●三防強 『三高平防疫強化施策』。 夏に向け頻発する神秘事件、こと衛生環境の悪化に絡むそれらは、リベリスタ達の精神衛生上迅速に排除されるべき案件である。 故に、三高平は毎年初夏から初秋にかけ、防疫関係の強化を図る。 それが、三防強というものだ。 ●アレって……何ですか? 「今年も、そんな季節がやってきましたね」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が資料を見つめつつ、呟く。もちろん、この場にはリベリスタ達がいるのだから、彼女は聞えよがしに語っている。 「あれですよ。私を含め、皆さんと不倶戴天の天敵、アレです」 ああ……。リベリスタの間に溜息が漏れる。皆、一度は見たことがある、カサコソ動く黒い物体。1匹目にしたら、30匹いると思えと言われるほどの繁殖力。そして、駆除しようとしてもなかなかに死なない驚きの生命力。そんな力を持つ驚異の生命体だ。 「近場のゴミ処理場でアレが湧いて出て、異様な数が繁殖してしまったそうです。どうやら、エリューション化した個体が原因とみられます」 見た目は他のアレと大差ないのが厄介だが、エリューション化した個体は他のアレと違い、身を震わせて仲間を呼び寄せたり、不気味に発光したりするようだ。ただ、フェーズ2の個体はステルスも持ち合わせる。見つけたならば、逃がさぬよう最大限注意すべきだろう。 場所は、とある場所にあるゴミ処理場だ。一般的な自治体が構える規模のもので、200メートル四方ほどの大きさだ。 その中を、大量のアレが巣食っている。処理場は開店休業状態。幸いにも昼間に作業ができるので、日の入りまでに対処できれば問題ないだろう。ただ、夜になれば、アレ達は暗い外へと逃げ出す危険性が高まる為、できる限り太陽が出ているうちに殲滅したい。 さて、その場には、『ラ・ル・カーナより流れる風』フェスターレ・アルウォン(nBNE000258)の姿があったが、彼女はきょとんとして和泉の話に耳を傾けるが、何やらううんと考え込んでいる。 「あの……アレとは、どのようなものですか?」 まさか、フェスターレはアレを知らないのかと、リベリスタ達は驚く。どうも、彼女はアークに来てからでも、アレと接点を持っていなかったようだ。 「よくわかりませんが、皆様が困っているというならば、私も尽力いたしましょう」 ……とはいうものの。アレについて知識をいまいち持たないフェスターレ。 「ところで――、アレとは、どのように湧いてくるのですか?」 無知とは罪なものである。首をかしげるフェスターレに答える者はだれ一人としていないのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:なちゅい | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年06月18日(水)23:04 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●害虫駆除の時間ですよ 昼間だというのに、全ての設備が停止された処理場内部。静まり返る場内で、かさかさと動く音だけがかすかに聞こえてくる。 「三防強、もうそんな時期が来たか」 三防強……『三高平防疫強化施策』。リベリスタ達にとっては毎年の恒例行事となりつつある。『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)はこのフレーズを耳にして、初夏の訪れを実感した。 「防疫強化施策ねェ……これ毎年やってんのか? 毎度毎度このザマじゃやる方も大変だなァ」 『悪漢無頼』城山 銀次(BNE004850)はリベリスタの活動として行うこの行事に、呆れすら覚える。なぜなら。 「しかもよりによって相手はあの害虫。二度と似た依頼に入ることは無いかと思っていたんだが……」 櫻霞は自身の運の無さを嘆く。相手は人類において不倶戴天の天敵なのだ。しかも、その数は300。うんざりするのも無理はない。 「アレに対しては別に驚く程ではないが、どうも好きにはなれないな」 「あまりアレは気持ちのいいものだとは私も思いませんが、お仕事であれば、仕方ないところですね」 『質実傲拳』翔 小雷(BNE004728)の本音に、『御峯山』国包 畝傍(BNE004948)が同意する。 一方で、アレを見たことすらないメンバーも。 「で、嬢ちゃん達は油虫、大丈夫なのかい?」 銀次の問いに、『トライアル・ウィッチ』シエナ・ローリエ(BNE004839)は首を傾げる。 「実はアレ、見たことなかった……かも」 ウェールズの研究所育ちという、シエナ。ガラス張りの実験室や演習室にはアレはいなかったそうだ。 「黒いアレ……どうしてそんなに嫌われてる、の?」 カブトムシとどう違うのと、彼女は仲間に尋ねていた。 同じくアレを見たことがない、『ラ・ル・カーナより流れる風』フェスターレ・アルウォン(nBNE000258)の足元に近づいてきたのは……1匹のアレ。 「きゃあああっ……」 彼女は叫んだと思ったら、すぐに意識を失う。そのグロテスクな見た目はかなり刺激が強かったようだ。 そんなアレが通路にわらわらと現れる。突然現れた人の姿に驚き逃げるアレ、出方を待っているのかじっと動かないアレ。通路に夥しい数のアレがいる状況は、ある意味地獄絵図かもしれない。 「虫の類は割と平気だけど、黒光りするアレは正直、オレも苦手……」 「こ、こんなのは神秘でも何でもありません!」 『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)の呟きを、『オカルトハンター』清水 あかり(BNE005013)の叫び声が遮る。誰もいない処理場内に彼女の言葉がこだました。それにびっくりし、アレがかさかさと逃げるように動き出す。 「例えエリューション化しても私は断じて認めませんよ、駆除業者に任せればいいのです!」 マスクにほっかむり、手には手袋と、防護しまくったあかりが喚く間に、男性陣は冷静に倒れるフェスターレを見やる。 「知らなかったという事は幸せな事だったのか。不幸だったのか」 疾風がフェスターレに声をかけるが、反応がない。 「起きてください。アレの真っ只中で寝るのは、お勧めできません」 「こんなところで気絶していたら襲われるぞ。おい、しっかりしろ」 義衛郎が倒れる彼女へと声をかけ、小雷がその頬を軽く叩くと、フェスターレは軽く呻いて起き上がる。 「でも、ほら、虫さん……ツヤツヤできれい、かも?」 そう促すシエナだが、わらわらと集まるアレにフェスターレは恐怖していた。 「アレが街に沸くと非常に不味いからな」 『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)は眼前で蠢くアレを見回す。この中にはE・ビーストとなったアレが紛れているのだ。仮にアレのフェーズが進行して……。 (ジョウッ!) すごく遠い目をし、疾風はソフトマッチョな人型になったアレを想像する。 「汚物は消毒だ!」 突然、彼はやる気を見せた。とはいえ、仲間達はやる気を触発されるわけもなく。 「あんなもので俺の拳を汚すことになるとは……、まぁ、四の五の言ってられんか」 「ええ、真面目にきっちりと働きましょう」 しぶしぶ動き出す小雷に、畝傍が続く。 「うぐぐ、やらなければならないのであれば致し方ありません、やりましょう」 あかりも一応はそう言うが、『乙女のやる仕事ではだんじてありませんよこんなの』と愚痴が止まらない。 「だらだらと愚痴を零していても仕方が無い。さっさと終わらせて帰るとしよう」 「まあ一匹残らず叩き潰す心算で頑張りますかね」 櫻霞、義衛郎も動き出す。処理場で異常繁殖したアレを殲滅すべく、リベリスタ達は動き始めた。 ●害虫駆除で西へ東へ 一行は櫻霞の提案でメンバーを4つに振り分け、広い場内を東西南北に分かれて駆除を開始する。 「さて害虫駆除の時間だ」 東に向かう、義衛郎、櫻霞ペア。2人はAFで他の方向に向かったメンバーと連絡を取り合いながら、アレを探す。 通路を行く義衛郎は、足元にいるのアレを見付けて思いっきり踏み潰す。 「うへえ……」 足に残る、半端な甲虫の感触。それが彼に嫌悪感を掻きたてる。 かさかさと動くアレらは、人の接近を感じて通路から逃げ出す。それを、櫻霞が目で追った。 「逃がすわけにはいかん、索敵は任せてもらおう」 櫻霞が千里眼を使って設備に潜むアレを探し出す。彼に言われて物陰を見た義衛郎は再び不快な顔をする。 「うへえ……」 アレの数、ザッと15匹ほど。群がるアレの群れの中に2人光るアレの姿が。間違いなくE・ビーストだ。 櫻霞がE・ビースト周辺を目がけて魔力作った業火の矢を撃ち落とす。 「身体に火がつけば見分けは可能だと思いたいな」 一撃で燃え尽きた個体はエリューション化していなかった物で間違いない。ただ、その中で、光る個体が活動を続けている。 「被害を出さないよう注意せんとな」 周囲の設備は現状無事だ。可能であれば、設備への攻撃は避けたいところだが。義衛郎は無数の幻影と共にアレを斬り伏せる。通常のアレは真っ二つにされるが、E・ビーストはそうもいかない。不気味に光るアレが2人目がけて飛びかかった。 入口から西へ向かうのは疾風、小雷コンビだ。 西側は作業員達の憩いの場……本来ならばというべきか。今や、害虫の巣に他ならない。 「黒々してるな」 テーブルの下に、流し台に。冷蔵庫に。至る所にアレがいた。 「異常繁殖か。300とは気が滅入る数だがこれも衛生の為だ。一匹残らず駆逐する! 変身ッ!」 幻想纏いを起動し装備を纏う疾風。ヒーロースーツに身を包む彼は、真っ先に理想の具現化を行う。 そのそばで、小雷はホウ酸団子を撒く。食べているアレはいるが、速攻性がないこともあり、通常個体ですらもすぐに倒れる気配はない。 ならばと、小雷は殺虫スプレーを手にし、片っ端からスプレーを浴びせかけてアレの駆除を図る。通常種にはそれなりの効果があったが、さすがにエリューションと化したアレには効果が……。 「見つけた。奴だ」 小雷は発見したE・ビーストの姿を指すと、その身に炎を纏った疾風が飛び出す。アレはスプレーに身の危険を感じ、体を震わせて新手を呼び寄せる。 ここぞと2人は攻撃を叩き込む。E・ビーストの放つ光が少しずつ薄くなっていくような感じがした。 「焼却処分だ!」 E・ビースト目がけて業火を浴びせると、数体のアレが焼け焦げてしまう。 続けて、小雷は炎が体に燻るアレへと手のひらを当てる。汚れる己の手に彼は若干顔を引きつらせながら、思いっきり気を流し込むと、そいつは瞬時に爆ぜ飛んでしまった。 南側には、銀次、あかり、フェスターレの3人が向かう。 あかりは行き止まりへとホウ酸団子を仕込む。速攻性がないことを彼女は認識した上で、トラップ替わりに仕込んでいた。 次に向かう3人は、別の袋小路で蠢くアレの群れを発見する。 「わたくし、気分が……」 起こされたフェスターレだったが、アレの姿に震えてしまっていた。 AFで連絡をとっていた銀次。すでに他のメンバーがフェーズ1個体を2体ほど倒しているとのこと。 「まァ、終ったらなんか美味いモンでも奢ってやるからよ、頑張んな」 愚痴をこぼしていたあかりもやる気を振り絞り、奮起して両手に殺虫スプレーを手にする。当初、殺虫剤を噴射できる重火器を造ろうとしていた彼女だが、生憎と時間がなく断念していた。 「ただの殺虫剤じゃありません、薬局でないと買えない秒殺タイプですよ」 あかりは勢いよくスプレーを噴射する! 悶えるアレが1体、また1体と動かなくなる。しかし、そんな中でも素早く動く光る物体が。 「ちぃっとばかし離れとけよ」 設備がないことを確認した銀次の言葉で女性2人が離れると、銀次は黒い群れを見下ろして指差す。 「たかが虫けらの百や二百でぴーぴー言ってちゃあ極道なんてやっていけねェのよ」 それが挑発する言葉だと分かったのか、アレが一斉に銀次に襲い掛かる! これぞ好機と、あかりは両手のスプレーを銀次もろとも噴射する。それでかなりの数のアレが地を這ったが。銀次が思いっきりスプレーを吸い込んでむせてしまう。 「大丈夫ですか?」 咳込む銀次にフェスターレが駆け寄り、詠唱を行って彼へと福音を齎す。そんなメンバーを後目に、E・ゴーレムは悠々とその場から逃げ出した。 北にはシエナ、畝傍が向かっていた。 「城山さんがスプレー塗れ……?」 逆方向の女性2人を案じる畝傍だったが。意外にも銀次の方が大変な目に合っていたようだ。 さて、北側もアレが蔓延っている。マスクとゴーグルを装着したシエナが缶型の殺虫剤を周囲に投げる。 「虫さん達、逃がさないのも任務だもん……ね」 その上でシエナは窓際の隙間を粘着テープで塞ぐと、逃げ場を失ったアレ達は苦しみ悶えて倒れていった。 同行するシエナも気遣う畝傍。現状は大丈夫とアレを探すべく熱探知を行うが、アレは変温動物。周囲の環境によって自身の体温が変化してしまう。 全てを確認するのは骨が折れそうだ。熱探知を諦めた畝傍はかさこそと壁側に逃げ出すアレ達を見て、球状に収束させた衝撃波を敵陣に投げ込む。 一方、シエナは魔陣をいくつも展開して魔力を高めていた。その力で呼び寄せたのは、一条の雷だ。 「構成展開、型式、極北の雷帝――composition」 伸びる雷が壁際のアレを悉く焼き払う。立ち込める油の焦げる嫌な臭いにも構わず、シエナはまた雷を撃ち放つ。 「困ったときの、無差別爆撃……だよ」 投げ、そして、撃つ。2人の攻撃を受け、不気味に輝くアレの光が掻き消えたのだった。 ●アレを殲滅せよ! 気力と体力を擦り減らしつつ、一行は少しずつE・ビーストを含めたアレの駆除も進める。自分の持ち回り箇所から中央へと捜索範囲を狭め、メンバー達は合流した……が。 「足りない……」 シエナが呟く。倒したE・ビーストは東2体、西3体、南1体、北2体で計8体。他の個体も7~8割に留まっている。また、フェーズ2と思しき個体の姿も確認できていない。 どうやら、一度訪れた場所に再度アレが湧いているようだ。ここで、ホウ酸団子は地味に効力を発揮していたが、駆除した場所に新手が湧く理由が分からず、一行は再び散開して駆除を図る。それでも、E・ビーストは見つからず、新手が湧き出していた。 日暮れまでまだ多少の時間はあるが、討伐数を考えればさほど余裕はなくなってきていた。夜になればアレが外に出て、駆除が困難になる。被害も大きくなるだろう。 一行に焦りの色が見え始める。畝傍の用意した地図も参考にして、壁も設備も、隅々まで探したはず。それでも見つかないということは……。 考え込んでいた義衛郎がハッとして上を見上げる。処理場の設備は大きい。天井に届きそうな高さの設備だって多い。そこにアレが張り付いていた。 さらに、場内の天井に張り付くアレもちらほら。その数にメンバー達は再びげんなりとしてしまう。 ただ、その中に淡く光る敵の姿がある。メンバー達が見上げていると、そいつはエリューションの気配を消してしまう。こいつがフェーズ2の個体に間違いない。 メンバー達は設備をよじ登り、あるいは高所から設備に乗り移ってそいつを狙う。 「こんな害虫すら革醒するとは世も末だな」 指先を差し向け、櫻霞がアレの精神力を奪い去る。力を奪われたフェーズ2。ただ、初撃で弱る程甘い相手ではないようだ。 「直接吸血しないで済むだけマシ、そう思うことにしておこう」 力が注入されるのを感じた櫻霞。さすがに直接吸血すると、衛生面で不安しかない。 そこに2体のE・ビーストが現れる。ただ、新手はいずれもメンバー達が一度は合間見えていた個体のようだ。手負いながらも、主を守ろうと現れたのだろう。自身の体を覆う油をこちらへと飛ばし、別の個体が飛びかかってリベリスタ達の士気を下げてくる。 「燃えるんですかね? アレの油って……」 油を飛ばしてくるアレを見た畝傍は試してみるかと炎を纏い、手にする長剣と共にアレの群れへと突撃する。燃え上がる油を、アレ達は器用に避けて見せる。ダメージ源とはなりえぬようだ。 「……まあ、あまり深く考えるのはよしましょうかね……」 ともあれ、エリューションを倒さねば。害虫の親玉を見据え、彼は再び炎を纏って突撃する。 場内にアレの油と、アレ自身が飛び交う。アレにたかられ、油まみれになるのを我慢しつつ、リベリスタ一行は1体1体を叩く。 義衛郎は天井に張り付くアレら目がけて幻影と共に斬りかかる。光る1体が地に落ちるが、親玉は難なく躱したようだ。親玉へと次なる一撃を確実に与えるべく、義衛郎は集中を行う。 「ちょこまかとすばしっこいな」 疾風もまた素早い親玉を狙うべく集中を行う。天井近くで飛びあがった疾風は、固まるアレを破衝双刃剣で切り刻む。 体液を噴き出し、光が薄れるアレ。エリューションとしての力を失いながらも、そいつはこちらへと飛びかかってくる。 「嬢ちゃん達に任せんのはちと酷だろ、庇ってやるかね」 設備に乗った銀次が飛んでくるアレを一身に受け止める。1体ならばさほどダメージにはならないが、何せ数が数だ。 さらに、不気味に光るE・ビースト化したアレが、リベリスタ達の攻撃の手を止める。隙を見計らい、通常個体が更なる油と突撃を繰り出してくる。 「だ、大丈夫ですか……!」 攻撃を受け止めて額から血を流す銀次。フェスターレは慌てて詠唱を始める。清らかなる存在が銀次を、そして仲間達の傷を癒す。 「こちらもいきますよ」 あかりは銀次を気遣い、フィアキィへ銀次に力を与えるよう促す。フィアキィが淡く光り輝くと、銀次の体力気力が元に戻っていく。 傷を癒した銀次は弱ったE・ビースト目がけ、武器の鞘を使って強かに殴打する! 光は完全に消え、天井から落下するアレ。親玉は素早い動きでその場から逃げ出そうとした。 「逃がさない……よ」 シエナは大きな鎌を携える。神秘の力で生み出された鎌は親玉へと振り下ろされ、その体を寸断せんとした。 間一髪で致命傷を防ぐも、狼狽える親玉は仲間を呼び、数で攻めたてようとする。しかし、リベリスタ達は素早い親玉を少しずつ叩き、弱らせていく。 弱ってきた親玉だが、それでも動きは速い。小雷は敵の動きを見定め、手に巻き付けたバンテージを雷の力で満たす。雷撃の拳を叩きつけると、強化されたアレの体に雷が走った。ついに黒焦げになったアレはぷすぷすと音を立て、処理場の床へと転げ落ちる。 手に巻いたバンテージを気にする小雷。その端々まで、アレの油で汚れてしまっていたのだった。 ●駆除完了! その後、一行は日が落ちるまで徹底的に残るアレを叩いていく。辺りが真っ暗になって、ぐったりしながら駆除する手を止めたリベリスタ達。さすがに全てのアレを駆除することはできなかったが、その数は少数。上々の結果と言えるだろう。 暗くなった処理場内にはたくさんの虫が死んでいる。 「さすがにあの数は夢に見そうだ、考えたくはないがね」 櫻霞の考えに、皆、賛同の意を唱える。一行は二度と場内を見ることはなかった。 さて、駆除自体は完了したが、このままだと死臭で大変なことになる。この後はアークのスタッフによって、大規模な清掃が行われる予定だ。今回の一件で及んだ設備への被害も合わせ、処理場の復旧はまだ先になるだろう。 とはいえ、依頼を完了したリベリスタ達にそれは関係のない話。まずは、汚れた体を何とかしたいとメンバー達は考えていた。 「早くお風呂に入りたいですね、まったく」 「うう、服がベトベトですわ……」 あかりもフェスターレも、アレの油で汚れた服を気にする。銀次が油をタオルで拭き取りながら、そんな女性達を見て思う。 「嬢ちゃん達には後でなんか奢ってやるとするかねェ」 何はともあれ、依頼は終了だ。 「とりあえず真っ先にやることは帰って風呂だ」 夢に出そうなくらいのアレの群れを思い出さないように、その全てをさっぱりと水で、いや、お湯で洗い流そうと、櫻霞は考えるのであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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