●ウィルモフ・ペリーシュ ウィルモフ・ペリーシュと呼ばれる魔術師がいる。 バロックナイツ一位の名を冠するその魔術師は、古今東西全ての魔術を極めたという。さりとて彼はそこに留まらない。さらに魔術に没頭し、様々なアーティファクトを創造した。 そして彼は己の最終目的を『神』を超えることと定義する。だが彼が『神』として見ていた――事実、彼女は異世界の神だったのだが――ニャルラトテップはアークにより放逐される。 その経緯はともあれ、結果として神を出し抜いたペリーシュの矛先はアークに向くことになった。手始めに彼は日本に上陸する。アークは結果としてペリーシュの一軍を食い止めはしたが、当のウィルモア・ペリーシュの持つ『聖杯』の力により、街一つが壊滅状態となった。その脅威に慄くアーク。 そしてペリーシュは街一つ分の人間を飲み込んだ『聖杯』の魔力をいかにも彼らしいやり方で昇華する。それに浮かぶ巨大な城。それを『創造』するために。遥か高みからアークを見下ろし、その主砲で叩き潰す為に。 ●三高平市 三高平市内は騒然としていた。ペリーシュの軍勢に防戦一方なのだ。 一部の地域では勢力を盛り返しているところもあるが、ここ三高平市商店街では散発的に現れるペリーシュの奉仕者達に手を焼いていた。 「あの天空城を見て恐れ慄け!」 「ペリーシュ様に頭を垂れろ!」 「弱き者は死ね! 神の供物となるのだ!」 彼らの目的はアークに決定的な敗北を刻むこと。街を荒らし、天空城に攻め込んだリベリスタを支援するため。破壊行為や誘拐などを繰り返し、自分達の存在を示しながらすぐに姿を消していく。 この奉仕者軍団はペリーシュからすれば捨て駒同然。烏合の衆といってもいい連中だが、取っている戦術自体は三高平を引っ掻き回すのに十分な効果を発揮していた。神秘を使って身を隠し、心理的・物理的な技術で身を隠す。正確な数も分からず、リベリスタたちは疲弊する。 「ふん! こういうときこそ焦らずまず深呼吸じゃ。 向こうのペースに乗っては負けじゃ! 奉仕者が街を完全に攻めきれない以上、まだこちらが有利と思え!」 焦るリベリスタの耳に、一喝するような声が響く。白色の肌を持つ老人。だがその立ち様はむしろ若々しさを感じさせた。その胸にあるバッジが彼の所属を示してくれる。 「『スコットランド・ヤード』のアーチボルト・ダニエル。要請により手伝ってやる。 日本人は嫌いだが、倫敦事件での借りを返すためだ。皆続け!」 行ってダニエルは日本刀を手にして部下を鼓舞する。日本が嫌いなのに日本刀? と首を傾げるリベリスタに『スコットランド・ヤード』の部下は耳打ちする。 「あの刀は『警部』の次女とその夫からのプレゼントなんです。 『警部』は次女が日本人の男と駆け落ちしたのが許せなくて日本嫌いなのですが……心の中では許していたんでしょうね。日本語を覚えたり、任務の前に無理して会いに行ったり」 なんとも面倒な。 だが捜査能力に長けた『スコットランド・ヤード』が手伝ってくれるなら何とかなるだろう。協力し合い、狂信者をあぶり出すのだ。 捜索と退治。厄介な任務だが無視は出来ない。 ここは皆が帰る場所、三高平なのだから。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年12月21日(日)22:07 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「ほー、遂にWPも歯車を動かし始めたか」 『真夜中の太陽』霧島 俊介(BNE000082)はポケットに手を突っ込んだまま、明日の天気を聞いたような気軽さで肩をすくめた。神秘を憎み神を憎む俊介にとって、神になろうとする神秘の天才ペリーシュは滑稽に移るのだろうか。それよりは目先の被害である。 「害虫駆除か。まぁ、何時も通りだな」 同じく肩をすくめる『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)。見つける害虫の数が多いことに厄介さを感じているが、その程度だ。幻想纏いの通信機能をONにし、急ぎ自分の担当区に移動する。手早く行うのが掃除のコツだ。 「絶対に誰一人、死なせない!」 商店街で発生しているテロ行為。それによる被害を憂うのは『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)だ。被害が避難地域まで達すれば、多くの血が流れてしまう。戦える僕達ががんばれば、その被害はなくなるかもしれないのだ。 「神様……ね」 『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)は、ペリーシュを神とあがめる奉仕者達のことを考えながら息を吐いた。神の名の元に破壊を行う者たち。殺人さえいとわない彼らは、その神がいなくなればどうなるのだろうか。 「警部さん達久しぶり!」 ロンドンでダニエルと幾度か共闘したことのある『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)が手を上げて挨拶をする。ゆっくり交友したいところだが、今はそれどころではない。手早く奉仕者達を見つけ出し、街を守らなくては。観光案内はそれからだ。 「全く面倒だな」 『神堕とし』遠野 結唯(BNE003604)は言葉短く心境を告げる。早くペリーシュを討ちたいのにこんなところで足止めとは。だが放置はできない。サングラスの奥から空に浮かぶ城を見た。すぐに向かうから待っていろ、と踵を返す。 「すずきさんのメイド喫茶もこの商店街にあるのよ」 これは『息抜きの合間に人生を』文珠四郎 寿々貴(BNE003936)が服装を問われての返事だ。メイド服。濃紺のフリル付ワンピースに白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス。そしてカチューシャというオーソドックスなメイド服だった。 「市街地での撹乱なんて、また面倒なことをしてくれたものです」 『黒犬』鴻上 聖(BNE004512)は奉仕者の卑劣な行動に頭を悩ませながら、同時に怒りを感じていた。三高平を襲撃するなど許されることではない。この街に手を出したことを後悔させてやると破界器を手にした。 「街の地図は頭に入れたが、おまえ達のホームだから指示と案内はアークに任せる。 手早く見つけんと撤退されるからな。この一時間が勝負じゃ!」 ダニエルが腕を組みながらアークのリベリスタに向かって叫ぶ。スコットランド・ヤードのリベリスタも準備万端だ。 三高平商店街を守るため、アークとスコットランド・ヤードが手を取り合う。そして奉仕者殲滅包囲網を展開するため、急ぎ散って行った。 ● Aブロック。喫茶店などが並ぶエリアだ。 「ここでうまい事立ち回れば、評判上がりまくりじゃね? とか思わないでもない」 この近辺にアルバイトしているメイド喫茶がある寿々貴は、若干打算を働かせていた。勿論奉仕者を見つけ出さないといけないのは確かだ。 スコットランドヤード二人を引き連れて、町を走る寿々貴。魔術の知識を駆使して幻覚の痕跡を探る寿々貴だが、彼女にはもっと大きな味方が居た。 「商店街のお偉いさん方! 危なくない範囲で力貸してくださいな!」 この商店街で働く人たちである。コネクションを駆使し、幻想纏いを通じて情報を共有しながら寿々貴は街を捜索する。普段生活している街である。怪しいところがあればすぐ発見できる。 「馬鹿な、何故見つかった!?」 「弱さだって、力になるんだぜ。そういうので暴力自慢に勝つの、すずきさん大好物」 一気に六人ぐらい発見したこともあり、前衛突破されて少し慌てたとか。 Bブロック。コンビニやラーメン屋などの学生ストリート。 「……」 結唯は無言で鼠の式神を作り出し、創作に走らせる。そして幻想を破るべく瞳に神秘の力を―― (違う。ここは隠密型の罠がある場所だ。透視と望遠の神秘だ) 思いなおし、千里を見る視野で周囲を探る。視界は良好。 「オレは死角や物陰とか隠れられそうな場所を中心に探すよ」 終は駆け出し、耳の感度を上昇させる。街中の音が耳に入り、どこに何がいそうかというのをなんとなく察する。自分の足音を中心に息遣いや布が擦れる音など様々だ。自然な音と不自然な音。それをイメージする。 (式神の知能程度では無理だったか) 結唯は式神による捜索が芳しくなかったことに、無言でため息をつく。式神の頭脳は人間程度。奉仕者の隠密技術はそれを上回っている。 だが、結唯自身の瞳ははっきりと奉仕者を捕らえていた。銃を構えてそちらに向かう。 「みっけ! どんだけ息を潜めても死体じゃないんだから無音は無理だよね」 終の耳もまた、奉仕者を見つけ出していた。どの音が怪しいかをあらかじめ想定しておき、それに基づいて行動を行っていたことが功を奏したといえよう。 「くそ! だがおまえ達をここで口封じすれば!」 「面倒だな。一気に殲滅するぞ」 「あらよっと」 見つかり逆上する奉仕者達だが、戦闘力は二人に比べれば劣る。物の数十秒で鎮圧し、次の場所に向かった。 Cブロック。バスターミナル等がある交通の中心点。 「フェイト持ちを探せばいいかと思ったけど……三高平の人は革醒者率が高いんだった」 落胆する悠里。出会う人のほとんどがフェイト持ちの為、少し手間がかかっている。とはいえ、 「全く迷惑だよね。神を超えるなんて馬鹿な事をしようとしてる奴に付き合わされるのは」 ペリーシュを罵倒する言葉をかけることで、精神的な揺さぶりをかけていた。リーディングで心を読み、反応を探る。関係なかったときは……非常事態なので心を読んでごめんなさいと告げて。 スコットランドヤードの手伝いもあり、虱潰しの作業とはいえそれなりの奉仕者を発見できた。発見した瞬間に拳を振るい、一気に押さえ込む悠里。 「おまえ達なんかに三高平の人たちは傷つけさせない!」 Dブロック。ブティックなどの洋服関係が並ぶ通り。 「どうも、鴻上聖と申します……見ての通り、神父をしています」 「私はシュスタイナ。回復は私ができるから、貴方は主に攻撃をお願いしたいの。あと……貴方のお名前は?」 「エイブラハム・ウィングフィールド。エイブとお呼びください」 聖とシュスタイナとヤードの自己紹介の後、街を哨戒する。 (体力勝負は得意じゃないのよね) 捜索に疲れを示すシュスタイナ。望遠と炎熱の感知で街を探っていくが、姿を見せては身を隠して誘導するタイプの奉仕者を追うには相性が悪い。瞳で追えるが、シュスタイナはそれを追う為の体力が乏しい。 「大丈夫です。追う方は私がします。シュスカさんはゆっくりついてきてください」 そんなシュスタイナに聖が告げて、意識を集中させる。視界を研ぎ澄まし、怪しい場所を検索する。誰かを誘う人、動揺の少ない人などを注視する。逆にものすごく高揚している人も。 「……まぁ、あからさまに高揚している人はいませんでしたが」 捜索範囲が広すぎることもあり、絞るのに時間がかかる。だがヤードの協力もあって数名の奉仕者を発見できた。 「アークのリベリスタ! 神に捧げる供物となれ!」 「鴻上さん。貴方の背中は私が守るから、後ろは気にせず力をふるって頂戴」 「言われずとも」 シュスタイナの言葉に聖が投擲用の刃を振るう。歪んだ魔術師を神と奉じる者たちに加減をする理由はない。 (気にせず、とはいいましたが) むしろ聖はシュスタイナの心境を慮っていた。怖くないはずなどないのに、精一杯の勇気を振り絞る彼女の心を。 だが今は、奉仕者をつぶさなくては。 Eブロック。中学校。ここの体育館が一般人用の避難区域になっていた。その校門に二人のリベリスタが立っている。 「さてヤードのお手並み拝見と行こうか?」 普通の少女を称するユーヌは英国から来たリベリスタにそう告げる。当たり前だが、まるっきり任せるつもりはない。彼女なりのユーモアなのだ。ユーヌ自身も奉仕者を見つけ出すために町を歩く。 「100以上確実に狩り出さないとな」 実際の数はどれほどいるか想像もつかないが、被害を鑑みるに確実に百人はいる。短時間で包囲を敷いて殲滅するのだ。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。五感全てを動員し、街中を歩く。少しでもセンサーに引っかかれば、即座にそちらに足を運ぶユーヌ。 学校を囲むように隠れる奉仕者。それを見つけ、ユーヌは腕を組み、告げる。 「やれやれ、お粗末なものだな? 実は隠れる気が無いのか」 「馬鹿な!? 我々の隠密法をこうもあっさりと……!」 一般人を狙う不埒な奉仕者は、この後すぐに倒れることになる。 Fブロック。オープンカフェに急遽作られた簡易テント。そこが休憩所となっていた。 「よぉ、アーチボルト? 俺、霧島俊介! アーちゃんでいい?」 「好きにせい」 俊介の踏み込んだ自己紹介に、腕を組んで答える日本人嫌いなダニエル。それでも突き放したりしないのは互いにやるべきことがわかっているからか。 「俺、後衛。アーちゃんは前衛、オーケィ? 同じ日本刀愛用組同士、仲良くしようぜ!」 「ふん。無理せず後ろに引っ込んでおれ」 見る人が見れば険悪にも見える答えだが、前後衛の打ち合わせはうまく伝わったりしている。 「とりあえず奉仕者探す。感情操作で敵対的な――」 俊介は感情を探る神秘で周辺の感情を探る。敵愾心の強い感情を見つけ出しそちらに向かおうとした……が。 「そうか。ここには奉仕者憎む人が休んでるのか」 俊介の用いた術は誰に対して憎んでいるかを探れるほど、便利な操作ではない。『ペリーシュに敵対心を持っている』者もサーチしてしまう。ましてや似た感情が混じれば精度は落ちるのだ。 「こういう時こそ、勘。大魔王の勘。いくぜ、アーちゃん」 「地道な捜査が一番だな」 ――こんな感じだが俊介の勘というか精神力は高いので、発見率は高いのであった。 ● 「これで全部居なくなったかな」 最初に担当区域の奉仕者全てを片付けたのは寿々貴だった。三高平の人たちに手伝ってもらったことが大きい。幻想いで連絡を取りながら、回復の居ないブロックに移動する。ダメージ的に厳しそうな悠里のところに。 「やあ、助かったよ」 寿々貴の参戦を手を上げて迎え入れる悠里。その足元には今しがた捕まえた奉仕者。氷の拳で凍らせて、動けなくなったところを一気に抑える戦い方だ。一人ひとりは強くないのだが、とにかく相手は数が多い。 「観念するんだね。ヤードと一緒に商店街にアークリベリスタが捜索している」 「それにしては数が少ない……まさか散って捜索しているのか。はっ、愚かな」 ――今回、アークのリベリスタは重要拠点を重視して守るのではなく、町全体を守るために動いていた。それにより避難所や休憩所が大ダメージを受ける可能性があるが、それでも街のすべてを守ると言う作戦だ。 「はいはーい。あっち近づいちゃ駄目だからね」 終が危険区域から離れるように街の人を誘導する。捜索を続ければ危険な範囲は狭まる。奉仕者が減れば、それだけ安全な区域が生まれる。とにかく動くのがソードミラージュ。最もこの動きは終自身の性格もあった。 (奉仕者たちのこの動き。他の戦場と比べて気色が違うな) 圧倒的な戦力で三高平を責める奉仕者達とは違い、テロ行為に徹するこの奉仕者達。結唯は何かあるのかと疑ったが、考えても答えは出ない。 「神の代行者として、崇拝者は一人たりとも逃しはしねぇよ」 聖は威圧するように奉仕者に挑みかかり、逃すことなく殲滅している。後衛の二人を気にするなとは言われたが、流石に危なくなったら庇う算段だ。誰一人倒れることのないように。それを意識して聖は刃を投げる。 (自分で考える事を放棄した人の末路って……哀れよね) シュスタイナはペリーシュの為に戦う奉仕者を見て、哀れんだ。彼らはペリーシュに見捨てられたらどうなるのだろうか? 見捨てられるどころか、彼らはペリーシュに目すらかけられていないのに。 聖が見つけ、シュスタイナが回復しながら奉仕者を倒す。その抵抗も少しずつ小さくなってくる。 「生憎普通の少女でな? サンドバッグを殴るのになれてないんだ」 ユーヌの担当した地域は一般人の避難区域になっており、そこを狙う奉仕者の数も多い。的確に彼らを探し当てたユーヌは、多数の奉仕者の前に符をかざす。動きを封じ、影人を召喚して殴らせていた。 「ゴキブリ並に湧いて出るものだな」 沸いて出る奉仕者を前にため息をつくユーヌ。後一息と言ったところか。 「俺、殺しは嫌いやねんアーちゃん。そっちも殺さんようにできん? あいつら、可哀想なだけなんよ」 「スコットランド・ヤードは警察じゃからな。基本捕縛じゃ」 俊介は殺さずに奉仕者を捕らえていた。出会い頭に不殺の閃光を放ち、気を失わせていく。 「流石に数多いぜ」 勘だけで奉仕者を見つけ出すには効率が悪い。繰り返されるダメージは、そろそろ看過できない領域に近づいてきていた。敵が集中して狙うと思われる場所の人数を減らした弊害だ。 だがそれは、人が増えれば解決する問題。 「寿々貴さんがきたよー」 「それじゃあ、がんばろうか」 寿々貴と悠里が休憩所の捜索に加われば、発見速度も増す。奉仕者が捕まる数が増えれば、それに伴いダメージも減っていく。 そして―― ● 「流石に全員捕まえるには至らんかったが、これだけ捕まえれば連中も分が悪いと退くじゃろう」 捕らえた奉仕者百二十四人。その数を居て、商店街からペリーシュの奉仕者たちは退いていく。商店街に手を出せば厄介だと思わせれば、それで十分だ。 「逃がしてよかったんですか?」 「下手に追い詰めて自暴自棄になっても困る。今は退かせて、その隙にペリーシュを討てばいいんじゃ」 聖の問いかけに答えるダニエル。彼らの『神』を倒せば、犯罪の原動力を失うだろう。 「彼らにとって、それが最良なのかもしれないわね」 シュスタイナはダニエルの言葉を聞いてそんなことを口にする。自分から考える機会を得るのだ。神に自分を捧げるのではなく、自分自身のために生きて欲しい。 「痛かっただろうが、拳骨みたいなものだ。その痛み、忘れんなよ」 味方の傷を癒しながら俊介が奉仕者達に説教をしていた。今回は一人も殺さずにすんだことが、少し嬉しいようだ。 「あー、疲れた」 終は休憩所の椅子に座り込み、汗を拭っていた。この一時間で動きっぱなしなのだ。ジュースを口にしながら、一息つく。 「……」 結唯は何も言わずに城に向かう。目的はペリーシュの命。銃を手入れし、そして立ち上がる。 「三高平に住む皆の勝利だ。おー!」 勝鬨の声を上げる寿々貴。その勝鬨に三高平商店街の人たちが応えた。奉仕者のテロ行為に手を焼いていた数時間前から一転しての凱旋ムードである。 「ま、被害は少なく収まったほうかな」 三高平商店街全体を守ろう。そう提案した悠里は破壊の爪あとを見ながら頭を掻く。被害はまだ取り返しがつく程度に収まった。 「何、こいつ等にも復興を手伝わせればいい。あの城の片付けもあるし」 空に浮かぶ城を見ながら、ユーヌが捕縛された奉仕者を小突く。これからのことを考えれば、人手はあったほうがいい。 今は無言を貫く奉仕者達も、天空の城が落ちればその考えを改めるだろう。 無事、三高平をを守ったリベリスタたち。 だがまた戦いは終わらない。真に討たねばならぬは、奉仕者達が崇める魔術師なのだ。 ウィルモフ・ペリーシュを倒すべく、リベリスタたちは空に浮かぶ城に向かった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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