●海底から来るもの ここは海の底。 「強力な革醒者の気配を感じるタコ」 一匹のタコ型Eビーストが何かに気付いたかのように言葉を発する。そう、それはエリューションにして未来予知の能力を持つ類稀なる存在―― 「怖いから逃げるタコ」 などではなく、単に臆病で気弱なだけであった。それゆえに強い者の気配を察して保身に走る。そんなエリューション。 「なので、この海域は離れて別のほうで活動するといいタコ。とりあえずこの辺りとか」 「りょうかいなのです海坊主さん。ガシガシ船を沈めてくるねー」 返事をしたのは白無垢の服を着た女性のエリューション。手に柄杓を持ち、通りかかる船に水をかぶせる存在。船幽霊と呼ばれる伝承がE化した存在。伝承が本物なら彼女が存在する海域に近づいた船は、為すすべなく沈んでしまうだろう。それほど恐ろしい存在なのだ。 だが、幸運なことが二つある。 一つは彼女自身がそれほど強くないエリューションであること。 一つは彼女が船を沈める前に『万華鏡』が存在を察知したこと。 ●アーク 「イチニイマルマル。ブリーフィングを開始します」 録音機にスイッチを入れて、資料を開く。『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は集まったリベリスタたちの顔を見ながらこれから起こるであろう神秘の説明を始めた。 「ある海域にエリューション・フォースが現れます。女性型が一体と手首型が九体」 和泉の説明と共に、海に浮かぶ白無垢の少女と海面から生える手の映像が写される。それぞれの手に柄杓を持ち、通りかかる船に水をかけている。ただの柄杓と侮る事なかれ。神秘強化された柄杓なのだ。船員は抵抗する間もなく鎮圧され、船は見る間に沈んでいく。 「対象は船に乗り込んで、水を船に注いでいきます。時間にすれば三分半でどんな船でも沈めると『万華鏡』は予知しました」 船の大小にかかわらず、である。それだけを見れば恐ろしい能力だ。元となった伝承に依存しているのだろう。 「ですがその能力に力を割いていることもあり、実質的な戦闘能力は高くありません。数こそ多いですが、それを考慮に作戦を立てれば対処は可能です」 リベリスタの技の中には、多数を攻撃するものもある。それを組み合わせればいいだろう。 「この海域では幾つもの神秘がかかわる海難事故が予知されます。ですが何故か実力者を配置しようとすると事故の予知そのものが消えてしまいます。 何か裏があるようですが……」 首をひねる和泉。事故がなくなること自体はいいことだが、腑に落ちないという顔だ。何よりもエリューションを放置することになる。それはいただけない。 「船舶と操縦員はアークが用意します。皆様は戦うことだけを考えてください」 どうかよろしくお願いします。一礼する和泉に送り出され、リベリスタはブリーフィングルームを出た。 ●ミキ 「ふるりら ふるりら るるるるるー。れりぱす らみぱす へんどろりん! らぶりーひしゃくで、みんなおともだちっ(船幽霊の仲間入り的意味で)」 海の上、柄杓を持ってポーズを決める白無垢の少女がいた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年08月16日(土)22:00 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 船幽霊――海の幽霊としてはメジャーな類である。通りすがった船に柄杓で海水を注ぎ込み、船を沈めるというものだ。よく知られるのは海水から伸びた手だが、地方によっては白無垢の女性が……というのもあるという。 勿論それは伝承だ。だがそれが実在するのが神秘である。今更それを驚くリベリスタはいない。 「幽霊船……波間に漂うソレは夏らしいといえばそうでしょう」 海から出てきた手を見ながら『月虚』東海道・葵(BNE004950)は一礼する。背筋を伸ばし、軽く身体を曲げる礼。それは葵にとっては日常的な行為であり、同時に身体の緊張をほぐして動きをよくする神秘の行使でもあった。 「穴の開いた柄杓を渡すと、水が穴から抜けて船が沈められる事はないとの事ですが……今回のは少し違いそうですね」 船幽霊の伝承を思い出しながら『白銀の防壁』リリウム ヘリックス(BNE004137)が翼を広げて武器を構える。仮に船が沈まなかったとしても、世界の為にエリューションは滅ぼさなければならない。白銀の槍を構え、前に出るリリウム。 「この船幽霊さんは怖いより可愛いのと、おててが少し近づきたくない感じですね」 あまり近づきたくない、と怯えるのは『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)。その姿を見れば臆病に見えるが、それでもこの船に乗るだけの度胸はある。仲間を支える為に破界器を握り締め、影を立体化させる。 「わー、海水を柄杓で掬って不味いもう一杯ってするフナ幽霊さんだっ」 あれ、違った? と首をかしげるシーヴ・ビルト(BNE004713)。確かに海水は不味かろうが。勉強のためにどこかのゲームをやってみようと決意するシーヴ。とりあえずこの幽霊さんを参考にすればいいのかな? さて、その船幽霊ですが。 「……魔法、少女……?」 柄杓をステッキのように振り回す舟幽霊をみて『夜明けの光裂く』アルシェイラ・クヴォイトゥル(BNE004365)が首をかしげる。どこか楽しげな幽霊である。そもそも幽霊ってなんだろう? ラ・ル・カーナにはない概念だしよくわからない。 「ふるりら ふるりら るるるるるー。れりぱす らみぱす へんどろりん――じゃないですよ!」 バン! と桟をたたいて抗議するのは『quaroBe』マリス・S・キュアローブ(BNE003129)だ。船幽霊の呪文に突っ込みを入れ、その勢いのまま指を差す。 「タコで触手でへっちっちーって思ってきたら! 何故タコじゃないんですか!? うーにゃんが乱舞する、あんまり嬉しくない絵が見られると思ってきたのに!」 「うにゃか!?」 指差された『ピンクの害獣』ウーニャ・タランテラ(BNE000010)が突っ込みを入れる。そのあとで船幽霊を見た。海だの幽霊だの魔法少女だの夏の風物詩を盛りすぎですよ、とぶつぶつ呟いていた。これは対抗しなくては。 「Eフォースは骨が残らないのよねぇ……」 それは困ったわねぇ。と言いたげに顎に手を当てて首をかしげる 『いつか迎える夢の後先』骨牌・亜婆羅(BNE004996)。その表情はローブで隠れて見えないが、残念そうな声が彼女の落胆を伝えてくれる。それでも戦意が失われるわけではない。 「ふるりら ふるりら るるるるるー。れりぱす らみぱす へんどろりん! らぶりーひしゃくで、みんなおともだちっ」 ポーズを決めながら前進してくるEフォース。同時にずりずりと手のEフォースが船に登ってくる。 相手の数は多い。だが、恐れずにリベリスタたちは破界器を構えた。 船が揺れ、緩やかに沈み始める。海の平和を守るため、リベリスタたちは破界器を構えた。 ● 「振りかかる災厄は押し流して見せます」 最初に動いたのは壱和だ。長ランを潮風になびかせながら立ち尽くし、見方に指示を出だす。同時に指先で虚空に文様を描き、四神の一を召喚する。黒を示す水の獣。迸る津波が不浄のものを清めていく。 だがエリューションも海の存在。迫りくる波をよけるため跳躍し――壱和の指が動きを変え、奔流を操作する。避けた先に波を向け、圧倒的な水量を叩き込む。その勢いに力をそがれる船幽霊。 「失礼。お相手させていただきます」 濡れた船幽霊に葵が迫る。目に見えぬほど細い糸を手にし、白無垢のEフォースに迫る。翻弄するように相手の正面に立ち、糸を揺らして光を反射させる。相手の虚を突く角度から、葵の糸が迫る。 『残念なお坊ちゃま』に仕える葵は、その主の名誉を受けて戦場に立つ。自分の敗北は主の敗北だ。その顔に泥を塗らぬよう毅然とした態度で戦いに挑む。ナメクジのようなものを引き連れている相手に遅れを取るつもりはない。 「うーにゃん夏休みに命かけてる生き物だからいつもよりでんじゃーよ?」 夏休みの邪魔はさせないとウーニャは気合を入れる。飛行の加護を全員に与え、魔力を練り上げる。神秘の力により生まれた赤い月。不幸を告げる血色の月は船の上のエリューションに不吉を告げる。 「うわ、暗いところで見たらホラーだわ。ミキちゃんでいろいろ台無しだけど!」 赤い月に照らされる幽霊を見て、身震い……しないウーニャ。理由は元気に踊っている魔法少女フナユーレーのせい。身震いしないほうがいいのだが。 「色々文句は言いたいのですが」 不満を隠そうともせずにマリスが守りの術を行使する。リベリスタを包む淡い光。それはリベリスタのを護る堅い鎧となる。火力で相手を封殺するのではない。火力を持つものをサポートするのも戦い。 Eフォースの立ち姿を上から下まで見るマリス。若干背の低い少女の姿。魔法少女とか言わなければ、悲壮感すら与える少女だ。マリスはぶつぶつと呟きながら戦場を見渡す。足りていない部分を見たら補うために。そしてEフォースに如何なる罰を与えるか。 「船幽霊と言えば日本の有名な妖怪ですよね。お目にかかれて光栄です」 「いえいえ。こちらこそ」 リリウムが槍を構え、一礼する。律儀にそれに返礼する船幽霊ミキ。互いの立場上、滅ぼさねばならないのが辛いところだ。世界を滅ぼす因子になるエリューション。それを滅するのがリベリスタの使命。 白い羽根を広げ、前に出る。羽ばたきによって得た力を身体に伝達させ、槍を持つ手に伝える。背中を真っ直ぐ伸ばし、真っ直ぐに槍を突き出した。リリウムの着ている鎧の重量を加えた高重量の一撃が船幽霊を襲う。 「おててさんいらっしゃい、あたしの骨の矢と握手してね」 亜婆羅が炎の魔弾を生み出しながら、言葉を紡ぐ。深く被ったローブから唯一見える赤い唇を笑みに変え、包帯だらけの手で弓を番える。亜婆羅の魔力が鏃に炎を点し、自ら来ている紫のローブを淡く照らす。 放たれた矢は戦場に降り注ぎ、船を沈めようとする者たちを焼く。赤い炎は亜婆羅の慈悲を示すように、船には傷一つつけずに崩界の因子たるエリューションの体力を奪っていく。 「幽霊相手に幻想殺しは……効果無いか」 半透明の存在だが、幻覚ではない。分かってはいたけど、とアルシェイラは相手に向き直る。手にした杖に魔力を篭めれば、フィアキィが楽しげに宙を舞う。フィアキィが放つ淡い光に照らされながらアルシェイラは魔力を放つ。 魔力がアルシェイラの頭上に熱気を集め、炎を生む。魔力の炎珠は爆発するように細かくなり、火の雨となって甲板に降り注ぐ。激しい衝撃と熱い炎がエリューションたちに襲い掛かった。 「どかーんと吹き飛ばすのです。敵の真ん中に突っ込んでれっつごーっ」 シーヴが二丁拳銃を手に敵陣に突っ込んでいく。れっぷうじーん、といいながら踊るように周りのおててに弾丸を当てていく。口調こそ軽いが、敵陣に入り込むのは強い勇気の証。 軽やかにステップをふむシーヴ。回転しながら敵味方の位置を確保し、左右の銃を交互に放つ。それは旋風如く激しく、妖精のように幻想的な踊り。それに巻き込まれたエリューションは傷ついていく。乱戦が続けば味方を巻き込みかねないので、そろそろ控えたほうがいいか、とシーヴは足を止める。 甲板は敵味方入り乱れ、激しい闘いになって―― 「魔法の力で沈没だよっ」 「きゅるりん、るるりん、らいあー☆くらうん!」 「タコ触手えっちっちを眺めれると思ったのに……!」 「影絵の狐さんやってー。きゃー! ありがとー!」 「サービス精神旺盛ね」 もとい、激しくカオスになっていた。 ● 「へにゃ? 握手? って、ひゃうんっ、つめたーい! あ、でもひんやりして気持ちいいのです」 おててに掴まれて麻痺ってるシーヴが幸せそうに涼を楽しんでいた。あれ? それってそういう麻痺だっけ? 抱き枕にちょうどいいけど、お持ち帰りは禁止です。緩んだ顔で力を抜くシーヴ。 「脱げ。拒否するなら、身体にあーんなことやこーんなことをする用意が我々にはある」 マリスが船幽霊を前によくわからない要求をした。海でエロスがないという事実に憤りを感じているようだ。そろそろ落ち着け八十三歳(二〇一四年八月現在)。エリューションに対して一切妥協しない姿は、流石リベリスタといえよう(棒読み)。 「ほんだららったったー。はみゅぱみゅふるりらー。いぇーい!」 ウーニャが歌で仲間を回復する。杖をマイクにして踊りながら。このときのために練習までしてきたのだろう振り付けで、後ろにはバックダンサーとして金のアルパカが二体いる。鳴かないけど。『アル→カパァ↑』とか鳴かないけど。 「ところで何のE・フォースなのかしらね。……魔法少女?」 「魔法少女でーす。海底の竜宮城ワールドから海の力を使って変身しまーす」 亜婆羅の問いかけに手をあげて答えるEフォース。船幽霊のプライドはどこにいった? 因みに適当に喋っているアホの子のようです。船幽霊の力に従い、絶賛船沈めなう。 「マスコットだっているよ。白くて突っ込みの手を入れてくれるし」 「こういう時に言うべき台詞は知ってる。 『お前のようなマスコットがいるかー』」 アルシェイラがおててを纏めて焼き払いながら、ツッコミを入れた。気がつけば水着姿になっていました。納品されてたんだから仕方ない。ピンクのワンピース水着を幻想纏いを使って早着替え。スカートのようなフリフリが爆風で揺れた。 「一つ質問が。最近、海ですぐ場所を変えてたのはミキさんの勘でしょうか」 「違うよー。海坊主さんが教えてくれたの。タコのエリューション」 壱和の問いにあっさり答える船幽霊。海坊主。タコのエリューション。その単語を心の中で反芻する壱和。海洋に巣くう新たな敵か―― 「とても臆病で、強い人の気配を察して逃げちゃうの。皆しかたないなー、って言ってついていくのよー」 そうでもなさそうだ。 「成程理解しました。ともあれ貴方をここで討たせて頂きます!」 リリウムの槍が船幽霊に迫る。真っ直ぐに突き出される槍を、一瞬だけ非実体化して回避するEフォース。そのまま柄杓から放たれた水を受けて流され――ることなくリリウムは立ち尽くす。驚きの顔を上げるミキに、再度突き出される白の一撃。回避の暇は与えない。槍から伝わる確かな感触。 「しかし、相手を沈めるとは実に下らない。あなたの存在は船を沈める『だけ』というものなのですか?」 「はひ?」 集中砲火を受けてボロボロの船幽霊に向けて葵がその存在意義を問う。 「わたくしの存在意義は主に仕える事のみ。あなたは船を沈めるだけと言う……実に愚かしい真似をする」 「これはまさかミキが誰かに騙されている真実を告げて、仲間に引き入れようとする流れ? 悪かったのはマスコットとかそういうの?」 「いいえ。ただ愚かだと罵っただけです。 さて、躾の時間です。何がイケない事かをその身に深く刻み込んで差し上げます」 「せんせー、容赦ないメイドがここにいますー」 リベリスタとエリューション。所詮は相容れぬ仲なのです。 ウーニャの回復により支えられ、アルシェイラ、壱和、亜婆羅、マリス、リーヴが取り巻きのおててを複数巻き込んで攻撃。リリウム、葵が船幽霊を攻め続けていた。 潤沢な全体と範囲攻撃により体力を削られたおててが一体、また一体と潰えていく。数で押していたエリューション側は、数が減るたびに与えるダメージも減る。ウーニャの回復もあり、リベリスタ側が戦闘不能に追い込まれることはなかった。壱和の攻撃が船幽霊を初めとしたエリューションの攻撃力を下げたことが大きい。 「よき戦いでした。これで幕引きです」 リリウムが槍を構えてミキに迫る。取り巻くおてては既に無く、ミキ自身もかなり疲弊している。それでも船幽霊は船を沈めるために、逃げることは無かった。 「さようなら。安らかな眠りを」 純白の槍が真っ直ぐに突き出される。その一撃が船幽霊の胸を貫き、白無垢の幽霊を無に帰す。霧が消えるように、空気に溶けるようにその笑みが消えていった。 ● 「いぇーい、みっしょんこんぷりーとっ」 シーヴがVサインをして勝利を喜ぶ。沈みかけていた船も傾きを直し、何事も無かったかのように海に浮かんでいる。このあたりは神秘の不思議ゆえか。 「これでこの件は解決ですね」 槍を幻想纏いに収めてリリウムが瞑目する。エリューションを見逃すつもりはないが、それでも相手に敬意を抱く。それが彼女の礼節だ。 「ミキちゃんは滅びるわけじゃない。清らかな光の何かに変わって全ての人々になんか癒し的なものを送り届けるのよ」 亜婆羅が空を見上げながら祈るように言う。そう思ってしまうのは母の慈愛ゆえか。生まれ代わりがあるのなら。次は本物の魔法少女になれると願って。 「船が沈むのを幽霊のせいにしてたら、幽霊が船を沈めるようになったのかな? だったらあのEフォースも?」 よくわからない、とアルシェイラは首をかしげる。噂が実体化したのか、あるいは本当にあのEフォースがいたから噂が流れたのか。 「皆様お疲れ様です。お茶はいかがでしょうか?」 葵は皆を労う為に紅茶を淹れる。適切な温度で適切な淹れ方で。もはや体に染み付いた動作。芳醇な香りが、リベリスタの鼻腔をくすぐる。 「海坊主……。何者なんでしょうか?」 壱和は船幽霊が言っていたEビーストの事を思い出す。海洋に存在するエリューション。理由はどうあれ、この海洋で逃げに徹されると追いかけるのは大変だ。『万華鏡』の範囲外に逃げられてしまえば、もうどうしようもない。 「よーし、うにゃが海の中を調べてこよう! 僕と契約して船幽霊になってよとか言うんだわ」 言うなり海にダイブするウーニャ。どぼーん、ぶくぶくぶくぶく……。しーん……。 「えーと、ウーニャさん水中用の装備とか持ってましたっけ?」 「いや、水中で呼吸できるようにスキル持ってるん……だよね?」 しーん……。 「やばああああああい!」 「た、助けに行きます!」 水中呼吸を持っているマリスが水に潜り、ダイブしたウーニャを何とか見つけ、甲板まで運ぶ。その後はてんやわんやの大騒ぎである。 ● 海の底、光届かぬ岩場で蠢く影複数。 「ミキがやられたタコ?」 「だがやつは我等が陣営では一番の小物タコ。己の美学に酔って自滅したか」 「だが地上のフェイト持ちは侮れんタコ。そしてこのままでは我等のメンツが立たんタコ」 「仕方ない、私がでるタコ」 「まさか御大自らタコ!?」 「……海坊主さん、自分の触手蠢かせて何一人芝居してるんですか?」 突如聞こえた仲間の声に、恥ずかしげに声の主――海坊主は継げる。 「なんかこうしてるとカッコイイと思ったタコ」 海の底、光届かぬ岩場でタコが自分の足を揺らしていた。自分の触手を柄て複数の悪役ごっこをしていたのだ。 「えーと、どこまでいったタコ?」 「無味坊主さんが海上に討って出るという話です」 「パスだタコ! 死んでも断るタコ!」 海の底の脅威は、かなりのビビリだった。だがそれが地上に出てくる日は、近い。 「やめて欲しいタコー! しんじゃうタコ!」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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