そして、その様子に思わず苦笑したのは、『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)だった。 「何にしても、30とか40にもなったなら、さすがに落ち着いてほしい。その意味でも、ま、おしおきは必要でしょ」 そして改めて、『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)と向き合うと、事件の裏側について語り始めた。 「幸福配達社、か……。知り合いは『幸福の配達人』っていうのに遭遇したみたいだし。それもAKC絡み。これは偶然?」 「さぁ? 今のところは名前が似てるってだけで、何も確証めいたものはないわ。でも……AKC周辺で事件が多発するのは、誰かがそれを嗾けている所為?」 いったい何の為に? 「ちなみに、幸福配達社ってのはネット通販の社名ね。正直、実体があるのかも怪しいわ。所在も代表も一切載ってないし……」 なんてことを話しながらも会場に着くと、リベリスタたちは倉庫へと向かう5人と、兄弟の捜索に向かう3人に別れた。 ――やがて。 「おぉ、居った居った」 さっそく標的の2人を見つけたのは、『イエローシグナル』依代 椿(BNE000728)。 「……ど、どうかしたのかな?」 上ずった声で応じる兄の敦。 「に、兄ちゃん。女の子から声かけられたよ」 弟、優の声は小さいつもりらしいが、よく聞こえる。 「バカ。俺に任せとけ! で、何か?」 苦笑を堪えつつ、ルーメリアとゑる夢は演技を続ける。 「倉庫にいっぱい荷物があるの、警備員さん助けて!」 「えぇ。重くて私たちだけじゃ……」 たくましい男の人が必要なの、と、手を合わせ上目遣いに彼らを見つめる2人。 「金髪だぞ、金髪……」 「そうだね、兄ちゃん。しかも、たくましいだって」 「惚れられちまうかもな」 兄弟の戯言に、舌打ちしたくなってくる。が、そこで再び椿が前に出た。 「二人の言うように、ちょっと問題があってやね。とにかく来てや!」 こんな所でボヤボヤしてはいられないと、ぎゅっと2人の手を取る椿。スゴイ勇気。 その瞬間、変態兄弟の体温は急上昇、吐息も妙に荒くなる。敢えて触れるまでもないが、きっと他も反応してるに違いない。 「に、兄ちゃん。俺、もう……」 「待て! もう少し……もう少しだ」 かくして舞台は、倉庫へと移る。 ●あんな事 こんな事 ――5人が待つ倉庫。 「……こっちこっち、こっちの方やよ!」 入口の方から椿の声が響く。 続くルーメリアとゑる夢の次に、警備員の格好に身を包んだ変態兄弟が姿を見せた。 「に、兄ちゃん。もう我慢できねぇ……」 「待て! 今、アレを!!」 優が辛抱堪らず飛び掛かる。同時に敦はポケットから例のアーティファクトを取り出した。 が、そのシャッターが切られるより早く、凛とした声が響いた。 「そこまでよ! その手の破界器、渡して貰いましょうか。まだ今なら、穏便に済ませてあげるけど?」 風格の伴う声に驚きながらも、女の子の声に反応し、敦が振り向きざまにシャッターを切る。 当然ながら、恵梨香の全身がフレームに収まった。 「くっ! どうやら大人しく差し出す気はないようね……」 ささやかな動揺。そしてこめかみには嫌悪の情。 「違っ。指先が勝手に……。けど、これはこれで……」 あられもない姿を画面で確かめながら、ニヤッとする敦。その一方で、本来撮るはずの優の方は、躱そうとしたゑる夢の浴衣を掴み、ぐいっ。肩は肌蹴、あわや胸の先までも……。 「危ないですねっ」 ゑる夢は咄嗟に式符を手に突き出しガード。符が鴉となりて顔面を襲う。 「そんな強引じゃなぁ。女性に優しくできないとモテないぜ?」 同時に明奈が飛び込んで剣を振り下ろす。優は手首の先に別れを告げる所だったが寸前で回避。 「危ねぇじゃねーか。斬れたらどうする!」 「関係ないの。えっちな目をした女の敵は成敗、なの!」 透視使い方が間違ってる、アイスの当たり棒を探す方が何倍も……と信じて疑わないルーメリア。えぇ、10歳ですから。 「まったくだ。女子の秘密を暴こうなどおこがましいにも程がある。だからお前たちはいつまでもニートなのだ!」 断罪の如く告げる雷音。そのままふわっと浮かび、頭上で守護結界の印。 「うちも合わせとこか」 シンクロでもするかのように、椿が雷音の印をなぞる。 「ちっ、次から次へと……貴様ら、リベリスタか!!」 今頃気付くか! いや、それだけえっちパワーに傾倒していたが故か……。 「兄ちゃん。今度はこっちの娘をヤっちゃうよ!」 「OK、ばっちこーい! 明奈ちゃんが受け止めてやんよ!」 両手を広げ、構える明奈。写すなら写せ、と。撮られたところで、後でデータさえ消しゃ何てこともない。 無論、そんな狙いとは露知らず、優が心置きなくタックル。勢いのまま明奈を組み敷くと、続いて敦のシャッター音。同時に麻痺させられた明奈は、哀れ連続撮影の餌食。 もちろん制服の上なのだが、カメラの画面は……推して知るべし。胸の辺りに優の顔もあり、他に解釈のしようがない構図。 「くっ……」 「それ以上は撮らせねー!」 ラヴィアンが属性の異なる4つの術式を並行して組み上げる。迸った四色の魔光が敦を捉えるが、惜しくも寸でのところで半身ほど躱され、一部を灼くに過ぎなかった。 「まだまだ!」 続く恵梨香は、炎を一旦収め、魔力を矢に込めて解き放つ。 「ぐはっ! ……ならば纏めて全員の恥ずかしい写真をネットにバラ撒いてやる!!」 痛みで自棄を起こしたのか、敦はパノラマでも撮るかのようにぐるっと回りながらシャッターを切る。胸に目を奪われて当然のゑる夢やレイチェルはもちろんの事、雷音やルーメリア、ラヴィアンも。『ひんにう』や『ロリロリ』もなんのそのという感じ。 「グレさんバリアー!」 ルーメリアがひんにう仲間の椿を盾に。当の椿は咄嗟のことで何も隠せやしない。 「ふんっ、やはり女子の価値は胸じゃない。それに……こっちの角度もマニアックだしな」 その様子と、さらに上方に浮いた雷音の全身を見比べる敦。確かに、下から見上げる格好など、まずない光景。 ――さすがの雷音も頬を真っ赤に染め、怒りの氷雨を降りしきらせた。 すべてを凍らせる雨。続いて陰陽・刀儀で浮かんだ剣をも利用し、ゑる夢が無数の刃で斬り付ける。 一連の攻撃で敦が怯む間に、レイチェルは全身から放つ神々しき光のオーラで、動けずにいた明奈を救い出す。 「未来のアイドルがこの程度でビビると思ったか! だが、今更カメラを差し出したって許さん。ぶっ飛ばす!」 「お、お前の肌はもう十分……今度はそっちのひんにう娘たちだ」 何故か先ほどの「バリアー」が、勝の煩悩を刺激したらしい。 「……あぁっ!!」 為すすべもなく組み敷かれる2人。辛うじて麻痺を免れ2人して身をよじって逃れようとする。 が、それを敦のカメラは見事に画像に残していた。 「アイドルが(~自主規制~)とはな……こりゃ、一生の宝物だなぁ、優」 「いやぁああー!? 壊す……絶対壊す、逃がさない……!」 ルーメリアは、一度は免れたと思っただけにショック。しかし、一層激しいダメージを受けたのは、ダブルですっごい絵を撮られた椿。 「殺す……心底恐怖するほど、生きてきたことを後悔するほど殺し尽くす……」 烈しい感情が次第に冷酷へと変わってゆく。そして沈黙と同時に印を切り、さっきまで抱きついていた優の動きを完全に呪縛してのけた。 そこで、ルーメリアとレイチェルの天使の息。微風が負傷を癒す。心の傷までは無理だけれど。 「こっからはずっと俺のターン!」 ラヴィアンの魔曲・四重奏。4つの術式が描かれ、優を苛む。不吉の中での毒に出血、そして麻痺。 続いて恵梨香が、翳した手から炎を放つ。その極炎が2人の変態を灼き尽くしたのだった。 「受けた辱めは倍返しよ」 倍返しどころじゃない気もするが。 とにかく、こうして『透け透けカメラ』の回収を終えた彼女たちは、迷うことなくメモリー削除のボタンを押し、本部に後始末の連絡を入れたのだった。 ●8月期オーディション そして無事に迎えた公開オーディション。 今回も1番、2番と順調に過ぎ、迎えたのは3番の雷音。 (うむ、こういうのは得意ではないが、歌をうたうのは好きなのだ) いつでも褒めてくれる養父の顔を思い出しながら、クールに歌い上げる。 「歌は好きだ。皆の前で歌い、喜んでもらえるのがうれしいのだ」と。 そして2人を挟んで6番は、ゑる夢。 軽く肌蹴た左前の浴衣で、自ら選曲した和風ロックに乗せながら、セクシーなダンス。 審査員の表情から好みを探り、ホッケーマスクの胸元や太股をアピール。ホラー系アイドルという新ジャンルを目指すとか。 そして1人を空けた8番は山根まどか。友人2人と共に、明るくキュートな歌声を響かせた。 「お疲れ様。知人が応援していたわ。お互い、結果につながると良いわね」 そんな彼女に舞台の袖で声を掛けたのは恵梨香。知人と言うのは別の機会でまどかと知り合った、とある青年のこと。名前は言わなかったが少しはピンと来たらしく、お互い頑張ろうねとまどかが笑顔を返した。 そして続く9番目。 「……高原恵梨香、マジックを披露するわ」 少々愛想には欠ける感もあったが、それでも司会を巻き込んでの透視マジックはなかなかの手並み。 さらに続く10番は……ルメ&ラヴィ。 持ち前の歌唱力とダンスで明るく元気なパフォーマンス。その笑顔は全く作ったものでない、本当の笑顔。自ら楽しむことが、観に来た客を楽しませることになるということが存分に分かっていたから。 「明石の星に、俺はなる!」 それからは数人ほど空いて15番目は、明奈の出番。制服姿で登場した彼女は、 「普通の女子高生、白石明奈です!」 と頭を下げると、そこから一転、某アクション映画のモノマネを披露。 スカートを閃かせつつ、ほあっちゃー! と跳び蹴り一発。アクション系アイドルの道はここから始まるんだぜ……と。 続く16番はつつがなく終了。そして、 「次は……17番、依代グレイプニルさーん」 (ふっ、わらわの魅力をもってすれば、斯様な選抜試験なぞ何の問題も……) 「って、なんでや!?」 妄想に浸っていたところで、いきなり我に返る椿。 「ちょ、うちの名前は椿や……って! ……ほんまにグレさんで書かれとるーっ!? 誰や! 勝手にうちの名前を……あの、眼鏡か!? あの眼鏡なんか!?」 誰もが近付き難いオーラ。が、そこへ勇気を出して司会者が声をかける。 依代さん、グレイプニルさん? 「え、いや、それはうちの名前やなくて……いや、うちであってうちで無いってゆーか、せやから……」 まったくもって説明し辛い話。 「あーっ、もう! 芸名や! うん、それはうちの芸名!! 問題あらへんやろ!?」 なんて。 そんな訳で、なかなか楽しい司会者との掛け合いだったけれど、それで持ち時間は終了したのだった。 そしてリベリスタたちの中のトリは――24番、レイチェル。 ♪好きだよ 柔らかいその言葉を口にしたい あたしの心にこっそり残った あなたの足あと この頃ずっと眺めてる 好きだよ 口移しでその気持ちを伝えたい あたしの目の奥しっかり残った あなたの笑顔 思い出すたび赤くなる 肩が触れるくらいの距離で ありきたりな言葉で 今日は伝えよう 素直な気持ち 好きだよ 「ありがとうございました♪」 こうして最後まで歌い終える。 それから先も、AKC49公開オーディションは最後の1組まで恙なく、演技を終了。 そして結果を待つまでの間、雷音は携帯を手に養父に向けてメールを打つ。 「オーディションを受けてきました、もしボクがアイドルになったら……一番目のファンになってくれますか?」 泣いても、笑っても。約2時間後には結果が発表されるのだった……。 ●結果発表、そして…… そしてついに審査結果発表の時。全員が再び舞台に上がると、審査員席の中央で阿木本氏がマイクを片手に立ち上がる。 「今回の合格者についても前回同様、研究生として劇場公演に加わって頂く予定です!」 彼の声に応じ、派手な歓声のあがる会場。まるで予定調和の如き盛り上がり。が、何より観客の多くは、自らが投票した娘がどうなったのか、それが気になっているに違いない。 ――それでは、合格者を発表します!! 2番 xxxx 6番 番町・J・ゑる夢:ホラー系アイドル。『エロかわ』ならぬ『エロこわ』というべきか、これも時代の先駆けと言えるかも知れません。 11番 xxxx 15番 白石明奈:舞台度胸のようなものを感じました。アクション系としての展開を期待しています。 19番 xxxx 20番 xxxx 24番 レイチェル・ウィン・スノウフィールド:何より歌唱センスに伸びしろを感じました。今後への期待を込めています。 33番 xxxx 「以上、今回の合格者は8名です。前回と合わせた18名については、劇場公演を前にイベントで皆様に紹介する場を、なども考えています。なお、今回はもう少し合格者を出す予定でしたが、数名ほど、辞退や書類の不備などにより見合わせざるを得なかった人がおりました。また、残念ながら届かなかった方についても、多くの娘たちに光るモノを感じたのは事実です。次回、更なる成長を楽しみにしています」 そんな辣腕プロデューサーの総評と共に、8月期のオーディションは幕を閉じた。 養父からの返信メールとその後の会話は雷音だけの胸に。 ――しかし。 帰還したリベリスタたちを待っていたのは、祝福でも慰めでもない、衝撃の事実。 「皆さん、たいへんです。回収して頂いたアーティファクトから、隠された新機能が見つかりました。あの兄弟も知らなかったのでしょう。それは……データ送信機能。どうやら皆さんの写真は、既に……ただいま追跡中ですが」 アイドルは勿論、女性としていろんな意味でピンチだった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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