●墓場のスケルトン 三日月がまるで死神のカマのように鋭く光り、夜の静寂が重くのしかかる。 規則的に立つ十字架の石碑。かつてはここに教会が立っていたのだろうが、その建物は風化し崩れ落ちている。故に墓を管理するものもなく、荒れた墓場には誰も訪れるものはない。 だが、そこに動くものがある。 骨。完全に風化した死体だ。皮膚は削げ筋肉は腐り、骨だけになった存在がうごめいていた。如何なる神秘。如何なる物理法則。如何なる奇跡。それを解明しようとする生者はいない。ただ事実として、死者が動いていた。 死者が元々どういう人間だったかを調べる術はない。だが、彼らには共通した一つの思いがあった。 「殺セ殺せ。生キテイル者ハ許サナイ!」 何故、と問われても答えることはできない。ただ生きている存在が憎かった。 数にして八つの骸骨は、統率なく墓場から出る為歩いていく。生きているものを殺すために。 ●アークのクロネコ 「死者からのデートの誘いとはオツなものだね。先達の技術を学ぶチャンスだと思わないかい?」 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)は集まったリベリスタたちに向かって言う。 「美人からのお誘いなら喜ぶんだが、さすがにアンデッドからのお誘いは受けたくないな」 「美醜で判断するのはよくないとおもうけどね。美女が野獣を愛するからこそ、世界はラブアンドピース。そう思わないかい?」 美醜の問題以前だが、この黒猫に関していえばそれを突っ込むだけ無駄だと皆理解している。肩をすくめて先を促した。 「敵はEアンデッド。数は八体。全てフェーズ1。見た目は骸骨だ。 骸骨は町に下りて人を襲おうとする。それを塞いでほしい」 伸暁が端末を動かすと、それに連動してモニターが映し出される。廃墟になった教会の墓場。そこに八つの光点が点滅する。これがエリューションの居場所なのだろう。地図の距離を見るに、それぞれの光点はかなり距離が離れていた。 「エリューションはそれぞれ独立して行動している。そして八体が八体とも別の方向に向かって歩いている。墓場は草が生えていることもあって、視界は通りにくい。距離もあるし離れた戦場への援護はできないと思ってくれ。 そして、この骸骨は一匹たちとも逃がしてはいけない。ここで逃がせば犠牲がでることもあるが、フェーズ進行の恐れもある」 集められたリベリスタの人数は八人。敵も八体。つまりこれは。 「ワンオンワンでオールキル。しっかり八連勝してくれ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月20日(土)23:48 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●序幕 三日月がまるで死神のカマのように鋭く光り、夜の静寂が重くのしかかる。 規則的に立つ十字架の石碑。かつてはここに教会が立っていたのだろうが、その建物は風化し崩れ落ちている。 八人のリベリスタたちは互いの相手を確認すると頷きあい、散っていく。 月下、死者との戦いが始まる。 ●遭遇 『墓守』アンデッタ・ヴェールダンス(BNE000309)は激怒していた、それはアンデッドがでてしまったことに対してではなく、 「こんなに荒れた墓なら死者が怒って蘇っても仕方ないよ」 荒れ放題の墓の管理について、である。墓守の末裔としては確かに気になるところなのだろう。後で掃除しよう、と心に誓う。今すぐ、でないのは最優先で排除しなければならない存在がいるからだ。 エリューション・アンデッド。死体がエリューション化した存在。すでに骨だけになったモノが、蠢いているのだ 耳を澄まし、その方向を探る。静かな墓であったこともありアンデッダはすぐに相手の場所を捕捉できた。動く骸骨。その肩に術で作製したカラスが羽根を休めていた。 互いが互いの存在を認め合い、静かに戦いの幕が下りる。 「墓場にスケルトンとかけまして、八月の半ばと説く。 その心は、おボーンですっ」 ハイテンションに叫ぶのは『素兎』天月・光(BNE000490)。しかしそんなテンションもアンデッドがいると思われる場所に近づくにつれ、静かになる。 神経を研ぎ澄まし、闇の中を見る。その瞳が闇の中に動く白い何かを捕らえた。気配を殺したまま、じわりじわりと近づいている。 相手は弓使い。飛距離の優位性を可能な限り打ち消す為に、気配を消しての接近は重要なのだ。 (骸骨だけに骨が折れるぜ!) 心の中で洒落ながらも視線は外さない。薄氷を踏むように慎重に足を動かす。後五歩……汗が頬を伝う。後3歩……自分の心臓の音が響く。これで気付かれたら骨折り損か。 後一歩。自らのギアを上げる。顔を笑みに変え、最後の一歩を踏み出した。 「涼しげだな? ビリーザキッド。どちらが早いか、試してみようか」 夜風をアンデッドの前に立つのは『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)。ホルスターにある銃をてに、クイックドローの構えで骸骨を睨む。 「クールガール。みるくガホシケレバ回レ右ダ。こいんガ落チルマデニ、家ニ帰リナ」 骸骨は持っていたコインを親指で弾く。大地にコインが落ちると同時に、二つの影は動き始めた。 『不退転火薬庫』宮部乃宮 火車(BNE001845)は両手に『鬼爆』を嵌めて、拳を閉じたり開いたりしながらアンデッドを待っていた。 生きているものに対する恨みを持つアンデッド。フォーチュナが告げたことを思い出し、 (勝手ばかり言う奴等が多いぜ、まったく) と、鼻で笑った。死んでしまったお前達に許しを請う必要はねぇよ、と肩をすくめる。彼にとってそんなことはどうでもいいことだ。 アンデッドが歩いてくる気配を感じる。明かりをそちらに向けて、にやりと唇を歪めた。 「なんにしてもありがてえこった……。一対一を戦らせてもらえるなんてよぉ……!」 生者と死者。共に拳を構え、夜の帳に相対する。 「狩りで獲物に不意打ちする。これ密林の常識」 両手にL字の刃を持つ『星霊の手斧』を持ち、気配を隠しながら墓場を進む『森の魔将。精霊に導かれし者』ホワン・リン(BNE001978)。闇の中に身を隠し、呼吸を潜めて敵を待つ。 見えた。両手に錆びた剣を持つ二刀流の骸骨。眼球や表情がないので様子はわからないが、少なくともホワンに気付いた様子はない。彼女は得物が最も近づくまで、息を潜めて待つ。 「胡瓜の馬も茄子の牛も用意した覚えはないのですけれどね」 仮に先祖だとしても、このような現れ方はしなくてもいいのに。『蛇巫の血統』三輪 大和(BNE002273)は困ったようにため息をつくと、やってきた自分の相手を見る。 その手にナイフを持ち、眼球無き顔でこちらを睨む骸骨。あからさまな殺気に、大和の柔和な表情が引き締まったものになる。 それは鞘から抜かれた日本刀の如く。美術品としての価値がありながら、武器としても良質であるが如く。獲物を見つけた蛇は、静かに敵を睨んでいた。 骸骨が闇に消えるように動く。大和もまた、それに対応するように動いた。 『闇夜灯火』夜逝 無明(BNE002781)はランプの明かりの中、静かに待つ。かつて視力を失った彼にとってランプの灯りの暖かなことか。 「さて、一騎打ちか」 この言葉には心躍る。どのような痛快な活劇になるのだろうか。武侠物のように派手になるのだろうか。恐怖もあるが、それ以上に興奮していた。 そして無明の相手がやってくる。黒いローブをつけたアンデッドの魔法使い。 「さて、死せる魔術師の君。君が穏やかに来世へ進むことが出来るように、私が灯火となろう。少々手荒になるけれどね」 「ならば私はその灯火を消そう。人の全ての希望を消して、絶望の冬を広げよう」 懐中電灯を片手に、『希望の桜吹雪』石上 桜花(BNE002838)は銃剣を強く握る。これが始めての依頼。アークにおけるリベリスタのデビュー戦だ。なのに緊張はない。むしろ気合充分だ。 「人気が無いのが幸いかしら。黄泉に送り返して見せるわ」 桜花の耳に草を割って歩いてくる音が聞こえる。見ればそこには錆びた大きな剣をもつスケルトンがいた。引きずるように剣を運んでいたが、桜花の存在に気付くと軽々と剣を肩に担ぐ。 銃剣を構え、桜花も臨戦態勢に入った。 ●激戦 骸骨の操るカラスが舞う。漆黒に烏。気がつけばそのくちばしはアンデッタを傷つけ、そして骸骨の肩に戻る。闇の中、光が見えるアンデッタでさえ、その動きを見るのは難しい。。 「陰陽の術は覚えてるんだね……。じゃあ、自分の名前は覚えてる? 元のお墓に戻してあげるから」 「名ハ、無イ。戦場ニ置イテキタ」 あらま、と軽く嘆息しながらアンデッタも符術を練る。神秘で構成された一匹の鴉。アンデッドの烏が猛禽類なら、こちらは緻密に敵を狙う狩猟者。 とん、と地面を蹴って飛び上がるとまっすぐに骸骨の頭を打ち砕いた。 「僕の身体に毒は効かないけど、君はどうかな?」 死者でさえ蝕む神秘の毒に苦しみながら、骸骨はアンデッタを見る。確かに数度自分の烏はアンデッタを貫いた。しかしその唇に仕掛けてある毒がアンデッタの体内に回っている気配はない。 交錯する烏と鴉。互いの位置取りはもう意味がない。身を隠したところで空を舞う黒の獣から身を隠せるとは思えない。術の制度はアンデッタが有利。純粋は体力は骸骨が勝る。ならば勝負を分けるのは、 「きしししし。これまでのようだね」 毒を無効化するアンデッタの肉体だった。 不意打ちに成功し、光はその勢いのまま攻める。 『一本でも人参ソード』を手に、速度のままに剣を振り切る。肩口を殴った感触が剣を通じて伝わってくる。 ギアをあげる。視神経が伝える情報が、まだ止まるべきではないと教えてくれる。そして行動。振り下ろした剣を横に振るい、大腿骨を裂く。まだいける。さらに踏み込んで肋骨を薙いだ。 まさに流れるような連撃。止まることなき剣の舞は、弓を使う骸骨を傷つけていく。 しかしアンデッドも負けてはいない。連撃の隙をつき、弓を番える。矢尻が顔の前に迫り、放たれた。とっさに首をひねってそれを避ける。頬に切り傷ができ出血した。 弓使いはひるんだ隙に距離を離そうと下がるも、光はそれを許さない。 速度の戦士、ソードミラージュ。光の動きはまさにそれを体現していた。 「ボクからは逃げられないよ」 ユーヌとアンデッドはコインが落ちると同時に動いていた。 アンデッドは腰の銃に手を掛けて、捻るようにホルスターから出すと横向きの状態でトリガーに手をかける。ツイストドロー。速度に特化した射撃方法。 指先に金属の感触。コンマ2秒で弾丸は放たれ――ない。 「残念、私はアナクロなガンマンじゃないんでな」 ユーヌは銃よりも早く、呪印を放っていた。幾重にも重なる印が、アンデッドの動きを封じていた。 「卑怯モノ……ガッ!」 「呼びたければ好きに呼べ。救いにそんなものは必要ない」 ユーヌが術で形成した鴉が弾丸となって骸骨を穿つ。侵食する毒がじわりじわりと体力を削っていく。 アンデッドが呪縛を解く。横っ飛びに回転しながら弾丸を撃つ。撃つ。撃つ撃つ撃つ! ユーヌは飛行して夜の墓場を舞いながら、弾丸のいくつかを回避する。しかし全てはよけられなかったのか、白い羽根が朱に染まる。 「曲芸は達者だな」 だがもうその動きは見慣れた。ユーヌは自らを守る結界を張りなおしながら、そう分析する。 「豆鉄砲に当たってやるつもりはない。本気があるなら早く見せてみろ」 赤の炎を青の炎が交錯する。 「ヌルいだろおい? もっとイケんだろ!?」 「カカカカカカカカ……!」 火車とアンデッド。共に足を止めての殴り合っていた。互いの拳が殴打し、互いの炎が肌を焼く。 顔面を殴られた。ほお骨を殴り返した。胸を殴られた。肋骨を殴り返した。右肩を殴られた。左肩甲骨を殴り返した。向こう脛を蹴られた。大腿骨を蹴り返した。殴る。殴る。殴る。殴る。蹴る。殴る。殴る。互いの頭に頭突きをし、そのままにらみ合う。 カウンターどころではない。双方防御を捨てた殴り合い。拳の強さ、炎の熱さ、肉体のタフネス。単純な殴り合いであるが故に、誤魔化しようのない肉体の勝負。 炎に体力を奪われながら、それでも笑みを浮かべる火車。青の炎に肉体は燃えているが、魂は戦闘で熱く燃えていた。 「入っちまったぜ? スイッチがよ!」 ガントレットをガンガン打ち合わせながら、構えなおす火車。 前座は終わり。本番はこれからだ。 「森の魔将、見参ダ」 ホワンが言葉を放ったときにはすでに刃は振るわれている。揺れるような武技がアンデッドを幻惑し、その肋骨を裂く。 突然の攻撃に戦くも、アンデッドもまた戦士。錆びた二刀の剣を振るい、剣撃を加えていく。それを手斧で弾き塞ぐも、全ては受け止められない。ホワンの血が大地を濡らす。 ホワンは相手の武器を攻撃し叩き割ろうとしたが、動き回る武器の芯を的確に狙うのは容易ではないと判断し、断念する。 「悪霊、倒ス!」 踊る。まさに夜に舞う精霊の如く。手にした斧が骨を砕き、背骨を叩く。自分の身体を軸にコマのように回転しながらホワンは精霊の手斧を振るう。手斧が外れても半回転後に次の手斧が襲い掛かる。 回転の速度が上がる。避ける間もなく連続で手斧が叩きつかれる。 無論、骸骨もその二刀を振るいホワンを攻める。しかし、速度が違う。肉体的な差もあるが、ホワンの動きには迷いがない。精霊に導かれているという思いが、行動に迷いを捨てさせているからだ。 「良い骨は動かない。動く骨、悪霊。これ密林の常識」 迷いなく振るわれる手斧は、確実に相手を追い詰めていく。 大和の武器はスローイングダガー。相手の武器は近接用ナイフ。 効率のみを考えれば大和は距離を取って攻撃すれば、かなり有利に戦えたはずである。しかし、 (先達の技術を学ぶよい機会です) 蛇神の巫女は向上心故に相手の流儀に合わせた。ナイフを構えて神経を研ぎ澄ます。 闇刺。骸骨が使ったと思われる闇に解ける技法。大和の視界から消えたアンデッドは、しかし確実にこの場にいる。 神経を研ぎ澄ませ。死角に注意しろ。自分が相手なら、どうするかを想像しろ。視覚以外の感覚も動員して、静かに立ち構える。 最初の頃はうまくいかなかった。ナイフが身体を切り裂いて大怪我をし、姿が見えるうちに蛇のようなオーラがアンデッドを殴る。そしてまた骸骨が消える。この繰り返しだった。 だけど何度も食らえばわかる。否、頭で理解するより先に体が動いている。姿形が見えずとも、相手の気配は確かに感じる。自らを射抜くように向けられた殺気。その象徴たるナイフ。その動き。少しずつ、頭でもわかってくる。 そしてついに、大和は闇からの刃を完全に避けきった。興奮ではない高揚。冷静ではない静寂。通常とは違う戦場において研ぎ澄まされた新たな感覚。それを崩さぬように努めて、ナイフを振るう。 「ガアアア! 見エテイル、ノカ……?」 大和は答えない。ただ笑顔をナイフの先にあるアンデッドに向けた。 無明は苦戦していた。 相手との距離を詰めて攻撃する。近接戦闘型の無明が魔術師に取る戦略としては一般的なものだ。 相手との距離はつまる。無明はその後、確実に相手に攻撃を当てるために意識を集中させる。武器を構え、それを相手に叩き込むイメージをしっかり想像する。 時間にすれば一瞬。しかしその一瞬の隙に魔術師はわずかに後ろに下がり、吹雪を解き放つ。身を切るような風が無明を襲う。 「これは……さすがに楽な戦いというわけにはいかないか」 凍える肉体をおさえ込みながら、無明は武器を振るう。力強く踏み込んで、真上から叩きつけるように振り下ろす。まさに魔を落とす鉄槌。イメージどおりに叩きつけた武器は、相手に相応の衝撃を与える。 そしてまた荒れ狂う吹雪が無明を襲う。暖かな光で身に張り付いた氷を溶かすが、その隙にまた吹雪が無明を襲う。 「なるほど。癒している余裕はなさそうだ」 一対一であるということは、役割分担が不可能なこと。敵を倒すのに最も優先されるはアタッカーの存在である。そして集中などで間をおけばおくほど、相手に攻撃の機会を与えてしまうことになる。 「ならば強行突破だ。食らっても倒せばいい理論ってやつさ」 シンプルに殴りあう。白い息を吐きながら、無明はブロードソードを構えなおした。 「必ず勝つ!」 桜花は体内の気を爆発させ、銃剣を構える。放たれた弾丸は骸骨の肩に当たるが、それで剣を落とすほどアンデッドも弱くはない。 アンデッドはまっすぐに桜花に向かい突撃してくる。距離を開けて銃撃に徹しようとする桜花だが、それをするには相手よりも多く距離をとらなくてはいけない。背中を見せて全力で逃げるのならともかく、相手を視界に入れつつ相手よりも距離を離すのは無理な話だ。石碑を盾に時間と距離を稼ぐが、限度がある。 結果、二者の戦いは近接戦の形に落ち着く。桜花が銃剣の先にオーラをまとわせて一撃を加える。銃口の先に着いた剣で裂くと同時に、銃床の部分で思いっきり殴り飛ばす。剣先と銃床を交互に繰り出しながら、時おり距離を開けて銃を撃つ。 接近戦。近接戦、遠距離戦、どの距離に老いても銃剣は相手を捉えることができる。対してアンデッドの大剣は威力は充分だが、距離を外せば威力も減衰する。 無論、それを有効活用できるか否かは互いの技量による。そしてその勝負は、 「初任務だけど負ける気は無いわよ!」 気持ちの上で前向きな桜花のほうに軍配が上がる。 ●決着 「先達の技術、見せてくれてありがとう。覚えておくから、ぐっすり眠って?」 アンデッタの鴉が骸骨を貫く。 「ラビットムーンクレセント一閃斬り!」 放たれる横薙ぎの一閃が骸骨を両断した。 「なに、六文銭ならくれてやる、鉛玉でだがな」 ユーヌの銃弾が骸骨の眉間を穿つ。 「……あんま骨のある奴じゃなかったな」 火車の炎拳が骸骨を燃やし尽くす。 「精霊バツの字斬り。これで終わりダ」 ホワンの斧が骸骨の胸をX字に裂く。 「お相手ありがとうございます。技術も経験も、私の糧とさせてもらいます」 大和のナイフが骸骨の頚部を貫く。 「これにて劇終。君に来世は見えただろうか?」 無明の剣が骸骨の命を絶つ。 「これで終わりね。黄泉に帰りなさい」 桜花の銃剣が骸骨の骨盤を刺し貫く。 そして月下の戦いは終わりを告げる。アクセス・ファンタズムで互いの無事を確認して合流したあと、アンデッタと光が遺体を元に戻そうと提案した。何処から出てきたかを探すのは骨だったが、時間を掛ければ見つけることはできた。 リベリスタたちは互いの相手を互いの流儀で埋葬し、帰路につく。 三日月がまるで死神のカマのように鋭く光り、夜の静寂が重くのしかかる。 そこに蠢くものは、もういない。死者は静かに墓所に眠る。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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