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<恐怖神話・現>髪の長い蛇女

●魔界の招待せざるモノ
 ギュルギュルギュルギュル――
 港埠頭の公園で何か得体のしれないモノが蠢いていた。
 肉の腐ったような異臭と鋭く噛み砕く咀嚼音が闇の向こうから聞こえてくる。
 時刻はすでに日が暮れて人々が帰宅するラッシュ時を迎えていた。
「今何か音がしたか……?」
 異変に気がついた一人のサラリーマンが顔を顰める。
 港から吹き上げてくる潮風に混じって微かな臭いが漂ってくる。
 生臭くて気分が悪くなるような胸さわぎがする。
 男は葛藤しながらも公園の奥へと足を進めた。最近この辺りで人が行方不明になる事件が起きたとの噂を耳にしていた。靴を残したまま突然と人が消えたという話。
 本当かどうかはわからなかった。だがその瞬間に背筋が凍り付いた。
 叢の陰に小さな赤い靴が落ちていた。
 女の物だと思われる片足しかない靴だった。
 サラリーマンはおもむろにその靴を拾い上げようとした時だった。
 グチャ、グチャ、グチャ
 ちょうど外灯の光に照らし出されてそれは現れた。
 長い髪の背の高い女が現れた。髪は蛇だった。
白のブラウスに赤いスカートはまるで昔の雰囲気を醸し出していた。
 髪の毛が前を覆い隠していて顔は全く見えない。
 だが、不釣り合いなほど大きな口からは肉と血が滴り落ちていた。
 一瞬、目が合った。
 大きな目だった。虚ろな白目をこちらに向ける。サラリーマンは今度の標的が自分であることに気が付き、逃げようとした。だが、あまりの恐怖で身体が動かない。
 髪の長い女は、すばやく動くと男に飛びかかった。
 グチャ、グチャ、グチャ
 暗闇に奇妙な咀嚼音が響いている。やがて、男の断末魔を聞いた人々が駈けつけてきて夜の公園は混乱の渦に巻き込まれていった。

●同時多発テロ
「皆も知っての通りに全国各地で同時多発的な事件が起きているわ。貴方達には横浜の港埠頭の公園で騒ぎを起こしているアザーバイドを食い止めてきてほしい」
 『Bell Liberty』伊藤 蘭子(nBNE000271)が焦った口調で事態を告げた。急いでブリーフィングルームに集まったリベリスタに説明を加えて行く。
昨今欧州を賑わせているアザーバイドの事件群がついに日本を標的に定めたようだった。
アークとしても全力を持ってこれ以上の被害が出ないように全力を持って食い止めなければならない事態に差し掛かっていた。
 この事件には先のオルクス・パラストからの調査依頼で遭遇した敵、異世界の神を名乗った存在――『ラトニャ・ル・テップ』という少女が強く関与しているようだ。
 彼女が本当にミラーミスだとするならば、同じ世界のアザーバイドも侵略してきてもおかしくない。ラトニャの目的はまだ不明だが、先の調査隊によれば彼女がアークに強い関心を持っているのは間違いない。
「今回はあまりにも唐突で万華鏡の感知のタイミングが遅れているわ。被害をすべて食い止めるのは非常に難しい情勢になっている。けれどアークとしてはこれ以上奴らによって犠牲を増やすのを何としても食い止めなければならない。危険な任務になるのは承知だけど貴方達には何としても全力で立ち向かって来て欲しい。健闘を祈っているわ」
 蘭子は最後に皆の目を一人ずつ見て激励の言葉を告げた。




■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:凸一  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年05月21日(水)22:41
こんにちは、凸一です。

招かれざるモノたちとの闘いです。
被害を最小限に食い止められうように。

それでは、以下は詳細です。
よろしくお願いします。

●任務達成条件
アザーバイドの討伐
一般人の避難&保護


●場所
横浜の港埠頭の夜の公園。帰宅時で周辺にはサラリーマンやOLなどが二百人ほどいる。雨が降っていて風が強くおまけに木々が邪魔をして視界が悪い。潮風と雨によって足場も非常に滑りやすくなっている。公園内はアザーバイドの掘った穴が無数にあって凸凹した状態になっている。


●敵詳細/アザーバイド☓6
・髪の長い蛇女/味方の戦闘指揮を行う。蛇の髪を遠距離から長く伸ばして敵を絡めとって呪縛する。髪は伸縮自在で剣や刃物類では斬ることができない。影に潜んで猛スピードで敵の後ろに回り込み、髪の毛を針のように無数に飛ばして串刺しにすることもする。
 近距離からは鋭い爪と牙で敵を出血させて毒を回らせる。大きな目を見ると魅了させられて思うように身体が動かなくなる。
・百翼の獣☓2/無数の翼で風刃を巻き起こして全体をノックバックさせる。大きな巨体を生かして味方への攻撃をブロックする。敵の攻撃を半分反射させる付与を持つ。
 口から火炎を遠距離から噴射して必殺の効果を持っている。
・一角の潜獣/自由自在に土中を掘り進むことができる。大きな角を持っており猛スピードで突進して貫通させる。直観と目が非常に優れており地中からでも敵の場所を正確について攻撃することができる。
・野獣の剣使/翼の生えた屈強な体力と持久力を持つ顔は野獣の戦士。スピードを生かして大きな破壊力のある剣を縦横無尽に振り回して近接範囲で切り刻む。五感に優れており危険を察知する能力に加えて物質を透過して敵の後ろに回りこむ戦法を取る。
・大顎の狼獣/大きな狼の頭部だけの獣。自在に飛び回る他、幻影を作り出して自身が無数にあるかのように幻惑してくる。一度噛み付かれるとなかなか離れない。他の味方が戦っている時に積極的に援護する役割を持っている。

●その他補足
すでに公園内でアザーバイドが一般人に襲いかかっている状況。公園はコの字型になっており周りは湾岸と高い塀に囲まれていて逃げ場がない状況。唯一の逃げ場である入り口には髪の長い蛇女と剣使がきっちりと見張りをしてガードを固めている


●重要な備考
 このシナリオの結果により崩界度が1~3点上昇する可能性があります。
 またエリア毎の失敗数によっては不測の事態が発生する可能性があります。



参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ハイジーニアスデュランダル
雪白 桐(BNE000185)
フライダークホーリーメイガス
アリステア・ショーゼット(BNE000313)
サイバーアダムクロスイージス
新田・快(BNE000439)
ハイジーニアス覇界闘士
鈴宮・慧架(BNE000666)
ノワールオルールマグメイガス
セレア・アレイン(BNE003170)
ジーニアスプロアデプト
御厨 麻奈(BNE003642)
ジーニアスインヤンマスター
赤司・侠治(BNE004282)
ビーストハーフダークナイト
テレザ・ファルスキー(BNE004875)

●監獄の公園
横浜の港埠頭の海風は荒れていた。
夜の湾岸公園には大勢の帰宅する人々が突然現れたアザーバイドから逃げようとして混乱の渦に巻き込まれている。周囲は壁と海で逃げ場がなかった。
足元が滑りやすく転んで動けない者もいる。その時小さな女の子が転げた。
赤い靴が脱げ落ちた。女の子は母親から離れてしまって泣き叫ぶ。赤い靴はちょうど入り口を見張っている蛇女の方へと転がっていった。
恐ろしい女の怪物だった。顔が紫色をしていて髪は蛇だった。
鋭い眼光を靴の脱げた女の子の方へと向ける。
「信教の自由とは言うけどさ――やっていい事と悪いことってのがあるんだよ!」
 『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)が吠えた。拳を突き上げて全速力で公園の入口へと猛進する。絶対に女の子を守ると決死の形相で駆ける。
「人を殺しまくるとか、私達がいる限り勝手はさせませんよ」
 雪白 桐(BNE000185)がミニスカートを翻して快の後ろから迫る。足元から跳ねる泥で白い清潔な太腿が汚れたが気にしない。視線の先にあるのは敵の蛇女だけだ。
「――さて、戦わないといけませんね」
 『戦技巧霧姫』鈴宮・慧架(BNE000666)もオッドアイで剣使に挑む。長い黒髪を揺らしながらその端正な顔つきで真っ直ぐに見据えた。桐と間合いを図りながら前を行く。
 マジックカンテラの灯りで先導しながら一目散にただ走る。
「あたし『恐い』って言われるより『怖い』って言われる方が好きなのよねー
特にフィクサードとかアザーバイトとかそういうのには!」
 『ラビリンス・ウォーカー』セレア・アレイン(BNE003170)は不敵に嗤った。異形のアザーバイドなんて恐くない。数々の修羅場をくぐり抜けてきた自分の方が余程相手から見たら怖しいんだと自信満々にその自慢の胸を張った。
「なんやけったいな公園やな。監獄みたいや――なんて愚痴ってもしゃあないな。きっちりお仕事していこか」
 『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)はセレアから遅れないように付いていく。愚痴っていても仕方がなかった。いつだってアザーバイド達はこちらの都合を考えない。気にしている暇があるなら早く目の前の敵に立ち向かった方がいい。
 自分たちの力で何とか脅威を取り除くしかないのだ。
「力とはただ力でしかない。生かすも殺すも――今までもずっとこれから先もな」
 『凡夫』赤司・侠治(BNE004282)は鋭い目で敵を睨みつける。手には呪符を持っていつでも仲間への支援をできるように態勢を整える。
「髪が蛇女のアザーバイド、下半身が蛇の鱗に覆われた女が倒してみせるわ」
 『朱蛇』テレザ・ファルスキー(BNE004875)は蛇女に宣戦布告する。同じ蛇女として絶対に負けるわけにはいかない。まずは目障りなその蛇髪を切ってみせると息を巻く。
「――今日も守ってみせる。目に映る皆を、助けるために」
 『尽きせぬ祈り』アリステア・ショーゼット(BNE000313)はその可愛らしい大きな瞳を瞑って祈りを捧げた。いつものように指に嵌めた小さなリングを優しく撫でる。
 今日もいつもと同じだ。平和を守るために絶対に私達は負けない。
「皆、飛んで!」
 アリステアは目を開いた瞬間に、両手を掲げて皆に翼の加護を放った。支援を受けた仲間たちがアザーバイドに向かって勇敢に跳びかかっていく。


●打たれ弱い私
「さて、ここから先は通り抜け禁止になりますよ」
 身のこなしの軽い慧架が野獣の剣使の前に颯爽と姿を現した。入り口を守っていた野獣が慧架の姿を見て遠吠えをあげる。新たな獲物を見つけて不敵に口角をあげた。
 慧架は構わずそのまま野獣に突っ込んでいく。敵もすぐに気がついて大剣を振りかぶってきたが慧架は軽やかなフットワークで寸前の所で交わしてみせた。
 予想外に攻撃を慧架に避けられてこれには流石の剣使も驚きの表情をみせる。
「私の回避や持久力はかなりのものですよ。決して劣ってはいないはずです」
 慧架は野獣を挑発する。だが、剣使の攻撃をすさまじい破壊力があった。避けたとはいえ、地面にはクモの巣状の破壊されたコンクリートが広がっている。
 仮に当てられたらただでは済まないはずだ。それに野獣は慧架の身のこなしを見て警戒心を強めていた。慢心するわけにはいかないと慧架は気を引き締めて挑みにかかる。
「どこをみているんですか? 貴方の相手は私ですよ」
 桐がよそ見をしている蛇女に向かってまっすぐに斬りかかった。目の前の女の子に襲いかかろうとしていた蛇女は一瞬の隙を付かれる。
 渾身の斬撃が斜め上から振り下ろされて蛇女の表情が苦悶に満ちた。
 その瞬間に緑色の鮮血が飛び散って桐の顔に降り注ぐ。怒涛の攻撃に晒されて蛇女は後退せざるをえなかった。その隙に後ろから加護を得た快達が飛び越えていく。
 公園の仲にいる他のアザーバイド達に向かって両手を思いっきり突きつけた。放たれた攻撃に晒された化け物達が一斉にやってきた快達のほうへ振り返る。
「ここは危険だ! 海側に逃げてください!」
 快は声を荒らげて混乱に陥っている人々に向かって叫んだ。
 さらに攻撃の手を緩めずに快はアザーバイドが密集している地帯へと一人で殴りこんでいく。その隙にセレアとアリステアが快を盾にしながら前進した。
「逃げて! あっちは安全だから。大丈夫。悪い夢はすぐ終わるから!」
 アリステアは襲われた女の子の手を引っ張って一緒に駆けた。敵のいない安全な場所を指さしながら他の一般人の誘導を試みる。逃げ惑う人々に一角獣の潜獣もドリルを突き出してきたがアリステアは身体で受け止めて女の子を魔の手から庇った。
「お姉ちゃん!!」
 女の子が叫んだのと同時にアリステアは顔を顰めた。
 身体にドリルを突き刺されて苦悶の表情を浮かべるがアリステアは気丈に振る舞う。
「大丈夫、それより皆を海の方へ連れて逃げて、貴方ならできるから」
 女の子は傷ついたアリステアを心配していたが、ついに決心して皆を誘導するべく果敢にも前に向かって走っていった。すぐに人々を先導して逃げ出す。
「今だセレアさん! 陣地を!」
 快の言葉に反応してセレアが即座に詠唱した。
 神秘のベールで包まれた陣地が公園の一角を覆い尽くす。一般人を何とか無事な場所に止めることが出来たのもつかの間、すぐにアザーバイドたちも反撃に出る。
「ここからが本番だな――一匹たりとも逃しはしない」
 快が支援を施す間に、地面から角を出して一角獣が躍りかかってきた。後ろで陣地を構築しているセレアに向かって容赦の無い攻めを見せてくる。
 セレアは両手を広げて反撃の攻撃に出たが、敵の猛追がそれを破った。
「危ない!」
 テレザがナイフを構えて襲ってくる一角獣に立ち向かう。
 効き井伊発の所でテレザがセレアを庇った。
「こちらの作戦の肝であるセレアさんをやられるわけにはいきません!」
 テレザは歯を食いしばりながら倒れた身体をもう一度立ち上げる。
 絶対にやられるわけにはいかないと闇で覆い尽くす。
 暗闇に襲われた潜獣は苦しんだ。なんとかしようと再び地面に潜る。
地面から出てきた所を狙って一角獣の柔らかい腹の部分を狙って突き刺した。一角獣も角で応戦しようとするが激しい応酬の末についに一角獣が倒れる。
「打たれ弱いあたしを特に狙うなんて許せない」
 セレアが倒れた一角獣の角を思いっきり殴りつけてへし折った。

●魅力のない恐怖
 空中を飛んでいた百翼の化け物が一斉に火を吹いて襲い掛かる。作戦の要になりえるセレアを守ろうとして侠治が激しい攻撃に晒された。血を吐いて地面に倒れこんでしまう。
 苦しみにもがく侠治を助けようして麻奈がピンポイントで翼を狙い打つ。
「あんじょうよろしゅうしたってや!」
 後ろから麻奈が気丈な頑張りを見せていた。敵が来る方向を俯瞰して仲間の位置を素早く変形させて対応させる。ハイテレパスで奇襲を仕掛けてくる敵の情報を仲間に知らせて先回りさせた。アリステアやセレアの気力が無くなりそうになると、補給をして前線の闘いを懸命にサポートする。自身は上手く立ち回りながら攻撃を回避していた。
 百翼の化け物が撃墜されて地面に衝突する。落ちてきた所を桐とテレザが再び接近して二人がかりで纏めて切り刻んだ。
 大顎の狼獣が幻影を作りだして形成を逆転を狙って遅いかかってきた。闇に浮かぶ大きな牙を持つ怪物が無数にやってきたように見えて一瞬、リベリスタたちも脚が竦む。
 麻奈やアリステアがいる後方がすべて狼獣の大顎に取り囲まれてしまう。テレザが反撃に出るがそいつは幻影で剣が空を切ってしまう。
「そいつは全部偽物だ。本体はその後ろにいる!」
 集中力を研ぎ澄ました快が危機に陥っている仲間に向かって叫んだ。
 幻影を見破って本体を突き止めた快が本物に攻撃を仕掛ける。惹きつけられた本体の狼が食おうとしていたアリステアから進路を変えて快に噛みついた。
「ぐああああああっ!」
 快はあまりの衝撃に思わず声を荒らげた。
だが、快は噛み付かれながらも仲間に向かって味方に合図をした。
セレアと麻奈とアリステアの一斉攻撃の火が襲い掛かる。濁流と化した壮絶なすさまじい火力が快ごと狼獣を飲み込んで破壊した。
「新田さん、大丈夫? 無茶ばかりしてもう!」
 アリステアがすぐに飛んで行って黒焦げになっていた快を起こして膝枕した。
 柔らかい美少女の太腿の上で満足そうに笑って身を起こす。
「おかげでどうにか助かったよ」
 快は相当にタフで何とか起き上がることに成功した。
「後ろに回りこんでばかりで臆病なんですか?」
 慧架は対する野獣の剣使に再び挑発する。先程から地面に潜って背後をついたりン芸たりしてまるで攻撃の糸口がつかめていなかった。何とか追撃するもののまた寸前で交わされてしまう。両者ともに決め手を欠いていた。
 慧架は敵に手を伸ばしてつかみに掛かる。今度こそ胸ぐらを掴むと渾身の勢いで地面にたたき飛ばした。堪らず剣使は持っていた剣を飛ばして逃げようとする。
 その瞬間、さらに剣使は後ろに回りこんで一瞬、慧架は敵を見失った。
「今度は貴方ですか? いいでしょう蛇女さん」
 慧架が振り返ると今度は蛇女と対峙する。対して桐は入れ替わって剣使と敵対することになった。剣を拾おうとした隙を見て桐は跳躍する。
 髪とスカートを翻してマンボウ君を高々と振り上げた。
 脚を振り下ろして勢いを付けるとそのまま上体ごと体重をのせて急降下した。
 風に背を受けて渾身の斬撃を剣使の頭に叩き込む。
 剣使がこの世ならぬうめき声を上げて地面に伏した。
「とうとう貴方だけになりましたね。それでは鈴宮慧架――参ります」
 慧架は蛇女の懐に飛び込んだ。敵が攻撃を仕掛けてきた所を軽く交す。腰を素早く捻ると体重を乗せた。蛇女の脇腹目がけて強烈な風のようにその長い脚で斬り刻んだ。空中に浮いた敵は地面に叩き落とされる。蛇女は空中で半回転してそのまま地面に激突した。
 体中から血を吹いていたが、しかし蛇女はまだ死なない。すでに常軌を逸したその姿に慧架も気味が悪くなる。
「貴方がもう少し魅力的なホラーなら、魅了されてみるのも悪くないと思うのですが……ほら、リベリスタの皆様を一方的に傷つける、滅多にない機会になりますしね」
 テレザは同じ蛇女として敵を仕留めるべく抑えにかかる。
 後ろを突こうとして逆に反撃にあって苦しんだ。
「でも貴方達、全然わかってないです」
 それでもテレザは果敢に挑んで髪の蛇を切り刻んだ。
 度重なる攻撃を受けて蛇女はすでに朦朧としていた。蛇女はお返しとばかりに陰に潜んで最後の反撃に踊り出る。
 狙われたのはだがテレザや慧架ではなくて側にいた快だった。
 全く無防備に晒された快の背中に向けて無数の蛇が口を開けて躍りかかる。
「新田さん!!」
 アリステアが心配して叫ぶ。
 誰もがもう間に合わないと思ったその時だった。
「そこだ――カウンター・クルセイド!」
 今まで後ろを見ていた快が突然身体を捻って闇に向かってナイフを突き出した。
 鋭利な高速の刃が蛇女の首に深々と突き刺さる。
 その瞬間に蛇女の首が千切れ飛んで闇へと消えた。

●赤い靴の女の子
「どうやら全部倒せたみたいやね」
 麻奈は全てのアザーバイドが倒れたのを確認してほっと一息を吐いた。
 横浜の港埠頭の公園を襲っていた怪物たちは全滅した。リベリスタ側にも被害はあったが、何とか補給戦線を断つことなく、巧みな連携とフォーローがあったおかげで被害は最小限に食い止めることができていた。
「外で恐怖を演出するなら月夜の晩ですわよ? 
風雨の夜なら、屋内でやるべきですわね。
奇をてらったホラーの行き着く先は、だいたい失笑されるコメディか、せいぜいB級ですから――」
 蛇女の首を見てテレザはふと漏らす。
 アザーバイド達は出てくる所を間違えてしまったとばかりに。
 一般人たちもほとんど無事に逃げることができていた。早急に駈けつけて適切な陣地をセレアたちが構築して守った成果だった。
 すでに辺りは静けさを取り戻していた。そろそろ帰る時間だった。疲れて一休みしていたリベリスタたちはようやく重い腰をあげる。
 アリステアはいつまでも膝枕から離れようとしない快を強引に引きずり下ろして立ち上がろうとした時だった。足元に赤い靴が落ちている。
「あっ、こんな所に――あの女の子の靴かな」
 それは先ほど助けだした女の子の赤い靴だった。
 アリステアはすぐに女の子を探そうとしたが、皆帰ってしまった後だった。
 赤い靴を履いてた女の子はもうここにはいない。
 だが、アリステアは心配していなかった。
 あの女の子のなら大丈夫だろう。この先何があっても。
 指輪を優しくアリステアは撫でた。
 今日も平和を皆の平和を守ることができてよかったと思いながら。
 赤い靴を握り締めて思いっきり海へと放り投げた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。

今回は、見事な連携と後方支援の充実で、
被害を最小限に食い止めながら任務を無事に達成できたと思います。

それでは、又の機会に。