●ルゴ・アムレスの黒塔 ボトム・チャンネル。 それは階層上になっている世界において、一番下であるという世界のこと。 故にボトムチャンネルは上位世界からの脅威に晒されてきた。時折Dホールを渡ってくるアザーバイドにより、大きな被害を受けることもある。それに対抗するためにリベリスタは徒党を組み、組織だって警戒に当たっているのだ。 さて、上位世界にもいろいろな世界がある。ボトムチャンネルよりも広大な世界も在れば、ただ樹木が一本生えているだけの世界も。時間が止まった世界もあれば、今まさに消え去ろうとする世界も在る。 そんな世界の一つ、ルゴ・アムレス。 半径五キロ程度の大地に、天を衝くほどの黒い塔が存在する世界。そこは多種多様の戦士達が集う修羅の世界。 その塔の上にこの世界のミラーミスがいるといわれ、今なお塔は天に向かって伸びていた。何を目指しているのか、誰にも分からない。狭い世界ゆえに、塔はどこからでも見ることができる。 息を吸い、そして吐く。異世界の空気もボトムチャンネルの空気と変わった様子はなかった。 その入り口に、リベリスタはいる。 ●Knock on the Door 「異世界へのDホールが開いた」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は集まったリベリスタたちに向けて淡々と説明を開始する。 「このDホールからアザーバイドが出てくる危険性は皆無。ホール自体はこちらが閉じない限り、最低でも五十時間開いている状態なのは『万華鏡』で確認済み」 イヴの説明は前回の時と変わらない。つまり、 「異世界探索。以前も同じ世界からDホールが開いた。そして前回の挑戦で『塔』にはいる許可を得た」 「で、その入り口にこいつが鎮座している、と」 リベリスタは向こうの世界の人間が書いた絵を見ていた。厳密にはモニターに表示された絵だ。観音開きの巨大な門。一見何もないように見えるが、これ自体が襲い掛かってくるという。ボトムチャンネルで言うところのEゴーレムか、あるいはそういうアーティファクトか。 「正確には一階にある大扉。この奥に上に通じる階段がある。 この扉を開けると『攻略』した階まで移動できるみたい」 「Dホール開いてる時間が五十時間しかないからな。助かるといえば助かる」 かの異世界へのDホールは長時間開いているわけではない。二日程度であの高い塔を攻略することなど不可能だ。 「後通路においてある彫像……これも怪しいよなぁ」 一直線の通路に等間隔で置かれた犬のような四速歩行の獣の彫像。廊下を歩くものを見守るように鎮座している。扉と戦う時は、横から彫像にはさまれる形になる。 「向こうの世界の話を信じるなら」 イヴが疑念の目を向けるリベリスタに言葉をかけた。『万華鏡』の調査能力は異世界までは通じない。だから情報は自然と伝聞になる。 「彫像のうち四体は動いて襲い掛かかってきて、四体が攻撃すると爆発する」 「爆発!?」 「どれがどうなのかは教えてくれなかった」 ヒントはここまで。戦士なら知恵と体力を駆使して突破せよ。暗にそう告げられていた。 「ここを突破しないと、上にいけないわけか」 塔を登ることが簡単とは思っていないが、まさか扉自体が襲い掛かってくるとは。異世界とは本当にこちらの常識が通用しない場所だ。 「突破できないならそれでもいい。この世界の探索よりも自分達の世界の為の戦いの方が重要なのだから」 「だからといって、折角の『招待』だ。断るのも失礼だろう」 イヴの言葉に、戦いが好きなリベリスタはいきり立つ。聞けばルゴ・アムレスは数多の修羅が集う場所。その入り口すら潜れないというのは沽券に関わる。 戦士としてのプライドをかけ、今リベリスタは塔の門に挑む。 ● 「私の名前は『左門』。戦士よ、知を示して挑むがいい」 「俺の名前は『右門』。戦士よ、勇を示して進むがいい」 「「我等、この階の守り手。戦士の誇りと力を測る天秤なり」」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年05月31日(土)22:46 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 塔の内部は街一つ入るほどの広さで、天井も予想外に高い。言われなければ建造物内であることを忘れそうな空間だ。 そして扉前の通路は広く、門に続く一直線の石畳の視界を遮るものはなにもない。挑戦者を迎え入れるように並ぶ彫像と、遠くからでも見える巨大な門。 「……いけますね」 「ええ、では作戦通りに」 ● 爆音が通路に響き渡る。四匹の石像が一斉に爆発し、ダメージを受けた残り四匹と扉が煙の中から姿を現す。 「どうやらうまくいったようですね」 無表情のまま『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)が頷く。相手の挑戦を全力で受ける。そのために可能な限り策を練る。その策はうまくいいった。あとは力押しだ。幻想纏いから半円状の破界器を取り出し、迫ってくる彫像に向き直る。 うさぎの策と言うのは、『相手が動けないのなら遠距離攻撃で範囲外から撃ちましょう』というものだった。敵の力を探る瞳で本物と偽者を見極め、爆発の射程外から攻撃して爆発を起こす。相手は爆発に巻き込まれ、自分達は無傷。それを狙った策だ。 「任務開始。さぁ、戦場を奏でましょう」 遠距離攻撃を行った『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)が指揮棒型の破界器を手に意識を切り替える。攻撃から指揮に。味方全ての力と性格を頭の中で思い描き、的確な配置を行っていく。 「ミッションを開始します。……宜しく、リベリスタ」 『フロントオペレイター』マリス・S・キュアローブ(BNE003129)が防的な指示を出し、迫ってくる石像に対応する。仲間のことをリベリスタと呼ぶのは、フィクサード時代の名残か。だが今の自分もリベリスタだと、信じている。……信じたい。 「なんか、いかにもって……感じ」 全てが闘争で解決される世界。それを『儀国のタロット師』彩堂 魅雪(BNE004911)は感じ取っていた。門をとおることさえも戦いか。この世界の歴史に興味は沸くが、いまは塔の探索だ。破界器を構え、唾を飲み込んだ。 「門を突破したその向こうには、何があるのでしょうね」 『聖闇の堕天使』七海 紫月(BNE004712)は口元を隠し笑うように言葉を紡ぐ。見た目はドレスを着たお嬢様だが、心の中では血の気の多いこの世界の在り方を気に入っていた。痛くしてくれるし。 「そう……ね、ワクワク、する」 紫月と同じく闘争に身を躍らせる『無軌道の戦姫(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)。黒髪をなびかせ、迫ってくる石像を身を躍らせた。両手につけた鉄鋼が通路の明りに照らされ、鈍く光る。 「さーて、今回も暴れるとするかな!」 六枚の翼を広げて、『黒き風車と断頭台の天使』フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)が大剣を構えた。体内のオーラを解放し、夜の力を身にまとう。剣の先までオーラが行き届いたことを確認し、フランシスカは翼をはためかせて前に出た。 「異世界旅行、ワクワクしますねぇ」 ボトムチャンネルも異世界ですけど、と『桃源郷』シィン・アーパーウィル(BNE004479)は心の中で付け加える。体内と外界で魔力を循環させ、地面を蹴って浮遊する。2体のフィアキィと共に魔力を練り上げる。 「私の名前は『左門』。戦士よ、知を示して挑むがいい」 「俺の名前は『右門』。戦士よ、勇を示して進むがいい」 「「我等、この階の守り手。戦士の誇りと力を測る天秤なり」」 扉のレリーフが言葉を紡ぐ。リベリスタはその言葉に答えるように、破界器を振るう。 ● 「門の射程外で戦いましょう。きっとあの犬の石像突撃してきますから」 といううさぎの言葉に従い、リベリスタは門から離れたところで待つ。石像たちは全力で移動し、体当たりを仕掛けてきた。 「私達が何処まで出来るかは分かりませんが、最初の一歩で躓く訳にはいきません」 ミリィは手の平に力を篭め。それを優しく練り上げる。傷つけるのではなく、衝撃で揺らすような形に。手の平から放たれた光はシャボン玉が爆ぜるように割れて消え、その一点を中心に衝撃が広がっていく。 ミリィは好戦的ではない。むしろ戦闘行為自体を怖がり、恐れている節があった。だからこそ、戦う前に十分に思考する。最善手を打って仲間を助けるために。その優しさを示すように、放たれた衝撃に殺意はなかった。 「どこまで有効かわかんないけど……行きます!」 術のサポートを行う刀を展開させながら魅雪が距離をとる。灰色のツインテールを揺らし、破界器を構えた。投擲武器の三つの刃の角度を変えながら、彫像の動きを見やる。ベストのタイミングを見計らい、破界器を投擲した。 破界器は円弧を描き、彫像の真横から目をかする様な軌跡で飛び、魅雪の手元に戻ってくる。術と刃、二つの武器を状況に応じて使い分ける。それが魅雪の戦法。高い火力を示すのではなく、相手を弱らせる一手。 「楽しませていただきますよ」 迫ってくる彫像に討って出るうさぎ。『11人の鬼』と呼ばれる破界器を手にし、横薙ぎに刃を振るった。それぞれ角度の違う11本の刃が傷口を広げるように刻んでいく。横から迫る彫像に対し、緑の布を絡ませる。 傷つけられても怯まない彫像の攻撃。それは命令されて動く心無い物体の動きではなく、本能で攻め立てる獣の動き。その吐息を感じ取り、うさぎは心躍っていた。最もその顔はいつもと同じく無表情だったが。 「さあ、踊って……くれる?」 同じく無表情で天乃が彫像に迫る。前足の攻撃を手甲で受け止め、払うようにして爪を流す。払ったその腕に天乃は糸を絡ませる。一瞬動きを止めた隙に宙返りして彫像を飛び越し、背後を取る。 壁、台座、時には敵自身の体。三次元的に天乃は駆ける。糸は動くたびに彫像にに絡まり、縛り上げていく。天乃は手にした糸をと歯で噛んで切る。動きの拘束された彫像が、バランスを崩して転げ落ちた。 「おほほ。たまにはダークナイトっぽいことをしませんと、お父様にまた怒られてしまいますからね」 紫月が口に手を当てて、暗黒の力を練り上げる。闇の力を体内で循環させ、手の平に集中させる。循環の際に痛みが走るが、その痛みも紫月にとっては活力の元。ふふふ、自らを犠牲にして攻撃するって素晴らしいとは思いません。そういいたげな、笑み。 放たれた一撃は彫像を穿ち、石の体を砕いて削る。そして闇は彫像に纏わりついて、不吉を告げるモノとなる。その結果に快くし、紫月は本来の役割に戻る。皆を支えるという本来の役割に。 「さぁて、わたしには凡百程度の知しかない。故に代わりに武と勇を示してやるよ。さぁ、叩き潰すよ!」 フランシスカは自身の二つ名を示す風車こと『アヴァラブレイカー』を振りかぶる。背中の翼で空気を叩いて彫像に迫り、彫像の群に身を躍らせる。体内のオーラを闇色に変えて、回るように大剣を振るった。黒の軌跡が、幾重にも舞う。 それは闇の生み出した幻影。心あるものなら逃れられぬ恐怖を写したイリュージョンアタック。されど虚の剣閃に混じる実の剣閃。それは確かに彫像を切り裂いていた。幻覚と気を抜いていた彫像が、その身を刻まれる。 「まぁ自分は『勇』を見せるタイプではありませんからねぇ。多少なりとも『知』が示せたなら幸いです」 戦術名は力押しですけどね、とシィンが呟き、フィアキィ二体を自分の周りに舞わせる。自分の手の平と、二体のフィアキィを正三角形の形になるような位置に留め、術を展開する。シィン自身の魔力と術をサポートするフィアキィが同調し、淡く光る。 力の根源はラ・ル・カーナの豊かな世界。三つの月の世界の魔力が流れ込み、シィンは世界の因と果を操る。降り注ぐ火の雨が彫像たちを襲う。衝撃が石像を吹き飛ばし、迫るもの全てを弾き返した。 「まあ、無謀と勇敢の違いと、知識と知恵の違いくらいは弁えているつもりです。えへへ」 インカムを填め、オペレーター端末を起動させるマリス。戦場の状態を目まぐるしくチェックしながら、何が最善で何をすべきかを必死に思考していた。問題は多く、自分のできることは少ない。そんなことは分かっている。 それでも出来ることはあった。それがどれだけ小さいことかなど考える余裕はない。シィンに向かい神秘の糸を繋げ、癒しの思念を糸を通じて送る。傷の癒しではなく、気力の癒し。仲間の戦継能力を高めるのも、立派な戦術。 リベリスタの十分な火力と回復。それが彫像を圧倒する。この場での趨勢は目に見えて明らかだった。 「見事なり」 「だが我はまだ傷一つない」 遠くで二つの『門』が吼える。確かにメインの相手はあちらなのだ。 「Bring it on、Junks!(相手になってやる! かかって来い、ガラクタども!)」 「いえ、相手動けませんから」 マリスの挑発に、ミリィが答える。だが相手になる、のくだりは間違いではない。ここで引くようなリベリスタは、いなかった。 ● 彫像の掃討には時間がかからなかった。爆発でダメージを受けていたこともあり、リベリスタには大きな怪我もなく彫像四体を全て地に伏す。 「知を示すものよ」 「勇を示すものよ」 「「塔の門はここにある。汝、闘争をもって道を拓け!」」 『門』の言葉と共に、数多の武器が召喚される。剣、槍、斧、矛、棍棒、鉄球……それらが門を護る兵士となり、そして門を通ろうとするリベリスタたちに襲い掛かる。時折放たれる豪弓の一撃が、衝撃でリベリスタの付与を弾き飛ばす。 「なるたけ直線に並ばないように行きましょう」 言いながらうさぎが扉に向かって走る。レリーフから放たれる光に足を止められるが、それでも前に進んだ。一瞬その姿が五重に揺れる。緩急混ぜた足運びが生み出すナイトクリークの歩法。それが相手の隙を作り、鋭い一撃を生む。 「扉が相手とは驚きよねー。いや、言うほど驚いてもいないんだけども。」 大剣を構えてフランシスカが扉に迫る。扉が召喚する剣を払い流し、そのまま返す勢いで扉に切りかかる。高重量の一撃が深々と扉に突き刺さった。そのままフランシスカは体を回転させ、剣を振りぬく。 「ところで……この塔、いつから建ってるの? 突破した人は、いるの?」 壁を足場にしながら天乃が手甲を振るう。迫る剣を受け止め、矢を避けて交わす。飛び交う武装を払いながら、扉に問いかけた。獅子のレリーフは静かに言葉を返す。 「生憎と我等に時間の感覚はなくてな。だが通った者は多い」 「皆さん、隙は作ります!」 同じく壁を足場に魅雪が破界器を投擲する。レリーフの『目』に相当する部分を掠めるように刃が飛び、門の動きを制限する。生まれた隙を縫うように、前衛は攻撃の手を強めていく。 「二人とも見えそうで見えない位置を保ってますねぇ」 壁を足場としている天乃と魅雪を見ながら、シィンが口を開く。言いながら魔力を練り、フィアキィを通じて増幅した。故郷を示す新緑の光がリベリスタを包む。リベリスタの傷が放たれた神秘で癒えていく。 「相変わらず過激ですわね。挑戦に重きを置く事は悪いことではありませんけれど」 剛弓で受けた傷を癒す紫月。傷の痛みに耐えながら、自分も含めて仲間全ての傷を癒していく。逆境を乗り越える自己陶酔を味わいながら、冷静な部分では仲間の怪我を確認していた。 「このまま攻めれば、いけそうですね」 そして戦場全体を見ながらマリスが静かに告げる。仲間にエネルギーを供給しながら先の展開を読んでいた。詰め将棋のように想像で手を進めながら、心のどこかで読み違いはないかと弱気になる自分もいた。 「ええ。問題はないはずです」 同じく見逃しはないかと恐れながら、ミリィが応える。絶対の一手などもってない。常勝の軍師でもない。怯え、迷い、間違いを恐れ、その上で出した答え。入念な思考を繰り広げ、そして繰り出される勝利の手。 シィンと紫月とマリスの安定した回復に支えられ、一気呵成に攻めたてるリベリスタ。扉がどれだけ分厚くとも、雨垂れが岩を砕くようにいずれは突破される。 そしてその時は、遠くなかった。 「さぁ、押し通るよ!」 フランシスカの黒剣が横薙ぎに振るわれる。防御の為に宛がわれた武器と交差し、拮抗する。しっかりと柄を握り締め、体をひねって力を篭める。 「これがわたし達の知と勇だ!」 扉の召喚した武器を弾き飛ばし、両扉を一気に裂く。ただ純粋に戦いを求める少女の一撃が、戦いの世界に建つ塔の扉を開いた。 ● 「見事也、ボトムチャンネルの勇士よ」 「さぁ、門は開かれた。先に進むがいい」 扉は挑戦者を迎え入れるかのように開く。階段の先は二つに分かれていた。 「……先が二つありますが?」 「片側は二階に。火の階にて火蜥蜴が待つ階層」 「片側は四階に。水の階にて水ヘビが待つ階層」 マリスの問いかけに、門が丁寧に答える。ダメージを受けても口調に疲れ具合が出ないのは、建造物だからだろうか。見た目は刃傷などでボロボロなのだが。 「教えてくれるなんて親切ですねぇ」 シィンが宙に浮いて階段の先を見通そうとする。さすがに先は見えない。『万華鏡』のサポートがない以上、情報面では不足しがちな異世界探索だ。こういう事はありがたい。さすがにこの世界にフォーチュナを連れてくるわけには行かない。 「まったく……わくわくする、ね」 天乃が破界器を幻想纏いにしまいながら、先の階を想像する。火の階と水の階。そこにいるといわれるアザーバイド。どちらの階も戦いに事欠かないイメージを受ける。飽きることはなさそうだ。 「うわあ……!? 彫像が戻ってる……!」 なんとはなく塔の壁画を見ていた魅雪が、いつの間にか台座の上に彫像が復活しているのに気付く。だが襲い掛かってくる気配はないのに気付くと、恐れながら魅雪は彫像に触れてみた。石に似た感触が手の平から伝わる。 「こうしてまた新たな挑戦者を待つのですね」 なるほど、とうさぎが納得したように腕を組む。本当にゲームっぽい。ボトムチャンネルの神秘も大概常識外れだが、この世界はまた違った常識外れといえよう。上の階もこんな感じなのだろうか。 「本当に戦いで全てを決するのですね。血の気が多いといいますか」 言いながらも紫月はその考えは嫌いではなかった。勝てば道が開かれる戦いの世界。この門の向こうに待っている未来に、紫月は期待を膨らませていた。どんな相手と戦いが私たちを待っているのかしら。 「Dホールの解放時間から逆算して、そろそろ帰還の時間ですね」 ミリィが幻想纏いのタイマーを確認して、撤退を促す。ラ・ル・カーナのときとは違い、この世界に長居はできない。だが先ずは一歩。勝利の足跡を刻んだ。自分達が培った経験が、勝利を刻んだのだ。 「もっと此処で楽しみたいのになぁ……」 残念そうにため息を突くフランシスカ。戦うことが生き甲斐のフランシスカにとって、この世界は相性がよかった。まだ見ぬ修羅が沢山いるのだ。それを思うと帰りたくなくなる。さすがにそういうわけにはいかないが。 惜しみながらもリベリスタたちはDホール帰還の準備を始めた。 闘争の世界『ルゴ。アムレス』―― 戦いが全てを決する修羅の世界。その中心にある黒塔に挑むものは後を絶たない。塔の中に町があったりと、ボトムチャンネルの常識外のことが起きる。頂上にはこの世界のミラーミスがいるとも言われ、謎多き塔だ。 リベリスタはまず一歩を踏み出した。知と勇、その両方を示して。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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