●かっぽんぽん かっぽん……かっぽん……かっぽん…… 深夜の路地に、不穏な音が響いていた。 「……許さない……許さない……」 その音に紛れて、恨みを吐くかの様な男の小声がブツブツと紡がれている。 「許さない……」 その男は真っ暗な路地の隅にうずくまっていた。相変わらず、不穏な音は続いている。 「許さない!!!」 果たして男が立ち上がった。その顔は憤怒に歪み、血走った目は白目を剥き、食いしばった歯列からは荒い息が漏れて、肩から背筋は激情に震えていた。 「詰まっているモノは、許さなァアアアアアアい!!!」 ラバーカップ――世の中では『かっぽん』や『すっぽん』の名で知られている便所清掃道具を天に掲げて、男が轟と吼えた。 その足元には、詰まりが解消されたドブがサラサラと流れていた――。 ●つまる……つまらない……つまる……つまらない…… 「――アーティファクト」 モニターからリベリスタ達へと視線を移すなり、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が口を開いた。 「『ジャスティスプランジャー』……それがこのアーティファクトの名前。今回はこれの回収か破壊と、所持してしまった人の救出をお願いするね。 『ジャスティスプランジャー』は『詰まっているモノは許さない』という意思を持っている。所持した者は身体能力や耐久性が向上するみたいだから私達の攻撃にもある程度は耐えられるわ、でも『相手は一般人』っていうのをくれぐれも念頭に入れておいて。 所持してしまった一般人は『ジャスティスプランジャー』に意識を乗っ取られてる。だから能力を使っても彼の記憶に残らない筈、安心して。彼の意識は『ジャスティスプランジャー』を手放すか破壊する事で戻るけど、そのショックで気を失っちゃうからアフターフォローしてあげてね。 ……さて、ここからが問題。一般人の意識を乗っ取る事で動ける体を得た『ジャスティスプランジャー』は町中の詰まりという詰まりをその意思の下に片っ端から直していたみたいなんだけど……その数のあまりもの多さに、怒り狂っている」 なにせ、『許せないモノ』が溢れ返っているんだから――イヴは荒ぶる男とラバーカップとが映ったモニターをちらと見遣った。 「だから、目についたモノには怒りのままに問答無用で襲いかかって来るでしょうね。でも、『詰まっているもの』を見つけたらそっちを優先すると思う。 ……それと問題がもう一つ。『ジャスティスプランジャー』の見た目はただの掃除道具だし、所持者もただの一般的な中年男性だけど――決して侮ってはいけない。 『ジャスティスプランジャー』の強力な攻撃は貴方達をふっ飛ばしたり、ショックを与えたりする。『ジャスティスプランジャー』が放つ強力な衝撃波は、貴方達の強化の術を破壊してしまう。更に……回復を許さない特殊能力のある強力な攻撃方法も持っているの」 イヴは表情に緊張をにじませたリベリスタ達を順に見渡した。「でも」と、一呼吸の後に言う。 「貴方達ならきっとできる。……――宜しく頼むわね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月22日(月)23:10 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ありったけの勇気などを詰めこんで 「なんといいますか。ラバーカップの存在意義は詰まった物を直すですから多すぎて怒るというのは一人だから手が回らないって事からでしょうから、ある意味真面目すぎるアーティファクトなんでしょうかね? 逆に詰まった物が無い所とかだと自分の存在意義に悩みそうな気もしますし……」 まぁ人に危害を加えさせない為に壊さないといけないのは変りませんけどね、と付け加えつつ、雪白 桐(BNE000185)は目の前のブースターに苺大福を力一杯詰め込んでいく。 「出来れば回収したいけど……一般人の安全が最優先だね」 苺大福を持ってきた本人である『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)はその傍ら、通路脇の排水溝に持参したレンガを詰め、更にその隙間にタオルを捻じ込むという作業を続けている。 「かっぽん力が変わらないアーティファクト、人類も似たような掃除機があったから、人間の技術だって凄いのよね。 まあ、何が言いたいかって言うと、人間の知恵はアーティファクトだって凌駕する時だってあるのよ!工夫したりして頑張りましょ!」 意気揚々と道破した『さくらさくら』桜田 国子(BNE002102)は超幻影によって壁に作り出した『人がギリギリ入れそうな穴』を満足気に眺めている。それから桐の元へと歩み寄れば「手伝うよ」とブースターに苺大福を詰め込む作業に入る。程なくして智夫もその作業に加わった。 「下らないアーティファクトもあったものね。あるいは、つまらない、と言われるのは本望なのかしら? ところでご近所のコンビ二で片栗粉を調達して来たわ。水で溶かして使いましょ」 なんて言いつつブースターに詰め詰め三人衆の横からひょこりと顔を出したのは『殲滅砲台』クリスティーナ・カルヴァリン(BNE002878)。その手には片栗粉の特大袋が握られている。 「どう考えてもでろでろになるけど、これも尊い犠牲よね」 クリスティーナはフフンと冷たい笑みを浮かべて苺大福がギッチリ詰め込まれた(そして今も尚詰め込まれている)ブースターを見下げた。 それにオイオイと苦笑を浮かべるのは『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)。ランタン型のライト片手にクリスティーナへ振り返り、 「名案かもしれないが、水は?」 「…… あっ。」 クリスティーナの動作がピタリと止まる。まさかそこのドブ水を汲む訳にもいくまい……えぇい、こうなったら、もう知らん。 「これも尊い犠牲よね!」 ドパンと片栗粉をぶちまけた。 「ぶっ!! ――げほげほっ!」 真っ白けになった。ブースターも、その主である『人間魚雷』神守 零六(BNE002500)も。詰め込み係の為にしゃがんでいたのでその被害は甚大だ。 「おまっ……」 サングラスを片栗粉まみれにした零六は咳き込みながらもバッと振り返ったが、 (これも、任務の為だ。そう、任務の為だ! 耐えろ、俺。耐えろ!) そう自分に言い聞かせて顔を前に戻す。何と言うか、表現的には鼻や耳の穴に異物を詰められてる感覚に零六はただ項垂れるしかない。 「悪戯ならともかく、真面目に詰められたのは人生初だぞ? なんだこれ……!」 本当になんだこれ。見守っている『冥滅騎』神城・涼(BNE001343)や『蒼き炎』葛木 猛(BNE002455)もその有様に笑いを堪えられないようだ。 「でもこれってかっぽんで取れなかったら自力で取らないといけないんですよね?」 トドメの様な桐の一言に零六の肩がドキリと跳ねる。 「あー……囮にしちゃってごめん、神守さん」 智夫はそう謝罪の言葉を口にするも、笑いを堪えてたりしてあまり誠意が感じられない。 (呪っちゃるー!) なんてこっそり思う零六なのであった。 そんなリベリスタ達の耳に、とある音が届く。 彼らの顔に真剣な色と緊張とが宿った。 聞き間違える筈もない、聞こえたその音は――かっぽん。 ●ジャスティス! 闇の中から現れたのは中年男性。 その手にはアーティファクト『ジャスティスプランジャー』。 フシューッ、フシューッ、と歯を剥いて白目を剥いて青筋を浮かばせ、怒り狂っているのは見るに明らかだ。 「ラバーカップ、つまるところ別名トイレのすっぽんだよな、あの詰まりを解消する奴。 あれで攻撃される……ってのは、精神的にきっつい話だな」 「やれやれ、随分と生活色溢れるアーティファクトだな」 拳を構えた猛、メイスと金属盾『侠気の鉄』を構えた義弘が言えば、彼らと同じ前衛の涼が立ち並びつつ斬魔刀・紅魔 を構えて言う。 「ブランジャー、なんだかほのかに心ときめく響きだが……いや、まあ、そんなことはどうでもいいよな。 兎も角、つまりを解消してくれるのは良いことなんだが、まあ放っておくワケにもいかんよなあ。 顔面とかカッポンされたらショックってレベルじゃないしな!」 自分のイケメンフェイスにカッポンされない事を祈りつつ、ジャスティスプランジャーと中年男性とを注視する。 リベリスタのそれぞれが光源を持ち、更に国子が懐中電灯を二つばかり壁に固定したので明るさに問題はなさそうだ。 そんな中、零六がズイと正面に立ちはだかる。 チャッとサングラスを取るなり灰色の瞳で中年男性を睨み付けると、彼を指差し声高々に挑発の言葉を言い放った。 「聴きやがれジャスティスプランジャーッ!! 主人公と言う言葉には夢が詰まっている! 頭には素晴らしき頭脳が! 胸には愛国心が! 腹には夕飯が! 背中にはおーいしい苺大福と理不尽にも水に溶かされてすらいない片栗粉が! そして! 俺の武器には俺の負けられない誇りが詰まっている! つまるところ――俺はアンタの天敵って訳だ!!」 ドヤーーッ!! い、言ったーッ! 流石零六さん! 痺れる上に憧れるぞ零六さん! リベリスタ達はドキドキしながら零六と中年男性を見比べた。零六はサングラスを掛け直しており、中年男性は―― 「ぐぬっ、ぐぎぎぎぎぎぎぎ」 物凄くキレていた。 「詰まっているモノは、許さなァアアアアアアい!」 中年男性が……否、ジャスティスプランジャーが凄まじい殺気を纏う。その直後に中年男性の姿が消えた。 いや、零六の肩の上に居た! 「うおっ!?」 「詰まっているモノはゆゆゆゆ許ざないぎィイイ!」 半ば半狂乱、かっぽんかっぽん――零六のブースターの詰まりが瞬く間に解消されてゆく! 「ちょっ! え!? ねぇ俺のアレどうなっ……ウワアーーー!」 苺大福などを詰められた時は、表現的には鼻や耳の穴に異物を詰められてる感覚。 そして今はその逆……と言うべきなのだろうか。 「――神守さん、動かないで!」 その時、ジャスティスプランジャーが零六のブースターに気を取られている隙を突いて智夫が神気閃光を放った。厳然たる聖光は隙だらけの中年男性を焼き、その衝撃に男が呻く。 「世の中には詰まる物も詰まらない物もある、そうして社会は回っているのよ。 あなたのしている事は、人間を駆逐して世界を救うのと同じ事。そうして自分すら削った詰まらない世界を造って誰が得すると言うの?分からないなら教えてあげるわ。 ……あなた、『行き詰ってる』のよ。その先は何も無い、永遠の袋小路だわ」 クリスティーナが玲瓏とした声音で告げた。尾の同時、マナブーストによって高められたマジックミサイルが的確にジャスティスプランジャーへと飛んで行く。 着弾。魔導の重い衝撃に堪らず男性は零六の肩から落下した。しかし素早く受け身を取って飛び退き、間合いを作った所で――ポトン、と足元に投げ落とされるあんぱんが一つ。 それは義弘お手製のあんこがたっぷり詰まったあんぱんなのだが……そんな事を知る由もない男はそれを視認するなりかっぽんで粉砕、圧砕。 「かかったな!」 かくしてジャスティスプランジャーは義弘の策にまんまと嵌った訳である。義弘の放った十字の光が ラバーカップに直撃した。アーティファクトを代弁するかの様に男の表情が苦悶に歪む。 「逃がさないよーっ!」 そこへシューティングスターで自己強化を済ませた国子がリボルバーから1$シュートを放った。弾丸はカップ部分に当たり、男の腕がラバーカップごと仰け反る。 男は衝撃のままに後退して――そのまま振り返り、背後から強襲を仕掛けた桐の巨剣・まんぼう君によるギガクラッシュを真っ向から受け止めた。そのまま激しく何合か打ち合う。マンボウVSラバーカップ、火花飛び散る凄まじい異種格闘技戦である。 「ゆぅううるざなイィイイイイ!」 ジャスティスプランジャーが桐の顔面目掛けて突き出された。が、喰らってたまるかと桐は素早くバク転で回避する。 攻撃の手は緩めない。今度はハイスピードで身体能力のギアを上げた涼が躍り出る。 「ラバーカップはトイレの詰りだけ直しておけ、てところだな!」 きっちり片付けてやるかね、と繰り出すのは決して止まらないかの様な澱みなき連続攻撃。ジャスティスプランジャーも迎え撃つ。 速度と手数は涼が上、一撃の重みはラバーカップが上であった。 「許さァアん!!」 轟、男がラバーカップを振るった。 「うぐっ!」 涼が思い切りぶっ飛ばされた。その間にもジャスティスプランジャー目掛けて遠距離攻撃が降り注ぐ。その前進を堅牢な楯が阻む。 「気合い入れていかねぇとな……!」 見た目とは裏腹に、その実力は本物。だが、だからこそ血が滾るというものだ。流水の構えをとった猛がヘビーレガースによる蹴りを繰り出した。男はラバーカップで蹴りを受けるが、その重みに素早く飛び退く。 「ぐぎぎぎぎぎ」 そしてジャスティスプランジャーの怒りは、――臨界点を突破した! 「もう許さんぞぉおおおおお!」 怒号と共に地面に叩き付けられるラバーカップ。刹那、激しい衝撃波がリベリスタ達へ叩き付けられた! 「!!」 彼らの強化術が砕かれる、予想以上の衝撃に上体が揺らぐ。 その隙だった。 強力な豪打が零六を機械盾『Desperado “ Form Bastion ”』 ごと吹き飛ばす。 「くそっ――」 すぐさま彼の代わりに最前線へ出た義弘が『侠気の鉄』を構えた。 巧く攻撃を受け止められたら盾に張り付かないかね?なんて思った義弘の思惑通り、ラバーカップがかっぽんと盾に張り付く。しめた、このまま引っ剥がしてやる―― ……? 「 え?」 気が付いたら『侠気の鉄』が無い。 ジャスティスプランジャーのかっぽん力によって逆に引っ剥がされてしまっていたのだ。ガランガラン――と遥か前方に己の相方が転がっている。そして、眼前にジャスティスプランジャーが迫る! 「ッッ!」 義弘は間一髪で強力な一撃をかわした。だがその間に男は地を蹴り、壁を蹴り、後衛陣の背後に降り立った! 「…… !」 それは逃がさないようにと路地の入り口を埋める様な立ち位置にいたクリスティーナのすぐ真後ろ。 そして驚愕が張り付いた少女の顔にジャスティスプランジャーが―― がぽんッ。 「ぐゥっ……!!?」 全体攻撃でもあれだけの猛威をふるった衝撃波が、彼女の体にのみ注がれる。ラバーカップの隙間からくぐもった悲鳴と血液とが噴き出した。 まずい――リベリスタ達が衝撃の表情を浮かべる最中、クリスティーナの顔面を離した血濡れラバーカップが再び地面突き立てられる。衝撃波が全員を襲う。 更にもう一発、ジャスティスプランジャーが振り上げられるが、その動きがそのまま止まった。 男の視線の先には――レンガとタオルで詰まったドブが。智夫が先ほど仕掛けた罠があった。 「ぐぬぬまだ詰まりがぐぬぬぬぬ!」 男が詰まりへ飛びかかる。 何にしても、体勢と陣形を整えるチャンスだ――智夫が天使の歌を高らかに歌った。だが、時間が足りない。もうジャスティスプランジャーはドブの詰まりを解消しているだろう。 しかしジャスティスプランジャーの攻撃は未だやってはこなかった。 ――国子が! 壁の穴に詰まっている! お尻だけ出ている! シッポがテロンと垂れている! 男は漫画の様な光景に愕然としていた。寧ろリベリスタ達も愕然としていたが、すぐに思い出す。 これは国子が予め仕掛けていた罠だという事を! 「また詰まりおってこなくそぉおおお!」 ラバーカップが振り上げられる。それが国子に触れる直前、壁がぶっ壊されて――土煙りの中、現れたのは国子の不敵な笑みと真っ直ぐ向けられた銃口で。 「喰らえ!」 1$シュートがジャスティスプランジャーに直撃した。堪らず男が苦しそうに後退する。 (何とかなるか……?) 状況を見渡す猛が思う。こちらの体勢はあと少しで整いそうだ、あと少し、あと少しで…… (何とかしなくっちゃ) そう、あと少し―― (何とかしてみせる!) 決断するや否や、猛が猛然と走りだした。 「喧嘩はよぉ、ビビった奴の負けなんだよ──!」 跳躍、そして、排水溝へ飛び込む! 必然的にドブが詰まる! 「そら、こっちのドブがドン詰まりしてんぞ、この野郎……!」 ニヤリ、笑いかける猛の顔は泥水で汚れてはいるが何よりも男らしく輝いていた。 「貴様もかァア!」 猛に男が飛び掛かった。 かっぽん! ジャスティスプランジャーが一撃で詰まりを解消する。 ドブがサラサラになる。 猛が流されてゆく。 「えっ!? うわっ……ちょっと待ってくれぇえ~~!」 まさか流されるとは。 ジャスティスプランジャーのかっぽん力をナメていた…… 「猛……お前の勇姿、忘れないぜ!」 彼のお陰で完全に体勢は立て直った。『斬魔刀・紅魔』を構えた涼が高速で男に飛び掛かり、ソニックエッジを繰り出した。 「俺の速度を見切れるか!」 「ぐぎっ……!」 超スピードの攻撃がジャスティスプランジャーを追い詰める。しかし男は捨て身覚悟でラバーカップを振り上げた――が、その一撃は光り輝く防御のオーラを纏った義弘の『侠気の鉄』が完全に防ぎきった。 「今度は……やらせんぞ!」 言いながら、裂帛の意志と共に盾で強く男を押し遣り、そのバランスを崩させた。そこへ零六がメガクラッシュを放つ! 「!!」 ジャスティスプランジャーごと男が吹っ飛んだ。何とか地に足を付けて転倒は免れるも、激しい闘気に振り返る。 そこには爆ぜる電撃を纏った『まんぼう君』を大きく構えた桐が居て―― 一閃! ジャスティスプランジャーが、闇夜に舞った。落ちた。 ――静寂。 ●詰まりが直った水流の様に 静寂と平和が戻った路地にて。 「……」 クリスティーナはかなり凹んでいた。無理もないだろう……。 そんな彼女の横では、国子がクリスティーナの肩を優しく叩いてやりながら慰めている。 「まぁ……そういう事もあるって。ほら、後で一緒に銭湯いこ? ね?」 (俺も銭湯いこっかなぁ……) 涼は彼女らを見遣った後、ジャスティスプランジャーに殴られた箇所の服を見る。この服はクリーニングに出した方が良いかもしれない。 「……良し、オッケーだよ神守さん」 「おう、サンキューな」 一方、智夫にブースターを奇麗に掃除してもらった零六はしゃがみ状態から立ち上がりつつ彼に礼を述べた。 「うーん……作戦とはいえ、本当にごめんなさい」 「気にすんなって、まぁ取り敢えず俺はジャスティスプランジャーをアークに届けてくる事にするぜ!」 そう言う零六の手には上着に包まれたジャスティスプランジャーが。 だって俺って綺麗な主人公、汚れ仕事は似合わない! ……つまり事後の掃除をサボるつもりなのであった。 しかしそんな零六の肩を、急流から無事生還した猛が掴む。 「はぁーなんでアフターサービスまでー。こうなったらとことん綺麗にしてやるぜー」 イヤにいい笑顔で、イヤに棒読み台詞。その手には掃除道具。ちなみに彼の背後から顔を覗かせる桐の手にも掃除道具。 ゲェーッ……零六の顔が引きつった。 「綺麗な方が見てる方も気持ち良いだろ?」 あの道具の気持ちとかは正直解らんが、と付け加えた猛がニカッと笑ってみせた。 そうして、路地に本当の静けさが訪れた頃。 そこは見違えるほど奇麗な場所となっていたそうな。 ちなみに、 「ヘベレケ上司の世話かぁ? 若ェのは大変だなぁ~」 「あ~……はは……」 どこかのベンチに横にさせてやろうと気を失った男を背負って歩いていた義弘は、見知らぬ酔っ払いに激励されたそうな。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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