●眩しい夏の残る日差しが地面を焦がし照り返す陽炎があの日の幼い心を垣間見せ君に囁くのだ輝きを忘れないで欲しいと 「カブトムシ戦わせよーぜ!」 「お前何人だっけ」 唐突な言葉へのカウンターをさらっと流して『廃テンション↑↑Girl』ロイヤー・東谷山(nBNE000227)は笑顔である。 「皆さんもこの夏は酒に溺れたりカップルに床ドンしたりとバカンスを堪能したとは思うのデスけどネ! ほらやってないでショ虫狩りとか!」 このフォーチュナが夏をどう過ごしたかはともかく、得意げな説明が続いていく。 「ほら、時村の例の南の島。あそこって生態系がちょっと特殊で色んな虫が取れるんデスよ」 島にはよくあるケース。 「探せばきっと火を噴いたり巨大化したりこうかはばつぐんだったりするビートルが一杯いマスよ」 そんなことはなかった。 「そこで、強そうな甲虫を取って戦士として教育し、その頂点『虫大王』を目指す……そんな大会の開催を決定しマシた! 今!」 ほんとフリーダム。 詳しい説明はこっちねと資料を配り、さあ取ってきなとロイヤーがサムズアップ。 「目指せビートルヒーロー虫大王!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:BRN-D | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年09月20日(土)22:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●自由に遊べと受け止めた のやまをかける、きみとであった。 えがおがたいようのようにきらきらで、ぼくはうれしくなったよ。 きみのために、とっくん、がんばった。 けど、だめ。 いたくて、かなわない。ごめん、もうむり。 でも、『気高き金の咆哮刻む太陽の意思纏う鋼の英雄獅子・ナイトオブブレイブハート』とツァインは、せんゆーだよ。 ●ビートルハンターの朝は早い 「武蔵野の雑木林で培った昆虫力(ちから)、今こそ見せる時!」 まだ太陽の昇りきらない早朝は遮るものの少ない島でさえも未だ仄暗く、森の奥は特に暗闇に沈んでいた。その森に分け入る快の胸の内には、懐かしい幼少期の思い出が過ぎっており――そう。 「小学生の夏のヒエラルキーは、昆虫力、捕まえた甲虫のランクで決まる!」 なお最下層はホームセンターで買ってきた奴な――冷めた仕草で熱くそんなことを呟きながら、快の目だけは周囲をしかと見渡して。 暗闇をものともしない視界に、その観察眼に引っかかったそれが映る。甲虫たちの餌場となっている木に、慎重に快は手を伸ばした。 人の寄り付かぬ島の裏側――こういう隠れた場所にこそ隠れた才を持つ者が潜んでいるものじゃて。 太陽の下、海岸を豪快に笑う震源が歩む。 「雲の中とはこれ一興、もしも良い虫を手に入られれば、まさに天に選ばれし強運というものよのう」 比喩として、いずれ知らぬたゆたう無貌を探り当てること雲の中を歩むが如し。機運を見て龍を得る、天に愛される者となれるかどうかは己の才覚次第。 ……そうは言っても、特殊な力を持たずに難易度の高い探索はやはり難しい。 「雲を探るとは暗中模索、まさしく雲に手を突っ込むようなものじゃな」 月に叢雲、花に風――苦笑を滲ませて海岸を去る。 「さあ特訓を始めるよサブロータマル!」 自身の名を分けた甲虫に声をかけて指導を開始する。 深い草花を掻き分けて、闇を見通す目が草の根元に潜むそれを見つけた。 三郎太はあまり虫が得意ではない。けれど苦手なものにチャレンジする事も大切であると決め、この邂逅を無駄にはしないと連れ帰ったそれに名を与え―― 今、三郎太はイメージを刻んでいた。目の前の甲虫が勝利を得るためにその強さのイメージを…… 「やはり基本はオールラウンダーですよねっ」 普通の虫より素早い動きを持つサブロータマル。後は色々な場面に対応できることこそ強さであると三郎太は瞳を輝かせて頷いた。 日頃イベントに使われる会場のほど近く。人々が行き交うその場所にそれはあった。 十字架だ。そしてそれに磔にされた者。 竜一だ。 何故こうなったのか、長くなってしまうが説明をしようと思う。 「素敵な少女たちのスカートをめくりまわるぞー!」 以上、説明終わり。 「足元の刃をもっと増やしましょうか」 「じゃありんはぁ、手足の重石をもっと増やすねぇ」 やっちゃう? と足元で会話する舞姫と輪は終始笑顔である。 「拷問いくない! 勝つために、必要にかられてめくっただけだ! 他意はない!」 キリッと表情を変えて竜一が叫ぶ。 そう、全ては伝説の甲虫、ムシキン……ムシカイザーを見つけるために! 構えた右手からセンスフラグ、添えた左手からセンスフラグ(必死)、合わせた両の手を突き出して…… 「スカートに顔をつっこもうとしていたところをわたしたちに捕獲された、と」 笑顔の舞姫に、竜一はキリッとした顔のまま。 「他意はない!(二度目)」 「火を起こしましょうか」 「じゃありんはぁ、煙を仰ぐねぇ」 もうやっちゃおうぜ。 「うわ、うわぁ……」 さて、目の前で繰り広げられている惨事に言葉を失くす少年が1人。うろたえるミストを女性陣が振り返った。 「ミストくんは大丈夫だよ。許してあげる」 「納得いかん! ミストだって同じ目的で来たんだぞ! 差別だ!」 輪の言葉に竜一が吠えるが。 「差別じゃありません。区別です」 一言。舞姫の言葉に輪も頷いた。 「最強の虫を狙うよっ!」 『ノットサポーター』テテロ ミスト(15分前に張り切り顔で) そう勢い込んで虫取りに来たミストは、今や真っ青な顔で座り込んでいた。犬耳もぺたんと伏せられている。恐らく最強の虫の居場所がどういったところか理解していればこの場には来ていなかったと思うが……まぁ、キャラ性と人徳の差である。 「ボクは、伝説のレアな虫を探しに……」 まさか女の子のスカートの中だなんて聞いてもおらず、目をぐるぐるさせているミスト。その眼前に近づいた存在にようやく気付く。 「虫さんならりんのスカートの中に入れてるけどぉ、見たいの?」 そう口にした輪のスカートの裾がちらりと揺れて―― 「わああぁぁ!」 全速で逃げ去っていった。 「行っちゃった。まぁりんはもうとっておきの虫さんがいるし」 当たらなければどうということはないと輪は特訓へと向かい。 「こんなところにいられるか! わたしは最愛の弟、三郎太くんの活躍を陰からそっと見守るわ!」 わたしってば健気なお姉ちゃんキャラ! と舞姫も拷問に飽きて立ち去った後。 「……くっくっく」 不敵に笑う竜一が、そのセンスフラグの込められた握り拳をそっと開けたのだ。 ●ムシキン……虫大王頂上戦 「さあようやくやってきました(出番的な意味で)虫大王大会! 司会はこのロイヤーが勤めマース」 お昼の会場に集まった8人と8の戦士を前に開会の挨拶が行われ、トーナメント表が張り出された。 【ハルパゴス】竜一 ランク:SSR vs【気高き金の咆哮刻む太陽の意思纏う鋼の英雄獅子・ナイトオブブレイブハート】ツァイン ランク:C (ルール規定によりHP全振り) 【サブロータマル】三郎太 ランク:UC vs【皇蟲】舞姫 ランク:C (ルール規定によりステータス一部修正) 【スーパーストロングミスト号】ミスト ランク:C vs【風林火山丸】震源 ランク:C 【フェニックスノコギリクワガタ】快 ランク:R vs【ゴールデンツインテールオブザワールド】輪 ランク:R (ランクは大会公式規定に定められた等級による。なお、対戦順はIDの一桁目を参照) ――ざわ。 「ランクSSR……まさか!」 「知っているの三郎太くん!」 「天はあの者を選んだと……」 フラグを立てた面々を手で制し、司会者の声が会場に響き渡る。 「早速一回戦を始めマスよ! 闘虫カモーン!」 【ハルパゴス】vs【気高き金の咆哮刻む太陽の意思纏う鋼の英雄獅子・ナイトオブブレイブハート】 若き闘虫を襲う威圧感。対峙する者はまさしく王と呼ばれるに足るであろうと、見る者全てに理解を促す圧倒的存在感を放っており。 それでも。降伏も恥ではないと思わせる体格差も、ツァインを思う気持ちを押さえつけるには至らない。若さを前面に押し出して突き進む気高き金の咆哮刻む太陽の意思纏う鋼の英雄獅子・ナイトオブブレイブハート。 だが、先手を取ったのはハルパゴスの方だ。長いリーチを活かしカウンターを叩き込む。それに強く身体を揺らしながらも、耐え切って手足を絡ませた。 ――耐えに耐えろ。 暫しの膠着。精神を磨耗する持久戦。それこそ本意であると、ハルパゴスと竜一の意識が重なる。 「お前には、ペルシアの名将の名を与えよう!」 あの瞬間に彼らの勝利の方程式は決まったのだ。そう、今この時のように! 「耐え忍び、勝つのだ! 最後に立っていた者こそが勝者なのだ!」 反撃を潰し、連撃を浴びせかける。耐えて、殴る。この単純な動作を幾度も繰り返した。これが王者の戦いであると言うように! 最後の一撃を受けて沈む気高き金の咆哮刻む太陽の意思纏う鋼の英雄獅子・ナイトオブブレイブハートの前で、わずかなかすり傷をつけただけで王者はその場に立っていた…… ○【ハルパゴス】6R決着 【サブロータマル】vs【皇蟲】 「ああ、愛する三郎太くんと戦わなければならないなんて……すごく興奮します!」 「ご遠慮なくっ、全力を尽くしますよっ」 轟き叫べマイハートとのたまう舞姫と向かい合い、三郎太が自身の甲虫サブロータマルに指示を出す。 「まずはこの戦いに勝たなければ次はありませんっ」 この一戦に集中せんと相手の甲虫を見る。だが、そこに威風堂々と佇むのは甲虫と呼ぶには大きく離れた存在であった。 ……ダンゴムシ? 丸まったそれに一瞬呆けるも、三郎太はすぐに気合を入れなおした。どのような相手にも対応できるようサブロータマルをオールラウンダーに仕上げたのならば、躊躇する理由などどこにもない! 「いけっ! サブロータマル!」 常虫以上のはやさを誇るサブロータマルが滑るように、そして相手の装甲を抉るようにボディに鋭い突きを叩き込む! その衝撃。堅固に思えた相手の装甲を一気に突き破る一撃に歓喜の声を上げた三郎太が、しかしその不敵な笑い声を拾ってしまった。 「……ダンゴムシが丸くなるのは、防御のためだなどと、いつから錯覚してました?」 舞姫が笑っている。この窮地に、大胆に、不敵に、その瞳を狂気に輝かせて! 「笑止ッ! 最強の蟲は……ダンゴムシだ! 皇蟲ー!」 皇蟲が動き出す。深く踏み込んだ相手を逃がすまいと、正面にその身体を捉えて―― 「これこそが、ダンゴムシ闘法の最強アルティメットフォーム! 喰らえ……ビッグバンキャノンボールッッ!」 その球体の衝撃、惑星級! 「そんな……一撃だなんて」 場外まで吹き飛んだサブロータマルを介抱し、三郎太ががっくりと肩を落とした。 ○【皇蟲】1R決着 【スーパーストロングミスト号】vs【風林火山丸】 「天を掴むに寄り道なし、まずは一歩と参ろうかのう」 生まれ変わりと称する者の、その旗印を携えて。震源がその心得を込めた名を与えた甲虫と共に入場すれば。 「このスーパーストロングミスト号に敵は無いよっ!」 少年特有の瑞々しさ、成長途上の荒削りな輝きを持ってミストが自身の名を与えた甲虫を鼓舞した。 バランスの良さを保ちながらも、素早く重い一撃の強さを信条とするスーパーストロングミスト号。そう鍛えたミストはその強さを一点も疑うことなくこの戦いに臨んでいた。 「押し切るよ!」 軽いフットワークで飛び出したスーパーストロングミスト号。だが、ミストの目が驚きに見開かれた。 赤い旗を付け3倍以上のはやさで翻弄する風林火山丸。その奥で震源の豪快な笑い声が重なる。 「兵法の基礎は不動、過去のつわものに習ってみたというわけじゃ」 ちなみに震源の脳裏に過ぎった雑誌の企画は、今大会の基礎になっているがそれはともかく。 「敵の攻撃をよけてよけてよけまくり、勝利をつかむのじゃっ」 応援を背に受けて、風林火山丸が火の如く角を突き立てる! 『1』(頭上のダメージ表示) ……暫しの逡巡の後、スーパーストロングミスト号が腕を振り上げゴスッと頭を叩くと、そのまま動かなくなる風林火山丸。 「……うむ、駄目か」 すまない、はやさは先手判定だけなんだ。 ○【スーパーストロングミスト号】1R決着 【フェニックスノコギリクワガタ】vs【ゴールデンツインテールオブザワールド】 「俺達コンビでこの夏を勝ち抜くぞ、フェニックスノコギリクワガタ!」 快が相棒と並びポーズを決めるが、その向かい側では未だ輪が1人で立っているのみ。 「あ、出さないと戦わせられない」 言うやスカートに手を突っ込む輪。会場中の「!?」表示を気にもせず、光あれの言葉と共に満を持して登場のゴールデンツインテールオブザワールド。 「ちなみに虫さんの名前はお姉ちゃんからきています、見つかったら怒られそう」 誰も聞いてはいないが頑張って。 実力者同士の決闘となったこのカード。先手を取ったのはゴールデンツインテールオブザワールドだ。しゅばばばと音を立て羽を羽ばたかせて突進する。臨場感を味わいたいとファミリアで五感を共有中の輪も、はやさ特化の特訓の成果に興奮してパンツをもぞもぞさせていた。 「あ、もう一匹入ってた」 なにやってんだ。 速度任せで繰り出される突進は一直線に的を捉える。だが浅い。否、低く構えて打点をずらし、その強度で受け止めた者! 「低く! 低く構えて潜り込め! 今だ必殺くわがたスープレックスホールド!」 周辺に敵なしとされた猛虫を、快はあらゆるミッションに対応できるようバランスよく能力を伸ばした。苦手な敵は存在しない。ただその力を振るうのみ! 「やあん! りんの虫さんがぁ!」 投げ飛ばされて泡を吹くゴールデンツインテールオブザワールド。お姉ちゃんに怒られそうだ。 ○【フェニックスノコギリクワガタ】1R決着 一回戦終了。残った4強を示して司会者が叫ぶ。 「王者の貫禄を見せ付けた【ハルパゴス】、特異な特訓の成果で前評判を覆した【皇蟲】と、実力者の対決が見物デス。 未だその実力が謎に包まれた【スーパーストロングミスト号】と【フェニックスノコギリクワガタ】の決闘も見逃せませんネ。 では早速デスが準決勝、開始デースよ!」 【ハルパゴス】vs【皇蟲】 島の主、王者の風格を漂わせた強靭な肉体持つハルパゴス。対し、小さな身体を丸めてよりこじんまりと収まった甲虫……いやダンゴムシ皇蟲。 両者は静かに向かい合う。対し。 「ゆけ、ハルパゴス! お前がキン……ムシカイザーだ!」 「いいえ! 最強の蟲はダンゴムシ! 皇の文字は皇蟲のためにある!」 主人らが五月蝿い。 「ぶー! こっちが真の王者ですぅー」 「違いますぅー裏番はこっちですぅー」 同レベルの主人たちに目もくれず、先に動き出したのはハルパゴスだ。王者の暴風が皇蟲を襲う! 小さな身体はなすすべもなく蹂躙される……が。ふらつきながらもまだ倒れない! 「倒しきれなかったのがそちらの敗因です! 喰らえアルティメットフォームかーらーのー……ビッグバンキャノンボールッッ!」 貫く意志を持って叩き込まれるインパクト! 激しく舞い躍る土煙。それらが晴れた時…… 「な……なんですってー!」 変わらずそこに立つ王者の姿! 「ハルパゴスをここまで傷つけたお前は強かった……だが、想定内の強さだ!」 耐えることを最善とし鍛えられた肉体は、どれほどの威力を持ってしても一撃で倒れはしないのだ! 「いまだ、出すんだ! 必殺技グレートカイザートルネードスルー!」 竜一の咆哮が、この決闘の決着を意味して…… ○【ハルパゴス】2R決着 【スーパーストロングミスト号】vs【フェニックスノコギリクワガタ】 未だ実力を隠した闘虫同志の決闘で、この大会において始めてのことが行われていた。 地を蹴って組みつくのは正に同時。それぞれの地力に特訓の成果を備えた時、2つの虫が互いを捉えるタイミングは重なった。 同時攻撃。それが生み出すものは……一つ! 「力では勝っている……けど!」 「強度はこちら……いや」 純粋な殴り合い。同じ程度を費やしたはやさが互角であるならば、残りの能力がものを言う。そして、そうであるならばそれは…… 「これが、地力の差だ!」 はやさは互角。ちからはわずかにスーパーストロングミスト号が上回る。だが同時にそれが表すものがある。快が言う、それだ。 地力で差がある以上、残る能力はフェニックスノコギリクワガタが大きく上回る。そしてそれは明暗を分けるほどに! 身体をぶつけ合った時に削られたたいりょく。一目でわかるその消耗に、苦しそうにミストの顔が歪む。それでも必死に応援を続ける少年の前で、続く衝撃にスーパーストロングミスト号は崩れ落ちた。 「良い特訓だったと思うよ……地力の差がなければ、倒れていたのはこっちだ」 事実そうであっただろうと確信して、快は勝利した相棒の背をそっと叩いた。 ○【フェニックスノコギリクワガタ】2R決着 「決勝戦を始めマス!」 残る2強。ランク:SSR【ハルパゴス】とランク:R【フェニックスノコギリクワガタ】。それぞれの主人である竜一と快に連れられて決戦場に姿を現した。 共に激戦を潜り抜けた強虫。どちらも大王の名に恥じない実力者だ。 たいりょくと地力のハルパゴス。バランスのフェニックスノコギリクワガタ。互いの主人が握手を終え……振り返る! 「ハルパゴス! お前が虫の頂点、島の王者だ!」 「この夏を制するのは俺たちだフェニックスノコギリクワガタ!」 決勝……開始! 【ハルパゴス】vs【フェニックスノコギリクワガタ】 先手を取って戦場を駆け抜けるのはフェニックスノコギリクワガタ。一気に間合いを詰め、その身体でぶちかます! だがその巨体は静かに揺らぐのみ。耐えて、殴る。王道の勝利パターンに入ったハルパゴスに竜一が高笑いを見せた。 「わはは! 勝ったぞ!」 勝利を確信した主人に応えるようにハルパゴスのラッシュがフェニックスノコギリクワガタを捉え続ける。その一撃一撃に身体を揺らしながら――ちらりと主人の顔を見た。快が、それにゆっくりと頷き口を開く。 「お前はフェニックス……どんな局面でも絶対に諦めず立ち上がる、フェニックスノコギリクワガタだ!」 勝利の黄金パターン? その通り。そしてそれは……こちらにも言えること! 「な、なにぃ!?」 打撃連撃打突の嵐。削り削れるその攻防に、押し切られていくその体躯。押されているのは……ハルパゴスの方だ! 竜一の驚愕に重ねて、快がふっと小さく笑った。 「逆境ドラマ型。耐えて耐え抜いて重い一撃を繰り出す。攻撃に防御に、どんな相手にも対応できる万能性を甘く見たな」 単純な殴り合いの性能が上回った……それだけのこと。たいりょく自慢のハルパゴスが削られていくスピードが上回った……それだけの、こと。 かくして王者は崩れ落ちる。無骨な殴り合いを制してフェニックスノコギリクワガタが、快が勝利の雄叫びを上げた。 「優勝……新田・快とフェニックスノコギリクワガタ!」 会場中の拍手を受けて、『虫大王』が誕生した瞬間であった。 ○【フェニックスノコギリクワガタ】8R決着 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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