●SKD48(白雪華撃団平均年齢約48歳の女子会) 「ジャーパンのみーらいはっ!」 「「うぉぅうぉぅうぉぅうぉぅ!」」 「ワールドがうらやーむっ!」 「「イェイイェイイェイイェイ!」」 神谷小鶴と明覚すずが低いお立ち台に乗って扇子を振り回しながらカラオケマイクで熱唱していた。 室内は七色のミラーボールが回り、パーティ用と思しきホールのソファーには藤代レイカとテレザ・ファルスキー(平均年齢約27際)がタンバリンとマラカス片手に『中学の頃聞いたことあったなあ』って顔しながらテンションくらいは会わせようとしていた。でも小鶴たちのテンションがどう聞いても美空ひばりのテンションなので振るタイミングに迷う迷う。 蒼嶺龍星(21歳)はそんな彼女らを無視して電話機に向かって唐揚げとポテトを注文。受話器に手を添えてからみんなの注文をあらかた確認し、焼酎やらビールやらカクテルやらをテキトーに注文した。 そして雪白桐(20歳)は部屋の中央できゅーぴー立ちさせられていた。 短パンにキャミソールという謎の格好で、である。 ステージ側の壁には『第六回チームトーナメント優勝記念会』という文字に被さる形で『短パン男子を女装させて弄り倒す会』と書かれている。 テーブルには空になった酒のグラスが散乱し、龍星がやれやれ系主人公みたいな顔で順次出入り口前へと片付けていた。 と、そんなとき。 事件は起こったのだった。 ●やめろよ、小鶴さんたちの年齢を逆算するのはやめてさしあげろよ! 突如カラオケ機械にノイズが走ったかと思うと演奏が中断。 そして画面に謎のCGキャラクターが表示された。 『ハーッハッハッハー! お前たちはもう逃げられないぞ! 個人用イベントホールがまるごとエリューションゴーレムとなったこの俺様の操り人形となるのだ!』 「明覚さん次なに入れます?」 「ブルーナイトヨコハマとかみんなわかるんかなあ」 「翼の折れたエンジェルくらいでないと無理ですよお」 小鶴とすずは選曲リモコンを苦労して操作しながら次の曲を選んでいた。 レイカたちに至っては黙ってポテト喰っていた。 『聞いて? 俺様泣いちゃうから聞いて?』 「あらまあ、どうぞ?」 丁寧にテレザが先を促してくれたので、自称Eゴーレムさんは再び語り始める。 『貴様らには今から12時間、地獄の苦しみを味わって貰うぞ。内容は簡単だ。俺様が指定した一人に恥ずかしい格好をさせ続け、延々と素敵なポーズをとらせ、全員で撮影しながら過ごすのだ! ハーッハッハッハ、命乞いをしろぉ!』 「カルボナーラひとつ。あとたこやきひとつ……あ、青のり抜いて貰っていい?」 龍星は電話機に向かって注文をとり続けていた。 『おい、泣くぞ? Eゴーレムが声を上げて泣くぞ? いいのか?』 「あ、悪ぃ。俺には気にせず続けてくれ」 『衣装は大量に用意してある。カメラもだ! そうだなあ……この中で恥ずかしい格好をさせるのは…………貴様ダァ!』 スポットライトが下りた。 雪白桐の真上におりた。 無表情で遠くを見つめる桐。 だろうなって思っていたレイカとテレザは黙って唐揚げ食べる作業に戻った。 『おねがい。なんでもするからかまって? ね?』 「え、今なんでもって」 「言ったわな?」 『はい、あの……はい……』 マイクをやんわりともみ始めるすずたちに対してたじたじになる自称Eゴーレムさん。 「じゃあ衣装」 『あ、はい』 壁がクローゼットみたいにぱかぱか開き、大量のコスチュームが飛び出してきた。 バニー、メイド、スク水、体操服といったどう考えても趣旨を誤っている衣装をはじめ、オーソドックスなコンセプト衣装なんかも取りそろっている有様である。 リモコンをばんばん叩き始めるレイカ。 「ごはんは? あと12時間撮影だけだったら暇なんだけど」 『あ、ちゃんと用意しますんで、はい……お代も、はい、持ちますんで……』 反対側の壁が引き出しみたく開き、ツイスターゲームやら王様ゲームキットやらチョコスティックゲームキットやらおっさんが喜びそうな遊び道具ばっか出てきた。 『あの、色んな都合上カラオケだけはできないんですけど、他のことならなんとかなると思うんで、あの……12時間だけ……その……遊んで頂いても……』 「いいよ」 『アァリガトウゴザイマァスッ!!』 ――こうしてEゴーレムにとらわれたアークのリベリスタたちは、仲間をネタに弄り倒さねばならなくなったのである! 彼女たちの運命やいかに! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ リクエストシナリオ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年08月13日(水)22:36 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●ご注意 このお話には以下の要素が含まれます。 酒と場酔いによるキャラクター崩壊。 露骨なエロ要素。 小学生レベルの下ネタ。 メタ表現を超えたなにか。 過度なグダグダ描写。 ライター生命を賭けた思い切り。 絵面が見えないのをいいことに好き放題する飲んだくれども。 以上がダメな方は『雪白たんは男の娘やない、ワンダフルガールや』と唱えてお布団に入ってください。 OKな方には抽選で一名様に雪白たん抱き枕をプレゼント! 裏側はギラっさん描き下ろしの中破絵だよ! 応募は以下の宛先まで! ●『まもなく放送がはじまります』『おつー』『わこつですー』 「ニコ生をご覧の皆さんこんにちは! 神谷姉妹の砲撃担当、神谷小鶴です!」 画面いっぱいに神谷 小鶴(BNE004625)のアップが映り込んだ。 カメラの位置を調整しているのか左右にしばしガクぶれしたが、そこはノートPC備え付けカメラ。壁際に置けば一発解決である。 カメラから離れ、全身が映る位置まで後退する小鶴さん。 テーブルから『半透明になったビール』を持ち上げ、おもいっきりあおった。 口の端から一筋の滴が垂れるのも無視し、ビールジョッキを地面に叩き付ける。 気持ちよく三高平雪月花を歌っていた蒼嶺 龍星(BNE004603)を殴り倒してマイクを奪うと、高らかに叫んだのだった。 「第一回、伊藤ライフゲーム!」 「させるかああああああああああああ!」 龍星、輝かしい昇竜アッパーによってマイクをゲットバッカーズ。 「まだ千文字もいってないのにシナリオ終わらす気か! もしくはゲームを終了させる気か! 今アレだぞ、過去の世界でR-TYPEと戦おうっていう色んな瀬戸際なんだぞ! ハルオが大野さんか日高さんかどっちに転ぶか分からないまま休載する漫画みたいなことしてんじゃねーよ! アニメ化前だぞ、わかってんのか!」 「ここぞとばかりに危ないところにタッチしていきますねえ。作者が酒でもあおりながら書いてるんですかねえ」 『朱蛇』テレザ・ファルスキー(BNE004875)は『全透明なビール』を一気のみしながらニヤニヤしていた。 「じゃあ、今日は日頃のキャラを忘れて下手くそなライターが書くお嬢様キャラを演じてみますですわ」 「出たー! 語尾に『ですわ』つけとけばお嬢様に見えるだろう的なロールプレイやー! こりゃあプレイヤーも大ひんしゅく間違いないやで!」 両手にビールを持ってダブルであおるという器用なマネをする『もうだめ駄狐いつ』明覚 すず(BNE004811)。 「明覚さんも明覚さんで、大阪弁と京言葉を混同した人にありがちなエセ関西弁になってますけど、大丈夫なんですか? 消されませんか?」 とっくりから清酒を直接がばがば飲むという普段じゃありえない行為に出る藤代 レイカ(BNE004942)。 と、そんな人たちを前に『History of a New HAREM』雪白 桐(BNE000185)は深呼吸をした。 「きっと、しょっぱなから大幅にキャラを外しメタ視点を叩き込むことで『これは普段の行ないではまずありえませんよ』という状態を作っているんじゃないでしょうか。仮にこの場で狼藉が起きたとしても、私たちに責任が及ばないようにと」 あと雪白さんはヒモをビキニにしていた。 もう一回言おう。 ヒモをビキニにしていた。 「…………」 「…………」 「なんですかこれ」 「『繊維を中程度の太さに束ねて細長くした加工品。またはそれを切り取った断片』。ウィキペディア調べ」 「そういうこと聞いてるんじゃないです」 「材質? ポリプロピレンですけど?」 「雑誌とか結束してるバンドじゃないですかそれ! 間違っても人体に巻くものじゃないしまして『コスチューム』に分類されるアイテムじゃないでしょう!? わざとやってるんですか? ゴーレム! こたえなさいゴーレム!」 『だって紐水着っていうから』 カラオケの歌詞ムービーとか出てくる画面に20年くらい前に作ったようなCGキャラクターが表示されていた。天テレ的なアレである。 「誰がヒモを水着に見立てろと言ったんですか。普段使わないようなエクスクラメーションをつい連発しちゃったじゃないですか。ドライなキャラクターが崩壊しましたよどうしてくれるんですか」 「その格好してる時点でもうキャラは木っ端みじんだよな……」 焼酎をストローで飲むという愚行に走りつつ、龍星はせつない顔をした。 あと流星はバニーガールだった。 喋るたびに乳が揺れるカットインが挟まった。 でも龍星くん男だし、揺らそうにも揺れないので、しょうがないから下半身を揺らすアニメーションを作った。作っている最中にクリエイターが『なんで地球は回ってるんだろう』と死んだ目をして呟いていた。 ちなみに龍星は社会的フェイトの使用をプレイングで宣言しているので戦闘を継続し、次の登場シーンではまた新たなコスチュームを着ることになっています。 が、そんな未来を知ってか知らずかインターホンの受話器をとる。 「あー、コーラサワーとカルピスサワー追加で。焼き鳥と唐揚げとシーザーサラダ、あと焼きおにぎりもな。……あ、あと何か欲しいものあるか?」 受話器に手を当てて振り返ると、すずとレイカがシンメトリーポーズで振り返った。 ミニスカのナース服だった。色はピンク色だった。 最近は歪んだフェミニズムの波によってナースやスチュワーデスって言葉が廃絶されたそうだが、むしろそうしてくれたおかげで『ナース服』と『スッチー服』がいかがわしいコスプレ用品であるということが一言で伝わるようになってイイよね。 モラル民はもっと言葉を刈り取って、これからも新しい言葉をじゃんじゃん増やしていただきたい。 さておき。 レイカとすずはストレートウォッカをカップル用ストローで同時にちゅーちゅーしつつ、こう応えた。 「「ベニーいっちょう」」 「追加でベニー」 『竜兵さんが押すなと言ったとき以外押してはいけないという言葉を知っているか?』 「扱ってないらしいぞ」 こともなげに応えた龍星に、レイカとすずはしばし悩んだ後ハッと顔をあげた。 「じゃあ『ぬるぬるした半透明の液体』をひとつちょーだい」 「あと雪白さんの衣装のコーディネートを頼んどいてもらえる?」 「分かった頼んどく」 龍星は言われたとおりの注文をして受話器を置いた。 当然カットインは入った。 ●この映像は生放送されております 雪白たんがカラオケ筐体に細かく蹴りを入れながら詰め寄っていた。 「私、言いたいことは沢山あるんですが、あえて一つ言うとすれば……出てきなさいゴーレムさん。実体化くらい出来るんでしょう? あそこで飲んだくれてクレーム必至のキャラ崩壊を起こしているオネーサマ好みのショタっこになりなさい」 『えーそんな』 「気合いでどうにかするんです。当然コスプレもするんですよ」 『う、うう……』 シャコンと地面に円形の穴が開いた。 ウィーンと下から台が上がってきた。 そして、その辺のオネーサマにバカ受けしそうな幼い男の子ロボが現われた。 具体的に表現するならば。 「先行者だ」 「先行者だ」 「先行者やああああああああ!」 なんかが琴線に触れたのかすずがハッスルしはじめた。 あと頭に女性用下着を被って網タイツとムタンガを装備していた。 なんかプレイングに『実際やられると申し訳ないから流して』と書いてあった気がするけど見えないなあ。酒が零れてインクが滲んだのかなあ。 そしてしなっとするゴーレム。 『ふえぇ、おねーさんぼくもうがまんできないよう』 「そのフォルムで言うな!」 「とりあえず巫女服着せときますね」 「着せんな!」 いそいそと巫女服を着せにかかる小鶴。 カーテンなしの生着替えである。わーお。 あとこれ関係ないけど、まだ巫女服って言葉はエロ用語とかにカテゴライズされないんですかね。性欲の対象としての巫女服と神聖な巫女服を分けるべく新しい単語を募集しています。カッコよく神卸衣(かみおろしのころも)とかにしません? 「はいがんばれがんばれ」 『だめぇ、キャノン出ちゃうよぉ……』 「だから続けてんじゃねえ!」 ガタッと立ち上がる龍星。 「いいか、このゲームは全年齢なんだよ。あと生放送中なんだよ! 規制くらってこの世から消えたとき、困るのは俺らなんだぜ!? キャラを崩壊させて一人称を『俺』と『私』で統一してる場合じゃねーんだよ! わかってんのか!」 あと龍星くんはすずさんとレイカさんのリクエストに従って、『オリーブオイルまみれでセロハンテープをゆるく全身に巻き付ける』というコスチュームになっております。 「うわあ……一段とこう、あの……ピンナップ申請しづらい格好になりましたね」 最大限に言葉を選ぶレイカさんである。 そんなカオスをお構いなしに、テレザさんはひたっすらカラオケめしを喰うという娯楽に浸っていた。 「たまりませんね……なんといいましょうか、『特に美味しくもなく安っぽいものを食べる』という付加価値にお金を払う贅沢。これが日本の佳いところではございませんか」 チェコ出のテレザさんらしい意見である。よく調べもしないで言うが、社会主義の国から来た人ってこういう『安っぽさ』に金銭的価値があるという事実にまずビビるところがありますよね。 治安が高くてサービス品質が世界レベルで高く物価も高いという国のあーなんか真面目なこと書こうとしてワケわかんなくなってきたからテレザさんの水着コンイラストを妄想する遊びに変えよう。 ドクペとビールを混ぜるという狂気の飲み物をかっくらいながら語らうすずさんと小鶴さん。 「どうなのかしら。テレザさん、普段からヘビメタファンみたいなゆるい拘束服を着てるけど、だからって急に露出を増やしても安直よね」 「じゃあいっそ、露出度を今より下げるっていうのはどうですか?」 「ただでさえ顔と手しか出てないのに!?」 「顔も髪も指先も全部ゴム製のぴっちりした水着素材に包んでいるにもかかわらず……下腹部だけが露出」 「斬新!」 「いやですよ、そんな服装。着ませんからね?」 たこ焼きとラーメンのセットをとりつかれたように貪るテレザ。 「それにしても日本のB級グルメっていうんですか? この中毒性はとてつもないですね。違法にならないのが信じられません。脱法ハーブとかいう雑草に薬品ふりかけたものよりもずっと危ないでしょう?」 「あ、今脱法ハーブって言葉使わないみたいよ」 「じゃあなんでいうんです」 「き、危険……ドラッグ?」 「ピンときませんねえ」 「どっかで見た『アへ顔パウダー』でええよそんなん」 ウィンナーとポテトの盛り合わせを両手を使って猛烈にばりむしゃするすずさん。 と、そこへ新たなアイテムが到着した。 このアイテムの到来が、彼女たちの運命を大きく変えることになろうとは、書いてる人ですら予想していなかった。 ●「夏だから恐い話しようぜ」「この依頼に挿絵ピンナップをします」「もうやめよ!?」「4人ずつで二枚発注します」「やめて!」 ウェディングドレスを白い謎の液体だらけにした雪白が四肢をぐったりさせていた。 あ、よく見えなかった人のためにリピートしますね。 ウェディングドレスを白い謎の液体だらけにした雪白が白かった肌を朱色に蒸気させ霧のような粗い呼吸をしつつ指先にまだ残った液体を口元にゆっくりと運んでいた。 「もうやめませんか? 『相手が成功するたびに上からケフィアを垂らすツイスターゲーム』」 「じゃあ、製菓会社からのにらみがきつくて本来の呼び方はできないけどテイよくベロチューするために開発されたチョコを両端から高速で食べるゲームからチョコ抜いたやつをやります?」 「それただのベロチューや」 『ベロチューと言えば、あるイベントに参加した際後ろの席の知らない男が急に身を乗り出し唐突に唇を奪われた人の話します?』 「しなくていいです」 『煙草の味がした。仕返しにディープキスをしようと思った。と述べていましたが』 「しなくていいです」 「それより、唐揚げはまだですか?」 着物を盛大に着崩したテレザさんが、ソファにだらんと寝そべっていた。 どのくらい着崩すかって、まず帯がほどかれている。あわせの部分が完全に離れている。この二点からテレザさんのありようをご想像いただき、あわよくばイラストという形で世間にテレザさんの気だるげな魅力とセクシーさをアピールし新たなる時代の幕開けとしたい。この人に対して特になんの義理もないけどただただ魅力を追求したい。 スパゲッティとか手づかみで口の上に持ってきてあーんとやってるくらいのけだるさがあるとアーティスティックだが、基本的な物腰が丁寧なので多分無理なんだろうなあ。 「まあでも、たまにはこういうのもいいかもね。あたしって、こういうグダついた遊びをしてこなかったし」 コスプレ用(ここ重要)のチャイナドレスを着たレイカさんがツイスターゲームに興じていた。 仰向け縛りで、相手側が成功するたびに上からヨーグルトを降らせる遊びである。 ちなみに対戦相手は小鶴である。ミニスカのポリスコスチュームである。 きっとアレなんだろうなあ。イラストにしたらこれみよがしに生足だのパンツだの描かれるんだろうなあ。違うんだよ。俺たちが求めてるのはそういうことじゃないんだ。彼女たちが恥じらいも無く股を広げるなんてありえないし、求めてないんだ。なんとか頑張って、ギリギリのところで歯を食いしばって太ももやパンツが見えないように身体を捻り合って息を荒げているさまを見たいんだ。わかってくれよ! 「なんですか? いまヨーグルトといっしょに醜い欲望の叫びが降ってきたような……あっ、そういえばナビ子さんとサポ子さんは注文してもらえました?」 「システムの限界があるから、右上に静止画のワイプきるだけで我慢してくれって」 「そうですか……」 尚、審判役の龍星はブーメランパンツにネクタイだけのコスチュームだった。 すずさんのリクエストである。流してって書いてあった気がしたけど今ビールこぼして消しました。 「着せていいのは着せる覚悟のあるやつだけって、誰か言うとったし……責任とってうちも恥ずかしい格好するでの。それで許して」 「じゃあ、これで」 眼鏡をチャッとあげる龍星。 彼は今日一番のイケメンフェイスでストッキングとガーターベルトを差し出した。 説明しよう! あまりの女性比率に耐えきれず酒に逃げた蒼嶺龍星は、生放送動画のコメントで流れてくるリクエストを忠実に実行するマシーンと化していたのだ! 「え、これ……だけ?」 「そうだ」 「で、でもあたし……」 「心配ないぜ。カーテンは用意しておいた。ピンク色のバックライトも。そう……君のために」 振り向きと共に眼鏡をキランとさせる龍星。 キャラの魅力を無駄遣いしている瞬間である。 「か、カーテンの裏だけやよ? ほんとに、見せんから……ね?」 もじもじとカーテンの裏に入っていくすず。 黙ってカーテンの両端を握る龍星とゴーレム。 そして。 ミニスカメイド服の雪白さんがマイクを握りしめた。 勿論ここでいうメイドというのは秋葉原の駅前でティッシュ配ってるようなコスチュームとしてのメイドである。住所を尋ねるとお花畑ですって応えるタイプのメイドである。 拘っているのはスカートの丈が見えそうで見えないギリギリのラインに維持されているところだ。しかもカラーリングは青と白のグラデーション。 少女ではなく男の娘でもなく他の誰でも無い雪白ちゃんに着せるためにのみ作られたことがわかる一品なのだ。 小指を立て、生放送カメラに向かってウィンク。 するとカーテンの向こうでピンクのライトが輝き、すずのシルエットを映し出した。 「さー始まりましたすずさん早着替え! カウント10秒以内に着替えられたらCM時間を確保できます。できなかったらカーテンが落ちます!」 「「イエーイ!」」 「ちょっ、おま!」 「ごーお、よーん、さーん!」 日頃着ているセーラー服は脱ぐのが割と面倒くさい。 まずスカーフを慌ててほどき、引き抜く。 更にミニスカ仕様にするためにベルトで高い位置に固定していたスカートを、ぎゅぎゅっとほどく。腰を細く見せるためにきつめに締めているので、一旦おなかをへこませて慎重に抜かないといけないのだ。 こうして上と下を素早く脱いだすずはストッキングに手をかけた。 が、ここではたと気づく。 これだけ。 これだけ? ストッキングとガーターベルトのみである。パンストならわかる。だがパンツ部分が無いと言うことは、ベルトがだらんと開放され、垂れ下がった状態ということだ。 どころか上着もパージするわけなので、ほぼ全裸に近い。 こんな状態を晒してしまえばもはや全年齢とは言えなくなるだろう。 だが既に上も下も脱いでしまった。今から服を着直そうにも手際よく小鶴たちが回収してしまっている。 手にあるのは半透明なストッキングとベルトのみ。 まずい。 まずいまずいまずい! まずいまずいまずいまずいまずい! 「ちょ、ちょおタンマ! タンマやて!」 「いーち――オープン!」 「ひっ!」 そしてすずは全国にそのあられもな ※文字数限界です。続きを読むには再びリクエストして下さい。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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