●始まりは開花と共に 「ふぅ……」 一人の人物が溜息をつく。 そこは街の裏路地、あまり人も立ち寄らぬ地域。夜も眠らぬ大都会の影、掃き溜めのような地域だった。 彼の手には一本の長剣が握られ、足元には大量の肉片が散らばり一面が鮮血に染まっている。 眼前には空間が歪み、地球上では見られない、不思議な植物が繁茂する場所が見えていた。 バグホール。街中に発生したそれを放置するわけにはいかず、破壊しに訪れたのがその男性だった。 彼はリベリスタである。 アークが成立する前から活動していた実力者である彼は、偶然このバグホールが発生する瞬間に立ち会うこととなった。 開いたホールからは大量のアザーバイドが流入し、個々の力は酷く強くはないのだがただ只管に持久戦を行うこととなったのだ。 結果、彼はアザーバイドを駆逐した。持てる力のほとんどを振り絞ったが、その生物達が街中に溢れ出す前に処理することに成功したのだ。 「さて、最後の始末はきっちりつけないとね」 手にした剣に力を込めて一閃する。その一撃を受けたバグホールは一瞬の脈動をし、収縮し消えようとする。 ――だが、刹那の瞬間。 閉じかけたバグホールから赤い影がぬるりと抜け出してきたのだ。 「――!?」 バグホールを閉じることに意識を集中していた男はその影に対応出来なかった。 動くことができなかった男の頭部にその影が飛びついてくる。それは涙滴状をした、植物のようなモノ。花の蕾に直接蔓が生えた、奇妙な形状をしていて。 そして鮮血という赤い花が咲く。 ――かくして彼はバグホールを閉じることに成功した。 代償として自らの存在を支払うことになったが。 ●ブリーフィング 「綺麗な薔薇には棘がある。昔から言う言葉だけど、俺には相応しくない」 何時もの調子の『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)。だが今日の彼には緊張感が漂っていた。 「何故なら俺は薔薇なんてものじゃない、もっと危険な何かだからさ。今回の依頼もそういうシロモノだ」 伸暁の言っていることはとりあえず無視するとして。彼がポケットから取り出し放った、皺だらけの写真。そこには一人の人物が写っていた。 その人物はスーツに身を包んだ男性であった。ただしその表情からは油断はなく、周囲を伺うような空気を漂わせている。 「これは以前から協力していてくれたリベリスタなんだけどね。名前とかそういうのは割愛しておく、今更意味がないから。で、こいつをちょっと見てくれ」 引き続き伸暁が示したのはブリーフィングルームにあるモニター。それに映し出されるのは万華鏡が捉えた予知の映像なのだが……。 それを見たリベリスタ達は息を呑むこととなる。 写っているのは先ほどの写真に写っていた人物、だったであろうもの。いや、確かに身体はその人物だったのだが。首から上が別物だった。 ――そこには首の代わりに一房の赤い花が咲いていた。 薔薇に酷似したその花は、人のより一回りぐらい大きい。それが見事に満開の花を開いていた。 また、その映像の人物だったものは、歩いて街中を彷徨っているのだ。灯りがついたビル街の中を。周りの人々に違和感を持たれることなく。 「まあ、こんな感じだ。あいつの名前なんて最早意味がないだろ? 困ったことにね、この花は寄生するだけならいいんだが……肉体を奪った奴の能力をそっくり身に付けるんだよね」 つまり彼は肉体を奪ったリベリスタの能力である、幻視を利用して街を彷徨っているのだ。今、こうしている現在にも。 「現在こいつは街を彷徨っているだけだ。今の宿主の能力が高いせいか、新たに身体を求めることもない。 けれど、栄養が不足してきた場合は話が別だよな? 腹が減っては戦は出来ぬ。そうなったら被害はとんでもないことになるだろうな」 歴戦のリベリスタの実力を持ったアザーバイドが野放しになっている。それだけでも危険な上に、刻一刻とリミットは迫っているのだ。 「というわけであいつ、終わらせてきてやってくれよ。 困ったことに実力だけは確かだからさ。総出でちょっとなんとかしてきてくれ」 軽い調子で伸暁は言うが、言うほど簡単な仕事ではない。だがやらねばならないのだ。 「棘があるだけなら無害だが、棘が獲物を求めているなら話は別だ。 お前達の最高のガーデニング、見せてくれ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月24日(水)22:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●群集に潜む花 一日が終わりかけ、夜の帳が降り始める頃。 しかしそれでも街は休むことなく、雑踏に満ちている。 都市の中心部たるその地域を流れる人波。それに逆らうことなく一人の人物がふらふらと歩いていた。 その人物は人波の彼らからすると、虚ろな表情をしてふらふらと徘徊する奇妙な人物に見えたかもしれない。だが彼らとて暇ではなく、そのような人物に気を止める者はさほどいない。気を止めた者も、自らの生活を続ける為に雑踏に消えていく。 だがこの奇妙な人物は一枚フィルターを剥がすと、奇妙といった程度ではない異形であった。 神秘という皮を一枚被ったその人物。神秘を剥がせば露出するのは頭部にあたる部分に咲いた、一輪の赤い花。 それこそが日常に潜り込んだ異形。人の肉体を奪う異界の仇花であった。 花は肉体を操り、人波に潜む。木を隠すなら森の中。それは自衛であり、いつでも獲物を捕らえられる狩猟の場でもある。 だが、その花を見つめる者もいた。 「目標を見つけました。追跡を開始します」 花を目視し、連絡を行うのは『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)。 『わかりました。こちらも包囲を開始しますわ』 『その近くならば大通りか公園か。広めの場所ならそのあたりですね』 通信の先から『深き紫の中で微睡む桜花』二階堂 櫻子(BNE000438)、『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(BNE001966)らの声が届く。 花を狩るべくして狙う、リベリスタ達。目的は花に奪われた肉体の能力を活かせない開けた立地。そこに花が移動するのを求め、連絡を密にし包囲していくことだ。 見つめた後は遠巻きに様子を見つつ、花が戦いやすい場所へと動くのを見ることだ。 応答のあった者だけではない。他の者もまた、周りから様子を見て包囲を狭めていく。 ……だが、事は上手くは運ばない。 「思うようにいきませんね……」 『リジェネーター』ベルベット・ロールシャッハ(BNE000948)が、追跡を行いつつ歯噛みする。 公園等の人気の少なく広い場所へは、花は近づこうとしないのだ。 人波に紛れることによる護身が目的なのか、それともいざというときの獲物が少ないからなのか。そういった場所へは近づかないのだ。 そして大通りでは、人目が多すぎる。 例え結界があろうとも、それはあくまで人の意識を逸らすもの。すでに大勢の人がいる場所より人払いを行うほどの力があるわけでもない。 「参ったわね。思ったよりも慎重だわ、この花は」 アシュリー・アディ(BNE002834)もまた、その状況に苛立ちを隠せなかった。目標は目の前にいるのに迂闊に手を出せない。時間だけが浪費されていく。 何故この街はなかなか眠ってくれないのか。働きすぎは罪悪だろう……そのような事を考え始めるようになってきた時。 ――花の前に一人の人影が立ち塞がった。 「その鉢はお前のような花には相応しくないと私は思うのだが。さっさと枯れ果ててはどうだ?」 花へと明確な敵意を見せ、眼前……花に目はないわけだが……に立ち塞がったのは『月刃』架凪 殊子(BNE002468)だった。 その殺気に対し、花は初めて足を止めた。いままで止まることなく人波に従い彷徨い続けていた花が。 「その肉体を離してもらおうか。それはその男が生涯を賭して鍛え上げたモノだ。花を植えるのは醜悪すぎる」 彼女の剣幕とそれを無気力に見つめ返す男性の様子に、周囲の人がちらちらとその様子を伺う。 そして花は……彼女から逃れるよう、駆け出した。 「待て! 逃がすか!」 走り出す花を追い、殊子も駆ける。 脚力には自信がある。他のリベリスタ達よりも速度に特化されたその力は決して獲物を逃しはしない。 ――だが、追いつけない。 何故ならばその操る肉体もまた早さに特化されたフォーミュラマシンである。並みのリベリスタを越える実戦経験によって鍛えられたその肉体は、彼女の足を持ってしても追いつくのは困難であった。 そのまま花は手近な路地へと逃げ込もうとする、が。 花は瞬間的に跳びずさり、路地への侵入を中断する。 「うーん残念。今のタイミングならちょっきん出来たかもしれないのにね?」 路地から姿を現したのは『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)だった。人目を避けるように路地に潜んでいた彼の目的もまた、花を有利なフィールドに移動させないための威嚇。 花は再び逃げ場を求め駆け出し、リベリスタ達もまた追跡を開始する。 深夜の追跡劇はここに始まり、しばしの間続くこととなる。 ●咲き誇る異形の花 ――やがて、追跡は終了する。 「ここまでなのです! そのからだ、返してもらうのです!」 都市部の一角、自然公園。人気が少なく緑が多く、開けた場所。その場で『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)は仁王立ちし、花の進路を塞いでいた。 「からだを奪うとは、なんというやつ! うぐぐ! 許さないのです!」 花に言葉が通じてるのかはわからない。だがイーリスの叫びと敵意に、花は足を止めていた。 いや、彼女の言葉だけではない。周囲より迫る敵意にもまた、花は反応していた。 完全に包囲されている、その事実がようやく花の足を止めることに成功したのだ。 尤も花が感じているのは敵意ではなく。その肉体が備えた、エリューションの力を察せられる、リベリスタの感覚によるものかもしれないが。 「ようやく止まりましたね。ここで終わらせます」 「これ以上の犠牲者は出させない。必ず」 ベルベットが退路を断ち、リセリアが抜剣する。 次々と姿を現し包囲していくリベリスタ達。その様子についに花は……剣を抜いた。 特に目立った意匠もなく、ありふれた一振り。ただ使い込まれたそれは、肉体が紡いだ戦いの記録を物語っている。 だが、これからその剣に刻まれるは不名誉な歴史。自ら鍛え上げた力を他人に無為に使われる、その記録。 「その生き様、否定させるわけにはいかん。……ここで散れ」 殊子が告げ、二本の短刀を構える。 ――それが、花にとっての開戦の合図となった。 その肉体に秘められるは圧倒的な速さのための力。身体の持つ気迫のようなものが高まると同時に、速度が増した。 それはソードミラージュとしての更なる高み。速さの極地へと至らんとする力。 同時にリベリスタ達の一部もまた、自らの力を高めようと肉体のギアをあげ、早く、力強く、また感覚を研ぎ澄ませて行く。 「速やかに、確実に。斬って捨てて――全てを終わりに」 リセリアが機先を制するように花へと切りかかる。その一撃は剣速により残像を生み、花の得た肉体を切り裂こうとした。 だが、例え多数に増えようとも、惑わそうとも。相手にはそれをかわすだけの技量がある。 「早い……!」 一撃を花はゆらりとかわす。無駄がなく、戦闘経験によって培われたその動き。花は無慈悲にも、如何なく利用し、自らを守る。 圧倒的速度で駆け抜ける花。それに対し銃撃が、剣撃が、次々と行われる。 「厄介ね……この速度!」 アシュリーが舌打ちする。花の奪った肉体は立体的な三次元戦闘が得意であった。だが、それを除いても回避と速度に優れたその身に攻撃を加えるということは困難であった。 攻撃を避けつつ花は駆け、自生する樹へと駆け上る。 多次元的動きを行うのに必要なものは人工物だけではない。自然物であっても高さがあるならばそれは利用出来るのだ。 「皆様の背に、美しき翼を……!」 だがリベリスタ達も無策ではない。櫻子が念じればリベリスタ達には空を制する力が備わる。与えられた翼の加護にて相手の多次元的有利は緩和出来るのだ。 「有名な蜘蛛男、うちはあれは好きではないのですよ」 樹木へと駆け上がる花を追撃し、雅が手にした軽機関銃を掃射する。弾幕となる銃弾は花の奪った肉体を掠め、多少の損傷を与えた。 ――瞬間、肉体が跳ねる。 駆け上っていた樹木を足場とし、雅へと飛び掛ったのだ。 「くっ……!?」 加速度の乗った一撃は雅を抉り、衝撃に一瞬認識が狂う。 花はそのまま地に立ち、再び剣を振るう。 「あっちこっち面倒な動きっすね!」 終は辛うじて一撃を防ぎ、切り返す。数度の切り結びが行われた時……轟音が響いた。 「速度が命である相手に自由にさせるなど、ありえませんよ」 ベルベットの砲撃。轟音の元たるそれが、花の機動力を奪いにかかる。 被弾した花は大きくのけぞった。だが機動力を奪うまではいかない。 「やーっ! いーりすらっしゅっ!」 裂帛の気合と共に振り下ろされる一撃が花を捕らえる。花は剣で攻撃を逸らし、直撃を防ぐが肉体への傷を完全に防ぐことはない。 決定打の繰り出せない戦い。この戦いは長くなる、リベリスタ達はどことなくそれを予感しつつも戦いは続く。 ●死に咲く花 膠着する戦いは長引いていく。 包囲し、次々と攻撃を加えていくリベリスタ達。 剣を振れば凌ぎ、凌がれ。銃弾や砲撃が飛び交い、じわじわと削っていく。 同様に花の放つ剣は肉体の能力を駆使した洗練された一撃で、リベリスタ達に決定的な痛打を幾度も放ってくる。 実際意識を持っていかれそうになったことも一度や二度ではない。だが、運命を切り売りしつつも戦いは継続されていた。 「いい加減に足をとめなさい!」 アシュリーのライフルから放たれた銃弾が花の足を狙い、掠める。花は走り抜け、樹木へと駆け上がり飛び移り、徐々にこのフィールドを活かした戦いを身に付けていく。 「逃がすものか!」 動揺に殊子も樹木を駆け上がり、跳び、速度を乗せた一撃を放つ。公園の空中に両者の影が交差し、剣がかち合う火花が散り、剣閃が煌く。 花の放つ剣撃が光の飛沫となり、圧倒的速度と技に裏打ちされた剣は芸術の域へと達する。無慈悲に使われるその冴えた技術だが、その美しさは殊子の目を引き、心を奪う。 「心を強く持ってください! しっかり!」 即座に櫻子の放つ淡い光が正気を引き戻す。 例え使い手が意志も怪しい植物であろうとも。放たれる剣技の美しさは人心を惑わし、正気を奪っていく。櫻子のフォローがなければ今頃総崩れを起こしていたことは間違いない。 「ですが、うちは簡単には惑わされませんよ!」 その中、雅は心を奪う技への高い耐性を持つ。その剣で惑うことはなく追撃を続けることが出来た。 花の操る秘剣に惑わされることなく肉薄し、銃弾をばら撒き続ける雅。高い機動力を持ち、花と同様に自在に壁面を駆け抜け飛び回ることが出来る殊子。二人が張り付くことで一方的に蹂躙されることはなく、戦いは継続されていた。 そしてまた、翼の加護を得た他の者達も。 「食らうです! いーりすらっしゅ!」 駆け上る花の上空へと舞い飛び、樹木の上へと立つイーリスが全力で手にした細身の斧槍を振り下ろす。 例え樹木の上であろうとも、鍛え上げられたイーリスの体幹は狂わず力を正確に武器へと伝える。細身の得物は膂力により激しくしなり、眼下の花へと叩きつけられた。 圧倒的衝撃に耐えられず花は落下するが、バランスを崩すことはない。真っ直ぐに地面へと直立するように落下し、身構える。 そこへ周囲から雨霰の如く、砲撃と銃撃が行われる。 「逃がしたりはしません。容赦もしない」 「ちょこまかと……!」 ベルベットの砲撃が次々と本体たる花の部位へと叩き込まれ、アシュリーの銃撃が再び足を狙い撃ち込まれていく。 本体を叩くことと、足を奪い機動力を奪うこと。射撃はそれぞれその目的を達しようと、間断なく打ち込まれていく。 「ほら、ちょっきんしちゃうよ!」 「早く、終わって……っ!」 終とリセリアが挟み込むように布陣し、交互に花の持つ肉体を刻んでいく。 手数ではリベリスタ達が上。だが一撃々々の鋭さは花の持つ肉体のほうが上。 肉体は次々と削られていく。だが痛みを感じないその肉体は自らの損壊を気にすることなく、剣を振り抵抗する。 「いいかげんに、その身体から離れるですっ!」 樹上から飛び降りたイーリスが肉体へと攻撃を振り下ろす。 膂力+加速+重力=破壊力。その一撃は花の持つ肉体を激しく切り裂き、損壊させる。 『――――――!!』 初めて花が、危機を感じたかのように脈打つ。 花弁を揺らめかせ、わずかな茎をしならせ動く。 「やった――!?」 リセリアが思わず声を上げ……花が。感情を持たず、表現することも出来ない花が。笑ったような気がした。 花の手にした剣がぶれ、残像が生まれる。 ――そして刃の嵐が吹き荒れた。 ●花咲く時去りて 「……逃がしたわね」 気だるそうにアシュリーが煙草へと火をつけ、紫煙をふかす。 リベリスタ達は公園にて倒れ、座り、木によりかかり。思い思いの体勢でその身を休めていた。 「長くは動けないと思いますがね」 ベルベットが横になったまま、その呟きに応える。痛みを感じない彼女でも、行動が至難なほど痛めつけられては動くことが出来ない。 花の持つ肉体は相当に痛めつけた。だが完全に放棄に至るまで傷つけることは出来ず、追撃も難しいぐらいまでに戦線は崩れる。逃げられたのは不幸なのか、それとも止めを刺されなかった分、幸というべきなのか。 「救えませんでした……」 肩を落とした櫻子が呟く。 「強かったのです……。できれば、健在なときに先輩と戦いたかったのです」 「彼の生き様を守れなかった、か。癪なことだな」 イーリスが歯を食いしばり、悔しさに耐える。高い実力を持った相手、本来の状態で戦いたいと思うは武人の性か。 殊子もまた、速さを持つ者への敬意を持っている。それを汚され、名誉を取り戻すことが出来なかったのは口惜しさがあるのだろう。 「参ったっすね……出来ることなら安らかに送りたかったっす」 「犠牲者が増えなければいいのですが……」 終が、リセリアが、力無く呟いた。 あれだけの損傷を与えた以上、大きな被害が出ることはないだろう。 だが、そこまで損傷した肉体に寄生した花が固執するとも思えない。 近いうち、同じような事件が再び起きるかもしれない。それは八人の心に陰鬱な気持ちを残す。 都会の空はどんよりと曇り、美しい星達を覆い隠す。 そしてあの花は。命を食らい美しく咲くあの花は。再び群集に覆い隠される。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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