●ありのまま、今あったことを話すぜ Eビースト退治に赴いたリベリスタチームだが、そこにいたのは既に付したエリューションと残念イケメンだった。 ●『時を止める微笑』フレデリク・ミュルヴィル 「始めまして、アークのレディ達。ボクの名前はフレデリク・ミュルヴィル。おおっと、言うまでもなかったかな。ボクの名前は極東まで響いているみたいだからね」 知らないよ、とレイピア持ったフランス人男子を見るリベリスタ。白いタキシードに赤い蝶ネクタイ。口にくわえた一輪の赤い薔薇。あと後ろで楽器を奏でたり花吹雪をばら撒く乙女達。 「おやおやそこにいるのはユーヌ殿。和風人形を思わせる小さな体に秘めた可能性は無限大。悪辣に見える言語は、むしろキミのボキャブラリーの深さを感じさせるよ。ボクもキミのような少女に支援されたいものだ」 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)を見ながらフレデリクが言う。両手を広げ、歓迎するように。 「このようなところでグランツェ家の息女に出会おうとは思いもしなかったよ。一度その剣を見て見たかったよ。戦場に咲く可憐な花、それが貴女だ。ボクのレイピアの隣にあって遜色ない腕前だと信じているよ」 次は『蜜蜂卿』メリッサ・グランツェ(BNE004834)に向けてである。欧州の出身ということもあり、メリッサの情報は耳に聞こえているようだ。 「異世界から来たリリス殿と会えるとはこれも幸運。ここではない世界からやってきてここではない術を使うと聞いているよ。それで居て和の文化に趣味を持つ好奇心。貴女の世界や日本文化について、じっくり話し合いたい」 『夜行灯篭』リリス・フィーロ(BNE004323)を見て言うフレデリク。フュリエやミステランという単語は知らないが、そういうアザーバイドがいることは知っているらしい。 「美しい金の狐。噂に違わぬ美しさですよ秋火殿。二の刃を持って舞うその姿は神話の如く。九人の戦女神をも霞ませる貴女の動き。伝聞ではなく直で拝見したくこのフレデリク馳せ参じた次第でございます」 恭しく『双刃飛閃』喜連川 秋火(BNE003597)の前で頭を垂れるフレデリク。礼をしながら隙のない構え。否、完璧な礼だからこそ隙がない。 「何故アークは斯様な乙女を戦場に出すのか! アークの活躍は世界に響いているのにそれだけが残念でならない! アリステア殿。貴女のような可憐な方は穢れた世界を見るべきではありません! 傷つくのは貴女の心なのですよ!」 『尽きせぬ祈り』アリステア・ショーゼット(BNE000313)を見て、額に手を当てて嘆くフレデリク。芝居かかった動きだ。 「――あ、君はエリューションの処理をよろしく」 『不滅の剣』楠神 風斗(BNE001434)を見て、あっさり告げるフレデリク。お帰りはあちらですとばかりに手を振った。 「「……はぁ」」 対するリベリスタの返事はこの一言に尽きた。いや、どーしろと。 突如現れた残念紳士は、やはり変わらぬ強引さで話を進めていった。 「うん、決めた。君達をボクのハーレムに加えてあげよう。流石にずっとというわけには行かないので、ボクが日本にいる間だけの期間だけどね。 嗚呼、残念がることはない! 君達がアークを脱退してくれるのなら僕は君達を受け入れよう! ボクの懐は広いんだ!」 いや話聞けよ。って言うかお断りだ。そう告げると分かっているさ、とばかりにフレデリクは手でリベリスタを制する。 「君達にも組織があり、簡単にハーレム入りを受諾できない事実は理解しているよ、レディ。だからここは『ボクが決闘をして負けたらハーレム入り』という決闘をしようじゃないか。これなら体裁は整う。わざと負けてくれればいい。 嗚呼、なんと優しいボク! 組織にがんじがらめの乙女達の為に合えて悪人となるなんて!」 「「「「流石です! フレデリク様!」」」」 ――気がつくと、フレデリクの部下に囲まれていた。因みに全員女性。 「彼女たちはボクの嫁だ」 部下じゃなくハーレム要員だった。 「安心したまえ、全員で戦うような無粋な真似はしない。そちらの人数に合わせさせてもらうよ。ボクを含めて四人追加。これで五人だね」 こちら六人なんですが。そんな疑問は次のフレデリクの台詞で解消された。 「ところで、君はもう帰っていいんだが……ああ、ボクの剣を見たいんだね。それなら仕方ない」 呆然と展開を見ている風斗にフレデリクが告げる。男は眼中にない様です。 アホな展開だが、逃げ場無しの状況で目の前にはやる気満々の革醒者。しかも相手の強さは油断ならないレベルだ。しかも負ければ身柄を拘束されると来た。 メンドクサイなぁ、と思いながらリベリスタたちは破界器を構えるのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ リクエストシナリオ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年12月30日(火)22:26 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 6人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● どうしてこうなった。 『不滅の剣』楠神 風斗(BNE001434)はそう問わずにいられなかった。ああ、確かにフレデリクとか言う残念イケメンが現れて、なんだかんだあって挑戦を受けたまではいい。いや、全く良くないけど、それは今横においておこう。 エリューションを倒すために女装をしていたのは確かだ。女物の服にウィッグ。それだけでも十分恥ずかしいのに。 「ひとが頑張って風斗お兄ちゃんに可愛い服着せたり、お化粧したのに。簡単に見破るのなし!」 そうだ。事の起こりは『尽きせぬ祈り』アリステア・ショーゼット(BNE000313)のこの一言だった。フレデリクがあっさり風斗の女装を見破り、怒りの表情を示したことが始まりだった。いやだってばれるだろ、これ。 「事情は分からないが君は女性の服にあこがれるんだね。いいだろう、メイク部隊よ、お手伝いしてあげたまえ」 そしてフレデリクが指を鳴らしてハーレムの女性たちにコーディネイトを求めた。世界各国の女性たちに囲まれ、服を脱がされて体を触られて……。 「冬にあわせて厚手の帽子とマフラー。これにより頭と口元を隠して男性らしい特徴を隠す。白のコートとセーターで体格を隠しつつ、短いスカートで女性らしさをアピール。ブーツと靴下で詳細を隠す。小物としてバックを持たせればとりあえずはOKかな」 そして深々と帽子を被ったコートを着た風斗(女装)がいたという。 「こういう場合は、どういう顔をすればいいのでしょうね」 あまりの女装の出来に、どう言葉を返せばいいか分からなくなった『蜜蜂卿』メリッサ・グランツェ(BNE004834)であった。街中ですれ違えば普通に女性と思ってしまいほどである。恐るべしハーレム軍団。 「見事なものだな。主の頭は恋熱で沸騰しているがようだが」 風斗に施された女装スキルを見ながら『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)が頷いた。恋は盲目とは言うが、それだけのスキルを持ちながらこんな男に従う理由が分からない。ため息と共に肩をすくめるユーヌ。 「なんだろうね。褒められるのは吝かじゃないけど、こう言う手合は御免だ」 フレデリクの奇行に『双刃飛閃』喜連川 秋火(BNE003597)は呆れたように手を振った。せめてもう少し渋めの相手ならと思わなくもない秋火だが、四十の男に同じように言い寄られてもお断りだ。 「ん~、終わったぁ……?」 風斗が女装している(させられている?)間に寝入っていた『夜行灯篭』リリス・フィーロ(BNE004323)。目を覚まして伸びをすれば、風斗は着たときよりも女性っぽくなっていた。その格好に笑みを浮かべるリリス。 「風斗お兄ちゃん、こっち向いてー」 スマフォで写真を撮るアリステア。もうどうにでもなれとポーズを取る風斗(女装)。 「君達も僕のハーレムに入れば、いろんな服が着れるよ」 「「「「「おことわりです」」」」」 五人の女性アークリベリスタは、フレデリクの誘いを丁重に、だけど即座にお断りした。 ● そんなこんなで戦闘である。なんというかモチベーションがあがらないが、フレデリクの嫁扱いは御免なのでアークリベリスタ女性陣はガチで挑んでいた。 「さぁ、おとなしくやられてくれたまえレディ。ボクの剣なら夢見るように健やかに眠ることが出来るさ」 最初に動いたのはそのフレデリクだが、まぁどうでもでもいい。 「理恵子さん、お相手させていただきます」 メリッサは理恵子に向かい、剣を構える。フレデリクの武技が速度なら、メリッサの武技は力。回数を重ねて傷つけるのではなく、鋭い一撃を突き刺すのが彼女の剣。構え、突く。それだけを繰り返してきた剣の極み。 剣に風がまとわりつく。突きと同時に巻き上がる烈風が理恵子とエルザ、そしてフレデリクを巻き込んだ。荒狂う風が三人のバランスを崩し、隙を生む。仲間が巻き込まれるため初手にしか使えないが、相手の気勢を削ぐことには成功したようだ。 「はっはっは。強烈な挨拶だね、メリッサ殿」 「賛辞は素直に受け取っておきましょう」 「フレデリク、まずはキミの嫁たちを退けてやろう」 秋火がフレデリクを見ることなく言葉を投げかけ、エルザの方に向かう。仲間を巻き込みかねないので範囲攻撃は封印し、小太刀に光を宿らせる。両手の小太刀を交差するように構え、エルザに切りかかる。 両手にナイフを構えて待ち構えるエルザ。エルザの闇を纏ったナイフと、秋火の光を纏った小太刀が交差する。速度で圧倒する秋火の攻めは、エルザのナイフを手数で圧倒する。相手の時間すら止める小太刀二刀の攻め。 「そこでボクの剣舞にでも見惚れているがいいぜ」 「素晴らしいよ、秋火殿。噂どおり、いや噂以上だ」 「まぁ、こいつが本当に頭が悪いのはよくわかった」 ユーヌは敵側の動きを見て、隙がないかを覗っていた。性格には女性達の動きにである。ハーレムという人間関係上、一枚岩ではないだろうと思っていたが……流石にすぐにわかるものではない。フレデリクが馬鹿なのはすぐに分かった。演技でもなんでもない。本当の馬鹿。 符を構え、印を切る。符が巨大な鞭となり、大きく分かれて敵を打った。そのままから娶り、動きを封じていく。このまま口も封じてしまえば耳障りな言葉を聞かなくてすむのにな、とユーヌは本気で思った。 「インヤンの上位技か。それを実演してくれるとは、なかなか熱いアピールだよ」 「幸せそうだな。ならそのまま動かずに呆けていてくれ」 「なんだろうこの気持ち……殺意でも戦意でもない、ただ殴りたい……この複雑な感情……」 イラッ、と来る感情に身を任せながら風斗(女装)は前に出る。感情にまかせて暴力を振るうなど、フィクサードと同じ。いや違うんだ。何か理由をでっち上げないと。いや違う。理由を作り出さないと。 「いや理由はあるあるすごくあるんだよほらあれだあれ、女性に無理やり関係を強要しようとする酷いやつだし、うん。そんなわけで覚悟! ああ、すみません。あまり痛くしないんで!」 言いながら理恵子を攻撃する風斗。集中砲火は戦略的な意味で正しい。 「失礼な! ボクは無理やり強要などしていないぞ」 「……うわぁ~。自分が見えてないんだねぇ~」 リリスが布団の中から顔を出してそんなことを呟いた。布団? そう布団である。シーツを敷いた上に布団を用意していた。 「いかん、リリス殿! 大地に直で布団とは! ベットメイク隊、セット!」 フレデリクが指を鳴らすとハーレムの女性達がストレッチャーを用意する。救急車に乗せる時に使用するベッドといえば分かりやすいか。厚手の布団を載せリリスをその上に載せて布団をかけた。意外と寝心地がいい。 因みにリリス(お布団)の行動はグリーンノアによる回復です。ねむねむしながら緑の光で回復を。 「寒いから今日はこの中で寝てるぅ……あ、お仕事はするからがんばってねぇ」 ギャグシナリオだからこそ許されるプレイングである。 「この時期のお布団最高ー。私も入るー」 そしてそれに便乗するアリステア。既にリリスが入っているため温かぬくぬくである。寒い風が吹くが布団の中は人肌近く。羽毛布団は中の空気が寒気を遮断し、布団の中は適温を保っていた。 ここ最近は息つく暇もなかったこともあり、心地よい睡魔が訪れる。隣には気の合った仲間。緊張も解け、すぐに眠りの世界に入っていくアリステア(お布団)。 「あ。回復はきちんとするからよろしくね。むにゃむにゃ」 ギャグシナリオだからこそ許される描写である。 「ああ、美しき花二輪。この眠りを妨げるのは実に惜しい! そんなわけで戦闘を終えてハーレム入りしてくれるとありがたいのだが」 「「「「「「お断りだ」」」」」」 フレデリカの提案にアークリベリスタの拒絶が同時に返ってきた かくして戦闘は続けられる。 ● 「お友達になれると信じてたのにぃ……」 最初に倒れたのは理恵子だった。風斗(女装)の剣をつけて、指をくわえながら倒れ伏す。 「御免、ほんと御免。一応不殺スキル使ったからゆるして!」 悪事を働くフィクサードでない相手を倒すのはものすごく気が引ける風斗(女装)であった。 「……おや、もしかしてキミたち本気で抵抗してる?」 ようやくアークリベリスタが本気で嫌がっていることに気付くフレデリク。なら仕方ないかとレイピアを構えて動き出す。 「むにゃむにゃうふふー」 「おふとんあったかー」 アリステア(お布団)とリリス(お布団)の回復に支えられながら、リベリスタは戦う。……いやま、どっちもリベリスタなんだけど。 「ボク達が手を抜いてわざと負けるとでも思ったかい? おめでたいなキミは」 「美しい花を手折るのは趣味じゃなくてね。だが戦いの中で咲く花もある!」 フレデリクが動き出したのを見て、秋火がそちらの押さえに入る。フレデリクのレイピアを小太刀二刀で応戦する秋火。確かに剣の腕は悪くない。それを直で感じ取り、笑みを浮かべる秋火。 「手加減などと器用な真似を求めないでくださいね」 秋火の代わりにメリッサがエルザと相対する。奇しくもこちらもレイピアと二刀の戦いとなった。まぁ、フレデリクと同一扱いされるのは御免だが。確実な一撃でエルザのナイフを押し返す。 「やれやれ目の前をうろちょろと。まるで虫だな」 毒舌と同時にユーヌが術を放つ。巨大な鞭が絡みつき、フレデリクたちの動きを封じていく。 「皆この人が好きなの? 自分の事を『嫁』って言ってくれているとしても……嫁は沢山いるよね。フレデリクさんが他の人の事を見てる時って、切なくない?」 アリステア(布団)が問いかけた。純粋な少女の問いかけに、顔を赤らめたり目を逸らしたりしながら答える乙女達。 「……私は、兄様が望むようにするのが努めですから。そりゃ……いろいろ切なくなるときはありますが、こういう形でしか一緒になれない関係と言うのもあって……」 一番、指揮官系秘書妹メレーヌさん。模範的なブラコン妹回答でした。因みにこの人、ドクトリン使った後ずっと回復役のリージヤさんを庇ってました。なので戦闘はそこそこ長引いています。 「いいのよ。最後に誰かを選んでくれたら。でもその間ヤキモキするのは分かって欲しいかな」 二番、聖母系癒し乙女リージヤさん。たおやかな笑みの中に待つ女の強さを秘めていました。美しい微笑と愛情だが、裏に含んだ感情を想像すると身震いする。ある意味ハーレム最強であった。 「構わぬ。それが主の選択なら。…………だが、もし私を選んでくれるなら……ええい、そのようなことなどあるはずがない!」 三番、忠実な猟犬エルザさん。重要なのは答えた後の沈黙の時間。この間、乙女モードに入ってフレデリクが自分に振り向いてくれたらこんな未来に、ということを想像していたとかいないとか。 「うふふ。切なくなったら刃物を研いで我慢するの。うふふ」 四番、ヤンデレクリスタ理恵子さん。HP0で倒れているけど口を開くのは愛ゆえか。切なくなればなるほど殺意が加速する。ある意味底なしの愛。この愛を許容しているあたり、アル意味フレデリクの器は大きいのかもしれない。 あと、名前が出ていないけど沢山いるハーレムの方々もそれぞれの思いを語りだす。 「だよね。女の子だったら好きな人の一番になりたいよね」 同意するアリステア(お布団)であった。それでこの戦いが止まるとは思っていないが、意見が聞けたことは嬉しかった。 「そういえばぁ~。リリス達と戦うって言う事は、貴方達はリリス達をはーれむに入れたいのぉ?」 リリス(お布団)が首を傾げて問いかける。ハーレムの中に入れば、一番に慣れる確立が減るのではないか、という揺さぶりだ。 『今更一桁単位が増えても』 ハーレム勢がそれぞれ一斉に答えた。成程、と納得するアークのリベリスタ達。 「いやいやそれはよくない! 悔い改めて、ちゃんと本命を一人に絞って愛を貫くがいい! 俺なんか、最近ちゃんと一人に決めて告白して、今ではすっかりらぶらぶです?」 風斗(女装)がこの流れに一言言うべくフレデリクに指を差して叫ぶ。指を差されたフレデリクはと腕を組んで答えた。 「ふむ、『最近ちゃんと一人に決めて』ということは、キミも最近までは複数の女性と関係を持っていたということだね」 「――う!」 「しかも疑問形になっているということは、完全に関係を整理しきれていないということかな? キミ自身、まだ未練があるとか」 「そんなことはない! ここ一ヶ月ほど、お互い忙しくてほとんど顔合わせてないだけだ! 電話はしてるし、メールはやりとりしてる」 ――その言葉が虚か実か。それを証明するのは今後の風斗(女装)の行動如何である。 「所で恋愛性能沸騰型痴呆患者」 「声の向きからおそらくボクのことだと思うが、何かなユーヌ殿」 ユーヌに問いかけられて振り向くフレデリク。 「喋ってる間に取り巻き全て倒れているがいいのか?」 「おや?」 見ればユーヌのいうとおり、フレデリクの戦闘要員は彼以外全員倒れていた。難易度NORMALで命中200超え&速度300で遠距離複数呪縛とか飛んでくれば、そりゃ手も足も出ない。 メリッサ、秋火、風斗(女装)でフレデリクを囲み、フルボッコタイム。シャドウスレイプニルとか使うけど、ユーヌのサポートやアリステア(お布団)とリリス(お布団)の回復の前には徒花に終わる。 「悪いんだがボクはキミのような若造には興味はないんだ。もしキミがもう十五年生まれるのが早ければ……口説かれるのも悪くはなかったがね?」 「なんと。まさか秋火殿は年上にロマンスを求める傾向があったのか。このフレデリク一生の不覚!」 秋火の二刀を受けながら額に手を当てるフレデリク。余裕あるように見えるけど、既にフェイト復活してボロボロです。女性の前でいい格好をしたくなるのはもはや条件反射。 「きれいな薔薇には刺があるといいますが、いかがでしょう」 メリッサがフレデリクに迫る。彼のレイピア捌きは中々興味深かったが、長く付き合うつもりはない。この迷惑な男との縁を切る為に、レイピアを突き出す。 「女性を本気で口説くなら、求められるより求め、行動で示しなさい。上っ面の言葉は響きません」 突き出されるレイピアがフレデリクの胸を突く。容赦のない一撃が、勝負の決め手となった。 ● 「ケッコンかぁ……。ん~……いつも色々教えてくれてる、あの人ならしても良いのかなぁ……。 あ、でもあの人もリリスの事好きじゃないとダメなんだよねぇ……色々と難しいんだねぇ~……」 リリス(お布団)はハーレムと聞いてからずっと結婚したい人のことを考えていた。色々教えてくれる『あの人』……まぁ、どくどくの個人的な意見なのですが、アルバムを見る限りはその方……まぁ、いいや。 メリッサは倒れたフレデリクに平手打ちメガクラッシュ。 「お返事は、これで回答とさせて頂きます」 「では便乗して私も。千兇使ってコイツの運を落としておくか。女運が落ちれば世界も正しくなるだろう」 ユーヌも便乗して符でビンタ。このまま去勢でもしてやろうかと思ったが、面倒になったのでやめた。 「やはりハーレムなど男として許されざることだ」 風斗(女装)が剣を幻想纏いに納めて頷く。相手の気持ちを汲み取り、愛を貫く。これこそが大事なのだ。うんうんと頷く風斗(女装)であった。 「まぁ、それなりに楽しめたかな。十五年後にまた来るといい」 秋火は小太刀を納めながらフレデリクに告げる。このとき軽口で告げた事が、ぴったり十五年後の今日に返ってくるとは今の秋火には想像もつかなかったという。 「ところで、ハーレムとはいいますが。貴方、全員と世継ぎを残す気でしょうか」 「無論だ。全ての女性をこよなく愛する。それがこのフレデリク・ミュルヴィルだ!」 メリッサの問いかけに薔薇を咥えてポーズを決めたまま、澱みなく答えるフレデリク。ああうん、末期だ。アークのリベリスタは本気で思った。 「やっぱり好きな人は一人でいいよね」 左手の薬指につけた指輪を撫でながらアリステアが微笑む。ああいう愛もある。だけどやっぱりこういう愛がいい。相思相愛。愛して愛される幸せをかみ締める。 「リリスさん、もう帰るよー。お布団から出てー」 「うひゃあ。アリステアちゃん? いつ布団から出たのぉ?」 「よろしければそのベッド、進呈しましょう。結納という制度が日本にはあるようだからね」 「「「「「「だからお断りだって」」」」」」 六人のアークリベリスタのツッコミが、見事にハモった。 かくしてミュルヴィル家のハーレム一団は去っていった。後に残されたアークリベリスタは、仕事以上の精神的疲労に苛まれて帰路につく。 もう二度と会うことはないだろうな、思っていたリベリスタ達は―― 「貴方のような美女に予知を告げられれば、それだけで気力がみなぎってくるというもの。どうかこのフレデリク・ミュルヴィル専属のフォーチュナになってくれませんか?」 アークの女性フォーチュナを口説く声に崩れ落ち、頭痛を起こしていた。 第二ラウンド開始――! |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|