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<星辰の夜>肉塊Putrefy


 見よ、かの輝きは直ぐに来る。
 星々が、太陽が、月が、正しき星辰にあるとき。
 我らの神は、深き眠りから目覚め、そして――。


 万華鏡は、過去を、未来を、おおよそ人の身では到底知り得ない情報を得る事の出来るアークの切り札、神の目だ。
 神の目たる万華鏡が、今回捉えたもの。
 それは世界を騒がせるフェイトを得たミラーミス、即ちラトニャ・ル・テップの真の狙いと言えるかも知れないものであった。

「――最近、賢者の石が沢山観測されたりしてたのは皆知ってると思う」
 鈴ヶ森・優衣(nBNE000268)の言う通り、この所日本では賢者の石が多く観測され……それに纏わる事件が多く起きていた。
 そうした事件は元を正せば、神秘的影響を増大させる『特異点化』と呼ばれる現象によるものらしいのだ。
 特異点と化した地域では、様々な神秘が通常よりも色濃くその顔を覗かせる。
 嘗て三ツ池公園に『閉じない穴』を作り上げたジャック・ザ・リッパーの事件……これも前回の特異点化の発生によるものらしい。
 そして、この特異点化という現象が近々、最高潮を迎えるのだという事実を観測した。
 万華鏡による断片的ではあるものの人の領域を超えた情報。
 そして、ラトニャ・ル・テップが三ツ池公園に出現したという報告。
 これらを合わせると一つの『答え』に辿り着くのだと優衣は言う。


「神話になぞらえて、彼女は今を『星辰の正しく揃う時』と称してて、力が最高潮に高まるときみたいなの」
 最高潮に高まったラトニャ・ル・テップの神秘の力。
 その力を利用し、彼女は、己の世界たる上位世界とこのボトムチャンネルを完全に接続、結合しようとしているのだ。
 無論、起きてしまえばそれは勿論結合という結果だけでは終わらない。
 上位世界に侵食され、吸収された世界に待つものは滅びだ。
「ラトニャ・ル・テップの力は私なんかより皆の方が良く解ってると思う。正直、私は――」
 怖い、と。
 震えるようなか細い声で、漏らした言葉はフォーチュナとしては余り褒められたものではない。
「万華鏡って、ううん。フォーチュナの力って酷いよね。良いことだけを教えてくれればいいのに」
 神の瞳は残酷で、無慈悲だ。
 否、本来はそこに意思など存在しないのだろう。
 万華鏡とはどんなに優れた存在であっても、あくまで道具であり、それに意思自体は存在しないのだから。
 与えられた情報に希望を持つか、絶望するかは受け手一人ひとりの考え方次第にすぎない。
「三ツ池公園に顕れた彼女の配下の撃退をお願い。皆に行って貰うのは『水の広場』」
 三ツ池公園には現在、ラトニャ・ル・テップ配下のアザーバイド達が出現している。
 それらを放置してしまえば、彼女の目的は容易に達成されてしまうだろう。
 
 水の広場に現在出現しているのは、巨大でぶよぶよとした、歪な腐った肉塊だ。
 これには、幾つかの名前が本来は存在するらしいが仮称として――Putrefyと名付けられている。
 肉塊の周囲には、奇妙な芋虫のようなアザーバイドがまた多く存在している、名前は特につけられていない。
 これらは肉塊を守るように行動し、敵対者の身体に噛み付き、あるいは這いずり潜りこみ、苦痛を浴びせるという。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ゆうきひろ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年07月13日(日)22:53
お久しぶりです、ゆうきひろです。
早速情報を。
●成功条件
肉塊Putrefyの撃退

●ロケーション
三ツ池公園『水の広場』

戦闘には充分な広さがあります。


●エネミー

・肉塊Putrefy
ふわふわと常に少しだけ浮かんでいる(システム的な飛行状態ではありません)肉塊
キモいです、ぶよぶよ。
攻撃方法は、一種類のみですが身体の所々に空いた穴のような器官から光の槍を降らせます。

光の槍:神全体・神防無・必殺


・芋虫
見た目通りの芋虫です。わんさかいます。
個体ごとの力はそれほどではないですが、数の多さを武器にしてきます。
また、倒した場合でも2T毎に復活します。
肉塊Putrefyを倒すと、こちらはすべて消滅する模様。


攻撃方法は噛み付いたり、這いずったりします。キモいです。重圧の追加効果つき。



●重要な備考
1、全体的な戦況は戦況バーによって示されます。
 戦況バーは最小値を0、最大値を100とし、初期値は50となっています。
 各依頼の判定により、戦況バーの状況は左右されます。(成功すれば必ずプラスという訳ではありません)
 それ等判定は、各担当STの申告を元に運営側で決定されます。
 戦況バーの状況次第で<星辰の夜>の冠を持つ決戦イベントシナリオ三本にそれぞれに有利・不利な補正が加わります。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
アウトサイドホーリーメイガス
天城 櫻子(BNE000438)
ハイジーニアスソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ノワールオルールスターサジタリー
天城・櫻霞(BNE000469)
ハイジーニアスデュランダル
新城・拓真(BNE000644)
ナイトバロン覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
メタルフレームソードミラージュ
鋼・輪(BNE003899)
ナイトバロンアークリベリオン
喜多川・旭(BNE004015)
ヴァンパイアソードミラージュ
東海道・葵(BNE004950)


 『閉じない穴』を有する三ツ池公園は今宵、外なる世界より顕れたる異形の侵略者達の脅威に晒されていた。
 それは、南門からほど近い、水の広場もまた例外ではなく。
 平時であれば、噴水から湧きだした水が小さな小川となって公園を訪れた子どもたちの遊び場となる場所。
 だが、今そこにいるのは人の子ではなくふわふわと浮かんだ奇妙な肉塊と、地面を跋扈する恐ろしい数の芋虫達だ。

「素敵な星空ですね」
 星辰が正しき位置に揃ったというその美しくも禍々しい星空を見上げるのは『月虚』東海道・葵(BNE004950)だ。
「今宵は、有象無象の存在が世界に危機を齎す日のようですが……そうしたものはあちら側の世界だけにして頂くとして」
 自分達の住むこちら側の世界では『よくある話のひとつ』として自分が世話をする坊ちゃんへの寓話にでもなって貰いましょう、と葵が言う。
「本当に……全く、困ったものだ」
 Putrefyと名付けられた肉塊と、その周囲の夥しい数の芋虫を眼前に捉えた『誠の双剣』新城・拓真(BNE000644)が呆れながらそんな事を呟いた。
 バロックナイト達のやることはいつもながら派手がすぎる。
 世界そのものが、彼らの上位世界に喰われてしまえばそれは即ち自分達の住むボトムチャンネルの終焉を意味するだろう。
 自分達の敗北は世界の敗北でもある。
 もっとも、そうだとしても……否、そんな時だからこそ拓真のやる事は何時もと変わらない。
「やる事は何時もとそう変わりは無いな。全く…慣れたくない事に慣れてしまった物だ」
 自嘲気味に、慣れてしまったと言う拓真の目にけれど迷いはない。
「ああ、この世界を異世界に食わせるなんて、なんておぞましい事を考える奴等だろうね……」
 その顛末をふと頭の中で浮かべた『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)がごくり、と生唾を呑み込んだ。
「この国は、この世界は僕達の世界だ」
 何度も危機に晒された世界。
 その都度、悠里達は侵略者達と戦い……命がけで守ってきた。
 瞳を閉じれば、今はもう隣に居なくなってしまった仲間達の姿も鮮明に思い出す事が出来る。
 彼らが、その生命をとして繋いだ今。
 その世界を、例え神を騙る驚異的な存在だとしても、異界の侵略者如きに好きな様にさせて良いのか、いや、そんな筈はない。
「行こう、皆。この世界を護るために!」
 彼ら――ラトニャ・ル・テップを始めとした異界の神々とその眷属たちにとって正しき星辰が揃う今宵。
 それは、方舟と称されたこの世界で懸命に生きる正しき怒りと、そして正義を胸に秘めた者達が揃う夜でもあったのだ。


 古来より人々は、自らの理解の及ばない存在に対し例外なく、恐怖を抱くものだ。
 そうした本能があるからこそ、神話や都市伝説は成り立っていると言える。
 公園の一角を埋め尽くす醜悪な芋虫の群れと、何故浮かんでいるのか解らない奇妙な肉塊など……見る人によっては、卒倒してしまうかも知れない、のだが。

「えー、りん、ぶよぶよした物とか好きですよ?」
 芋虫さんが出ると聞いたのでやってきました!
 大多数の人が嫌がるに違いない、そんなモノを見て異様に興奮する少女が、一人。
 『純情可憐フルメタルエンジェル』鋼・輪(BNE003899)にとって、彼らはどうやら愛でる対象らしい。
「りん、様々な芋虫さんを見てきました! けど、らにゃなんとかかんとかの芋虫さんはきっと初めてです!」
 わざわざ観察の為に、暗視まで備えて全身のギアをトップスピードでフル回転させる輪。
 何だろう、君はそれで本当にいいのだろうか、いや……いいのだろう、何も言うまい。
 その有り様は、ある意味とても、逞しかった。
 さすがは邪悪ロリだろうか?
「ふ、ふぁあ……輪さん、凄い、ね……? わ、わたしはいもむしさんとか苦手なんだけ、ど……ううう、そんなこといってらんないよね?」
 そんな輪とは対照的に、すでに精神が侵されそうになりながらも懸命に頑張ろうとしているのが『囀ることり』喜多川・旭(BNE004015)だ。
「えー、可愛いのに。よく見てみようよ?」
「か、かわいい……かなぁ?」
 不満気に頬を膨らませた輪に疑問を投げかけながら、眼の前で蠢く芋虫達を恐る恐る見つめる旭。
「…………………」
 目も無ければ、耳も無い。
 ブヨブヨとした肉の塊が、ずるりずるりと地を這っている。
 よくよく見てみれば、何だか這いずった後には粘ついた糸を引いている気もする。
 言うまでもなく理解の外側だった。
「うぅ……無理、わたしにはとても可愛い子に見えないよぉ……!?」
 輪のように彼らを見るのは、不可能だった。
「何をやっているんだお前たちは……」
 ため息をつきながら、やれやれと二人を見ているのは『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)だ。
「ミラーミスの眷属は許さない。そして、それがどんな姿をしていようと知ったことじゃない」
 もとより、ここに発生しているのは倒せるようなアザーバイドだけであり、ならば恐怖する必要もないと櫻霞は言う。
「連中は、所詮前座にすぎない……さっさと片付けてミラーミスの戯言を、終わらせるとしよう」
「私達の平穏な時間を乱すミラーミスなんて大嫌いです。その、気紛れな戯言で巻き込まれる身にもなって欲しいですわ」
 櫻霞の隣に立ちながら、そう呟いたのは彼の恋人の『ODD EYE LOVERS』二階堂 櫻子(BNE000438)。
 眼前に居るのは、ミラーミス絡みの敵。
 であるならば、自分も彼も、戦う理由は充分に持ち合わせている。
「参りましょう、櫻霞様。未来を、切り開く為に」
 櫻子の言葉に、静かに櫻霞が頷いた。
「まぁ、何だ……無限に湧いてくる厄介極まる連中だが、全部踏み潰していけば問題無いな」
 無限に湧いて来ようが、何度立ち塞がろうが、その都度踏み潰し、屠り去り、この状況を作り出した無謀の神の元へ向かう。
 やる事はシンプルだと『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)が言う。


「芋虫さーん、こっちにおいでー」
 一丸となり、戦闘を開始したリベリスタ達の先陣を切るのは、恐らくこの場で唯一敵である芋虫達に嫌悪どころか好意を抱いていた輪だ。
 Megalara garuda――ハチの王様と呼ばれる蜂を模した短剣を構え、芋虫の群れの中へと我先に飛び込んでいく。
 じっくり、ねっぷり。
 怒涛の波の様に押し寄せる芋虫達。
 そんな中、瞳を凝らして見つめた一匹の芋虫と不意に、視線があった――気がした、多分気のせいだ。
「ああ、ぷにぷにしてそう♪」
 台詞や佇まいだけを見れば、恋する少女のようだが如何せん相手はもう少し選んで欲しかった。
 ともあれ、リズミカルにステップを踏みながら輪は芋虫を蜂の様に、アル・シャンパーニュで串刺しにしていく。
 光の飛沫が散る程の華麗かつ芸術的な動きは、見るものが心を思わず奪われてしまう程に洗練されている。
「この場所は、僕達の仲間が眠る場所でもある……お前らなんかが汚していい場所じゃないんだ!」
 真っ白に輝く白銀の篭手を勇気と共に悠里がグッ、と握りこむ。
 自分の役目は、目の前に広がる芋虫の群れを掃除し、肉塊Putrefyを目指す相棒の拓真と、旭の二人の道を切り拓く事だ。
「二人の道は、僕が拓く!」
 氷鎖拳――かつてとあるフィクサードが用いた技。
 それを改良した、悠里の目にもとまらない氷の拳が、彼に跳びかかり襲い掛かろうとした芋虫達を次々と穿ち、氷漬けにしていく。
 連なる様に氷漬けになっていく様は、まさに氷鎖とでもいうべきだろうか。
「頼りにしているぞ」
「任せてくれ、相棒」
 破壊神の如き戦気を纏いながら、自身の為に道を拓かんと奮戦する相棒に労いの言葉を拓真が贈る。
 自分の道は、必ず仲間達が拓いてくれる。
 だから、その時の為に最善の準備をして待つ事もまた、拓真にとっての戦いだ。
「迅速に、排除しましょう」
 義衛郎が刀を抜く。
 かつての愛刀達、鮪斬、柳刃、鎌形の破片を打ちなおし、鍛え直した自身の集大成とも言うべき大業物――三徳極皇帝騎。
 明け暮れに焼ける空にも似た色の剣気を滾らせ、見据えるは悠里が狙った範囲の芋虫達。
「散れ!」
 多重残幻剣。
 刹那、義衛郎の身体が多数の分身に分かたれ、同時に芋虫達に神速の剣技を見舞う。
 緑色の体液を撒き散らしながら、斬り捨てられた芋虫達が次々に地面へ落ちていく。
 が、散り散りになった破片達はそれぞれがピクピクと怪しく蠢き、元に戻ろうと破片同士がゆっくりと動いている。
 その様は、これらがあくまで一時的に無力化されているだけだと理解させる。
 やはりフォーチュナの情報で事前に知らされていた通り、この芋虫達は時間が経てば元通りになってしまうのだろう。
 仲間を屠られた芋虫達が、数を武器に手近なりベリスタ達へ跳びかかり、鋭利な牙を開き噛み付いていく。
「痛ッ……面倒な」
 フォーム・アルテミスで月の女神の加護を得て攻撃に参加しようとしていた櫻霞が自身に飛びついた芋虫達を払いのける。
(なんだ、この重さは!?)
 見かけからは、想像も出来ないほどの重みがたかが数匹取り付いただけで一気に重圧となって伸し掛かる。
 見かけによらない、とでも言いたいのだろうか。
「だが……それだけだ」
 振り払われ、宙を無様に舞う芋虫達。
 今度はこちらの番だ、と言わんばかりに櫻霞がインドラの矢を両の手に構えたナイトホークとブライトネスフェザーから発射する。
 金の翼が描かれた漆黒の銃身と、蒼の羽毛が刻まれた純白の銃身。
 月の女神の祝福を受けた白と黒のマリアージュが、業火の双翼を纏いて芋虫達を射抜いていく。
 焼け焦げる、腐った肉の臭いを漂わせながら一時的に無力化される芋虫達。
 が、その中には炎で焼け焦げながらもそのまま平気で動きリベリスタ達へ跳びかかっていく個体もいる。
 どうも簡単には行きそうにないらしい。


 戦闘は続く。
 が、徐々に数を武器にしていた芋虫達も一時的にだがその数を減らしつつある。
「躾の時間は、何時いかなる時にも公平にやって参ります。さて、わたくしの言葉を理解する脳はその肉の中にありますか?」 
 拓真や旭の道の妨げになる芋虫達の数を減らす為に葵が残影剣を放つ。
 高速の残像達の手から振るわれるのは、目に見えぬほどの極細の鋼の刃、ローズワイヤー。
 彼女の手にかかれば、醜悪な芋虫達の緑色の血液も大輪の薔薇の様に咲き誇っていく。
「さて……”道”は一応はこれで、拓かれましたか?」
「うん! みんなのお陰で、わたしも全力でぶつかれる!」
 葵の言葉に頷いた旭が、魔力鉄甲を構え一時的に開けた肉塊Putrefyへの道を奔る。
 ふわふわと、謎の力で宙に浮かんだ巨大な肉塊Putrefy。
 そのブヨブヨとした奇妙な身体へ旭の高潔な一撃――デスティニーアークが打ち込まれる。
 ぶよん。
 打ち込まれた拳を、拳ごと呑み込んでしまいそうな柔らかなPutrefyの肉体が衝撃を吸収する。
 更に、衝撃を吸収したそのまま体中に空いた穴のような器官から光の槍が降り注ぐ雨の様に放たれ眼の前にいた旭は勿論、周囲のりベリスタ達も纏めて貫いていく。 
 防御などまるで無意味、と言われているかのように無慈悲に次々と降り注ぐ光の槍。
 その痛みを癒やす為に、櫻子が全力で聖神の息吹を使用する。
「痛みを癒し……その枷を外しましょう……」
 芋虫達が齎す重圧の枷も共に外さんと、高位存在の意思を詠唱し、息吹として具現化させ仲間たちの傷を癒していく。
「助かった、櫻子」
「いえ……櫻霞様のお役に立てて、何よりです」
 全快とまでは行かずとも、戦う力を立て直した櫻霞や仲間たちが武器を構え直す。
「さっきの、何発も撃たれたらさすがにまずいかも」
 傷ついた身体のまま、アル・シャンパーニュを芋虫に放ちながら輪が言う。
「けど、やるしかない。僕達に願いを託してくれたここに居る彼らの気持ちに応える為にも――ここが、僕が! 境界線だ!」
 分断されぬよう密集陣形を保つ仲間を巻き込まぬように今度は土砕掌で芋虫を弾き飛ばし悠里が吼える。
「勝利への道、俺が必ず作り出す!」
 拓真の肉体が湯気を上げ、膨張する。
 瞬間、ズキリともともと重傷だった身体が限界を超えたせいか悲鳴を上げ始める。
(身体が……だが、それでも、俺は、俺のやるべき事をするだけだ!)
「我が双剣、耐えられるというなら耐えて見せろ!」
 glorious painとBroken Justice。
 輝けぬ栄光と、壊れた正義の名を冠した拓真の双剣が、Putrefyを斬り裂かんと襲いかかる。
 まるでゴムのような弾性で、斬り裂こうとする双剣を押しとどめようとする。
「斬り……裂けぇっ!」
 限界を超えた120%の力故に身体に伸し掛かる反動に、血反吐を吐きながら拓真が十字にPutrefyを斬り裂いた。
 斬り裂かれたPutrefyの身体から勢い良く血飛沫が飛び出し、それが決してPutrefyにとって軽い一撃で済まなかった事を証明している。
「やったか……?」
「いや、まだだ!」
 尚も飛びかかる芋虫達を多重残幻剣で斬り払い、義衛郎が叫ぶ。
 彼の言う通り、Putrefyは尚も健在で再びあの光の槍を放つべく、発射器官に光を収束し始めている。
「撃つ前に、諸共焼き払ってやる、悪く思うな」
「だいじょーぶっ! 世界も、大切なひとたちも。絶対まもるよ……この世界は、この世界を大切におもうひとたちみんなのものだもん」
 もう一度、デスティニーアークを放つべく深く腰を落としPutrefyを見据える。
「あなた達なんかに、奪わせたりなんてしない!」
 どぉん!
 先ほどよりも凄まじい旭の一撃が、宿命を、運命を断ち切るように叩き込まれる。
「全く以って理解し難い生物ではありませんか。美しくもなく、無様に地を這うだけの生物、ふわふわと浮くだけの肉塊になどにわたくしはなり下がりたくはありません」
 吐き気がする、と続く葵がPutrefyごと巻き込みながら残影剣で邪魔をする芋虫達を切り裂いた。
「坊ちゃまが目にする世界は教育上美しくなければいけません。無様に肉を撒き散らすだけの生物などわたくしの世界には無用でございます」
 ごめんあそばせ、と華麗にお辞儀をしながら周囲の掃除をする様はさすがはメイドといったところ。 
 が、直後再び光の槍が放たれ――。
 戦場に降り注ぐ光の槍は、必殺の威力を以って疲弊していた輪と葵の力を奪う。
「ま、まだ愛でたりないもん……」
「躾の仕返しのつもりですか? ですが、ずいぶんと雑なようですね」
 が、運命を味方につけたリベリスタたる二人はフェイトの力で再び立ち上がり、そんな二人を癒やす様に櫻子が再び聖神の息吹を詠唱する。


「ぶにょんぶにょんしてて……素敵、りんもぶっ刺したい!」
 周囲の芋虫が減った事でPutrefyに接敵した輪が、先ほどのお返しとアル・シャンパーニュを撃ちこむ。
「拓真……まだ戦える?」
「当然だ、悠里」
「そう、じゃあ……一緒に決めよう!」
 お互いに頷きあった相棒達が、Putrefyに迫る。
 悠里の土砕掌が、破壊的な気を一気に送り込み爆発させ、その衝撃でPutrefyの動きが一瞬麻痺する。
「一撃でダメなら二撃。それでダメなら、さらに攻撃を重ねよう」
 鬼気迫る剣気。
 拓真の姿に、畏れの顕れたるはずのアザーバイドが震え、怯えたように見えた。
「元より器用な質ではない故に、我が道を貫き通すのみ!
自分の居所に帰るが良い!この場所は、貴様らが居て良い場所ではない!」
 真っ向より、唐竹割り。
 凄まじい膂力で放たれた剣戟が、一刀のもとに無様で醜悪な肉塊を叩ききる。
 斬り裂かれ、二つに分かたれたPutrefyがぶくぶくと膨張し――ぱぁん、と体液を撒き散らしながら弾け飛んだ。
 それと同時に、周囲の芋虫達も同様に膨張し、ドロドロに溶けて霧散していく。
 勝利した。
 それを確信した拓真が隣で笑う相棒――悠里にハイタッチした。
 奥では、緊張の糸がとけたせいかへにゃりと猫耳を垂らした櫻子が櫻霞の服を掴み一息ついていた。
 戦いは、まだ続くだろう。
 公園の中心部を見やりながら、リベリスタ達は直ぐに次の戦場を目指し走りだした。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
皆様、お疲れ様でした。
結果は成功、複数攻撃や範囲攻撃の多さが勝利の決め手となりました。
それでは皆様、またの機会がございましたらその時もどうぞ宜しくお願いいたします。
本当に、お疲れ様でした。