●デストロイ・アンド・デストロイ ウィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイン! ギィィィィィィイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィイイイイイイイイイイ! ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ! バリバリバリバリバリバリバリバリバリババリバリバリバリリバリバリ! ギャッギャギャッギャッギャッギャギャギャギャッギャギャッギャギャ! ミシミシミシシシミシミシシミシミシミシミシミシシシシミシミシミシミシ! ベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキベキ! ゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ! ブルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル! ブオオオオオオォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオン! ドッドドドッドドッドドッドドッドドッドッドドドッドッドドドドッドッドッドドドドド! ザキュザキュザキュザキュザキュザキュザキュザキュザキュザキュ! ぶっ壊せぶっ壊せぶっ壊せ! ぶった切れぶった切れぶった切れ! ぶっ殺せぶっ殺せぶっ殺せ! イィィィヤッハー!! ●ハイド・アンド・シーク 「そんな感じの被害が予見されるそうだ」 一体どういう被害なのか、エリューション事件の対処に当たるようブリーフィング・ルームに集められたリベリスタ達にはさっぱり理解不能だったのだが、ボールペンを咥えた『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)はお構いなしに続けた。 「県内の山奥で、型落ちして不法投棄された林業用具――古くなった電動チェーンソーがエリューション化しているみたいだ。それも複数」 まだ使い物になるのに捨てられるといったケースは、何もチェーンソーに限った話ではない。 その有り余るパワーで、寄ってたかって辺り一帯の樹林を荒らしまくっている、とのこと。 「こいつがまた面倒なことに、異常に攻撃的な性格をしているようで。今のところはまだ死人は出ていないみたいだが、不意に立ち寄って連中と遭遇しようものなら即お陀仏だろう。世の中どんなアンハッピーが待ち受けているか分からないしさ。転ばぬ先の杖、ってね」 ボールペンのキャップを噛みながら説明を続行する。 「さて、面倒くさいのは地形もだな。何せ現場は森の中、周りは緑樹だらけ。はっきり言って邪魔だ。満足に行動できるかっていうと、ちょい怪しい。けれど逆に考えれば、この障害物・遮蔽物だらけの地形特性を利用できなくもない」 くるくる、っとボールペンを指先で回す伸暁。 「このエリューションは認識できた奴から闇雲に襲いかかる性質を持っている。無防備に身を晒してるとかなりヤバイが、木の陰に隠れちまえば、そうそう見つかることはないだろう。そこからどうするかは、戦闘の専門家である皆のインスピレーションに任せるぜ」 当然だが、息を殺して潜んでいるだけでは何時まで経っても任務は終わらない。木々の合間を縫って飛び交うチェーンソーをこちらから追い立てる場面も、必要に応じて出てくるだろう。 「それじゃ、ゴッド・ブレス・ユー!」 伸暁は片目を閉じてエールを送った。果たして黒猫は幸運を呼ぶか、不幸を呼ぶか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:深鷹 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年07月07日(月)22:22 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●サーチ・アンド・デストロイ 見渡す限り木、木、木。 視覚面だけならば、いかにも山林真っ只中な風情。だが一度耳を塞ぐ手を離してみると、響き渡るモーターの駆動音が騒々しさを爆発させて鼓膜に訴えかけてくる。 「あーもう五月蝿い! 騒音は立派な公害よ公害!」 片耳に指を突っ込んで少しでも入ってくる音量を減らそうと試みている『ラビリンス・ウォーカー』セレア・アレイン(BNE003170)は、今すぐにでも山ごと吹き飛ばさんばかりの剣幕でいた。 「というか吹き飛ばします。これは近隣住民が持てる正当な権利です」 「落ち着いてください。この陣形であなたに全力を出されたら我々も灰燼に帰します」 本気とも冗談とも付かないセレアを宥めるのは『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)。機械化されたその瞳は遮蔽物を透過し、木々の合間を行き交うエリューションを絶えず索敵する。 その数五体。上下に激しく揺れ動きながら、不規則に飛び回っている。 「しかしまあ喧しいのは真だの。爆音を上げるロックバンドじみておるわ」 口ではそう言うが、『滅尽の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)は割合涼しい顔をしていた。それもそのはずで、彼女の周囲には既に、許容外の大気の振動をも遮断する術式障壁が展開されている。 「短期決着を目指すのがよかろう。自然破壊は好かぬが、放っておいても奴らに切り倒されるだけだしの。派手に妾が吹き飛ばしてやろう。のう辜月、早く始めようぞ」 後衛にて待ち控える雪待 辜月(BNE003382)に催促するような挑発的な眼差しを送る。 「えと、マグメイガスのお二方も戦意高揚してるみたいですし……皆さん、布陣お願いします」 よく通る、鈴鳴りの声で。 辜月が全員に翼の加護を行き渡らせると共に指揮を振るった。 「まずは攻撃対象を一体に絞ります。集中攻撃を仕掛けてください」 少年の脳髄には、あばたが拾得した視覚情報がテレパスを通して受信されている。戦況を把握した上で解釈する彼を通してリベリスタ達に指示が飛ぶため、言わば司令塔とでも呼ぶべき役割を担っていた。 前に進み出て、先陣を切ったのは『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)。 「まったく、不法投棄には困らされることばかりだよ。本当に命の危険に関わるからなぁ」 しかしながら刀は鞘に納まったままである。頭の中には敵位置のイメージ図が流れ込んできているとはいえ、自分の目で直接に見ている訳ではないので、認識には若干の不安がある。ひとまずは我が身を晒して敵の注意を引くことに専念し、味方の初動を待つ。それに加勢して、剣撃を重ねる算段だ。 もうひとつ、義衛郎が抱いている懸念材料としては、他に前衛を務める三人のことだ。 三人ともが、平時の任務ならば矢面に立つ役目を受け持つことがないであろう面々ばかり。 (全く……特別手当でも貰わないとやってられないわ) 中でも攻撃手段を持たず、支援に特化した『蒼碧』汐崎・沙希(BNE001579)が盾役も兼ねるのは無謀な賭けにも思える。それだけに、無茶を重々承知している本人も相応の覚悟で臨んでいた。辜月と相互に補助しながら、自分自身も含め、可能な限り自軍の被害を抑えるしかない。 とはいえ、儚げな外見に反して意外にもタフな彼女のことだから、多少の苦難は乗り越えてくれるだろう。 「あ、すみません、今のわたしの心の声でした。テレパスの弊害ですな」 沙希から数メートル離れた地点で、同じく前衛を張るあばたの千里眼は既に、立ちはだかる木の幹を通り越してチェーンソーの姿を的確に捉えている。 「孤立しております。集中砲火にうってつけですな。さて雪待様、しっかり伝えてくださいませ」 肘を地面から水平に伸ばして速射銃を構える。倫敦事変を乗り越えて会得した『殺意の弾丸』は、あたかも張り詰めた空気が凍りついてしまったかのように、驚くほど静謐に発せられた。 その一撃が押し寄せる波濤の合図となる。 「ふむふむ、あそこに狙いを定めればいいわけね。みんなー、少し離れるか頭を下げたほうがいいわ。後ろから失礼するわよ」 視界確保のため、余計な木の伐採を行っていた『狐のお姉さん』月草・文佳(BNE005014)の砲撃対象が切り替わる。新たに展開された魔方陣は、新たな魔力の潮流を呼び起こし、溢れんばかりのエネルギーを圧縮させた砲弾となって放たれた。 文佳の魔術は、射線上に聳える樹木を次々に貫きながらE・ゴーレムの元へ。折れた幹ごとクリーンヒットし、轟音と共に砕けた木屑と砂の粉塵が巻き起こる。 舞い上がった土煙の中から現れたのは、抜刀した義衛郎。 幻惑に紛れながらの剣閃が更なる痛撃を加えた。 好き放題暴れ回るチェーンソーを、機能停止に追い込むほどに。 ●デス・アンド・デストロイ 「お見事です。やはり前情報通り、死角からの攻撃にはすこぶる弱いみたいですね」 撃墜を確認後、ほっと辜月は胸を撫で下ろす。 だが、あくまでも五分の一に過ぎない。深淵を覗く時は深淵もまたこちらを覗き返している。発見した獲物に向けて一気呵成に攻め立ててきたのは、エリューション側もであった。 迂回したチェーンソーが辜月目掛けてギャンギャンと唸りを上げながら接近。首のように大きく鋸刃を振り回し、進路上の邪魔な木を薙ぎ倒していくその様は、暴れ馬を思わせた。 「う、わ――?」 足が竦む。残虐性を具象化した鉄の刃はもう、目と鼻の先に―― 「誰に無断で辜月を手篭めにしようとしとるのじゃ、おぬしは」 ――その間に、背中に加護を受けて生やした翼で飛来したシェリーが割って入る。口元にこそ余裕のある笑みを浮かべていたが、瞳の奥では、烈火のごとく瞋恚が燃え盛っていた。 状況を把握後、即座にシェリーの身を案じた辜月だったが、エリューションの凶刃は魔術の盾に食い止められ、彼女の肉体を引き裂くことはなかった。僅かに触れた刃先で血が滲んだだけで、被害は軽度。 「あの、ありがとうございま……す……」 治療しつつも、何かに気付いたらしくもごもごと口ごもる辜月。頬どころか顔中が紅潮し、目線はあっちに行ったりこっちに行ったりで、けれど確かにあることを気にしている様子である。 視線を下げたシェリーもどうやら辜月がうろたえている理由を察したらしく、鼻っ面に思い切りグーパンチを見舞って制裁。魔術師が纏うローブには防護が及んでおらず、至る箇所がびりびりに破れていて、雪解け水のように透き通った白い肌が露になっていた。 「あうあう……不可抗力です」 羽織っていた上着を差し出す辜月の目には少し涙が浮かんでいた。とはいえ、綺麗だなぁ、なんて邪なことを考えてしまったのも事実ではある。 「まあよい。続きは眼前の敵を片付けた後じゃ。妾の後ろでしっかり見守るのじゃぞ」 「……いえ、私も戦います。シェリーさんが心配ですから」 「ほう! 言うようになったのう。淡雪の如く、原子の一片まで"熱量"に変えてやろう。の? 辜月」 「えと、ほんとに消し飛ばしちゃいそうですけど、頼りにしてます」 魔術書のページをめくる辜月。探しているのは治癒の術式ではなく、攻撃の手段。 流れるように澱みなく詠唱し、魔力の矢を放つ。 手段は違えど、目的は違わない。仲間を守るために力を行使する。その信念だけを胸に秘めて。 エリューションも負けじと鋸刃と駆動装置の接合部を軸にして回転し、滅茶苦茶に切りつけようと襲い掛かるが、障壁を張って待ち構えるシェリーが防御。 そして冷静にモーター部分に杖先を当てた。 「ちと楽しみじゃ。この距離でコレをぶち当てる敵は今までおらなんだからの!!」 シェリーの足元には高位魔方陣が準備されている。本来であれば、彼方の道程を駆け抜けるはずの不可避の銀弾。それが密着して射出されようものならば、その威力たるや莫大を超えて絶大に昇る。 『必』ず『殺』す――まさしく必殺の一撃は、革醒したチェーンソーを死に至らしめた。 「妾も攻撃特化じゃが、おぬしら相手では、"完全無欠"じゃ……辜月がおればの」 ●ハイド・アンド・ハイタイド けたたましく鳴り響くモーター音。切断された木々の倒壊音。 それらの音が距離に応じて大小する臨場感溢れる現場に、木の裏に隠れた『オカルトハンター』清水 あかり(BNE005013)はいまひとつロマンを感じられはしなかったが、存分にスリルを味わっていた。 「不思議なことは不思議なんですけど、この手の頭悪そうな神秘は苦手です……」 神秘を追求する最中に無法なチェーンソーで切り刻まれるなんて真っ平御免である。 (いやはやまったくです。わたしなどは一歩間違えばバラバラになってしまいます。てなわけで先手必勝、お次は右前方に浮かんでいる輩を狙いますので、清水様も足並み揃えて下さいませ) 息を潜めるあかりの元にも、レーダー業に注力するあばたから連撃要請と透視映像が伝達されてきた。 「まあ、倒して来いと命じられてる以上倒すしかないですからね……皆さん、ガンバレー」 前衛にエールを送りつつ、木陰から飛び出るあかり。 (雪待さんは取り込み中みたいだから、私が代わりに連絡役を請け負うわ) 沙希からのテレパスが入った。攻撃方向は既に知らされている。後は味方の合図を待つだけだ。 数秒の待機の末、ついぞ死を運ぶ銃弾は発射された。圧倒的な命中精度を誇るプロアデプトであるあばたが外す訳もなく、風穴を開けられたE・ゴーレムから黒煙が噴き上がる。 そこに合わせ打つように、魔力を練成してあかりが放った小さな光球が追撃を加えた。 近接戦を仕掛ける義衛郎を巻き込まないよう、ピンポイントで狙い済ました一撃。眩い光は鬱蒼とした山林の風景を明るく照らし出す。 「いやー、中々に爽快です。神秘の力を使うのにも慣れてきました」 上々の手応えに自身の成長を実感するあかりだったが、全壊には至っていない。 低空飛行する不可思議極まりないチェーンソーはギュンギュン唸りながら前進を始め、手当たり次第に刃を振り回す。数多の木々が犠牲となっていく中で、リベリスタにもその矛先が向けられるように。 防御にも回避にも秀でていないあかりが狙われようものなら、大怪我では済まされない。 「お前の相手はオレ達だ。余所見するなよ!」 大声で義衛郎が叫ぶが、マークを逸らすには足りない。 ならば、と咄嗟にあばたが放った気糸がエリューションに絡みつく。効果十分、注意を引くことには成功したが、禍々しい刃の機動は止まってくれはしない。 容赦なくチェーンソーはあばたの半身に切りかかった。 防ぎ切れ、というのは酷な話だ。 「……いやこれ、普通に死にますね。ていうか限りなく死んでましたね」 機械化されていない部位からは、おびただしい量の出血が確認されている。 神経系のバイパスを遮断して痛覚を抑えてはいるが、肉体に受けた損傷は紛れもなく現実のものだ。 「だからって倒れる訳にはいかないんですよ。大任を引き受けているんですから。汐崎様! ご足労をお掛けしますが、何卒サポートお頼みします」 頷く沙希。立ち上がったあばたに治癒を施し、ひとまずの活力を与える。 決して警戒は緩めない。いつ自分がターゲットになるか分からないのだから。 更に、後方であかりがフィアキィを呼び出して気力の回復を命じる。燃費に些か難があるあばたにとっては実にありがたい。 チェーンソーは再び攻撃態勢を取るが、斜め後方からの倒木に阻害された。 「木を斬るのはお前だけじゃないんだぜ」 周辺を囲むように立ち並ぶ木を対象に、目にも止まらぬ神速の斬撃が、間断なく義衛郎の刀剣から繰り出されていたのである。 「むしろ、知能がある分オレのほうがよっぽど上手くやれる」 傷の付け方を調整することで、樹木は総じてチェーンソーが浮かぶ地点へと切り倒されていき、多重ダメージを乗せてその動きを封じる。そこに、あばたが銃口を向けた。 「残念無念。鉄クズになるのはわたしではなくあなたですよ」 落ち着き払ってトリガーを引く。 あれほど騒がしかったというのに、この上なく、静かな死が訪れた。 ●リーパー・アンド・デストロイヤー 「ふう。大分視界が開けたわね」 コツコツと障害になる木を取り除いていた文佳が、ようやく成果を実感できるだけの数に到達したらしい。見通しもよくなったし、それに加えて、存分に動き回れるスペースも確保できている。これで味方も過不足なく活動できるようになるはず。 「……敵に察知されてなければいいけど。さあて、あたしもそろそろ迎撃に回ろうかな」 予備動作に入る文佳に辜月からテレパスが入る。 (よろしくお願いします。回復は任せてください。ここからなら直接視認も出来ますから) 「オッケー。それじゃ、痺れさせるわよ!」 狐耳をぴんと立てて、術式を詠唱する。一条の稲光は、いくつにも枝分かれし、ジグザグ軌道で突き進む電撃波へと容貌を変える。拡散した雷光は、二体のエリューションの真上からほぼ同時に降り注いだ。 「夏はホラー、とかよく言うけど……単にチェーンソーが飛んでくるだけってどちらかっていうとスプラッタな方よねー。映画で見るのはいいけど現物は勘弁したいわ……」 雷に打たれてなおギュインギュインと跳ね回るE・ゴーレムを目にして、呆れたような口調で零す文佳。 「んー、もう少しだけ木を倒しておこうかな」 そんな風に思った矢先。 前触れもなく大きな地響きが起こった。 やや遅れて轟音。 ――複数本の木々がまとめて吹き飛んでいる事象に気が付いたのは、それから少し経ってのことだ。 「ハイド&シークだと言ったわね……あれは嘘だ! 逃げも隠れもせず全部ぶっ壊すわよ!」 驚いて振り返ると、どことなく大魔王の風格を漂わせているセレアの姿が見えた。 他ならぬ彼女の仕業である。 「この見晴らしのよさ。肉眼で所在を認識できるじゃない。まとめて片付けるには最適! 地道にやるのもアリだけど、生憎あたしは大艦巨砲主義なのよね。巨乳だし」 明らかな突っ込み待ちだったので、皆あえて触れなかった。 特に気にする様子もなく、高めに高めた精神力を研ぎ澄ませて、卓越の魔術師はすっと杖をかざす。 (攻撃的な人ほど寂しがりだったりするのよ。あのエリューション達も破壊衝動の裏で、本当は誰かに壊されたいと思っていたり……なんてね。ふふ) 大火力の前兆を見守る沙希は、うっすらと微笑みを唇の端に湛える。 「さあ、『薙ぎ払いなさい』」 手練のリベリスタでも詠唱に数十秒は要するであろう複雑かつ長尺の呪文を、いとも容易く詠み上げるセレアの技量には凄まじいものがあり、先程述べた大魔王というのも、あながち笑い話ではないかも知れない。 極限魔法『マレウス・ステルラ』――鉄鎚は無慈悲に下された。 あまりにも豪快に。 いっそ清々しくさえ思えるほど。 跡形もなく、チェーンソーは砕け散っていった。 「えと、これ、もしかしなくても結構な環境破壊だったりするんですかね」 辜月は一箇所だけ円形状の焼け野原と化した部分を眺めて、苦笑する。 「微々たるものでしょ。アフターフォローはうちの眼鏡に任しておけばいいのよ」 両手を天に突き上げて気持ちよく伸びをするセレアは、他人事のようにそう言った。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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