●偽証戯画 画面の上をペン先が踊るように滑っていく。するすると描かれる軌跡は指先が別の生物として動いているかのようで、それが一種の芸術ですらあるように感じられる。その人物がタブレットに何事かを描き込む様を記録した映像というのは、本当に心から、それを楽しんでいるようであった為、少なくとも全く以て、何の気の衒いも無い純粋な創作活動をしているように思えた。 少なくとも、彼だけにフォーカスするならば。 僅かに画面が引かれると、その状況は決して彼が真っ当な創作者などではないことが伺える。元は漆喰特有の白であったろうに、赤黒く、或いは他の雑多な色で染め上げられた壁面は決して清潔感や真っ当なものではないことが分かる。 そして、彼の眼前で椅子にもたれかかる人影もまた、真っ当な有り様を示しては居なかった。 有り体に言えば、拘束されている。手足はしっかりと枷を嵌められ、抵抗する気力すら奪われたその全身を傷が覆っている。目に光はないが、相手の一挙一動に明確に怯えている様子だけは伝わってくる。 鼻歌交じりにペンを走らせる青年に同期するように、男の肩口に細い針が顕在化し、最初からそうであったかのようにたやすく貫く。小さい呻きの後に、更に一本。痛覚を訴える声に尚筆は止まらない。 「初めは非現実的な槍とか? そういうのもアリだとは思ったんだけどそれじゃ血がせき止められるから具合がわるいんだよなぁ、スプラッタってのはもっとこう、派手じゃないと。だろ?」 「ひ」 ひきつった表情からは絶望か恐怖か、はたまた歓喜なのかすらも読み取れない。既に、それらの感情から隔絶されているのかもしれないが。 男の映像として最後に残ったのは、背後に現れた円筒形のなにか。それが『形作られていく』過程。 カメラの視点が移動し、最後にはしとどに流れる赤い液体だけがあった。 ●貫く信念、疑惑、虚構 「……以上が、アーティファクト『画匠シェフネッケル』を用いて行われた殺人事件のうち一件の映像です。被害者は殊の外多いです。ただ、アーティファクトの特性上、大量殺傷には繋がっていないのだけであり、フィクサードが関与している以上は性能が低いまま……というのは先ずあり得ないでしょう。何らかの形で被害が増大するより早く、これは回収する必要があります」 「回収するのはいいが、情報が少なすぎる。補足のひとつくらいしてくれ」 大体のメカニズムは理解したが、それが正しい認識かは分からない。それでは話にならない、と。『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)の説明に、リベリスタの一人が肩を竦める。実際、彼の言うことは一理ある。回収にかかるリスクがリベリスタの精鋭を揃えて叶わない悪夢であっては話にならない。備えの度合いと、危険性との兼ね合いを理解せねば戦うに足る条件は揃わない。 「確かに。それでは、先ず『画匠シェフネッケル』の性能は……いま見て頂いた通り。『描いた物体の現実化』。既存物質、人体すら透過して顕現するのを見ると干渉能力は相当でしょう。壁を砕いたりも出来るんじゃないでしょうかね。デメリットとしては、今あった映像通りなら、という前提ですけれど。『描き上げないと意味が無い』。ですから、出来上がる前に邪魔してしまえば顕現途中の構造物は跡形なく消滅します」 「それって、その。物凄く脆い性能じゃないか? 邪魔し続けるのも、書かせないのも普通に出来るじゃないか」 「相手が三流だったり、単独犯なら。そうでしょうね」 リベリスタの発言は尤もだ。能力と制圧力の天秤があまりにタイトなそれは、妨害するのが容易すぎる。そんなもの、そこそこ制圧力のあるリベリスタ組織なら容易に撃破できるだろう。 それもままならないということは、相応の理由がある、ということ。 「作ることが出来るんだから私兵を作り放題、とか言うんじゃないのか?」 「ご明察。無制限に作り出せるわけでも、維持するのにリソース無しというわけにも行かないでしょうが、相応の手勢を作ることは出来る様です。とは言え、ひっそりと拉致を繰り返す為に大群を率いたら割にあわないでしょう。精々、自衛が出来れば御の字ってところでしょうとも」 「ところで、問題の相手はフィクサード一人か?」 「ええ、どうやらその様ですね。発見がもう少し遅れていれば、スカウトに動いた七派が居たのかもしれませんが、被害者が少ない今、取り急ぎ制圧する必要があります。実際の現場は狭いでしょうが、一歩出れば相応に広い。殊更に戦場を狭める必要も無いでしょう……それと」 小さく咳き込み、夜倉は視線を鋭くする。 「さきの映像、未来ですからね。一人の命の所在は君たち次第ということです。健闘を祈ります」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年12月14日(日)22:08 |
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■メイン参加者 7人■ | |||||
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● 寒々とした空に、いやに冴えた月が映える。 その月に翳りをもたらしたそれが何なのか、男は気付かないはずもない。 「大掛かりなのはお家芸なんだろうけど、始まる前に終わった後の算段とは随分と呑気なものじゃないか、アークって組織は。そういう軽々しいやりくちは嫌いじゃないぜ?」 「一から十まで贋物、借り物、紛い物。そんなお前さんが軽々しいなんて罵れたクチじゃなかろう」 贋作家の名前を継ぎ接ぎし、どこまでが冗談かもわからぬ体で佇むエルミアを前に、『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)も面白く無いと述べるように肩を竦めた。『算段』を練ったのは『ウワサの刑事』柴崎 遥平(BNE005033)、その経歴より築いたパイプに他ならないが、それでも地上に降りることが容易であるとはパイロットも考えなかったらしい。とはいえ、無為に待機していられる時間はそう長くもない。早々にエルミアの無力化を為さなければ、助けられる命も助けられないだろう。 「一般人は中か……早めに助けたいところだけど」 針が刺さっている状態のまま放置されているのであれば、劇的な出血は避けられるかもしれない。だが、既に流れた血によるショック症状は避けられない。『K2』小雪・綺沙羅(BNE003284)の危機感も尤もであり、救出出来るなら早々に行いたい、というのは本音だろう。スピーディーな勝利は遠ざかるが、広義に「アークとしての達成」を為すには不可欠な要素でもある。数で勝る以上、選択肢は多いほうがいいのだ。 既にススキを物ともしない位置で足場を固定させたリベリスタ達にとって、エルミアの撃破は容易に思えた。だが、彼だけではその状況は起こりえなかったろうということだけは、わかっている。 「音楽も絵画も同じ芸術、敬意を持って対応させてもらおうかと思っていたのだが……ミスター、残念ながらワタシにはアナタの描く絵には芸術性を感じられないのだよ」 「同業者の芸術に対して敬意もなにも無い。芸術とは相手のそれに対する対抗心と至らなさに対する苛立ちとでどこまでも駆け上がれるものだ……違うか?」 「独自性ばかりが目について芸術と呼ぶこともできませんね。ただの加害欲求でしょう」 芸術の語らい、その俎上に乗せることも出来ない悪意にわずかに眉を寄せた『「Sir」の称号を持つ美声紳士』セッツァー・D・ハリーハウゼン(BNE002276)の抗弁は、エルミアには届かない。そんな彼の身勝手な言い分は、芸術に関心の薄い『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)には尚の事理解出来るはずがない。自らの芸術とやらを正面から否定された事実は、その男にとってこの上ない愚弄だったことだろう。……果たして、そこまで理解した上で語っているかは扠置くとしても。 「お前さんが分かり易い相手で助かるよ」 「言ってくれるぜ。分かり易いかどうかは、その身体で理解すりゃいいって話だ」 全身に気を纏いながら構える『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)に対し、エルミアの肉体は既に異形の文様を刻み込んで構えていた。だが、その得物は暗黒騎士には似つかわぬ文明の利器そのもの。神秘の仲介機として齎されたそれは、見る間に禍々しい気配を増しているのが理解できる。そこから音もなく現出する影は、既に完成された攻撃性。現れた影の後ろで、冴えた月夜が淀んだ殺意を映えて空気を歪めた。時間は、彼らにそう余裕を与えてはくれないだろう。 ● 「こんばんは~☆ お絵かきよりもオレとお話しーまーしょ?」 声の調子とそのステップは何処までも軽く、それでも一撃の威力は重く。『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)の両腕が閃き、エルミアの胴を薙ぎ、その身をぐらつかせた。だが、その意志に一片の揺らぎが無いことは明らかで、痛みすらも糧にして立つ人種である事実は疑いようがない。終に注がれた視線の冷ややかさは、この男がどこまでも悪意に塗れていることの絶対的証左でもある。 「他人と語らったところで痛めつける相手が減るだけだろ? それじゃつまらないんだよ俺はさ」 義衛郎が放った雷撃に一歩引きつつ、その視線を僅かに上げて応じた彼がペン先を掲げ、終の鼻先であしらうように振り抜く。直感的に回避に動いていなければ、十全に発揮された苦痛に動きを縫いとめられていたことだろう。だが、回避した先で手傷を確認する暇は与えられない。鈍重そうな肉体からは考えられぬ速度で、肩からぶつかってきた巨像が終を退け、誇らしげに立ち塞がったのだ。 「ロートル相手なら押し通れると思ったかい?悪いが通行止めだ」 「……ここで止めてみせましょう」 続く二体がリベリスタの後方、綺沙羅とセッツァーを視認したことで前進するが、それを容易に素通りさせるほど、手勢は薄くはない。遥平とアラストールが抑える形で割り込み、正面から豪腕を受け止めて踏みとどまった。アラストールの声に若干の間があったのは、背を貫いた針が為か。さしたる痛撃ではないにしても、不意打ち同然の角度と精度に意識を割くなというのは、些か無理のある話でもある。 (出来るだけ急ぎたいのに、数も位置も厄介……) エルミアの手勢とリベリスタとの激突を背景に、綺沙羅はその背後に顔を出す地下への入り口へと前進する。半ば乱戦になっている状況でのフラッシュバンは狙いが面倒で、適切に範囲に巻き込めたのは精々、エルミア一人。逆に言えば、最も厄介な相手の手を止めたということでもある。ほんの僅かな焦りを覚え、その距離を見据える目には些かの翳りもない。 「さぁ、ワタシの奏でるこのメロディであるべき場所へ帰るがいい」 「何処に帰るべきなのか、何処が在るべきなのか、教えてくれや芸術家(アーティスト)。面白みもない一般論じゃ何処にも行けないぜ?」 閃光の余波に顔を覆いながら、エルミアは尚饒舌だった。足元に漂う圧倒的な魔の気配が、混戦に対する適正が低いと理解しているかのようだ。戦場は広くとも、彼らの戦闘が混戦の途にある以上は無為に大仰な動きは許されない――強大な能力のコントロールは、小規模な戦場でこそより要求されるものである。 「趣味嗜好だけで動いている奴の言葉じゃないな」 顔を上げたエルミアの正面に踏み込んだ義弘のメイスが、大上段から叩きつけられる。轟音を上げて炸裂した一撃が胸骨を強かに打ち据え、彼の身を奔る刻印を刻んで消していく。だが、それでも男の口から迸ったのは苦鳴ではなく、濁りきった、怒りの絶叫。 戦場を背に、地下室の闇を駆ける綺沙羅の背を打ったのは、リベリスタ達の放った光に満ちた攻勢ではなく、一人の悪意から吐き出された闇だった。 ● 怒りと呪言で濁った眼で佇むエルミアは、既にその正気を半ば以上失っているようにすら見えた。 掲げられた右腕が義弘のメイスとかち合うのとほぼ同時に、踏み鳴らされた巨体の足がすすきを歪に揺らす。前線で足止めを行う数名に手抜かりなど無いにせよ、守りを固めるレベルには限界が必ず、存在する。 虚空に空けられた異界の穴が毒を吐き出し、自らの操り人形すら巻き込んで悪意を散らす姿は実に自滅的。初めから、彼の目的がそれであったかのような錯覚すら覚える。 「自分から巻き込みに行くとは思わなかったがな」 「消耗品に気を遣うほど俺だって暇じゃあないさ。邪魔に邪魔を重ねられてハイそうですか、って五体満足でお前らを返してやるほどじゃねえからな」 鮮やかに揮われたペンの先が描いた虚像は、彼の眼前で像を結んで顕現する。数的優位こそリベリスタに譲れど、そのタフネスは通常の存在とは大きく異なる。 横合いから拳をふるわれ、弾き飛ばされつつ“三徳極皇帝騎”を地面に突き立てんとした義衛郎の眼前で、圧勝でも危機でもなく淡々と、均衡を以て戦闘が続く様は薄ら寒い予感すら覚える。 実力的に遜色無いレベルのメンバーで挑んだ戦いで、ここまで時間と労力、意志力に翳りを与えるなど……考え、そしてそれが愚問であることを理解する。 戦場に於いて相手の覚悟と認識が如何ばかりかは伺えないが、勝利を度外視した戦いに徹底していることは違いない。 くずおれ、膝を折って血を吐いたアラストールの瞳の輝きが、硬い意思力からくるそれを凌駕し、死線に触れる如くの危険なものへと変化する。ともすれば動きを止めた方が楽になるだろうに、それはプライドとリベリスタとしての命運とやらが許さない。剛剣以外の戦い方を知らぬ、或いは捨ててきたその身に打たれた鞭は或いは、生き方の決定を促す為の『それ』なのかもしれなかった。 他方で、セッツァーの表情に僅かな曇りが見て取れたのを、戦線を維持する前衛は知る由もない。潤沢な魔力が枯渇する程の危機など遠かれど、しかし彼の『思い通り』には戦場は動かない。魔力は量ではなく威ではなく、指向性の有無であることを理解するには、この戦場の密度はあまりに濃い。 (なまじ絵の才能や創造力を備えた人間だったら、このアーティファクトをどう活用されたか分かったもんじゃない……) 遥平の懸念と安堵は尤もだった。エルミアが何処までアーティファクトの特性を理解しているかは分からないが、爆発物すらも具現しかねないそれを単純な殺人にのみに終始したことは被害を抑えるのに一役買ったと言えなくもない。味方と重なり合った敵方を貫く為に、僅かばかり指向性を変えて放った魔力が夜気を裂いていく。 “LAWMANS' 2.5インチリボルバー”を握る手指が握りこんだ汗は、拮抗した戦場への危機感ではなく、恐らくは先の懸念を払う為に流されたものなのだろうか。 漠然とした不安が闇の中にある。伸び上がった気配と影とが周囲一帯をより黒く染め上げる。 地下から駆け上がる足音が響き、戦場へと投じられた閃光が永劫とすら感じられた雌伏を覆す。 崩れかけた決心を運命で叩き起こした者も、強固な意思で立つ者も、無論、悪意に歪んだ者すらも。 地下から『一人で』現れた綺沙羅のやり遂げた表情に、この戦闘と正義との趨勢を垣間見たことは、何より明らかであったといえるだろう。 ● 「よそ見しちゃやーよ☆」 終の軽快な言葉とは別に、その動きの怜悧さはより鋭さを増しつつあった。 正面から打ち合い、或いは凌駕し、確実に動きを止めにいく彼の動きは相対する人間からすればこの上ない脅威だろう。無論、彼一人が全てでは無いのだが、それでもその役目は重いところにあるといって過言ではない。 すすきの只中に半身を埋めたアラストールを、セッツァーを、運命は予断を許さず引き上げる。死線の先で活性化していた意地は潰えたかもしれないが、それでも未だ戦うに足る力も、意思もある。追撃に前進した虚像を祈りで弾き飛ばし、アラストールは深く踏み込んだ。 闇を纏って攻勢に転じたエルミアの攻撃はしかし、義弘の決死の覚悟とヘイトコントロールの前に確実に削られていく。角度を変え狙いを絞らせ自らの守りを固め、返す返すに豪腕を奮うその姿は、運にすら左右されぬ強固さを示すようでもある。 或いは、綺沙羅の放つ対集団攻撃もその戦果に依るところが大きいだろうか。前衛による全力のブロックが後衛を狙わせないなら、隙はすべて後衛のチャンスとして回ってくる。戦場を広く見て、乱戦を避けなければならぬならいざ知らず、距離さえ弁えれば可能な限り選択し殲滅に回れる立場にある彼女は、数とタフネスに任せて進軍するそれらの足止めに意識を割く必要があったのだ。だが、それはこんなんかといえば全くの別。前進しようと踏み出した足が凍り付き、一歩も前進できない状態に至って、虚像の動きに動揺が感じられた。 そんな余裕なんて無かっただろうに、そんな隙を見せてしまうから敗北するのだと言わんばかりに、義衛郎が動きの鈍い個体を切り裂き、遥平が正面で構えた個体の胴を穿つ。それでも、凍りついた瞳で自らを見据えてくる悪意だけは崩れずに残っている、その不安、その不遇。それが残り僅かな意識から芽生えた恨み事のようなそれだったとしても、驚くには十分すぎる。 動きを止めたエルミアから踏み出し、思い切り振り下ろされた義弘の一撃が遥平と相対す虚像を背後から砕き、ひき潰す。 個々が満身創痍に近づきながらも、リベリスタの殲滅力は数的不利をも覆すタフネスすらものともしないかの様だった。 何度目になろうか、終を大きく弾いた虚像は、寸暇を置かずリベリスタの集中攻勢の前に塵へと消えていく。そしてその距離は、終からしてみれば一足で踏み込めるだけで大した障害ですら無かった。 遥平から流れ込む魔力に目を細め、エルミアへと繰り返し斬りかかる。 二重三重の剣閃が揮われ、弾かれ、振り下ろされる。 喉奥から死を呼ぶような苦鳴をを絞り出すエルミアが、再び疾病の嵐をボトムに吐き出し、自らの命すら死の天秤にかけて立つ。ぐらりと踏み出した虚像の背後で倒れながら、毒々しい笑みを以て彼は仰向けに倒れている。 音もなく動きを止めたアーティファクトがそこにあり、それでも吐き出された現実は消えないままに佇んでいる。 だからこそ、吐き出された悪意は破壊される為にある。 程なくして、その虚像は圧潰されるに至るのだが、当然のように足掻くそれは、フィクサードとアーティファクトの底意地の悪さを垣間見るようでもあり。 何処までも理解に苦しい悪意を撒いて、消えていった。 地下室から影が伸び、肩に針を刺し貫かれたままの一般人がぎこちない足取りで歩いてくる。 影人が肩を貸す形でその身を支え、やがては降下するヘリを前に溶けて崩れる一時の夢幻。 何れ小奇麗に塗り直され、存在すら忘れ去られるスナッフ・ムービーの現場には、もう何も残されることはない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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