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【ルゴ・アムレス】黒塔24F 修羅世界最強

●ルゴ・アムレスの黒塔
 ボトム・チャンネル。
 それは階層上になっている世界において、一番下であるという世界のこと。
 故にボトムチャンネルは上位世界からの脅威に晒されてきた。時折Dホールを渡ってくるアザーバイドにより、大きな被害を受けることもある。それに対抗するためにリベリスタは徒党を組み、組織だって警戒に当たっているのだ。
 さて、上位世界にもいろいろな世界がある。ボトムチャンネルよりも広大な世界も在れば、ただ樹木が一本生えているだけの世界も。時間が止まった世界もあれば、今まさに消え去ろうとする世界も在る。
 そんな世界の一つ、ルゴ・アムレス。
 半径五キロ程度の大地に、天を衝くほどの黒い塔が存在する世界。そこは多種多様の戦士達が集う修羅の世界。
 その塔の上にこの世界のミラーミスがいるといわれ、今なお塔は天に向かって伸びていた。何を目指しているのか、誰にも分からない。狭い世界ゆえに、塔はどこからでも見ることができる。
 そして塔の中は、階層ごとに異なっていた。町が丸ごと入っている階もあれば、迷路のような階もある。そしてこの階は……。

●『最強』リューザキ
 その階には何もなかった。
 足場はある。。明りはある。だけどそれだけ。簡素な道がただ伸びており、それにそって歩けと無言で示されている。
 そしてその先に、小さな小屋。十人も泊まれないだろう大きさの小屋の前に一人の男性が待ち構えていた。がっしりとした体は鍛練を怠らぬ武人を思わせる。動きやすい服は今まで鍛練をしていたからか、それとも既に戦闘体勢であると言うことか。
「リューザキ。守護者だ」
 言葉短く、アザーバイドは自らを語る。これ以上の言葉は要らぬとばかりに。
「この上にミラーミスがいるのか?」
 リベリスタの問いかけに、首肯するリューザキ。その気迫と表情が、ここを通さぬと告げていた。ミラーミスには会わせない。ここでリベリスタの進撃はおしまいだ、と。
 
●昔の話と今の決意
 ルゴ・アムレスという世界は、突き詰めれば模倣の世界だ。
 様々な世界とDホールで繋がり、その文化を模倣する。ボトムチャンネルからも文化を模倣している。おそらくは他の世界からも様々な文化を得ているのだろう。
 それがこの世界のミラーミスの特技。他世界と繋がり、そして模倣する。それがミラーミスの主たる能力。
 そしてミラーミスは異世界を見て知ってしまう。戦いというものを。湧き上がる熱い闘志を。そして同時に知ってしまう。自分は闘いに適していないと。戦闘と言う行為自体が自分自身を歪め、不安定にしていくことを。
 戦いたい。だけと戦えない。一生命体として、彼女が抱えたジレンマ。その精神が反映されたのか、皮肉なことにこの世界は強者が集まる世界となった。ミラーミス自身の異世界との接続能力もこれに一役買うことになる。
 模倣しかできぬと嘆くミラーミスに、塔を登りつめた一人のアザーバイドが語りかける。
「模倣こそ、強くなる為の第一歩」
 師から技を教えてもらい、それを繰り返す。それが強さの第一歩。
「だから貴女は強くなる。その生涯で戦える回数は少ないだろうが、そのときのために『切磋琢磨』を怠るな。
 本当に戦いたい相手に出会うまで、腕を磨いておけ」

 そしてミラーミスは、最下層の世界でもたくましく生きる存在に出会う。不遇な環境でもめげずに戦う彼らと戦いたいと。
 塔を登りつめたアザーバイド――リューザキはそれを聞き、静かに頷いた。

●二十四階の守護者
「恨みはない。だが問わせてもらおう。ミラーミスの相手に適うか否か」
 リューザキは自らの手を変化させ、リベリスタに向かう。
 塔の守護者として。
 ミラーミスの『相手』を選定するため。
 そして何より――戦いを好む一人の修羅として。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:どくどく  
■難易度:HARD ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年12月30日(火)22:32
 どくどくです。
 長く続いた黒塔の最上階です。

◆成功条件
 リューザキの打破。

◆異世界情報
 ルゴ・アムレス。
 半径五キロメートルの盆状の大地の真ん中に、半径二キロメートルの巨大な塔がある。そんな世界です。塔の中は階層によって様々で、迷宮の階もあれば森が生い茂ってる階もあり、街が形成されていることもあります。
 文明レベルは高くありません。ですが異世界から様々な戦士が集まるらしく、異文化への偏見は浅いです。銃を見ても驚きません。現地(?)の知的生命対数は千を超えません。種族はこちらで言うビーストハーフのような存在が多いです。
 異世界から様々な戦士がやってきています。そしてそのほとんどが『塔』に向かいます。自らの力を試す為、興味、強者を求めて、頂上にいると言われているミラーミスを倒す為。様々な理由で塔に向かいます。

◆敵情報
・リューザキ
 人型アザーバイド。ボトムチャンネルの男性と遜色ありません。見た目は五十歳の男性。服は簡素な貫頭衣。『タワー・オブ・バベル』がなくとも言葉は通じます。
 体内に『龍』を宿し、それを顕現することで爆発的な力を発揮します。
 この異世界の『ゴエモン』と呼ばれるアザーバイドにより、以下の能力が分かっています。戦い方がわかってるぐらいに有名なんです。

 攻撃方法
 封印解放・壱番 神遠2単 龍の魔眼が心身を壊す。[Mショック100][致命][ブレイク]
 封印解放・弐番 神遠貫  龍の吐息が全てを焦がす。[火炎][業炎][獄炎]
 封印解放・参番 自付   体中を龍鱗が覆う。物防、神防UP
 封印解放・肆番 物近範  龍爪を宿し、暴威を振るう。[弱点][必殺]
 封印解放・伍番 自付   龍尾が生え、敵を討つ。DA上昇。
 封印解放・陸番 物遠全  龍の咆哮は原始的な恐怖を呼び起こす。[重圧][鈍化][虚脱]
 封印解放・漆番 自付   龍翼を広げ、天空を喰らう。[飛行状態]+『飛行戦闘』を得ます。
 龍の血       P  あふれる生命力が持つ再生能力。全てのBSは受けた瞬間に解除されます。BSを一つ解除するたびに、HP50ロスします。
 龍は英雄に討たれる P    『英雄に勝てない』という宿命を背負っています。各プレイングの半角1000文字を超えた文字数の二倍分、このキャラの初期HPが減少します。

◆場所情報
 ルゴ・アムレス。その階層の一つ。何もないむき出しの床と、遠くに見える塔の壁。
 足場と明かりは十分。広さは広大。戦闘開始時のリューザキとの距離は十メートルとします。
 事前付与は一度だけ可能です。付与を行えば、向こうも付与を行います。
 
 皆様のプレイングをお待ちしています。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ジーニアスナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ハイジーニアスソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
アークエンジェダークナイト
フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)
フライダークホーリーメイガス
メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)
ハイフュリエミステラン
シィン・アーパーウィル(BNE004479)
メタルイヴデュランダル
メリッサ・グランツェ(BNE004834)
ハイジーニアスソードミラージュ
ベオウルフ・ハイウインド(BNE004938)
ハイフュリエレイザータクト
ソニア・ライルズ(BNE005079)


「黒塔二十四階守護者リューザキ。称号は『最強』。
 ボトムの戦士たちよ、いざ参る」 


「よろしくお願いします」
 初手を取ったのは『蜜蜂卿』メリッサ・グランツェ(BNE004834)だ。半身体を傾けて足の向きをそろえる。重心を崩さぬように前に進み、その移動ベクトルを揃えて剣を突き出す。細く、されど鋭い一撃。
 構え、突く。メリッサの技はたった二つ。あらゆる角度からの攻めを想定し、受け構える術。相手の構えから最適快を見つける突きの技法。攻防の全てを構えと突きに凝縮し、実戦で鍛え上げたのだ。ボトムチャンネルで、ルゴ・アムレスで。
「最後の守護者リューザキ。ミラーミスへの道、押し通らせていただきます」
 言葉と共にと踏み込む『柳燕』リセリア・フォルン(BNE002511)。凛としたリセリアだが、心の中は滾っていた。リューザキにいわれるまでもない。全力で挑み、乗り越える。龍という存在は畏怖と同時に強者の象徴。乗り越える壁としては最適だ。
 使い込まれた剣を手にし、一気に駆ける。下段から跳ね上げるような剣の軌跡。その軌跡を追うように光の筋が走ってリューザキを幻惑する。剣を素早く振りぬくことで、その斬撃の鋭さが増す。故に素早く。それがリセリアの技法。
「さあ、踊って……くれる?」
 手甲を填め『無軌道の戦姫(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)が舞う。最強を求めて登りつめた黒塔。目の前にはその相手。感慨深いものがあるが、それに浸っている余裕はない。今は闘争を楽しむのみ。
 五感を駆使して敵味方の意識の隙間を縫うように移動し、リューザキの死角に移動する。五の分身を産むような動きで相手を翻弄し、生まれた隙を逃すことなく一撃を食らわせる。自らの体力を削りながら戦う天乃。先が短い戦い方なのは、自覚している。
「渋い男は嫌いじゃないのよね」
 だからと言って手を抜くつもりはないけど、と『ゲーマー』ソニア・ライルズ(BNE005079)はうんうんと頷く。鍛えてるゆえの渋みに焦がれてしまうのは、ソニア自身が戦いが好きな結果なのだろうか。
 皆に指示を出しながら、カランと高下駄を鳴らす。魔力がソニアの足に集い、風の刃を形成した。蹴り上げるように足を振るうソニア。風の刃がリューザキに迫り、その肌を裂いた。
「折角ですしそちらに合わせて、『最奥』とでも名乗らせてもらいますか。辿り着くには険しく遠く、故に自分が座するは『最奥』……なんてね」
『桃源郷』シィン・アーパーウィル(BNE004479)は宙に浮き、緑と桃のフィアキィを顕現させて言葉を紡ぐ。リューザキから最も遠い位置に座するシィン。それゆえの名乗りか、それとも他の深い意味があるのか。
 天乃に神秘の盾を付与し、二体のフィアキィを自分の左右に展開する。体内の魔力を放出し、それをフィアキィが増幅する。故郷『ラ・ル・カーナ』の緑の癒しが淡い光となって放出され、リベリスタの体を癒していく。
「最上階は『最強』。なんか判り易くていいね」
『和歌集・写本』を広げ、『NonStarter』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)が頷く。勿論相手が最強だからといって引くつもりはない。ここで終われば今まで登りつめた努力が終わってしまうのだ。
 龍尾が生えたリューザキを見て、メイは魔力を練る。回復の光ではなく、攻撃の光。『癒す』力を刃に変え、天高く光を放出した。光は天罰の如く降り注ぎ、龍の尾を無に帰す。相手を強化させないことがメイの役目。
「話には聞いているよ、ルゴ・アムレス最強の戦士! わたしたちボトムの戦士が挑ませてもらうよ!」
 黒の大剣を手に『今日が貴方の命日』フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)が口を開く。相手は一人。だからこそ油断などしない。常に全力で挑むことが、戦士としての礼儀なのだから。
 剣を構えて、意識を深く沈める。自らの闘気とオーラを高め、剣に纏わせる。今まで積み上げてきた戦士の気迫。潜在的にある闇のオーラ。それらが絡み合い、黒の刃を形成する。フランシスカは大剣を振りかぶり、その刃をリューザキに撃ち放つ。
「ルゴ・アムレス最強……か。こうして手合わせの機会が与えられるのは幸運なことだな」
『月煌閃』の柄に手を添えて、ベオウルフ・ハイウインド(BNE004938)が歩を進める。自らの体内に神秘を通し、神経を活性化させる。リューザキに迫り、柄を握り締める。腰を静かに落とし、抜刀の構えを取った。
 刀の鯉口を隠すように構え、柄を握り締める。呼吸を沈め、心を落ち着かせた。十差宇野t頃は一秒にも満たないだろう間。その時間の間、ベオウルフは様々な刃の軌跡をイメージし、その中から最適の一撃を選択する。肉を割く確かな手ごたえ。
「流石。ここまで上ってきただけのことはある」
 リベリスタの動きに感嘆の声を漏らすリューザキ。一糸乱れぬ連携に隙はない。
 だが怯みはしない。龍を宿した戦士はそれを打ち砕こうと暴威を振るう。


 多対一。純粋な力の比べあい。
 こうなるとリベリスタの取る戦略はそう多くない。互いが互いの役割を理解し、全力を尽くすのみ。
 天乃、リセリア、メリッサ、ベオウルフが前に出て交戦し、後衛を護るようにフランシスカが陣を取る。メイ、スィン、ソニアが後衛から回復などの支援を行う形だ。
 貫通攻撃を意識して分散するリベリスタ。前衛は円陣を組み、一気に攻撃を受けないようにしている。可能な限りダメージを分散し、倒れにくくする戦い方だ。
 成程、と首肯したリューザキは――
「ルォガアアアアアア!」
「咆哮!?」
 リベリスタ全てを討つように龍の咆哮を上げ、そして龍眼でメイを狙った。元々体力に優れないメイは運命を削るほどの傷を負ってしまう。
「予想外だね。まさかボクを集中してくるとは」
「ブレイク役を潰しに来たか」
 弱っているメイを護るためにベオウルフが庇いにはいる。メイが庇われていると分かれば、次はシィンが攻撃の対象になった。
「的確にこちらの戦略のキモを潰しに来てるわね!」
「こちらの速度を落として継戦能力を削ぐ。理に適った戦い方ですね」
 フランシスカがシィンを庇い、庇われたシィンが頷きながらリューザキの戦い方を分析する。
 メイとシィンは龍の暴威から守られたが、その分攻撃手が減ってしまう。その狙いもあったのだろう。
「私達の力がお眼鏡に適うかどうか、とくとご覧あれ――!」
 リセリアはリューザキを押さえ込みながら、光刃を振るう。剣は相手の芯を捉えることもあれば紙一重で避けられることもある。最強の名は伊達ではないか。だからこそ乗り越える価値がある。止まることなくリセリアは剣を振るう。
「何とか、耐えた……かな?」
 天乃は咆哮と龍の爪に耐えながら、拳を振るっていた。シィンに施された神秘の盾は既に砕かれている。自分の体力が尽きるのが先か。それとも自分が倒れるのが先か。途切れがちな言葉だが、闘争の意志は途切れない。
「無理はしないでください、星川さん!」
 メリッサはリューザキに攻撃を繰り出しながら、天乃の様子を気遣っていた。できればかばいに行きたいが、円陣を組んでいる以上庇うのは難しい。リューザキの背後を取っている天乃を庇うには、位置的にリューザキが邪魔になる。
「――閃!」
 べオウルフはメイを庇い続けていた。リューザキの炎に包まれるも、運命を燃やして愛刀を振るいその炎を切り裂く。最強のアザーバイドと斬りあえないのは残念だが、仲間を見捨てるわけには行かない。
「ここで負けたら、他の人たちに合わせる顔がないものね」
 メイは翼をはためかせ、風の刃をを放つ。鋭い風刃はリューザキの肌を裂き、出血と同時に冷たき毒をその体内に送り込む。龍の血がそれを排除するが、その分リューザキの体力は削られていく。
「私は回復に回ったほうがいいみたいね」
 ソニアは状況を見て回復に移行する。的確な指示と的確な行動。決定打こそ欠くが、それがソニアの戦い方。光はリベリスタの傷を癒し、戦う力を与えてくれる。皆で勝利する為に『何でも屋』は動き回る。
「『最奥』より問うのは一つ。さて、貴方は何をもって『最強』足るや」
 シィンは回復の光を放ちながらリューザキに問う。成程、能力はある。戦略を練る頭もある。されどそれは『力』でしかない。暴力で伸し上がり他者の上に立つものが『最強』であろうものか。シィンは静かに問いかける。
「己の力を律すること」
 リューザキはリベリスタと交戦しながら答える。龍の力を体内に宿し、封印を施した男。暴威をそのまま振るうのではなく、正しい時に正しい方向で使うこと。鞘に納めぬ刃は刀にあらず。蛮族と戦士を分けるのは、平時にあるのだ。
 龍の力を律し、そして正しく振るう。それこそが最強の意味。
「修羅の世界『ルゴ・アムレス』の『最強』。それが貴方の最強なのね」
 フランシスカは黒の大剣を盾にして仲間を庇いながら、リューザキの言葉に応える。
「一点に特化し他の追随を許さない事。それがわたしの目指す最強よ。故にこの破壊の力の一点にて貴方を突破する!」
 それもまた答えだ、とリューザキは首肯する。そして答えは戦いの結果でしか示せない。
 そしてその結末が出るのは、そう遠くない未来だろう。


 龍の腕が前衛を打ち据え、咆哮がリベリスタの体力を奪っていく。
「これが最強の武ですか……!」
「勝負はここからです!」
 メリッサとリセリアが龍の爪で運命を削られるほどのダメージを負う。何とか膝を折ることに耐え、それぞれの剣を構えなおす。
「……お。仕方ない、かな」
 天乃が咆哮を受けて倒れ伏す。無理に起き上がることも出来たが、それをすれば戦いの運命を失うを感じ取り、意識を手放した。戦うべき相手がボトムチャンネルにいる。その戦いまで、倒れるわけには行かない。
「こればボクも回復に回ったほうがいいね」
 状況を見てメイも回復に回る。羽根の魔力を回復に変換し、前衛で戦う者たちを癒していく。このまま攻められれば前衛が瓦解しかねない。それまでに倒すことが出来るか否かが、勝敗の分かれ目か。
「流石『最強』……攻撃に容赦がない!」
 シィンを庇っているフランシスカが龍の炎を受けて運命を燃やす。時折生まれる連続攻撃の機会を使って攻撃するが、明らかに攻撃のペースは落ちている。防御を外せばシィンが狙われる。そうなれば回復が途切れてしまうだろう。
「絶えず湧き続けるは無限の力、貴方は底を見れますかね?」
 シィンの回復は尽きることはない。無限に湧き出る世界樹の光。この回復がなければパーティは瓦解していただろう。リューザキからのダメージを癒しながらシィンは静かに宙に浮く。
「ああ来てこう来て……だからこっちが先で……」
 ソニアは仲間の回復を行いながら、リベリスタの指揮を取っていた。ゲーマーのサガか展開を先読みしながら、現状の最適手を打つ。一秒毎に切り替わる戦場をまわそうと、ソニアの脳はフル稼働していた。
「ここまでか……!」
 炎の息を受けて、ベオウルフが力尽きる。最後まで刀を手放すことなく立ち尽くし、そして地に伏す。少しとはいえ修羅世界最強と交戦できたのは確かな経験となったか。そんなことを思いながら意識を手放した。
「……あぅ」
 そして庇い役のいなくなったメイを龍の魔眼が貫く。不可視の一撃に心砕かれ、メイは膝を折った。
「メイさん!」
 倒れたメイを気遣いながらリセリアが剣を振るう。龍の鱗にはじかれることもあるが、ダメージは確実に蓄積していっている。それを理解しながら、今だ倒れる気配のないリューザキに焦りを感じていた。
「貫き通す意志を手に。十を重ね百を重ねて届かねば、千の剣を!」
 見ろ見ろ見ろ。メリッサは相手の動きをつぶさに観察し、剣を繰り出していた。目の前にいるのはこの世界最強のアザーバイド。その動きを身に刻み、学び、そして自分の動きへ。重ね重ねよ鍛練を。
 メリッサとリセリアの剣がリューザキの肌を裂く。飛び散った紅が床に落ちる前に、龍の爪が振るわれる。
「ぐ……!」
 爪を避け損ねたメリッサが意識を手放す。剣を突き出した折れる様は、最後の最後まで細剣を突き出そうとする意志を感じさせた。
 戦闘不能四名。このまま押し切られる。誰もがその未来を想像し、
「悪いけど行かせて貰うわ!」
 フランシスカが動く。シィンの庇い役を放棄し、後一押しを加えるために。黒の大剣を振りかぶり、リューザキに切りかかった。リューザキが受け止めた部位が一時期石になり、流の血の復元能力ですぐに元に戻る。
「折角『最強』と戦えるんだもの、直に刃を交えてこそよね!」
「果てなき剣の道。龍という壁を乗り超えて突き進む!」
 フランシスカの振るう黒の剛剣と、リセリアの放つ蒼銀の軌跡。それが龍を封じた『最強』を追い詰めていく。右に左に上に下に。様々な角度から攻め続ける。
 肩で息をしながらそれを凌ぐリューザキ。後一歩。だが、
「惜しいな。一歩足らぬ」
 尾を生やしたリューザキが爪を振るう。その爪がフランシスカとリセリアの意識を刈り取った。
「ではその一歩、『最奥』が埋めましょう」
 二体のフィアキィを携えたシィンが魔力を展開する。攻撃術法はあまり得意ではないが、皆が重ねた事の後一押しなら何とかなる。
「放つは閃光、穿つは龍王、顕現するは勝利の法」
 二体のフィアキィとシィン。そこから生まれた魔力が光となり、リューザキの頭上から降り注ぐ。鋭く突き刺さる白の一刺し。それが『最強』に叩きつけられた。
 光の圧力に屈するように、リューザキは地面に伏した。


「ギリギリだけど勝利……かな」
 ソニアは頭をかきながら、倒れているリベリスタの治療を行っていた。敵の強さもあったが、作戦面で防御により過ぎていたところがある。
「休ませるなら小屋を使っていいぞ」
 言ったのはリューザキだ。存外早く目覚めた彼は、半身起こして自分の傷具合を確認していた。流石に起き上がるにはダメージが大きいらしい。
 一時間ほど休養し、シィンやソニアの回復術もあってリベリスタたちは意識を取り戻す。見慣れぬ天井。おそらくリューザキの小屋の中なのだろう、と起き上がったリベリスタは判断する。
「……生き、てる?」
 天乃は自分の手の平を開いて閉じ、傷の具合を確認する。運命の炎はまだ燃えている。まだノーフェイスになったわけではないようだ。
「さすがは龍、さすがは『最強』でしたね」
 リセリアはリューザキの強さを再認識し、手の平を握る。密度の高い戦いだった。壁を乗り越えられて、さらなる剣の道へ。
「わたし達はミラーミスに会うに相応しい強さを持った戦士だったかしら?」
 痛む体を我慢しつつ、強気で問いかけるフランシスカ。戦いに勝ったことは聞いているが、『最強』の口から確認したい。
「無論。アムがその存在を賭けてまで相対したいと願うに相応しい相手だ」
「存在を賭けて? ボクらと出会うとどうにかなっちゃうの?」
 リューザキの言葉に首を傾げるメイ。
「アムは様々な世界にDホールを繋げる能力を持っている。その能力の代償は『戦うこと』だ。鳥が翼を持つように、そういう風に生まれてしまったのだろう。禁忌事項を持つことで、彼女の能力は奇跡のレベルまで増大した。
 だが、アムは戦いというものを知ってしまった。醜く汚い側面もあるが、互いを認め合い共に強くなれる側面があることも」
 そして、自分も戦いたいと願ってしまった。禁忌事項を破れば、その存在は変異する。それを理解したうえで、ボトムチャンネルの戦士と戦いたいと願ってしまったのだ。
「戦えないが故に『最弱』。彼女自身の戒めでもあり、だからこそ強くなりたいという祈願でもある」
「終盤四層の守護者が『最』の名を冠するのは、その慰めもあるんでしょうねぇ」
 シィンが皆を癒しながら頷いた。
「弱きものが高みを目指す武の世界。はからずも彼女はその象徴というわけですか」
 何かの意図があったわけではないのだろう。ただの偶然か、あるいはそういった世界になってしまったがゆえの必然か。
「どういう形になるか分からないが、俺達は『アム』に挑む。いいんだな?」
 確認するようにベオウルフがリューザキに問いかける。アムの存在が変われば、この世界が変わる可能性がある。リューザキは黙って首を縦に振った。それが勝者の権利だと。

 その後、体を休めてリベリスタは小屋を出る。
 この階の上でボトムチャンネルの戦士を待つ『最弱』のミラーミス・アム。
 ルゴ・アムレスそのものと言われるその存在との勝負、それはどのようなものになるのだろうか――


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
【ルゴ・アムレス】シリーズはのんびりまったりとやるつもりです。バトル系ですが。
 次のゲートは20日後の1月19日頃に開くでしょう。