●ルゴ・アムレスの黒塔 ボトム・チャンネル。 それは階層上になっている世界において、一番下であるという世界のこと。 故にボトムチャンネルは上位世界からの脅威に晒されてきた。時折Dホールを渡ってくるアザーバイドにより、大きな被害を受けることもある。それに対抗するためにリベリスタは徒党を組み、組織だって警戒に当たっているのだ。 さて、上位世界にもいろいろな世界がある。ボトムチャンネルよりも広大な世界も在れば、ただ樹木が一本生えているだけの世界も。時間が止まった世界もあれば、今まさに消え去ろうとする世界も在る。 そんな世界の一つ、ルゴ・アムレス。 半径五キロ程度の大地に、天を衝くほどの黒い塔が存在する世界。そこは多種多様の戦士達が集う修羅の世界。 その塔の上にこの世界のミラーミスがいるといわれ、今なお塔は天に向かって伸びていた。何を目指しているのか、誰にも分からない。狭い世界ゆえに、塔はどこからでも見ることができる。 そして塔の中は、階層ごとに異なっていた。町が丸ごと入っている階もあれば、迷路のような階もある。そしてこの階は……。 ●ミルダとトカンタ 石畳から発せられる熱が、大量の汗を発生させる。 熱源は天井の炎珠なのだろう。真っ赤に光る宝珠がこの階の温度を上げている。ゴエモンと呼ばれるこの世界の人間から話は聞いていたが、ここまでとは。暑いと熱いの境界があるとすればこのラインだろう。そんな熱気だ。 「ふむ。暑そうだね。すこし陰で休んでいくといい。ああ、これは木の実のジュースだ。少しずつ飲むんだ」 そんなリベリスタに優しく声をかけてくれるものがいた。爬虫類のアザーバイドだ。全身を赤い鱗で覆われた直立歩行するトカゲとワニ。トカゲのほうは顎鬚を伸ばしてジュースを差し出し、ワニは日陰を作るべくテントを建てている。その陰に隠れながら、リベリスタは気まずい表情をしていた。 塔には各階に守護者がいる。それを倒すことで上の階への道が開けるのだ。守護者を倒さずに、力技で突破すれば元の階に戻されるという。厄介な塔だ。 ともあれ、上を目指すなら戦わねばならない守護者に介抱されているのだ。これは精神的に気まずい。 「そうか、異世界人か。この暑さは堪えるだろう。ゆっくり休んでから挑むがいい」 「そうそう。無理して倒れても、いいことはないからね」 そしてその守護者たちは結構戦う気満々なのである。好都合と言えなくもないが、これはこれで向こうに気を使わせたような気分である。 「慣れない環境では戦いにくいだろうからね。そこで休みながら挑んでくるといい」 「私たちはこの暑さは慣れているから、そのテントは君達が好きに使うといい」 至れり尽くせりなのだが、冷静に考えればこの灼熱の部屋は彼等のフィールドとも言える。遠慮は不要だろう。 木の実のジュースを口にする。若干味が濃い気もするが、それでも喉を潤し活力を与えてくれる。喉を十分に潤し、破界器を握る。 「来なさい、異世界の戦士達。私達の名前はミルダとトカンタ」 「炎の舞踏と熱の結界士の実力を見せてあげよう」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年07月06日(日)22:37 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「ふう、仮面にマントだと少し暑いですかな」 吹く風さえ暑いこの階で、『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)はマントと仮面を脱ぐことなく息をついた。マントと仮面は怪人のトレードマークだとか。仮面の隙間からジュースを飲みながら、ジュースを出したミルダに礼を言う。 「これは御丁寧にどうも。ちなみに私は九十九と申しますぞ」 「やけに友好的というか手馴れてる感じだな」 ボトムチャンネルから持ってきたペットボトルのお茶を口に含みながら『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)がミルダとトカンタの手つきに感服する。この階に上がってきた自分達をすぐに見つけ、憩いを用意してくれたのだ。 「しかし暑い。いや熱い」 「直射熱が一番やっかいだからな」 熱を直接肌に当てないようにマスクをしながら『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)が木の実のジュースで喉を潤す。マスクだけではなく耐熱下着なども用意している。故郷とは真逆の環境だが、それでも対策は立てられる。 「今はゆっくり休んで、戦える体勢を整えよう」 「ねえ、上のアレなんなの? カミサマみたいなもの?」 ターバンや外套に身を包んだ『フレアドライブ』ミリー・ゴールド(BNE003737)が真上にある宝珠を指差す。そこから発せられる熱がこの階層の環境を暑くしているのだ。ジュースを口にしながら、熱の元を指差す。 「『塔』に古くからあるものじゃ。ワシ等も詳しくは知らん」 「塔ね……狭いけど塔が高いってことは細長い世界なのよね。どうしてこうなったのやら」 世界の形を想像して、『狐のお姉さん』月草・文佳(BNE005014)が肩をすくめた。半径五キロの平べったいプレートに聳え立つ高い塔。神秘は物理を無視するものだ。分かっていてもカルチャーショックは避けれない。 「まぁ、深く気にしても始まらないとは思うんだけど」 「そうですね。異世界は不思議で一杯です」 ボトムチャンネルからすれば異世界人の『桃源郷』シィン・アーパーウィル(BNE004479)が口を開く。様々な経験を経て、さらなる異世界にたどり着く。僅かに中から浮きながら、異世界の果汁の味に笑みを浮かべる。 「他の階はまた違った様子なのでしょうか?」 「そう聞いています。この世界は面白い場所ですね」 頷く『蜜蜂卿』メリッサ・グランツェ(BNE004834)。一階は塔に挑む者たちの町となり、二階は熱。聞けば四階は水で満ちているという。余裕があればそちらにも足を運んでみたいものだ。頷きながら破界器を構える。 「お二人もまた面白い技術をお持ちのようです。これもいい経験になりそうですね」 「飲み終わったし、とっとと始めようぜー」 凶悪な形をした斧槍を構え『ハルバードマスター』小崎・岬(BNE002119)が立ち上がる。気遣いはありがたいが、自力でどうにかできる。わざわざ足を運んだのだ。その覚悟も意地も備わっている。そう言いたげに元気よくテントの外に出た。 「あーちー」 ペットボトルの水を頭から被りながら、岬が準備完了と手をたたく。他のリベリスタたちもそれぞれに準備を終えて熱のフィールドに足を運ぶ。 「テントはいつでも使ってくれ」 「それでは、始めるとしようか」 トカンタとミルダもそれぞれの位置に移動し、構えを取る。ミルダは独特な徒手空拳の構えを、トカンタはどこかボトムチャンネルの魔術師に似た構えを。 汗が頬を伝い、地面に落ちる。それを合図にリベリスタとアザーバイドは床を蹴った。 ● 「あれっ? 微妙にドラゴンじゃないわ」 ミルダをドラゴンと見誤っていたミリーが、接近してその差異に気付く。肉食とは思えない歯並びと威圧感。まぁ、それは些細なこととミリーは気合を入れる。ミルダは炎の舞踏家。火を使い続けるミリーには何かのきっかけになるはずだ。 呼吸を整え、ミルダに迫る。そのまま自らを炎に包むようにしてミリーは突撃する。火龍の吐息さながらの熱量を、相手に叩きつけるように踏み込んだ。爆音と高熱が二人を包む。両面からミルダをみて、笑みを浮かべて宣言する。 「絶対熱いって言わしてやるんだから!」 「元気じゃの。ではあえて挑発するか。まだまだ温いぞい」 「さすが火蜥蜴ですな。ではこれはどうですか?」 ミリーの反対側に回るように九十九が足を運ぶ。体内の闇を解放しながら、そのオーラを破界器に乗せる。体を癒す力よりも鋭い痛みが身を襲う。痛みを仮面の下に隠しながら、銃口をミルダに向けた。 弾丸のイメージを銃口内に描く。九十九が発するオーラがイメージどおりに銃口内に発生した。それは終の一撃。呪い、奪い、永遠に閉じ込める為の奈落の一撃。呪いの弾はミルダの動きを追う様に捻じ曲がり、その脳天を穿つ。 「むぅ、効くのぅ」 「くっくっく。私の暗黒銃剣術、とくと見てもらいますかな」 「それではよろしくお願いします」 柄を胸に当て拳を心臓に合わせて剣を立てる。まっすぐに上を向いた剣と共に一礼し、メリッサが前に出る。ミルダの横を通り抜けてトカンタの方に向かった。ただ真っ直ぐに。メリッサは前に進む。 展開されてあるトカンタの赤い魔力壁。その動きを目で追うことなくメリッサは剣を構える。大切なのはいつもどおり構えて、剣を突き出すこと。一撃一撃に集中し、常に最高の突きを繰り出すこと。その突きが、トカンタの鱗を貫く。 「大丈夫、熱気に当てられても、身体は覚えています」 「壁は私が壊そう」 乾燥した足場を踏みしめ、ウラジミールがトカンタに迫る。使い慣れたコンバットナイフを手にし、構えを取る。ハンドグローブを前に突き出しただけの構え。だがうかつに攻め入れば防がれ、打ち倒されるだろう。 トカンタが攻めあぐねたのは僅か一瞬。その一瞬でウラジミールは行動に出ていた。相手に踏み入り、ナイフを握り締める。アドバンテージの一瞬でナイフの軌跡をイメージし、ナイフを走らせる。霧が晴れるようにトカンタの赤壁が消え去った。 「『挨拶(プリヴィエート)』だ」 「アークリベリオンが一人、祭雅・疾風! 尋常に勝負だ。変身!」 名乗りを上げて疾風が幻想纏いに手をかける。閃光が走り、光が消えたころには疾風は『強化外骨格肆式[天破]』を身にまとっていた。疾風の気の昂りに呼応し両肩甲骨部分から光のマフラーが発生する。マフラーをなびかせ、トカンタの元に向かった。 地面を深く踏みしめ、相手に向かって突撃する。なびくマフラーが真っ直ぐ伸び、跳躍と共にふわりと舞った。戦う心意気を体中に乗せ、全身全霊でトカンタにぶつける。ボトムチャンネルのリベリスタ組織の名。それを背負い、疾風は立つ。 「いい一撃だ。真っ直ぐに、それでいて力強い」 「これで終わりではないのだろう?」 「当たり前ー。情け容赦無用だー」 若干間延びした口調で岬が叫び、手にした『アンタレス』を振るう。その禍々しいハルバードは、あたかも生きているかのように中央の紅玉を輝かせる。少なくとも岬の中では生きているのだ。共に成長する『戦友』として。 漆黒を身にまとい、トカンタに向かって矛槍を振りかぶる。自分の身長余地も大きく重いハルバードを岬は降りまわす。それは力だけによるものではない。技術だけによるものでもない。その二つと矛を好む岬の精神。心技体そろった一撃が、熱風を吹き飛ばす。 「アンタレスは火の星に対抗する者って意味なんだー。炎なんて叩き消してやろうぜー、アンタレス!」 「んー、頼もしい」 前で戦うリベリスタを後衛から見ながら文佳が呪文を唱える。言の葉は音。音は旋律と振動。重要なのは呪文の内容ではなく、正しく韻を切ることができるか否か。歌うように、奏でるように。文佳は呪文を唱え、魔力を束ねる。 しっかりと相手を見据え、意識を集中する。自らが思い描く攻撃の軌跡。その軌跡に沿うように、文佳は魔力を解き放つ。魔力は稲妻となり、戦場を駆ける蛇となる。刹那の間に雷蛇は二体のアザーバイドを捕らえ、稲妻の残滓を残す。 「合体攻撃とか連携攻撃とかあると思ったけど……どうなのかなー?」 「私は常にフィアキィと連携ですよ」 小首をかしげる文佳の近くでシィンがフィアキィと共に宙に浮いていた。緑色のスプラウトと桃色のブロッサム。それぞれが異なる魔力を放ち、異世界からの力をこの世界に引き込んでいる。 熱風吹き荒れるこの階の空気よりも熱い石弾を天に召喚するシィン。熱された石はその落下エネルギーも加味されて激しい衝撃を生む。ミルダとトカンタの炎を吹き飛ばすほどの激しい一撃。 「炎は耐えれても、衝撃までは防げないようですね」 「はっはっは。これは手厳しい」 「うむ。そろそろこちらも攻めるとするか」 リベリスタの猛攻を受けてもなおミルダとトカンタの口調は変わらない。それはまだ追い詰められていないということでもあり、彼らも戦いを楽しむこの世界の住人であるということだ。 熱風は止まらない。戦いの渦は、熱く吹き荒れる。 ● トカンタは戦場全体に炎を振りまき、ミルダは自分の周りにいるミリーと九十九を攻撃する。熱波が吹きあれ、炎が舞い上がる。シィンは攻撃から回復へと魔力の方向性をシフトした。 「さて、へばるのはまだ早いですよ」 緑色の光がリベリスタたちを包む。周囲から魔力を取り入れるシィンであっても、これだけの術は疲弊してしまう。 「まだ負けないよ!」 「これからが本番ですぞ」 ミルダの攻撃でミリーと九十九が運命を燃やす。自らを包んでいた炎を吹き飛ばし、その炎を燃料としてミルダに踏み込んだ。ミリーの燃える拳が叩き込まれ、九十九の闇の一撃が鱗を穿つ。赤と黒が力強くミルダに叩き込まれた。 「理想よ、具現化しろ!」 自らの理想を神秘のより体現し、疾風がトカンタに迫る。理想は遥か高く、炎の鰐が噴出す炎すら寄せ付けない。真っ直ぐに突き出した拳が、トカンタの防御を貫く。 「直撃しなければ耐えられる」 火蜥蜴と鰐の炎の攻撃を衣服で弾きながら、ウラジミールがナイフを振るう。素肌さえ焼けなければ、問題ない。安定した防御は、安定した攻撃に繋がる。 「要は貴方のようですな」 「ひゃう!」 トカンタの口から吐かれた炎がシィンを襲う。回復役を先に潰そうという思考だ。シィンは運命を燃やして意識を保ち、自分を含めた回復を行った。 「炎なんて叩き消してやろうぜー、アンタレス!」 岬が凶悪な矛槍をトカンタに振るう。熱が篭った足場をしっかり踏みしめ、重量そのものを振るうように破界器を回転させる。そのまま叩きつけた一撃が、トカンタを地に伏した。 「剣舞、とは驕りが過ぎますが、舞踏のお相手をお願いできますか?」 一礼してメリッサがミルダの方に向かう。相手の防御を突き崩すような連続の突き。足りない技術を気迫で生めるようにメリッサは剣を動かす。流れを掴み、それにあわせるように。 「こっちは狙いやすいのよね」 文佳はミルダを魔力矢で撃ちながら口を開く。トカンタを遠くから狙うと陽炎が邪魔をする。それに比べればミルダは格段に狙いやすかった。仲間の隙を縫うように、魔力の一矢が飛ぶ。 「剣呑剣呑。この数を相手するのは大変じゃなぁ」 トカンタに集まっていたリベリスタが、ミルダに集中する。数にすれば六対一。不利は否めない。それでも余裕を崩さず、むしろ楽しんでいる節がある。 メリッサの細剣が繰り出され、ミリーの火拳が連続で叩き込まれる。九十九の闇の弾丸がミルダに呪を与え、疾風の直剣が一閃する。ウラジミールのナイフが翻り、岬のアンタレスが剛と唸る。シィンが皆を癒すと同時に、文佳の魔力矢が真っ直ぐに飛ぶ。 ミルダの武舞は乱戦に強い。戦場の中一人駆けし、踊るように尻尾と拳を繰り出す。防ぎきれなかったメリッサが運命を削ることになるが、猛攻もそこまで。 「アンタレス。これでトドメだー」 揺らめく炎のように刃を伸ばしたハルバードを岬が振りかぶる。ただ凶悪な破界器では、ただの美術品だ。それを扱う岬の技量。それが合わさり始めて『凶悪』な武器となる。自らの体を回転させながらアンタレスの刃はミルダに迫る。 「いっけー!」 勢いよく振りぬかれたハルバード。それに吹き飛ばされるように、火蜥蜴は地面を転がった。 ● 「命に別状はないみたいですわね」 文佳は倒れたミルダとトカンタを治療する。あれだけの攻撃を受けたのに、治療の神秘を施せばすぐに回復した。ほっとすると同時に、さっきまで本気で戦っていたのにこうも仲良くなっていることに呆れもする。 リベリスタとアザーバイドは、現在上の階の階段目指して歩いていた。水分補給を怠れば、熱中症になりかねない行軍だ。 「爬虫類+モフいって、アリだと思うんですよ」 シィンは復活したミルダの髭をもふもふと撫でていた。騒乱時のラ・ル・カーナにも爬虫類はいたが大きすぎるし凶悪すぎた。こちらの爬虫類は人畜無害である。ミルダは抵抗することなく髭をなでられている。 「そう言えば、塔の住人の皆さんは上の階に移住しようとかは考えないんですかのう?」 「他の階は冷えたりするんでな。ここが落ち着くんじゃ」 九十九の問いかけにトカンタが答える。この暑さが彼らの適性温度ということなのだろう。わざわざ好き好んで、辛い環境に向かう必要はないというところか。 「この塔の最上階はどうなっているのだ?」 「最上階……二四階じゃな。そこにはこの『ルゴ・アムレス』最強の存在が待ち構えておる」 ウラジミールの問いかけに、ミルダが口を開く。黒塔の最上階、そこに鎮座する世界最強の存在。その名前までは教えてもらえなかったが、登りきれば会えるという。 「ゴエモンは十八階まで行ったことがあるのだったか」 疾風がこの前であったサル顔のアザーバイドの顔を思い出しながら拳を握った。まだまだ躓くつもりはない。先ずは一歩。その勝利を胸に刻む。 「あれが上の階の階段みたいだねー」 遠くを眺めていた岬が何かを発見する。天井まで届く巨大な柱。そしてそこに入る入り口。守護者達の話によれば、柱の中は別世界のように空気を遮断し、温度も涼しくなるという。 「ひよっこの内からこういう特殊体験は積んでおかないと!」 「いいですね。付き合いますよ」 ミリーとメリッサは時間一杯までアザーバイドと稽古することにした。Dホールの解放時間を考えると、上の階の探索を行う余裕はない。ならばギリギリまで体を動かしていたいということだ。 「元気じゃの。では参るか」 ミルダが構えを取り、ミリーとメリッサがそれぞれの武器を手に地を蹴る。 トカンタが皆にジュースを振り舞い、リベリスタたちはそれを飲みながら観戦を開始した。 「炎珠って炎エネルギーみたいでかっこいいわよね。ミリーもああいうの欲しいわ」 「さすがにあれはあげることはできないが」 全力を出して地面に倒れるミリーが天井を見上げて、光る宝珠を見ながら呟く。トカンタがポケットをまさぐり、小さな石をミリーに渡した。 「これは?」 「炎珠の欠片だ。それでも十分に熱いから、包んでお守りにでもするといい」 少し熱い石を大事そうに受け取るミリー。ハンカチに包み、ポケットに入れる。 Dホールの開放時間の関係上これ以上の探索はできないが、次に来た時はこの上の階を探索できるようになっている。次にこの世界のDホールが開いた時、さらなる戦いが待っているのだ。 火蜥蜴と火鰐に別れを告げ、ボトムチャンネルに帰還するリベリスタ達。 遥か高き塔の頂。そのための一歩を、確かに進んだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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