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これは最後の夢物語

●超常的日常
 それが夢なのだと『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ (nBNE000209)は理解した。根拠はない。けれど超常に長らく身を置いている勘だろうか。確かに夢なのだと、メルクリィは理解したのだ。
 そして目の前に誰かがいる。いるのだけれど、顔や姿を視認できない。夢でよくある現象だ。良く分からないのに、メルクリィにはそれがアザーバイドなのだと認識できた。
「ねぇ、なにかお話を聞かせて」
 それはそう言ってきた。なので、メルクリィは話を聞かせてあげた。アークの事、そこにいるリベリスタの事、彼等の活躍の物語――一つ一つの小話に分けたら200以上もある。
 その物語を、4年に渡る思い出達を、メルクリィは語った。

 エリューションを討ち世界の秩序を守るリベリスタの冒険活劇。
 フィクサードとの激しい戦い。バロックナイツ、主流七派、巨悪との激闘。
 時には激しい戦いに命を散らした者もいる。……大切な人を喪ったあの日は、今でも鮮烈に思い出せる。
 戦いばかりではない。三高平での幸せでドタバタな日常。
 失うばかりではなく、新たな友情も生まれゆく。
 戦って。傷ついて。それでも前を向いて、歩いて歩いて。
 悲しい事もあった。楽しい事もあった。
 語り尽くせぬほどに。

 ――語りつくせぬほどに。

「なるほど」とアザーバイドは目を輝かせた。そして言う。自分も彼等に会ってみたい、と。
「私にやったように、夢で彼等に会えるのでは?」
「それがね、どうやら私は、君達の世界では、特定の者の夢の中でしかそっちに干渉できないようだ。つまり、君達で言う『フォーチュナ』と呼ばれる特異体の夢の中でって訳さ」
「成程、貴方は私の様な者の夢にしか現れる事が出来無い、と。ではどうやってリベリスタの皆々様に会うのです?」
「君の夢を媒介にする。君が眠る周囲でリベリスタが眠ってくれれば、私は彼等に会いに行けるよ」
「それで、会って、どうするのです?」
「物語を」
 アザーバイドは微笑んだ。
「物語を、聞きたいんだ」

●ドリームダイブ
 ブリーフィングルームに一同が集められた。手渡されるのは、革醒者にもちゃんと効く研究室開発の睡眠薬だ。
 いつもの事務椅子をくるんと回し、事の顛末を話したメルクリィが皆を見る。
「さて」
 メルクリィが皆を見遣る。いつもの様に、いつも依頼で皆を送り出す特の様に。
「夢で会いましょう」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ガンマ  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年10月30日(木)22:03
●目標
 アザーバイド『聴衆』に物語を聴かせる。

●状況
・舞台は劇場の様な空間。PC達は一人ずつ(或いは同行者やグループで)この舞台の上でアザーバイドへ物語を語って下さい。聴衆側に回る事はできません。
・語る内容は、自分の過去の思い出話や夢の話や、即興の作り話、萌えトーク、今後の抱負、今日の晩御飯についてなど、なんでも構いません。これまでに参加したリプレイについて語る場合は、そのタイトルをプレイングに明記して下さい。
・順番について、『最初にやる/最後にやる』が被る可能性もございますので、あんまり指定しない方がグッドです。
・舞台席には聴衆とメルクリィがいます。メルクリィに一緒に出演して欲しい場合はプレで指示して下さい。
・夢の世界なので割と何でもアリです。咬兵とスタンリーと絡みたいとプレで指示があれば可能です。
・アザーバイドについて:我々で言うところの肉体を持たない精神生命体とも呼ぶべき存在。夢を媒介にこちらに干渉してくる。害意はない。

●STより
 こんにちはガンマです。
 ストーリーテラー。
 よろしくお願い致します。
参加NPC
名古屋・T・メルクリィ (nBNE000209)
 


■メイン参加者 10人■
ナイトバロン覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ハイジーニアスデュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
サイバーアダムクロスイージス
新田・快(BNE000439)
ハイジーニアススターサジタリー
リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)
ノワールオルールナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
ギガントフレームデュランダル
鯨塚 モヨタ(BNE000872)
アークエンジェインヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ハイジーニアスソードミラージュ
ルア・ホワイト(BNE001372)
ジーニアスデュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ナイトバロンナイトクリーク
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)

●OP
 舞台が暗くなる。拍手が起こった。それも疎らに、直に止めば、舞台を照らす一筋のスポットライト――


●快のお話
「『またやって来た』九月十日の話をしよう」
 光の中、『守護神』と呼ばれし男は静かに語り始めた。
「命懸けは今まで何度もあったけど。あの時、俺は本当の意味で死の淵を見たよ」
 アークと共に彼はあった。この4年間、彼は歩み続け、戦い続けてきた。それだけ何度も死を目にし、自らもまた死を感じた――特に濃密に感じたのが、『あの日』。
「雷音ちゃんを始め、色んな人に心配かけた。けど、あの時彼女を護るためにそうした事を、後悔はしていない」
 目を閉じる。鮮明に思い出せる。
 炎の中より現れた巨大な龍。
 全てを灼き尽くす獄炎が、轟、劫。

 そして、快はその前に立った一人、立ちはだかって。

「『護ると決めた』……けれど、怖かった。多分、今まで生きてきた中で一番、怖かった」
 運命が燃えていく感覚。消えていく感覚。瞼の裏によく似た景色。即ち、永遠の闇。
「これで俺は死んでしまって、そうしたら。二度と彼女に会えなくなるんじゃないか、という思いが過った。……事実、そうなりかけたけど」
 快、快。思い出せる彼女の声。
「だから、俺はこの恐怖を忘れない。恐怖を忘れてしまえば、きっと俺はまた繰り返す」
 目を開いた。誰かに言うような話でも無いからね、とひとつ笑って。
「聞いてくれて、ありがとう。聴衆さん」

 拍手、暗転。


●モヨタのお話
「オイラは革醒した日の事を話すぜ」
 次に照らされたのは半機の少年だった。
「あれは10歳の誕生日の夜。母ちゃんと弟と外食でお祝いして、ケーキ買ってもらって母ちゃんの車で帰る途中だった」
 四年前の九月四日。ささやかな、けれど幸せな一日だった。後部座席。ミラー越しの母親の笑顔。隣には弟。今日がずっと続けばいいのに、なんて思った、その時だった。
「突然車が衝撃で止まって、どうしたと外に出たら、見たこともないデカい獣が鋭い牙の生えた大口を開けて襲ってきて。皆必死で逃げたけど、弟が追い付かれた時、咄嗟に庇おうと突っ込んで」

 喰われたんだ。

 あの悲鳴が誰のものだったのかは覚えていない。母親かもしれない。弟かも知れない。自分かも知れない。
「噛み砕かれる激痛で意識が遠のいて死ぬんだと思ってたら、硬い金属に牙が食い止められたのを感じた。喰われた所が機械に置き換わってたんだ」
 モヨタは自らの機械化した左腕を見遣り、ぐっと拳を形作った。
「ほぼ無意識に奴の顎をこじ開けて殴ってたら、リベリスタが来て奴を秒殺してった。色々起こりすぎて錯乱し
てて、オイラも化け物になったから殺される! と思って逃げ回ったのは……また別の話かな」
 今では機械化部分も広がり、弟も革醒してアークにいるけれども。取り敢えずこんな感じで、と照れ臭そうにモヨタは締め括った。

 拍手、暗転。


●ルアのお話
「私、革醒した時はノーフェイスだった」
 舞台の上で、少女はそう語り始めた。
「万華鏡に見つかる前に弟に連れられて逃げたのね。途中でノーフェイス狩りに目をつけられて追われたんだけど……本当に怖かったんだ」
 そうだね、丁度今ぐらいの時期かな。ルアは当時を思い返す。弱くて何も出来なかった、泣く事しか出来なかった、辛い思い出。
「リベリスタになってからも泣きながら剣を振るったの。だって、ノーフェイスを倒す側になってしまったんだから。……追われていた恐怖は痛いほど分かるのに」
 少女は息を詰まらせる。運命に抗うほど、その理不尽さに苦しめられて。知らぬ内に俯いていた。足元に丸い、黒い、影。絞り出す様な震え声。
「『人』を殺したこともあるの。あの時は一週間ぐらい吐きつづけたわ。だって助ける為に振るって来た剣で、罪のない人を殺したんだもの」
 救えなかった少女。6月のあの日。初めて『人』を殺した日。おやすみなさい、そう言って。この手は……。
 ルアは黙して己が手を見た。白い、小さな掌一つ。潤みそうになる視界。
「メルクリィさん。それでもこの手を握ってくれる?」
 問うた。この時期は感傷的になってしまうから。
 灯る。ルアの隣、もう一条のスポットライト、大きな男。
 笑顔と共に差し出された機械の掌を、ルアはそっと握り締めた。顔を上げれば、眩い光。
 温かい安心感。少女はやっと、微笑んで。

 拍手、暗転。


●アンジェリカのお話
「お話か」
 その一言を始まりに、アンジェリカは客席を見遣った。
「ボクは小さい頃養父母に虐待されててね、全く感情がなかったんだ」
 昔の記憶。生々しく思い出せてしまう記憶。両親を失い、引き取られた先での出来事だった。
「ある日突然、養父母は革醒した。ボク自身も。丁度まだ殴る蹴るされてた時で、二人が変わった事には気づいたけどそれで殺されてもボクにはどうでもよかったんだ」
 その頃のアンジェリカは空っぽだった。生きる事も死ぬ事も似たようなものだった。いつもボンヤリ、見つめていたのは薄暗い天井で。
「だけどそこに神父様が来た。二人を殺してボクも殺そうとした。だけどボクにフェイトを感じたのかな。殺す代わりに抱きしめて――」

『生きろ』

「……って言ったんだ。誰かがボクにそんな事を言ってくれるなんて思わなかったから。何も感じなかった心が暖かくなって。気づいたら涙を流してた」
 ボクはその時『人形』から『人間』になったんだ。アンジェリカは小さく笑みを浮かべた。
 その日から、アンジェリカは『愛される事』と『愛する事』、そして感情を身に付けてゆく。今では、笑ったり泣いたり怒ったりできるようになった。感情の貴さを、生きる素晴らしさを、知る事ができた。
「いつかボクもあの人のように、誰かを救えたらって思う。でも、こんなお話退屈だったかな?」
 見遣った客席。聴衆はニコリと微笑むと――

 拍手、暗転。


●壱也のお話
「物語? それは語りつくせないほどあるね」
 ふ、と壱也は不敵に笑った。そして堂々と、

「そう、世界はホモなのです」

 間違えた。

「世界の男はホモなのです」

 何をどう間違えたのかはさておき。壱也は荘厳な語り口で語り始めた。
「わたしに彼氏ができないのもホモが多いからで、町を歩けばホモに当たるという諺もあるぐらいだしここ最近ではだいぶBL本も増えたし男子高校生たちは包み隠さず手をつないでくれるようになりましたありがとうざいますおっとよだれが」
 ウィヒヒじゅるり。
「わたしの周りの仲間にもね? たくさんいるんだよ。ほらそこにいるのとかここにいるのとか……違うってみんな言うけどもういいんだ、考えるのもめんどくさいしホモでいいかなって」
 まるで菩薩の様な笑顔だった。その瞳は、どこまでも澄み切って輝いていた――超腐ってるけど。
 スポットライトの中、壱也は舞台のトップスターの如く堂々と両腕を広げる。
「そうなると世界はとても明るくなって輝かしくて――新しい世界の誕生みたいな感じ。まだまだ世界は広いんだからもっとたくさんホモがみたいよ」

 ――そんなわたしの夢。

 眩しすぎる笑顔で締めくくられたほも。わーるどいずほも。
 拍手、暗転、ほもに乾杯。


●竜一のお話
 舞台の上の竜一は得意気な顔だった。
「それじゃ俺はユーヌたんについてかな……何を語るかって? 決まってるじゃないか、ユーヌたんの魅力さ!」
 スポットライトに、彼の指にあるエンゲージリングのダイヤモンドが煌めいた。私の心を掴んだ貴方へ――決して派手なデザインではないのに、その輝きは、『ユーヌの共にあり続ける誓であり返答』は、客席の遥か一番後ろにまで届いていた。
「二人の出会いは、そう、とある依頼だった……。まあ、その依頼は付き合うとかには全く関係しないわけだが。そもそも、今も昔も依頼でいちゃいちゃするなんての、そういう依頼だけだしね」
 ユーヌたん的には、もっと絡みたかったりするのかな?なんてふっと思いつつ、それは兎も角語りを続けよう。なんせ、語る事なんて無限にあるのだから。
「まずユーヌたんの魅力は見た目も外見もといろいろあるわけだけど……無感情に見えるけれども、あんがい情が深かったり嫉妬深かったりと可愛らしいところがあるの知ってた? まあ、俺がぷらぷらしてるせいだが……何にせよ、俺にはユーヌたんが一番なわけで……」
 幸せそうに惚気は続く。続きに続く。あんまりにも続いたので……省略されました!

 拍手、暗転。


●ユーヌのお話
「私は結城竜一について語ろう」
 竜一を照らすスポットライトが時間切れで消えた直後、パッと点いた光の下にはユーヌがいた。
「さて、今更語ることも少ない気もするが……依頼で知り合ったとはいえ、依頼以外で知り合った人はレアすぎる。竜一とは特に依頼で何があったという訳でもないが、まぁ、絡みなど竜一に魅力のないものが後回しになるのは道理だから仕方なし」
 では本題、とユーヌはいつも通りの食えぬ笑みを浮かべたまま変わらぬ口調で語り始めた。顎に添えるその手には――愛の誓い。豪奢で気品溢れるエンゲージリング。送り主の給料の三か月分。
「竜一はムードメーカーで気配りができて、社交性があり、私に欠けているものを色々持っている。だから見ていて飽きないのだがな。なかなか予想外の行動をとるし、ビックリ箱のようなものだ」
 照れたり濁したり盛ったりする事はなく。ユーヌらしい、率直で直球な、思ったままの感情。であるからこそ、ユーヌの深く純な愛を感じさせる言葉だった。
「まぁ、変なことはするくせに奥手でヘタレなのは困りものだが。……セクハラほど積極的になればいいんだがな? 胸元とか育ってしまったのが原因だろうか? さてはて……育てられたのを小さくする訳にもいかないが」
 ちらと自分の胸元に目を遣って、苦笑。肩を竦める。そうそう、とまだ彼女は竜一語りを続けるのだが――省略されました!

 拍手、暗転。


●リリのお話
 夢でなら、望みを言う事も赦されるでしょうか。
 リリは舞台の上で静かに目を開けた。
「初めて知る本当の兄様は、寧ろ嬉しく、兄様が居たから、あの頃も壊れきらずに済んだのです」
 一つずつ。少しずつ。リリは過去をなぞりながら、緩やかに口を開いた。
「七つの頃に神様の祝福を頂いてから、その名の下に多くを殺してきました。明らかな悪は勿論、殺さずとも良い善き人々まで、あまりにも多く――」
 全ては『神の名の下に』。幾つもの『お祈り』を。戦いこそが運命。狂信。盲信。思考停止に降伏。
「この大罪を忘れたまま、外の世界で沢山の友人を、幸せを得て、沢山の知らなかった気持ちを覚えて、……初めての恋と失恋もして」
 ここまで悪魔のような所業をしておいて、です。そう言って、リリは自らの両手を見た。白い色をしている。けれどリリは知っている。その手が、血と死でドス黒く汚れている事を。

 罪は消えない。
 過去は変えられない。

「罪には罰を。私は、幸せになってはならないのです。大切な人々を守れたなら、後は悪魔に相応しい最期を」
 迷いのない言葉だった。せめて遠くから、大切な人々の幸せを守りたい。最期に何かを守って死ねるなら、少しは意味があるのだろうか。そう、思う、けれど。
「それでも何処かで温もりを、幸せを求めてしまう私は……、とても浅ましいのです」
 深く重くこうべを垂れた。懺悔の如く。斬首を待つが如く。

 拍手、暗転。


●ロアンのお話
 折角の機会だ、有難く使わせて貰うよ。
 舞台裏で、ロアンは最近元気がない妹の話を聞いていた。
 そして今度は彼の番。舞台の上に、立つ。
「僕は長い事無力で、戦って傷つく妹を見てる事しか出来なくて。今だから言えるんだけど、影では結構荒れてたよ。結構不良してて、不純な異性交友とかも……」
 苦笑と共に、彼が語るのは懺悔の言葉。過去の記憶。
「僕が戦うのは、理不尽な神秘や人間に奪われたものを奪い返して、何を犠牲にして踏み躙っても、僕と周りの幸せを守る為。ヴァンパイアの力は、まさにうってつけだよね」
 他者の生命を啜る鬼。だからどれだけ血に塗れようが、汚くなろうが、構わない。綺麗でいようとも思わない。例外的に、妹の前では『綺麗な様に偽る』けれども。
「僕としては、大切な人がどれだけ大罪人でも別に……っていうか、身内以外は結構どうでも良かったりして。例えばだけど。大切な人の為なら、アークや世界だって敵に回すよ」
 寧ろ僕が悪魔?何を今更。ロアンはにこやかに笑みを浮かべた。
「悪魔だって、偶にはハッピーエンドがあってもいい。メルクリィさんと聴衆さんはどう思う?」
 メルクリィは聴衆を見遣った。アザーバイドは微笑んでいた。その微笑みが、『悪魔』に対する返答だった。

 拍手、暗転。


●夏栖斗のお話
「『聴衆』、僕らに会いたいって思ってくれてありがとう」
 スポットライトの中、少年は同じぐらい眩しい笑顔をニカッと浮かべた。
 それから、「この4年間でいろんな奴らと戦ってきたよ」と語り始める――大きな鬼だったり、世界最強、バロックナイツだったり、異世界の神とだって戦った。勿論、フィクサード、エリューション、アザーバイドとの戦いも含めたら一体どれだけの数にだろうか。
「って言っても本当は僕は戦うこと、そんなに好きじゃないんだ」
 夏栖斗ははにかみ笑う。「でもさ」と片手を拳の形に、視線を遣った。
「僕は異能を得てしまった。だから、正義の味方になって戦うことを決めた。そうすることで知らない誰かが幸せになるなら、誰かが笑顔でいられるのならきっとそれは凄いことだって思ったんだ」

 この手は一体、どれだけの笑顔を守れただろう?
 この手は一体、どれだけの幸せを守れなかっただろう?

「テレビみたいにうまくはいかなくて、躓いて、転んで、何度も折れそうになったけどね」
 足掻いて。もがいて。無くして。得て。立って。前を向いて。
 何度も何度も……そしてこれからも。
「聴衆、また僕らの話を聞きに来る約束をしてくれない? そうしたら、その約束を果たすために僕は、この先もずっと正義の味方でいられるから」

 その言葉に対する返事は――万雷の拍手だった。

 暗転、閉幕。


●ED
「話を聞かせてくれてありがとう。……幸せなお話と、皆が出会えますように」

 おしまい。或いは、つづく。



『了』

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 お疲れ様でした。ご参加ありがとうございました!