● 面白いこと、面白いことないかなー。 こう愉快痛快、思わず生存本能が疼いちゃうくらいの劇的楽しい最高な絶頂! アークも別に悪くナイんだけどさぁ、やっぱりこう、もっと刺激が欲しいよね。 そんなこんなで、其処のキミ! 僕に騙されたと思ってついて来ない? 悪いことはしないからさ、僕とイイコトしようよ。 誘ってる? 違う違う! エロは無い、エロは、な、ぁ、い。 僕は人間興味無いし? 生きてる人間とかマジムリだし? 大丈夫、もしもがあれば僕が守ってあげるからさ、タ、ブ、ン! それじゃあ逝こうか、レッツラゴー! 楽しい楽しい、墓場で一緒に肝試し大会! ドキ! エリューションだらけの、あっ、なんでもない☆ まじで嘘だから(真顔)。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年08月01日(金)22:27 |
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■メイン参加者 12人■ | |||||
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● 「ピンチをチャンスに変えて二人にむぎゅむぎゅもふもふきゃっきゃうふふ」 「……あっ、あっ、竜一さん今日も近い……」 竜一は平常通りである。 杏理とマリア(深鴇は除外された)を抱きしめながらやりたい放題の彼。杏理こそ抵抗する事は無いが、何時もなら抵抗するマリアも今日ばかりは死体のようにぐったりしている。 肝試しは肝試すものだからと。 「怖くても攻撃とかしちゃダメだよ、具体的には堕天かましたりしたらダメだからね」 「いやぁ帰りたいわ」 「もふもふむぎゅむぎゅされても我慢するんだよ!」 「帰りたいわぁ」 「もうそれしか言わないなぁべったん!」 がたがた震えるマリアを片手で持って背中におぶったお兄ちゃんは、前方では杏理を引き寄せて。 「よしよし、まきのんはいいこだからねえ。お兄ちゃんがいつでも守ってあげるからね!」 「ありがとうございます……既に抱きつかれているのですが……」 「ロマネちゃんと一緒だったら地獄の果てでも一緒にいられるよ」 「……そういえば、肝試しを楽しくするコツという本を読んできました」 深鴇の精一杯の口説き文句をサラリと流したロマネは、笑顔のまま硬直した深鴇の其の儘続けた。 どうやら男女二人で吊り橋効果。怖ければ手を握れと来た。定番の中の定番。 まさか。 企画者である深鴇が。 怖いと思う事は無いだろうから。 「必要無い情報ですね」 「物事には絶対という事は無いんだよロマネちゃん」 「何を言いますか。それとも怖いですか?」 じと……と横眼に見た深鴇が顔を逸らしていた。 こんにゃくをピタリと当てる。 「う」 「う?」 「うわああははははは!」 「叫ぶか笑うかどっちかにしたらどうですか」 こんにゃくを当てられたロマネこそ動じずとも、深鴇はロマネの手を握り締めて全速力で走り出した。 「やっぱりなんかいるよ僕の予想以上だよ僕もう色々なものが上から下から出て来そうだよ(息継ぎ無し早口)」 「後にしてください。……あまり、くっつかないで下さい」 何時の間にかロマネは深鴇に丁度、お姫様だっこのように抱えられて逃げていた。 「心霊スポット回るってんならわかるけど、こういう肝試しって奴は怖がる気が知れねえな」 「そうね! あり得ないわね! こんなのにビビるなんて馬鹿よね!!」 ずんずん進む瀬恋ではあるのだが、マリアの声がやたらと後ろから聞こえる。 振り向いてみれば、上下に振動してブレているマリアの姿が木の木陰から覗いていた。 「ところでマリア。お前まさかビビってんのか?」 「そんな訳無いじゃない! 死ぬの?」 「死にそうなのはお前だ」 そう言いつつ周囲を警戒して顔を揺らすマリア。瀬恋がマリアの後方より来ているものに「うしろ」と言いかけて。 こんにゃくをピタっと当てる。 「あああああ!!」 「……」 全速力で瀬恋の足にしがみ付いたマリアであった。特に気にせず、右足にマリアを装備したまま瀬恋は進み始めた。 「あーそういやこのへんは昔火葬場でな。戦時中はそりゃあひでぇもんで、生きてるんだか死んでるんだかわからねえのがゴロゴロしてたせいで生きてる人間まで焼かれたって話だぜ」 「やだ」 「それ以来、夏の夜になると「熱い…」とか「水をくれ…」って声が聞こえるらしいぜ」 「やだ」 「……なんだお前、泣くのはいいが鼻水は垂らすなよ」 右足に湿気を感じた。 夏の風物詩という事で、雷音と悠里は二人で闇路を行く。 「っと、悠里はこういったものは苦手だったかな?」 苦笑いの雷音の目線の先、青ざめた笑顔で震えるサムズアップをした彼。 「最近暑いから、涼をとるのによいかなと……っ」 改めて前方へと向いた雷音の、揺れる髪を見つめているようで焦点が定まっていない悠里。 彼の心の中では、『僕はこういう場所が嫌いなんだ』と繰り返し呟くのだが、雷音という女の子の前でヘタれるのも男としては許せない。 「あ、雷音ちゃん。手を繋ごうか。暗いし危ないから」 許せないとは一体。許可が出る前に悠里は雷音の手を握っていた。 「悠里のエスコートのお手並み拝見なのだ」 「らぶりーでおとめちっくな計都ちゃんは、おばけがこわいの! いやぁん」←>< 甘い声で囁く計都に、対して三郎太は頼られて嬉しげに思いながら置かれている状況を若干呪った。 辺り暗闇、今だからこそ疑心暗鬼で木の影でさえ人にも見えてしまう程。 (大丈夫……何が起きても冷静に冷静に……) 自分だって男なのだ。彼女の顔は何故だか赤いし、言葉でも訴えている通りに怖がっている彼女の手前でもある為か、下手な表情は見せまいと心で誓う中。 (よしこい、三郎太! ここは、男になるときッスよ! ナイトになって、そっと肩を抱き寄せるッス!!) ふんすふんすと鼻息荒く。対照的にも計都は秘密の企みに心躍らせていた。 ふと、強く結ばれた手を引き寄せられた計都は、彼の肩に寄りそう形で落ち着いた。高鳴る彼の鼓動が間近で解る事に、されど計都のすぐ隣を人影が物凄い速さで通り過ぎた。 「おばけ? やかましいッス! 今忙しいのが、わかんねえッスか? ああ、もう、空気読めよ!」 「ど、どうしました?」 「あっ、いやなんでも無いッス、怖いなぁーって、いやんっ」←>< 「怖い……ですか」 気を取り直して、急に三郎太の表情が何時もの愛らしい顔から男の色気を感じさせるものに変化した。 ここぞ決めた時こそ、やらねばならない。 「大丈夫ですっボクはまだまだ頼りないかもしれないけど……それでもボクは絶対にどんな時でも計都さんのそばにいますからっ」 「え、そんな……、ちゅーなんて、まだ三郎太くんには早……え、いや、そんなマジレスされると、あたしもそのあの……」 二人して真っ赤になった顔を見せまいと視線がブレる。 刹那の時間が経った、コホンと咳払いひとつした計都は真面目な顔で彼に向き合った。 「頼りなくなんか、ないッスよ。あたしも、ずっと三郎太くんの傍にいたいから♪」 彼の薄紅色に染まった頬に、唇ひとつ触れた。 肝試しとは一体。そんな三郎太と計都のすぐ隣を走って行った影とは下記である。 「行きは良い良い帰りは怖いとはいうが、それにしても悠里は勇ましいのだ。誘っておいてなんだがボクは戦々恐々なのだぞ」 葉が擦れただけの物音に身体を強張らせ、そして悠里と繋がった手を握り締めてしまう程。 雷音は愛らしくも彼へと身を寄せ、震える腕を気づかせまいとしているのだが、最中、悠里は虚ろを見ていた。 そしてこんにゃくをピタっと当てる。 「ゲインブラッドォオ!!」 「!? 悠里、其れは氷鎖拳なのだ!」 「僕は死にもの狂いで此の足を動かす!!」 直後縮地法をした彼は雷音を抱えて全速力で走り出した。 「夏なのに寒くなったな……ん? 今の見覚えあるけど誰だったかな」 釣竿にこんにゃくをぶら下げて、茂みから出て来た快が周囲の氷を割りながら出て来た。 人の疑心暗鬼に乗じて、こんにゃくをピタっと当てて来た犯人とは快の事である。 肝試しにおいては、基本、警戒は前方に向かう。だから後ろからピタっと……だなんて分析を持ちこしてきた大人の本気に犠牲は大きい。 凍ったこんにゃくをどうやって調理しようか考えつつ。 「今ので最後の人達だったかな、さて……帰るか……俺、何やってんだろうなあ」 誰にも気づかれず。 気配も悟らせず、空気さえ揺らさず。 只、只管にこんにゃくを首筋に当てて来た彼の勇姿は誰も知らない。 肩に担いだ釣竿の、其の先についたこんにゃくが空気を裂きながら―――彼の影が闇に抱かれて消えた。 熱帯魚模様の浴衣に身を包むせおり、道中で卒塔婆を借りパクしかけている深鴇を見つけて後頭部を叩いて制した。 「せおり? ああ、せおり! せおりんってどう?」 「初対面の人にいきなりあだ名つけるの?」 「いいからいいから、せおりん。ホラ、こっちおいで僕が怖くて死にそうだから」 エリューションは良けれど、幽霊やお化けが怖い二人で見えないゴールを目指し始めた。 「ほらほら、せおりん。怖いねえ、死んでいる人がいる」 「あれは死んでる訳じゃ……」 ゴールにて。 「うむ、怖かったけど、君がいたからがんばれたのだ……って悠里! しっかりしろ! お化けの遠隔攻撃か!?」 地面に突っ伏した悠里は自ら戦闘不能と成っていた。 ● 「うーぇぇぇん」 「よしよし」 肝試しを終えたマリアは、ぐったりしながらベンチに横たわり椿に膝枕させていた。 マリアの突っ伏した顔は膝から離れる事は無く、只管椿は後頭部を撫でて彼女が落ち着くのを待つばかり。 「なんで肝試さなかったの?」 「……いや、うちも肝試しに興味が無いわけやないんやけど、ただのお墓やしなぁ」 きちんと供養されたお墓で遊ぶのは、それはそれで罰当たりな気もして。行くなら心霊スポットが良いと語る椿だが、マリアは全力で顔を横に振った。 「ほーら、マリア。スイカ一緒に食べよか」 「すいかー」 AFから出した、既に切られたスイカをチラつかせて。起きてきたマリアの小さな手に大きなスイカを乗せた。 ちょっとずつ食べだしたマリアにも少しずつ笑顔が戻り、前の人形屋敷には来なかったものの、皆で行く時はきちんと着いてきてくれる彼女を偉いと謳った。 肝試しに地獄な墓場とは一変、夜空を見上げる二人を月が優しく見守っている。 「……月がとても綺麗だな」 ランディの、恋人に囁く其の言葉は愛の比喩とも取れよう。対して旭の返事は、 「ほんと、きれーだねぇ……夏の空って近いのに広くて、きらきらしててすき」 彼女の声は、やさしさを持ちながらも強調するような力強さを持っていた。 旭は夏の空を見上げるのが好きだと、朝も、昼も、夜も。 夏の大三角形を見つけたと彼女の指は夜空をなぞった。 其の指先を追う事も無く、ランディは彼女の横顔を眺めていた。彼女に見つめられている月に嫉妬さえ思える程、瞳の中の景色を逸らす事ができない魔法。 ふと、彼が思い出すのは。 「あの時どちらが線香花火早く落ちるかで遊んだっけな、それで勝った方のお願い聞くと。覚えてるか?」 「花火のときのおはなし? 覚えてるよう」 横顔ばかりであった顔が此方を向く。繋がった目線に、互いに少しの緊張が走った。 「お願い、きまった?」 顔を斜めに、愛らしい仕草を取った旭の肩を抱き寄せて。ランディは少しの期待と本気を持って問う。 「今日は遅いし、帰りにウチに泊まってかないか? まぁ……付き合って結構経つし」 約束を逆手に、されど良い機会だろうと。けれども旭の頬は薄紅色に染まりながら、彼の腕の中で驚いたように身震いした。 「え、えっと? それが、お願い? じゃあ。う、うん。お邪魔しますなの」 頬を隠した旭の両手。自意識過剰かなんて、真意に夢を抱きながら。けれども彼は紳士だからと控えめな遠慮に幸せを感じる。 幸せな、まどろみ。しばしの寛ぎと安寧が約束された夜の時間。 これからも一緒にいてくれるか?と、問いかけたまま彼女をぎゅっと抱きしめて口付けをするまであと少し。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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