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良い子の為に

●からすが鳴くから
 夕方になった。5時のサイレン。子供は帰らなければならない時間。であるから、公園で遊んでいた3人の少年少女は今日のところは遊ぶ事を中断した。『何故こんな事をするんだろう』といちいち疑う事もない当たり前の事だ。日常の一つだ。極一般的な事だ。
 今日もいつもの日。友達と別れて、家に帰って、お母さんのご飯を食べて、お風呂に入って……
 夕暮れの橙色。長い影。すっかり暑くなってきた、と思いながら自分達の影を目で追った。そのまま顔を上げた――

 そこには、……。


●ブリーフィング
「単純明快、一般人3名の救助と敵性エリューションの討伐が此度皆々様に課せられた任務ですぞ」
 事務椅子をくるんと回し、『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が集った一同へと振り返った。そのまま、状況の説明を開始する。
「公園にいる3人の子供が1体のフェーズ2Eアンデッドに襲撃されます。……当然ながら、一切の干渉が無ければ3人とも無残に殺されてしまうでしょうね」
 一般人が理不尽な神秘に巻き込まれて訳も分からぬままに死んでしまう。よくある事件だ。本当、嫌になるぐらいありふれた悲劇。
 そして――その『理不尽』に唯一対抗できるのが、悲劇を食い止められる存在が、ここにいるリベリスタ達なのである。言わずもがな、フォーチュナの視線に頷く一同。それらの神秘を迅速に駆逐し世界秩序を護る事、それこそがリベリスタがリベリスタである存在理由だ。
「状況は夕刻の公園、結界等を展開すれば他の一般人が迷い込む事は無いでしょう。時間経過による視界問題も発生しませんし、現場もそこそこ広いので戦闘弊害はほぼ無いと言って大丈夫でしょう。
 ああそれから勿論ですが、3人の一般人への神秘秘匿もお願い申し上げますぞ。神秘秘匿もまた、我々リベリスタの大切なお仕事ですからね」
 極めてシンプル、極めてスタンダードな任務だ。
 で、あるからこそ、手は抜けぬ。油断もできぬ。
 誰かの幸せの為に傷を負い、それでも立ち、逃げずに戦う覚悟と意思を以てここに立っているのなら。
「それでは」
 ニコリとメルクリィが微笑んだ。
「どうかお気をつけて行ってらっしゃいませ。私はいつもリベリスタの皆々様を応援しとりますぞ!」


●神秘的悲劇的
 さっきまで子供達が遊んでいたボールが、ぐしゃりと無残に踏み潰された。
 子供の泣きじゃくる声。
 不気味なバケモノの唸り声。
 怖いよぉ、誰か助けて、死にたくないよ、子供達の悲痛な声。

 ――彼等を救えるのは今、リベリスタしかいないのだ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ガンマ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 6人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年07月10日(木)22:52
●目標
 子供の救助
 ディアボロの討伐
(子供が死亡すれば失敗)

●登場
子供×3
 一般人。
 市田 朋美、日坂 一樹、玉出 将馬の三人。小学三年生。
 一箇所に固まっている。

Eアンデッドフェーズ2『ドロ畜生』
 どろどろに溶けた様々な動物の死骸が、六足の巨大な獣型に収束した姿。
 精神系BS無効、BSの行動不能効果を被らない(BS自体には罹患する)代わりに、ダメージ系BSのダメージが2倍入る。
 DA値、HP高い。
 知能や理性は無い。
 防御低下系BS、Mアタック、ショックのBSを用いる。物理寄り能力。

●場所
 住宅街の小広い公園。
 時間帯は夕方。明るさ問題なし。
 周囲にひとけはなく、公園にいる一般人は上記子供達のみ。

●状況
<リベリスタ> <ドロ畜生> <子供達>
 ↑という位置関係からスタートする。

●STより
 こんにちはガンマです。
 シンプル系。
 よろしくお願い致します。
参加NPC
 


■メイン参加者 6人■
ノワールオルールナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
ハイジーニアスホーリーメイガス
汐崎・沙希(BNE001579)
ジーニアスホーリーメイガス
桜咲・珠緒(BNE002928)
メタルフレームプロアデプト
エリエリ・L・裁谷(BNE003177)
ハイジーニアスソードミラージュ
鷲峰 クロト(BNE004319)
ジーニアスミステラン
清水 あかり(BNE005013)

●夕方ドラマ
 夕紅、6人分の長い影。追いかけっこをしている訳でもないのに全速力。
「ふむ、子供を狙うアンデットですか……基本ですね! 子供たちが無残な姿を晒す前に助けましょう」
「この手の仕事はなんか久しぶりだな。まだ間に合うんなら……犠牲者を出さないで済むのなら、全力で挑むだけだ」
 そう言葉を交わしたのは『オカルトハンター』清水 あかり(BNE005013)と鷲峰 クロト(BNE004319)。暢気な様子のあかりとは対照的に、クロトは表情を引き締める。
(――万華鏡に感知されるなんてこの子達は不幸中の幸いかも)
 happy endになるか……は私達次第ね。『蒼碧』汐崎・沙希(BNE001579)は心の中で呟いた。
 神秘による一般人の理不尽な死。神秘界隈では『よくある話』なのかもしれない。そしてリベリスタは巻き込まれる者の全てを救える訳じゃない。
「それでもボク達の力で救える命があるのなら……!」
 全力で駆けつける、と『愛情のフェアリー・ローズ』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)は強い想いを瞳に宿らせた。
 その言葉に勿論だと頷くのは『ビートキャスター』桜咲・珠緒(BNE002928)。
「子供がどろんこになって遊ぶんは大いに結構やと思うんよ。うちもそうやった! そらもう凄かった! 時々めっさ怒られた! けど、泥のお化けに襲われるのはあかんわな!」
「ええ。子供が苦しむ様をみるのはたえられません。理不尽を叩いて砕く、それがわたしたちの使命」
 応える『磔刑バリアント』エリエリ・L・裁谷(BNE003177)もはじめ、思いはひとつ――『子供達を守る』。
「笑顔でおうちに帰られるよう、尽力しましょう! さ、ゆくのです!」
 エリエリの言葉と、視線の先。
 何処にでもある公園の光景――否、今ばかりは『何処にでもある』は間違いだ。
 Eアンデッドフェーズ2『ドロ畜生』、それに睨まれ腰を抜かした三人の子供。
 状況は緊迫。一秒の無駄も許されない。
「そこのどろんこぉーー! ちょっと待たんかぁい!!」
 特殊機動。誰よりも速く。ドロ畜生と子供達の間に割り入ったのは珠緒だった。迅速・全力。その身を盾の如く、立ちはだかる。
 突如の出来事。子供達の驚きの気配、ピタリと動きを止めたドロ畜生。珠緒も仁王立ったまま一歩も退かない。
「大丈夫――うちらに任せて、いい子でじっとしとき」
「でも」
「大丈夫だっ!」
 不安げな幼い声に、その不安をかき消さんばかりに力強く応えたのはクロトの声だった。全速力で駆ける彼が、その弾丸の様な勢いのまま泥畜生へ一気に迫る。
「考える脳みそはねーかもしんねーけど、気安く人を襲おうとか考えてんじゃ……ねーよっ!!」
 地面を蹴る。跳躍。思い切り、力を込めて、速力を乗せた回し蹴りをドロ畜生に叩き込んだ。まるで爆発の様な一撃。ぶっ飛ばす。子供達から強制的に引き剥がす。
 その隙に続々と、沙希によって翼の加護を施されたリベリスタ達が魔法の羽を翻してやって来た。ドロ畜生から子供達を護る様に布陣する6人。目の前の『見た事もない光景』に3人の子供たちはただただ呆気にとられているようで、泣く事も忘れ言葉もない。
「助けにきました! 大丈夫ですよ!」
「もう大丈夫だよ。ボク達は悪い怪物をやっつけに来た天使なんだ。さぁ、危ないから君達はこっちへ下がっていようね」
 結界を張りつつ堂々としたエリエリが声を張り、アンジェリカは感情を和らげるオーラを発しながら子供達へと優しく微笑みかけた。
「このおっかないのは引き受ける、そこのお姉ちゃん達の言う事を聞いてここから離れてろ」
 最前衛で両手にナイフを構えつつ、クロトが視線でアンジェリカとあかりを示す。出来るな?という言外の言葉。
「立てる? 怪我はない?」
 あかりの言葉で3人は2人のリベリスタへと視線を移した。あかりと、それから微笑むアンジェリカが「さぁ」と手を差し伸べる。弱弱ながらも頷いた子供達が2人の手を取った。それを、少女達はしっかと握り返す。
 出来るだけ急いで、けれど子供達が転んでしまわぬように、あかりとアンジェリカは彼らを戦場圏から引き離す。遊具の物陰。アンジェリカはしゃがみこんで、子供達を一人一人見遣った。
「絶対ここから動いちゃ駄目だよ」
 そう一人一人の頭を撫でて、黒髪を翻すアンジェリカが踵を返した。蝙蝠羽根の刃をもつ巨鎌La regina infernaleをその手に携えつ、戦線へと駆け出す。見送る子供達に心配はさせまいと、どこまでも凛々しく。
 あかりもそれに続きつつ、
「それにしても秘匿しなくちゃいけないんですか、いいじゃないですか教えても。世界には不思議がいっぱい! 知れば知るほどハマりますょぉ?」
 まぁ上司に怒られるのでほどほどにしましょう。そう独り言ちては苦笑を浮かべ、「いい子にしててね」と子供達に小さく手を振り、あかりもまた戦場へと。

「さーて、ほなぶちのめしモードやな!」
 子供の安全が確保できたのであれば、後は全身全霊でEアンデッドをぶちのめす。珠緒は神秘のエレキギターをその手に構えた。弦を撫でる。喉もこの子も絶好調だ。徐々に、徐々に、高めてゆくビートは戦場中に響き渡り、悉くの仲間を鼓舞し冴え渡らせるリズムとなる。
「よーさん聴いてってな。これでも歌には結構、自信あるんよ――?」
 わん、つー、すりー、ふぉー。掻き鳴らす弦。歌う旋律。彼女の歌は魔力を帯びて、光り輝く矢となりて一直線に飛んでゆく。
 それは牙を剥き六脚を蠢かせてリベリスタ達へと襲い掛かってきたドロ畜生の体を穿った。動物の死骸でできた身体がの欠片が血の代わりに飛び散る。腐臭を撒き散らすそれは進行を止めない。飛び掛ってくる――
「ここから先、絶対に通しませんよ!」
 その真正面に立ちはだかったのはエリエリ。防御に構えた左手にドロ畜生が喰らい付く。意識を眩ませる毒性を秘めた腐液が少女を苛む――けれど、彼女が喚いたり痛みに怖気たりは欠片もない。
「私の頭脳が超絶うなる! お前を斃せと轟き叫ぶ! 常識的に考えるまでもなく零距離ならば避けられませんよね!」
 超頭脳エリエリ。迸るニューロン。完全解析。完璧計画。状況最高最善手。
「あっははは! 懺悔の時間ですよ! そうあれかし!!」
 頭脳を使って物理で殴る。すっごい殴る。手の機械穴とボルトで磔にした石柱、叛逆カルヴァリィを振り上げた。折れて欠けて歪んで毀れた荒々しい切っ先は、その暴力的な様からは想像も付かぬ精密さでドロ畜生の眉間に突き刺さる。深々と。深々と。罪より深く。圧倒的に。
 ギャッ、と喚いたドロ畜生がエリエリから飛び退いた。
 瞬間、刹那の疾風の如くドロ畜生へ追い縋ったのは身体のギアを引き上げたクロトだ。目まぐるしい速度の中にあっても、彼の目は獲物を逃さない。
「動きを封じる事は出来ねーまでも、ヒビ切れくれーは出来んだろ。喰らえ!」
 十文字、羽根の様に軽やかなナイフにシードの冷気を纏わせて振るう。切り裂いた。冬の朝の空気よりも、凛と鋭く凍て付いた剣閃。
 ドロ畜生が身を捩る。そのまま身体を震わせて、そこいら中に身体を溶かす酸の体液を撒き散らした。
『悪いけど、泥んこ遊びは卒業したの』
 その汚濁を遍く吹き飛ばす、清らかな治癒魔術。その中央には薄笑む沙希が魔力の翼にて中空に浮かんでいた。彼女の成すべき事は回復支援。表情を変えないまま、彼女は右手に握る筆先鋭い万年筆を掌の中でくるりと回した。
 と――戦闘圏外の遠くの物陰から、そっとこちらを覗き窺う視線を感じる。子供達だ。好奇心か心配か。まぁ、どちらでも良い。あれだけ離れていてはそうそうこのEアンデッドも子供のもとへは向かうまい。
『怖いお化けは私達天使がこらしめてあげる。……和服の天使がいるのかって? ふふ。天使のファッションにも流行があるのよ』
 至って大真面目に念話で語りかけ、沙希は戦場へと視線を戻した。
 その先ではアンジェリカが、正にドロ畜生へ躍りかかった瞬間。
「君達に悪意はなかったのかもしれない。でも――見過ごす事は、出来ないよ!」
 ひゅるり、三日月の軌跡を描いて振るわれる漆黒の鎌が、動物の死骸から成る異形を深く深く切り裂いた。刃に彫刻された地獄の女王が冷たい笑みを静かに浮かべた。彼女こそは死と再生の象徴、刈り取られし魂に幸福と安寧あらん事を。
 それに合わせて隕石の如く空を駆けたのは、あかりが放つ火炎弾。真っ赤な火花。オカルトの花火。ヒーローショーを意識して。
「私もこういう不思議を使えるようになったんですねぇ、火を撃ったり私ってばオカルトまっしぐら!」
 オカルトを追っていたら自分がオカルトになっていた。こういうのをなんていうんだったっけ。そうだ。ミイラ盗りがミイラになる。でも、実際問題ミイラでいるのも楽しいんだから仕方ないよね。
 しかしリベリスタ達は全力で戦っているのだが、それとは反比例に戦場は静かなものである。
「――♪」
 それは珠緒の仕業だった。戦闘音で子供達を怖がらせて無駄に不安がらせるのは良くないだろうと、巻き起こる音を即座に絶対音感で分析・演奏と声帯変化込みの歌声でマスキングをかけてゆく。
 そうしながらも彼女は旋律で巧みに皆を指揮しながら、攻勢の詠唱を歌い上げては魔力の矢を次々と飛ばしてゆく。
「歌のちからでできること、少しはあると信じて な」
 繊細に、力強く、美しく、快活に。
『回復は任せて下さい』
 言葉通りに、回復に関しては沙希が専念してくれている。強固な回復支援があればそれだけ攻勢に心配する事も無い。確かにドロ畜生は凶暴ではあるが、それが齎すあらゆる危機は沙希が悉く打ち払う。まるで児戯にも劣る無駄な足掻きだと、泥畜生を嘲笑うかの様に。
 状況はリベリスタの優勢。ならばこのまま押し切るのみ。
「あかりパワー注入、うりゃ!」
 爆裂の花を戦場に咲かせ続けているあかりは、自身のフィアキィを己の周囲にキラキラと舞い踊らせた。癒しの力を帯びた妖精が主人の体力気力を再起動させる。
「あかりさん復活ッ! さー、まだまだ頑張りますよー!」
 リブートした魔力を少女は再度練り上げる。魔術教本を片手に紡ぐ超常。再び、赤い色が戦場を我が物顔で埋め尽くす。
 苛烈な、されど味方を焼く事はない焔。その爆風に黒い髪とゴスロリドレスを靡かせて、アンジェリカは影の如く密やかに違わずにドロ畜生との間合いを詰める。
 その遥か背後――感じる気配はこちらの様子を除き見ている子供達のものだ。
 分かる。感じる。聴こえる。子供達が自分達を応援してくれている事を。自分達の勝利を、幼い眼差しが信じている事を。
「ありがとう……任せて、きっと頑張ってみせるから」
 アンジェリカは薄く微笑みを浮かべた。心が燃え上がり奮い立つ心地がする。腕が脚が軽い。不思議だ。魔法でも超常でも神秘でも何でもないのに、そんな気がするのだから。
「思い切りいくよ……!」
 目にも止まらぬ速さで振るう、La regina infernale。美しい軌跡とは裏腹に、齎す破壊は正に八つ裂き。
 致命的に切り刻まれ、血の代わりに大量の屍液を吹き散らしながらドロ畜生が大きく後退した。
「逃がしませんよ!」
 ず、と石柱を引き摺って。言葉を発した時にはもう、ドロ畜生の動きをパーフェクトに分析したエリエリが先回るように叛逆カルヴァリィを振り上げていた。
「大地のものは大地へと、かえるのです!」
 之即ちearth to earth; ashes to ashes, dust to dust.単純にして圧倒的で暴力的、しかし同時に完璧にして完全なる暴力。信仰を捨てた少女の為の、外敵を討ち滅ぼす選択肢。歪な切っ先が縦に一撃、横に一撃。逆様の十字架を描く。
 ドロ畜生の頭部がぐしゃりと拉げ、潰れた。だが死骸の塊という特質上、それでもまだバケモノは動く気配を見せる。
 然らばこれにて、終わらせよう。近場の遊具を蹴って跳躍したクロトが、ドロ畜生へ躍りかかる。
「これで終わりだ。成仏しろよな!」
 殺陣・斬劇空間。迅雷の速度を以て、無数の残像を残しながら無限にも錯覚せんばかりの斬撃を刹那の合間に叩き込む。だがドロ畜生には何が起こったのか分からなかっただろう。余りにも速く、そして鮮やかなそれは、ドロ畜生が認識を行うよりも早く、その意識を身体ごと断ち切っていたのだから。


●かえりましょ
 そして平和と静寂が公園を包んだ。
 化け物が倒された事で安心したのか、子供達がわっと駆けて来る。沙希はその頭をぽんぽんと撫でつつ、転んだ時にでもできだのだろう擦り傷に治癒の魔法を施した。
『もう大丈夫、痛いお怪我も治してあげる』
「うんうん、もう大丈夫やからね」
 珠緒もさりげなく心を落ち着かせるような旋律を奏でながら、子供達を安心させるように微笑んだ。
 子供達も落ち着いてきたところで、アンジェリカは彼らの目をじっと見詰める。
「いい? 『今見た事は、テレビでやってた天使が怪物を退治するヒーロー番組の話をしていたら、現実と区別がつかなくなって本当にそんな事が起こった気になった。でも実際にはそんな事はなかった。何も、無かったんだ』」
 記憶操作。子供達の神秘の記憶は無かった事になる。そのまま、朧な記憶の子供達にアンジェリカはエリエリと共に手を差し出して。

「帰ろう」

 ――もう太陽も落っこちる。
「似たひとが戦って助けてくれた? 奇遇ですね、わたしもあの番組にあこがれてるのですよ」
 なんて誤魔化しながら、曲がり道でエリエリは微笑んだ。離した手を、バイバイと振る。
「明日もいい日になるといいですね。いっぱい遊んでいっぱい学ぶとよいのです!」
 バイバイ。それじゃあ。さようなら。
 いつかこの子達が、困ってる人を助けてあげられる心を持った子になってくれるよう期待を込めて、アンジェリカも手を振り返した。

「ヒーローって柄じゃないしな、黙ってこの場を立ち去るとするぜ」
 遠巻きに見守っていたクロトも踵を返す。
 帰ろう、仕事も完了。珠緒はぐっと伸びをした。
「しかし、泥オバケとやりあったから泥だらけやわ。そんなんなって帰るとか久々やな!」
 一方で、あかりは何処か感慨深そうだ。
「うーむ、こうやって実際に見る不思議というのはいつ見ても新鮮なものです。まだこの業界に足を踏み入れてそんなに経ちませんが割と起こっているんですね」
 心霊写真なんて目じゃないですよほんと。でも隠さなきゃいけないだなんて、やはり勿体無い気がする……けれども。
「――まぁ、そう思っているうちが花?」
 オカルトハンターの挑戦はまだまだ続く。


『了』

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
メルクリィ:
「皆々様、お疲れ様ですぞ! ゆっくり休んで疲れを癒して下さいね」

 だそうです、お疲れ様でした。
 公園遊びは良いものです。
 ご参加ありがとうございました!