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最後の月


「雪だわ」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:夕影  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年12月21日(日)22:01
 夕影です 日常イベシナ

●成功条件:楽しむだけ


 晴天だけれども滅茶苦茶寒い日
 そんな三高平の日常。
 時間帯は朝~夜中までいつでもどこでも
 状況が分ればそれでヨシ! 分からなければ夕影が勝手に盛ります

●NPC
 何処にでもいます

・牧野杏里
・マリア・ベルーシュ
・架枢深鴇

●注意
・このシナリオはイベントシナリオです
*参加は50LPです。
*イベントシナリオでは全員の描写が行われない場合もあります
*報酬はVery Easy相当です
 行動はやりたことを絞ってプレイングを書く事をお薦めします
 また、倫理規定違反や他人の迷惑になる行為、そして白紙は全て描写外とします
 特定のPCと一緒に行動する場合は名前(ID)を書いてください
(例:牧野 杏里(nBNE000211))
 三人以上で行動する場合は、統一したタグを作ってください
(例:【寒い死ぬ】)
 NPCに話しかけたい場合は、名前(ID)は不要なので、マリアや杏里とあれば大丈夫です

 それではお待ちしております
参加NPC
牧野 杏里 (nBNE000211)
 
参加NPC
マリア・ベルーシュ (nBNE000608)
参加NPC
架枢 深鴇 (nBNE000280)


■メイン参加者 19人■
ジーニアスナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ハイジーニアスクロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
ノワールオルールスターサジタリー
不動峰 杏樹(BNE000062)
ハイジーニアスデュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
サイバーアダムクロスイージス
新田・快(BNE000439)
ハイジーニアスソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ノワールオルールクリミナルスタア
依代 椿(BNE000728)
アークエンジェインヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ハイジーニアスマグメイガス
風宮 悠月(BNE001450)
ナイトバロン覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
フライダークマグメイガス
シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)
ハイジーニアスダークナイト
山田・珍粘(BNE002078)
ハイジーニアスマグメイガス
百舌鳥 付喪(BNE002443)
ハイジーニアスプロアデプト
ロマネ・エレギナ(BNE002717)
ノワールオルールクリミナルスタア
遠野 結唯(BNE003604)
メタルイヴダークナイト
黄桜 魅零(BNE003845)
ナイトバロンソードミラージュ
蜂須賀 朔(BNE004313)
アークエンジェスターサジタリー
鴻上 聖(BNE004512)
ハーフムーン覇界闘士
翔 小雷(BNE004728)
   


 聖堂は、本日に限りパーティの様に飾られている。
「お誕生日おめでとうと、少し早いけどメリークリスマス」
「ありがとうございます。X'mas目前なので、どうも誕生日が蔑ろになりがちで」
 誕生日である聖を、シュスタイナが祝う時だからだ。それに毎年此の時期は……と俯いた聖に、されどシュスタイナは首を振る。
「誕生日は皆特別。鴻上さんの場合、たまたまクリスマスが近かったというだけよ」 
「そう言ってもらえるとありがたいですね、一時期は生まれたことさえ……まぁ、親からしたら纏めた方が楽ですから」
「生まれた、こと?」
 其処から先は彼は口にしない。
「……これ以上は聞かない。けれど、遠い先でいい。いつか教えてくれたら嬉しい」
 何かがあったのだろう、其の重荷を察するには到底及ばないかもしれない。
 でも今日はそういう日じゃない!
 シュスタイナは、彼に淹れて頂いた珈琲に口をつけて、話を切る様に美味しいと言った。彼女の優しさに触れた様だ、申し訳無いと頭を掻いた聖は。
「そういえば、X'masケーキを買ったんですが思ったより大きくて……一緒にどうですか?」
 手伝うと、珈琲を置いたシュスタイナ。
 ふんわりとした笑みに恐縮した聖は、今持ってくるから待っていてと聖堂の奥へと向う。
 其の後ろ姿に、囁く様にシュスタイナは言った。
「ん。のんびり待つわ。その変わりじゃないけれど、伝えたい事があるの。今度お時間くださる?」
「えぇ、是非今度聞かせて下さい」
 彼女の色濃い瞳が決心を物語る。しかし不安の色さえ見えるのは、己の先程漏らした言葉のせいなのだろう。
 いつ話せるかわからねーけど。
 いつか、必ず……そう、『決心』をしたのは何もシュスタイナ一人だけでは無かった。

「なぁ、黄桜君。君はよく私の体に興味を抱いているようだが……冗談ならほどほどにしておくのが良いぞ」
「へ?」
 おっぱい揉ませて、なんて遊び心で言うものでは無い――と魅零は悟った。
 悪ふざけの挨拶のつもりで、朔をからかっただけなのに! 何時の間にか状況は朔が魅零を壁に追いやり、所謂壁ドンの体勢で整っている。
 何が起きたと言わんばかりの魅零。朔は、既に近い二人の間を更に顔と顔で鼻がつく程縮めた。
「嘘をつきすぎた狼少年がどうなったか知っているか?」
「へ??」
 そりゃあもう。
 魅零が話す隙さえ与えずに、朔の程よく長い五指が彼女の頬をなぞり、繊細な感触に魅零の身体が震える。そして指は顎に向かい、一気にそれを上へと向かせた。
「狼に食われてしまうのだ」
 大音量の声が出ていない叫び声を上げた魅零の頬は、柘榴の様に染まっていく。硬直し、全身に冷や汗をかきながら、今は狼に睨まれた子羊の様。あと一歩でバリアシステムが発動しそう。
「そうなりたくないのなら、少しは自重するのだな」
 警告と共に魅零は解放された。
 其の儘へたり込んだ魅零は蜂須賀怖いだなんて言い張りつつ。
 そのつもりがあるのなら一度くらいは……だなんて千歩譲った事を朔は考えるのだが、更に覗く朔の瞳が今度は獅子の様に色めいたのに魅零は尻尾を盾にして脅えたとかなんとか。

 季節が移ろうのは早いものだと、ロマネは一人。
「……冬支度が必要です、けれど」
 思い立ったようにAFを起動し。
『――ハァイ、土日祭日年末年始休まず愛しいロマネちゃん! で、何?』
「深鴇、買い物に付き合って貰えませんか?」
『や、僕、便利屋じゃないし暇じゃないし、って何!? デェト!? いくいくいくいく! 何買うのかな?』
 薪や燃料や食料やその他諸々――荷物持ちは、あえて言わなかった。
「お礼に常識の範囲で好きなものくらいは買って差しあげますよ」
『オッケーオーケィ。僕アレ欲しいンだよね、コート!』
 ロマネ自身、若者が好むものなんて不明ではあれど、恐らく深鴇は寒いからという理由だけで選んだのだろう。
 そういえばクリスマスも近い。遠くの街はイルミネーションの様に煌びやかだ。
「深鴇は何かクリスマスの思い出など、ありますか?」
『あぁ、あー、まあ無くは無いけど……それはロマネちゃんが、クリスマスに僕の事好きって言ってくれたら最高の思い出になるよ!』
 はぐらかされた様な気がした。


 一緒に炬燵に足を入れる付喪と杏理。
「さて、杏里。今日呼んだのは他でもない。あ、ミカン食べるかい?」
「お構いなく……頂けるのなら、ではひとつ」
 蜜柑を剥く静か時間が流れてから、甘酸っぱさを二人で噛みしめて。
 そして本番。
「呼んだ理由だけど、別に説教とかじゃないから安心しな」
 一瞬にして緊張した杏理。何を言われるのか、何かしたか冷や汗ものであったが。
「実は相談が有るんだよ。マリアへのプレゼントをどうしようかっていう」
「成程」
 確かに此の世界にはサンタは居るし、毎年空駆け抜けている。だがそうでは無く。
 彼女が喜ぶものを枕元にあげたいとの事だが。
 口紅、ぬいぐるみ、ピンと来ない。
 幸せになって欲しいからか、ちょっとした小さな事でも抜け目は作りたくない。
「マリアさんなら、髪の毛が邪魔そうにしていたのでヘアアクセサリーとか良いかもしれませんね」

「や、こんにちはマリアちゃん。雪が珍しい?」
「犬じゃないから庭駆け回ったりしないわ!」
 とか言いつつ全速力で雪の上を転がっているのは一体、と思いながら悠里は。
「折角だし雪だるまでも作ってみる? 二人でうんと大きいやつ」
 作ると叫びながら、マリアは悠里の腹に突進してきた。
 それから二人で雪を掻き集めて丸めながら。
「マリアちゃんって今アーク本部に住んでるの?」
「うん! 監視カメラと檻みたいな部屋、でも出入りは自由、ちょっと寒い」
「もし良かったらさ、いつか監視が解けたら僕の孤児院に住まない?」
 何時か、悠里は孤児院を建てようと思っている。過去を振り返れば、小さな死体の数を数えるのさえ飽き飽きとする程で。だから――其れ以上に助けたいと。
「懺悔なの?」
 マリアは首を傾けてストレートに言い放った。
「マリアちゃんより、年下の子供達のおねえちゃんになってくれないかな」
「いいわよ、マリアが生きてたらね? でも大変ね悠里、白羽のエンジェルを集めるのが趣味なの?」
 マリアはストレートだ。
 マリア勧誘、こんな事言ったら彼女が――

「――へっくしゅっ」
 己の身体を擦って温めた椿は、本部のお使いの最中だ。
 目の前には教会、見知った彼女の。
「こんにちわー」
 と返って来た言葉は、最早言葉と聞き取れない程に弱弱しいもので。椿が玄関から走っていけば、殺人事件かと思う程、部屋の手前でぶっ倒れている杏樹が居た。
 とりあえずはベッドに寝かせたものの、彼女の体温が異常である事は触れたら理解可能だ。
「え、ご飯とかどないして」
「食べなくても……」
「ってあかんてそれ」
 何かあるもので滋養をとれるものを作ると、椿は台所へ走った。

 それから大分奮闘はあったものの、ご飯を食べた杏樹の顔色は先程よりは見違える程良い。
 眠る時さえ邪魔しては悪いと立った椿ではあるものの、力弱い杏樹の腕が椿の袖を掴んだ。今や銃口さえ引けない程の弱った腕、が。
「一緒に居て……寝付くまででいいから」
 無意識に震える杏樹の腕から振動を感じれば此の侭帰る事は不可能だ。
 風邪で弱れば思考まで弱くなるものか、最近は重い事も多かった事を足し引きすれば椿は。
「ん、うちで良かったら一緒に……ん? 一緒に?」
 ベッドに座れば、杏樹の腕が絡んで来た。
 ほのかな椿の香りが、今は人恋しい杏樹にとってはどんな色香にも負けない安心感を与えてくれていた事だろう。
 少し前まで燻っていた椿の羞恥心も今は何処かに消え去り。
 二人揃ってお互いの体温を分け合う様にして眠りについた。


「おや、ベルーシュさん。こんばんは」
「義衛郎だわ」
 夕暮れも終わりかけ、夜に差し掛かる時。買い物ついでにカフェに立ち寄る手前でマリアと会った。
 時間も時間で、少女が此処に居るのは感心しないのは勿論だが。恐らく言っても聞かないだろうと義衛郎は苦笑する。
「ねえ義衛郎はどこかいくのかしら!」
 カフェの扉を片手で開きつつ。
「ベルーシュさんも来ますか? ケーキくらいならご馳走しますよ」
「わあい!!」
 それから案の定、甘いものをあぐあぐと食べ続けるマリアを目の前にしつつ、義衛郎は飲み物を啜る。
 相変わらず美味そうに食べる姿に感心しつつ、そういえばクラシカルロリータのお店を思い出す。
「色白のベルーシュさんなら」
 ……難なく着こなせそうだ。
「ん? 義衛郎なんか言ったの?」

 日々の鍛練は欠かせない。
 塵も積もればなんとやら。
 時々の戦いで後悔せぬようには、日ごろから届く限り己を高める事こそ努力と言えるだろう。
 アラストールの考え方は実に理にかなっているものの、続けるという事は何よりも難しいという事もある。
 朝は、柔軟から基礎の走り込み三高平市周回から山間部を抜けて山頂にて朝食。
 昼は、滝に打たれたりとか滝を断ったりとか修行的な事をして三高平市に帰還、昼食。
 夜は、三高平武道館にて戦闘訓練、模擬戦仲間がいるならそちら。
 女の様に美しいアラストールが鍛錬に汗を流し、其の雫が輝く姿は非常に絵に成るものだろう。
 目指す所は最後の一撃とやら、まだ少し努力は足りていないかもしれないが信念こそ貫けば何時か必ず。

 炬燵に入っているものの、ユーヌを後ろから抱きしめる竜一の図。二倍温かいと解釈すれば良いだろう。
 温かく、いや、これは最早熱いというレベルだ。
 だからこそ汗ばむ二人、既にユーヌの首筋には雫が辿った。其れを掬う様に舌でなぞる竜一に、くすぐったいと一瞬だけびくりと身体が揺れてしまう彼女の身体は彼女以上に正直だ。
 やり返さんと、今度はユーヌが竜一の首筋に息を吹き掛けたとこで竜一の頭の上に電球が灯る。
「よし、モッチーゲーム! 餅を両端から食べてゴッツンコ(きゃっ)という素敵ゲームです」
「また妙なゲームだな」
 結局は其のポッキーゲームの進化型の様なゲームは開始され、想像通りの終わり方をするのだが。
「おや、口端に砂糖がついてしまったな?」
「ん?」
 +α、もう一度彼女の唇が彼の唇を塞いだ。
 体温が高いのは、けして炬燵のせいだけでは無いだろう。少しずつ炬燵の中で器用に動く竜一の腕が、いかにも怪しく誘っている。
 悪戯めいた彼のずるい笑い方に、ユーヌこそ小さく微笑んで。
「ふむ、あまり下がるな。離れると後ろが冷えるのだからな?」
 本当はもう、十分寒く無い程温かいはずではあるものの、照れ隠しで言ったのかは分からない。

 気分転換になる、寒空の下の散歩。
「悠月!」
 そして途中で指を刺されて、マリアに名前を呼ばれた。
「そういえば、中学で1年が終わるまであと少しですね。学校はどうですか?」
「んー、マリア、椅子に座り続けるのが大変だわ」
 小さな手を温める様に悠月は手を握って歩いている。一般的な生活もマリアには過ごす権利はあると思える。
 されど膨らませたマリアの頬は、戦ってる方が楽と言いたげであった。
「これだけ降れば、今年もまた雪合戦なんかも出来るのかもしれませんが……」
 此の先、何が起こるのかは知れた所では無い。
「ベル」
「ん?」
 膝を折ってマリアの目線に合わせた悠月は、彼女を抱きしめた。
 此の小さな世代の為にも終わらせる訳にはいかないのだから。
「ベルのベルは福音のベルよ、祝福のあらん事をーなんちゃって」


「今年ももう終わりか……」
 時は夕暮れ。小雷はふと、厚い雲が覆う空を見た。着込んだコートを擦りつつ、吐く息は目に見えて白い。
「これだけ寒ければ雪でも降ってくるだろうか」
 この街で迎える二度目の冬。人様の家々はイルミネーションに彩られて、クリスマスの足音を感じさせる。
 そういえばと、小雷は思い出した。
 今でも記憶に色濃く残る、広場のイルミネーションを。其方の方へ足を向けた時、ばったりと杏理と目線があったのは其の時だ。
「小雷さん」
「色々大変な一年だったがお疲れ。無事に年を越せそうだな」
「そうですね……でも、あ、いえ」
 まだ何が起きるか分からないと含みを持たせた杏理だが、すぐに表情を変えてにこっと笑った。
 足早に消えた彼女の背。
(杏里のやつ、任務の時は気付かなかったが非番の時はああやって笑うんだな)
 
 結唯は気配で察した。ESPも無いがよくわかる。
「キャッホー! 結唯! 遊びなさい!!」
「こんばんは」
「うるさいマリア……あと杏理か」
 ドーンと勝手に開かれた屋敷扉から、マリアと杏理は雪崩れ込む様に来館。約束をしていたのだ、此の時間にマリアが遊びに来ると。
 こんな場所で何をしているのか、率直な疑問をマリアはぶつけた。
「私が何をしているか、だと? この屋敷の敷地に廃教会があってな、そこに神秘が現れるかもしれん」
 最後に勘だと付け加えた結唯の表情は何処か自信に溢れているのは杏理は察していた。序に嫌な予感もした。
 だから一緒に神秘探求に――と続いたのだが、マリアは兎も角杏理はまずい。
「なに、来ないだと。杏里、それでも構わんが一人でここに残るか、それとも帰るか。どちらかになるぞ」
「き、厳しい、フェイト使用……」
 結局ついていく羽目になるのであろうが、杏理は終始涙目であった。

「マリアさん見ーつけた!」
「何処からよ!!」
 マンホールの蓋を開けた下から出て来た珍粘に、マリアは後ずさりながら驚いた。彼女の探知能力は非戦を介さない辺りが、ひとことで言えばヤバイ。
 結局遊ぶ事にはなるのだが、思いつく遊びはペットとのそれに似ている。それではマリアは首を縦に振ら無さそうで、其の内考えるのも面倒で。
「ええい、抱きしめさせろ!」
「来ると思ったわ、今日こそ回避させていただぎゃー!!」
 気づいたら珍粘の両腕にマリアは収まっていた。
「ふふふー、良いなー。可愛い子をギュッとするのってやっぱり楽しいなー」
 ぎゅっぎゅもふもふもふ。

 1時間後。

「そうそう、マリアさんクリスマスプレゼント考えました?」
「んーんー?」
「私は、ちゃんと決めましたよ。マリアさんが、ちっちゃいままでいますようにって」
 椿さんと一緒ですね、ちっぱい最高です。

「あ……、雪、か」
 静けさの増した夜の公園。快が空を見上げればふわりと雪が舞い散る。
 手の平に落ちた雪が一瞬にして消えて行くのを見ながら、脳裏に浮かんだのは天乃の姿であった。
 紛れも無く彼女の事は好きだった。彼女も同じ気持ちであった事に気づいていた。
 だが、選ばなかった。
 選べなかったと言った方が良いだろう、彼女よりも大事な人を見つけてしまったのだから。
 其の彼女を呼び出すコールが響く。此の胸の高鳴りを選んだ事に後悔は無い。
「ああ、雷音? いや、特に用事ってわけじゃ、無いんだけどさ……」

 じ、と。天乃は座ってみていた。隣に誰か来る事も無いのに、一人分の席をあけて。
 イルミネーションから隠れる様に影がかるベンチに座り、雪の降る空を見上げて、手が丁度お猪口を持つ形になったのはきっと、あの人のせい。
 周囲には愛を囁くつがい達。己と誰かを重ねて、でも、首を横に振った。
 胸をぎゅっと掴んだ。何にも変え難い気持ちを此処に詰め込んで。
 己が命の期限が近い事は、戦いの中に居れば今更な事。より死地へ突っ込む自分なら特に。
「これでよかった」
 其の言葉を言い聞かせる様に思い込ませるように何度も言った。
 でも、駄目なものは駄目で。言えば言うほど、振り切れない思いが只々胸を貫くだけ。
 今日くらいは女として弱くなっても良いはず。誰にも奪われたくなかったなんて言葉では言えるものか。

 本当に好きだった、よ。
 さよなら。

 頭に雪を積もらせながら、天乃はベンチから立ち上がった。雪か解らないが、雫が頬を伝って雪に飲み込まれていった。
 携帯を切り、ふわりと香ったのは覚えのあるもの。逃げる様に、否、振り切る様に、快は最愛の人へ続く道を選んだ。
 二人は思う、もう、二度と戻れないと。足跡は、積雪が全て消していく。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼お疲れ様でございました、結果は上記の通りになりましたが如何でしょうか?

今年も、コラ! リア充コラ! らぶらぶかかせて頂いてありがとうございました!コラ!!
と思う反面、マリアちゃんといっぱい絡んでくれて嬉しいです
深鴇や杏理も心があったかくなりました!この二人、遊ばれているな……!
最後には雪が降りました、雪が降ったわって冒頭で言っているのにまさかの降雪でした
プレイング、下から順番に書いて上から書いたら死ぬと思ったので

楽しかったです、いっぱい頑張ったので皆様の心に残りますよう