●アーク 「……ミスコンの商品がエリューション化する?」 「はい。地方活性化のため行われる小規模なミスコンです。そこの商品がエリューション化する未来を予知しました」 「商品を買い取ってしまえばよくね?」 「『ミスコンの賞』がE化するので無意味です。面倒ですが、入賞するしかありません」 「面倒くさい……まぁ、三高平は美人ぞろいだ。希望者を募って派遣させよう。息抜きだと思えばいいさ」 「それがですね。この大会はそうも行かないのです。 海から見える小さな双子島を神様と見立てての祭りの発展系らしくて――」 「……えー」 ●ミスコン開始二十四時間前 「ミスコン参加だと聞いてやってきてみれば!」 『ピンクの害獣』ウーニャ・タランテラ(BNE000010)はミスコンの看板をいて地団駄をふんだ。アークには『水着大会に出て優勝してくれ。大丈夫、君達ならいける!』と言われて意気込んでやってきたのだ。 「『ミス小盛コンテスト』……?」 『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)は看板の文字を読み、そして募集要項に目を通した。年齢制限や健康上の問題など色々あるが、最初の一文がひどかった。『この大会はささやかな胸の方が推奨されます』……まぁ、そういう文章。 「何でも……あそこにある小さな双子島を神様と見立てているみたいで、その神様が年端も行かない女性だとか何とか。そこで小さな胸の女性を称える大会……あの、皆さん大丈夫ですか?」 この中で唯一の男性である離宮院 三郎太(BNE003381)が大会の歴史を説明する。そうかなら仕方ないよね。 「って納得できるかー! メンバーに選ばれたってことは私が小さいというのか!」 怒りをあらわにするのは『突撃鉄球れでぃ』水無瀬 夕子(nBNE000279)である。折角気合を入れて水着を買ったのにこの扱いか。まぁ、概ね正しいのだが。 「そうなんですか……どうしましょう」 そしてこのメンバーで唯一のおっぱい枠(リクエスト文より抜粋)の『ファッジコラージュ』館伝・永遠(BNE003920)が頬に手を当てて困った顔をする。出ること自体は可能だが、アピールとしてはマイナスになる可能性がある。 「せくしーみーのにおまかせっ! ぜったいゆうしょうするの!」 サポートならお任せ『わんだふるさぽーたー!』テテロ ミーノ(BNE000011)が胸を張る。一抹の不安があるが、まぁ誰かが優勝すればそれでいいのだ。数は大いに越したことはない。 「え? はい。追加情報ですか……?」 『紫苑』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)が幻想纏いを開いてアークと通信を行っていた。『万華鏡』の予知に追加があったらしい。頷きながら復唱し、集まったメンバーを数えた。全員で七人。 「何でも……商品七個ともEゴーレムになるらしいです」 「七個……女性は六人しかいないわね」 「しょうがないなー、三郎太くんは、女装で参加しようかー?」 「え!?」 三郎太が素っ頓狂な声を上げる。惨事の予感。 しかしアークからの追加情報はまだあったらしい。 「さらにはエリューション化に伴い、皆さんに不幸が訪れるみたいです。セクハラまがいのことが起きるとか」 「ラッキースケベか。役得よね」 「三郎太きゅんが脱がされようが大丈夫だから。むしろきゅんきゅん!」 「ええ!?」 三郎太が素っ頓狂な声を上げる。大惨事の予感。 「あと……三尋木フィクサードがこの大会に参加するようです。あそこの方が」 「えええ!?」 シエルの指す先にいるのは……一人の女性コスプレイヤーだった。まだ大会が始まっていないのに、水着だった。いや違う。ビキニアーマーだった。手には盾とか持ってる。超惨事の予感。 「ミスコンは戦いだー! 剣をとり、盾を持て! 後審査員用の賄賂を用意しろー!」 フェイトを感じるため革醒者なのだろう。そして『万華鏡』の情報を信じるなら、日本におけるフィクサード派閥の一つ三尋木所属のフィクサードなのだ。穏健派だからってこんなギャグシナリオに出てきていいと思うなよどくどく。 「なんでもミスコンを極めるためとか」 「面倒だけど、優勝されるわけには行きませんね」 「ええ、優勝しましょう……しても嬉しくないけど任務だし!」 ものすごく嫌そうな顔でリベリスタは結託するのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:EASY | ■ リクエストシナリオ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年07月30日(水)22:59 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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● 入念な準備と本番に対する訓練。栄光とは黙って手に入るものではない。 故に大河内は準備を怠らない。審査員に賄賂を配り、自分の配点をよくしてもらおうと根回しをする。 夕子はダンスに向けての準備体操を行ない、体をほぐす。 そして他のリベリスタたちは―― 「すまないねぇ。コッチには祭りに出るために来たんだって?」 「はい。ですが僕はミスコンよりこの様な物の方が向いていますわ」 『ファッジコラージュ』館伝・永遠(BNE003920)は朝早く老人達とごみ拾いをしていた。地元ボランティアに混じり、浜辺のごみ拾いをしている。 「まだ若いのに感心じゃのぅ。孫の嫁に欲しいぐらいじゃ」 「まぁ、それは光栄でございます」 そんな老人達と雑談をしながら、せっせとごみ拾いに勤しむ。恥ずかしがりやの泣き虫。だがその裏にヤンでる心があるとは誰知ろう。 「九十歳なのですか? お肌つるつるじゃないですか」 「まだ若いもんには負けんよ。いっひっひ!」 そして『紫苑』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)も地元民と触れ合っていた。看護師の資格を生かして、地元の診療所にお邪魔している。そこに集う老人達と話をするシエル。 「若いころは女神降臨とまで言われた美貌だったわ」 「今もお変わりありませんわよ。その時の祭りはどんな感じだったんですか?」 あくまで聞き役に徹して相手の話を促すシエル。気持ちよく当時の祭りを話し出す元ミスコン出演者(御年九十歳)。 「つまりジーサンとワシはそこで出会ったのじゃ」 「まぁ、それはそれは」 ミスコンという概念が当時に会ったかは兎も角、それなりに歴史の長い祭りなのだろう。 「お祭り、盛況だと良いですね」 私も参加させていただきますけどね、と心の中で付け加えてシエルは微笑んだ。 \あい/\どる/\おーら/ とばかりにポーズを決めたのは、『わんだふるさぽーたー!』テテロ ミーノ(BNE000011)である。せくしーミーノ登場とばかりにポーズを決めて、元気に水着に着替え……る前にご飯を食べていた。プレイングに事前準備のことかいてなくて、一番彼女らしい行動を考えるとこうなっただけで。 「すごいわねー。ビーストハーフってよく食べる人多いのかしら」 「ミーノはあうとさいどっ! きゅうのしっぽがもふもふっ!」 スポーツドリンクを口にして夕子がミーノの健啖ぶりに感心する。カレーにラーメンに。ぱくぱく食べるさまは見てて気持ちいい。 「……分かってるとは思うけど、尻尾は幻視で隠すのよ」 「だいじょうぶっ! せくしーミーノにすきはない!」 「口にルーついてるわよ」 本当に大丈夫かなぁ、と夕子は首をひねった。 「おうおう、お嬢ちゃン、いい乳してんじゃねぇか。アタシらの断崖絶壁に敵うとでも思ってンのかい?」 「え? あの……」 そして『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)は自らの胸を誇示しながら、一般人の参加者に因縁をつけていた。正確に言えば、魔眼を使って参加を取りやめるように計らっていた。 「エロい目に遭いたくなかったら、大人しく棄権しちゃいなYO!」 「あ、はい。えーと、その体型で水着は色々辛いこともあると思うけどがんばってください」 「その同情は少し辛いな、おい!」 去り際の台詞に若干傷つきながら計都は振り返る。その先には参加を躊躇っている離宮院 三郎太(BNE003381)がいた。然もありなん。ミスコンに男性が出演するなんて。 「やっぱりいくらなんでも女装と言うのは無理があるのでは……」 「大丈夫! 三郎太きゅんならいける!」 「あの、その自信のほうが逆に堪えるんですけど……」 拳を握って力説する計都におされ気味の三郎太。そのまま押し切る形で計都は言葉を続けた。 「いい、三郎太きゅん。これはエリューション事件。いわばリベリスタの使命なのよ。ましてやリクエスト文になかった三尋木フィクサードとか出てくるわ、夕子ちゃんはフォローしなくてはいけないわでたいへんなの!」 「リク……あの、何を言っているのか分からないんですけど……」 「どくどく電波がゆんゆんと頭に響くのよ! とにかく私達がやらないと、エリューション被害が広がるのよ!」 「そ、そうですね。これも任務です。がんばりましょう」 (よっしゃー!) 心の中でガッツポーズをする計都。ものすごく困った顔の三郎太。もうカオス必至である。 さて。 「みんなゴメン、うにゃは寝返るよ!」 『ピンクの害獣』ウーニャ・タランテラ(BNE000010)は相談終了十分前にさらりととんでもないことを言い放っていたのであった。 ● 「さぁ、始まりました『ミス小盛』! 今年は少数精鋭の八名のエントリーだ!」 うち七名はアークのリベリスタである。 「最初はインドから来た毘沙門天! ウーニャ・タランテラ!」 「いえーい!」 白ビキニで笑顔を振りまくウーニャ。その視線は各参加者の水着に向けられていた。そして『計画通り!』と心の中で笑みを浮かべる。 「次は元気一杯太陽の子! テテロ ミーノ!」 「せくしーミーノのでばんなのっ!」 水着はこちらも白ビキニ。ピンクと白とフリフリと。因みにステシ参照と書いてましたがアイドル全身が立ち絵だったので、2013年水着なんだな、と解釈して話を進めます。 「その微笑みは天使の癒し! シエル・ハルモニア・若月!」 「よろしくおねがいします」 白を基調としたビキニ&スカート。背中の羽根が見えているわけではないが、ともあれ微笑みでシエルは手を振った。診療所の人たちが手を振り返す。 「この地に舞い降りた女神! 九曜 計都!」 「どうもッス!」 パレオは邪道と言い張った計都の水着はハイビスカス柄のビキニ。そしてその手には明らかに水着の柄ではないパレオ。 「今日がミスコン初参加! 離宮院 三郎子!」 「あの、計都さん……返してください!」 体を隠すようなワンピース水着の三郎子……こと女装した三郎太が計都に奪われたパレオを返してもらおうと必至になっていた。一応ばれない対策はしてきたが、ないと凄く恥ずかしい。 「浜辺に咲いた一輪の華! 館伝・永遠!」 「皆様、良しなに」 一礼する永遠。それに合わせてビキニで覆われた胸が僅かに揺れる。ボランティアたちの声援は、下心だけではないことを告げておきます。地道な努力が地域と絆を結んでいるのです。 「恋は猪突猛進! 水無瀬夕子!」 「誰よその紹介文書いたの!?」 どくどくさんです。赤ビキニ夕子の怒りは、あっさり流される。 「ミスコン制覇の戦士! 大河内・佐代子!」 「……フッ!」 髪を書き上げる大河内。それなりに決まっている。まぁ、見た目はビキニアーマーだが。 ● 「それではアピールタイム! 皆さん、よろしくお願いします!」 「では私から行こう! 『パントマイム+円周率朗読』だ!」 挙手をしたのは大河内だ。なにその組み合わせ、とファーストパンチを入れて芸の高さで天をもぎ取る。初手を取ったことも大きい。これで後続に衝撃をあたえ、これ以上のインパクトを与える芸をしないといけない空気を作り引き離す。さすが三尋木きたない。 「もしかして円周率だからπとかけてるの? おっぱいとπをかけてるの!?」 「え? あ、あれ? 受けない?」 「円周率なんて3でよろしいでしょう! 3以上? 年増と呼ばれても仕方がない!」 「待ってくれ! あれは全くの誤解で! そもそも円周率は無理数だから厳密には3.14でも間違いなわけであって!」 だがそんな空気はウーニャと永遠のブーイングであっさり消え去った。そして円周率にこだわりでもあるのか、食い下がる大河内。 「そんなこと誰も聞いていませんわ。これがいけないのですね、えい!」 「びんた!? 理不尽に胸にビンタ食らった!」 永遠は大河内のビキニアーマーに包まれた豊満なおっぱいにビンタする。弾力のいい胸がぱいん、と揺れた。客のボルテージと残念ガールの殺意が上場中。三郎子……こと女装した三郎太の視線のやり場が減少中。 「なにするのよ、えい!」 「ひどいですわ。ひどいですわ」 ステージの上で乳ビンタしあう永遠と大河内。何これ漫才? そう思わせる空気が場を支配しており、誰も止めようとしない。――アークリベリスタ組はいいぞもっとやれと囃し立てる始末である。まぁ、相手は三尋木だ。 そうこうしているうちに大河内のアピールタイムが終わったのでした。アーク大勝利。 「ダンスを踊りま――にょあああ!? 何故か水着が爆発した!」 夕子がステージに立った瞬間に大爆発が起きた。フォローに回ろうとしたリベリスタたちは、さすがの展開に驚くもギリギリタオルで隠すことに成功する。テレキネシスを使ったウーニャ(犯人)はピースサインをしていた。 「ねこー!? 猫が私の水着を持っていった! かえしてよー!」 突然現れた猫(計都のファミリア)が夕子の水着を持って走り去る。それを追いかける夕子。計都はピースサインをしていた。 「美少女二人でセクシーアピールと言えば、このゲームッス!」 「って本当にやるんですか!?」 計都と三郎子……こと女装した三郎太がコンビで挙手する。別にセクシーアピールとは誰も言ってないのですが、まぁいいや。 取り出したのは赤、青、黄色、緑の丸のついたシートと同色の印が入ったルーレットである。ルーレットの指示通りに手足を置いていき、体が色々触れ合ったりするあのゲーム。名前が出ないのは版権的にどうなんだろう、とどくどくが判断できない為です。 「ちょ、っと、これは……!」 「距離、距離近いです……」 ゲームを初めて五分後。計都と三郎太はきわどいポーズで接触していた。計都の上に覆いかぶさるように三郎太が位置取り、互いのおなかを中心に十字に位置取っている。少し腕を動かせば、相手の太ももに触れそうなそんなポーズ。 そしていきなり計都が三郎太に抱きついた。強烈なハグである。どちらかといえば、しがみ付いているともいえる。 (ええええええ!? いきなりどうしたんですか計都さん!) (水着に切れ目入ってズレ落ちそうなンス! おかしいっスねェ、自分のは鋏入れてないんですけど) 抱き合ったまま小声で状況を相談する二人。 (と、ともあれこのまま離脱です!) (ああん、照れてる三郎太くんも可愛くて、一石二鳥……って、これ、冷静に考えたら、かなり恥ずいッス!?) 抱き合ったまま、客席に向かって一礼して立ち去る二人。きょとんとする客。どうやら最悪のケースは免れたようだ。 だが、仲間からの視線は白かった。何やってるの、あんた等。 「みんな、せくしーのじゅんびはおっけい? ちょうおっけい?」 気を取り直してミーノのアピールタイムである。アイドルオーラ全開で、元気にポーズを決める。オーラだけではない。彼女が元々持っているフィジカルな部分と、ポジティブなメンタル。それらが重なり合って、元気なキャラクターが出来上がっていた。 一挙一足が弾けるように動き、歌が心を魅了する。ここに来て会場は大きな盛り上がりを見せた。なんだろう。ようやくまともなミスコンらしくなってきた気がする。 惜しむべくは。 「おんりーわんせくしー、ミーノはここっ!」 すとーん、とした体型でポーズを決めるミーノ。セクシーからは程遠いことであった。 「ごめんなさい。私はこの大会に相応しくないかもしれません……」 シエルのアピールタイムは謝罪から始まった。どよめく審査員。 「私には恋人がいるからです。その人は慎ましやかな私の胸を『好き』と言ってくれました」 ざわめく客。大雑把に分けて、羨ましいと妬む人とコイバナかと喜ぶ人。 「それ以来……彼と会うと、常に胸がどきどきです。その人を思うあまり、スイカさんを『ばしゅん』しちゃう位大好きでして……」 実際にスイカを『ばしゅん』と潰しながらシエルが顔を赤く染める。客のざわめきは止まり、皆の心は一つになった。彼、がんばれ。 「でもこの地の人達と触れあう機会があり、私はこの地が好きになりました。ここに住む皆様に幸多からんことを心よりお祈り申し上げます」 体を赤く染めて(スイカの汁)、シエルが祈る。この子、こんなキャラだったっけ? 「僕は水着姿で一人ビーチボールをいたしませう」 ウーニャに目配せし、永遠がボールを手に舞台に立つ。ウーニャは親指立てて永遠に答えた。 この大会にはそぐわない大きな胸をどうにかする為に、ウーニャがテレキネシスで押さえこもうとするのだが……。 「おおっと、念動力が滑って下から持ち上げるようにうごかしちゃったー。あはーんうふーん――」 「ああ、ボールがウーニャ様の方に!」 「おぶっ」 永遠の胸をテレキネシスで色々遊ぼうと思ってたウーニャの頭にボールが当たる。悪意はないのだが、悪は滅びた。 「まぁ、なんてことに。とりあえず、佐代子様をビンタしておきませう」 「何故!?」 理不尽にビンタされる大河内であった。 さてウーニャのアピールタイムだが、 「カレー食べます」 もぐもぐとカレーを食べるウーニャだった。 「……アピール?」 「アピール」 審査員の疑問に、もぐもぐしながら頷くウーニャだった。 ● アピールらしいアピールが少なかった気がしないでもないけど、ともあれ終了。カオスな空気のまま、結果発表である。参加者八人が一同に集い、壇上に立つ。 ここで時間を大会開始三十分前まで撒き戻す―― 更衣室に入ったウーニャは、裁ちバサミを手にロッカーの中にある水着に切れ目を入れていた。フィクサードの大河内だけではなく、仲間であるリベリスタの水着まで。着る分には問題ないけど、少し力を篭めれば切れる程度に。 「だってSTがやれって言ったから」 言ってねぇ。書いただけだ。 「これでテレキネシスで力を篭めれば、ぷっつーん。みんながぽろりすれば減点されても条件平等よね。うにゃ以外」 くっくっく、と笑みを浮かべて去っていくウーニャであった。 そして現在。 皆が集うこの瞬間こそ、一斉ぽろりのチャンス! 助けるといったがあれは嘘だ! ウーニャは一気にテレキネシスで水着を引っ張る。 ここで時間を大会開始十五分前まで時間を撒き戻す―― 更衣室に入った計都は、裁ちバサミを手にロッカーにある水着に切れ目を入れていた。フィクサードの大河内だけではなく、仲間であるリベリスタの水着まで。着る分には問題ないけど、少し力を篭めれば切れる程度に。 「大宇宙からのどくどく電波がゆんゆんとあたしに命令する……ポロリは減点だが、全員ポロリすればおーるおっけーッス!」 そんな中途半端な命令してねぇ。もっとやれ。 「あれ? なんか本当に体が勝手に動くんですけど? ちょっと斬りすぎじゃないッスかこれ? あばばばばばば」 そして現在―― 「ひゃあああああああああ!」 「紐!? 紐が切れて!」 「あわわわわわ! 皆さんとりあえずタオルを!」 「どうしてうにゃのも切れてるの!?」 「このピンクスライム肉、アンタのせいか!」 「ミーノさぽーとのげんかいっ! このかずはおおすぎっ!」 「帰ります……いいえ、任務ですからね」 「なんていやらしい! なんていやらしい!」 「もうリベリスタ生活なんてやだー!」 「むぅ、このビキニアーマーに鋏を入れるとは……なかなか剛な者もいたものだ」 「この余裕がなんかムカつく……!」 「乳ビンタですわ。とう」 「てんどん!?」 音声オンリーでお送りしました。 三十分後―― 頭に大きなたんこぶを作ったウーニャと計都が、『反省ッ!』の札を首に掲げて正座させられていた。 結局ミスコンは『いや、もうこれはミスコンどころじゃないし』ということで大会自体がなくなり、『ミスコンの賞品自体がエリューション化する』現象の原因自体がなくなったのである。 「依頼は成功……なのかなぁ?」 時刻は大会から一日後。場所は大会のあった海岸。リベリスタたちはせっかく海に来たのだから、と遊んで帰ることにした。 「『難易度EASYじゃなかったら失敗だったぜ』ってどくどく電波がゆんゆん響いてるッス」 「ですから計都さん、その電波は一体……?」 恋人の心配する三郎太。何かよくないものでも受信したのではないのだろうか? 正解です。 「かれーおいしいっ!」 「海の家で食べるラーメンカレーって何故か美味しいのよね」 ミーノとウーニャがカレーを食べていた。昨日の醜態はさておき、お腹はすくのだ、量が多くてボリュームのあるカレーとラーメンがやってくる。 「……恋人に合わせる顔がありません」 「まあまあ、任務ですから仕方ないですわ」 落ち込むシエルを慰める永遠。確かに恥ずかしい思いはしたが、敵性エリューションの仕業なのだ……敵性リベリスタもいたけど。主にそれだけど。ともあれ、過ぎたことなのだ。いつまでも気落ちするよりは、体を動かして発散したほうがいいだろう。 「ねぇ、アークから連絡がきてるんだけど」 夕子が幻想纏いに入ってきたメールを皆に見せる。そこには、 『今度は○●地域のミスコン賞品がE化する予知が見えた。経験者である君達に、ミスコン参加と賞の回収の任務を――』 「「「「「「全力で、断る」」」」」」 皆の心が一つになった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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