●五分の魂 世界最小の軍隊。 それはハタラキアリの群れ。 ちょうど今御誂え向きに、とある公園で列を成す、エリューションとなった蟻軍団がいる。 その統率の取れた行動様式たるや、まさに陸軍精鋭部隊。 ただ遠目からではその美しいフォーメーションが全く見えないのが難点だ。 そもそも近くで見てもミクロすぎて何がどうなってるのかよく分からない。 しかし当事者達はノリノリである。 「この平原地帯は我々が制圧した!」 「アリリリリィィィー!」 とか虫語で叫んだとか、なんとか。 ●時には少年の気持ちで するる、どすん。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が滑り台と戯れていた。 真顔で。 「……楽しいですか?」 「それなりに」 もちろん本格的な遊具ではなく、小さい子供が遊ぶ家庭用のやつだ。 「こんな感じで」 十三度目の登って降りる一連のルーティンを終えて、イヴはスカートに付いた埃を払いながら言った。 「遊んでる間に、成り行き任せで済ませたんでいいと思う。狙い付けるの難しいし、面倒だし」 蟻が革醒したと聞いて、巨大化した集団が酸を撒き散らかしているピンチな感じを想像したのだが、どうやら違うようで逆に元のサイズより縮んでいるとのこと。 機能性を突き詰めた結果コンパクト化が進むのは現代機器だけではないらしい。 「特殊な外骨格が発達してて、上から踏み潰さないと死なないみたい。だから武器を振り回すより足の裏のほうが断然強いわ」 要するにダイヤモンドは傷付きにくい代わりにハンマーで砕けるのと似たような理論だ。 多分。 「じゃあ後はよろしく」 そう言ってイヴはまたいそいそと滑り台の階段を登り始めた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:深鷹 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年06月16日(月)22:08 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●梅雨なんてなかった だって清々しいくらいに晴れているんだもの。 「わあ、いい天気だねっ!」 日当たり良好、風も穏やか。 『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)が気持ちよさそうに伸びをする。 「まこももうこんなのにはしゃぐ歳じゃないけど……お仕事だもんねっ! うんうん!」 てな具合に遊ぶ口実を述べつつも、ブチ模様の尻尾を左右にぴこぴこと振って内心嬉しそうにしている辺りが、所謂まこにゃんきゃわわというやつである。 「だけど、蟻を潰すと雨が降るって言うよね……もし本当だったら明日は嵐になっちゃうよ」 革醒した蟻がいるらしい地面を見遣りながら『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)がほんの少し懸念めいたことを呟くが、そんなことはお構いなしに此度の依頼を満喫している少女もいた。 「公園で自由に遊ぶおしごと! なんて楽しいお仕事なのでしょうか! 全制覇を目指すですぅ!」 きらきら輝くエメラルドの瞳で、何の変哲もない公園を素敵な御伽の国みたく見渡す『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454)は、さながら夢見るお姫様のよう。 「蟻さんもみなごろししなきゃなのですっ! この世は弱肉強食なのですぅ、強い蟻さんなんて目障りですぅ! フゥーハハハ!!」 でも続く言葉は完全に魔王だった。 ロッテの黒い部分を垣間見たところで、早速エリューション殲滅任務という名の自由時間スタート。おじさんの年季の入った強結界のおかげで、園内は非常に安心かつフリーダムでリラクゼーションな感じの空間に仕立てられていた。 「あ、一応言っておこっと。イタダキマス!」 集合地点の広場にて、動きやすい半袖ハーフパンツの体操服に身を包んだ『アクスミラージュ』中山 真咲(BNE004687)がお決まりの挨拶を口上するが、ぶっちゃけここに来るまでに既に何匹か踏み潰している。 そして屈んでスニーカーの紐を結び直し、走り回る準備は万端。 「ボク、こんなふうに外で遊ぶことってあんまりなかったから、色々教えてほしいな!」 「それならあれで一緒に遊ぶのですぅ!」 ロッテが指差したのは、私が遊具の王ですとでも誇らんばかりに目立つ位置に堂々鎮座している、球状の回転するやつ(俗称)。 「わたし、これ大好きだったのに消えちゃってショックだったのです! 今日はこれで遊ぶのですぅ~!」 「わ、これ懐かしいなぁ。あひるもグルグル回して遊ぶーっ!」 この物体を見るのが初めてだった真咲も、あひるの言葉で遊び方を大体理解したらしい。 「へえ、回せばいいのかぁ。よーし、それじゃあボクが思いっきり回すね!」 「真咲様が回してくれますか~!? やったー! お願いするのですぅ!」 「はっ、了解であります!」 回るやつ(略称)の頂点に登ったロッテに向かって敬礼する、無垢な笑みの真咲。 もっとも指の先をこめかみの辺りに当てるよくあるアレではなく、肘を直角に曲げて拳を胸の前に翳す特殊部隊式のソレだったので、なんというか色々と生い立ちを感じさせる仕上がりになっていた。 「いくよロッテ隊長!」 格子の一端を掴んで、全力疾走。加速しながらぐるぐるぐるぐると周回する。もちろんその瞬間にも、足元で蟻は死んでいた。 「てっぺんは眺めが抜群ですぅ! やっぱこの遊具最高ですぅ~!」 久々のスリリングな爽快感と景色にご満悦のロッテ。 「回して回して、飛び乗るのが楽しいんだよ」 と、あひるが脇からプロの意見を授けると、言われるがままに真咲は回るやつ(略称)に飛びついた。 未曾有の疾走感にテンション上がり気味の真咲は、思いつきで足を離して手だけでぶら下がってみる。 「凄い凄い! これ、手も離したらどうなっちゃうんだろう?」 危険。 「うきゃー!?」 試してみたら案の定豪快に吹っ飛ばされ、PTAの方々が見たら卒倒しそうな光景が展開された。 「あはははは、これ楽しい!」 けれども当の本人は満更でもない様子。むしろけらけらと笑っていて愉快そうだ。吹っ飛んできた真咲に踏み潰された蟻にとっては不愉快だった。 「大丈夫ー? 怪我してない……?」 「平気だよ! 特別な訓練を受けたリベリスタだからね!」 倒れた身体を跳ね起こす。その反動でまた蟻を踏んだ。返す刀とはまさにこのこと。 「お返しで回してあげるのですぅ! 最高速度でグルグルですぅ~!」 ロッテが自信満々に降りてきたところに。 「ねえねえ! ブランコで、誰が一番靴を遠くまで飛ばせるか勝負しようよ!」 真独楽が漕ぎ始めると、慣性と遠心力によって、ブランコはどんどん半円に近い軌道になる。 そのエネルギーを借りて真独楽が放った靴は、美しいアーチを描いて見事に彼方へと飛んでいった。飛んだ先で何匹もの蟻が靴の衝撃に耐えかねて死滅していた。スキルでいうとA:物遠範だった。 「まこの距離、誰か抜けるかな?」 回転ジャングルジム(正式名称)に群がっていた面々に向けて挑発的にウィンクし、三人が負けるもんかと意気を高くして近寄ってくるのを眺めると、なんだか楽しさが膨らんでいくのを感じた。 事案が発生していた。 たまたま散歩中で付近を通りがかっていた『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)が、真独楽の姿を発見するや否や呼ばれてないのに公園に侵入してきていたのである。 愛の力でおじさん謹製の強結界をべりべりと引き破り(注・イメージ映像です)、物陰に隠れてまこにゃんウォッチングという名のストーカー行為を開始。 「ああん、元気に遊んでるまこにゃんも可愛いわぁ。天使、そう天使ね。どうしてそんなに天使なの」 蕩けるような眼差しで真独楽を見つめる。 「はっ、まこにゃんこっち見た? いやあああん、きゅわいいいいい!」 どうやら視線を感じたらしい。 それが一緒に遊ぶ仲間宛のウィンクであるという事実は、杏本人に知る由もない。 「でもダメ! 今日は見つかってはいけないプレイをするってアタシ決めたの! 移動よ移動!」 もう普通にプレイとか口走っているので軽犯罪の部類なのだが、何はともあれ匍匐前進で植え込みの影から影へと渡り歩く杏。 「しかしやたら蟻がいる気がするわね……ま、どうでもいっか。今はまこにゃん優先よ。別に今でなくても常にまこにゃん優先だけど。ふっ」 その後、杏が這った道筋は、生存した蟻達の間で死の川と呼ばれたらしい。 ●おとなもこどももおねーさんも まあとにもかくにも晴天なので、暖かい陽気に乗せられて西銘 夕希(BNE005002)が滑り台に寝そべり昼寝をしたくなるのも仕方ない。 寝返りを打つたびに滑り台からはみ出た足が襲い掛かってくるので、近辺に陣取っている蟻からすれば見逃せる問題ではない。 「みんな元気ねぇ。私も十歳、いや二十歳ほど若ければ……虚しい仮定だったわ」 白木のベンチに腰掛けて黄昏ているのは、どこか疲れた表情の小島 ヒロ子(BNE004871)。 本音を言うと、ヒロ子は蟻が嫌いではない。どころか、親近感めいたものを抱いていた。 朝と夜の境目も忘れてしまうほどに長時間の働き詰めで、ハタラキアリの一生と比較しても、そう変わりはないように思える。 「民間社員時代を思い出すなぁ……あの頃はこんなふうに、お天道様の下で公園でのんびりなんて、絶対にありえなかったなー。お弁当持ってきたらよかった」 そうすればせっかくの昼下がりの午後をもっと堪能できたのに、と自嘲するヒロ子。 「はああああああああ、どうしてカメラ持ってこなかったのかしら! 今この瞬間この一瞬を余さず撮り溜めてしまいたいのに!」 どこかで誰かが何かをぼやいているのが聴こえたような気がしたが、多分幻聴だろう。 蟻っていうくらいだし、とヒロ子はポケットからキャンディを取り出して、地面に置いてみる。甘い匂いに誘われてやってきた微細な蟻の行列を、機械化により発達した眼球で捉えた。 「引っかかったなー! 世の中そんなにおいしい話はないの!」 ヒールでぷちぷちぷちっとな。 「働き続ける一生から解放してあげるわ。過労死よりは全然いいわよ……どっちにしても不思議と労災は下りないからね……フフフ」 含蓄のある言葉だった。ぎっこんばったんシーソーで遊んでいる純真なロッテや真独楽らが知らない暗黒の世界を見てきた者の目である。とても恐い。 瑞々しい十代の少年少女がきゃっきゃやってるよそで、健康な成人男性である碓氷 凛(BNE004998)はグラウンドを走りながら葛藤していた。外見上は自分も十代なのだが、流石にこの実年齢で無邪気に振る舞うのはきつい。 「これで敵が倒せるというのもある意味凄いんだろうが……深く考えたら負けだな……」 遊んでるだけ、しかし着実にエリューションは駆除できている。結果に現れている以上仕事になるのは間違いないのだが、やってることは遊びである。 どことなく哲学だった。そして当然哲学してる間にも定期的に蟻は死んでいた。 「ふう、大分走り回ったな……汗だくだ。六月にもなると夏の気配を感じるぜ」 休憩がてらベンチに腰を下ろして、箒片手に暇つぶしに掃除している用務員のおじさんを呼ぶと。 「用務員さん、水分補給を頼めるかな」 「まこも!」 「あひるも!」 「ボクも!」 「わたしも欲しいですぅ! オレンジジュースがいいのですぅ~!」 凛の一言を皮切りに、皆が矢継ぎ早に手を上げた。 しかしおじさんは自動販売機=110円の時代で止まっているので、130円になってしまっている現状に適応できておらず持ってくる小銭の見積もりを誤っていた。 「オジサンにばかり任せてちゃ申し訳ないわ。オトナ仲間として、半分こしましょ」 すかさずヒロ子がフォロー。正直飲み代の割り勘ってのをやりたかったのが七割だった。 (飲む時はいつも一人だものね……) まあ今回の場合単なる缶ジュースな訳だが、若い子達と席を囲むのも、それはそれで悪い気はしない。 夕希もコーヒーと聞いては黙ってられない。砂糖とミルクがどかーん入った甘々のコーヒーを口に運ぶ。 「……おいしい」 「うんうん、コーヒーはやっぱり甘いほうがイイよねっ!」 お菓子持参の真独楽もよく冷えたアイスカフェオレで一服。しょっぱいスナック菓子から甘いチョコレートまで各種取り揃えており、更に皆で分け合うと美味しさも倍々ゲームだ。 コーヒー好きの凛も同様に、受け取った缶コーヒーをベンチに座って味わっていたのだが。 「……昼間っから公園のベンチで缶コーヒーって、失業者みたいだな……」 さっきから考えれば考えるほど泥沼なので、邪念を振り払うべくトレーニング再開。 足の着かない一番高い鉄棒に掴まって、懸垂したり、半回転から倒立したりで創意工夫を凝らしながら鍛えていた凛だったが、突然ぴたりと静止して。 「でも、これだと敵が踏めていないような気もするな……」 どうやらこの世の真理に到達してしまったらしい。そんなことないよと訴えんばかりに蟻は凛の着地と同時に潰れていた。 トレーニング感覚で遊具を使っていたのは、何も彼だけではない。 「修行なのです! いっくぞー!」 黒ずまないようにお気に入りのスニーカーを脱いで、裸足でハーフカットのタイヤを飛び回る真咲の姿が見える。ずらっと縦に並んだタイヤをジャンプして往復すると、今度は一段飛ばし、更には二段飛ばし、ついには三段飛ばしと、跳躍距離の限界に挑んでいた。蟻は脱ぎ捨てたスニーカーの下敷きになっていた。 「四段にも挑戦するぞ……えーい!」 足の指先でタイヤの縁をしっかりとグリップし、持てる膂力を振り絞って、勢いよく跳ね上がり――無事成功。ぺちぺちと砂の城を作っているロッテに向けて真咲はガッツポーズを送った。これは速度200オーバーなら助走なしでのタイヤ四段飛ばしが可能という意味で参考にしていただきたく思う所存である。 「ロッテは何作ってるの? お城作り、あひるも混ぜてっ!」 砂場にやってきたあひるに、ロッテは弾けるような笑顔を見せた。 「あひる様、ここにトンネル作るので、そっちから掘っていってほしいのですぅ!」 「任せてっ! あひる鈍臭いけど、手先は器用なんだよ」 城の形を崩さないように、慎重に慎重に相互に掘り進めていくと、やがて、ロッテの手にあひるがぎゅっと握り返す感触が伝わった。暖かく、そしてこの上なく優しい手触りだった。 「届いたぁ! 開通工事かんりょーですぅ! あひる様と作れてご機嫌なのですぅ!」 拾った小枝で、砂の城に名前を書くロッテとあひる。 「ステキなお城だね。ロッテがこのお城のお姫様なら、あひるは王子様になっちゃおうかな……?」 「え、えへへ。これがわたしたちの、愛のお城なのです……」 とてもいい雰囲気なので、彼女達の足元に多量の蟻の死骸が転がっていることは黙っておこう。 二人に幸あれ。 ●サウザンドアーミー 「皆で一緒に遊べるようなこと、何かないかな……?」 「じゃあ、『おにごっこ』や『だるまさんがころんだ』はどう? いろんな場所を走り回ったほうが効率よく蟻もやっつけられるしね」 原案あひる、具体案真咲で始まったおにごっこ大会は、予想外に熾烈だった。 「逃げるより追い掛け回す方が得意なんでね」 と、率先して鬼役を名乗り出た凛が、その話しぶりどおりに獲物を狙うハンターの身の捌きで逃げ惑うリベリスタ一同を追い立てる。言うまでもなく、副次効果で蟻は死んでいる。 「にんぽう、かわりみのじゅつ! ロッテ隊長ごめんね!」 ロッテを前に出して囮にし、真咲は難を逃れた。あっさり部下に裏切られた隊長、憤慨の顔つき。 「許さんのですぅ! うおおお、待つのですぅー! 死の果てまで逃がさんのですぅ!」 地味に足の速いロッテが猛ダッシュを仕掛ける。ジャングルジムを挟んだ攻防が熱い。 「うわぁん……! ひえっ……こっちきちゃやだよ!」 走るのが苦手なあひるにとって、このレクリエーションはシマウマの気持ちにしかなれなかった。こそこそと草木に隠れてやり過ごそうとする。それがいい感じに潜んでいる蟻を踏み潰す行動になっていた。 だがしかし、関係ないのに草木の陰に隠れている人もいる訳で。 「画素数が粗いのはこの際我慢……汗を流すまこにゃんを激写するわ!」 スマートホンのカメラ機能を駆使して撮影しまくる杏。慣れた所作でスピーカーを指で塞ぎシャッター音を漏らさないようにしている辺り、明らかに初犯ではない。 「むむむ、あの子も悪くないわ」 鬼に追われてオロオロしている姿が、杏の少年ラブなハートを刺激してしまっていることを、決して夕希は知るべきではない。絶対。無論。極力。 「でもやっぱり一番はダントツでまこにゃん! はあ、走ってる姿もかわいいわぁ。あの美しい足で踏まれたい……」 じゃあ変わってくれよ。蟻の魂の叫びは人間である杏には届かない。 「これ、明日筋肉痛必至だわ……」 元気一杯に走り回る若者らを、膝に手をつき息を切らして眺めるヒロ子の目には、羨望というか諦観というか、とにかくそういった複雑な感情が入り混じっていた。 「はい! だるまさんがころんだにしましょう。最初の鬼は私がやるから!」 聴力に自信ありのヒロ子が提案すると、だるまさんがころんだ大会に切り替わったのだが、正直ヒロ子は強すぎた。聴力どころか五感全てが敏感すぎるので、誰も背中をタッチすることが出来ずじまい。 「もう! 大人気ないよー!」 逆に真独楽は弱かった。緊張すると尻尾がぴくぴく動くせいで簡単にアウト判定を喰らっていた。 「一番近くにいるのはあひるさん……でも、ボクは限界に挑むよ! 一番遠くの夕希さん狙いで!」 真咲が鬼になると自分との勝負が同時に開幕する。そのため、凄く長期戦。こんなゲームだったっけ。 そしてロッテが忍び足で一歩進んだところで。 「あ」 見守っていた用務員のおじさんが、唐突に声を漏らした。自然と全員がそちらに集中の目を向ける。 「今のでエリューション全滅したよ。確認が取れた」 おじさんはイーグルアイの上位ともいえるEX非戦スキルを持っていた。 「あっ、そういえばこれってそういう依頼だったね……すっかり忘れてた。だけど、せっかくだし……このまま夕方まで、時間の許す限り、めいっぱい遊んでこうよっ♪」 ●カラスが鳴くから帰ろう そんなわけで、本当に夕方まで遊んでしまった次第である。 「俺も明日は筋肉痛かもしれん……」 想定外の運動量にくたくたになって、首に掛けたタオルで噴き出た汗を拭う凛。 二十代の凛でこれなのだから、三十代のヒロ子が現在どうなってるかはノーコメントで。 一方、十代の面々はいつまで経っても元気なものだ。疲労にも心地よさがある。若さって素晴らしい。 「ゴチソウサマ。あー、楽しかった!」 「たくさんあしょんだのですぅ! またあしょぼ~ね!」 「うん、また遊ぼうね」 何はともあれ、ここに集ったリベリスタ達によって公園内のエリューションの殲滅は成った。 その功績に多大なる感謝を示して。 ありがとう。 そして命の尊さを教えてくれた蟻達に。 ありがとう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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