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ナイトライダー。或いは、最高速度のその先に。

● 宵闇のライダー
 都市高速を、時速300キロ近い速度で駆け抜ける2台の車。片方は、黒い流線型のボディ。もう片方は、地面に這いつくばるような低く黄色い車体が特徴の、所謂スーパーカーだ。
 改造を加えられていないパーツなど存在しないその車体。エンジンも、サスペンションも、タイヤもハンドルも、速さを増すためだけに、ほぼ全てのパーツを取り替えられている。
 速さに特化し、運転手の無茶な要求にも対応できるように改造された車である。ぐんぐんと速度をあげ、周りの車を追い越していく。
 だが、ある瞬間。
 その2台しか、周囲に車がいなくなった、ある瞬間。
 それはどこから現れたのか。
 300キロ近い速度で走るスーパーカーの真横を、小さな影が追い抜いた。
 それは、一台のバイクだ。真っ黒い車体に、燃えるようなファイアパターンが刻まれている。
 否、その炎は模様ではない。
 バイクに股がった、ライダースーツの男の足元から、車体のサイド、マフラーまでを、真っ赤に燃える火炎が彩っているのだ。
 異様な外観。そして、異様なほどの加速度。
 思わず2台のスーパーカーは、速度を落として車体を横並びにし、お互いに顔を見合わせた。先ほどまで、切羽詰まった表情で最高速を競い合っていた2人は、今や狐につままれたような間抜け面をさらし、ぽかんと口を開けている。
 そんな2人を歯牙にもかけず、火炎を纏った謎のバイクは、高速道路に焼け跡を残し、どこか遠くへと走り去っていった。

● バイバイクイーン
「深夜の高速道路は、どうしてこうもスピード狂ばかり呼び寄せてしまうのかしら」
 迷惑だ、と眉間に皺を寄せ『』は唸るようにそう言った。
 一定の距離ごとに、煌々と灯りを放つ街灯が並ぶ高速道路。路面はなだらかで、まっすぐ、どこまでも続いているように錯覚を覚える。
 真夜中になれば、100キロを越す高速で走る車も増えて来る。走り屋ともなれば、その最高速度は200を超えることもある。
 だが、しかし。
 それよりなにより、炎を灯した黒いバイクは速かった。
 路面に炎の軌跡を残し、マフラーのように火炎をなびかせ、どこまでも加速を続けるのである。
 それは「より速く。誰よりも速く。より遠くへ」というスピードに取り憑かれた男達の情念が、Eフォースとして具現化したものだった。
 限界までアクセルを開き、すり切れるまでタイヤを回し、路面に自身の存在を刻み、目の前を走る全てのものを追い越して……。
 そして、その先に待ち受ける何かを、彼自身も知らないでいた。
 ただ、走り続ければどこかに辿り着ける。
 そんな気がして。
 そんな想いに突き動かされて。
「Eフォース(ナイトライダー)は今もなお、同じコースをずっとひたすら、走り続けている」
 まるで何か、都市伝説のような光景よね。
 そう言ってイヴは、小さな溜め息を零した。
 ナイトライダー自身、他者に危害を加えた訳ではない。
 ただ、その存在そのものがこの世界にとって毒となる。
「走らせておいてあげたいけど、そうもいかないのでしょうね」
 炎をバラまきながら失踪するバイクなど、世界中探してもそうそういない。遅かれ早かれ、誰かが噂し、広まるはずだ。最近はネットの情報網の速さも馬鹿にできない。
 不必要な尾ひれが付いたり、噂を確かめに野次馬が集まる前に、問題は処理してしまうべきだろう。
「速度と炎に要注意。相手は、こちらに対して敵意など持ってはいないから、正面から迎え打とうとしても、回避行動をとられる可能性が高いね」
 或いは、強引に強行突破されるだろうか。
 なにはともあれ、時速300キロもの高速で、バイクほどの重量のものがぶつかってくるのだ。まともに受けては、生半可な防御力では身が持たないだろう。
 同じエリアを回遊している相手だ。
 追いかけて攻撃するなり、待ち構えて一瞬の邂逅で攻撃を加えるなり、方法はいくつか考えられる。
「飛ばし過ぎには、注意してね」
 そう言ってイヴは、仲間達を送り出した。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:病み月  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年09月29日(月)22:04
皆さんこんばんは。病み月です。
天気のいい日が多くなってきて、過ごしやすくなりましたね。
皆さん、いかがおすごしでしょうか?
秋の夜長に、気持ちのいいドライブなどいかがでしょうか?
今回のステージは、真夜中の高速道路。スピードに取り憑かれたEフォースの暴走を止めるミッションになります。
皆さんのご参加お待ちしています。
それでは以下詳細。

● 場所
真夜中の環状高速道路。
同じエリアをぐるぐる回っているようで、だいたい10分〜15分ほどで、同じ場所を通過する。車の量はあまり多くないが、飛ばし屋たちのサーキットと化しているので、ナイトライダー同様に高速で走り回っている車両が目立つ。
中にはナイトライダーに触発されて、限界以上に速度をあげている車両も。
一定の距離ごとに街灯があるので、視界に問題はない。

● ターゲット
Eフォース(ナイトライダー)
フェーズ2
黒いバイクに乗った黒服の男。ヘルメットに覆われ、その表情は伺えない。
言葉をしゃべることはできるが、現状走ることにしか興味がないようだ。
黒いバイクと、ナイトライダーの体には火炎が灯っている。
最高時速は400キロに近くなるようだ。生半可の攻撃や妨害ではその走りを止める事はできないだろう。
通常攻撃に[ノックB]と[ブレイク]の効果が付与されている。
【バッドラック】→神遠範[悪運][鈍化]
ナイトライダーから放たれる禍々しいオーラが、範囲内の対象を怯ませる。
【加速狂】→物近複[火炎][ショック]
自身の速度を一時的に加速させる。急加速による衝撃波と、戦線離脱が主な用法。
【宵闇の走者】→神近貫[必殺][獄炎]
加速が最大まで達した瞬間、その身体から質量が失われ光と化す。


参加NPC
 


■メイン参加者 5人■
アークエンジェインヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
フライエンジェクリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)
ギガントフレームデュランダル
柳生・麗香(BNE004588)
アウトサイドスターサジタリー
クリス・キャンベル(BNE004747)
アウトサイドアークリベリオン
テテロ ミスト(BNE004973)
   

●ハイウェイの星
 炎を纏った、漆黒のバイクが高速道路を駆け抜ける。路面を削り、真夜中のスピード狂たちを難なく追い越し、まるで彗星の如き軌跡を描いて、ナイトライダーはひた走る。
 ゴールなどない。誰よりも速く、止まらないこと。
 それだけが彼の存在意義。
 炎を纏ったライダーなど、出来の悪い都市伝説染みた存在だ。
 追い抜かれていく走り屋たちが、目を見開いてバイクを見やる。200を超える速度で走っているというのに、あっという間に追い抜かれ、そして置いていかれるのだから、それも当然だろう。
 ただ、1台。
「今日もいい夜だ。さぁ、気持ちよくドライブしようじゃないか」
 仲間たちを乗せ、ナイトライダーを追走する『Killer Rabbit』クリス・キャンベル(BNE004747)の車を除いて。

●ランナウェイ
 ナイトライダーを追って、どんどん加速するクリスの車が道行く他の車両を次々に追い越していく。事故を起こせば、一瞬でその命を失いかねないほどの速度で走るナイトライダーとクリスを避け、他の車両はパーキングへ入っていったり、道を開けたりしていた。
 万が一、どちらかが事故を起こし、それに巻き込まれてはたまったものではないからだ。
「やれやれ、早々に事故って死んで勝手に消えればいいものを。走りまわって迷惑な」
 式符を取り出し『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)は周囲の状況を確認する。真夜中とはいえ、都市高速。次々に一般の車両を追い越しながら、進むことになる。周りに車がいないのなら、水塊を呼び出し、一気に片を付けてしまいたかったのだが、どうやらそういうわけにもいかないようで、チッと僅かに舌打ちを零した。
 クリスのドライブテクニックは大したもので、疾走するナイトライダーの跡を付かず離れずの距離感を保ったまま走り続けている。クリスとしては追いついてしまいたいのだろうが、そう簡単に追いつかせてくれるナイトライダーではなかった。
「それにしても…高速道路上に出現するとか、出来れば止めて欲しかったです」
 やーん、と涙目で悲鳴をあげながら『モ女メガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)がそう告げた。鼻先を掠めるような至近距離で、前方の車を追い越して、僅かだがナイトライダーとの距離が縮まる。イスタルテは、後方のバックアップがメインの役割だが今のところ、ダメージを受けた者がいないので手が空いている。
 フィンガーバレットを窓の外に突き出して、ナイトライダーに狙いを定めた。
 しかし、大きく蛇行しナイトライダーはイスタルテの射線から外れる。どうやら、こちらの存在と敵意に気付いているようだ。
 その上で向こうから攻撃して来ないのは、彼が「最速」以外に興味を持っていないからだろうか。
 遠距離からの攻撃を当てるのは、至難の業だろう。
「さてっ! まずは追いつかないとねっ!」
 ハイバランサーで強化されたバランス感覚を如何なく発揮し、『ノットサポーター』テテロ ミスト(BNE004973)は車の屋根に飛び乗った。
 剣を腰の位置に構え、意識を集中。衝撃波を、ナイトライダー目がけて撃ち出した。
 ナイトライダーは僅かに車体を傾けさせることで衝撃波を回避してみせる。急に体勢を崩したナイトライダーに驚いた他の車両がけたたましいクラクションを鳴らした。
「暴走野郎うるさ~い! 夜も眠れないし排気ガスもひどい。狂気の如き走りをくりかえすとは日本国の規律はどうなっておるのかっ」
 憤りを顕わにした『アーク刺客人”悪名狩り”』柳生・麗香(BNE004588)の剣が一閃。傾いていたナイトライダーの肩を、真空の刃が切り裂いた。噴き出したのは鮮血でなく、黒いオイルのような液体だった。オイルは空中で燃えて、火花を飛び散らせる。
 しかしナイトライダーは止まらない。ナイトライダーの真っ黒い車体が炎に包まれる。それと同時に溢れだす不気味なオーラが、周囲を走っていた一般車両を飲み込んだ。エンジンが止まるもの、壁に激突するものと様々だが、運転手は皆、意識を失っていた。
 ナイトライダーのばら撒く不気味なオーラが、クリスの車にも迫る。
「うわっ!」
 屋根の上にいたテテロと麗香が、慌てて車内へと飛び込んだ。イスタルテも、仲間達に翼の加護を付与し、いざという時に車を捨てて逃げられるように準備をする。
 触手のようにうねりながら、不気味なオーラが迫りくる。クリスはおもいきりハンドルを切って、オーラを回避。アクセルをベタ踏みにしたまま、速度を落とさないようオーラの隙間を駆け抜けた。
「さぁ勝負しようじゃないかナイトライダー、走れなくなったほうが負けだ」
 タイヤが路面を滑る。真黒い車輪の軌跡を地面に刻みつけながら、ナイトライダーに迫る。オーラをばら撒いたことで、ナイトライダーの速度は僅かに減速していたようだ。その隙に、一気に背後まで車体をつける。
 だが、次の瞬間にナイトライダーの放った膨大なオーラがフロントガラス一杯に広がり、視界を埋め尽くした。
「………タイヤの音。右だ」
 ユーヌの言葉に従って、クリスは車体を右へと移動させた。
 イスタルテの魔弾が、麗香とテテロの斬撃が、車体を包み込もうとしたオーラを切り裂き、打ち払う。雲散霧消したオーラを突き抜け、車体は再度ナイトライダーに急接近。
 テテロが素早く屋根に飛び乗り、剣を構えた。
 その、直後。
 ナイトライダーの全身が、バイクごと業火に覆い尽くされ、爆炎と共に加速した。

 急加速による衝撃波が、クリスの運転する車を大きく揺らす。車体が横転したり、壁に激突しないようにクリスはハンドルを回し、車体を制御。ギリ、とクリスが歯を噛みしめた。
「いい車だがE能力を防ぎきれるような車じゃないんだ」
 一瞬で十数メートルほど先行したナイトライダーに追いつくために、ギアをさらに上げ、アクセルを一気に踏み込んだ。
 衝撃波の直撃を受けたのは、屋根の上に乗っていたテテロだけだった。衝撃波に体勢を崩し、屋根から落ちそうになるテテロを麗香が車内から手を伸ばして支える。
「すぐに回復しますよぅ」
 イスタルテの周囲に、淡い燐光が舞い散った。降り注ぐ光がテテロの身体に吸い込まれ、受けたダメージを取り除いていく。体勢を立て直し、テテロは再度屋根の上で剣を構えた。
 いつの間にか、周囲に他の車両は見当たらなくなっている。
 こまめに展開していた結界が効果を発揮しはじめたらしい。
「追いつくぜ」
 障害物のなくなったハイウェイを、バイクと車だけが疾駆する。

「そんなに飛ばしてスリップ注意だな? 注意一秒怪我一生。濡れた路面にご用心。ああ、注意しても寿命が少々伸びるだけだが」
 周囲の車を巻き込む心配がないと分かれば、ある程度大規模な攻撃を仕掛けることができる。ユーヌは、懐から取り出した式符をナイトライダー目がけて放った。式符は空中に陣を呼び出し、更にその陣からは大量の水の塊が溢れだす。
 地面を揺らすほどの水流が、ナイトライダーへと襲いかかった。
 ナイトライダーは、水流を防ぐべく大きく蛇行、更に加速とオーラを使った防壁の展開も試みる。しかし、ユーヌの呼び出した水流の勢いは強い。
 防ぎきれずに、ナイトライダーの速度は大幅に減速した。
 今こそが好機と見てとったテテロと麗香が、車の屋根上から順次剣を振り抜く。テテロの放った衝撃波と、麗香の真空の刃がナイトライダーへと放たれる。
 水飛沫をあげ、2人の攻撃が交差するようにナイトライダーを襲う。ナイトライダーは、急減速して剣撃を回避。ナイトライダーの眼前で、2人の攻撃は衝突し、衝撃波を生み出す。
 ナイトライダーの動きが止まった。
 その瞬間、クリスの車が初めてナイトライダーを追い越していく。擦れ違い様に、イスタルテの魔弾がナイトライダーへと撃ちこまれた。弾ける火花とオイルのような鮮血。着火し、火の粉を撒き散らす。滑り込むように、クリスの車がナイトライダーの眼前へと回り込む。
 車とバイクが同時に停車。
 麗香とテテロが車を飛び降り、ナイトライダーへと斬りかかる。
 イスタルテとユーヌは車内に残ったまま、ナイトライダーの逃走に備え、クリスもハンドルを握ったまま、すぐにでも車を発進させることができるように構えていた。
「暴走ライダーに告ぐ!日本をなめるな……アーク(悪)党は目的のためには手段を選ばん!」
 大上段に構えた麗香の剣が、渾身の力を込めて振り下ろされる。地面を削る斬撃が飛んだ。ナイトライダーは、バイクに乗ったまま不気味なオーラを展開。麗香の斬撃を弾く。
「やっと止まった……でもここからがリベリオンの見せ場、いくぞっ!!」
 地面を滑るようにテテロが疾駆。低い位置で構えた剣を、ナイトライダーへと斬りあげる。全力疾走から放たれた渾身の一撃が、ナイトライダーの胴を袈裟がけに切り裂いた。
 飛び散る鮮血がテテロへと降りかかる。オイルのような、引火する鮮血だ。
 テテロの身体を炎が包む。助けに駆け寄る麗香の進路を、ナイトライダーのオーラが阻む。
「やらせませんっ」
 イスタルテの放った燐光が、テテロを包み、その炎を掻き消した。僅かに生まれた空白の時間。ナイトライダーの全身が、真っ赤な炎に包まれる。マフラーからは、排気ガスの代わりに業火が噴き出す。爆音を鳴らし、タイヤが猛回転。地面を削るナイトライダーのバイク。バイクだけでなく、ナイトライダーの全身も火炎に包まれた。
「逃げるぞ! 乗れ!」
 クリスが叫ぶ。それと同時に、ナイトライダーのバイクは、まるで矢のような勢いで飛び出した。

 炎の塊となったナイトライダーがハイウェイを駆ける。
 それを追って、クリスの車が疾駆する。唸る4輪。悲鳴をあげるエンジン。300を超える最高速で、ナイトライダーを追走するが、あと何分、まともに走れるかも分からない。
 追いつけるか、とクリスがアクセルを踏み込んだその時、数十メートル先行して走るナイトライダーが、急にその車体を反転させた。

 ドン。
 と、空気を叩くような音が響く。道路いっぱいに炎が広がる。ナイトライダーの姿が、クリスの視界から消えた。
「!?」
 クリスがハンドルを切るより先に、いつの間にか火炎の塊となったナイトライダーが眼前にまで迫っている。ブレーキも、回避も間に合わない。その瞬間、最高速に達したナイトライダーは一瞬だけだが、光の如き速度を叩きだした筈だ。
 衝撃で、フロントガラスが砕け散る。
 唯一ナイトライダーの攻撃に反応できたのは、車の屋根の上にいたテテロだけだった。叩きつけるように振り下ろしたテテロの剣がナイトライダーを捉え、攻撃の威力を僅かばかりだが削ったのだ。
 フロントガラスが砕け散り、エアバックが作動。エンジンとタイヤが壊れ、クリスの乗った車は、屋根上のテテロごと、壁へと激突して止まった。
 ユーヌ、イスタルテ、麗香の3人のみ、翼の加護で得た翼を使って、クリスの車から脱出することに成功していた。

●スピードキングの行く先は
 壁面に突っ込み、大破した車の運転席でクリスは唸る。意識はあるし、ダメージもそう大きくはないがへしゃげた車体とエアバックに挟まれ、身動きが取れない。
「大丈夫か……」
 同じように、車と壁の間に足を挟まれ、屋根の上に倒れ込んだテテロに声をかけた。
「やっぱりドライブは、交通法規の範囲内じゃないとね」
 弱々しくもそう告げて、テテロはにこりと微笑んだ。

 ナイトライダーが再加速するよりも速く、ユーヌの呼び出した水塊がその進路を阻んだ。道路いっぱいに溢れ返った水流の中を、いかにナイトライダーといえど突破することはできないようだ。
「おや、不運だな? いや、不運(ハードラック)と踊(ダンス)った、と言うのだったか?」
 水にタイヤをとられ、減速したナイトライダーを見てユーヌは笑う。
「一般の車両が少なくて助かりました」
 他を巻き込む心配がなくなるからだ。イスタルテの放った魔弾が、ナイトライダーのタイヤを狙い撃つ。器用にその場で回転しながら、ナイトライダーはイスタルテの弾丸を回避する。
 流石のテクニックと言わざるを得ない。
 けれど……。
「スピード違反でーす。ぶった切らせてもらいまーす」
 停車したバイクなど、既に脅威ではない。接近した麗香が、無数の斬撃をナイトライダーに叩きこむ。止まることのない斬撃のラッシュを浴び、周囲に飛び散るオイルのようなナイトライダーの鮮血。
 切り崩されたタイヤがコロコロと転がり、バイクが大破する。
 全身をずたずたに切り裂かれ、ナイトライダーはその場に倒れ、消えていった。
 速さに固執した彼は、こうして誰の手にも届かない場所へ。
 最高速の、その先へと、消えた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。
ナイトライダーの暴走を止めることに成功しました。若干の被害は出ましたが、依頼は成功です。
速さを求めたライダーとの追走劇は、これにて終了です。お楽しみいただけたでしょうか?
それではそろそろ失礼します。縁がありましたら、また別の依頼でお会いしましょう。
このたびはご参加、ありがとうございました。