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【三防強2014】アレがどのように湧くかを考える前に駆除してください

●三防強
『三高平防疫強化施策』。
 夏に向け頻発する神秘事件、こと衛生環境の悪化に絡むそれらは、リベリスタ達の精神衛生上迅速に排除されるべき案件である。
 故に、三高平は毎年初夏から初秋にかけ、防疫関係の強化を図る。
 それが、三防強というものだ。

●アレって……何ですか?
「今年も、そんな季節がやってきましたね」
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が資料を見つめつつ、呟く。もちろん、この場にはリベリスタ達がいるのだから、彼女は聞えよがしに語っている。
「あれですよ。私を含め、皆さんと不倶戴天の天敵、アレです」
 ああ……。リベリスタの間に溜息が漏れる。皆、一度は見たことがある、カサコソ動く黒い物体。1匹目にしたら、30匹いると思えと言われるほどの繁殖力。そして、駆除しようとしてもなかなかに死なない驚きの生命力。そんな力を持つ驚異の生命体だ。
「近場のゴミ処理場でアレが湧いて出て、異様な数が繁殖してしまったそうです。どうやら、エリューション化した個体が原因とみられます」
 見た目は他のアレと大差ないのが厄介だが、エリューション化した個体は他のアレと違い、身を震わせて仲間を呼び寄せたり、不気味に発光したりするようだ。ただ、フェーズ2の個体はステルスも持ち合わせる。見つけたならば、逃がさぬよう最大限注意すべきだろう。
 場所は、とある場所にあるゴミ処理場だ。一般的な自治体が構える規模のもので、200メートル四方ほどの大きさだ。
 その中を、大量のアレが巣食っている。処理場は開店休業状態。幸いにも昼間に作業ができるので、日の入りまでに対処できれば問題ないだろう。ただ、夜になれば、アレ達は暗い外へと逃げ出す危険性が高まる為、できる限り太陽が出ているうちに殲滅したい。
 さて、その場には、『ラ・ル・カーナより流れる風』フェスターレ・アルウォン(nBNE000258)の姿があったが、彼女はきょとんとして和泉の話に耳を傾けるが、何やらううんと考え込んでいる。
「あの……アレとは、どのようなものですか?」
 まさか、フェスターレはアレを知らないのかと、リベリスタ達は驚く。どうも、彼女はアークに来てからでも、アレと接点を持っていなかったようだ。
「よくわかりませんが、皆様が困っているというならば、私も尽力いたしましょう」
 ……とはいうものの。アレについて知識をいまいち持たないフェスターレ。
「ところで――、アレとは、どのように湧いてくるのですか?」
 無知とは罪なものである。首をかしげるフェスターレに答える者はだれ一人としていないのだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:なちゅい  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年06月18日(水)23:04
 初めましての方も、どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
 『三高平防疫強化施策』にご協力願います。フェスターレが見たことがないというアレの駆除に、リベリスタの皆様のお力をお貸しくださいませ。
 以下、詳細です。

●目的
 アレの完全駆除
 1割を逃すと失敗。エリューション化個体を逃がすと大失敗です。

●敵
 アレ。人類不人気ナンバー1の生物。
 数は300ほど。
 その内、E・ビーストとなった個体がいる。フェーズ2の個体が1体。フェーズ1の個体が10体。

 以下、攻撃方法。
・油(物近範・弱体・体表を覆う油を飛ばす)
・フライングアタック(物近単・ショック)

 以下、エリューション個体のみ
・身を震わせる。(5体アレが追加。エリューション化はしていない)
・発光(神遠範・不吉・不気味な色に光輝く)
・食事不要(逃げたら確実に生き残る)
・ステルス(フェーズ2の個体のみ)

●場所
 とある一般的な規模のゴミ処理場。大きさは200メートル四方の建物内。最終処分場など、建物外は含まない。
 アレの異常繁殖により、稼働停止中。駆除中に大きな被害があった場合、市民生活に多大なる影響を及ぼす。
 アレ達はごみ処理場の至る所に忍び込む。設備内にもアレは忍び込むのはもちろん、通路内を普通に闊歩したり、壁に張り付いていたりする。

●NPC
 フェスターレ・アルウォン(nBNE000258)が同行します。気軽にフェスタとお呼びください。
 アレを見たことがない彼女は残念なことに、アレの醜悪な見た目に卒倒してしまいます。そのまま戦闘を終わらせるか、起こして戦闘を手伝わせるかはお好きにどうぞ。何もアクションがなければ、卒倒したままです。

 それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
参加NPC
フェスターレ・アルウォン (nBNE000258)
 


■メイン参加者 8人■
ハイジーニアスソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ノワールオルールスターサジタリー
天城・櫻霞(BNE000469)
ハイジーニアスアークリベリオン
祭雅・疾風(BNE001656)
ハーフムーン覇界闘士
翔 小雷(BNE004728)
メタルフレームマグメイガス
シエナ・ローリエ(BNE004839)
ハイジーニアスクリミナルスタア
城山 銀次(BNE004850)
ジーニアスアークリベリオン
国包 畝傍(BNE004948)
ジーニアスミステラン
清水 あかり(BNE005013)

●害虫駆除の時間ですよ
 昼間だというのに、全ての設備が停止された処理場内部。静まり返る場内で、かさかさと動く音だけがかすかに聞こえてくる。
「三防強、もうそんな時期が来たか」
 三防強……『三高平防疫強化施策』。リベリスタ達にとっては毎年の恒例行事となりつつある。『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)はこのフレーズを耳にして、初夏の訪れを実感した。
「防疫強化施策ねェ……これ毎年やってんのか? 毎度毎度このザマじゃやる方も大変だなァ」
 『悪漢無頼』城山 銀次(BNE004850)はリベリスタの活動として行うこの行事に、呆れすら覚える。なぜなら。
「しかもよりによって相手はあの害虫。二度と似た依頼に入ることは無いかと思っていたんだが……」
 櫻霞は自身の運の無さを嘆く。相手は人類において不倶戴天の天敵なのだ。しかも、その数は300。うんざりするのも無理はない。
「アレに対しては別に驚く程ではないが、どうも好きにはなれないな」
「あまりアレは気持ちのいいものだとは私も思いませんが、お仕事であれば、仕方ないところですね」
 『質実傲拳』翔 小雷(BNE004728)の本音に、『御峯山』国包 畝傍(BNE004948)が同意する。
 一方で、アレを見たことすらないメンバーも。
「で、嬢ちゃん達は油虫、大丈夫なのかい?」
 銀次の問いに、『トライアル・ウィッチ』シエナ・ローリエ(BNE004839)は首を傾げる。
「実はアレ、見たことなかった……かも」
 ウェールズの研究所育ちという、シエナ。ガラス張りの実験室や演習室にはアレはいなかったそうだ。
「黒いアレ……どうしてそんなに嫌われてる、の?」
 カブトムシとどう違うのと、彼女は仲間に尋ねていた。
 同じくアレを見たことがない、『ラ・ル・カーナより流れる風』フェスターレ・アルウォン(nBNE000258)の足元に近づいてきたのは……1匹のアレ。
「きゃあああっ……」
 彼女は叫んだと思ったら、すぐに意識を失う。そのグロテスクな見た目はかなり刺激が強かったようだ。
 そんなアレが通路にわらわらと現れる。突然現れた人の姿に驚き逃げるアレ、出方を待っているのかじっと動かないアレ。通路に夥しい数のアレがいる状況は、ある意味地獄絵図かもしれない。
「虫の類は割と平気だけど、黒光りするアレは正直、オレも苦手……」
「こ、こんなのは神秘でも何でもありません!」
 『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)の呟きを、『オカルトハンター』清水 あかり(BNE005013)の叫び声が遮る。誰もいない処理場内に彼女の言葉がこだました。それにびっくりし、アレがかさかさと逃げるように動き出す。
「例えエリューション化しても私は断じて認めませんよ、駆除業者に任せればいいのです!」
 マスクにほっかむり、手には手袋と、防護しまくったあかりが喚く間に、男性陣は冷静に倒れるフェスターレを見やる。
「知らなかったという事は幸せな事だったのか。不幸だったのか」
 疾風がフェスターレに声をかけるが、反応がない。
「起きてください。アレの真っ只中で寝るのは、お勧めできません」
「こんなところで気絶していたら襲われるぞ。おい、しっかりしろ」
 義衛郎が倒れる彼女へと声をかけ、小雷がその頬を軽く叩くと、フェスターレは軽く呻いて起き上がる。
「でも、ほら、虫さん……ツヤツヤできれい、かも?」
 そう促すシエナだが、わらわらと集まるアレにフェスターレは恐怖していた。
「アレが街に沸くと非常に不味いからな」
 『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)は眼前で蠢くアレを見回す。この中にはE・ビーストとなったアレが紛れているのだ。仮にアレのフェーズが進行して……。
(ジョウッ!)
 すごく遠い目をし、疾風はソフトマッチョな人型になったアレを想像する。
「汚物は消毒だ!」
 突然、彼はやる気を見せた。とはいえ、仲間達はやる気を触発されるわけもなく。
「あんなもので俺の拳を汚すことになるとは……、まぁ、四の五の言ってられんか」
「ええ、真面目にきっちりと働きましょう」
 しぶしぶ動き出す小雷に、畝傍が続く。
「うぐぐ、やらなければならないのであれば致し方ありません、やりましょう」
 あかりも一応はそう言うが、『乙女のやる仕事ではだんじてありませんよこんなの』と愚痴が止まらない。
「だらだらと愚痴を零していても仕方が無い。さっさと終わらせて帰るとしよう」
「まあ一匹残らず叩き潰す心算で頑張りますかね」
 櫻霞、義衛郎も動き出す。処理場で異常繁殖したアレを殲滅すべく、リベリスタ達は動き始めた。

●害虫駆除で西へ東へ
 一行は櫻霞の提案でメンバーを4つに振り分け、広い場内を東西南北に分かれて駆除を開始する。
「さて害虫駆除の時間だ」
 東に向かう、義衛郎、櫻霞ペア。2人はAFで他の方向に向かったメンバーと連絡を取り合いながら、アレを探す。
 通路を行く義衛郎は、足元にいるのアレを見付けて思いっきり踏み潰す。
「うへえ……」
 足に残る、半端な甲虫の感触。それが彼に嫌悪感を掻きたてる。
 かさかさと動くアレらは、人の接近を感じて通路から逃げ出す。それを、櫻霞が目で追った。
「逃がすわけにはいかん、索敵は任せてもらおう」
 櫻霞が千里眼を使って設備に潜むアレを探し出す。彼に言われて物陰を見た義衛郎は再び不快な顔をする。
「うへえ……」
 アレの数、ザッと15匹ほど。群がるアレの群れの中に2人光るアレの姿が。間違いなくE・ビーストだ。
 櫻霞がE・ビースト周辺を目がけて魔力作った業火の矢を撃ち落とす。
「身体に火がつけば見分けは可能だと思いたいな」
 一撃で燃え尽きた個体はエリューション化していなかった物で間違いない。ただ、その中で、光る個体が活動を続けている。
「被害を出さないよう注意せんとな」
 周囲の設備は現状無事だ。可能であれば、設備への攻撃は避けたいところだが。義衛郎は無数の幻影と共にアレを斬り伏せる。通常のアレは真っ二つにされるが、E・ビーストはそうもいかない。不気味に光るアレが2人目がけて飛びかかった。

 入口から西へ向かうのは疾風、小雷コンビだ。
 西側は作業員達の憩いの場……本来ならばというべきか。今や、害虫の巣に他ならない。
「黒々してるな」
 テーブルの下に、流し台に。冷蔵庫に。至る所にアレがいた。
「異常繁殖か。300とは気が滅入る数だがこれも衛生の為だ。一匹残らず駆逐する! 変身ッ!」
 幻想纏いを起動し装備を纏う疾風。ヒーロースーツに身を包む彼は、真っ先に理想の具現化を行う。
 そのそばで、小雷はホウ酸団子を撒く。食べているアレはいるが、速攻性がないこともあり、通常個体ですらもすぐに倒れる気配はない。
 ならばと、小雷は殺虫スプレーを手にし、片っ端からスプレーを浴びせかけてアレの駆除を図る。通常種にはそれなりの効果があったが、さすがにエリューションと化したアレには効果が……。
「見つけた。奴だ」
 小雷は発見したE・ビーストの姿を指すと、その身に炎を纏った疾風が飛び出す。アレはスプレーに身の危険を感じ、体を震わせて新手を呼び寄せる。
 ここぞと2人は攻撃を叩き込む。E・ビーストの放つ光が少しずつ薄くなっていくような感じがした。
「焼却処分だ!」
 E・ビースト目がけて業火を浴びせると、数体のアレが焼け焦げてしまう。
 続けて、小雷は炎が体に燻るアレへと手のひらを当てる。汚れる己の手に彼は若干顔を引きつらせながら、思いっきり気を流し込むと、そいつは瞬時に爆ぜ飛んでしまった。

 南側には、銀次、あかり、フェスターレの3人が向かう。
 あかりは行き止まりへとホウ酸団子を仕込む。速攻性がないことを彼女は認識した上で、トラップ替わりに仕込んでいた。
 次に向かう3人は、別の袋小路で蠢くアレの群れを発見する。
「わたくし、気分が……」
 起こされたフェスターレだったが、アレの姿に震えてしまっていた。
 AFで連絡をとっていた銀次。すでに他のメンバーがフェーズ1個体を2体ほど倒しているとのこと。
「まァ、終ったらなんか美味いモンでも奢ってやるからよ、頑張んな」
 愚痴をこぼしていたあかりもやる気を振り絞り、奮起して両手に殺虫スプレーを手にする。当初、殺虫剤を噴射できる重火器を造ろうとしていた彼女だが、生憎と時間がなく断念していた。
「ただの殺虫剤じゃありません、薬局でないと買えない秒殺タイプですよ」
 あかりは勢いよくスプレーを噴射する!
 悶えるアレが1体、また1体と動かなくなる。しかし、そんな中でも素早く動く光る物体が。
「ちぃっとばかし離れとけよ」
 設備がないことを確認した銀次の言葉で女性2人が離れると、銀次は黒い群れを見下ろして指差す。
「たかが虫けらの百や二百でぴーぴー言ってちゃあ極道なんてやっていけねェのよ」
 それが挑発する言葉だと分かったのか、アレが一斉に銀次に襲い掛かる!
 これぞ好機と、あかりは両手のスプレーを銀次もろとも噴射する。それでかなりの数のアレが地を這ったが。銀次が思いっきりスプレーを吸い込んでむせてしまう。
「大丈夫ですか?」
 咳込む銀次にフェスターレが駆け寄り、詠唱を行って彼へと福音を齎す。そんなメンバーを後目に、E・ゴーレムは悠々とその場から逃げ出した。

 北にはシエナ、畝傍が向かっていた。
「城山さんがスプレー塗れ……?」
 逆方向の女性2人を案じる畝傍だったが。意外にも銀次の方が大変な目に合っていたようだ。
 さて、北側もアレが蔓延っている。マスクとゴーグルを装着したシエナが缶型の殺虫剤を周囲に投げる。
「虫さん達、逃がさないのも任務だもん……ね」
 その上でシエナは窓際の隙間を粘着テープで塞ぐと、逃げ場を失ったアレ達は苦しみ悶えて倒れていった。
 同行するシエナも気遣う畝傍。現状は大丈夫とアレを探すべく熱探知を行うが、アレは変温動物。周囲の環境によって自身の体温が変化してしまう。
 全てを確認するのは骨が折れそうだ。熱探知を諦めた畝傍はかさこそと壁側に逃げ出すアレ達を見て、球状に収束させた衝撃波を敵陣に投げ込む。
 一方、シエナは魔陣をいくつも展開して魔力を高めていた。その力で呼び寄せたのは、一条の雷だ。
「構成展開、型式、極北の雷帝――composition」
 伸びる雷が壁際のアレを悉く焼き払う。立ち込める油の焦げる嫌な臭いにも構わず、シエナはまた雷を撃ち放つ。
「困ったときの、無差別爆撃……だよ」
 投げ、そして、撃つ。2人の攻撃を受け、不気味に輝くアレの光が掻き消えたのだった。

●アレを殲滅せよ!
 気力と体力を擦り減らしつつ、一行は少しずつE・ビーストを含めたアレの駆除も進める。自分の持ち回り箇所から中央へと捜索範囲を狭め、メンバー達は合流した……が。
「足りない……」
 シエナが呟く。倒したE・ビーストは東2体、西3体、南1体、北2体で計8体。他の個体も7~8割に留まっている。また、フェーズ2と思しき個体の姿も確認できていない。
 どうやら、一度訪れた場所に再度アレが湧いているようだ。ここで、ホウ酸団子は地味に効力を発揮していたが、駆除した場所に新手が湧く理由が分からず、一行は再び散開して駆除を図る。それでも、E・ビーストは見つからず、新手が湧き出していた。
 日暮れまでまだ多少の時間はあるが、討伐数を考えればさほど余裕はなくなってきていた。夜になればアレが外に出て、駆除が困難になる。被害も大きくなるだろう。
 一行に焦りの色が見え始める。畝傍の用意した地図も参考にして、壁も設備も、隅々まで探したはず。それでも見つかないということは……。
 考え込んでいた義衛郎がハッとして上を見上げる。処理場の設備は大きい。天井に届きそうな高さの設備だって多い。そこにアレが張り付いていた。
 さらに、場内の天井に張り付くアレもちらほら。その数にメンバー達は再びげんなりとしてしまう。
 ただ、その中に淡く光る敵の姿がある。メンバー達が見上げていると、そいつはエリューションの気配を消してしまう。こいつがフェーズ2の個体に間違いない。
 メンバー達は設備をよじ登り、あるいは高所から設備に乗り移ってそいつを狙う。
「こんな害虫すら革醒するとは世も末だな」
 指先を差し向け、櫻霞がアレの精神力を奪い去る。力を奪われたフェーズ2。ただ、初撃で弱る程甘い相手ではないようだ。
「直接吸血しないで済むだけマシ、そう思うことにしておこう」
 力が注入されるのを感じた櫻霞。さすがに直接吸血すると、衛生面で不安しかない。
 そこに2体のE・ビーストが現れる。ただ、新手はいずれもメンバー達が一度は合間見えていた個体のようだ。手負いながらも、主を守ろうと現れたのだろう。自身の体を覆う油をこちらへと飛ばし、別の個体が飛びかかってリベリスタ達の士気を下げてくる。
「燃えるんですかね? アレの油って……」
 油を飛ばしてくるアレを見た畝傍は試してみるかと炎を纏い、手にする長剣と共にアレの群れへと突撃する。燃え上がる油を、アレ達は器用に避けて見せる。ダメージ源とはなりえぬようだ。
「……まあ、あまり深く考えるのはよしましょうかね……」
 ともあれ、エリューションを倒さねば。害虫の親玉を見据え、彼は再び炎を纏って突撃する。
 場内にアレの油と、アレ自身が飛び交う。アレにたかられ、油まみれになるのを我慢しつつ、リベリスタ一行は1体1体を叩く。
 義衛郎は天井に張り付くアレら目がけて幻影と共に斬りかかる。光る1体が地に落ちるが、親玉は難なく躱したようだ。親玉へと次なる一撃を確実に与えるべく、義衛郎は集中を行う。
「ちょこまかとすばしっこいな」
 疾風もまた素早い親玉を狙うべく集中を行う。天井近くで飛びあがった疾風は、固まるアレを破衝双刃剣で切り刻む。
 体液を噴き出し、光が薄れるアレ。エリューションとしての力を失いながらも、そいつはこちらへと飛びかかってくる。
「嬢ちゃん達に任せんのはちと酷だろ、庇ってやるかね」
 設備に乗った銀次が飛んでくるアレを一身に受け止める。1体ならばさほどダメージにはならないが、何せ数が数だ。
 さらに、不気味に光るE・ビースト化したアレが、リベリスタ達の攻撃の手を止める。隙を見計らい、通常個体が更なる油と突撃を繰り出してくる。
「だ、大丈夫ですか……!」
 攻撃を受け止めて額から血を流す銀次。フェスターレは慌てて詠唱を始める。清らかなる存在が銀次を、そして仲間達の傷を癒す。
「こちらもいきますよ」
 あかりは銀次を気遣い、フィアキィへ銀次に力を与えるよう促す。フィアキィが淡く光り輝くと、銀次の体力気力が元に戻っていく。
 傷を癒した銀次は弱ったE・ビースト目がけ、武器の鞘を使って強かに殴打する!
 光は完全に消え、天井から落下するアレ。親玉は素早い動きでその場から逃げ出そうとした。
「逃がさない……よ」
 シエナは大きな鎌を携える。神秘の力で生み出された鎌は親玉へと振り下ろされ、その体を寸断せんとした。
 間一髪で致命傷を防ぐも、狼狽える親玉は仲間を呼び、数で攻めたてようとする。しかし、リベリスタ達は素早い親玉を少しずつ叩き、弱らせていく。
 弱ってきた親玉だが、それでも動きは速い。小雷は敵の動きを見定め、手に巻き付けたバンテージを雷の力で満たす。雷撃の拳を叩きつけると、強化されたアレの体に雷が走った。ついに黒焦げになったアレはぷすぷすと音を立て、処理場の床へと転げ落ちる。
 手に巻いたバンテージを気にする小雷。その端々まで、アレの油で汚れてしまっていたのだった。

●駆除完了!
 その後、一行は日が落ちるまで徹底的に残るアレを叩いていく。辺りが真っ暗になって、ぐったりしながら駆除する手を止めたリベリスタ達。さすがに全てのアレを駆除することはできなかったが、その数は少数。上々の結果と言えるだろう。
 暗くなった処理場内にはたくさんの虫が死んでいる。
「さすがにあの数は夢に見そうだ、考えたくはないがね」
 櫻霞の考えに、皆、賛同の意を唱える。一行は二度と場内を見ることはなかった。
 さて、駆除自体は完了したが、このままだと死臭で大変なことになる。この後はアークのスタッフによって、大規模な清掃が行われる予定だ。今回の一件で及んだ設備への被害も合わせ、処理場の復旧はまだ先になるだろう。
 とはいえ、依頼を完了したリベリスタ達にそれは関係のない話。まずは、汚れた体を何とかしたいとメンバー達は考えていた。
「早くお風呂に入りたいですね、まったく」
「うう、服がベトベトですわ……」
 あかりもフェスターレも、アレの油で汚れた服を気にする。銀次が油をタオルで拭き取りながら、そんな女性達を見て思う。
「嬢ちゃん達には後でなんか奢ってやるとするかねェ」
 何はともあれ、依頼は終了だ。
「とりあえず真っ先にやることは帰って風呂だ」
 夢に出そうなくらいのアレの群れを思い出さないように、その全てをさっぱりと水で、いや、お湯で洗い流そうと、櫻霞は考えるのであった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
STのなちゅいです。リプレイを公開いたします。

油まみれになりながらの
害虫駆除、お疲れ様でした。
完全成功とはなりませんでしたが、
大量繁殖と、崩界を防ぐことはできました。
ゆっくりと休んで英気を養ってください。

この度は参加していただき、
誠にありがとうございました!