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その引き金は軽すぎる

●トリガーハッピーなノーフェイス
「へへ、へへへ……」
 その男は目を白黒させている。白黒させているその目は狂気に彩られていた。
「重い。ずっしりとくる重さだぁ……」
 その手には黒々とした鉄の塊。リボルバー式の拳銃が握られていた。薄暗い部屋の中、男はその拳銃を大事そうに握る。
「撃ちてぇ、撃ちてぇなぁ……」
 彼の手が震える、その右手は今にも引き金を引いてしまいそうだ。
 ぷるぷる、ぷるぷる。
 しばらく震わせていた手を止めた男は、大きな声で叫ぶ。
「ダメだ、我慢できねぇ!」
 彼は部屋の窓を開き、空に向けて銃口を向けた。
 大きく響く銃砲。周囲の人々がその轟音に驚き、また、どこから聞こえた音なのかと辺りを見回していた。
 一方、男は引き金を引いた男は拳銃を握りしめたまま、今度はその身を震わせる。
「気持ちいい、滅茶苦茶気持ちいいぜぇ……」
 体を震えは興奮ゆえか。狂気の顔は快楽で満ち溢れていた。気持ちよくてたまらないと、その態度も語っている。
 しかし、その興奮も徐々に収まってくる。次第に彼は体を震えを止め、その手だけを小刻みに動かす。
「ダメだぁ、まだまだ撃ち足りねぇぜぇ……!」
 男は勢いよく部屋を飛び出す。その手に拳銃を握りしめたままで。

●発砲は誰も幸せにはしない
 リベリスタ達が1人、また1人とブリーフィングルームへと集まってくる。そこにはすでに『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の姿があった。
「依頼。説明するけれど、準備はいい?」
 相変わらずの無表情はイヴ。それに慣れっこのリベリスタ達が首を縦に振ると、イヴは口を再び開いた。
「とある住宅街でノーフェイスが発生した。皆にはこれを討伐してほしい」
 男の名は白鳥・実(しらとり・みのる)、25歳無職。両親と共に暮らし、基本自宅で引きこもっている彼はある手段を用いて一丁の拳銃を手に入れた。この地点までは、白鳥は普通の人間であったと思われる。しかし――。
「この拳銃はアーティファクト。白鳥はその影響でエリューション化した」
 フェイトを得られぬ白鳥は、手にした拳銃を撃ちたいという衝動に駆られることとなる。我慢ができなくなった彼はついに自宅の部屋から外へと発砲してしまう。それでも内なる衝動を止められない彼は、その後自宅から外に飛び出し、手当たり次第に目標を定めて発砲してしまうのだという。
「普通なら、大したことのない敵。でも、崩界が進んでいる今の状況だと、危険な敵になってしまっている」
 フェーズはすでに3。将軍級まで進んでいるようだ。欲に忠実なこともあり、さらに強力に進化してしまうのではと懸念もある。
 また、白鳥は己の邪魔をする者に、配下の男性2人を差し向ける。自身と同じく拳銃を持ち、暴発させる輩達だ。フェーズはいずれも1。いずれもオートマ銃を手にしているが、この銃は一般的な銃のようだ。こちらは対して強くはないものの、白鳥討伐において障害となるだろう。
「白鳥は危険な相手だけれど、今ならまだ、皆の手で止められる。できる限り情報を出すから、慎重に対処して」
 イヴの願いを最後に、ブリーフィングは終了する。リベリスタ達は席を立ち、ノーフェイスの討伐へと赴くのである。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:なちゅい  
■難易度:HARD ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 6人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年12月15日(月)22:11
 初めましての方も、どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
 一丁の拳銃を手に入れた男。どうやらノーフェイスとなってしまったようです。彼の討伐、及び、拳銃のアーティファクトの回収を願います。
 以下、詳細です。

●目的
 ノーフェイス、白鳥・実の討伐。
 及び、アーティファクト『乱射幸福』の回収、もしくは破壊。

●敵
・白鳥・実(しらとり・みのる)、25歳無職。フェーズ3。
 スターサジタリーのランク3と同様のスキルを使いこなす。(魔弾の射手は除く)
 銃器熟練LV3、精神無効II、魔眼を活性化。

 父、母と3人で暮らし、基本自宅に引きこもって生活している。とある手段でリボルバー式の拳銃を手に入れ、それによってノーフェイスとなってしまう。

・配下、20代男性2人。フェーズ1。
 スターサジタリーのランク1と同様のスキルを使用。自我がほぼなく、白鳥の意のままに動く。

●アーティファクト
 『乱射幸福』……見た目は普通のトリガー式の拳銃。
 持ち主に強力な力を与えるが、同時に撃ちたい衝動に駆らさせる。
 著しい破壊力を持つが、変わりに持ち主の精神に影響を及ぼし、
 常に混乱を誘う。(毎ターン混乱判定有、ただし、白鳥には影響がない)

●状況
 白鳥はとある日の昼、衝動的に自宅、自室の窓から発砲を行う。
 その後、彼は外に出て、自宅周辺で見境なしに発砲を行うのが予見されている。
 周囲は閑静な住宅街だが、主婦が行き来することも多く、白鳥が外に出たタイミングでも数人の主婦が行き来、または井戸端会議を行っている。

 それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
参加NPC
 


■メイン参加者 6人■
ハイジーニアスデュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ハイジーニアススターサジタリー
ウィリアム・ヘンリー・ボニー(BNE000556)
★MVP
ハイジーニアススターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)
ハイジーニアスソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ジーニアスホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
ハイジーニアス覇界闘士
青島 由香里(BNE005094)

●幕開けは銃声で
 閑静な住宅街。
 とある区画は現在、通行止めとされている。一足早く現場にバイクでたどり着いた『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)が、戦闘区域となるであろう周囲の封鎖を行っていたのだ。
 凛子はそこで買い物かごを持つ主婦を発見すると、近くでガス漏れがあったからとこの場からの避難を促す。
「急いで」
 主婦はあらあらと声を上げ、そそくさと立ち去っていった。
 別の場所では主婦達が立ち話をしている中、1人の営業マンが近づく。
「少しお時間をよろしいですか?」
 スーツ姿で現れた『はみ出るぞ!』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)はごく普通の営業マンを装い、井戸端会議を行う主婦に声を掛ける。いい男と見つめてくる主婦達を竜一が魔眼で見つめると、虚ろな顔をした主婦達は自宅へ、買い出しへと、散開していく。
 よしよしと頷く竜一との依頼でテンションが上がっているのは、『狂気的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)だ。
(久しぶりにお兄ちゃんと一緒のお仕事きたー!)
 仕事前にはお兄ちゃんぺろぺろと竜一にべったりと付き添っていた虎美。大好きな兄と一緒にいたいという気持ちを少しだけ我慢し、彼女も依頼に当たっている。虎美はまず超直観で狙撃ポイントを念入りに選定し、白鳥の自室窓を狙うことができる場所を決めていた。
「よし、いいところ見せてさっさと終わらせて一緒に帰るんだ!」
 彼女の行動は全て兄の為に。彼女の頭の中はすでに事後に兄を再びぺろぺろしたいという妄想で一杯になっていたようだ。
 他のメンバー達も状況を見守りつつ、AFで連絡を取り合っていた。可能な限り、メンバー達は打ち合わせを行う。
「結界も張って封鎖は完了致しました」
 周辺の封鎖を行っていた凛子から知らせが入る。後は白鳥が動きを見せるのを待つのみだ。
「そりゃね、人によって事情なんて色々あるから」
 『』青島 由香里(BNE005094)は語る。ニートが格好悪いとか人間働かない奴は駄目なんだー、みたいに一般化するのはあたし嫌いだけど、と。
「でもねー、乱射事件は駄目だよねー」
「一般人さんが簡単に銃を手に入れられるとか何それ怖い」
 銃がアーティファクトじゃなくても問題だねと、『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)は顔をしかめさせる。彼は集音装置を使って白鳥本人が部屋にいること、母親だけが在宅であることを予め確認していた。
 そこで、事前に可能な限り白鳥家の間取りを調べ、その地図を広げる『ザ・レフトハンド』ウィリアム・ヘンリー・ボニー(BNE000556)がぼそりと呟く。
「……見ちゃ居られねえな」
 本人曰く、お手軽に強い銃を手にすれば、通る道なのだと。ならば、そう語るウィリアムもまた、とメンバー達も思わずにはいられない。
「うん? オレか? 勿論通った。だからこそ……よ」
 パァン!
 住宅街に銃声がこだまする。それを聞いたウィリアムが、自宅窓から顔をのぞかせる白鳥へと目を大きく見開いた。
「……イラつくんだよなァ」
 ウィリアムがやや語気を強めて言葉を吐き出したその瞬間、虎美が目を光らせる。
「行くよ!」
 ミニスカートから伸びた脚線美。そこに巻き付けられたホルスターから銃を取り出した虎美はすぐさま引き金に指を掛ける。
(銃使いにとって、利き手は大事だよなあ……だが)
 ウィリアムはそう考えるが、白鳥の利き手に関する確実な情報が得られない。それでも、拳銃を構えていたウィリアムは虎美の動きに合わせて銃砲を放った。
 パン、パァン!
 乾いた銃声が2つ響くと、白鳥は窓を閉じる。窓ガラスにヒビが入り、ガラガラと崩れ落ちた。その上で、白鳥の肩をウィリアムの銃弾が穿つ。
 リベリスタ達の存在に気づいた白鳥も、彼が割れた窓から虎美目がけて銃砲を放つと、虎美もまたそれをうまく避けて見せた。
 それを合図に、皆、一斉に動き出す。リベリスタ達は白鳥宅へと突入し、白鳥も部屋から飛び出した。階段をドタドタと荒々しい音を立てて駆け降りる白鳥に気づいたメンバー達は、彼を迎え撃つことにした。

●暴発する凶銃
 メンバー達は2階から降りてくる白鳥を誘導する。家にいるはずの母親にも配慮しつつ、かつ、一般人に被害が出ないよう家の敷地外へも向かわせずに、庭へと誘導を図る。
 一方の白鳥は獲物を見つけたと瞳を爛々と輝かせ、嬉々としてリベリスタへとついていく。
「待て、待てよぉ!」
 庭へと向かう白鳥を、竜一がダメ押しとばかりに巨大エネルギー弾で後ろから吹き飛ばす。庭へ押し込められた白鳥を、リベリスタ達は入口を背にして相対する。
 こうして、両者は庭に降り立って睨み合う形となった。
 ウィリアムが注意深く白鳥を観察すると、彼は正気を保っているようにも見えるが、銃を持つ右手が震えている。
(利き手も右手で間違いはねぇだろうが……)
 その手が震えているのは、アーティファクト『乱射幸福』が撃ちたいという衝動を常に白鳥へと与えているせいだろう。
「いいぜぇ、お前ら最高の的だぜぇ!」
 尤も、白鳥はその衝動に身を任せはしない。エリューションとしての力がアーティファクトの力を抑えつけ、『乱射幸福』を律してみせているのだ。
 対する6人のリベリスタ達。この場を訪れる一般人がいないことを確認した由香里が前へと進み出る。
(アタッカーは多分足りてるし、打たれ強さはともかく、避けること考えたらあたしが一番耐えられそうだしね!)
 早速とばかりに、由香里は蹴りから生じた衝撃波を白鳥へと浴びせかけた。
 さらに、終もまた、白鳥のブロックを行うべく前へ出る。
「やっほー☆」
 距離を一気に詰めた彼は軽く白鳥へと呼びかけた。そして、魔力のナイフを素早く振りかざし、一閃させる。
「おにーさん、いい銃持ってるね☆ 試し撃ちならオレにしてみない??」
 彼はさらに、すざましい勢いで冷気を帯びた短剣『氷棺』を振るい、周囲に氷の霧を生み出した。自身の体が凍り付くことは避けた白鳥だが、その体からはかなりの血が流れ出ている。
「そんなに撃たれてぇのか、望み通り蜂の巣にしてやるぜぇ!」
 彼は周囲へと弾丸を撃ちまくる。それらはリベリスタ全員に誘導魔弾を浴びせかける。その物量がリベリスタ達を圧倒していく。
 その上で、白鳥を援護するように、彼へと付き従う配下2人が現れていた。のそり、のそりと歩く男達に自我はなく、さながらゾンビのようにこちらへと銃を突き付けてくる。
 対するリベリスタ達。自身の動体視力をウィリアムは極限まで強化していた。彼はそのまま、皆に合わせて配下の殲滅を図る。
「重力からの戒めから解放する」
 凛子も皆のサポートをと、敵の銃弾を避けられるように仲間達へ小さな羽を与えていた。全員の体が地面から離れ、少しだけ浮き上がる。
 ふわふわと少しだけ宙を浮くリベリスタ達に、ノーフェイスは銃の照準を合わせた。
「へへ、撃て、撃つんだよぉっ!」
 リベリスタ達が戦闘態勢を整える間、男達へと白鳥が指示を飛ばす。男達はそれまでとは打って変わった速さで、構えた銃から引き金を引く。銃弾に打ち貫かれた竜一は、そいつらを止める為に、戦気を纏って比類なき破壊の力をその身へ宿す。
「お兄ちゃん!」
 虎美は素早く銃を構え、配下へと光の柱を撃ち放つ。配下を狙った光が配下の1人を貫き、さらに白鳥の体も貫いた。
「いてぇなぁ。これはたっぷりお礼をしねぇとなぁ」
 くくくと含み笑いを漏らして顔をゆっくり上げる白鳥。狂気の瞳と、銃口がリベリスタ達へ差し向けられる。
 彼が引き金に指を掛けたタイミングで庭へ飛び出してきたのは、白鳥の母。庭先で繰り広げられる戦いの音が気になって出てきたようだ。
「実ちゃん、一体どうしたの?」
「面倒くせぇババァだなぁ!」
 日の母親に銃口を差し向ける白鳥。母親を庇うように、由香里が前へと立ち塞がると、白鳥は構わずに引き金を引いた。針の穴を通すほどに正確なる射撃が由香里の胸に撃ちこまれた。即座に凛子が大いなる存在へと呼びかけ、由香里の傷をケアする。
「気張っていきましょう!」
 元気になった彼女へと、凛子は微笑を浮かべていた。
 さらに、竜一がすかさず母親の顔を覗き込み、この場を離れるように魔眼で暗示をかけると、母親は虚ろな瞳で家の中へと戻っていく。
「うぜぇなぁ、ババァも。これ見よがしにスーツ着たてめぇもよぉ!」
 仕事を全くしていない白鳥にとって、口うるさい母親も、仕事をしている営業マン風の竜一も、鬱陶しい存在でしかないのだろう。それらを全て消してしまおうと、彼は配下と共に銃弾を滅茶苦茶に撃ちまくるのである。

●銃弾乱れ飛ぶ庭で
 リベリスタ達はそれぞれの役割を果たしつつも、ノーフェイスの殲滅に当たる。
 白鳥は『乱射幸福』をこれでもかと撃ち放つのだが、抵抗してくるリベリスタへ撃つのが面白くなくなってきたらしい。ちらりと家の敷地外へと視線を走らせる。
 しかし、白鳥へと張り付く終がそれを許さない。
「逃がさないよ、よそ見すらもね☆」
 眼帯で左目を隠している終だが、見えている右目が鋭い視線を白鳥へと差し向ける。彼が振るう氷の小剣が、今度は白鳥の体を氷で包み込む。
 氷像と化した白鳥に、由香里の放つ衝撃波が襲う。体を痛めながらも、白鳥は氷の中から抜け出て見せた。
「こんなんじゃ、俺は止められねぇぜぇ!」
 狂ったように吠える白鳥は『乱射幸福』から光の柱を撃ち出し、終の体を貫いた。
 配下達も白鳥の意のままに、銃弾を飛ばす。しかしながら、配下のノーフェイスとしての力は、広範囲に攻撃を飛ばし、かつ、的確に狙い撃つリベリスタによって弱まってきていた。
 配下の攻撃で腕を銃弾で貫かれていた竜一は、その腕を庇いながらも配下を憐れむように見据える。
(こいつらだって、好きで従ってるんじゃないんだろう)
 男達は白鳥の身勝手な考えで、強引に付き従わされているに違いないと、竜一は考えを過ぎらせる。そして、彼らがもう自我を取り戻す可能性が低いことも。
「……だから、手早く倒す」
 限界を超えた力で、竜一は配下を叩き斬る。真っ二つに切り裂かれた男は、叫ぶ間もなく庭先に転がった。
 同じく配下へと狙撃を行っていたウィリアムはここぞと銃を構える。全神経を集中させたウィリアムの1発。その死神の魔弾が配下の眉間を捉えた。そいつは頭を吹き飛ばされ、動かなくなってしまう。
「情けねぇなぁ。もっとぶっ放せよぉ!」
 倒れた配下をも巻き込みながら白鳥が誘導魔弾を撃ち放つと、リベリスタ全員へとそれらは命中していく。もちろん、前線で彼を抑える終、由香里にも魔弾はヒットしており、2人に瀕死の重傷を負わせていた。白鳥を抑えるのが2人がかりでなければ、フェイトを使っていたことだろう。
 自身の傷を気に掛ける凛子。しかし、女医である彼女は自身以上に、白鳥を抑える2人の傷を気遣う。
「医とは仁術なり!」
 凛子は術式を組み上げ、『全ての救い』と呼ばれる大魔術を顕現させ、仲間達の傷を癒す。
 これに、白鳥はさらに苛立つ。リベリスタが抵抗するのがひどく気に入らないのだ。
「うぜぇなぁ、的は大人しく倒れてろよぉ!」
 再び銃を乱射する白鳥。しかし、リベリスタ達はそれに持ちこたえて見せる。
 月の女神からの加護を受けていた虎美が銃弾を放つ。その一発が白鳥の右手を撃ち抜き、『乱射幸福』が零れ落ちた。
「拳銃の引き金を引く覚悟。撃つ覚悟と、撃たれる覚悟ってのを!」
 竜一の言葉を聞いた白鳥。しかし、それを彼が理解する前に、竜一の放った巨大エネルギー弾が白鳥自身を包み込んだ。
「もっと、もっと……撃たせろぉっ……!」
 庭を光が埋め尽くす。その光が収まると、そこには黒焦げになった白鳥の遺体が転がっていたのだった。

●人を惑わす銃
 銃声が幾度も響いた民家も、ようやく静けさを取り戻す。
 倒れた白鳥の手から零れ落ちたアーティファクト、『乱射幸福』。改めてメンバー達がそれをまじまじと眺めると、銀色の銃身が怪しく輝いているように見えた。うまくリベリスタ達の攻撃から難を逃れていたようで、今もその機能は失われてはいない。
 それを見たリベリスタ達は、壊れていないアーティファクトならば、また誰かの手に渡る前にこの場から持ち去るべきだと皆の意見が一致する。ただ、そこで、『乱射幸福』を手にしたいと強く懇願してきたのはウィリアムだった。
「駄目だったらオレを止めてくれ。試してぇんだ」
 鉄心を活性化し、覚悟を決めていた彼に、メンバー達はやや圧倒されてしまう。
 メンバー達の同意を確認したウィリアムは屈みこみ、ゆっくりと『乱射幸福』を手にする。
「――引き金は挟持の重さ。銃に決められて堪るか。オレが、決める、物だッ!!」
 『乱射幸福』を握りしめるウィリアム。仲間達は何かあった時の為に備える。
 …………その時、ウィリアムの手が動き、銃が暴発を始める。メンバー達は『乱射幸福』に狙いを定めて攻撃を繰り出すと、その銃は銃身が曲がってしまい、怪しげな光が急激に薄れていった。
 我に戻ったウィリアムは、その凶銃の力に打ち勝てなかったことで悔しさをにじませる。
「少し惜しいけど、私には愛銃があるから別にいいかな」
 べったりと兄、竜一にくっついていた虎美は、少しだけ残念そうに壊れた銃を見下ろしていた。
 その後、終がアークに連絡する。戦いによる惨劇を白鳥の両親が目にする前に、アークの処理班に銃の回収と、遺体の処理を依頼していたのだ。
「人を狂わせるアーティファクトの事件が一つ解決ですね」
 凛子は事なきをえた事件の顛末を見届け、しみじみと語った。

 戦いを終え、リベリスタ達が撤収した後、処理班に交じって1人残っていた由香里が白鳥自室のパソコンを覗き見る。
「アーティファクトを入手した手段が何か分かれば……」
 パソコンのメール、WEBメールやSNS履歴を見る由香里。懸命にキーを打つ彼女は何か手がかりを掴むことができるだろうか……?

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
STのなちゅいです。リプレイを公開いたします。

個々の役割がはっきりしており、
素晴らしい手並みでのノーフェイスの討伐、
実にお見事でした。
МVPは悩みましたが、
ターゲットの狙撃、戦闘での戦略など、
幅広く活躍されたお兄ちゃん大好きなあなたへ。
また、アーティファクトの狂気性に
正面から挑んだ行為には恐れ入りましたが、
判定は難易度相応にさせていただきました。
ご了承くださいませ。

この度は参加していただき、
誠にありがとうございました!