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真夜中のスケルトン。或いは、弾丸チャレンジャー。

● 骨と弾丸
 しとしとと雨の降りしきる中、ふらりとそいつは現れた。深夜0時を回った頃だっただろうか。闇医者である私が根城にしている、マンションの一室へそいつはやって来たのだ。
 片手に、血まみれの男を引きずっている。恐らく、この辺りの繁華街を縄張りにしている暴力団組織の一員だろう。
 そいつを連れて来たのは、赤いカウボーイハットに、赤いマントを羽織った、長身痩躯の男だった。しわがれた、それでいて妙に甲高い耳障りな声で、男は言う。
『こいつを治療してやってくれ……。俺を敵だと思ったのか、いきなり撃って来てな。思わずやり返した』
 私は、赤い男から暴力団員を受け取ると、奥の部屋へと運ぶ。男もその後を付いて来た。団員の方は気絶しているだけで、命に別状はないだろう。ショック状態にあるようで、どうやら銃で撃たれたらしい。軽く傷口を調べたが、綺麗に骨と内蔵を避けて弾は抜けている。
「あんたが撃ったのか? いい腕だな」
『それしか取り柄がないものでな……。ついでに頼みたいんだが』
 と、そう言って男は帽子を脱いだ。
「っ!?」
 思わず息を飲み込んだ。
 帽子を脱いだ男の顔には、皮膚がなかったのだ。否、顔だけではない。恐らく、彼の全身、皮膚どころか、肉や内蔵さえもないのだろう。彼の身体は骨で出来ていた。所々に穴が空き、焼け焦げた後も伺える骨だ。
 骸骨の顔の、眉間の部分に、鉛玉が埋まっている。
『これ、取ってくれないか? そいつに撃たれちまってな。なかなかいい腕してるぜ』
 油断してた。
 そう言って、骸骨の男はカカカと笑う。ポケットから取り出した札束をテーブルに置いて、足りるだろ? と言葉を発する。どこから声を出しているのか不明だが、マスクや特殊メイクではなく、本当に骸骨のようだ。
「裏稼業やってるとね、信じられないような客は来るし、話も聞く。殺したはずの相手が生き返った、とかね。ただ、骨が客で来たのは初めてだ。なにしに迷い出て来たのさ」
 組員男性の手当をしながら、私は問うた。
『いやなに。この世界には、不可思議な技を使う奴らがいると聞いた。中にはガンマンもいるとか……。まぁなんだ。腕試しだな』
 長く生きてると退屈なんだ。
 そう言って骸骨は、マントを捲り上げてみせる。
 ちらりと見えたのは、銃身の長い拳銃のようだった。

● クール&クレイジー
「どこから話を聞いて来たのか知らないけど、彼はリベリスタを探してこの世界に迷い出て来たみたいね」
 迷惑な話、と呟くように『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言う。
「アザーバイド(スケルトン)。マントの下に、無数の拳銃を隠し持つガンマン。どうやら、死の概念とは縁遠い世界から来たみたい」
 命を軽く見る癖があるようだ。さもなければ、命懸けの喧嘩を売りに、わざわざ別の世界までやって来たりはしないだろう。或いは、それだけの自身があるのか……。
「現在彼は、人目を避けて繁華街の外れにある川辺を歩いている。あまり広くないわね。そのまま北に行けば、海に出る。浜辺に行けば足場はともかく、広さは十分。川辺にはDホールが開いているから、それも破壊してきて」
 相手の性質上、広い場所での戦闘の方が得意だろう。しかし無論、狭い場所での戦闘がこなせない、ということはない。狭い場所での戦闘は、こちらの数の利や、連携が活かし難くなるだろう点が問題なのだ。
「どういう手段を使うのかは不明だけど、複数人相手でも拳銃で相手取ることが可能みたいだから……。死という概念がないみたいで、現状殺しきる方法も分からない。戦闘不能にして送還してきて」
 流れ弾には注意してね。
 そう言ってイヴは、仲間達を送り出す。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:病み月  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年08月09日(土)22:55
おつかれさまです、病み月です。
今回の相手は、異世界からのチャレンジャー、骸骨のガンマンです。
説得、決闘、不意打ち、戦闘。
方法は自由です。送り返して来て下さい。
皆さんのご参加お待ちしています。
それでは、以下情報。

● 場所
繁華街の傍を流れる川辺の細道。治安がいいとは言えない地域で、暴力事件など頻発しているので、多少騒いだくらいでは一般人は寄ってこない。
街灯はあるが壊れかけているので、辺りは薄暗い。物を見るのに問題はないが、不意打ちや死角からの攻撃には気付き難いかもしれない。
まっすぐに川辺を北上すると、海に出る。浜辺は足場が不安定だが、広く、自由に戦える。
川辺にDホールが開いている。

● ターゲット
アザーバイド(スケルトン)
異世界から来た挑戦者。リベリスタの存在を知っているらしい。
赤いハットに、赤いマント。マントの中には拳銃を仕込んでいる。
身体は骨で出来ていて、肉体を持たない。
腕試しに来ただけで、悪人というわけではないようだが……。
正確な早撃ちを特技としている。
現状、殺しきる手段は不明なので、戦闘不能にして送還する必要がある。
【亡者転生】
拳銃を手にした[アザーバイド・亡者]を1〜2体召還する。援護射撃及び、威嚇射撃を得意とする。
【ガンスリンガー】→神遠複[弱点][ブレイク][致命]
正確かつ素早い銃弾のラッシュを放つ。
【クイックショット】→物遠単[隙][圧倒][麻痺]
動作を視認することも難しい射撃攻撃。強化された弾丸は、非常に高速。
参加NPC
 


■メイン参加者 5人■
アークエンジェインヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
フライエンジェクリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)
ジーニアスレイザータクト
月姫・彩香(BNE003815)
ギガントフレームデュランダル
柳生・麗香(BNE004588)
ジーニアスクリミナルスタア
観月・鼎(BNE004847)
   

●スケルトン来訪
「俺は、別にお前達に恨みがあるわけじゃない……」
 赤い帽子と、赤いマント。銃身の長い拳銃を手元でくるくると回しながら、スケルトンはカラカラと笑う。ゆっくりと歩を進め、浜辺へと向かって歩く。
「どうせ死なないからな。仮に後ろから刺されたとしても、俺は恨まないだろう」
 拳銃を回すのとは逆の手で、お手玉よろしく6発の弾丸を弄んでいた。ゆるやかな弧を描いて宙を舞う弾丸に視線を向けて、スケルトンは肩を揺らす。
「死なないとなると、娯楽は酷く少なくなるんだ。こんな骨の身体では、食事の楽しみもないし、五感だって鈍い。俺の住んでいる世界は、こっちの世界ほど明るくなくてね。もっとどんよりとして、淀んでいる」
 つまらない世界だよ。
 なんて言って、スケルトンは銃のシリンダーを開く。片手で弄んでいた弾丸を、一瞬で全てシリンダーに納めると、銃を腰のホルスターに仕舞い込んだ。浜辺に辿り着いたのだ。足元の砂を、興味深そうに一瞥し、視線を背後へと向ける。
「そんな折、耳にしたのが不思議なゲートの話だ。この世界に繋がる奇妙な穴の存在。それと、強い力と意思を持つ、不思議な戦士達の話」
 恐らく、かつてこの世界を訪れたアザ―バイドの誰かが、スケルトンにその話をしたのだろう。
 スケルトンは、マントを翻し、帽子を脱いでゆっくりと一礼を決める。
「そんな訳で、退屈を紛らわすために腕試しに来たのだ……。俺の世界で、俺は不死だ。俺だけではなく、周りの同族達も不死だ。死に物狂いで戦ってくれる相手なんていない」
 だから、敵意を胸に、この世界へ来た。
「恨みはないが、俺の退屈をなんとかしてくれ……。さ、闘おう」
 マントの下から、二丁の拳銃を引き抜いて。
 スケルトンは、眼前に並ぶリベリスタ達にそう告げた。

●弾丸challenger
「ガンマンらしく正々堂々の方が好みか? 生憎正々堂々1対1の決闘は苦手でな」
 スケルトンから数メートルの距離を置き『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)はそう訊ねる。スケルトンは静かに首を横に振って、懐から取り出した黒い弾丸を地面に零した。
 弾丸の周囲に魔方陣が浮き上がり、銃を手にした死体が現れる。土気色の肌と、焦点の合わない瞳。意味を成さないうわ言を呻きながら、スケルトンの傍らに控える。
『否。問題ない。こちらはこちらで、人数を調節するからな。頼りない亡者だが、射撃の腕はなかなかだ』
 リベリスタの事を、スケルトンは知っていた。それならば、リベリスタが集団戦を得意としていることも知っていただろう。
「まさか私がメガネビームと言われていることも知っているとか? そんなのは嫌ですよぅ、やーん」
 警戒を解かないまま『モ女メガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)は前へ出た。そんなイスタルテを正面から見据え、スケルトンは『初耳だ』と、呟く。言葉に詰まるイスタルテを、面白そうに眺めてスケルトンは、銃口をイスタルテへと突きつける。
『そろそろ始めよう。諸君も、俺を早々に送還してしまいたいんだろ?』
 既に、スケルトンとの交渉は決裂している。というより、端から交渉に応じるつもりなどなかったようだ。せっかく来たのだから、一戦交えずには帰らない、とそう決めていたらしい。
『そっちの彼女は、俺の話しを聞きたがっていたな。勝ったら教えてやろう』
 ちら、とスケルトンの視線が『クール&マイペース』月姫・彩香(BNE003815)へと向く。
「私は、自分が知らないものを知りたくて仕方が無い性質で、だからあなたのことを知りたい」
『興味本意というやつだな。俺と同じだ』
 そろそろ話は終わりにしよう。
 スケルトンが呟いた瞬間、『アーク刺客人”悪名狩り”』柳生・麗香(BNE004588)が飛び出した。剣を構え、スケルトンの懐に滑り込む。
「どうやって我々リベリスタの事を知ったか教えてもらうぞ」
「いざ……参ります」
 スケルトンが銃を構えると同時『特急撫子』観月・鼎(BNE004847)による銃撃が放たれた。後衛で、戦闘の開始を待ち構えていたようだ。
 鼎と同時にスケルトンも弾丸を放つ。
 空中で、スケルトンと鼎の弾丸が衝突。火花を散らして、砕け散った。

 鼎の弾丸を撃ち落としたのとは逆の手に握った拳銃を、麗香の眉間に突きつける。麗香の剣がスケルトンの身体に届く直前に、引き金を引く。麗香は横に転がって弾丸を回避。弾丸が頬を掠め、血の滴が飛び散った。
「死なない死の無い死にはしない。安全な腕試し感覚か? まぁ、死に方忘れた物体の思考など知ったことではないが」
 ユーヌの足元から伸びた影が、まるで生き物のようにうねりながらスケルトンに迫る。スケルトンを庇うように、亡者が移動し影の中に飲み込まれて行った。影に覆い尽くされる寸前、亡者はユーヌ目がけて弾丸を放つ。
「私達が腕試しのお相手するので差し支えないようですね」
 翼を広げたイスタルテが地面に舞い降りる。翼を打った風圧で、亡者の弾丸を弾き落す。威力を殺しきれずに、弾丸はイスタルテの肩を掠めたが、かすり傷だ。
『うん……。やるな』
 バラバラと、懐から弾丸を零しスケルトンが後退する。地面に巻かれた弾丸から、新に2体の亡者が姿を現した。出現するなり、亡者2体の弾丸が一斉にイスタルテとユーヌを襲う。
 2人が防御の姿勢をとったのを見てとって、スケルトンは視線を再度麗香へと向けた。
 剣を腰溜めにして、低い姿勢で駆け寄ってくる。スケルトンの放った弾丸は、滑るような動きで回避された。更に逆の手に持った銃を持ち上げたが、そちらは鼎による射撃を牽制するのに回さざるを得ない。
 ならば回避、と数歩後退したスケルトンの足元に銃弾が着弾。
「援護射撃は任せてください」
 スケルトンの足元で砂が飛び散る。彩香による援護射撃だ。動きの止まったスケルトンの懐に麗香が跳びこんだ。
「徒党を組んで再来する気がなくなるくらい叩きのめす」
『恐ろしいな。あぁ、怖い怖い』
 カカ、と骨を鳴らしてスケルトンが笑う。麗香の剣が、スケルトンの肩から胴を切り裂いた。骨を断ち切る、固い感触。肉の柔らかさは伝わって来ない。骨の欠片が地面に零れる。スケルトンは、左手で鼎を牽制、右の銃で麗香の肩を撃ち抜いた。
 飛び散る鮮血。よろけた麗香に向け、更にもう1撃撃ちこもうとしたが、その瞬間、スケルトンの銃を1発の銃弾が弾く。
 射線が逸れ、放たれた弾丸は麗香から外れた。
「視線を逸らしましたね。妨害します」
 銃を握るスケルトンの手目がけ、更にもう1発。彩香の弾丸が放たれた。スケルトンは、自ら銃を手放すとマントの中から別の銃を取り出し、彩香へ向ける。彩香の弾丸がスケルトンの銃を弾いた直後、スケルトンの撃った弾丸が彩香の腹部に命中する。
 今し方撃ったばかりの銃を空中へと放り投げ、その手を先ほど投げた銃へと伸ばした。
 スケルトンは左手の銃を鼎に向けたまま、彩香の弾いた銃をキャッチし腰のホルスターへとしまう。
 一瞬のうちに使用した銃は3つ。余裕さえあれば、更に多くの銃を同時に扱えるのだろう。
『………。3つが限界だな』
 立ち上がった麗香がこちらへと駆けて来る。それを見て、スケルトンは唸るようにそう言った。
「かなえは、スケルトンさんの業も、出来れば見ておきたいのです」
 くるり、と手元で銃を回して鼎は呟く。銃を手にしたまま、接近戦も遠距離線も、複数相手に同時にこなすスケルトンの業を観察しつつ、鼎はその隙を窺っていた。

「後ろへはいかせませんよぅ!」
 翼を広げ、亡者の弾丸を阻むのはイスタルテだ。
 彼女の背後から、ユーヌが遠距離攻撃で亡者へと攻撃を加える。ユーヌの足元から伸びた影が、亡者へと襲いかかった。亡者の背後には、スケルトンが居て、他のリベリスタ達と激戦を繰り広げているが、亡者が邪魔でそこまで攻撃が届かない。
 おまけにもう1体、戦闘の合間を縫ってスケルトンは亡者を呼び出した。
 呼び出された亡者は、即座にイスタルテへと銃弾を放つ。
「あぅっ!?」
 腹部を射抜かれ、鮮血が飛び散った。その場に膝を突いたイスタルテと入れ替わるようにユーヌが前に出る。イスタルテの周囲から飛び散った燐光が、2人を包みその身に負った傷を癒すが、イスタルテの復帰よりも速く亡者の弾丸がユーヌの両肩と足を撃ち抜いた。
 血だまりの中に伏すユーヌの身体から、影が伸びる。
 影を回避する為に亡者が散開しようとするが、その直前吹き荒れた魔風によって足元をすくわれ、その場で動きを阻害される。
 魔風を放ったのはイスタルテだ。亡者は銃口を彼女に向けるが、もう遅い。3発の銃弾が、イスタルテへと放たれるよりも速く、亡者の頭上に巨大な影が現れる。
「1対1はノーサンキューとはいいましたけど……」
「さて踊ろうか? 何、足もとふらつく盆踊りでも問題ない。ホラーとコメディは紙一重だ」
 巨大な影は、大量の水の塊だった。どしゃ、とまるでバケツをひっくり返したような大洪水が、亡者を飲み込む。水の流れに抗うようにもがきながら、しかし亡者達の姿は水底へと消えて消滅した。

 麗香の剣が、スケルトンの銃を弾く。長い銃身を横から叩き、射線を逸らした。スケルトンは素早く銃から手を離して、懐から新たな弾丸を取り出す。水流に飲み込まれた亡者に代わって、新たな配下を召喚しようという心算だ。
「亡者を使役できるとはやはり死神の国からきたようですね」
 させません。
 と、麗香は大上段に振り上げた剣を、気合い一閃全ての力を込めて、スケルトンに振り下ろす。
 正真正銘、全力で放たれた一撃だ。スケルトンは剣を受け止めるべくもう片方の銃を掲げた。
 その隙を突かれて、彩香と鼎の弾丸がスケルトンの腹部と胸を撃ち抜くが気にしている場合ではない。銃弾の1発や2発受けても、骨の身体には大した影響はない。
 けれど、剣は別だ。
 身体や手足、首を切断されてしまっては再生に時間がかかる。
『それは困るね……。せっかくの闘争が楽しめなくなる』
 だが、しかし……。
 スケルトンの掲げた銃は、あっさりと、まるで豆腐でも切るかのようにあっさりと切断された。麗香の剣は銃に続いて、スケルトンの左腕を切り落とす。
 二丁の銃と、数発の弾丸、そしてスケルトンの片腕が地面に落ちる。その傍らに膝を突き、麗香は荒い呼吸を繰り返す。ここまで受けたダメージが限界に近いのだ。腹部や肩からだくだくと血が流れている。
『良い腕だ……。感謝する』
 マントの下から新たな銃を取り出して、引き金を引いた。
 弾丸は、吸い込まれるように麗香の肩と首の間へ着弾。血が飛んで、麗香の身体が倒れ込む。
「儚い生命の終着駅……それがボトム。短い命を削って戦うの……だ」
 麗香の戦闘不能を確認し、スケルトンは視線を上げた。

●不死のガンマン
『片腕でも、銃は撃てる。まだまだ付き合ってもらうぞ』
 そう言って、スケルトンは引き金を引いた。素早い連続射撃が、彩香と鼎を襲う。麗香が倒れた分、スケルトンの攻撃はまっすぐに後衛へと届くようになった。正面切っての戦闘に慣れていない2人は苦戦気味である。 
 広い浜辺での戦闘なのも、2人にとっての不運の1つだ。
 弾丸を避けるために身を隠せる場所がないのだから。射撃速度と弾数で勝るスケルトンに押される形になっている。おまけに、スケルトンは不死。多少のダメージなど気にしないのだから。
 スケルトンの銃口が、彩香に向いた。
 その瞬間、スケルトンの背後に大量の水の塊が現れた。
 ユーヌが、亡者を倒すために召喚した水の塊だ。
『ちっ……。巻き込まれてはかなわない』
 素早く地面を転がって、スケルトンは水流を回避。そのまま数メートルほど駆けて、十分な距離をとる。
 その瞬間だ。
 ふわり、とスケルトンの身体が浮いた。
『なんだっ!?』
 現状を把握できないまま、スケルトンは目を丸くする。スケルトンの足元をすくったのは、イスタルテの放った魔風だ。
 骨の身体は、ひどく軽い。
「まだ私は、あなたに興味がある。また会いましょう」
 銃声が1つ。スケルトンの右手を撃ち抜く。握っていた銃が地面に落ちた。彩香による援護射撃。注意を逸らして一瞬の隙を突かれた、とスケルトンは現状を把握。だが、もう遅い。
 援護射撃。
 援護を受ける対象は、鼎である。
「攻撃された痛みは気合で踏ん張る。ウチはそないなヤワやあらへん。女の根性、見せたる」
 いつの間に、背後に回っていたのか。
 銃のグリップに取り付けられていたダガーを逆手に握った鼎が、スケルトンの首に腕を回す。
 自身の血で、鼎の腕は真っ赤に濡れていた。それを見てスケルトンは、ほぅ、と感心したような溜め息を零す。
『どうやら、私の負けらしい』
 スケルトンがそう呟くと同時、鼎のダガーが引かれ、スケルトンの首を切断。赤い帽子を被ったその頭部が、カラン、と砂浜に落下した。
 
『………。この扱いはどうかと思うが。まぁいい。私は敗者だ』
 ロープで縛られ、砂浜を引き摺られ、スケルトンはDホールへと押し込まれた。
「もう1戦、もう1戦と喚くからだ」
 呆れたようにユーヌは言って、スケルトンを踏みつける。Dホールへと吸い込まれ、スケルトンが姿を消したのを確認して、ホールを破壊した。
 こうして、異世界から来た挑戦者は、もとの世界へと帰って行った。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした、依頼は成功です。
スケルトンとの戦闘に勝利し、彼を元の世界へと送り返すことに成功しました。
リベリスタの存在を彼に話した人物については不明のままですが、これにてミッション終了となります。
この度は、ご参加ありがとうございました。
お楽しみいただけたなら幸いです。
縁がありましたら、別の依頼でまたお会いしましょう。
それではそろそろ失礼します。