●つまりグラップラー殺しみたいな意味なの? 「俺の名はグラコロ……グラコロ・パウンダー。俺より強い奴に会いに来た」 そう言って、モヒカンにサングラスかつトゲつき肩パッドの半裸ジーンズ男がスタバのカウンターに立った。 「それで、ご注文は何にいたしましょうか」 「あ、なんか甘い奴で」 「ただいまチャンキークッキーフラペチーノがお勧めですが」 「クッキーかあ……もっとチョコレートみたいなのありませんか?」 「ではホワイトホットチョコレートなどいかがでしょう」 「へー、何が入ってるの?」 「ホワイトモカとスチームミルク。それにホイップクリームです」 「わーっ、おいしそう! このタンブラーにお願いします!」 グラコロさんことモヒカン男はカワイイしろくまちゃんの描かれたタンブラーを店員に渡すと、彫りの深い劇画調(世紀末覇者の知り合いみたいな顔)で商品受け取りカウンターの前に立った。 そんな彼の肩をぽんと叩く男ありけり。 「貴様、こんな所でナァニをやっている……!」 「あ、兄者!」 ハッとして振り返るグラコロ。 彼のすぐ後ろにはドクロのような鉄仮面をつけた男が立っていた。 素肌に直接ライダージャケットを羽織り、胸にはまがまがしい傷が残っている。 「パウンダー一族とあろうものが黄色い声など情けない。例の件はどうなったんだァ?」 「そ、それは……」 ぐいぐいと肩越しに顔(もとい仮面)を近づけてくる兄。 仮面の側面には『テリタマ・パウンダー』と掘られていた。彼の名前である。 「日本で勢力を広げているという『灰汁』とかいう悪党どもだ。俺たち兄弟の手でひねり潰してやァる!」 「そうだな兄者! 俺たち兄弟にかかれば『灰汁』とかいう鍋を煮込む際に出てくる邪魔者みたいな連中はこてんぱんにしてやれるぜ!」 「ヒャハハハハハ!」 「ヒャーッッハーッ!」 と、そこへ! 「ホワイトホットチョコレートとチャンキークッキーフラペチーノのお客様ー」 シロクマちゃんとウサギちゃんの書かれた二つのタンブラーを持った店員が現われた。 「わーいチョコレートだー!」 「クッキーだー!」 二人はそれを大事そうに抱えると、静岡の町へとスキップしながら繰り出して行ったのだった。 ●テーレッテー! 「やめろよ、北斗三兄弟っていうのやめろよ!」 アイワ ナビ子(nBNE000228)がなんかの愛蔵版漫画に向けてすげえキレていた。 そんなナビ子が説明したところによると、なんかアークを『悪の組織』と勘違いしたリベリスタが挑戦状を叩き付けてきたのだそうだ。 うちは悪の組織じゃありませんよって言ってんのに彼らは『自分で悪(アーク)って名乗ってんじゃねーか嘘つくんじゃねーぞヒャッハー!』といって聞かないそうだ。 どうしようかマジで困ったので、ここは一つアークのリベリスタに丸投……じゃなくて一任してみようかということになったのだった。 「やめろよ……三男だって拳法使えるんだよ……やめてさしあげろよ……」 彼らをどうするかは君たち次第だ。 どうか、よしなにたのむぞ! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年06月07日(土)22:58 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●グラコロテリタマときたらあとはツキミ。詳細不明。 中盤以降のやりとりをお楽しみ頂くため、前置きの会話をあえてサウンドオンリーでお送りします。 「アーク、アク、灰汁……悪の組織。嫌いじゃ無いわねその発想」 『……そう?』 「ふむ、悪をご所望というならば、相応に振る舞うもやぶさかでは無いぞ?」 「そこはやぶさかっておいてよ! アークは色々アレだけど、名目上は正義の組織だから!」 「めいもくじょう? さおりんが作った組織を悪と勘違いするほうがとんでもないのです。天誅を……と思ったけどそのやり方だとアークの印象悪いのです」 「まあ根は悪い人じゃなさそうですし」 「見た目の割にカワイイとこあるし」 「フラペチーノにバナナ入ってるやつは素敵だと思うし」 「あと地味にミルクコーヒーの質が高いですし」 「でもチャンキークッキーのカロリーは死を覚悟するレベルだし」 「それを言ったらワイハのキャラマキなんて……」 「ストップストップ、スタバの話にすり替わってる!」 『とにもかくにも、まずは接触……ということかしら』 「そうそれ」 「あっンなこと言ってる間にちゃっかり女装させられている!」 ●この前ヒールはいてダンレボしてたミニスカ女性がいた。うまくて度肝抜かれた。でもやめて。 『谷間が本体』シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)は斜めドラム式洗濯機をなでなでする音ゲーをやりつつ、ディスプレイカバーに反射した店内の様子を見つめていた。 ハイチーズというギャルギャルしいSEの後に、屈強でトゲトゲした世紀末兄弟(グラコロとテリタマ)がプリクラ筐体の撮影室から出てくるところを、である。 ちなみに『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)はクレーンゲーム機のぬいぐるみに混じってこっそり様子を見ていた。 筐体の裏側に回った世紀末兄弟は、『わーネコちゃんのスタンプがあるー!』とか言いながらお絵かきに興じていた。 と、そこへ。 「すいません、これってどうやって撮るんですか?」 どこかなよっと、そしてくねっとした仕草で雪白 桐(BNE000185)が問いかけてきた。 「「なぁにィ!?」」 血走った目で、アシンメトリーに振り返る世紀末兄弟。 そこには桐だけでなく、藤代 レイカ(BNE004942)と『ぴゅあわんこ』悠木 そあら(BNE000020)も一緒だった。女の子三人組である。女の子三人組である。誤字や見落としはない。 三人の姿を目に焼き付けた世紀末兄弟は、一度顔を見合わせた。 「兄者……」 「分ァかってる。救いを求めてきたなら誰であろうと手をさしのべるまァでよ」 兄弟はウムと頷き会うと、親指で撮影室を指し示した。 「来ィやがれ! 俺様がプリクラに映るカワイイポーズを教えてやァる!」 その後、女の子三人組プラス世紀末兄弟は『扇の陣』や『逆富士の陣』、『舞鶴の陣』などのプリクラにおけるカワイイ写り方を連続で試し、グラコロたちのプリ帳にシールを交換した。 別にプリクラ手帳とか持ってないのでテキトーなやつにちょきちょきぺたーしつつ、そあらはプリクラの一枚を見た。 「意外とフツーに映ってるのです。最近のプリクラって何でも目を大きくしちゃうって聞いたからちょっとキモイなって思ってたのです」 「設定でオフにできるからな。むしろ上級者は自ら『ぱっちりメイク』を施して写る。立体感や光沢が自然になるからな。あと美白効果をわざとオフにして頬のチークを強調するテクニックもある」 「……なんだか無駄に勉強になるのです」 一方でレイカは頬杖をついてプリントされたシールを携帯電話に転送していた。最近は赤外線でちゃちゃっと転送できちゃったりするのでビビる。 「へー、そうなんだ。あたし、あんまりゲーセン来たこと無いから知らなかったわ。あ、じゃあUFOキャッチャーは? あれなら初心者でも」 「やめておけ」 「えっでもクレーンでガッてやるだけでしょ?」 「クレーンゲームは札束で札束を買うゲームだ、やめておけ」 一万円と三時間を投入してゲットしたフィギュアをヤフオクで八千円にして売るという。時として十万円ほど使い込み、戦利品を売って十万円に戻すという謎の錬金術をする者もいる。ちなみに実話である。より詳しいことを言うと、一定確率で停止位置にブレを生じさせたり、アームの力を調節する設定が存在し、お店の入り口付近にあるやつは大抵アームゆるゆるだったりする……と、昔ゲーセンでバイトしてた人が言っていた。 そこへ、いつの間にかさらっと合流していた『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)が親指でくいくいっとビデオゲームコーナーを示した。 「ねーねー格ゲーしよーぜ。マベさんとカプさんがヤるやつ」 「格闘だとゥ!?」 相手を見下すようにぐっと胸を反らすテリタマ。 そして。 「じゃあ俺様トロっちゃん!」 「ワタシはキャップー!」 二人してヒャッハー言いながら筐体にコイントス。 そんな姿を見守りつつ、同じくさらっと合流した『ラビリンス・ウォーカー』セレア・アレイン(BNE003170)とシルフィアがグラコロにアイコンタクトをした。 「じゃああたしらは音ゲーやっとく? なじみのあったら……」 「ポップンだな」 「なんであなたたちって顔と中身がちょくちょく一致しないの?」 「いや……ダンスマニアックスも得意だ」 「設置してないわよそんな突き指ゲー」 というわけで連れだってダンエボに歩いて行くグラコロたち。 ゲーセンというのは変な空間で、知り合いがいつのまにかサラッと合流してても不思議じゃ無い空気が流れている。 そんな空気も助けてか、彼女たちは暫く一緒に遊んだのだった。 で、もって。 ゲーセン帰りにスタバによろーぜみたいな話をしつつ歩いていると、道ばたに『蒼碧』汐崎・沙希(BNE001579)が座っていた。 都会のストリートなんかによくいる似顔絵屋だとかアクセ売りだとか、ああいうノリの座り方である。 ちなみにこういうのにもショバ代やサークルがあって、認められた人しかその場に立てない仕組みができている。どうやって沙希がここに滑り込んだのか、それは本人にしか分からぬことである。というかこの人が一般人と日常会話してる風景を想像できない。なぜかって……。 『そこなあなた』 歩くグラコロたちに沙希が念話で話しかけてきた。 念話といってもマスターテレパスなので相手の認証を通さないと送信できないのだが、その辺はなあなあである。下位互換のテレパスなら認証無しで行けるし。むしろ行けてくれ。 『似顔絵を、書かせてくださいな』 「……」 黙って見返していると、横でちょこんと正座していた『Average』阿倍・零児(BNE003332)が若干必死な目でグラコロたちを見た。 「あの、どうしてもとまでは言わないですから、ちょっと僕……いや、れーこたちも混ぜてくれませんかぁ?」 どうしようか迷う場面だが、セレアたちが『この子らあたしのツレ』と言ったので道中に加えることにした。 ちなみに御厨夏栖斗は電信柱に隠れてこっそり様子を見ていた。 ●スタバ店員の優しさはすごい こうして、彼女たちはスタバのテラス席で優雅にカフェタイムを楽しんでいた。 話題といえばカフェやスイーツやチャームグッズのことばっかりだった。このまま放って置いたら『楽しかったー、じゃーねバイバーイ!』と言って分かれそうでハラハラした……が、結論から言うとその心配はいらなかった。 グラコロが、カフェラテをテーブルにおいてこう言った。 「所で貴様ら、アークのリベリスタだな?」 「――!?」 会話のつなぎでナチュラルに述べたものだから、横でうんうん聞いていた明奈はうっかり吹き出しかけた。 「つ、突っ込みどころが三つある! はいひとつめ藤代さん!」 指をびしっと突きつけられて、レイカは背筋を伸ばした。 「えっあたし!? えーっと……今から挑む相手だと分かって仲良く遊んでるのはおかしい!」 「正解! つぎセレアさん!」 「リベリスタだとわかっていて襲うこと」 一方でなんと言うことも無くスムーズに応えるセレア。 「正解! さいご御厨ァ!」 「俺だけ呼び捨て!? えっと……あ、え、何? 三つ目なに!?」 「ごめん勢いだけで言った」 「だったら振らないで!? これまで隠れてたのにこんなタイミングで出てきたら意味ないじゃん!」 テーブルの下から這い出てきた夏栖斗が、やや涙目になって抗議した。 「心配いらねェ、隠れてるのは気ィづいてた」 ぎろり、とテリタマは鉄仮面越しに夏栖斗の方を見た。 セレアは飲んでいたブラックコーヒーをテーブルに置くと、パチンと指を鳴らして結界を発動させた。 途端、周囲の風景が奇妙に歪み、一般人が消失する。 「これは、戦場だけを切り離す結界か……?」 「アーク謹製、『陣地作成』。この方がお互い続きを話しやすいんじゃない?」 こともなげに言うが、通常では二十秒程度の準備動作が必要になる陣地作成を一瞬で行なう辺り、ただ者では無い。 いわゆるセレアなりの『自己証明』でもあった。 「なァるほど」 テリタマは自分の顎をじょりじょりと撫でた。 「応えてやァる。一つ目だが、静岡をうろつけばアークのリベリスタに会えるだろうと踏んでいた。これだけ一箇所に集まるなら『そう』だろうと考えてカマをかけた」 「……へえ」 桐の目が若干細くなる。 「二つ目は簡単だァ、『リベリスタが悪では無いとは限らない』」 「……!」 今度は夏栖斗が目を細める番だ。既に場は戦場。剣呑な空気を察してトンファーに手を添えた。 グラコロもまた格闘の構えをとって、にやりと笑う。 「俺たちは共にリベリスタ。『崩界の原因にならないエリューション能力者』という茫洋な括りに納められた者たちよ。神も世界も、俺たちが何をするべきか、どうあるべきか、示しはしなかった。だから、俺たちは自分で考えるしかない。そして俺たち兄弟は結論した。『リベリスタとは、悪を討つ力である』とな」 「だァがァ? 力ってぇのは同時に悪の芽でもある。力をつけたリベリスタが力におぼれ、悪に染まることもある。殺人強盗詐欺恐喝、どれをやっても崩界にはいたらねぇってなあ」 「世界を守るという大義を背負えば尚のこと。『自分がこれだけ苦労しているのだからある程度優遇されていいはずだ』と考えてしまう。それはリベリスタに限らずあらゆる善なる立場に言えること! そうでないかどうかは――」 世紀末兄弟は、自らの放つ圧倒的オーラを鎧とし、アシンメトリーに構えて見せた。 手元に魔導書を引き寄せ、シルフィアはかけていた眼鏡を投げ捨てた。 「『戦って定めよ』か、いいだろう。だがその前に聞いてみたいことがある。うっかり殺してからでは遅いからな」 「なんだァ?」 「『ある日突然かけがえのない人がノーフェイス化したら、どうする』」 一瞬の迷い――は、無かった。 「ノーフェイスは悪ではない。山奥に幽閉し、生じる歪みの全てを潰し続ければ、いずれフェイトを得てエリューション能力者に成るやかもしれん」 「それが――?」 「だがそんな風に『生かされたがる』者と親しくなったことはない」 答えか、と言うより早く。グラコロはかぶせてきた。 「他者を犠牲にし、自らを歪めてまで生き延びたがる者はなし。なればこそ、殺すまで」 「……ありがとう。待たせて悪かったな」 始めようか。シルフィアはそう言って、自らの胸元を大胆に引き開けた。 胸元を中心に無印の方陣が展開。輪の内に輪をもつ、マナサイクルの文様である。 「始動、循環、帰結――ケイオス、ベクトル、展開――ルーン展開」 方陣に魔術文字が刻み込まれ、更にルーンの文字が中央に浮かび上がった。 そんな短くない手順の間、グラコロたちは何もしなかったわけではない。当然他の全員もである。 「ちげーよ、悪じゃなくってアーク!」 「悪と『あぁく』でどう違うんだァ!?」 夏栖斗のアッパーユアハートを、テリタマはまるで意にも介さず突破してきた。外した、というよりは無効化されたような手応えだ。 「ヴォイドスキル――!?」 高速で叩き込まれた拳を、交差させたトンファーでガード。しかし衝撃はガードを貫通して夏栖斗のあばら骨とだけを的確に破壊した。 「や、やめなよ。ここの女の子たち恐いから。ね?」 「オラオラ反撃はしねェのかァ!? 八ァつ裂きにしてやァる!」 テリタマが手を鎌のように構えた途端、横合いからレイカが凄まじいスピードで突撃。 およそ二倍近い体格差でありながら、レイカのショルダータックルは大型バイクの衝突に等しかった。テリタマは派手に吹き飛び、テーブルのいくつかをなぎ倒しながら地面をバウンドしていく。 「ふー、一般人がいなくてよかったわ」 「それは良かったですけど、僕は全然良くないですよ! 女装させられて『れーこちゃん』なんて呼ばれて……なのに分かって貰えないとか、僕が女装した意味ってなんなんだー!」 僕の平均的な拳をくらえーと言いながら殴りかかる零児。その拳を、高速スウェーで割り込んできたグラコロが受け止めた。受け止め、握り込み、その場から振り上げる。 零児は視界を縦に180度回転させたかと思うと、頭からアスファルトの地面に叩き付けられた。 「う、ぐ……僕がこれまで話した平均的エピソードは、悪いことじゃなかったはず……」 「確かに善良な行動ばかりだった。だがそれが嘘では無い証明は、残念ながら無い」 「そんなっ」 「現にお前は今性別を偽っていた」 「そんなぁー!」 絶対こうなる流れだったじゃないですかー! やだー! といいながら地面を転がって離脱する零児。 一方、そあらはきゅっと内股になると、得意のそあらびーむ(そんな技あったかなあ)の構えをとった。 「こんな綺麗でぴゅあぴゅあオーラあふれまくりのおねいさんが、悪い組織にいると思うです?」 コンマ一秒停止し、グラコロは振り向いた。 「兄者!」 「なんだァ!?」 「これはもしやハニートラップというやつでは」 「そんなもんは知らねェ! どうせ殴っても死なねえんだ、とりあえず殴っとけェ!」 「ヒャーッハー!」 「このひと頭使ってるんだか使ってないんだかわかんないのです!」 そあらびーむ発射。というかジャッジメントレイ発射。 二人の目がくらみ、構えが解かれた瞬間を狙って桐が巨大な剣で殴りかかった。 「このわからずや、身体に教えてあげます!」 剣はテリタマの脇腹に直撃……したかに見えたが、彼女(男性なんだけどさ)の剣はテリタマの脇腹手前の所で停止していた。正確には、彼の筋肉によって強制的に固定されているのだ。 そうやって固定したところへ、テリタマは鎌のようにした手刀を桐へ振り下ろ――す直前、明奈が自らの身体を割り込ませてガード。明奈の方にグラコロの手刀がめり込んだ。 「ワタシは、仲良くしたいよ……同じリベリスタだもん!」 「『同じ』だけで仲良く出来るなら、人類に戦争は起きねェ!」 流れるようなつなげ技で、明奈の腹に掌底が叩き込まれた。内蔵が破裂し、無意識に膝から崩れ落ちる。 「だめか、それなら……」 セレアは杖をまっすぐテリタマたちに向け、フィンガースナップひとつで自分の髪型をツインテールに変えた。 「ちょっとあたま、ひやそうか」 マレウス・ステルラ発射……いや、連射である。通常の三倍の速度で隕石を生成、発射していく。 そんな猛攻を前にグラコロとテリタマは――。 「やるぞ兄者!」 「ヒャーッハー! くゥらいやがれェ!」 拳を互いへ向け、オーラを解き放ち。 『来るわ、全員伏せて』 沙希のテレパスアナウンスが聞こえると同時に、世紀末兄弟は風と化した。 戦場を目にもとまらぬ速さで駆け巡り、手のひらから放った冷気を竜巻に変えて戦場にいる全ての相手をかき乱し、そして殴り倒していった。 そんな中で。 グラコロは沙希と目が合った。 『――』 沙希は何かを念じて。 「――」 兄弟にだけ聞こえる程のかすかな声で、何かを『言った』。 そして、兄弟は動きを止めた。 「兄者」 「あァ」 二人は沙希たちに背を向けると、構えを解いて歩き始めた。 「てめェらは……悪であって、悪でねェらしい。珍しいやつらもいたモンだ」 「ちょっと、どういう意味?」 うつぶせ姿勢から顔をあげた夏栖斗に、グラコロは振り返らない。 「自分のことだ、自分で考えろ。俺たちも、考えておく」 去り際、テリタマはこう言い残した。 「テメェらが、本当の意味で『悪しき悪』にならないことを祈ってるぜェ」 世紀末兄弟は静かに、そしてクールに立ち去り。 陣地作成の制限範囲にぶつかった。 その後小走りに帰ってきて、結界を解いて貰って、最後に軽く『ぶってごめんね』みたいなことを言って、最後にみんなでカラオケしてから帰った。 おしまいである。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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