●いにしえからの殺戮者 この刀が作られたのは600年前になるだろうか。 飯沼一(いいぬま はじめ)という辻切りが愛用した刀である。 今は博物館に当時の一の辻切り話と一緒に展示されている。 この刀は『残月』という名が付けられていた。 切れ味が鋭く、人を切ることに喜びを感じる者に最高の快楽を与えてくれるのだ。 飯沼一の伝説は一部地域で語り継がれていて、今となっては霊的な力を持っているといわれているほど、怪しい輝きを刀身からはなっていた。 先日、博物館に『残月』を盗みに入った者がいる。 名は村上龍昭(むらかみ りゅうしょう)という。現代に残った数少ない人斬りである。 「人斬りとして、俺が名をはせるには業物の一振りが必要だ」 龍昭は人を斬ることに快感を覚えながらも、手応えの悪さに辟易としていた。 はじめの頃は、人をただ斬っているだけで最高に楽しかったのだ。 ところが、人斬りとして成熟するにあって、斬り応えを気にするようになった。 「ただ、人を斬るのは人斬りにあらず」 龍昭は自分が満足できる一撃での人斬りを近年目指していた。 そんなとき龍昭が知ったのが飯沼一の辻斬り伝説であった。 飯沼一の辻斬り伝説を耳に入れてからは、『残月』が欲しくて仕方が無かった。 華麗な身のこなしで、博物館に忍び込み、見事『残月』を手に入れた龍昭。 刀を鞘から抜くと、龍昭の意識は溶けていき、別の意識が流れ込んできたように感じた。 龍昭の覚醒である。 エリューションとして覚醒した龍昭は、『残月』を携えて夜の街に繰り出す。 人間の血を求めて。 ●ブリーフィング 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はモニターに龍昭の写真と人斬り刀『残月』を映し出した。 「人斬りを生業としている男が覚醒しました。覚醒のトリガーは『残月』だと考えられます。 龍昭は伝説の人斬り、飯沼一の技を『残月』を通して習得しているようです。 『残月』の力で、飯沼一の徒党『月光会』の亡霊も顕現すると未来予測されています。 討伐と『残月』の回収をお願いします」 モニターに映る『残月』は美しい刀身をしていて、多くの血を吸ってきたとはとても思えない。 しかし、使い手を覚醒させるほどの刀である。内に秘めた凶暴性は測りきれなかった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:わかまつ白月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年07月03日(木)22:20 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●人斬りの仕事場 繁華街へ続くこの裏通りは、近所の駅から繁華街へ行く近道になっている。 表通りからは離れていて、車の交通はほとんど無い。 繁華街に向かって進入する車は、一本隣の太い国道を通ってパーキングに入っていくからだ。 道幅は細いが、駅から繁華街に遊びに行く人たちが頻繁に利用している。 繁華街は午後七時頃から賑わいはじめ、午後二二時頃まで人通りが多い。 繁華街が賑わっている時刻は村上龍昭にとって仕事をするのに都合がいい時間ではない。 人を斬るには目撃されないことが大事だからである。 繁華街から終電に間に合わせようと、駅へ向かう酔っ払いが今回の龍昭の得物だった。 龍昭は今回の人斬りにはいつも以上の安心感を持って挑んでいる。 単独での人斬りではなく『月光会』という徒党を組んでの大仕事だ。 一つや二つの死体では満足できそうになかった。 「人斬りさんともうすぐご対面かな? うふふ、楽しみだよ。人の命を奪うのが大好きなんて、親しみがわいちゃうね」 『アクスミラージュ』中山 真咲(BNE004687)はこれから遊びに行くかのようにワクワクとしていた。 人斬りを生業にしている龍昭との、生命の奪い合いへの期待が一つ。 もう一つは伝説といわれるほどの人斬り飯沼一が愛用した一振り『残月』を持った龍昭の狂気を喰らうこと。 この二つが真咲のテンションを上げさせて止まない。 龍昭と『残月』がいったいどんな人の殺し方をするのか? これから相まみえる相手の技が楽しみだ。 相手の技を上回る力でねじ伏せるのはもっと楽しい。 狂気のパーティーが始まるまでまだ時間がある。 正面から龍昭と『月光会』にぶつかる瞬間をまだかと時計を見ながら時間を潰すのだった。 その姿は、周囲の人間からはこれからどこかに遊びに行く子供のように写っている。 内面に秘めた狂気に気がつくものは一人としていなかった。 「ただカレーを食べるのはインド人にあらず。得物はカレー皿、山盛りに盛ったカレーは最高の食材。それを私は食べる」 繁華街でこの時間に開いているカレーチェーン店の一角に『本気なんか出すもんじゃない』春津見・小梢(BNE000805)はいた。 「人斬りのことなんか理解できないね」 期間限定のシーフードスパイシーカレー(ナン付き)を食べながらこの後の任務についてぼやいていた。 人を斬るのが楽しいという嗜好はよくわからない。 カレーを食べたいという感情と同じようなものなのだろうか? 「人斬り龍……なんとかが来る時間までもう一皿いけるね」 小梢は食券を追加で購入して、山菜づくしカレーを頼んだ。 海の幸を楽しんだ後は、今度は山の幸である。 任務の時間に間に合えばいい。カレーをしっかりと味わうのだった。 「人斬りねェ…面白ェじゃねェか。どの程度のモンか、この城山銀次が見極めてやるぜ」 『悪漢無頼』城山 銀次(BNE004850)は繁華街のパチンコ屋の事務室に顔を出していた。 この後に任務があるのだが、しのぎの上納を未納している組員がいて任務のついでに寄ったのである。 「おう、景気がよさそうじゃねェか」 銀次がソファーにどっかりと座って、正面に座っている組員を睨む。 この組員は城山組のフロント企業である、このパチンコ屋のオーナーだ。 「まさか、組長自らおいで下さるとは……」 細身の男である。銀縁のメガネをかけていて神経質そうに見える。 最近になってしのぎ上手の組員が増えてきた。この男もその一人であるが、ここのところ上納が滞っている。 少し話すと、薬物へ投資しようとしているとの話が出てきて、銀次は組員を一発で殴り飛ばした。 「どの口がいってやがる!? エンコ(指)飛ばすか?」 組員は平伏し、上納を過去の分に二割増しておこなうことを約束した。 「神秘界隈は侍ブームでも来てるのかしら?」 『谷間が本体』シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)はここのところ目立つサムライ系の対象に辟易としている。 刀の切れ味もさることながら、独特な技に対応がはっきりいって面倒くさい。 今回の対象は『残月』に振り回されているだけの狂人のようにも思えて、敵のことながら情けなさすら感じる。 喫茶店で時間を潰していると刻々と予定時刻に近づいてくる。 「もうすぐね。神秘に振り回されるだけの相手なら敵じゃないわ」 シルフィアはソファーに深く腰掛け直すと、紅茶を一口飲んだ。 紅茶の香りと渋みが口の中に広がった。 読んでいた本を閉じると、会計に向かうのであった。 「この時代に人斬りとは、な。……決して容赦はしないぞ」 『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)はデータに目を通していた。 龍昭は『月光会』と徒党を組んで今回の人斬りに挑んでいる。 義弘の考えでは、『残月』を手にしている龍昭が一番の脅威であると考えている。 『月光会』の不意打ちにも注意は必要だ。 それでも人斬りである龍昭こそが危険なのだと思った。 仲間との連携は必須である。義弘はそう強く感じている。 『残月』に対して『侠気の盾』を名乗れるだけの働きを見せてやると強い意志を持って挑むとする。 データを整理しながら、はちみつMAXという、最近、近所の自販機に売り出されている、激甘ジュースのプルタブを開ける。一気に飲んだ。 口の中に甘みが広がり疲れがとれていくように感じた。 「弱いものを切り満足する程度の精神性、そこらの餓鬼と違いない。いや餓鬼にも劣るか、躾けようがないだけ。まぁ、躾けられても処理することに変わりないが」 予定時刻まで近場のネカフェでネット巡回をして時間を潰している『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)の姿があった。 狭い個室でネットを巡回して情報まとめサイトを覗いたり、端末で電子書籍を読んで予定時刻まで時間を潰す。 暇つぶしにマップサービスにアクセスして、今回の任務の現場を画面に映し出す。 マウスで画面をクリックしながら、表示されている写真を更新していった。 昼間に撮影されたのか、人が駅の方角に向かって結構な数写っている。 顔には全部丁寧にモザイクがかけてあった。 この中の誰かが龍昭の被害者になるかも知れないと思うと、苛立ちにも似た感情がふつふつとわき上がってくるのだった。 「自ら人斬りを名乗るなど、見下げ果てたやつじゃ。 己の小ささを思い知らせてやろう」 『滅尽の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)は悪態をつきながらケーキを頬張った。 「う~ん、ここのモンブランは最高じゃのう」 この繁華街で、ケーキが人気がある喫茶店にシェリーはいた。 スペシャルモンブランを頼んで紅茶と一緒に頂いている。 この後の龍昭との戦いに備えていろいろと頭を巡らせた後なので、甘いモンブランがとても美味しく感じる。 頭脳労働の対価には糖分は必須である。 紅茶はティーバッグではなくリーフが入ったポットで出てきている。 ダージリンを頼んでいる。 香料系の紅茶だとケーキの味を邪魔するので、いかにもお茶という味のダージリンが組み合わせとしてはグッドだと思っている。 任務の時間まではまだ時間がある。それまでの間に頭脳疲労を回復させておくとしようと思うのだった。 「斬った感触がどうだの、くだらねー人殺しが、何こだわってやがる。ノーフェイス化しちまったようだが可哀想とは思わねー」 鷲峰 クロト(BNE004319)は敵に同情の余地なしと思っていた。 時間まではまだ余裕がある。珈琲専門の喫茶店に入っていた。 チェーン展開している店より、個人営業をしている店の珈琲の味に興味がある。 頼むのはブレンドだ。店の看板ともいえるこのメニューの味で、店主の実力がわかるというものだ。 カウンターで新聞を広げながら、ブレンドを一口飲む。 一口目で強いコクと酸味を感じた。苦みは少ない。 飲みやすい珈琲だ。ブラックで楽しむのには丁度いい。 ミルク、砂糖のたぐいはこのブレンドには邪道だろうとクロトは思う。 任務の時間が来るまで、この喫茶店で珈琲を飲みながら時間を潰すのも悪くないと思うのだった。 ●人斬りの時間 定刻の裏通り、繁華街に向かって駅から歩く人はほとんどいない。 今の時間帯は繁華街が賑わい始めてから時間が経っている。駅へ向かって歩く酔っ払いがもうすぐするとこの通りに来る頃である。 龍昭は通りの一角から姿を現し、『残月』の柄に手を重ねていた。 龍昭の退路をあらかじめ塞ごうと、小梢、ユーヌ、シェリー、クロトの四人は繁華街の側から裏通りに入ってきていた。 駅方面へは逃げても追いかけるのは容易い。 一方、繁華街の人混みに混ざられてしまったら見つけることは困難だろうとの考えだ。 繁華街側から裏通りを塞ぐようにして歩みを裏通りに向けて進めていった。 義弘、シルフィア、真咲、銀次の四人は龍昭に向かって真っ向から接触しにいった。 クロトは薄暗い裏通りを入念に見回した。 龍昭は目立たないようにスーツ姿で道の端でスマートフォンをいじっている。 建物の蔭に『月光会』が九名いるのが判明した。 龍昭も『月光会』もリベリスタたちには気がついていない。 繁華街の方から退路を塞ぐように、班分けしたチームがこちらに向かってくるのが見えた。 「『月光会』が建物の蔭に潜んでいる。人数は九名。突然飛び出して斬りかかってくる可能性があるぞ。 龍昭は道の端でスマホをいじっているスーツの男だ。しっかり『残月』をもっているぜ」 クロトは通信を入れて仲間に状況を知らせた。 低空飛行しているユーヌがイーグルアイと集音装置でリベリスタの位置と龍昭、『月光会』の位置を確認していく。 「龍昭も『月光会』もまるで動かないな。少し不気味だ。隠れんぼが好きなようだな。こそこそと隠れて斬るのが精々か」 ユーヌはいった。 龍昭と接触するチームが龍昭の近くまでたどり着いた。 駅方面からの相手には用がないのか、いっこうに動きを見せない。 「残月、いい刀だなァ。見てるだけでぞくぞくしてきやがる。それじゃあ持ち主はどうかね? 命の取り合いは初めてじゃねェだろう?」 銀次が龍昭に声をかけると、龍昭は鋭い視線で見据えてきた。 手の動きは素早く、『残月』を抜きはなつ。裏通りのわずかな光りでも煌めく刀身は本当に美しかった。 「さァ俺を楽しませてくれや」 銀次はいった。 龍昭と『月光会』が戦闘態勢に入ったのがわかった。 退路を塞いでいるユーヌは『月光会』に向けていった。 「いつまで隠れている? 月光などと烏滸がましい、溝鼠のがお似合いだ」 隠れている『月光会』に向けて挑発をするユーヌ。 金属が擦れる音がした。足音も聞こえる。何名かの『月光会』がユーヌの言葉に刺激されたのだろう。 クロトがハンドサインを退路を塞ぐチームに送って挟撃の体制に入る。 「人斬りってのがどれ程のものか、見せてもらおうじゃねーか」 クロトの全身の反応が高まっていて、身体能力のギアが上がった状態になっている。 フェザーナイフ二本が素早く振られる。 龍昭にナイフが当たるかと思われた一撃は『月光会』の一人によって庇われてしまう。 強烈な攻撃を受けて『月光会』の徒党の一人は膝をついた。 「ねえ、あなたの殺しかたを教えて。あなたの狂気を感じさせて。……イタダキマス、センパイ。」 真咲の全身から瘴気がわき出る。 瘴気はいっきに龍昭を飲み込んだ。龍昭が少しつらそうな顔をした。すぐさま表情を引き締め、現状の把握に頭を回している様子だ。 龍昭の『残月』が煌めいた。一閃したのだと気がつくまでにしばらく時間を必要とした。 銀次の胸元から熱い鮮血が迸る。 クロトの腕からも血液が零れる。 一閃で二人同時に斬ったのだった。 太刀筋は速すぎて視認することが非常に厳しい。 龍昭は何かいうでもなく、囲まれたかと思うのであった。 『月光会』の二人がユーヌに斬りかかる。 見事な太刀筋であったが、ユーヌの速度についてこれていない。 「わらわらと鬱陶しいな。一匹見たら十匹はいると思えか? ああ、害虫と大差ないか」 余裕の様子で、ユーヌはいった。 後方を警戒する真咲。突如、横から『月光会』の一人が飛び出してきた。 注意を払っていたが、建物の隙間を移動する『月光会』をすべて捕らえることは難しかった。 横凪に放たれた一撃を受けて、真咲の血肉が宙を舞う。 すぐさま応戦しようにも『月光会』は再び建物の隙間に消えていった。 義弘は英雄の魂を加護に変えて身に纏う。 鉄壁の守りを身に纏い、龍昭に立ちはだかるのだった。 「さあ、俺にこい。侠気の盾を名乗るだけの働きをしてみせる」 龍昭は確実に包囲網が狭まってきていることを感じながらも、斬る人間が沢山現れたことに微笑を浮かべた。 この異常な状態を楽しんでいるのは龍昭ではない。飯沼一という伝説の人斬りが『残月』を通して、龍昭の中で楽しんでいるのだ。 銀次は瞬間姿が消えた。現れたときには龍昭の背後を完全にとっている。 「コイツはどうだッ!」 首にかけて一閃する銀次。 龍昭はこの銀次の動作に驚異的な反応を見せた。龍昭が反応したというより『残月』が反応した。 刀を背後にまわし、銀次の一撃を見事に弾いた。 まさに超人的な反応速度である。 「面白ェな。次はもっと速いのいくからよ」 銀次はいった。 龍昭は刀を交えることの楽しさを感じている様子はない。 龍昭と接触するチームの動きを見てシェリーは魔法陣を展開させた。 魔力が爆発的に上昇を始めるのを感じる。 巨大な魔力の塊を形成させていくシェリー。 「物陰に隠れているネズミがいるようじゃ、炙り出してやろう」 撃ち出された魔力の塊が炸裂し、薄暗かった裏通りがぱっと白く染まった。 建物の隅々までに魔力が注ぎ込まれていく。 辺りから呻き声がいくつも聞こえてきた。血だるまになった『月光会』が息も絶え絶えにうずくまっている。 これ以上『月光会』は活動することができないだろう。 一方、龍昭も酷く今の一撃で消耗し、肩で息をしている。 スーツは破れ、目が血走っていた。 鋭い視線でシェリーを睨むが、シェリーは笑って返してやった。 シルフィアは魔力を活性化させ体内で循環させる。 「まさか、もう終わりなんてことは無いでしょうね?」 消耗しきった龍昭と『月光会』を見ていった。 小梢は英雄の魂を最高の加護に変えて、身に纏った。 「カレー神降臨! 斬れないストレスを与えてやるう」 龍昭に小梢が張り付く。 龍昭はもはや、移動の自由は全くなくなっていた。 『月光会』がやられてしまった今となっては、龍昭の身を守れるのは『残月』のみだ。 人を斬るための刀を護身のために使うことになっている。 龍昭は苦虫を噛み潰したような表情をしている。 ユーヌは幾重にも呪印を展開させた。辺りが一瞬煌めいたかと思うと、龍昭の『残月』は呪印によって束縛されている。 『残月』を振りかぶろうとする龍昭の動きは虚しく、びくともしない。 「動きを止めてお疲れか? 斬り飽きたなら手を止めて、仏門に入ればどうだ? なに手間はいらない、死ねば皆仏」 ユーヌはいった。 「ここからは一方的にやらせてもらうぜ!」 クロトのフェザーナイフが舞って龍昭を切り刻む。 真咲は倒れている『月光会』にトドメを刺しにいった。 真咲の攻撃でボロボロになっていく『月光会』だった。 「あはは、まっぷたつになっちゃったね?」 楽しくて仕方がないといった様子の真咲。 義弘の神気を帯びたメイスが振り回される。 龍昭に十字の傷を付けるのだった。 龍昭はまだ膝をつかない。気力だけで立っているようにも見えた。 銀次から黒いオーラがあふれ出ている。徐々に、神代の怪物を思わせる八又の首が作り出されていった。 激しい薙ぎ払いを受ける龍昭。 体がはじき飛ばされて転がるのだった。 「盗んだモノは、『破壊』させてもらうぞ」 シェリーは龍昭と『残月』が一線に並んだタイミングを狙った。 シェリーの詠唱で大型の魔法陣が空中にいくつも展開されていく。 魔術師の必中の弾丸が龍昭と『残月』を貫いた。 刃こぼれ一つ無かった『残月』の刀身が折れてはじけ飛んだ。 同時に弾丸は龍昭の心臓を貫いていたのだった。 「雅びな刀じゃったぞ『残月』、されど、物騒故、回収より破壊を選ばせて貰った。悪く思わんでな」 こうして、現代の人斬りは無事にリベリスタたちによって討伐されたのであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|